作品一覧

  • 間取りと妄想
    4.5
    1巻770円 (税込)
    同棲中であるミワの家は、玄関のドアを開けると二つのドアが現れる。彼は帰宅すると、ミワのいるリビングに通じるドアではなく、先にもう一方のドアを開くという……(「どちらのドアが先?」)。三橋葉子は、母の死を機に、叔父が暮らしていた家に移り住んだ。葉子はその家に住むにあたり、窓がなくドアも見つけにくい小部屋をつくった……(「仕込み部屋」)。単行本時、話題沸騰した唯一無二の間取り小説、待望の文庫化。(解説・春日武彦)
  • 出来事と写真 増補版
    -
    写真家は東日本大震災とどう向き合ったのか。 本書は2016年1月に赤々舎より単行本として刊行された書籍を文庫化するもの。元本は東日本大震災から4年にわたり、写真家 畠山直哉と文筆家 大竹昭子が重ねた対話を集めたもの。未曾有の災害で母を失い、無力感に苛まれながら、震災で跡形もなく失われた故郷陸前高田の姿に写真家はどのように向き合い、時の変化とともに、未来にどのような希望を見出したのか。 今回は、「出来事」を契機に始まった、畠山・大竹の対話をまとめた赤々舎版に、写真集『津波の木』の刊行を受けて行われた新たな対話を加えて、文庫版の増補版として刊行します。当初の心づもりとは裏腹に、時を経ても、出来事を冷静に受けとめきれない写真家畠山直哉は、さらなる世界の混沌に直面しながらも誠実に世界と向き合い、アーティストとしてなにが出来るのか、アートの果たすべき役割についてみずからに問い続けます。 文庫版の「おわりに」には、2012年水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催された「3・11とアーティスト 進行形の記録」展の図録に収載された、アートの社会的役割に関して考えを巡らした、畠山直哉氏の「震災とアート」に関する文章を再録いたします。
  • いつもだれかが見ている
    5.0
    1巻1,870円 (税込)
    《世界のどこかで密やかに、出逢いとドラマが、生まれている》 14人の写真から広がる、せつなく、謎めいた14の小説。 国籍も性別も様々な写真の中の14人は、どんな物語を秘めているのか? レンズ越しに見つめているのはだれか? 見ること、ふれること、出会うことの現在を、鋭く映し出す小説集。 奇妙で、せつない、人間たちの営みを写しとる、小説×写真の競演。 -------------------------------------- 【目次】 ■オニグルミのような ■幸運ケーキ ■失踪 ■上塗り ■ピアノレッスン ■橋の上の男 ■どこかで見かけたあの人 ■まぶたの裏側 ■右半分 ■似ているかしら? ■やってきた写真 ■中毒 ■生きなかったもう一つの人生 ■ポーズする彼女 ■あとがき --------------------------------------
  • バリの魂、バリの夢
    3.0
    1巻733円 (税込)
    バリが失ったもの、守り続けているもの。この島は、何故かくも旅人のこころをからめとるのか!? 究極のバリ島読本。バリの迷宮をさまよう――目も醒めるような青い水田、耳に優しいガムランの音。小さな遺跡を訪ね、ウブドのアートや市場の喧騒に酔いしれる日々。バリは、何故かくも旅人の心をからめとるのか? 暮らし、食べ物、祭り、舞踊、言葉、暦……。バリ島の魅力に深くふれた名著『バリ島 不思議の王国を行く』に書き下ろしを加えた、究極のバリ島読本。
  • 須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京
    5.0
    1巻1,119円 (税込)
    須賀敦子没後二〇年。異色の評伝 旅するように生きた須賀敦子。生前から親交のあった著者が、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、東京と足跡をたどり、波乱の一生を描く
  • 随時見学可
    -
    1巻1,870円 (税込)
    「まもなくしてY字路に出た。いま来た道と分かれて住宅街に入っていく道が先に延びていて、二股のあいだには切り分けたケーキのような形のマンションが建っていた。オリーブグリーンというちょっと変わった色で、〈入居者募集 随時見学可〉という看板が掛かっている。築30年はたっていそうなほど古いのに、外しそこなったのだろうか、それとも下ろす間もないくらい出入りが激しいのだろうか」表題作のほか、「本棚の奥の放浪者」「ハウスシッター」「水のゆくえ」「タイ式マッサージ」「狐塚公園」「ミステリー・ファン」「キリ番ゲット」「木造モルタル」「ごみ入れや浴室マット」を収録。『図鑑少年』刊行から10年、待望の著者2作目の小説集である。街やインテリアのたしかなディテールに支えられつつ、一人称単数を削ぎ落とした文体から、変容する都市風景と人間関係、溶けていく「わたし」の身体感覚、日常のなかの「エピファニー」があざやかに描き出された全10篇。

