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新・消費論 コト消費、性的消費、応援消費……誰もが語りたがる「神話」の正体
コト消費、性的消費、応援消費、体験消費、トキ消費…… 次々と生まれる新たな「●●消費」によって、私たちは新しいビジネスの形を理解したり、議論されるべき社会問題の存在を知ったりする。 しかし、そこで〈消費〉はあまりに融通無碍に、あるいは単に自説を知的に見せる。 語彙として使われている可能性はないのか。 そして、かのボードリヤールはなぜ〈消費〉を一つの神話と見なしたのか。 1980年代から現代まで、〈消費〉をめぐる語りの謎を鮮やかに論じ、終わらない「神話」を終わらせる。 【目次】 序 章 〈消費〉を知ってはいるけれど 第1章 コト消費の時代――曖昧な〈消費〉の居場所 第2章 性的消費をめぐる謎――失われているものの在処 第3章 応援消費の論理――消費が変えるのは自分か社会か 終 章 〈消費〉という謎からのエクソダス -
多崎礼公式ガイドブック 煌夜祭20年の軌跡
衝撃デビューからの20年を、装画全点、秘蔵の初期設定公開など弊社刊行作品紹介で辿る。著者主催のSNS煌夜祭の様子、書下ろしを含む『煌夜祭』外伝九篇をも収めた愛読者必携の一冊。 (目次より) ◇20周年に寄せて 多崎礼 ◇20年の軌跡 第二回C★NOVELS大賞発表/SNS煌夜祭について/煌夜祭質問箱 ◇『煌夜祭』外伝 SNS煌夜祭発表短篇……煌夜祭へ/人であれ/言わずが花/ありきたりな幸運を/ぼんくらな島主/泣き男/赤い炎/災禍の魔女 20周年特別書き下ろし短篇……水平線の蛇 ◇作品紹介 煌夜祭 Die Geschichten von den Achtzehn Inseln 【イラスト】山本ヤマト/六七質/凪かすみ/山影麻奈 〈本の姫〉は謳う The Princess of Books Awakens(全四巻) 【イラスト】山本ヤマト 夢の上 Because You Tread on My Dreams(全四巻) 【イラスト】天野英/アリストレーター/六七質 八百万の神に問う I ask you, I ask the Myriad Spirits.(全四巻) 【イラスト】天野英 叡智の図書館と十の謎 The Library of Wisdom and Ten Riddles 【イラスト】田中寛崇/六七質 -
神風連とその時代
明治九年、熊本の旧士族約一七〇名が決起し、政府に反旗を翻した神風連の乱。 彼ら敬神党はなぜ軍事的成算をかえりみずに蜂起したか。 神秘的秘密結社とも解される彼らの祖師、国学者・林櫻園の思想を読み解き、その「反時代的反乱」の淵源にせまる。 著者による、執筆当時の未公開日記を初収録。 〈巻末エッセイ〉橋川文三 〈解説〉髙山文彦 〈目次〉 第一部 神風連伝説 蜂起のあと 神風連百年 第二部 神風連とその時代 第一章 見神者 第二章 肥後冨勤皇党 第三章 熊本敬神党 第四章 反乱 第五章 予兆 註(第二部) あとがき 新版のためのあとがき 日記抄 解説 髙山文彦 巻末エッセイ 『神風連とその時代』にふれて 橋川文三 -
入門 現代政治学 選挙から政治家・政党、メディアまで
そもそも政治とは何か、体系は見えにくい。 選挙で投票しなかったら不都合はあるのか。 政治家は誰の意見を重視するのか。 政党は何のために存在しているのか。 経済や生活にどんな影響を及ぼすのか。 政治は有権者を幸せにしているのか。 本書では、選挙、政治家、政党、有権者、メディア、民主主義などの基本概念をつなぎ合わせ、最新の政治学の理論と動向を紹介。 データをもとに、現在の民主政治の全体像を描き出す。 【目次】 まえがき 序 章 選 挙――なぜ大切なのか 政治とは何か 有権者と政治家 政治家をコントロールする 三つの例――景気対策、選択的夫婦別姓制度、汚職 本書の目的 選挙とは何か――三つの条件 選挙の機能①――選抜機能 選挙の機能②――賞罰機能 有権者、政党、政府 選挙の追加的機能――多数派の尊重と暴力の抑止 第1章 政治家――誰が選ばれるのか 私たちは政治家の何を見ているか 好みと属性 政治家の出馬 選挙に勝つ見込み、出馬のコスト 属性の特徴――資産、学歴、年齢、性別、世襲 経済的地位や性別がもたらす影響 政治家の能力 能力と属性のトレードオフ 利己的動機と利他的動機 まとめ 第2章 政 党――なぜ存在するのか 別の主役 政党=好みが近い仲間とのチーム 好みの近さはなぜ重要か 政策パッケージと選抜機能 政党の業績と賞罰機能 景気に関する業績 政党誕生の歴史 イギリスの二大政党 政党とイデオロギー 左派と右派、リベラルと保守 社会文化をめぐるイデオロギー イギリスの政党のイデオロギー立場 日本の政党のイデオロギー立場 極右政党とポピュリズム まとめ 第3章 有権者――政治に何を求め、どう選ぶのか 理想的な有権者 忙しい有権者 有権者のイデオロギー立場 イデオロギー立場と政策選好 有権者の立場の形成 選抜の基準――争点投票 直観的な判断ルール 賞罰の基準としての経済状況 経済成長と与党得票率 投票①――ベネフィットとコスト 投票②――教育水準、年齢 まとめ 第4章 メディア――欠かせない存在なのか 情報を有権者に届ける メディアからの情報 報道機関は偏向しているか メディアの機能①――学習 メディアの機能②――説得 誘発とフレーミング デジタルメディアの影響 SNSの効用 誰が情報に接触するのか 選択的接触、エコーチェンバー、フィルターバブル メディアと民主主義 まとめ 第5章 選挙制度――競争のあり方は変わるのか 選抜機能と賞罰機能は両立するか 政党の数が多い場合 政党が二つの場合 選挙制度の特徴――比例代表制と多数代表制 機械的効果と心理的効果 各制度の目標の違い 選挙制度と政党数 民意と議会の関係 選挙制度と業績投票 二つの制度のメリットを活かす 選好と質のトレードオフ 中選挙区制の弊害 まとめ 第6章 民主主義――誰の意見が通るのか 前章までのまとめ 多数派と中位投票者 政党のイデオロギー立場や動員 民意の実現①――政策の中身 民意の実現②―― 与党のイデオロギー 民意の実現③――参政権 民意の実現④ ――民主主義の導入 ロビンフッド・パラドックス なぜ経済的不平等は拡大するのか――献金、ロビー活動、バイアス くじ引き民主主義、ロトクラシー まとめ 終 章 政治は私たちのものなのか 楽観的でいいのか 少数派の横暴 分断を生み出すアイデンティティ政治をこえて 民主主義を生きる あとがき 参考文献 索 引 -
