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Posted by ブクログ
『精神病理学原論』で出発したカール・ヤスパースはいつの間にか哲学者に転身してしまい、1931年にこの大著『哲学』を著す。ハイデガーの『存在と時間』刊行よりも4年あとだ。
この訳書は、ヤスパース『哲学』全3巻のうち真ん中の第2巻「実存解明」だけを訳したもので、しかも最後の方はかなり省略されている。
このため、ヤスパース哲学の全体像をここで知ることはできないのだが、翻訳の生硬さも手伝って、かなり難解で論理的にもある意味たどたどしいこの文章は、読むのに骨が折れた。
この本を読むと、サルトルはハイデガーよりもずっとヤスパースに影響されたのだということがよくわかる。ハイデガーには欠如している「他