小説 - 中央公論新社作品一覧

  • わが青春の台湾 わが青春の香港
    4.0
    1巻990円 (税込)
    台湾人の父と日本人の母のもと、日本統治下の台湾に生まれ、東大に学び、戦後は帰郷して台湾独立運動に参加するも、二・二八事件後香港へ亡命――。直木賞作家の波瀾に満ちた半生記(一九二四~五四年)であると同時に、激動の東アジア史の貴重な証言ともなっている。デビュー作「密入国者の手記」を特別収録。〈解説〉黒川 創 【目次より】 わが青春の台湾  二人の母に育てられて/文学少年から政治青年へ/全学連の「種蒔く人」/台湾独立に傾く/さよなら、私の台湾 わが青春の香港  編物に明け暮れた台湾のロレンス/青春の賭けに破れて商人となる/花嫁のいない結婚初夜/小説家を志して再び日本へ 〈特別収録〉密入国者の手記
  • 女が死ぬ
    4.0
    「女らしさ」が、全部だるい。天使、小悪魔、お人形……「あなたの好きな少女」を演じる暇はない。好きに太って、痩せて、がははと笑い、グロテスクな自分も祝福する。一話読むたび心の曇りが磨かれる、シャーリイ・ジャクスン賞候補作「女が死ぬ」含む五十三の掌篇集。『ワイルドフラワーの見えない一年』より改題。〈特別付録〉著者ひと言解説 (「あなたの好きな少女が嫌い」より)
  • 楽しい終末
    4.0
    核兵器と原子力発電、フロン、エイズ、 沙漠化、人口爆発、南北問題…… 人類のおかしてきた数々の「失策」 その行き着く先は?  未来の現実を見透かす予見的思索エッセイ
  • 受難華
    4.0
    1巻968円 (税込)
    井の頭公園で〈秘密の結婚〉をする照子、道ならぬ恋に胸を焦がす寿美子、結婚後に夫の秘め事を知る桂子。女学校の仲良し三人組の恋愛と結婚に、思いもよらぬ試練が次々とふりかかる――。 「低級でも善良」な夫を愛せるか? 自分を欺いた夫を許せるか? 怒濤の昼ドラ的展開で読者を魅了し絶大な人気を博した、『真珠夫人』をしのぐ大正エンターテインメントの傑作。 〈解説〉酒井順子
  • 孟嘗君と戦国時代
    4.0
    古代中国の大国、斉に生まれた孟嘗君は「鶏鳴狗盗」の故事で名高い。多様な力が国と人とを動かす波瀾の時代に、智慧と誠実さを以て燦然と輝く存在であった孟嘗君を通して戦国時代を読み解く。書き下ろしエッセイ「回想のなかの孟嘗君」を付す。〈中公新書『孟嘗君と戦国時代』改版〉
  • 応家の人々
    4.0
    昭和十四年、日本統治下の台湾――-。名高い旧家・応家の美女の周辺で男たちが相次いで死亡する。最初の夫が海難事故死し、二人目の夫は何者かに殺害され、さらに毒殺事件が起こる。内地から派遣された警官が、台北から台南の町々をめぐって事件の謎を追う、妖しい懶さが漂う長篇ミステリ。
  • 君と、君がいる彼方
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫や娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに……。 不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間。江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る書き下ろし感動長編小説
  • 雪の階(上)
    4.0
    1~2巻880~946円 (税込)
    昭和十年。華族の娘、笹宮惟佐子は、富士の樹海で陸軍士官とともに遺体となって発見された親友の心中事件に疑問を抱き、調べ始める。富士で亡くなったはずの寿子が、なぜ仙台消印の葉書を送ることができたのか。寿子の足どりを追う惟佐子と探偵役の幼馴染、千代子の前に新たな死が……。柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞をダブル受賞、「週刊文春」「このミステリーがすごい!」「ミステリを読みたい」のベスト10入りを果たした傑作。
  • 嘘ばっか 新釈・世界おとぎ話
    4.0
    自己プロデュースに長けた野心的なシンデレラ、きりぎりすの奏でる音色に心動かされるあり、おじいさんのこぶを愛するおばあさん……。誰もが知っているおとぎ話が、佐野洋子一流のユーモアと毒がたっぷり加わって様変わり。面白くてちょっぴり怖い、二十六篇の絵入りパロディ集。 【目次】 シンデレラ/ありときりぎりす/浦島太郎/おおかみと七ひきの子やぎ/白雪姫/羽衣/くらげとさる/ヘンゼルとグレーテル/マッチ売りの少女/つるの恩がえし/マリアの子/こぶとりじいさん/花咲かじいさん/親指姫/ラプンツェル/かちかち山/ブレーメンの音楽隊/眠り姫/養老の滝/かえるの王さま/星のターラー/あほうどり/三びきの子ぶた/舌切りすずめ/ハーメルンの笛吹き/赤ずきん 「きれいごと」が嫌いな人 岸田今日子/「思い込み」を壊された 村田沙耶香
  • 新装版 七つの証言 刑事・鳴沢了外伝
    4.0
    海、今、藤田、そして高城――鳴沢了は彼らと再び事件に挑む! 堂場瞬一史上売上NO.1警察小説、シリーズ唯一の連作短篇。 警察を辞め私立探偵となった小野寺冴。閑古鳥が鳴く事務所に鳴沢了から、俳優の息子・勇樹のボディガードをしてほしいという依頼がくる。破格の報酬につられ引き受けるが……(「不変」より)。藤田、海、今、そして高城――仲間たちが見た「刑事として生まれた男」の真実とは?
  • 獅子座、A型、丙午。
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    いつだったかドラマの演出家の男性に言われたことがある。「有名な旦那さんがいて、お子さんも育てて、女優もやって、すべて手に入れてますね、完璧じゃないですか」 びっくりした。私ってそう見えるんだ。外から見えるものを数えたら、確かにそうかもしれないな。でもね。私にも事情がある。やりたいことができなくて眠れないほど悔しいことも、逆立ちしたって手に入らない憧れも、自分の不甲斐なさにのたうちまわる夜更けもある。そう反論するのはわがままだろうか。――本書より
  • ロボット RUR
    4.0
    無限の労働力「ロボット」によって、人類は苦役と貧困から解放され、真の幸福を得るはずだった――。1920年、中欧の小国で発表されたこの戯曲から「ロボット」という言葉が生まれた。今なお多くの問いを投げかける名作を、発表より100年を記念し新訳する。 資料 カレル・チャペックによる記事 「今一度、ロボット(RUR)について」(1921年)ほか 訳者解説 「『ロボット』あるいは世界文学のつくりかた」阿部賢一
  • すばらしい新世界
    4.0
    1巻1,361円 (税込)
    ヒマラヤの奥地へ技術協力に赴いた主人公は、 現地の暮らしに触れ、深く人々に惹かれてゆく―― 人と環境との関わりの先に 新しい世界への光を予感させる長編小説
  • 私の彼は腐ってる
    4.0
    1~2巻748~792円 (税込)
    祖父の死で天涯孤独になった揚羽。その時、約束通り迎えにきてくれた許婚の伊織と同居するが、なぜか彼は広い洋館で姿を見せない。執念で探し出し問い詰める最中、伊織の腕がぼとりと落ちた。「じつは私、ゾンビなんです」まさかのカミングアウトと、スライム、吸血鬼たちに実は囲まれていた揚羽の運命と恋愛成就は!?
  • 日本文学史 古代・中世篇一
    4.0
    1~6巻1,152~1,257円 (税込)
    「日本文学史」全体の序文を本巻に収録。人間的でなまめかしい『古事記』、奈良時代と平安時代前期の漢文学、そして最古にして最高の歌集『万葉集』の世界を語り尽くす。 序/古事記/奈良時代の漢文学/万葉集/平安時代前期の漢文学
  • 日本文学史 近代・現代篇五
    4.0
    日本文学の一大特色、私小説と戦時下における戦争文学。つづく戦後は、太宰治、織田作之助、坂口安吾、石川淳ら、無頼派と呼ばれた作家たちの活躍を見る。 私小説/戦争文学/太宰治と無頼派
