ドイツの思想家・古典文献学者ニーチェの思想のエッセンスが詰め込まれた本。
名前だけ借用したゾロアスター教の開祖ツァラトゥストラの口を通して、ニーチェの思想が語られる。キリスト教聖書のパロディでもあり、物語でもあり、詩でもある。
人生は無意味だ。でも、だからこそ、無意味から始めてみなくちゃあならな
...続きを読むい。あの世に意味を見出して、この世の生を弱めても、生の無意味を克服することはできない。生きていることにうんざりしているときにこの本を読めば、きっと新しい無意味を見つけられる。
ニーチェは、「神は死んだ」というフレーズが特に独り歩きして有名だけれど、「人間だったんだよ、神なんて。」(57)という表現のほうが僕は好きだ。神の過ちではなくて、人間の過ちを認められそうな気がするから。
「神を試みてはならない」とすれば、神こそ人間の試みであったからなのかもしれない。だから、ツァラトゥストラは、ツァラトゥストラなりの試みを始めようとしているんだ。人間の無意味を克服するために。
「ツァラトゥストラ」は面白い本だ。読み継がれるだけのエネルギーと危険がある。
でも、ツァラトゥストラを大事にするなら、ツァラトゥストラを大事にしてはいけない。乗り越えていかなくちゃいけないんだ。それがツァラトゥストラの忘れられるべき教えなんだと思う。
「ツァラトゥストラはこう言った、しかし…」