筑摩書房の検索結果

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  • 中世賤民の宇宙 ──ヨーロッパ原点への旅
    4.5
    差別はどこから生まれてくるのだろうか? ヨーロッパにも職業差別・身分差別は存在したのだろうか? 本書は、『ハーメルンの笛吹き男』で西洋中世の被差別民の存在に初めて光をあてた著者が、賎視と身分差別の問題に正面から取り組んだ、阿部史学の代表的著作である。西洋中世において、キリスト教の浸透による時空観念の一元化と死生観の転換によって、畏怖の対象であった職業を賎視するようになる過程を考察する。「ヨーロッパ中世賎民成立論」のほか「ヨーロッパ・原点への旅」「死者の社会史」等も収め、“小宇宙”と“大宇宙”をキーワードに西洋中世の人々の心的構造の核に迫る。
  • この春、とうに死んでるあなたを探して
    3.7
    1巻1,397円 (税込)
    矢口弼は38歳、元税理士。離婚を経験して仕事にも疲れた矢口は、中学時代を過ごした南森町にひとりきりで戻る。新しい住まいは、かつての同級生・小日向の営む喫茶店「レインフォレスト」の上階。外見は変わっても中身は子どものままに騒々しい小日向に矢口は面食らいながらも、少しずつ雨森町になじんでいく。そんなふたりにもたらされる恩師の死をめぐる謎。先生の死は事故なのか? あるいは、生徒からのいじめを苦にした自殺? 23年前の真実を求めて、矢口と小日向は元クラスメイトを訪ねるが──。失くしたものも、ふたりでなら見つけられる。喪失を抱えた者たちの人生を全力で肯定する物語。
  • 鉱物 人と文化をめぐる物語
    3.0
    「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えてゐる。」(『銀河鉄道の夜』)。冒頭の「宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか」からはじまり、ミケルアンジェロと竜安寺の関係、モーツァルトが石の名前になったわけ、吉良上野介の墓石など、鉱物の深遠にして、不思議な真実が次々と披瀝される。石に対する深い愛と学識に裏打ちされ、優しい語り口で紹介される「砂漠のバラ」、「火星の石」、「黄鉄鉱」、「ラピスラズリ」は、愛好家ならずとも思わず魅了される。「珠玉」のエッセイ。図版多数収録。
  • 素読のすすめ
    3.5
    「素読(そどく)」とは、内容の理解は後まわしにして、古典を繰り返し音読すること。江戸時代以来、学習の初歩として行われてきたが、これには確かな意味があった。言葉の響きやリズムに浸ることによって感性が磨かれ、学びを深めるための土台をつくるのだ。また、素読は外国語の習得にも効果を発揮する。本書では、著者が子どもたちと実践してきた経験をもとに、素読の具体的な方法や外国における音読の例などをていねいに解説していく。声に出して読むことの意義をいちはやく再評価した書。
  • 史記1 本紀
    3.6
    中国の古典中の古典ともいうべき『史記』の全訳。「本紀」は、黄帝から秦の始皇帝の全土統一を経て、漢の武帝時代にいたる、歴史における帝王の系譜。中国史進展の大筋を「五帝」「夏」「殷」など十二巻で述べる。
  • 中国史談集
    -
    中国小説、なかでも怪異譚や笑話など庶民文学研究の第一人者が、多くの資料に目配りを利かせ、洒脱な筆さばきで歴史の表面に浮かび上がってこなかった知られざる裏面を独自の視点から鮮やかに掘り起こす。採りあげられる話題は、皇帝、彫青、にせ倭寇、流言、筆禍事件等と多彩で、特に仏教の僧侶、道教の張真人、宗教結社の問題は、現代中国にも密接に連なるテーマ性を兼ね備えている。
  • ユダヤ古代誌1
    4.5
    ヨーロッパのキリスト教徒や知識人たちにもっとも広く読まれてきた『ユダヤ古代誌』。天地創造から説き起こし、紀元後66年のユダヤ戦争直前までの記述で終わる全20巻は、ヨセフスが敗軍の指揮官のひとりとしてローマに降ったのち、皇帝の厚遇のもとに書かれた。政治的には親ローマ派であり、思想的にはユダヤ教、ユダヤ文化の弁護者であったヨセフスの大著は、ユダヤ史を知るうえできわめて貴重な史料であるばかりでなく、イエスと同時代の散逸した記述を数多く含む文献として、キリスト教徒たちの関心をひきつけてきた。原著1~4巻までを収める文庫版第1巻は、天地創造からアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフをへてモーセの事蹟に言及する。
  • 一百四十五箇条問答 ──法然が教えるはじめての仏教
    -
    法然が登場する以前、仏教は驚くことに、一部のエリートのためだけに存在する宗教だった。漢文で書かれた難解な経典が読めること、日常生活を気にせず修行に打ち込めること、が条件だったからだ。しかし実際に苦しみ、救済を必要としたのは、文字も読めない市井の人びとに他ならない。そこで法然は、誰でも、いつでも、どこでも実践可能な「念仏」を柱とする浄土宗を打ち立てた。この『一百四十五箇条問答』は、法然の教えに惹かれながらも、従来の仏教との違いに戸惑ったり、生活を改めなければならないのかと不安に思った人びとの145の疑問に、法然がやさしく答えたもの。浄土仏教や法然その人を理解するための、またとない入門書となっている。
  • 道教とはなにか
    5.0
    中国は儒教の国ではない! 道教こそが今でも生き生きと脈打ち、人々から篤い信仰を得ている。「道教がわかれば、中国のことはまるごとわかる」と魯迅は言ったが、中国人の精神構造を知るための鍵は道教なのである。では道教とはなにか? この問いに対する答えは単純ではない。なぜなら、道教は教理、哲学、経典を中心にした宗教体系ではなく、呪術、儀礼、戒律を基礎とした民族宗教であって、文献・資料からだけではその全貌を窺い知ることができないからである。本書では文献による歴史的理解は当然のこととして、東南アジアの華人街の現地調査も踏まえ、中国人のこころの拠りどころとしての「気の宗教」の本質を紹介する。冒頭に初学者のための「道教をめぐるQ&A」を付す。
  • 星の音が聴こえますか
    3.5
    十代での失聴、手話との出会い、聞こえない母親としての育児。かけがえのない〈音〉の記憶と、〈伝え合う〉ことの喜びを瑞々しく綴った処女エッセイ。
  • ぼくの東京全集
    3.0
    小説、紀行文、エッセイ、評伝、書評、詩、俳句。「新東京感傷散歩」でデビューして以来60年以上の文業において、作家は一途に「東京」を歩き、書いてきた。焼跡の鮮明な記憶、銀座に暮らした幼少期の思い出、佐多稲子や辻征夫の作品と人生、「千人斬」松の門三艸子……闊達なユーモアと確かな観察眼で、町とそこに生きる人々を描きだす。『東京骨灰紀行』著者の集大成。
  • ベクトル解析
    4.3
    ベクトル解析は、電磁気学・流体力学などを学ぶ学生に必須の課程で、しばしば工学・物理系の応用数学とみなされがちである。しかし見方をかえて、基礎的な「1次元の線形代数学」から多次元への発展、「1変数の微積分」から多変数関数の微積分への発展、の段階の解析学と考えれば、大学教養課程の結節点ともみなしうる。それはより抽象度の高い、多様体へのゆるやかな第一歩である。本書では、そのような展開性のある位置づけのもとに、森一刀斎が「ベクトル解析のココロ」を開陳する。最終章に新たに、教育的側面を明らかにした「なぜベクトル解析なのか」を加えた。
  • 中国説話文学とその背景
    -
    「私のこの書は私の心を惹かれた中国古典の説話、随筆、短篇小説、歴史の断片などを蒐集して、私の得た新鮮な驚き、感動、あるいは哄笑などを多くの人と頒ち合いたいために書かれたものである」(本書「あとがき」より)。世界的数学者が、その本業の傍ら、永い年月をかけこつこつと集め、訳し、解説を施した“私の「収集展示館」”。原作者の意図や歴史的背景に迫る記述は、随所に新発見、新説、新釈が見られ、新鮮で奥深く、かつ滋味あふれる中国説話文学への誘いとなっている。書き下し文庫オリジナル。