  • わが青春無頼帖 増補版
    4.0
    虚無的な孤高の剣士「眠狂四郎」を生んだ苛烈な戦争体験、多彩な女性遍歴、師・佐藤春夫との交流――。 故郷出奔から直木賞受賞までの無頼の日々を豊富なエピソードとともに綴る回想録。 表題作のほか、私小説的短篇五篇を併録する。 新たに随筆「文壇登場時代」「わが生涯の中の空白」を増補。〈解説〉縄田一男 【目次】 わが青春無頼帖 色 身 蜃気楼 北の果から 落 花 先生と女と自分 〈巻末付録〉 文壇登場時代 わが生涯の中の空白
  • 素子の碁 サルスベリがとまらない
    4.0
    『ヒカルの碁』をきっかけに、四十歳を過ぎてから夫婦で始めた囲碁。子供の頃から親しんでいれば直感的に理解できただろう定石や用語に頭を悩ませつつ、上達していく喜びを綴るエッセイ。初心者にもよく分かる囲碁コラムも満載! 「祝 還暦! 夫婦対談」を巻末に付す。
  • 小説集 吉原の面影
    4.0
    「明治三十年代の吉原には江戸浄瑠璃に見るが如き叙事詩的の一面がなお実在していた」。消えゆく遊里の情緒を追い求めた永井荷風の名随筆「里の今昔」。荷風がその「最後の面影」を残すと評した樋口一葉「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」の四篇を収録。〈解説〉川本三郎
  • 神様
    4.0
    くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである――四季おりおりに現れる、不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥ マゴ文学賞、紫式部文学賞受賞短篇集。 〈目次〉 神様 夏休み 花野 河童玉 クリスマス 星の光は昔の光 春立つ 離さない 草上の昼食 あとがき
  • 周極星(上)
    完結
    4.0
    全2巻586~649円 (税込)
    世界中の野望、金、人を強烈な引力で引き寄せる巨大市場・中国。その磁場の中心に自ら飛び込んでいく若きファンドマネージャーと美貌の投資会社社長。桁外れのビジネスチャンスに懸ける二人の野心と燃えたぎる復讐心は強力な渦となり、邦銀支店長らを巻き込んで混迷する未来に突き進む。既に10年以上前に、中国経済に真っ向から取り組んだ著者渾身の経済小説。
  • わざと忌み家を建てて棲む
    4.0
    「幽霊屋敷って一軒だけで充分に怖いですよね。それが複数ある場合は、どうなんでしょう」 知り合いの編集者・三間坂が作家・三津田の元に持ち込んだのは、曰くある物件を継ぎ接ぎした最凶の忌み家、そしてそこに棲んだ者達の記録。誰が、何の目的でこの「烏合邸」を作ったのか? 怖すぎると話題になった三津田信三の「幽霊屋敷」怪談、再び! 〈解説〉松原タニシ
  • 夏の迷い子
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    あのテレビ番組にお祭りの屋台、ほしかった玩具、胸躍らせたプロ野球、町並み、音楽、車、バブル。そして友達、初恋の人……。二度目の東京オリンピックを迎える、60年生きてきた定年世代の男達にあの日々が帰ってくる!? 過去の出来事・思い出と現実が交錯する、全7編収録の心にじわっと染み入る小説集。登場人物の中に、きっとあなたもいるはずです。【収録作品】アイドルを探せ/バス運転士/バブルの頃/テレビ男/聖火/ステイン・アライブ/夏の迷い子
  • コミックス作家 川村リリカ
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    三十歳の美しいコミックス作家・川村リリカと、同い年の敏腕編集者・野崎百合子。「俺」「お前」と呼び合う可憐な二人が、喫茶店で、イタリアンで、カツカレーの店で、新作の打ち合わせをする。「それはそのままタイトルになるね」「なるね。メモしとこう」。物語はどのように生まれるのか。創作の秘密が垣間見える連作集。 〈挿画〉牛久保雅美 【目次】 きみはミステリーだよ いまのような密会の時間 荒野は誘惑する スクランブルド・エッグス二個をかきこむ 苦手なものはありますか 豆腐とケチャップで微笑する 梨を切ろうとしたとき オーガズムと自分の現在 裸でプッタネスカ 青い色にからめ捕られて フレンチフライドポテト 雨のコカコーラ
  • 建国神話の社会史 史実と虚偽の境界
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    天照大神の孫が高天原から降臨し、その孫である神武天皇がヤマトに東征、橿原宮で天皇の位に就く――『古事記』『日本書紀』に記されたこれらの神話が歴史的事実ではないことは、戦前の普通の々にとっても当たり前のことであった。史実ではないが、史実として扱い、そう振る舞っていたのである(こうした「建前と本音」的なものは、現代の私たちにも心当たりがある)。 神話の「史実」化には、天皇による統治を正当化するという明治政府の政治的目的があったのはもちろんだが、一方で民主化(神々の話合いは「万機公論」の根拠とされた)や経済振興の手段でもあったことは、今ではあまり知られていない。もっとも、「神話」を「史実」として受け止めることには、さまざまに無理も生じる。とくに教育現場における混乱は、いくつもの「笑えない」笑い話を残した。 本書は、幕末水戸学の尊王攘夷思想という建国神話重視の発端から、昭和天皇が「人間宣言」によって事実上、建国神話を否定するまで(そもそも、昭和天皇は科学者でもあった)、日本社会に起きた悲喜劇をエピソードたっぷりで描き出し、近代とは何か、歴史とは何か、国家とは何かを問い直す。 目次より 序 章 虚偽と史実の境界 第一章 神話が事実となるまで 一 日本の建国神話とは 二 なぜ「事実」になったのか? 三 教科書で「事実」とされたのはなぜか?   第二章 「事実」化の波紋 一 学校の外ではどうだったのか? 二 学校の中ではどうだったのか? 第三章 建国祭と万国博覧会 一 政治にどう利用されたか? 二 経済にどう利用されたか? 第四章 満州事変の影響は? 一 教室外でも始まる建国神話の「事実化」    二 建国神話教育への影響は? 第五章 日中戦争期の社会と建国神話 一 紀元二千六百年をめぐって    二 社会はどう受け止めたか? 第六章 太平洋戦争期とその後 一 国史教育のその後 二 効き目はあったか? 三 その後   終章 「建国神話の社会史」の旅を終えて
  • 富士日記を読む
    4.0
    『富士日記』はどのように読まれてきたか。小川洋子、平松洋子、苅部直、村松友視の書き下ろしエッセイと、書評で読み解くロングセラーの魅力。
  • 天使が見たもの 少年小景集
    4.0
    1巻946円 (税込)
    病死した母親の後を追う少年の姿を端正な文体で描いた表題作ほか、デビュー作「子供部屋」、教科書の定番作品「あこがれ」「自転車」など全十四編を収める。短篇小説の名手による〈少年〉を主題としたオリジナル・アンソロジー。 【目次】(*=高校国語教科書掲載作品) 子供部屋/幼年詩篇(I馬糞ひろい II父の考え IIIあこがれ*)/ 子供の墓*/自転車*/言葉*/天使が見たもの/海の子/家族の一員/ 三月の風*/みぞれふる空/水にうつる雲/あの夏あの海* 〈巻末エッセイ〉父の視線(沢木耕太郎)
  • 高座のホームズみたび 昭和稲荷町らくご探偵
    4.0
    真打ち昇進を目前に控えた二つ目・佃家花蔵が、高座で「犬の目」を口演中に、酔客に左眼を殴打され殴打され、廃業の危機に。佃家傳朝と梅蔵は長年の不仲を改め、弟弟子を援助することを誓うが、その直後、夜道で傳朝が命を狙われる。相次ぐ噺家受難の陰には思いもよらぬ真実が……。名探偵・八代目林家正蔵の推理がまたもや冴え渡る、痛快落語ミステリー第三弾! 文庫書き下ろし。
