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30代後半の悠は、アルバイトをしながら空き時間に原稿を書く駆け出しの作家。仙台を出て東京で一人暮らしを続けるが、ぎりぎりの
生活を送る。そんな悠の日常は、震災を境に激変した。非常時だとはしゃぐ同僚、思わぬ人からの気遣い、そして、故郷の家族の変化。
「私は、なぜこんなにもちっぽけなんだろう」
過去と未来を見つめた、悠の変化と決断は。
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Posted by ブクログ
穂高明さん初読みでした。生年・出身・経歴等のプロフィールを見る限り、本作の主人公にご自身が濃く投影されているのだろうと感じました。フィクションなのですが、震災を経験した者にしか描き得ない苦悩が、リアルに表現されていました。
主人公は、仙台を離れ東京で暮らす30代後半で独身の悠子。売れない作家でバイトを掛け持ちしています。7章構成で、章ごとに悠子→母親→妹と順に視点が変わり、あの日とその後の様々な人の生活や悠子への想いも描かれ、最後は悠子へ集約されます。作家として書き続けようと決意するまでを丁寧に綴っています。
震災直後、多くの作家の皆さんが感じ吐露していた「無力感」‥。穂高さんも主人公の心情を語らせていました。でも、被災地を中心に「物語を必要としている」人がたくさんいたのも事実でした。書き手も読み手も、どんなに救われたでしょう。
自分の不甲斐なさを嘆き、苛立ち、呆れ果てながらも、何ができるのか自問する悠子が、日の当たらない道を歩く人の細やかな人生を、そっと掬い上げる静かで深い物語を書くべく再出発するのでした。
紅白幕や(黒白の)鯨幕の他に、青白の浅葱幕もあるんですね。弔事に限らず神聖な場で使われるのだそう。空・海・浅葱幕の青の深さ、雲・雪・波・白鳥の白の眩しさの対比が、様々な境目を象徴しているのかのような、味わい深い余韻に浸りました。
Posted by ブクログ
震災が絡む小説は読まないようにしてきた。被災地の外からの、自己満足とか押し付け感満載の「絆」とか音楽の力で元気にするみたいな胡散臭さが嫌いだし、逆に、被災した側からの「どうせわかりっこない」「所詮他人事でしょう」的な言われようにも抵抗があるから。
だからこの作品を読みながら終始モヤモヤしていた。何かをしようとしても、逆に何もしなくても彼らは被災してない外側にいるの私たちを冷めた目で断罪するのだと思うと、もう何もできないし、何をすることも思うことも許されないのだなと思う。
そうやって他人を切り捨てて、内にこもって、自分を責めて、そんな姿ばかり描かれても、経験していない人間の想像力は現実に遥かに及ばず、両者の距離は広がるばかり。
ということで、この作品は私には響かなかったけど、作者の柔らかく心に触れてくるような文章が好きだし心地いいので、次は震災以外の作品を読んでみたいと思います。
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