本郷菊富士ホテル 新装版
大杉栄と伊藤野枝が同棲し、谷崎は千代夫人から逃避。 夢二が代表作「黒船屋」を描き上げ、宇野千代と尾崎士郎が出会った運命の舞台……。 さらに、宇野浩二、広津和郎、坂口安吾など数多くの作家・芸術家が止宿し、そこから数々の名作を生み出した、文豪たちの巣「本郷菊富士ホテル」。 綿密な取材で作家たちの交流と生活を鮮やかに描き出す大正文学側面史。 〈解説〉小松伸六/〈新装版解説〉「丘の上のまぼろしの城」森まゆみ -
「ぼくは鬼がこわいと思いました。」 主人公自ら語る童話集
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 《2018年グッドデザイン賞受賞の絵本 「一人称童話」シリーズ3冊が、 児童書にリメイクされて復刊! まとめてお得に楽しめます!》 もしもあの童話の主人公が自らの口で語ったら。 もしもその目で物語の世界を見たら。 本書は、スタンダードな昔話を 文字通り「主人公目線」で描き直した作品です。 視点が変わると自ずと浮かび上がるのは、主人公の胸の内。 お届けするのは「桃太郎」「シンデレラ」「浦島太郎」の3作。 眺めて楽しんでみたら、オリジナルの「心」を想像してみよう。 さらに自由に物語を創ってもらっても。 楽しみ方を広げるきっかけになる1冊です。 絵を手掛けるのは『パンどろぼう』作者の柴田ケイコさんをはじめ、岡村優太さん、ニシワキタダシさんという人気イラストレーターたち。ステキな絵とともに、ワクワクしながら童話を楽しもう! -
すごい生きもの春夏秋冬
すべての動物のおしっこは21秒? ユスリカは最強生物? 『ゾウの時間 ネズミの時間』著者の、誰かに話したくなる生物学エッセイ! 目次 はじめに―僕はナマコなんて嫌いです! 春の巻 サンゴとサンゴ礁―共生がつくりだす多様性あふれる世界 クマノミとイソギンチャク―刺されずに住み込む用心棒 ホンソメワケベラ―ダンスで客引き掃除魚 ホーホケキョ―これは日本の鳥語、ではハワイ語は? シロアリはみんなのために―農業もやるビルも建てる ムール貝―疲れ知らずに殻を閉じ、ヒモを引っ張り数ヶ月 イルカ―眠る時は脳の半分で ミミズと人間は同類だ―管の中に管 私の中の他者―ミトコンドリアの細胞内共生 多様性は大切です―生き残る工夫が多様性 夏の巻 アメンボ―表面張力使いの名人 ユスリカ―氷河でも宇宙でもサバイバル 生物多様性を守る・環境を守る 植物プランクトン―海での光合成の主役 ラクダ―血と汗の砂漠暮らし 熱帯雨林―無料のホテルは大繁盛 サンゴガニ―「環境は私だ」の実践者 ヘビは空を飛ぶ―四肢がなくても大繁栄 牛タンと馬づら―舌を伸ばすか顔を伸ばすか お酒―麹と酵母のダブル発酵 お米―八十八の手間、八十八の感謝 秋冬の巻 クジラ―体は超特大、餌はごく微小 おばあさんはエライ―シャチの家族の生存戦略 キノコ―形は雨傘、機能はカタパルト 卵―タラコは鶏卵よりなぜ小さいか サメの体は流線形―浮き袋がないのに沈まない ウシの胃―なぜ四個もあるのか シマリスの冬籠もり―冬眠で寿命が延びる? 昆虫の冬籠もり―凍っても大丈夫? 人体の巻 耳―三との深~い関係 エラと肺とは兄弟だ 鼻は離れた匂いをキャッチ 目は口ほどに 二一秒の法則―オシッコの時間を計ってみる トイレットペーパーは人間のあかし 歌と記憶―僕はなぜ歌うのか? おわりに―本書は禁じ手 -
おひとりシニア、1年生
今のうちに備えつつ、今を楽しむ! 賢く、無理なく、持続可能な「おひとりシニア」生活を考える。 日経新聞の人気エッセイ連載「人生後半、はじめまして」を収録。 ◆目次(一部) 視力がどんどん悪くなる たいへん! 髪の現実 顔のリアルもすごかった 基礎トレがだいじ 動けるうちに 「ここぞのとき」は今である 非常用持ち出し袋 電話はほぼ詐欺 家事という労働 趣味でも実は疲れている 風邪を引いてわかったこと 五年ぶりの加圧 ゆらゆらスクワット 小さな旅にときめいて 恐る恐るeチケット ひとりごはんに向く店は 重いけど防災ポーチ ワークライフバランスを考える A4トートにお別れ セミリタイアという始め方 シニアでデビュー 老後には早すぎる AIと私の明日 -
太陽の男 石原慎太郎伝
『太陽の季節』で日本中を熱狂させた「無意識過剰」「価値紊乱者」の石原慎太郎は、社会に何を警告したのか。 三島由紀夫を動揺させ、多大な影響を与えた慎太郎。 交錯、衝突し、天皇制と国家観をめぐって離反した二人の天才を考察し、慎太郎がその作品群に込めた真意に迫った。 著者と石原慎太郎、鹿島茂との対談も収録。 〈解説〉井上隆史 プロローグ――「君が代」と「我が日の本」 第1章 敗戦の子 第2章 ヨットと貧困 第3章 公認会計士の挫折と裕次郎の放蕩 第4章 運をつかむ 第5章 スター誕生 第6章 ライバル三島由紀夫 第7章 拳闘とボディビル 第8章 『亀裂』と『鏡子の家』 第9章 「あれをした青年」 第10章 挑戦と突破 第11章 石原「亡国」と三島「憂国」 第12章 嫌悪と海 第13章 天皇と核弾頭 エピローグ――価値紊乱は永遠なり -
乱歩心象作品集
乱歩の心に映る執着と愛着、強迫的な思念、どこかへと惹かれてゆく心の有様……。 江戸川乱歩没後60年。その作品から、詩人のように一瞬の輝きを掬い取った、名場面をピックアップ。 「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」の七つの切り口で、作品を精選。乱歩の神髄・魅力を凝縮した一冊。 *編者より―― 「心象」は宮沢賢治が『春と修羅』を「心象スケッチ」と呼んだその「心象」です。乱歩の心に映るもやもやした執着の数々が、ときに見事な短篇小説としてときに長篇小説の一場面としてあるいは随筆として具象化され語られたもの、という意味で考えました。 それら自体は詩ではありませんが敢えて詩を読むように非物語的高潮に焦点をあててみるという意味でもあります。 -
悪魔くん 見えない学校と十二使徒