  • ダイエット物語……ただし猫
    4.0
    夫と愛猫が糖尿病予備軍? 何とかダイエットは成功するが、今度はまさかのリバウンド?? 「ダイエット物語……ただし猫」「ダイエット物語……こんどはヒト」に加え、自身の体験を書いた「大腸ポリープ物語」を収録。文庫化にあたり書き下ろした「リバウンド物語」、夫婦対談「素子さんの野望」をプラスした、新井素子ファン必読の一冊。
  • 夏なんてもういらない
    4.0
    1巻858円 (税込)
    「私はあなたが好きです」 日本語の例文みたいな告白だった。 彼に告白する言葉は、もっと別のものにするつもりだった。 十二年に一度の秘祭「潮祭」が開かれる夏。高校生の深冬は片想い相手の優弥とともに、彼の故郷・潮見島へ向かう。普通の大学生だと思っていた優弥は、皆から慕われる祭司という、深冬の知らない顔を持っていた。そして島には、絶対にかなわない恋敵がいた。恋に、将来に囚われる少女がとった、全てをぶち壊す選択とは? 夏が好きになれないあなたに捧ぐ〝反〟青春小説 『潮風エスケープ』を改題。
  • 言わなければよかったのに日記
    4.0
    小説『楢山節考』で異色の文壇デビューを果たした著者が、正宗白鳥、武田泰淳、井伏鱒二ら、畏敬する作家たちとの奇妙でおかしな交流を綴る抱腹絶倒の文壇登場日記。他に「思い出の記」「十五のポルカ」を収める。
  • 道具屋殺人事件 神田紅梅亭寄席物帳
    4.0
    自らの扇子を忘れた前座が、楽屋にあった扇子を借りて高座に上がり、『道具屋』を演じている最中、短刀に見立てた扇子の中から血まみれのナイフが現れた!? 表題作「道具屋殺人事件」をはじめ、「らくだのサゲ」「勘定板の亀吉」を収録。 真打ちを目指し、日々修業に励む二つ目の・寿笑亭福の助が、脳血栓で倒れ、千葉県房総で療養中の元師匠・山桜亭馬春の助言を得つつ怪事件に挑む! “落語ミステリー”の異才が放つ珠玉の三編。
  • 歴史を応用する力
    4.0
    中国歴史小説の第一人者が、光武帝と呉漢、項羽と劉邦、商の湯王と周の文王の生涯をたどりながら、ビジネスや人間関係における考え方のヒントを歴史からどう学ぶかを、具体的に平易な語り口で解説する。伊藤忠商事元会長、丹羽宇一郎氏との対談も収録。文庫オリジナル
  • 麻布襍記 附・自選荷風百句
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    永井荷風は大正九年五月、東京・麻布市兵衛町に居を移し、以来、洋館「偏奇館」に二十五年暮らした。本書は彼の地で執筆した短篇小説「雨瀟瀟」「雪解」、随筆「花火」「偏奇館漫録」「隠居のこごと」など全十四編を収める。抒情的散文の美しさを伝える作品集。「自選荷風百句」を併録する。〈巻末エッセイ〉須賀敦子
  • 青と白と
    4.0
    1巻726円 (税込)
    30代後半の悠は、アルバイトをしながら空き時間に原稿を書く駆け出しの作家。仙台を出て東京で一人暮らしを続けるが、ぎりぎりの 生活を送る。そんな悠の日常は、震災を境に激変した。非常時だとはしゃぐ同僚、思わぬ人からの気遣い、そして、故郷の家族の変化。 「私は、なぜこんなにもちっぽけなんだろう」 過去と未来を見つめた、悠の変化と決断は。
  • 特捜検事 新編集版
    4.0
    一般市民からの告訴や告発を受け付ける東京地検特捜部の直告係から、今日も立花検事に事件が回ってくる。小さな傷害や名誉毀損・詐欺・贈収賄・強制わいせつ事件として処理されるはずの案件が、なぜ殺人事件にまで変貌してしまうのか。立花検事の調書が今、紐解かれる! 直木賞作家が見つめた人生の黒い果実とは!? 昭和末期の名推理〈特捜検事〉シリーズから7編を再編集! 人生の真実に時代は関係ない。今野敏さんお勧め「さすが三好さん、熟練の筆の冴えだ。捜査小説ブームの今こそ、実直な立花検事の活躍を味わってほしい」。
  • 5分でとろける恋物語 しっとりビター編
    4.0
    1巻1,078円 (税込)
    今日、隣にいてくれるだけでいいから。 「死んでしまった実の姉に想いを寄せる男子に恋をする女子高生」「中学最後の夏休み、芸術家とのほろ苦い出会い」など、毎日の生活にぴりっとほろ苦い大人の恋の刺激、9篇。
  • 目まいのする散歩
    4.0
    近隣への散歩、ソ連での散歩……。歩を進めるうち、現在と過去がひびきあい、新たな記憶がよみがえる……。死を前にした清澄なひびきをもつ晩年の秀作。野間文芸賞受賞作。巻末に口述筆記の様子がうかがえる「丈夫な女房はありがたい」を収録する。
  • 富士
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    悠揚たる富士に見おろされる戦時下の精神病院を舞台に、人間の狂気と正常の謎にいどみ、深い人間哲学をくりひろげる武田文学の最高傑作。自作を語る「富士と日本人」、担当編集者・村松友視によるエッセイ「終章のあとのエピローグ」などを収めた増補新版。
  • 作家たちの愚かしくも愛すべき中国 なぜ、彼らは世界に発信するのか?
    4.0
    創作の自由を失い、流浪の旅をへて亡命した高行健は、中国語作家として初めてノーベル賞を受賞した。余華および閻連科は、その著作の過激さから発禁処分を受けるも、内外でノーベル賞の有力候補と言われている。本書は、三人の作家たちの講演、日本の著名作家との対談、オリジナル・インタビューをとおして、世界的に高く評価されている中国文学の魅力と、中国の激動の現代史をリアルに伝える。高行健×大江健三郎、ノーベル賞作家対談を収録。
  • スマイリング! 岩熊自転車 関口俊太
    4.0
    1~2巻726~748円 (税込)
    函館市内の中学校に通う関口俊太は、ロードバイクにあこがれていた。だが、父は失踪。母は水商売で、お金も愛情にも恵まれず、一人、ママチャリでトレーニングする毎日だった……。そんな俊太を回りは憐れみ、あるいはからかう。だが、ある日、岩熊自転車という自転車屋の店長との出会いが、俊太を変えることに! 『超高速!参勤交代』の著者による助け合うことの大切さと、最後まで諦めないことの意味を教えてくれる成長物語。
  • 棟居刑事の黙示録
    4.0
    中学生の重光ゆかりは、元暴力団組長の九鬼直正からアドバイスを受け、いじめっ子らに立ち向かう。数日後、そのうちの一人が丹沢山中で死体となって見つかった。いじめの報復を疑われたゆかりのため、九鬼は真犯人を探す。一方、政財界の黒幕が殺された事件の真相を追う棟居刑事。二つの事件は、次第にひとつに繋がって――。棟居刑事シリーズ傑作ミステリー。
  • 五十坂家の百年
    4.0
    その朝、双子の老姉妹が手に手をとり、崖から飛んだ。疎遠だった子らが葬儀に集い、やがて武家屋敷の床下に隠された四体の遺骨を見つけ出す。これは誰? いつからここに? 金貸し一族の淫靡で切ない歴史と、“乙女”のゆがんだ欲望を描き出した、背徳のミステリー。〈解説〉大矢博子
  • 告白
    4.0
    1巻1,257円 (税込)
    人はなぜ人を殺すのか――。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 無の夜
    4.0
    閑古鳥が鳴く新宿のバー兼探偵事務所「あなたのシュガー」。だが、謎の美女が訪れた夜から、龍二と秀之進は政界の怪物に接近することに。その男はカリスマ性と“あるもの”によって日本を覆さんとしていた――。元刑事の探偵コンビ「ダブルシュガー」シリーズ完結篇。
  • 怒り (上)
    4.0
    若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏――。千葉の港町で働く槙洋平・愛子親子、東京の大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。