  • 中世の星の下で
    4.0
    遠くヨーロッパ中世、市井の人びとは何を思い、どのように暮らしていたのだろうか。本書から聞こえてくるのは、たとえば石、星、橋、暦、鐘、あるいは驢馬、狼など、人びとの日常生活をとりまく具体的な“もの”との間にかわされた交感の遠いこだまである。兄弟団、賎民、ユダヤ人、煙突掃除人など被差別者へ向けられた著者の温かい眼差しを通して見えてくるのは、彼らの間の強い絆である。「民衆史を中心に据えた社会史」探究の軌跡は、私たちの社会を照らし出す鏡ともなっている。ヨーロッパ中世史研究の泰斗が遺した、珠玉の論集。
  • 魔術的リアリズム ──メランコリーの芸術
    4.0
    1920年ドイツ。表現主義と抽象全盛の時代に突如現れ、束の間妖しく輝き、やがてナチスの「血と大地」の神話の陰に消え去った、幻の芸術があった。歴史の狭間に忘れ去られた画家たちの軌跡を克明にたどり、仇花のごとき芸術の誕生と死を通して、ある時代の肖像を鮮やかに描きだした名著。
  • ルベグ積分入門
    -
    ルベグ(ルベーグ)積分は20世紀初頭に登場したまったく新しい概念である。従来のリーマン積分ではどこに問題があったのか、そしてルベグ積分を定式化するにはどんな基礎概念が必要になるのか。リーマン積分では扱いきれない関数の「反例」のほか、点集合論や測度論などの予備知識を紹介しつつ、丁寧に定理を証明していく。著者は『零の発見』で知られる名文家でもある。本書においても筆さばきは明快そのもので、叙述はまったく古びるところがない。名著のほまれ高い教科書がここによみがえる。
  • 確率論入門
    4.5
    確率をめぐる数学的考察は、賭け事に関してパスカルとフェルマが交わした往復書簡に始まると言われる。組み合わせの概念に基づく古典的確率論は、20世紀になるとボレルやコルモゴロフの手により、集合論に基礎づけられた「現代数学」へと大きく飛躍した。本書はその確率論の古典と現代とを橋渡しする目的で書かれており、トランプやサイコロ投げといった初歩的な具体例を豊富に示しつつ、抽象的な数式の意味を読者にわかりやすく説く。高校数学で習う確率を、より深く学び直すことのできる入門書。
  • 集合論入門
    4.0
    「ものの集まり」や「連続」という素朴な概念。ここから広がる世界は実に深遠だ。19世紀にカントールが集合論の基礎を築くと、ラッセルを筆頭に様々な数学者がパラドックスや難題を発見した。それから現在に至るまで集合論は大発展を遂げ、今やその基礎概念は現代数学のみならず、論理を駆使する哲学にも欠くことができない。本書は古典的集合論の基礎を「集合の代数」「濃度」「順序数」の三部に分けて解説。コンパクトながら懇切丁寧な叙述で独習用としても最適。『数学序説』の著者による、定評のある入門書。
  • 現代思想の教科書 ──世界を考える知の地平15章
    3.9
    現在、私たちを取り巻く「知」の数々は、20世紀以降の世界がおかれた4つの状況から発生する。本書ではそれを、ポスト・グーテンベルク状況、ポスト・モダン状況、ポスト・ナショナル状況、ポスト・ヒューマン状況と名づける。そして、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」「情報とメディアの思想」「ナショナリズムと国家」など、15個のトピックスに切り分け、ソシュール、レヴィ=ストロース、フーコーという巨人たちの思想を読みなおしていく。ありきたりの哲学教科書では学ぶことのできない、現代思想における全ての最重要論点を、一から平明に解く15章の徹底講義。
  • 知的トレーニングの技術〔完全独習版〕
    4.2
    知的創造は形式的な模倣ではなく、その根本まで突き詰めることで初めて可能になる──。そんな明快な観点に立ち、一世を風靡した名テキストが遂に復活! まずは、計画の立て方、発想法、モチベーション管理といった知的生産に欠かせない土壌づくりからスタート。そのうえで、実際的な文章の書き方、読み方から批判的思考の秘訣にまで踏み込んでいく。さらに、付録としてフロイトやボルヘスなど偉大な先達が用いた手法をまとめ、自分なりの思考法を磨けるように構成した。文庫化に際しては、定評ある旧版の内容をさらに精選し、新たにコラムも増補。知的生産のすべてをこの一冊に!
  • 世界マヌケ反乱の手引書 ──ふざけた場所の作り方
    3.0
    まずは、大バカな仲間の作り方、イカサマな金集め作戦など、マヌケ反乱の基本から始まる! そして、最高にマヌケな面白いやつと友達になったり、なんだか知らないけど生きていけたりする空間、金持ちや大企業によって作られた、働きまくって金を使いまくるような消費社会とは無縁な場所を作ろう!!
  • 皇族と天皇
    -
    日本の歴史の中でも特異な存在であった明治以降の皇族。彼らはどのように古来の伝統から離れて生み出され、いかなる事件を様々に引き起こしてきたか。またそれにより、歴代天皇はいかに悩まされてきたのか。ときには政治や戦争にも関わり、陰に日向に日本を動かしてきた皇族たちの動きをつぶさに追い、日本近代史の忘れられた一面に光を当てる。皇族問題の長年にわたる探究をもとに、明治維新から、昭和天皇の退位問題まで、近現代の皇族と天皇の歩みを解明した通史決定版。
  • シュメール神話集成
    3.8
    世界四大文明のひとつであるメソポタミア文明。この「肥沃な三日月地帯」に栄えた文明の基礎を築いたのが、チグリス・ユーフラテス川の下流域に生活していたシュメール人であった。彼らは独特の楔形文字を使って粘土板に神話や叙事詩を刻み、その世界観は後世の周辺地域に絶大な影響を与えたと言われる。旧約聖書の「ノアの方舟」へと継承された「洪水伝説」のほか、「イナンナの冥界下り」「ウルの滅亡哀歌」など、神話を中心に16の文書を精選。他では読むことのできない重要な原典に、充実の注・解説を付したアンソロジー。
  • カタロニア讃歌
    4.8
    ファシズムの暗雲に覆われた1930年代のスペイン、これに抵抗した労働者の自発的な革命として市民戦争は始まった。その報道記事を書くためにバルセロナにやってきたオーウェルは、燃えさかる革命的状況に魅せられ、共和国政府軍兵士として銃を取り最前線へ赴く。人間の生命と理想を悲劇的に蕩尽してしまう戦争という日常──残酷、欠乏、虚偽。しかし、それでも捨て切れぬ人間への希望を、自らの体験をとおして、作家の透徹な視線が描ききる。20世紀という時代のなかで人間の現実を見つめた傑作ノンフィクション。共和国政府の敗北という形で戦争が終結した後に書かれた回想録「スペイン戦争を振り返って」を併録。
  • 龍樹の仏教 ──十住毘婆沙論
    4.0
    『中観論』で名高い龍樹が自らの求道過程を綴った『十住毘婆沙論』。第二の釈迦と讃えられながら、自の力で悟りの境地に達することは、人間には不可能だと判断した龍樹は、阿弥陀の名を呼べば救われるという、誰もが実践可能な道=「易行道(いぎょうどう)」を発見する。『中観論』が学問的に仏教と向き合う書であるのに対し、『十住毘婆沙論』は、自らが見つけた易行道に、多くの迷える衆生を導きたいという、慈悲の心に彩られている。多くの浄土思想家たちに影響を与え、法然・親鸞がその教学の根拠とした究極の救いの書を、わかりやすい現代語訳と注釈で読む。
  • 柳田国男 ──知と社会構想の全貌
    4.0
    民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。
  • ハーン・ザ・ラストハンター ──アメリカン・オタク小説集
    3.5
    大人気アクション小説〈ニンジャスレイヤー〉原作者ブラッドレー・ボンド氏のアメリカン・オタク同人小説コレクションの中から、日本をテーマにした作品を厳選したアンソロジー! ノッペラボウを銃殺する表題作「ハーン・ザ・ラストハンター」をはじめ、SFサスペンスから、ソリッド・ゴア・ホラー、奇跡と感動のカルチャーギャップMMOモノまで、選りすぐりの9編を収録! イラストレーション担当は久正人氏!