前代未聞の大天才といわれる“悪魔くん”こと埋(うも)れ木(ぎ)真吾。 “見えない学校”に招かれた悪魔くんは、メフィスト2世を召喚し、12の妖怪や妖精と力をあわせて、人間の幸せを奪う魔物たちに立ち向かう! 〈収録作〉見えない学校の巻/ゴーレムの巻/ピラミッド妖怪の巻/怪蝶モスの巻/カルマの巻/ズーの巻/トン=フーチンの巻/目玉椰子の巻/全9話収録 「オカリナ、風呂敷、魔法陣。 それからエロイムエッサイム! 漫画連載当時、街は姿や仕草の真似をする「リアル悪魔くん」であふれていたことでしょう。 本作は、子どもたちのために描かれた冒険活劇。 水木しげる先生の原点であり、ひとつの集大成をご堪能ください」 声優・梶裕貴さん推薦! (Netflix世界独占配信アニメ『悪魔くん』埋れ木一郎役) -
撤退戦 戦史に学ぶ決断の時機と方策
ガリポリ(WWⅠ)、ダンケルク(WWⅡ)、スターリングラード(WWⅡ)、ガダルカナル、インパール、キスカ‥ 各戦地において、政府と軍統帥機関、そして現場指揮官が下した決断と背景との因果関係・結果を分析。 窮地から脱するための善後策を探る―! -
鳥たちの横切る空 辻邦生短篇選集 Ombre
第二次大戦の癒えぬ傷を抱く学生たちの一夏を描く初期作品から、晩年の知的企みに満ちた意欲作まで。ひたすらに真実を求める人生の陰翳を描き出す精選六篇。生誕一〇〇年記念出版。全二巻。 今回、生誕一〇〇年を記念して、この膨大な作品群から四六判二巻本のアンソロジーを編む役割を仰せつかった者としてみずからに課したのは、できるだけ幅広い時期から選出すること、執筆時期や舞台が異なっても相通じる要素のある作品を二作ずつ組んで流れをつくり、その色合いと感触で陰と陽にふりわけることだった。最初にお届けする本書『鳥たちの横切る空』に翳り「Ombre」、次巻の『竪琴を忘れた場所』に明るみ「Lumière」と副題を付けたのはその結果である。 (堀江敏幸「空に織り込まれること――『鳥たちの横切る空』解説にかえて」より) (目次から) 洪水の終り 聖堂まで 献身 探索者 叢林の果て 鳥たちの横切る空 空に織り込まれること――『鳥たちの横切る空』解説にかえて(堀江敏幸) -
文章教室
「してヤラれた」と思った「雪国」の冒頭。生きている文章の書き手、志賀直哉。さりげない文体の名人、井伏鱒二。繰り返し読んで飽きない「陰翳礼讃」――。最後の文士とよばれた芥川賞作家が、多種多様なスタイルの名文を小説家ならではの視点で読み解き、すぐれた文章とはいかなるものかを綴る。読書案内にして名文鑑賞の書。〈解説〉蜂飼耳 目次より(一部抜粋) 自然のエロス――川端康成『雪国』 生き物の死――志賀直哉「城の崎にて」 感覚とモンタージュ――横光利一『上海』 光と影――谷崎潤一郎『陰翳礼讃』 ある死生観――尾崎一雄「虫のいろいろ」 詩美的感覚――梶井基次郎「檸檬」 性の描写――山本周五郎『青べか物語』 抑制と恥じらい――伊藤整『若い詩人の肖像』 ユーモアとペーソス――井伏鱒二「山椒魚」 典型的自画像――太宰治『人間失格』 切腹の描写――三島由紀夫「憂国」 戦場の死と生――大岡昇平『俘虜記』 絶体絶命の時――吉田満『戦艦大和の最期』 女であること――林芙美子「晩菊」 砲丸を投げる――小林秀雄「オリムピア」 夢を描く――内田百閒『冥途』 老年のエロス――結城信一「空の細道」 女人礼讃――室生犀星「えもいわれざる人」 着物を描く――芝木好子「京の小袖」 新しい血――三浦哲郎『初夜』 一語の重さ――佐多稲子『夏の栞』 戦場を見る――開高健『輝ける闇』 沈黙と虚無――佐藤春夫「『風流』論」 リング上の闘い――沢木耕太郎『ドランカー〈酔いどれ〉』 吉行淳之介『女のかたち』抄 死への鎮魂――吉村昭『星への旅』 厄介な生き物――阿部昭『言葉ありき』 生命の復活――北條民雄『いのちの初夜』 古都の異人――島村利正『奈良登大路町』 老いの果て――耕治人『天井から降る哀しい音』 完結した人生――司馬遼太郎『歴史と小説』 美しいものとは――岡部伊都子「青磁」 海景の中の人生――水上勉「寺泊」 権威を笑う――井上ひさし「パロディ志願」 物狂おしさの果て――瀬戸内晴美『放浪について』 土への夢――深沢七郎「生態を変える記」 ある狂熱者――棟方志功『板極道』 手でつかむ――柳宗悦「雑器の美」 芸術とは?――吉田秀和「ヨーロッパの夏、日本の夏」 エロスの詩――野口冨士男『なぎの葉考』 官能描写――田久保英夫「蜜の味」 -
兵隊小説集
自身の戦争体験を通して人間心理を追求し、鋭敏な感性で作品に昇華した梅崎春生。戦後派を代表する著者の戦争を描いた主要作品を収める小説集(全二巻)。第Ⅰ巻は、敗戦直後に書き上げた出世作「桜島」、芸術選奨文部大臣賞受賞作「狂い凧」を含む十七篇と、関連エッセイを収める。〈解説〉真鍋元之/日和聡子 目次 桜 島 水兵帽の話 万 吉 蟹 年 齢 眼鏡の話 埋 葬 崖 ある失踪 演習旅行 山伏兵長 生 活 無名颱風 上里班長 歯 赤い駱駝 狂い凧 巻末エッセイ 『桜島』あとがき 『桜島』のこと 八年振りに訪ねる――桜島 『桜島』――「気宇壮大」なあとがき 解説Ⅰ真鍋元之 解説Ⅱ日和聡子 -
よみがえる文字と呪術の帝国 古代殷周王朝の素顔
いまから120年程前、ふとした偶然から甲骨文が発見された。 これを機に研究が劇的に進み、殷・周の国の姿がうっすらと立ち現れてきた。 ところが解読の過程で、重大な誤りがまぎれこんでしまった。 正されたと信じられた古代史像にも歪みが生じた。 古代中国の年代矛盾を全面的・系統的に解決した著者は、天文学や数学的手法をも駆使して、厚いヴェールに覆われた殷周王朝の素顔に迫る。 いま明かされる真実とは――。 目次 はしがき 第1章 文字と呪術の時代 夏・殷・周三代 殷王朝の国家構造 周代の暦 散氏盤の年代と製作の経緯 第2章 殷滅亡の年代 周が殷を滅ぼした年代 前1023年克殷の史料 伐殷から克殷へ 『国語』の木星記事 再度『竹書紀年』を考える 第3章 霊的威圧による支配から官僚による支配へ 周の東遷 春秋時代の覇権 盟書の出現 律の登場と中央意識 文字と呪術の帝国 余話 あとがき -
小説を書くということ