  • 隼別王子の叛乱
    4.0
    ヤマトの大王の想われびと、女鳥姫と恋におちた隼別王子は大王の宮殿を襲う。愛と権力を賭けた血なまぐさい叛乱の夢は、大王の前にあっけなく破れ、隼別は女鳥姫とともに誅殺される。かつて宝塚でも上演され、劇画化もされた、「古事記」の中の濃密な物語。
  • わたしが殺した男
    4.0
    中年探偵・秀之進から「相棒になろうぜ」と勧誘されて埼玉県警を辞め、新宿のバー兼探偵事務所で働き始めた龍二は、警視庁キャリアが持ち込んだ依頼から、殺しを愉しむ「悪魔」にかかわることに――。探偵事務所「ダブルシュガー」最初の事件!
  • 刑事たちの夏(上)
    4.0
    大蔵省のキャリア官僚が墜落死した。自殺か、他殺か――。「特命」で捜査に加わる捜査一課強行犯六係主任・松浦洋右警部補は、他殺の証拠を手にする。しかし、キャリア同士で大蔵省と取引した上層部により自殺と断定され、捜査は中止に。自らの属する組織と対峙し私的な捜査を続ける松浦は、政官財癒着を象徴する巨大な陰謀にたどり着くが……。 単行本刊行時に各紙誌で絶賛されベストセラーとなり、現在のブームの先駆となった〈レジェンド・オブ・警察小説〉が、待望の電子書籍化! 359ページ
  • 恋シタイヨウ系
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    私たちの住む太陽系と似ているけれど、ちょっと違う「タイヨウ系」では、惑星間をさまざまな宇宙船が飛び交っている。人類は地球から他の星々へ自由に移住し、小さな町を作ったり、地元の住人と交流したり――。月、水星、金星、火星、太陽、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。十の星で生きる人びとのさまざまな恋愛模様を、小説と短歌でファンタジックに綴る。ポップで、あたたかな、雪舟えまワールドへようこそ! 穂村弘氏、タカノ綾氏推薦。 目次 月 ナチュラルシティー 水星 あたらしい先生 金星 流星と見まごう船で 火星・太陽 僕らは愛の気流のなか 木星 おやすみ猫たち 土星 友好銀河にあこがれて 天王星 あなたが見えます 海王星 生まれ変わる僕ら 冥王星 王妃の愛  (全9話) 247ページ
  • 向かい風で飛べ!
    4.0
    1巻748円 (税込)
    巨大なジャンプ台を軽々と踏み切り、飛んでいく一人の少女。沢北小学校の転校生として寂しい日々を送っていたさつきは、同じクラスの天才スキージャンパー・理子の姿に目を奪われる。「一緒にジャンプやらない?」その笑顔に導かれ、さつきの青空への挑戦が始まった! 向かい風は大きく飛ぶためのチャンス。この言葉を支えに奮闘する少女達の、笑顔と友情と涙がつまった青春小説。
  • 北の街物語
    4.0
    彫刻家の自宅から“妖精”が消えた。同じ頃、荒川河川敷で絞殺死体が見つかる。一見、何の繋がりもない二つの事件に、四桁の数字という共通点を見つける浅見光彦。ここから一気に事件は解決へ向かうと思われたのだが、ミステリアスな人間模様が明るみに出るなど事態はさらに錯綜する――。地元・東京都北区で起こった事件に、名探偵が挑む!
  • 蓮の数式
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    35歳のそろばん塾講師・千穂は不妊治療を始めて10年。夫と義母からの度重なる嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫の運転する車がひとりの男と接触してしまう。「金で解決しろ」と事故の処理を押し付けられた千穂は、男の不可解な行動を見て算数障害なのではないかと気づく。男の苦悩を理解し手をさしのべようとする千穂だったが、その行動を訝しみ嫉妬する夫は、異常な行動に出て千穂を追い詰める。これまで抑えてきた感情を一気に爆発させた千穂は、ある事件を引き起こしてしまうのだった――。愛を知らない男と愛を忘れてしまった女の逃避行がはじまる! 文芸評論家たちから絶賛の気鋭が放つ最新長篇。
  • 鹿鳴館のドラクラ
    4.0
    1巻2,035円 (税込)
    甘く、危うい魔界の匂い――。時は明治、寧子と時子の姉妹は、鹿鳴館で記憶を無くした紳士と出会う。彼の名はドラクラ。その妖しい美しさに、彼女らは惹かれていくが……。近代日本と中世欧州を繋ぐ、愛と死の物語。
  • 母の遺産 新聞小説(上)
    4.0
    1~2巻770円 (税込)
    八十歳を過ぎた母が骨折をして病院に運び込まれたその日、美津紀は夫・哲夫の引き出しから花柄のティッシュ入れを見つける。施設に入った母に時間を奪われ続け、美津紀は思う。「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」親の介護、夫の浮気、忍び寄る更年期、老後資金の計算……実体験を交えて赤裸々に描き大きな話題を呼んだ、大佛次郎賞受賞作。
  • 清とこの夜
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    「大将、このお店、潰さないでよ」古びた居酒屋の無骨な店主・清を前に、常連客は今宵も上機嫌。定年退職を目前に妻の愛を確かめたくなった男、息子に捨てられたと嘆くシングルマザー、年の離れた妻が自慢の男と内心で夫に毒づく妻――それぞれの抱える願望や屈託が、酔うほどに顔をのぞかせて……。このカウンターで盃を傾ければ、人生の滑稽さがにじみ出る。哀切と笑いの酒場小説。
  • ノンフィクションはこれを読め! 2014 - HONZが選んだ100冊
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    ノンフィクション書評集として異例の好評を得た2012年刊行の第一弾『ノンフィクションはこれを読め!――HONZが選んだ150冊』。続く第二弾『ノンフィクションはこれを読め!2013――HONZが選んだ110冊』も忽ち重版。一書評サイトから、確実な影響力を持つサイトへと進化したHONZが贈る第三弾、2014年版となる本書では、「年間ベスト10座談会」を巻頭に据え、レビューとインタビューなどの企画ページと組み合わせることで、より深く楽しめる構成となっている。  紹介される本も、2013年下半期~2014年上半期を濃縮した作品ばかり。STAP細胞で話題となった論文捏造の構造を暴く『背信の科学者たち』は、HONZで紹介されたことで復刊された傑作。「足利事件」の真犯人を追った『殺人犯はそこにいる』、東日本大震災時の宮城県石巻市の日本製紙石巻工場を克明に描いた『紙つなげ!』、マイルドヤンキー像を解析した『ヤンキー経済』など、全100冊に、レビュアーの舌鋒が冴え渡る。 『仕事に効く教養としての「世界史」』の出口治明氏と、HONZレビュアーであるタレント麻木久仁子氏の対談、深海探査で世界をリードする独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)見学記など、読み物企画も充実。歴史からアート、サイエンス、雑学まで、本好き中の本好きたちが書き倒した渾身の一冊。いま読まねばならない本がきっとある!
  • 共鳴
    4.0
    大学にも行かず、家に引きこもっている孫・将を強引に自宅へ連れてきた、元刑事の麻生。持ちこまれる近所の事件を調べるため、将を「相棒」に任命した麻生だったが、前途は多難で――。警察小説の旗手が贈る、あたらしい「家族」小説。
  • ヘルたん ヘルパー探偵誕生
    4.0
    両親の破産で一家離散となった淳は、浅草の元名探偵・成瀬老人宅の居候となる。そこへ偶然ヘルパーとして現れたのが、かつて淡い恋心を抱いていたヤンキーの先輩・中本葉月。淳は葉月のすすめでヘルパーを目指しつつ、成瀬氏の探偵助手も務めることになる。老人介護と本格推理が見事に融合した浅草人情ミステリー開幕!