  • 書国探検記
    3.2
    今日は澁澤龍彦、山口昌男、明日はユングにカルダーノ、はてはポルノや春本まで、“書物の美食家”エンサイクロペディストによる痛快無比の書物論、読書論。日本、世界の作家、思想家、学者などの書物ワールドを、あたかも花を求める蝶のごとくヒラリヒラリと飛び回る。いい香りを嗅ぎ付けては美味な蜜をしっかりと味わい、栄養はたっぷりと吸い取る。いったい厖大な書物のなかの何を読み、どうつきあったらよいのか。そのはてなき書物の大森林におくすることなく分け入り、からみあった複雑な迷宮の謎を解き明かすスリリングな大冒険。
  • 不在の哲学
    5.0
    古来、西洋哲学は確固とした普遍的「実在」を求めてきた。本書は、そうした客観的・統一的な脱自己中心的世界としての「実在」ではなく、対立概念である「不在」こそが「真にあること」ではないかという問題に取組む。言語=理性を習得してしまった人間は、客観的・統一的な「実在」こそ普遍的であり、それを、多元的・自己中心的な「私の世界」よりも優位に置く図式に、なかなか抗うことができない。そして、自分が住んでいる世界の相貌を語りつくすことができない。それはなぜなのか。不在を生み出す時間、自己と他者というトリック等、数々の哲学のアポリアに迫る、渾身の書下ろし。
  • フンボルト 自然の諸相 ──熱帯自然の絵画的記述
    3.0
    フンボルトの中南米探検行は6年の準備をかけ1799年に始まり、5年の歳月を費やした。彼は、地形や気象、地磁気などを機器測定した科学者であると同時に、ゲーテとの交遊からうかがえるように自然を深く愛好する人でもあった。「長い乾季のあと……草原の情景は一変する」「爽やかな雨を告げるのは、遠くの雷鳴である」「大地の表面が水でうるおされるや否や、かぐわしく匂う草原は多種多様なスゲ科植物、円錐花序モロコシ類、多種多様な禾本科植物で覆われる」。自然の全貌を絵画のように描きだしたこの科学的エッセイは、新しい旅行文学としても人気を博した掌編である。図版多数収録。本邦初訳。
  • ゲーテ形態学論集・動物篇
    -
    生きて発展する刻印されたフォルム! それは動物の骨格に潜在的にそなわっている「比較の第三者」としての原型を意味するゲーテの革新的な生物学思想の言葉である。植物において「すべては葉である」としたゲーテ形態学は、さらに対象を動物にも広げていく。動物形態の多様性は骨学的原型から発するもの、またそれぞれの動物の骨格部分は同一の基本器官のメタモルフォーゼ(変態)と洞察した。それら哺乳類についての論考のほかに、チョウのメタモルフォーゼやヒトの観相学をも含むオリジナル編集になる新訳決定版論考集成。図版多数。哲学しはじめ20世紀後半の現代科学に贈られた、ゲーテの大いなる遺産。『植物篇』の姉妹篇。
  • 増補 民族という虚構
    4.6
    “民族”は、虚構に支えられた現象である。時に対立や闘争を引き起こす力を持ちながらも、その虚構性は巧みに隠蔽されている。虚構の意味を否定的に捉えてはならない。社会は虚構があってはじめて機能する。著者は“民族”の構成と再構成のメカニズムを血縁・文化連続性・記憶の精緻な分析を通して解明し、我々の常識を根本から転換させる。そしてそれらの知見を基に、開かれた共同体概念の構築へと向かう。文庫化にあたり、新たに補考「虚構論」を加えた。
  • 工学の歴史 ──機械工学を中心に
    4.4
    工学とは「ものつくりの科学」である。動力を効率よく伝達する歯車の歯型はどのような曲線なのか。蒸気機関が出せる動力と効率は何によって決まってしまうのか。オイラーは伸開線によるインボリュート歯車を、カルノーは熱の理論を樹立した。「ものつくり」は科学に問いを課し、また科学から方策を授かってきた。本書は、その工学の歴史を、おもに機械工学と力学の話題を中心に展開した。技術開発や研究が最先端に達し、もはや参考となる文献・資料がなくなったとき、その解決のヒントは歴史のなかにある。幕末維新や近代日本に関する研究成果も意欲的に取り入れた力作。資料・図版を多数収録。
  • 現代思想史入門
    -
    二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすい新しいタイプの入門書。
  • 梁塵秘抄
    4.0
    遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん――平安時代末に大流行した「今様」を時の帝王・後白河院が編纂した『梁塵秘抄』。目新しく派手な魅力をもつがゆえに今様と呼ばれた歌謡は、貴賎を問わず大流行した。その主な担い手は社会の底辺を生きる女性芸能者であったが、今様の魅力に取りつかれた院は、周囲に眉を顰められながらも、遊女や傀儡女を召しては習い、狂おしいまでの熱中ぶりであったという。本書には、みずみずしく時にユーモラス、また時に悲惨でさえある、『梁塵秘抄』の生き生きとした今様から代表歌を収録。懇切な解説によってその世界が現代によみがえる。
  • いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか
    4.3
    霊学研究の諸成果に関心を寄せる人々の中には、そのような人生の高次の謎を口にする者が一体どこからその知識を得たのか、という点に疑問をもたざるをえない人もいるであろう。本書はまず第一にこのような人のために役立ちたいと望んでいる。霊学は人生の高次の謎の本質に深く係わろうとする。この霊学からの発言の根底にある諸事実を吟味しようとする人は自力で超感覚的な認識を獲得しなければならない。本書はそのための道を記述しようとしている。四大主著の一冊。
  • 星か獣になる季節
    3.9
    1巻1,397円 (税込)
    ぼくのアイドルは殺人犯!? 推しの地下アイドル・愛野真実が逮捕されたというネットの噂から平凡な高校生・山城の日常はデスペレートに加速しはじめる――。地下アイドルの“きみ”、イケメンの“あいつ”、冴えない“ぼく”、ギリギリを生きる魂たちが織りなすダークでポップな純度300%の青春小説!!