フィクションとは、はじめ私が考えていたような、作者の勝手気ままによって、どのようにもなるというものではなく、むしろ、ある必然の動きをもって作者に迫ってくるものだ、ということができます。フィクションとは、全体の真実を、生きた形で表わすための、必要な新しいパースペクティヴなのです――作家志望者に向けた講座(「言葉の箱」)、フィクション論から自作歴史小説での史料活用法まで。貧血化し機能化する散文に対する、豊饒な文学世界の実現へと誘う創作講義。文庫オリジナル。 〈あとがき〉辻 佐保子〈解説〉中条省平 (目次より) 言葉の箱 Ⅰ 小説の魅力 Ⅱ 小説における言葉 Ⅲ 小説とは何か フィクションの必然性 「語り」と小説の間 小説家への道 小説家としての生き方 なぜ歴史を題材にするか 『春の戴冠』をめぐって 歴史小説を書く姿勢 『言葉の箱』あとがきほか 辻佐保子 あとがきにかえて――記憶と忘却のあいだに 文庫版へのあとがき 中条省平 解説 -
書とはどういう芸術か 増補版 筆蝕の美学
書は紙と筆と墨の芸術である。墨跡には深度・速度・角度と力が秘められている。 書の美は草書体に萌芽し、楷書体とその基本運筆「三折法」の成立により完成したが、そこには石と紙の争闘史があった。 筆と紙の接点に生じる力(筆蝕)こそ書の美の核心で、文字でなく言葉を書くところに書の価値はある。 甲骨文から前衛書道までを読み解き、書の表現を歴史的、構造的に解明したロングセラーに、新章「現代の作家の書」を収録。 ■本書の目次 増補版発刊にあたって はじめに 序章 書はどのようなものと考えられてきたか 「書は美術ならず」論争/「書は文字の美的工夫」/「書は文字の美術」/「書は線の美」/「書は人なり」/その他の書論/従来の書論を超えて/書は筆跡、書字跡である/書は肉筆である 第一章 書は筆蝕の芸術である―書の美はどのような構造で成立するか 肉筆と筆蝕/筆蝕とは何か/書は「深度」の芸術である/書は「速度」の芸術である/書は「角度」の芸術である/深度と速度と角度のからみ合い/書は「力」の芸術である/構成 第二章 書は紙・筆・墨の芸術である―書の美の価値はなぜ生じるのか 紙・筆・墨の前史/抽象的表現空間、「白紙」の発見/抽象的刻具、毛筆の発見/楷書体の成立/抽象的刻り跡、墨の発見/紙が石に勝利する条件/草書体、行書体、楷書体/三折法の逆襲/つながる草書、狂草/顔真卿「顔勤礼碑」の意味/黄庭堅「李太白憶旧遊詩巻」の 革命/書の芸術性の根拠 第三章 書は言葉の芸術である―書は何を表現するのか 書は漢字文明圏の芸術である/日本の書と中国の書/日本の書と背景/書は文学である 第四章 書は現在の芸術でありうるだろうか―書の再生について 書の近代/現代の書/近代詩文書/伝統書道の変貌/素人の書/書の再生 第五章 現代の作家の書 戦後の書の語られ方/作家たちの書をどう見るか/岡本かの子の書/川端康成の書/松本清張の書/三島由紀夫の書/中上健次の書 あとがき 増補版あとがき 図版出典 -
田中小実昌哲学小説集成
田中小実昌 生誕100年記念刊行 『ポロポロ』から『アメン父』へ――。 幼少期、従軍、復員ののち東大哲学科入学。 米軍基地のアルバイトで暮らし、翻訳家、小説家となって後も、コミさんは哲学に関心を持ち続けた。 映画館への途中で、バスの旅で。カバンに忍ばせた文庫本に、文句と注釈をつけながらも読み続ける。 そんな日々が、いつしか「小説」となる……。 「哲学」「宗教」「小説」の三位一体のかんけいの謎を追究し、著者晩年の代表的シリーズとなった「哲学小説」を初集成(全三巻)。 第Ⅰ巻は『カント節』『モナドは窓がない』。 巻末に対談を付す。 (刊行予定) 2025年1月 第Ⅱ巻(『なやまない』『ないものの存在』) *第Ⅰ巻と同時刊行 2025年3月 第Ⅲ巻(単行本未収録短篇集) -
名医に聞く健康法
〈専門医の最新知見〉と〈私の健康法〉 和田秀樹、小林弘幸、浦上克哉、坪田聡、能勢博、小川郁ほか スーパードクター17名が解説 予防医療や健康術が世の中にあふれていますが、 何をどう選ぶのが正解でしょうか。 この本では17人の医師が 専門領域の最新知見と有益な健康情報を解説します。 「認知症」や「がん」など生活に影響する病気、 「筋力低下」「不眠」「聞こえ」「メンタルの不調」など 中高年が気になる症状を医療記事に定評のある『婦人公論』から厳選。 さらに医師自身の〈私の健康法〉は書籍オリジナル。 専門医ならではの知恵ある健康習慣を披露します。 長生きを支えるヒントを凝縮した一冊。 ◆「認知症」「老人性うつ」初期症状は似ている ◆よく噛むと自律神経が安定 ◆高血圧に10歳若返る速歩き ◆腰ひざ痛前屈みスマホ姿勢が原因 ◆70代は5割が難聴。衰えは30代から ◆朝までぐっすり眠れる脳冷まし ◆100歳で元気な人真面目でハデ好き ◆歯周病ケアで糖尿病リスク減 ◆免疫力を高めるネバネバ成分 ◆動脈硬化引き金は腸の腐敗ガス ◆運動習慣で緑内障リスク5割減 ◆顔は洗うな泡を置くだけでいい ◆大人アレルギー疲労やストレスでも発症 ◆誤嚥性肺炎を防ぐ歯ぐきマッサージ -
漱石が見た物理学
漱石の生きた半世紀(1867-1916)は、X線、電子が発見され、量子論が誕生し、特殊相対性理論が発表されるなど、古典物理学から現代物理学へと移行する激動の時代であった。 理科が得意で、自らも建築家志望であった漱石は、寺田寅彦と科学談義を楽しみ、作品にも最新の話題が登場している。 本書は文学者漱石の旺盛な好奇心に従って、熱、光、量子、時間と空間について物理学発展のあとを辿り、乖離する文科と理科の交流を目指す。 ■□■目次■□■ 序章 漱石と物理学―文科と理科の交流 1章 古典物理学の完成―激動の嵐の前 2章 新しい自然観の台頭―19世紀から20世紀への転換 3章 量子仮説の提唱―人間からの離脱 4章 量子力学の誕生―極微の世界に向けて 5章 相対性理論の誕生―時空概念の変革 終章 再び漱石と物理学―文学の中の“自然法則” -
能登早春紀行
私にとって能登は、やさしい土地だった――。二月の能登に降り立った作家が出逢ったのは、話したがりで優しい人々と、土地がもつ豊かな歴史。海女、漁師、賑わう朝市。不思議な伝承に彩られた集落の祭り。著者の旅路とともに能登半島に魅了される小さな旅行記。渡島半島から函館を巡る『津軽海峡を越えて』を併録。〈解説〉渡邊英理 【目次】 ○第一部 能登早春紀行 ・第一章 雪雷 能登・志雄町 ・第二章 潮しぶき 能登・羽咋市 ・第三章 風待港 外浦・富来町福浦 ・第四章 千浦の又次 外浦・富来町赤崎 ・第五章 栗ひろい 外浦・富来町富来 ・第六章 アワビ 奥能登・輪島市 ・第七章 民話 奥能登・珠洲市高屋 ・第八章 白い山 奥能登・珠洲市大谷 ・第九章 お山祭り 内浦・能都町 ・能登早春紀行 あとがき ○第二部 津軽海峡を越えて ・第一章 津軽海峡 ・第二章 旅は道連れ ・第三章 少年と姥神 ・第四章 函館旅情 ・津軽海峡を越えて あとがき ○文庫解説 旅する言葉、海と女の思想圏 渡邊英理 -