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  • 君を憶えてる
    4.0
    1巻2,035円 (税込)
    小学校6年生の夏休み。僕たち5人は、湖での肝試しで、ある不思議な「光」を見た。それがすべての始まりだった--。5年後、高校2年生の夏休み。僕(ヒロ)は、一人で映画を見に行った街中で、奇妙な体験に襲われる。仲間のトシと、引きこもっているはずのミチオ、そして名前も知らない「もう一人」が急に目の前に現れたのだ。彼らは僕のことを「ハカセ」と呼び……そこで幻視はパチンととぎれ、気がつくと、さっきの雑踏の中に一人で立っていた。この「ジャメ・ビュ(未視感)」が序章となり、周りの仲間たちにも不思議なことが起こり出す。あの夜、「光」を見たのは、5人ではなく、6人だったのではないか? そう思い出した僕は、友だちから彼女になったハム子や、ミチオに話を聞いてみる。すると、二人は、「光」を見た夜に、それぞれ、秘密を持っていることがわかった。その後、大けがをしたトシの見舞いに行った病院で、僕はサラと再会し、すべての奇妙な現象の原因が彼女にあると確信する……。松本清張賞作家が、思い入れのある土地、津久井湖・橋本を舞台に、新機軸に挑んだ「SF青春小説」!