  • 工場日記
    3.8
    新進のうら若き女性哲学教師が教職をなげうち、未熟練の女工として工場に飛び込んだのは、市井の人びとの疎外状況を身をもって知るため、というだけではなかった。「人間のありのままの姿を知り、ありのままを愛し、そのなかで生きたい」という純粋かつ本質的な欲求による、やむにやまれぬ選択であった。だが、現実には激しい労働と限りない疲労に苛まれ、心身は限界に達する。過酷な日々を克明に綴った日記は問いかける、人間性を壊敗させる必然性の機構のなかで、はたして人間本来の生は可能なのか――。これは極限の状況下でひとりの哲学者が自己犠牲と献身について考え抜いた、魂の記録である。
  • レヴィナスを読む ――〈異常な日常〉の思想
    -
    世界大戦・革命・ユダヤ人虐殺という危機的状態を経験した現代人の運命と向き合い、他者について、責任について、独自の思想を紡ぎだした現代フランスの思想家エマニュエル・レヴィナス。本書は、“20世紀の証人”とも称されるその思想の核心を、レヴィナス研究の第一人者である著者が紹介しながら、フッサール、ハイデガー、スピノザ、サルトルら他の思想家とも比較。慢性的な疲労とストレスに満ち、出口とてない現代という異常な時代にあって、「隣人」という難題を抱えて生きるための、新たな倫理を探る。
  • 戦争の技術
    4.0
    『君主論』でカリスマ権力者による政治主導を訴え、『ディスコルシ』で市民に国を守る自覚をうながしたマキァヴェッリは、本書で、強く、かつコントロールしやすい軍隊の作り方を説く。群雄割拠の時代、他国との戦いを勝ち抜かなければならないのはもちろんだが、同時に司令官たちの台頭も警戒しなければならない。軍制改革の特命を帯びた彼は、厳しい訓練によって兵士を鍛えるとともに、クーデターを未然に防ぎ、不満分子を矯正するための管理体制を構築する。マキァヴェッリ政治思想を理解する上で欠くことのできない一冊。ボリンギエーリ版、ナツィオナーレ版に依った改訳決定版。
  • 知性の正しい導き方
    3.5
    名誉革命後の混乱と喧噪のなかで、人間の自由と自主独立について徹底的に思考し、新たな論理学に基づいた知性のあり方を探究したロック。彼は、知性は誰にでも平等に備わっており、訓練や努力を重ねることで改善できるはずだ、と言う。近代の代表的思想家が伝授する、自分の頭で考えるための実践的メソッド。
  • 贈与論
    4.1
    ポトラッチやクラなど伝統社会にみられる慣習、また古代ローマ、古代ヒンドゥー、ゲルマンの法や宗教にかつて存在した慣行を精緻に考察し、贈与が単なる経済原則を超えた別種の原理を内在させていることを示した、贈与交換の先駆的研究。贈与交換のシステムが、法、道徳、宗教、経済、身体的・生理学的現象、象徴表現の諸領域に還元不可能な「全体的社会的事象」であるという画期的な概念は、レヴィ=ストロース、バタイユ等のちの多くの思想家に計り知れない影響とインスピレーションを与えた。不朽の名著、待望の新訳決定版。人類社会のアルケーヘ。
  • 夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
    3.9
    筆下し、水揚げ、若衆入り、夜這い……。ムラであれマチであれ、伝統的日本社会は性に対し実におおらかで、筒抜けで、公明正大であった。日本民俗学の父・柳田国男は“常民の民俗学”を樹ち立てたが、赤松は、「性とやくざと天皇」を対象としない柳田を批判し、“非常民の民俗学”を構築し、柳田が切り捨ててきた性民俗や性生活の実像を庶民のあいだに分け入り生き生きとした語り口調で記録した。『夜這いの民俗学』『夜這いの性愛論』の二冊を合本した本書は、性民俗の偉大なフィールド・ワーカー赤松啓介のかけがえのない足跡を伝える。【解説:上野千鶴子】
  • 琉球の時代 ――大いなる歴史像を求めて
    4.5
    いまだ多くの謎に包まれた古琉球王国。歴史をひもといてみると、壮大な交易ルートを通じて築き上げた華やかな文化を誇っていた。中国、マラッカやポルトガル等、海外の文書に記された当時の王国の姿などを参考にしながら、その栄光と悲劇の歴史ドラマにわけいる。沖縄独自の文化と世界像に新たな光をあてた歴史的名著。
  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1
    5.0
    1~3巻1,397円 (税込)
    売り出されたいわくつきの古い屋敷。屋敷を買った叔父の命で下検分に出かけた主人公は謎めいた美しい女性と出会う。次々と現れる謎の人物。首なしの死体。時計塔のからくり。……「その怖さと恐ろしさに憑かれたようになってしまって、(中略)部屋に寝転んだまま二日間、食事の時間も惜しんで読みふけった」(江戸川乱歩)という名作「幽霊塔」と、父の死をめぐる意外な顛末が秀逸な中篇「生命保険」を収録。
  • 資本主義のパラドックス ――楕円幻想
    5.0
    近代社会存立の仕組みには、自己否定へ導くダイナミズムが潜んでいる。本書では自身の中に他者を孕むその様を、二つ焦点(=中心点)をもつ楕円になぞらえ、近代の本性に迫る。他者という存在に投資することで初めて成り立つ資本制の構図を明らかにし、その起源を錬金術に求めた。近代の萌芽から帰結まで様々な題材を議論することで、我々の社会の有様を示す。現代社会の問題に真摯に向き合いつつその行く末を論じる、著者の多層的見識が十全に発揮された意欲的論考。
  • 敗戦後論
    4.2
    「戦後」とは何か? 敗戦国が背負わなければならなかった「ねじれ」から、われわれはどのような可能性を受けとるべきなのか? 自国の戦死者への弔いが先か、被侵略国の犠牲者への謝罪が先か。発表後、大きな反響を巻き起こしたラディカルな議論の原点が蘇る。靖国問題や政治と文学について考えるための基本書。
  • 甘い蜜の部屋(上)
    -
    1~2巻1,397円 (税込)
    裕福な家庭の一人娘として父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った美少女モイラ。生来の類稀な美貌と不可思議な香気を放つ皮膚、無意識な媚態は、周囲の男たちを翻弄し、次々と破滅させていく。一方で彼女は心の中では終始、父親との甘く濃密な愛の部屋に棲んでいた……。十年の歳月を費やして完成された傑作長編。泉鏡花文学賞受賞作品。
  • 完訳 ハックルベリ・フィンの冒険(上) ――マーク・トウェイン・コレクション(1)
    -
    腕白少年のいたずら冒険物語と思われているが実はヘミングェイが「アメリカ文学はみんなこの小説から出てきている」と言っている古典の完全訳。窮屈な生活から逃げ出したハックは、逃亡黒人奴隷のジムとミシシッピーを流れる筏の上で自由な生活を始める。当時は奴隷制度は当然のこと。ハックもジムの逃亡を助けることに良心の呵責を感じるものの、彼の深い人間性に触れ「逃亡を助けたために地獄に落ちるのならそれでもいい」と自分の感じたことに忠実に生きてゆくようになってゆく。
