『この人を見よ』が書かれたのは一八八八年の秋、ニーチェ四四歳のときであり、以後彼は死の年まで十一年間を狂気の闇に生きることになる。この破天荒な自伝は、あらゆる価値の根本的転換を説きつづけたニーチェの全思想について自らなされた解明であって、われわれはこれによって彼の内面的全体像を把握することができる。
Posted by ブクログ 2013年09月09日
この自叙伝が書かれたのは、ニーチェが44歳のとき。この年が彼の正常な精神活動の最後の一年だったらしい。
彼の精神活動の最後に遺されたこの自伝は、ニーチェの思考と著作の全体について自ら細かく解明していく構成になっている。
シニカルな余裕に満ちた箴言、大上段から一気に振り落とす傲慢な名句に心踊るニーチェ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年03月15日
ニーチェが発狂する1888年の前年の秋に書かれた。
題名のラテン語“Ecce homo”は新約聖書『ヨハネによる福音書』19章5節から引用されてる。
各章の表題が笑わせてくれる。
◆なぜ私は、こんなにも賢いのか?
◆なぜ私は、こんなにも利発なのか?
◆なぜ私は、こんなにも良い本を書く...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年03月03日
ニーチェ自身がニーチェについて語る。書名の「この人」とはニーチェのことであり、当時世間から理解されることが少なかったニーチェが「(愚民ども)この私を(もっと)見よ!」と言っている。(笑)
「解説」を読むとこんなにも深淵な大望が記されているのかと思いをいたすが、普通に読んでいると随所で笑いがこみあげて...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年10月23日
ひゃっひゃー(・∀・)
おもしろすぎたww
真剣に「なぜ私はこのように賢明なのか」
「なぜ私はこれほど利発なのか」
「なぜ私はこのようなよい本を書くのか」
電車の中で笑いをこらえるのに必死でした。
この1,2週間電車で乗り合わせたたくさんの人の中でまさか19歳の女の子がニーチェ読んでると思った人は...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月07日
ニーチェという人は人は非常に高慢というか、自信過剰というか、毒舌なオッサンなのですが、それが逆に人間臭くて、そう言う所も魅力なのでは無いかと思うのです。しかし、これを出版しようとした事自体が凄いと思う。
もう、これを書いた時点で少し狂乱な状態だったのかも知れないけれど、所々、ジャックナイフ的にハッと...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月13日
この狂気には最早お笑いだとしか思えない方も多いだろうと思う。
論理的矛盾も多く、病的なまでに自意識過剰だ。
しかし、狂気こそが体系を破壊し、要素の抽出、肥大化によって思想を再建するのだ。
あらゆる矛盾が、矛盾したまま同居することが真理なのである。
多分に危険を孕んだ書である。生への渇望、その熱量に圧...続きを読む