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  • 馬込文学地図
    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    若き日の宇野千代・尾崎士郎をはじめ、川端康成、萩原朔太郎、室生犀星ら数多くの作家たちが居を構え、夜を徹してのダンスに麻雀、酒と恋の青春を謳歌し、そこから次々に名作を生み出した佳き時代の馬込桃源郷の全容。膨大な資料と証言で綴った大正・昭和初期文壇側面史。

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  • ハチ公の最後の恋人
    4.0
    霊能者の祖母が遺した予言通りに、インドから来た青年「ハチ」と巡り会った私は、彼の「最後の恋人」になった……。運命に導かれて出会い、別れの予感のなかで過ごす二人だけの時間――約束された至高の恋。求め合う魂の邂逅を描く奇跡の物語。[写真・若木信吾]

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  • エチュード 警視庁捜査一課・碓氷弘一4
    4.0
    渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。警察小説の第一人者が贈る「碓氷弘一シリーズ」第四弾。〈解説〉関口苑生

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  • 江戸の紀行文 泰平の世の旅人たち
    4.0
    徳川の世は泰平。人びとはどこへでも旅ができる喜びを実感する。旅といえば辛く悲しいという中世以来の意識は劇的に変化し、「楽しい」「面白い」が紀行文の一つの型となり、さらに「いかに実用的か」が求められるようになる。辺境への関心も芽生え、情報量も豊富になっていく。好奇心いっぱいの殿様の旅、国学者のお花見、巡検使同行の蝦夷見聞などを通して、本書は江戸の紀行文の全体像を浮かび上がらせるものである。
  • ローマ喜劇 知られざる笑いの源泉
    4.0
    1巻1,034円 (税込)
    古代ローマの喜劇作家、プラウトゥスとテレンティウスの作品は日本ではあまり知られていない。しかし「市井の人々の物語で客を笑わせ、かつ感動させる」という、喜劇作家にとっての永遠の課題はローマ喜劇にその源泉が見出され、演劇史上、極めて重要である。本書は現代との関わりを探りつつ主要作品を解説し、その笑いの技法の数々を見る。さらに、ローマ喜劇の歴史に見られる日本近現代の演劇史との並行性を指摘する。
  • 平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い
    4.0
    『平家物語』を楽しむには、まず単純明快に全体像を掴み、あらすじを把握することが必要だ。物語の成立と受容の過程を理解するには、江戸文学や歌舞伎に与えた影響を見ていくことが有効だ。さらに歴史的事実との関係を見れば、なぜ平家は滅びなければならなかったかという大きな問いに、この物語がどのような答えを用意したかも見えてくる。今を生きる私たちに限りない力を与える古典文学の扉を、さあ開けよう。
  • ニューヨークを読む 作家たちと歩く歴史と文化
    4.0
    資本主義の首都ニューヨークには、最先端の現象が露出しつづけてきた。その素顔を捉えることは容易ではないが、この都市を舞台とする文学作品は格好の導き手となってくれるだろう。メルヴィル、ホイットマン、フィッツジェラルド、サリンジャー、オースター……。こうした作家たちは、この都市の魅力と魔力を鋭い感受性で捉え、鮮やかなことばで表現した。ダイナミズムをたたえ混沌としたニューヨークの過去と現在を歩き直す。
  • ノンフィクションはこれを読め! 2013 - HONZが選んだ110冊
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    書評サイトHONZのレビュー集第二弾。『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』『ランドセル俳人の五・七・五』ほかのお薦めレビュー、岡田斗司夫ロングインタビューなどを収録。

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  • 太平記 鎮魂と救済の史書
    4.0
    足利尊氏や新田義貞、楠木正成ら名だたる部将が活躍する『太平記』。しかしこの名高い戦記物がめざしたのは、英雄譚と言うよりも、南北朝動乱を生きた、名もなき人々への鎮魂と救済ではなかったか。怨霊の跋扈する、不条理にも見える物語世界が内包する『太平記』の精神とは。また、登場人物たちの体現する儒教的道義論や因果応報論が担ったものとは何なのか。単なる戦記物の枠を超えた『太平記』の世界への招待。
  • かたちだけの愛
    4.0
    事故による大怪我で片足を失った女優と、その義足を作ることになったデザイナー。しだいに心を通わせていく二人の前に立ちはだかる絶望、誤解、嫉妬……。愛に傷ついた彼らが見つけた愛のかたちとは? 「分人」という概念で「愛」をとらえ直した、平野文学の結晶!