    試し読み

    フォロー
  • 図鑑少年
    4.0
    1巻838円 (税込)
    都会に暮らす「わたし」が遭遇する小さな事件や出来事。それらは本当に起きたのか、それとも「わたし」の妄想なのか。胸に迫る人やもの、音や情景を辿って、現実と非現実のはざまをたゆたう24篇。新しい都市奇譚として話題を集めた作品集の待望の文庫化。

ユーザーレビュー

  • 間取りと妄想

    Posted by ブクログ

    某間取りミステリが気に入りなので、タイトルに引かれて手に取った。ら、思っていた以上に面白くて楽しかった。一風変わった住人が住むのに相応しい一風変わった家を描いた『隣人』『仕込み部屋』がお気に入りで、はっきりとした欲望で作られた家の話である『カウンターは偉大』『浴室と柿の木』に苦笑しつつも上手いなぁと感心もした。思いの外ちゃんと綺麗なハッピーエンドに着地した『ふたごの家』もすごく良かった。

    0
    2025年08月31日
  • 須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京

    Posted by ブクログ

    現実を生きながら美しいものに至りたい

    そんな須賀敦子の足跡を辿る本。
    なんていうか…私にはパーフェクト。
    素晴らしかった!

    悩みながら歩んでいく過程を一緒に辿っているような気分になりました。

    最後に須賀さんの年表をみて、私のこの先にも まだまだ できる、と思った。

    0
    2022年12月29日
  • いつもだれかが見ている

    Posted by ブクログ

     写真家クミ・ヒロイ&アケネ・ヒーマンの写真に、二人から指名された作家の大竹昭子が文章をつけ、2021年に資生堂ギャラリーで展示が開かれた。そのスタイルで更に作られた計14作の写真+文。
     アートとして自立している写真に、その直訳でも意訳でもない、飛躍のような秘薬のような、しかし訳とも言い切れない、けれど「分かる~」となる文が、付いているというより共存している。巴のごとく分かち難い写真と文は、やがてコーヒーに混じるクリームのように、クリームに混じるコーヒーのように、一体となって静かにそこに温かいままいてくれる。

    0
    2022年07月19日
  • 図鑑少年

    Posted by ブクログ

    出先で読むものがなくなって衝動買い。ぱらっとめくってみてなんか共鳴したというか… で、読んだらすごく良かった。少し不思議だけど幻想的すぎない、都市の短編集。それぞれの話がみじかいのも好みだし、それがちょうどの長さに思える。そうか、これって写真なんだ…。流れていく日常の一瞬を切り取って固定する。所々にデジャヴな感覚。幻想と現実のバランスが絶妙。
    堀江敏幸さんの解説も素敵。

    0
    2010年12月11日
  • 間取りと妄想

    Posted by ブクログ

    描かれた13軒の間取りの家で生活している人たちの日常
    大きな事件も何も起こらないしオチもない
    ただ間取りを見ながら読み進めるだけなので間取り好きの人には無限の楽しみ方ができる
    子供のころから間取りで遊んでいた私の妄想遊びを本にしたような一冊でした
    楽しかった~

    0
    2025年05月31日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!