Posted by ブクログ
2017年02月27日
勇気ある一般市民の協力によって逮捕されたかにみえた通り魔殺人の犯人。
現行犯逮捕という現実の前に、消えた協力者へ注意を払う人間はほとんどいなかった。
しかし、犯人として逮捕された男は拘束直後から「自分はやっていない」と否定をし続ける。
相棒として心理捜査官・紗英とともに捜査を続ける碓氷に、紗英は意外...続きを読むな事件の真相を告げる・・・。
人物の記号化という考え方がとても面白かった。
人は興味があるものは記憶に残りやすく、逆に自分にとって関心のないものは記憶に残りにくい。
より強烈な印象を残すものは、他のものよりも強く記憶されやすい傾向がある。
後半、「強固な象徴性」という言葉が出た時点で、犯人の次の手口がわかってしまったのは残念だった。
捜査方針を決定しなければならない場面だっただけに、必要な不可欠な展開だったとはわかるのだけれど・・・。
事件は人が集まる駅前広場で起きている。
犯人が下見をした可能性が指摘されてから、周辺の防犯カメラがチェックされる。
事件当日の防犯カメラに犯行の様子は映っていなかったのか。
用意周到な犯人のことだから、カメラの死角を狙っての犯行だったのかもしれないが。
しかし、群集がパニックになっている中でひとりだけ違う行動をしている者がいたら目立つと思うのだけれど。
プロファイリングの正確さについても、あまりにも100%の的中率だったことがかえって「えっ?」と感じてしまった。
それでもやっぱり今野さんの作品は面白い。
見かけるとつい手に取ってしまう魅力がある作家だと思う。