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  • ニセ札つかいの手記 - 武田泰淳異色短篇集
    4.0
    一日おきに三枚ずつ渡されるニセ札をつかうことで「源さん」との関係を保とうとする私。しかし、その「ニセ札」が「ニセ」でなかったとしたら……。ニセ物と本物の転換を鮮やかに描く表題作ほか、視覚というテーマをめぐる不気味な幻想譚「めがね」など、戦後文学の旗手、再発見につながる七作を収める。

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  • 淫女と豪傑 - 武田泰淳中国小説集
    4.0
    「私がたまたま作家にならざるを得なかったのは、中国でのぬきがたき因縁による」。累々たる死屍の上に君臨する女帝、廬州の秋に散った日本人看護婦、戦時に横行するきなくさい軍人たち……。古代から現代までさまざまな時代の淫女豪傑の物語を、広大な風景を背景に描いた中国小説九篇を収める。

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  • 光の楽園1 光道僧リュートガルト
    4.0
    不祥事を起こし辺境の寺院へ送られたリュートガルトが畑で男の死体を発見。「地霊の輪」の呪いだと村人が脅える中、新任の郡長官に見込まれてしまったリュートは、事件の謎を探る羽目に……。

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  • 静子の日常
    4.0
    おばあちゃんは、あなどれない――果敢、痛快、エレガント。75歳の行動力に孫娘も舌を巻く! 味わい深くユーモラスに、年齢を重ねてこそのしなやかな境地を描く。チャーミングで心ほぐれる家族小説。

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  • ミステリー通り商店街
    4.0
    人気作家・三井が忽然と消えた。ネット上には彼の作品を批判するブログが。行方を探す元担当編集・鳥越は、ブログを書いた人物が住む地方の寂れた商店街へ。ところが着くなり老婆が「事件だね?」と尋ねてきた。さらに三井失踪について次々と独自の推理を披露する店主たち。果たして迷探偵たちの狙いは? 商店街を挙げての推理合戦がはじまった!

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  • ことば汁
    4.0
    モノクロームの日常から、あやしく甘い耽溺の森へ。恋多き詩人に三十年以上仕えてきた女、孤独なカーテン職人が依頼をうけた屋敷の不気味なパーティー、魅入られた者たちがケモノになる瞬間……短篇の名手が誘う六つの幻想譚。

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  • 昭和文芸史
    4.0
    大正五年の創刊以来、世に女性の多様な生き方を提示してきた『婦人公論』。同時に、その文芸欄は人気作家の競演の場となり、数々の代表作が生み出された。激動の時代をくぐり抜けた誌面から、二三人の作家と作品を通して、昭和文芸の豊穣を味わう。『「婦人公論」にみる昭和文芸史』を改題。

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  • 星の王子さまのプレゼント
    4.0
    物語にちりばめられたメタファーやシンボル、アレゴリーに注意して読みとくことで、『星の王子さま』の本当の深遠さにたどり着くことができる。物語を通して、王子さまから読者へ贈られたプレゼントとは……? 著者自身による新訳を掲げながら、王子さまのメッセージを伝える。

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  • 沈黙する証人 負け弁・深町代言
    4.0
    深町が勤める負け組法律事務所に、ひき逃げ事件の容疑者が飛び込んできた。泥酔していたため記憶はないが、自分は運転しておらず無実だと訴える。相手は敏腕で知られる滝川検事。どう見ても勝ち目のない戦いなのに、松月所長は弁護を引き受ける。人の良さに呆れる深町だったが、松月の信念は事件の意外な真相を照らし出す……。書き下ろしシリーズ、第2弾。

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  • 十津川警部「射殺」
    4.0
    釣りを楽しんでいる亀井が拾ったビンの中に、「助けて」と七年前にナオミという人物が書いたと思われる紙が入っていた。時を同じくして女性の白骨死体が発見されると、「ナオミのために」というメッセージが現場に残された連続殺人事件が起こる。白骨死体はナオミなのか? 十津川警部は遺族による復讐殺人とにらむが、事件は意外な方向に……。

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  • ボーダー 負け弁・深町代言
    4.0
    テレビでも人気の若手弁護士・深町代言は、ある事件をきっかけに東京を去る。流れ着いた伊勢で所属したのは、志は高いが裁判で勝てない“負け弁”が集まる貧乏法律事務所。刑事事件への情熱を失った深町だが、ニート強殺事件の被告人の無罪を信じる同僚・実花の窮地に再び立ち上がる。

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  • 青春の十字架
    4.0
    警視庁警護課のSP・寒川は、捜査一課・棟居刑事の大学山岳部時代の盟友。その寒川の妹・加菜が、奥飛騨山中で遺体となって発見された。フリー記者だった加菜は何を追っていたのか。独自に調べを進める寒川は、事件の背後に、自分の警護対象者である国土交通省大臣の存在を知る。

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  • 守神の山 万波霊障事件日誌
    4.0
    山神の怒りに触れ、危機に瀕する隠神市。高校生の千尋と旧家の長男・櫂は、それぞれの「決断」を迫られる。彼らをサポートするのは「万波霊障株式会社」。彼らの持つ「能力」とは?

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  • 図鑑少年
    4.0
    都会に暮らす「わたし」が遭遇する小さな事件や出来事。それらは本当に起きたのか、それとも「わたし」の妄想なのか。胸に迫る人やもの、音や情景を辿って、現実と非現実のはざまをたゆたう24篇。新しい都市奇譚として話題を集めた作品集の待望の文庫化。

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  • 少将滋幹の母
    4.0
    左大臣時平のおもわれ人となった北の方は年老いた夫や幼い子と引き離され、宮中奥深くに囲われてしまう。母を恋い慕う幼い滋幹は母の情人がしたためた恋文を自らの腕にかくし、母の元に通う。平安文学に材をとった谷崎文学の代表作。

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  • 薔薇の殺人
    4.0
    それは不思議な「誘拐事件」だった。女子高生・浜岡文絵が自室から音もなく姿を消し、翌日届いた一通の脅迫状以外、犯人からの連絡は一切ないのだ。そして七日後、文絵の亡骸が山林で発見された……。宝塚歌劇団出身の清純派女優と大物男優が実の親と知らずに育った文絵の身に、何が起きたのか? 宝塚へ向かった浅見光彦が見た最も悲しく美しいフィナーレとは!