  • 少年キム
    5.0
    19世紀後半、大英帝国は黄金時代を享受していた。ところが英領インドを目指すロシアの南下に伴って「グレート・ゲーム」(闇戦争)が勃発。激しい謀報活動が繰り広げられる。インドの豊かな自然を舞台に、次第に戦いに巻き込まれていくインド生まれのイギリス少年キムの成長を描く冒険小説の傑作。
  • 悪魔はあくまで悪魔である ――都筑道夫恐怖短篇集成(1)
    4.5
    1~3巻1,397~1,496円 (税込)
    「なんでも三つ願いごとをかなえます」悪魔の誘いに応じた男を待ちうける出来事とは……。悪魔に見込まれた男の“取りひき”を描く表題作ほか、切れ味鋭い恐怖短篇の傑作を全3冊にまとめるシリーズ第一弾。
  • さようなら、オレンジ
    4.0
    1巻1,397円 (税込)
    オーストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。第29回太宰治賞受賞作。
  • スペインを追われたユダヤ人 ――マラーノの足跡を訪ねて
    4.5
    15世紀末、カトリック・スペインはイスラム勢力を一掃するとともに、ユダヤ人の追放を決定した。全ヨーロッパへ四散するユダヤ人たち。しかし、その多くは改宗の道を選ぶ。彼らは「マラーノ」(豚)と蔑まれながら、異端審問の恐怖と迫害に耐えていった。そもそも固有の領土を持たないユダヤ人が、自己をも否認するという《二重の否定性》――「マラーノ性」は精神の奥深く刻印される。彼らの足跡を辿り、マラーノ精神の体現者スピノザ、マン、カネッティを語る壮大な精神史の試み。
  • 変半身(かわりみ)
    3.6
    1巻1,441円 (税込)
    太平洋に浮かぶ人口2000人ほどの離島・千久世島。造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つ島では「海のもん」と「山のもん」が時折いがみあいながらも共存してきた歴史があった。島では年に一度、秘祭「モドリ」が行われる。14歳になり、初めて「モドリ」に参加させられることになる私と親友の花蓮は、その年の生贄が同級生の高城くんになることを知る。因習に満ち閉塞した島を脱出しようとするが──。歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく。村田沙耶香初の試みとなる、演劇界の鬼才・松井周と練り上げた千久世島ワールドを舞台に、人間が変わり世界が変わりゆく悪夢的現実を圧倒的イマジネーションで紡ぐ。「早稲田文学増刊 女性号」掲載の、既存の「性」の役割を根幹から揺さぶり話題となった中編「満潮」を併録。
  • 日本語全史
    4.3
    日本語の全史を一冊でたどる初めての新書。日本語の変遷を古代(前期・後期)/中世(前期・後期)/近世/近代という時代ごとに、総説・文字・音韻・語彙・文法の五つに分けて整理していく。日本語は世界の言語の中でも比較的、古代からの変遷が少ない。であればこそ、現代語との関わりのなかで、日本語史を記述していくことが可能となるのだ。日本語の変遷の全体像がわかるだけでなく、現代の一部の慣用表現や方言などに残る過去の日本語の痕跡をたどっていく謎解きとしても楽しめる一冊。
  • 信頼
    NEW
    -
    本能を呼び覚ませ 旅のなかで遭遇した事物がもたらす情動と思考 読む者の心を深い地点から揺さぶる20篇 旅のなかで遭遇した信頼のかたち。湧きあがり、おのずから増大する点で信頼は勇気に似ている。洞察と情動に満ちた哲学的旅行記。 === 跳躍とともにおのずから増大していく点で、他者への信頼は勇気に似ている──。トンブクトゥからリマ、シドニー、ラサ、カイロへ。旅先での邂逅がもたらす衝撃と驚きと発見、そして溢れ出る情動。ある地では、現代における聖性への問いが、また別の地では、正義を求めた情熱の残響があった。未知なるもののなかへ身を投じることで、人ははじめて生の力が何であるかを知る。その瞬間に際しては、精神を空にし、自我を消し、言葉を黙らせるのだ。理性を超えた感情のほとばしりやうごめきを研ぎ澄まされたまなざしでとらえた20篇の記録。 【目次】 はじめに I アラワーヌ ノーリアの歌 ファサード 知りえぬ知性 リング II 古い病院 III タイフーン サンパウロ 男 手紙 無心の歌 アディス・アベバ ラブ・ジャンキーズ IV 理解 恐ろしい神秘の晩餐 絶滅した宗教の復活 ラリベラ ヴードゥ 湧きあがる V 寡黙 注記 訳者あとがき 解説(管啓次郎)
  • 冗談に殺す ――夢野久作ベストコレクション 久の巻
    -
    怪物 夢野久作 ちくま文庫への帰還 没後80年を前にますます高まる人気熱 怪物による狂気の文学に思う存分、狂っていただきたい 傑作中・短編を2冊にまとめる決定版的作品集 【内容紹介】 没後90年を目前に今もなお新たな読者を獲得し続ける夢野久作の中・短篇を網羅する決定版的作品集。日本三大奇書『ドグラ・マグラ』をもって語られる作家だが、約10年の活動期間に発表した長篇は『犬神博士』『暗黒公使』『ドグラ・マグラ』3作であり、氏の持てる作家性は中・短篇にこそ発揮されていたといって過言ではない。「氷の涯」「冗談に殺す」「人間腸詰」他、15作を収録するシリーズ下巻。
  • 史料が語るビザンツ世界
    4.0
    千年の帝国を人々はどう生きたか 貴重な史料の数々で案内するビザンツ世界 千年におよぶビザンツ帝国の歴史の中で、人々はどのような生を送ったのか。皇帝、宦官から異民族まで、貴重な史料の数々を通してその実像に迫る。 === ローマ帝国の東西分裂後、千年余りにわたって存続したビザンツ帝国。ローマに比してその実態が語られることの少なかったビザンツ世界を、歴史書や各種の勅令、聖人伝など豊富な史料から読みといたのが本書である。専制君主として君臨しつつもたびたび暗殺や処刑の対象となった皇帝、時に政治を左右するほどの実権を握った宦官、理想的キリスト教徒として民衆の精神的支柱となった修道士、尊敬や敵対の念を抱きながらビザンツと交流したイスラーム世界・カトリック世界の隣人たち──。史料に刻まれた人々の営みから、ビザンツ世界の多様な相貌が浮かび上がってくる。巻末に詳細な史料解題を付す。
  • あやかしの鼓 ――夢野久作ベストコレクション 夢の巻
    3.5
    アンチ・ミステリの金字塔『ドグラ・マグラ』で知られる夢野久作には、バラエティに富んだ中・短篇の傑作が数多くある。編者・日下三蔵はかねてよりこれらを網羅する決定版的作品集を構想してきたが、遂にそれが大ボリュームの文庫全二巻で実現。『ドグラ・マグラ』とともに、夢野久作に溺れるのであれば〈まずはこれから〉。「死後の恋」「瓶詰地獄」「押絵の奇蹟」他、13作を収録する上巻。
  • 仮面と神話
    -