銀座で逢ったひと
聞書きの名手である著者が、銀座で逢ったひととの思い出を綴る、「銀座百点」から生まれた名エッセイ。粋人達の面影が甦り、特別な街への憧れがつのる一冊。 【目次】 文学者の章 吉行淳之介さんの灰皿/丸谷才一さんのスーツ/堀口大學さんの扇子/戸板康二さんの冗談/ドナルド・キーンさんの象/梅原猛さんのコースター/池内紀さんの歌舞伎/色川武大さんの紙袋/小松左京さんの猫/井上ひさしさんの靴/石垣りんさんの砂糖壺/早坂暁さんのメモ/池田彌三郎さんのお手玉/野坂昭如さんの薔薇 歌舞伎役者の章 十七代目中村勘三郎さんの挨拶文/初代中村獅童さんの拍手/六代目中村歌右衛門さんの花籠/十二代目市川團十郎さんのパフェ/四代目中村雀右衛門さんのスコッチ/二代目尾上松緑さんの木札/十八代目中村勘三郎さんの受付/十代目坂東三津五郎さんの次郎冠者 女優の章 沢村貞子さんの着物/岸田今日子さんの教え/加藤治子さんの微笑/池内淳子さんの襟足/太地喜和子さんのジーンズ/岡田嘉子さんのダスビダーニャ/長岡輝子さんの声 俳優の章 平幹二朗さんの絵葉書/池部良さんの吸殻/小沢栄太郎さんのボストンバッグ/小沢昭一さんのブリーフケース/北村和夫さんの純愛/加藤武さんのご祝儀袋 落語家・画家・音楽家の章 桂米朝さんの黒紋付/古今亭志ん朝さんのフラ/安野光雅さんの座布団/岩城宏之さんの大鏡/五十嵐喜芳さんの咳払い 特別編 兄、眞之助の銀座 -
尖閣喪失
中国・台湾が領有権を主張する尖閣諸島。 中国が実力行使に出た時、日本は……。 政治的影響を睨みつつ展開される水面下での熾烈な駆け引きと日中の軍事作戦の行方を、迫真の筆致で描く。 C★NOVELS版には著者あとがきと、安田忠幸氏の描き下ろし挿画入り。 -
荒地/文化の定義のための覚書
「四月はいちばん無情な月」で始まる長篇詩「荒地」と代表的な文化論の定評ある名訳を一冊にし、巻末に深瀬基寛の評論「エリオットの人と思想」を収めた充実の決定版。 《古典名訳再発見》第5弾。解説・阿部公彦 【目次】 荒 地 Ⅰ 死者の埋葬 Ⅱ チェス遊び Ⅲ 劫火の説教 Ⅳ 水死 Ⅴ 雷の曰く 「荒地」自註 文化の定義のための覚書 第1章 「カルチュア」の三つの意味 第2章 階級と「エリット」 第3章 統一性と多様性:地域 第4章 統一性と多様性:宗派と祭式 第5章 文化と政治についての一つの覚書 第6章 教育と文化についての覚書一束及び結語 附 録 ヨーロッパ文化の統一性 エリオットの人と思想(深瀬基寛) -
美食の歓び
ある時は料理の起源を、ある時はユゴー、バルザックなど食通の逸話を、又はカレーム、サヴァランの想い出話を…。料理芸術に纏わる奇観と変哲のエッセイ。 今と昔の女性美食家 立体派料理 コニャック讃歌 隠れた偉人 パリの食通クラブ 大衆とスープ カニバリズム じゃがいものスフレの奇蹟 誇り高きマレンゴ風若鶏 牡蠣 百年前のレストラン 辛辣な料理批評家グリモ・ド・ラ・レニエール ブリヤ・サヴァラン フォア・グラとトリュフについて 音楽と美食術 パルマンテイエの伝説 精進料理 殺人的爆発料理 ルイ。フイリツプとご馳走 料理建築家アントナン・カレーム 演劇と美食術 食通の決聞 食通バルザック 主顕節 昔の観光客と美食家 フォークと皿 最初の「食味旅行家」 -
軒猿の娘
大人気シリーズ「剣神」の岩室忍が描く、痛切なる忍びの世界! 「鶴、信長を殺せ」若き女忍び逆鶴に託されたのは、軍神上杉謙信の密命。密命を果たさねば死、それが加藤段蔵率いる忍び衆「軒猿」の掟であった。謙信の密書を携え京へ向かった逆鶴は、足利義昭、近衛前久らとの邂逅を経て、ついに織田信長への接触を果たすが……。本能寺の変前夜、明智光秀の蜂起を歴史の裏舞台から描く! 文庫書き下ろし 目次 対馬谷の鶴/仏の胸/将軍義昭/設楽ヶ原/お化け公家/蛇石/軍神の死/乱丸/逆鶴の愛/小猿の死/黒坊主/大天主/五郎山/珠光小茄子/三職推任/白雲寺/本能寺/嵯峨野 文庫書き下ろし -
ブルックナー譚
泥臭い野心と権威への追従――。残念に生きたその人は、いかにして巨大かつ精緻な交響曲を生んだのか? 21世紀の今、多くの聴衆に支持され、時代と響き合うに至った作曲家の実像。その生涯から場面(エピソード)を小説化、事実記録(伝記)と組み合わせたハイブリッド評伝。【ブルックナー生誕200年記念企画】 *目次より 序 第一章 出生から教師時代まで(1824-1855) 第二章 リンツでの修業時代(1856-1868) 第三章 ヴィーンでの苦難の日々(1868-1878) 第四章 遅れに遅れた名声(1879-1889) 第五章 晩年(1890-1896) エピローグ 死後の名声 後記 -
ヴィジュアル版 沖縄文化論 忘れられた日本
身体全体がふくれあがるような日々だった。ふれるものすべてに問題を発見し、ぎりぎり集中して行った。――一九五九年に本島、久高島、宮古島、石垣島、竹富島、そして六六年に久高島を再訪。沖縄に恋をした芸術家が見た舞踊、歌、そして神事からの日本再発見。毎日出版文化賞受賞作。著者撮影による写真口絵六四ページを収録。 〈随筆〉岡本敏子 〈解説〉外間守善/赤坂憲雄 (目次より) 沖縄の肌ざわり 「何もないこと」の眩暈 八重山の悲歌 踊る島 神と木と石 ちゅらかさの伝統 結 語 増補 神々の島 久高島 本土復帰にあたって あとがき 「一つの恋」の証言者として岡本敏子 新版に寄せて 岡本太郎の『沖縄文化論』を読む外間守善 解説赤坂憲雄 -
文豪と女 憧憬・嫉妬・熱情が渦巻く短編集
無垢な少女から妖艶な熟女まで一一。鴎外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも? 時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生き様からは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。 (収録作品) 森鴎外「杯」 田山花袋「少女病」 立原道造「白紙」 永井荷風「庭の夜露」 山川方夫「昼の花火 泉鏡花「雪の翼」 夏目漱石「硝子戸の中」 中島敦「下田の女」 谷崎潤一郎「青い花」 芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」 高見順「強い女」 堀辰雄「辛夷の花」 坂口安吾「いずこへ」 久生十蘭「姦」 太宰治「葉桜と魔笛」 -
