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『この人を見よ』が書かれたのは一八八八年の秋、ニーチェ四四歳のときであり、以後彼は死の年まで十一年間を狂気の闇に生きることになる。この破天荒な自伝は、あらゆる価値の根本的転換を説きつづけたニーチェの全思想について自らなされた解明であって、われわれはこれによって彼の内面的全体像を把握することができる。
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Posted by ブクログ
ニーチェ晩年の自伝ということで、ニーチェ自身が自らの主張と、過去の自分の作品の解説をしてくれている。そのため、ニーチェを学ぶ際の最初の一冊として良いと思う。例えばツァラトゥストラは前提知識がないと(前提知識があっても)非常に難解であるが、この本では、ツァラトゥストラで何を伝えたかったのかということを...続きを読む解説してくれる。主張に共感できるというわけではないが、ニーチェの熱さと躍動感がひしひしと伝わってくる興味深い本だ。
今まで感じたことがないような凄みを感じました。難しくて分かりにくかったというよりもニーチェ氏の考えについていけなくて分かりにくかったです。おいおいとツッコミたくなるような部分も多いので信じるか信じないかは読んだ人次第だと思います。
この自叙伝が書かれたのは、ニーチェが44歳のとき。この年が彼の正常な精神活動の最後の一年だったらしい。 彼の精神活動の最後に遺されたこの自伝は、ニーチェの思考と著作の全体について自ら細かく解明していく構成になっている。 シニカルな余裕に満ちた箴言、大上段から一気に振り落とす傲慢な名句に心踊るニーチェ...続きを読む好きには、目次からどストライクかもしれない。 ・なぜわたしはこんなに賢明なのか ・なぜわたしはこんなに利発なのか ・なぜわたしはこんなによい本を書くのか 言うまでもなく『この人をみよ』の「この人」とはニーチェさん自身のことである。 とはいえシニカルな余裕というよりは、自己欺瞞にすらも目を背ける、傲慢と自虐の極致を両取りしているかのような弱さも垣間見れるのも事実。 人間一般を観察し分析し記述することに関しては比類なき才をもちながら、とびきり強がりで誠実なニーチェさん。だから、この本はニヤニヤしながら読んでください。 ニーチェは、人生には、人間には、そして世界にはなんの意味もないことを言ってのけた。国家の強大化、文化の繁栄、来世における救済、正義の実現、貧困の解消、幸福の追求。 人生に何らかの意味、価値、目的を認めること、それは大いなる錯覚なのだ、と。 はっきり言ってその思想の前にはすべての人間は生きる価値を剥奪される。だがニーチェ自身はどうだったのか。 弱き者を徹底的に糾弾したのはなぜか。神が死んだと、神にこだわり叫び続けたのはなぜか。それは彼自身が極めて弱く、敬虔なクリスチャンとまでは言わないまでも誰よりもキリスト教的であったと言えなくもないのだ。これもまた外せない一冊。81点。
「なぜ私はこんなにも利発なのか」のような見出しからもわかるように自らを人類史上希有な、旧来思想の転覆者として語る自伝的文章。堂々とした文体が魅力的だが危険でもある。
数年前から、超訳ニーチェがちょっとしたブームだけど、最初に手を出したのが本書。 阿部六郎訳で旧かなの新調文庫版。まだ平成になる前、世の中、バブルで浮かれてた。 バブルにも乗れない僕には、あまりにも強烈すぎた。
ニーチェが発狂する1888年の前年の秋に書かれた。 題名のラテン語“Ecce homo”は新約聖書『ヨハネによる福音書』19章5節から引用されてる。 各章の表題が笑わせてくれる。 ◆なぜ私は、こんなにも賢いのか? ◆なぜ私は、こんなにも利発なのか? ◆なぜ私は、こんなにも良い本を書く...続きを読むのか? ◆なぜ私は、一個の運命であるのか? もー、この表題見ただけで、好きになった。 だって、おかしい。 笑わせようとしてる? これを書いたとき、すでに狂い始めてたのでは?と考える人もいる。 でも、たしかに彼は「こんなにも良い本」を書いた。 彼の苦闘し続けた人生を、こんなふうに表現できるなんて! やっぱり、ただものじゃない。 人間をこえていこうとした。 ニーチェの本の中で特に好きなのは、『アンチ・クリスト』とこの本だ。