    全世界の人類文化において、宇宙観は「三つの大きな段階」を経てきたと著者は説く。それはどのようなものなのか。本書では、言葉で伝えられる〈口承文芸〉の起源と未来、世界の神話にみられる太陽と月の重要性、地域による天父・地母型/天母・地父型の違いに、順を追って迫る。ついで、太平洋における若者組や、東アジアの成年式、日本の稲作文化と正月行事へと、徐々に焦点が絞られていく。多数の図版や具体例、地理的分布図とともに、平明に語られる、壮大な大林神話学への道案内というべき書。解説:松村一男
  • オートポイエーシス ――生命システムとはなにか
    -
    自律性、個体性、境界の自己決定、入出力の不在。これらを特徴とし、自己を産出するネットワークを不断に再生産し続けるシステム、それがオートポイエーシス・システムである。神経生理学の研究から導き出されたこの構想は、観察者の視点からではなく、システム自身からシステムを定式化しようと試みたもので、生命のみならず認知の領域をも射程に入れる。その可能性は社会学、経済学、法学、精神医学など多分野において汲み取られ、豊かな展開を遂げた。閉鎖系のダイナミクスがもたらす開放性の新たな意味とはなにか──。第三世代のシステム論のモデルを高度な記述とともに提示した独創的著作。
  • 全てと無 ――世界の存在をめぐる哲学
    -
    あらゆる対象を丸ごと含む全体としての「世界」なるものは存在しない。存在するのは「意味の場」に現れる何者かだけである――新しい実在論を展開するマルクス・ガブリエルと、これを真っ向から退けるグレアム・プリースト。「世界は存在しない」とはどういうことか。当代一の哲学者が、「全て(everything)」と「無(nothing)」をめぐって交わした論考と討議を収めたスリリングなドキュメント。大陸哲学と分析哲学の垣根を越え、現代思想の新地平を切り拓く、最高レベルの知の格闘を目撃せよ。
  • 火炎人類
    -
    アーサー・C・クラーク、スタニスワフ・レム、J・L・ボルヘスに絶賛され、物理学者フリーマン・ダイソンなど多方面に大きな影響を与えた伝説的SF作家オラフ・ステープルドン傑作選。本邦初訳多数! カッスが山歩きの途中で拾った石を暖炉に投げ入れると、不思議な炎があがり、テレパシーで語りかけてきた。それは炎の形態をした知的生命体で、太陽系形成期に太陽から飛び出し、数十億年ものあいだ地球の石の中に閉じ込められていたのだ。火炎人類との対話を通して宇宙精神と生命の秘密に迫る表題中篇に、本邦初訳の珠玉の短篇群、『最後にして最初の人類』ラジオドラマ版他を収録した傑作選。
  • 敗戦日記
    3.0
    「この小さなノートを残さねばならない。あらゆる日本人に読んでもらわねばならない」。敗戦へと向かうなかで綴られた日記。分量は45頁ほど。1945年3月11日から始まり、大部分はフランス語で書かれている。そこには、国家への絶望と希望のはざまにあって、一人の文学者がいかに苦悩し、いかに正確な判断を下そうとしていたか、生々しい声が記されていた――。本書は、日記全文の翻訳に、串田孫一宛書簡と関連の文章15篇を加えたほか、戦後数カ月分の日記も収録。日記の原文は口絵に収めた。
  • 倫理思考トレーニング
    4.0
    物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学
    4.6
    世界から隔絶されているように感じられ、絶望的な孤独のなかで自分自身が分断されていく―統合失調症とはそうした病である。しかし、患者の世界に徹底的に寄り添い、彼らの声に真摯に耳を傾けていくなかでみえてくるのは、苛烈な現実に身を置かざるをえなかったひとりの人間が、それでもなんとか生きようと苦闘する、その姿である。従来の精神医療のあり方に疑問を抱き、反精神医学運動の旗手となった異才の精神科医R.D.レイン。その主著にして、ドゥルーズ=ガタリらの現代思想や、今日のサブカルチャーにも多大な影響を与えつづける古典的名著。
  • 蒋介石 ――「中華の復興」を実現した男
    4.5
    蔣介石は、半植民地化されていた近代中国の国際的地位を飛躍的に押し上げた。中国軍の総司令として抗日戦争に勝利し、外交手腕によって中国が戦後、国連安保理の常任理事国を担う礎を築いた。彼こそ「中華の復興」を実現した人物と言える。しかし、毛沢東と対立した彼は、中華人民共和国では長く「人民の公敵」とされ、台湾では恐怖政治の主導者として記憶されている。親日家として戦後日本の運命を変えた蔣介石の素顔を描いた決定版評伝が、もう一つの近代中国史を明らかにする。
  • 金持ち父さんの学校では教えてくれないお金の秘密
    3.9
    この本は、学校では教えてくれない大切なことを教えてくれる。あなたが豊かな生活を送りたいと願っているなら、それを実現する自由を手に入れるための秘密兵器がこの本だ。学校の成績がよくても悪くても、あなたには経済的に成功するだけの頭脳がそなわっている。お金について学び始めるのに「早すぎる」ことは決してない。今すぐ始めよう。
  • 精神の幾何学
    -
    精神の病を捉えるにはどのような基準を持てばよいのか。本書は、多領域の知見を経ながらそのことを提示しようとした試みである。著者が方法論の基盤とするウォーコップの哲学を解説した後、言語をめぐる考察が展開される。そして、立体的で非対称性を持った対のカテゴリー『パターン』、体験距離から成り立つ「ファントム空間」、形式的・構造的・関係的要因を意味する「図式」という三つの概念を手がかりに、精神分裂病(統合失調症)の幾何学的構図が描かれる。独創的なファントム論を展開した著者の核心をなす作品。解説にかえて 内海健
  • 崩壊概論
    -
    透徹した懐疑が矛盾の総体たる世界を熾烈なまでに問いただす。信念は解体され、拠って立つ基盤は崩壊する――。幻影の破棄と新たな幻影を希求した本書は、シオランが母語であるルーマニア語ではなくフランス語で初めて著した作品。未来に倦み、同時に言いようのない渇きに襲われながら、思想家は敗滅へと向かう人間の宿命を凝視する。繊細と皮肉、陶酔と幻滅、憤怒と倦怠、明視と錯乱……。不眠の夜々に咲いた断章群、それは、まぎれもなく現代の黙示録としてわれわれの精神に浸潤し、揺さぶりをかけるだろう。解説 大谷崇
  • 日本群島文明史
    3.0
    日本は群島であり、日本文明は群島文明である。大陸文明的な実体系思考よりも群島文明的な非実体系思考が優勢で、そうした世界観から生命は偶発的なものという感覚や共同主観の構造、革新性をもたらす美意識などが展開され、日本文明が創り出されてきたのだ。そうした日本の歴史的動態を描きつつ、日本の群島文明を形成する東アジアの哲学を「通底哲学」として世界哲学の中に置き直し、より深い文明論として展開する。日本の知の歴史を総合的に理解する、著者独自の日本思想大全。
  • 海とサルデーニャ ――紀行・イタリアの島
    -