平和と美の使者として 森下洋子自伝
広島に生まれた少女は3歳でバレエに出会い、長じて世界中で「東洋の真珠」と絶賛された。偉大なアーティスト、ヌレエフやフォンテインからの宝物のような学び、日本バレエ界を共に牽引してきた清水哲太郎との珠玉の絆、松山バレエ団が紡ぐ命慈しむ舞台への祈り……。唯一無二の歩みを秘蔵エピソードと共に語る。読売新聞連載「時代の証言者」に大幅加筆のうえ単行本化。 -
漱石の読書と鑑賞
僕の門下生からこんな面白いものをかく人が出るかと思うと先生は顔色なし。――新刊の感想から、門下生の作品添削、雑誌への売り込みまで。漱石の書簡に現れる同時代文学評を、佐藤春夫が編年でまとめ、解説を付し、「書簡中に見る諸家作品選集」を編集する。 〈巻末付録〉エッセイ=内田百閒/漱石宛て書簡=芥川龍之介・久米正雄 -
本の神話学 増補新版
あらゆる書物は見えない連関(ネットワーク)で結ばれている。その解読の驚きと愉しみ、秘術と実践。 自分だけの「知の見取り図」は、いつの時代も蔵書から生まれる。20世紀前半、人文知再編の震源地となったアビ・ワールブルクの研究所およびワイマール文化を発端に、本書自体が、文化人類学的思考を通じてオルタナティヴな精神史・思想史を発見するための架空ライブラリーとして展開する、著者の代表作。 美術、演劇、音楽、文学、宗教学、人類学……さまざまな文化/学問領域の隠れたネットワークを、おびただしい過去の書物をたぐりながら曼荼羅のように描き出す、みずみずしい驚きに満ちた知的アクロバット。 1970~80年代のニューアカデミズム・ブームを牽引し、後世に巨大なインパクトを与えた伝説の一冊にして、普遍的な知の技術を示し/実践した名著を凱旋復刊。 まさに「文庫の中の文庫」といえるコンパクトにして圧倒的な情報量が詰まったこの神話的迷宮は、21世紀の今も来る者すべてに開かれている。 巻末に、「図書館」に関する講演録・エッセイを新たに増補。 〈解説〉山本貴光 【目次】 第一章 二十世紀後半の知的起源 第二章 ユダヤ人の知的熱情 第三章 モーツァルトと「第三世界」 第四章 「社会科学」としての芸能 第五章 もう一つのルネサンス 補 遺 物語作者たち [新増補] 歴史と記憶(1995) 図書館との出遭い(2000) 解説 山本貴光 -
何年、生きても
どこかで別れた大切な人を想うとき、相手もまた、あなたを想っているかもしれない。 ――宮島未奈(『成瀬は天下を取りにいく』) 磯貝美佐、39歳。妊活がうまくいかず、母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た。東京の下町・谷中の六畳一間で、アンティーク着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。友人は、恋愛対象が男性の美しき骨董屋、関くんだけだ。 ある日美佐が実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる着物を見つける。そして、抽斗の二重底に隠されていた3冊のノートと、見たことのない美少女が写った古写真も……。 この少女はどこの誰で、咲子とはどのような関係だったのか? ノートを読み始めた美佐はやがて、着物と少女の謎を突き止めた。咲子の生涯を懸けた「思い」を知った美佐は、ある決断をする――。ベストセラー『妻の終活』の著者が贈る、永遠の「愛」の物語。 『花は散っても』改題。 -
おどるでく 猫又伝奇集
室井光広とは誰だったのか? 誰でもない。宇宙を吹き渡るコトバの元気(げんき)、天籟(てんらい)だった。 ――辻原登 こんな凄い小説が書かれていたことに驚きました。 生きる悲しみが言葉の奥底に繋がっていることを知りました。 貪るように読みました。 ――町田康 カフカ、ボルヘス、ジョイスといった先達を読み/書くことを通して、日本という「辺境」から世界文学の最前線へ。詩と小説と批評の三位一体を追求した現代文学最高の精華が、ここに再生する――。 辻原登氏 町田康氏 多和田葉子氏 推薦! 表題作は第111回芥川賞(1994)を受賞しながらも、その余りに独特な内容と形態によって「はたしてこれは小説なのか?」と賛否両論を巻き起こした伝説の傑作。そのほか、著者の故郷・南会津を舞台にした関連作を「猫又」サーガとして初集成/初文庫化。 古今東西の博識を呼び込み、「言語」と「小説」そのものの謎を探究する室井光広の目眩くテクストによって、日本語文学は何を目指し、何を実現したのか。 遺作『エセ物語』へのイントロダクションともなる、まさに「室井入門」として最適な一冊。 今こそ、時代は室井光広に追いつくことができるか――? 【目次】 [本編] 猫又拾遺(1991) あんにゃ(1992) かなしがりや(1993) おどるでく(1994) 大字哀野(1994) 和らげ(1996)(初書籍化作品) [巻末資料] 単行本版あとがき(1994) 万葉仮名を論じて『フィネガンズ・ウェイク』に及ぶ(1994) インタビュー 室井光広氏と語る(1995) 巻末エッセイ=多和田葉子「海に向かえ山に向かえ言葉に向かえ」 解題=川口好美 《あらゆる翻訳は最終的に原作の行間にただようおどるでくを読者の心底にうつすことを目的とするといっていいだろう。そのうつし方は、病気をうつすようにしてなされる。私は再度キリシタン版の中にうつし方の現場をさがしにゆく。おどるでくをうつされるのを好む人は何よりも「写す」行為をいやがらないと露文氏はいっている。》――表題作より -
政治家 石橋湛山 見識ある「アマチュア」の信念
戦前日本を代表する自由主義者、言論人だった石橋は、戦後、活動の場を政界に移す。大蔵大臣、通産大臣などを歴任し、1956年には自民党総裁に当選、首相になるも、病気のため、65日で辞任した。石橋は、自らの政治理念を現実政治の中で実現できたのか。没後50年、その真価を問う。 目次より 第一章 政治家・石橋湛山の誕生 第二章 運命の七票――一九五六年の自民党総裁選 第三章 明暗を分けた閣僚人事 第四章 「私の政治的良心に従います」――65日間の内閣 第五章 日中国交正常化への努力 第六章 理想主義者から現実主義者への転回 終 章 晩年の石橋湛山 -