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  • 霧の聖マリ ある生涯の七つの場所1
    4.0
    1巻662円 (税込)
    幼い心に異性への淡い憧れを芽生えさせて逝った美しい女性、異郷で謎の死を遂げる老亡命者――。独立した挿話はいつしか絡みあい、一枚のタピスリを織りあげてゆく。昭和初期から一九七〇年代まで、世界各地を舞台に展開する野心的連作第一集。

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  • 特急ひだ3号殺人事件
    4.0
    警視庁捜査一課の北条早苗が旅先の「ひだ3号」の車内で毒殺事件に遭遇。岐阜県警は容疑者を逮捕するが、早苗には、彼女の犯行とはとても思えないのだった。だが、彼女は拘留中、犯行を否認したまま自殺! 解決したように思われた事件だが、釈然としない早苗は……。表題作ほか、人気絶頂の名コンビ十津川と亀井の傑作トラベル・ミステリー集

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  • 棟居刑事の追跡
    4.0
    望遠鏡で近隣を覗き見するのが趣味の老女、田島あぐ。ある夜、あぐは一人の女性が男と揉み合う光景を目撃する。翌日その女性の墜死体が発見され……。棟居刑事の推理が冴える傑作ミステリー。

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  • 赤頭巾ちゃん気をつけて 改版
    4.0
    1巻607円 (税込)
    柔軟な少年の語り口を通じて描かれた、さまよえる若い魂の行方。機知とユーモアにあふれた青春文学の永遠の名作。「四半世紀たってのあとがき」を付す。

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  • 殺意を飼う女
    4.0
    欲望と孤独に縁取られた都市に暮らす女たちが、ふとしたきっかけから、殺人事件を招き寄せる。殺意に翻弄される女性心理の内奥にせまる、六篇の傑作短篇推理。

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  • 砂漠の喫茶店
    4.0
    雑木林の中で若い女の変死体が発見された。自殺と他殺両面の捜査が始まるが、定年間近の老刑事・帯広はその女に見覚えが。棟居刑事との懸命な捜査の結果、別の女性失踪事件が浮かび上がる……。

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  • 雨の匂い
    4.0
    癌で入院中の父親と寝たきりの祖父、二人の介護とアルバイトで日々をすごす大学生の柊一。塗装工だった祖父の代理で、ある家の塀塗りを引き受けるが、同じ頃、謎めいた少女・李沙と出会って関係を深めていく。やがて町内で放火事件が発生し……。降りしきる雨の中で育まれていくのは愛か、殺意か。著者真骨頂の切ないミステリー。

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  • 暗い落日
    4.0
    私立探偵の真木は、実業家・磯村の依頼を受けて、十九歳の劇団研究生・乃里子の行方を捜し始めた。調査が進むに従って、バーの女、ボーイフレンドの父と関係者が相次いで殺され、一族の暗く重い過去が真木の前に現れる。

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  • ホラーセレクション モンスターズ1970
    4.0
    ホラーの館へようこそ。ここには70年代で時を止めた4つの部屋を用意いたしました。懐かしきモンスターたちとの再会を心ゆくまでお楽しみください。収録作品:井上雅彦「デモン・ウォーズ」、田中啓文「糞臭の村」、友成純一「魔物の沼」、菊地秀行「甘い告白」

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  • ゴメスの名はゴメス
    4.0
    失踪した会社の同僚・香取の行方を探すために坂本は内戦下のサイゴンに赴任したが、到着早々不可解な出来事が続き、ついに坂本を尾行していた男が「ゴメスの名は…」という言葉を残して殺された。香取の安否は、そしてゴメスとは何者なのか……。緊迫した政治情勢下の南ベトナムを舞台に展開される熾烈なスパイ戦を通じて“不安な現代”を浮彫りにした迫真のサスペンス。日本のスパイ小説の金字塔。

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  • アマゾニア
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    16世紀、太古からの伝説が未だ息づくアマゾン河流域――女人族の〈泉の部族〉は精霊の庇護の下、豊かに暮らしていた。大弓部隊隊長・赤弓は、家族を殺された怨みから宿敵〈オンサの部族〉を倒し、一族に平和をもたらす。その直後、大河を下り、飢えたスペイン人たちが現れた。赤弓は一行を撃退するが、傷を負って取り残された黒髭の男を見た 守護精霊〈森の娘〉は、なぜか掟を破り、彼を部族に迎え入れるよう命じる……。濃密な生命と精霊に満ちた密林に展開する魂の喪失と再生の物語。

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  • そこに薔薇があった
    4.0
    ある春の日、離婚して自由になった正幸の前に、二人の魅力的な女性が現れた。彼女たちの出現で、どこかはしゃいでいる彼に、叔母は「女性がその気になったら、あんたなんか、イチコロなんだから」と語る。それは何かの暗示だったのか。直後、正幸は謎の死を遂げてしまう。それは連綿と続く、残酷で甘美な殺人事件の始まりだった。

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  • あたしのこと憶えてる?
    4.0
    壊れかけた家庭のために毎週一本バラを買う私に、花屋のあるおは同じ話ばかりする。繰り返しに苛立ち、私は彼と抱き合ってしまう。その瞬間は確かなのに、翌日になると、あるおは私を覚えていない……ものを覚えられない青年への愛を描く表題作ほか、男女の性と対話を見つめた九篇。

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  • 新装版 ジウI 警視庁特殊犯捜査係
    3.9
    1~4巻770~836円 (税込)
    都内の住宅地で人質籠城事件が発生。所轄署や捜査一課をはじめ、門倉美咲、伊崎基子両巡査が所属する警視庁捜査一課特殊犯捜査係も出動した。人質解放への進展がない中、美咲は差し入れ役として、犯人と人質のもとへ向かうが……!? 籠城事件と未解決児童誘拐事件を結ぶ謎の少年、その背後に蠢く巨大な闇とは? 〈ジウ〉サーガ、ここに開幕!!

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