    「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自然と人々。市場の野菜。山々を行く汽車とバス。だがこの島にも第一次世界大戦後の世情が影を落とし……。作家は確かな直感と観察によって、旅の跡を活き活きと書き綴る。本文庫では原書初版で削除された箇所を復元。ロレンス文学の頂点と評される傑作旅行記を名訳で。
  • 踊念仏
    -
    民衆が歓喜のさまを表わす、素朴な感情表現としての踊り。そこに神事や仏教が融合し、発生したものが踊念仏である。一遍・法然研究の第一人者であった著者が、踊念仏という活動にスポットを当てることで、開祖の大きさを日本仏教史や民間信仰の体系の中で捉えなおしたのが本書である。古代における踊りの意味から掘りおこし、空也・一遍ほかの聖たちと踊念仏の盛興、他宗派からの批判、念仏踊や阿国歌舞伎など芸能に与えた影響、さらに後世の各地に継承された習俗にまで、幅広く目を配る。
  • 近代日本の中国認識 ――徳川期儒学から東亜協同体論まで
    -
    近代日本の思想史に映し出された中国像とはどのようなものだったのか。本書は、江戸時代の儒者や国学者らの中国観から、明治維新・日清戦争を経て、民族を超えた全体を目指す東亜協同体論が構想されるまで、代表的人物に寄り添いながら、中国理解の変遷や思考のありかたを追う。畏敬や脅威、軽侮という感情の振幅のなか、他国を正しく認識しようと苦闘した日本人の足跡。そこから、われわれは何を学べるだろうか。国家を超えた理念を呈示することはできるだろうか。日中関係史の精緻な考察は、いまもって喫緊の課題である〈他者理解〉に向けて読者の再考を促す。学殖溢れる渾身の思想史講義。
  • 内調 ――内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス
    4.3
    日本の内閣情報機構は公的情報が少なく、内部証言も断片的だったため、これまで実態が未解明だった。本書は一九三六年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた一九七二年頃までの実態を、この間の情報機関に深く関わった三人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言をもとに描く。政府寄りの世論形成に取り組み、時には他省庁の取り組みにくい政策課題に自らの存在価値を見いだした内閣情報機構の実像に初めて迫る。
  • 野生のうたが聞こえる
    5.0
    オークの年輪、ヤマシギのダンス、夏の川がつくるビロードの草地……。生態学的知識を携えて観察し、土地へのたゆまぬ愛と尊敬を捧ぐエッセイは、アメリカの自然をみずみずしく描き出して環境運動のバイブルとなった。同時に本書は、適切な自然管理・保護とはなにか、自然への感受性を高めるためにはどうしたらよいかといった課題にも対峙する。その答えを倫理に求め、共同体という概念の枠を土壌や水、植物、動物までを含む土地全体に広げる「土地倫理」を提唱した。ソローの著作と並び立つ環境倫理学の古典。
  • 数とは何かそして何であるべきか
    -
    「切断」の概念により実数の厳密な基礎付けを試みた『連続性と無理数』、そして数学的論理のみから自然数論を展開した『数とは何かそして何であるべきか?』の、デデキントの業績を代表する2篇のモノグラフを収録。付録としてエミー・ネーターとエルンスト・ツェルメロの論考に加え、デデキントの議論を補いつつ不完全性定理や連続体仮説までをも射程に入れた、訳者による「現代の視点からの数学の基礎付け」を収録。長く読み継がれてきた数学論の古典、待望の新訳!
  • 改稿 日本文法の話〔第三版〕
    -
    「文法とは覚えるべきものではなく、考えるべきもの」として、日本語文法のあらましを平明に解説。話し手は「意味と意味との連合における共通の型」ともいうべきものに適応しながら、聞き手になにごとかを伝えようとする。文法が形づくられるのは、そうしたやりとりの場を通してだ。山田孝雄、橋本進吉、時枝誠記らの学説を踏まえながら、本書は日本語文の構造や単語の種類などをひとつひとつ明らかにしていく。日常のことばへの関心と正確な認識を得ることが文法学習の意義であると訴え、長年にわたり多くの読者に親しまれてきた定評ある概説書。
  • 東アジア現代史
    4.7
    「日本」「中国」「朝鮮」諸国を擁する東アジア世界は「鎖国」の終焉と共に近代化を迫られた。西洋列強の外圧の中で、植民地化や二度の大戦を経て、二一世紀の現代、劇的なまでの経済発展を達成している。一方で中国と朝鮮半島には今なお冷戦構造が残り、約二百年にわたるこれまでの歴史は、少子高齢化や安全保障にかかわる難問を投げかけている。協調と衝突を繰り返し突き進んできた過去を振り返り、未来につなげるための一冊。
  • メメントラブドール
    3.6
    1巻1,496円 (税込)
    私には幾つか顔がある。裏アカ男子、男の娘キャスト、院卒若手正社員――ペルソナたちがハレーションする新宿区在住20代♂の令和五年。第40回太宰治賞受賞。
  • 古代技術
    3.0
    古代ギリシアを中心とした技術史であり、当時の科学技術水準の高さを豊富な実例で伝える。著者ヘルマン・ディールスは、『ソクラテス以前哲学者断片集』の編纂者としても知られる古典文献学の権威。取り上げる技術は、戸や錠といった木工芸から、蒸気機械、通信術、飛び道具、時計、化学技術まで幅広く、登場人物もアルキメデス、ホメロス、ヘロン、ウィトルウィウス、デモクリトスなど縦横無尽だ。史料や文学作品を駆使し、精緻な文献学的知識と古物再現への情熱をもって行われた、臨場感あふれる古代技術講義。図版多数。
  • 絵画空間の哲学 ――思想史の中の遠近法
    -
    “遠近法”という表現様式は自明のものではなく、ルネッサンス期に確立したひとつの世界観である。パノフスキーらも論じてきた遠近法の成立や発展の背景を、本書は思想史的観点から深く掘り起こし、水墨画や日本絵画における表現法も引きくらべつつ、絵画の一技法という枠を越えて文化全体の文脈のなかで、その真の世界観的意義を捉えなおす。さらに、カントやヘーゲルなどのドイツ観念論における芸術理論、近代日本絵画における格闘を追いながら、美術と哲学の関わりを掬いだす。ユニークな切り口で美術史学の重要論点に切り込んだ名著。
  • パリ 華の都の物語
    3.0
    ケルト人の集落に端を発するパリは、今も街のあちこちに過去の時間を宿している。伝統を重んじつつ新陳代謝を繰り返す芸術の殿堂ルーヴル美術館、ナポレオンやオスマンの都市計画、豪華絢爛なオペラ座の秘密、ピカソの「洗濯船」とシャガールの「蜂の巣」、パサージュとカフェ、歴史に名を刻む死者たちが眠る墓地……。この唯一無二の街を美術史家と歩き、体感しよう。貴重なビジュアル資料を含むカラー図版約300点とともに読み解くパリの歴史と芸術のすべて。美術館案内付き!