戦争とデータ―死者はいかに数値となったか
戦争全体の把握にはデータが肝要だ。特に死者数のデータは、戦争の規模、相手との優劣比較で最も説得力を持つ。ただ発表されるデータが正しいのかは常に疑念があるだろう。ウクライナ戦争での戦死者数についても、ウクライナ、ロシア双方から発表される数字は異なる。では、そうしたデータはどのように集められてきたのか。 戦場での死者数は、総力戦となった第1次世界大戦以降、国家による将兵だけの把握では難しくなり、赤十字国際委員会、国際連盟といった国際機関が介在していく。しかし第2次世界大戦後、特定地域での内戦・紛争・ゲリラ戦が頻発。政府側・反政府側で異なる数字が発表されていく。大国間対立で国連が機能不全に陥るなか、国際的な人道ネットワークが、先進各国や国連の支持を受け、死者数の調査・精査を行い発表していく。 本書では、特に1960年代以降のベトナム戦争、ビアフラ内戦、エルサルバドル内戦から、第3次中東戦争、イラン・イラク戦争、旧ユーゴ紛争、そして21世紀のシリア内戦、ウクライナ戦争を辿る。その過程で国際的な人道ネットワークが、統計学や法医学の知見を取り入れ、どのように戦争データを算出するようになったか、特に民間人死者数に注目する。また、データをめぐる人々の苦闘にも光を当てる。 -
飼えたらすごい生きもの図鑑 家で飼ったら、どうなる?
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 犬や猫、小動物から昆虫、エキゾチックアニマルまで、日本ではたくさんの生きものを飼うことができます。しかし、どの生きものも飼うとなったら思いもよらない生態が見つかることも。飼う前に知っておいてほしい生きもののあれこれを1冊にまとめました! 本書では、60を超える生きものについて、飼うにあたってのポイントや生態を、ポップなイラストとわかりやすい文章で、楽しみながら教えます。食事や寿命、大きさなどの基礎知識も充実。監修は動物園の園長を務めた経験もある小宮輝之先生。子どもにもわかりやすく丁寧な解説で、親子で安心して楽しめます。全ての文字はルビ付きで、子どもだけでも読むことができます。【教養が身につく中央公論新社の児童書シリーズ】 -
「般若心経」を読む
人はなぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。幼少時代の誦読と棚経を回想、一休和尚や正眼国師(盤珪禅師)の訳や解釈を学び直し、原点から人間の性を見つめ直す。色と欲に煩悶した日々を顧み、生き身のありがたさ、女性は弥勒菩薩など独自の境地に辿り着く。愚かさを見すえ、人間の真実に迫る水上版「色即是空」。<解説>高橋孝次 「般若心経」全文 序 章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」 第一章 漢字「般若心経」にめぐりあう 第二章 正眼国師の『心経抄』と私 第三章 一切は「空」である 第四章 私版「色即是空」の世界 第五章 一休における「色即是空」の世界 第六章 死して百日紅や椿の花となる 第七章 不浄を美しいと思うときもある 第八章 六根・六塵の本体は無である 第九章 無明とは何か 第十章 四苦八苦を成敗するには 第十一章 のたうちまわって生きるしかない -
ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成
一篇の詩を生むためには、 我々はいとしいものを殺さなければならない これは死者を甦らせるただひとつの道であり、 われわれはその道を行かなければならない ――(「四千の日と夜」より) 『荒地』同人として鮎川信夫らとともに日本の戦後詩をリードした国際的詩人にして、早川書房の初期編集長兼翻訳者として海外ミステリ隆盛の基礎を築いた田村隆一(1923-1998)。 アガサ・クリスティの翻訳に始まり、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出発、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の創刊……その比類なき体験による、彼にしか語りえない数々の貴重なエピソードとユーモアは、詩(ポエジー)と戦慄(スリル)の本源的考察を通して、やがて21世紀の我々をも刺し貫く巨大な文学論・文明論へと至る――人類にとって推理小説(ミステリ)とは何か? 聞き書き形式でポーからロス・マクドナルドまでのクラシック・ミステリをガイドするロング・インタビュー(旧版『ミステリーの料理事典』『殺人は面白い』所収)を中心に、クロフツ『樽』やクイーンの四大『悲劇』といった翻訳を手がけた名作の各種解説、クリスティとの架空対談、江戸川乱歩や植草甚一にまつわる回想、生島治郎・都筑道夫ら元早川出身者との対談など、推理小説に関する著者の文章を単著初収録作含め精選し大幅増補した、まさに田村流ミステリ論の決定版。生誕100年記念刊行。 【目次】 Ⅰ クラシック・ミステリ・ガイド(インタビュー) Ⅱ 訳者解説(F・W・クロフツ/アガサ・クリスティ/ジョルジュ・シムノン/エラリイ・クイーン) Ⅲ エッセイ・対談(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」/×都筑道夫「EQMMの初期の頃」) Ⅳ 資料編 〈解説〉 押野武志 -
事務次官という謎 霞が関の出世と人事
事務次官、それは同期入省の中から三十数年をかけて選び抜かれたエリート中のエリート、誰もが一目置く「社長」の椅子だ。ところが近年、セクハラ等の不祥事で短命化が進み、その権威に影が差している。官邸主導人事のため省庁の幹部が政治家に「忖度」しているとの批判も絶えない。官界の異変は“頂点”だけに止まらない。“裾野”も「ブラック」な労働環境や志望者減、若手の退職者増など厳しさを増す。いま日本型組織の象徴と言うべき霞が関は、大きな曲がり角を迎えているのだ。事務次官はどうあるべきか? 経験者や学識者に証言を求め、歴史や法をひもとき、民間企業や海外事例と比較するなど徹底検証する。長年、大蔵省・財務省をはじめ霞が関を取材し尽くした生涯一記者ならではの、極上ネタが満載。 プロローグ――霞が関の「聖域」 1章 その椅子のあまりに軽き――相次ぐ次官辞任劇の深層 2章 「名誉職」に過ぎないのか――事務方トップの役割を探る 3章 社長と次官――「組織の長」を比較する 4章 冬の時代――先細る天下り先、激減する志望者 5章 内閣人事局の功罪――幹部人事はどうあるべきか 6章 民間と女性の力――改革なるか人事院 エピローグ――「失敗の本質」 -