ニーチェ自身がニーチェについて語る。書名の「この人」とはニーチェのことであり、当時世間から理解されることが少なかったニーチェが「(愚民ども)この私を(もっと)見よ!」と言っている。(笑) 「解説」を読むとこんなにも深淵な大望が記されているのかと思いをいたすが、普通に読んでいると随所で笑いがこみあげて...続きを読むくる。(笑) 章立てをみると、 「なぜわたしはこんなに賢明なのか」 「なぜわたしはこんなに利発なのか」 「なぜわたしはこんなによい本を書くのか」 といった感じでこれだけでも抱腹ものだ。(笑) 「ひとにわたしのことを悪く思わせる技術を、どうしても身につけることができなかった」ニーチェさん。(笑)食べ物を通した比喩を記しているのかと思えば、本当に好きな食べ物の話を延々としているし・・・。(笑)「ドイツ人」や「キリスト教」へのねちねちと執念深く罵声を浴びせたりなど偏執ぶりもさることながら、数千年にわたる人類歴史のなかで最強の天才であるという自分自身への躁的誇大的な自画自賛を読んでいると、就寝前読書としては笑いがこみあげてしまい困ってしまう。(笑) ニーチェにとっては「ツァラトゥストラ」像は、辿りつくべき理想像なのですね。というか自分自身の仮託でしょうか。自身の概念であるディオニュソス的たらんとする思いだけはとっても強烈に伝わった。 余談だが、ギリシャ神ディオニュソスは別名バッカスで、ワインの神。酒を飲まなかったというニーチェだが、バッカス「好き」なところは同感する。(笑)
ひゃっひゃー(・∀・) おもしろすぎたww 真剣に「なぜ私はこのように賢明なのか」 「なぜ私はこれほど利発なのか」 「なぜ私はこのようなよい本を書くのか」 電車の中で笑いをこらえるのに必死でした。 この1,2週間電車で乗り合わせたたくさんの人の中でまさか19歳の女の子がニーチェ読んでると思った人は...続きを読むいないだろう。 途中からの著書の解説は元の本を読んでないのでよく分からなかったけど、一貫してたのは ドイツ大っっっ嫌い!!ヽ(`д´)ノ 「飛びきりドイツ軽蔑者と見られることは私の野心でさえある」 どんだけ嫌うねん(笑) よくもここまで嫌いである理由を書けるなぁと感心するほどです。 ドイツ生まれがww こんな本は初めてですね。 文体といい主張といい、他にはない。 他にあったとしても気が触れてると無視されるだけです(^q^) いや~、刺激物だった。
ニーチェという人は人は非常に高慢というか、自信過剰というか、毒舌なオッサンなのですが、それが逆に人間臭くて、そう言う所も魅力なのでは無いかと思うのです。しかし、これを出版しようとした事自体が凄いと思う。 もう、これを書いた時点で少し狂乱な状態だったのかも知れないけれど、所々、ジャックナイフ的にハッと...続きを読むさせられる セリフがあったりします。 個人的には「死後にも残る作品を生み出すには、その作品を創造している間に何度も死ななければならない」という言葉が印象に残りました。つまりはそれぐらいの苦労が必要だという事だと。でも、結局の所、言い訳ばっかりなんですよね。なんで、俺を認めてくれないんだ!!…って言う感じが文章からひしひしと伝わってきます。そう言うところからドイツを批判してばかりなんだろうなって。あとはワーグナーが好きなんだなって。 まぁ、人間臭い人ですよ。「超人」では無いと思います。お後がよろしいようでw
すごいこと主張する人だな、と感じる一方で、この人のことをもっと知りたいと思いました。本の作者に対してこんな感情を抱いたことに、ちょっと驚いています。
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ニーチェ
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