男と女… セックスをめぐる五つの心理
男と女を隔てる心の壁と肉体の壁。それらを乗り越え、悦びへと至る方法はあるのか? 数百人の男女を取材してきた著者が炙り出す現代セックス事情。 -
「私のはなし 部落のはなし」の話
日本にいまだ残る「部落差別」を丸ごと見つめ、かつてないドキュメンタリー映画として多くの観客を集めた『私のはなし 部落のはなし』監督による初エッセイ。大阪芸術大学での原一男監督の講義から学んだこと、若松孝二監督の撮影現場での体験、屠場(とじょう)とそこで働く人々を写した初監督作品『にくのひと』(2007年)が各地で上映され好評を博すも、劇場公開を断念し作品を封印せざるをえなかった経験、そこから12年を経て、今作公開に至るまでの歩みを綴る。プロデューサーの大島新氏、配給会社「東風」の木下繁貴氏との鼎談、角岡伸彦氏の解説を付す。 -
世界のマネージョーク集 笑って学ぶお金とのつきあい方
累計100万部突破の人気シリーズが、「マネー」をテーマに新登場。風刺・ユーモアを通して、お金についての知識や教養を深めることができる「本邦初?」の異色の一冊。そもそもお金とは、人間にとっていったい何? 欲望やいやらしさ、それでも憎めないところなど、お金があぶり出すものは、まさに人間の本質か。お金をめぐるニュースも絶えない現代。日本経済の混迷や「働き方」、格差問題、そして消えない将来不安……。ジョークの力で笑い飛ばそう! 【目次】 序章 お金とは何か? 第1章 「働き方」を笑い飛ばそう 第2章 経済をユーモアで 第3章 貧しい人も富める人も 第4章 ギャンブルは是か非か 第5章 お金を巡る罪と罰 第6章 お金を巡る人間模様 最終章 欲と知恵 ――あとがきに代えて -
平櫛田中回顧談
岡倉(天心)先生は「諸君は売れるものをお作りになるから売れないので、売れないものをお作りになれば必ず売れる」と言われた。どうもえらいことを言われる先生だなと思って、それが強く心に残った。――本書より 【目次】 刊行にあたって 平櫛弘子 1 生いたち 2 大阪と中谷一家 3 奈良と森川杜園 4 東京に出る 5 禾山和尚 6 長安寺の生活 7 茶屋町の生活 8 米原雲海と山崎朝雲 9 岡倉天心と日本彫刻会 10 岡倉天心の思い出 11 日本美術院の再興 12 上野桜木町の家とその頃の諸作 13 二児を失う 14 色々の天心像 15 素材と用具と伝統技法の復活 16 帝展参加と《霊亀随》 17 肖像彫刻 18 鏡獅子の制作 19 六代目尾上菊五郎の手紙 20 第二次鏡獅子の制作と弟子達 21 美術学校に勤めた頃 略年譜 解 説 -
食われる国
この国にはもう、抵抗する力がない。 人種差別、AI裁判、民間刑務所、洗脳教育―― 俺たちは、求められるようにしか生きられないのか。 2050年。日本の国力は低下し、海外資本が大量に流入。人口も減少し、かつて栄えた都市も今や廃墟と化していた。刑事である谷悠斗は池袋で発生した外国人拉致事件を追ううち、中国資本「未来集団」が経営するカジノに潜入することになる。これが地獄の始まりだった。 不当逮捕された悠斗は民間刑務所に収監される。洗脳とも言える教育の果てに「未来集団」の一員として、日本国土の買収を繰り返すことになる――。 悠斗に、この国に希望はあるのか? 荒廃が待つ未来の中に微かな光を示す傑作長編。 -
中公新書60周年小冊子
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【中公新書 創刊60周年記念】 1962年11月に創刊した中公新書は、おかげさまで2022年に60周年を迎えます。それを記念して、小冊子『中公新書の60年』を編集いたしました。 2700点以上を数える中公新書の海をゆく羅針盤として、識者の方々に政治、経済、日本史、世界史、思想・哲学、科学の各ジャンルのお勧め作品を挙げていただきました。 また人気シリーズになぞらえて「物語 中公新書の歴史」と題した読みものを収録しました。編集部員も知らなかった秘話を通して、当レーベルをより身近に感じていただければ幸いです。 《目次》 ●ここから始める中公新書 1 政治編 北岡伸一(東京大学名誉教授・国際協力機構〔JICA〕特別顧問) 2 経済編 坂井豊貴(慶應義塾大学教授) 3 日本史編 澤田瞳子(小説家) 4 世界史編 君塚直隆(関東学院大学教授) 5 思想・哲学編 若松英輔(批評家・随筆家) 6 科学編 渡邊十絲子(詩人) ●物語 中公新書の歴史 創刊前夜 いよいよ創刊 停滞から再興へ そしてこれから ●中公新書略年譜 -
中国の古代文学
中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され、封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれる――。この巻でとり扱った時期は、古代中国人が神を発見し、また失う過程を示すものである。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界へようこそ。 427ページ -
日本の海の幽霊・妖怪
海妖伝承を系統立てて研究した民俗学者の遺稿集。私家版としてごく少部数のみが刊行され、「幻」とまで評された名著がついに復刊! 305ページ -
疎開日記 谷崎潤一郎終戦日記
第二次世界大戦下、激しい空爆をさけて疎開した文豪が、きれぎれに思いかえす平和な日の記憶。表題作と、戦後すぐに発表した随筆を収めた『月と狂言師』をもとに、文庫初収載になる戦時下の永井荷風、吉井勇との往復書簡などを増補した谷崎版「終戦日記」。 〈註解〉細川光洋〈解説〉千葉俊二
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