  • 増補 決闘裁判 ――ヨーロッパ法精神の原風景
    5.0
    生命を賭して一対一で戦い、その結果にしたがって紛争を決着した「決闘裁判」。中世ヨーロッパに広く普及したこの裁判は、どのように行われ、いかにして終焉を迎えたのか。決闘裁判は、熱湯神判、冷水神判といった神判が禁止された以後も、1819年にイギリスで廃止されるまで存続した。それはなぜか。著者は、解決を他者に任せない自力救済の要素に、現代にまで通じる「当事者主義」の法精神をみる。法とは何か、権利や自由、名誉や正義とはどんなものかといった深い問いを投げかける法制史の名著に、「法と身体のパフォーマンス」を増補した決定版。
  • 新版 プラトン 理想国の現在
    4.0
    「理想」という語は、明治の時代、プラトンの「イデア」の訳語として造られ、定着した。そしてプラトンの最高傑作『ポリテイア』(『国家』)が『理想国』の標題で出版され、近代国家建設をめざす多くの日本人の希望の拠りどころとなる。だが、新たな理想社会を創らんとするその熱情は、やがて全体主義に利用される運命を辿った――。かくも激しく人々の魂を突き動かしたプラトンの理想主義哲学とは、果たしていかなるものか。『ポリテイア』の核心を読み解くことで、哲学という営みが切りひらく最良の地平を描き出す。初学者への案内として「プラトン『ポリテイア』を読むために」を付した決定版。
  • 自分以外全員他人
    3.6
    1巻1,496円 (税込)
    マッサージ店で勤務する柳田譲、44歳、独身。傷つきやすく人付き合いが苦手な彼の心を迷惑な客や俗悪な同僚、老いた母や義父が削り取っていく。自分が暴発してしまうまえに自死することだけが希望となった柳田をさらに世界の図らざる悪意が翻弄する――。第39回太宰治賞受賞作。
  • ローマ人の世界 ――社会と生活
    -
    ローマには歴史のすべてがある! 聖なるものと人間的なもの、すべてが混ざりあうことによって、ローマは「永遠の都」と呼ばれる歴史の重みをもつに至った。そこでは貴族から職人や芸術家などの市井のひとびとまで、どのような一日を過ごしていたのだろうか? ローマ人の識字率はどのくらいだったのか? 西洋古代史学の泰斗がローマの古代社会と生活について、ポンペイやカルタゴの故地なども巡りつつ、具体的な姿を掘りおこし生き生きと描きだす。ひとびとが「われらの海(マレ・ノストルム)」と呼んだ地中海世界へと読者をいざなう一冊。
  • 初等整数論
    -
    「やさしい整数のなかには思いがけないほど深く、ほとんど神秘的といってよいほど美しい様々な法則が潜んでいる」(本書「はしがき」より)。整数論には「帰納と演繹」、「構造」といった数学の柱となるような重要な概念や未解決の問題が含まれ、いちど知ったら忘れることがないくらい、鮮やかな印象を与えると著者は説く。数学を実用主義的観点から解き放し、「おもしろさ」、「楽しさ」を不可欠の要素として見直した出色の入門書。『微分と積分』と並ぶ主著。文庫版付録として「数学教育の2つの柱」を収録。
  • メディアの生成 ――アメリカ・ラジオの動態史
    -
    メディアの近未来を予測するとき、ラジオの歴史から学ぶことは多い。20世紀が幕を開けた頃、電波を用いたコミュニケーション領域=無線は、最新のニュー・メディアだった。そこから徐々にラジオ放送が産業として編成され、マス・メディアとして確立し、日々絶え間なく放送される番組が人々の生活文化を形成していくことになる。本書は20世紀初頭から半ばまでのアメリカにおけるラジオの動向を通じ、メディアが経験した地殻変動や、近代社会における文化の諸相に迫る。インターネット登場前夜に書かれた名著に、新章を増補した待望の文庫版。
  • 彗星交叉点
    4.0
    1巻1,496円 (税込)
    街角でふと耳にした会話、お店の看板……たまたま出会った言葉の断片が詩に見えてくることがある。そんな「偶然性による結果的ポエム」についての考察。【目次】この本の目次/忘れ得ぬ言葉/前にも云ったかもしれないけど/白い天然、黒い天然/最期の言葉/ネーミング/客たち/自慢/本当の名前/脳内留学生との会話/兄弟姉妹/怪しい扉/無茶/花だと思ったこともない/駅前の「声」たち/もげたり、にえたり/正解は後ほど/おにぎりの病院/その言葉を自分に向かつて云うのは/ありがとうござ/ベー/名前の教え方/名前の教え方・2/自分の伝え方/熱いアンケー卜/昭和の逆襲/午後のくノ一/生きていく力の強さ/間違いよりも変/名前の間違えられ方/「あやせない」と「くどけない」/間違った夢/辿り着ける地図/謎の言葉を発する人/待遇の良い会社/店名の謎/おませ/ヒヤリング/昭和?/ヌーン/衝撃の記憶/ざっくりショツク/父の口癖/オーラ/精密妻/混乱書店/強気な店/エラーミッキー/グミと赤裸々/眩しい言葉/失言/くらっとくる言葉/昭和のテレビ/振り切られる言葉/電気のコンセント/即答断言ガールズ/名付けのカ/隣の声/ラインマーカーズ/この本の目次/忘れ得ぬ言葉/前にも云ったかもしれないけど/白い天然、黒い天然/最期の言葉/ネーミング/客たち/自慢/本当の名前/脳内留学生との会話/兄弟姉妹/怪しい扉/無茶/花だと思ったこともない/駅前の「声」たち/もげたり、にえたり/正解は後ほど/おにぎりの病院/その言葉を自分に向かつて云うのは/ありがとうござ/ベー/名前の教え方/名前の教え方・2/自分の伝え方/熱いアンケー卜/昭和の逆襲/午後のくノ一/生きていく力の強さ/間違いよりも変/名前の間違えられ方/「あやせない」と「くどけない」/間違った夢/辿り着ける地図/謎の言葉を発する人/待遇の良い会社/店名の謎/おませ/ヒヤリング/昭和?/ヌーン/衝撃の記憶/ざっくりショツク/父の口癖/オーラ/精密妻/混乱書店/強気な店/エラーミッキー/グミと赤裸々/眩しい言葉/失言/くらっとくる言葉/昭和のテレビ/振り切られる言葉/電気のコンセント/即答断言ガールズ/名付けのカ/隣の声/ラインマーカーズ
  • 休館日の彼女たち
    3.8
    1巻1,496円 (税込)
    算数で「平行」を習ったときから、ひとには見えない黄色いレインコートに身をつつむことになったホラウチリカ。ある日、大学の恩師から紹介された仕事は古代ローマの女神像のおしゃべり相手だった――。誰もがコミュニケーション不全を抱える世界で、有機物と無機物の境界すら越えて、わたしとヴィーナスは手に手を取り合い駆け出していく。新しい関係性の扉をひらく無敵のシスターフッド小説!!
  • 棕櫚を燃やす
    4.0
    1巻1,496円 (税込)
    父のからだに、なにかが棲んでいる――。姉妹と父に残された時間は一年。その日々は静かで温かく、そして危うい。第38回太宰治賞受賞作と書き下ろし作品を収録。
  • タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース
    4.1
    1巻1,496円 (税込)
    とある団地で5歳上の姉・七海と暮らすみかげ。父とは死別し、母は数年前に出て行ったきり。家計を支える姉に心苦しさを覚えながらも、ぜんそく持ちで、かつ高校でいじめに遭い定時制高校に通っていることもあり、自分の無力さにうちひしがれて、未来に希望が持てず「死」に惹かれはじめる。そんな彼女の前に団地警備員を名のる奇妙な老人・ぜんじろうが現れ、みかげの日常が変わっていく――刊行前から全国の書店員さんたちの熱い感想が続々。新たな夜明けをもたらす、温かさあふれる長編小説。
  • なめらかな社会とその敵 ──PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論
    4.0
    来たるべき300年後の社会を実行可能な形で構想した画期的試論、ついに文庫化! この複雑な世界を複雑なまま生きることはいかにして可能か――。これが本書の中心にある問いだ。生命の起源から説き起こし、膜と核の問題が社会制度と地続きであることが、最初に示される。社会の〈なめらかさ〉とは、膜の機能を弱め、諸物が連続的なつながりをなすネットワークへと開いていくことにほかならない。それは、情報技術の支援の下、貨幣・投票・法・軍事というコアシステムの変革によって実現される。近代のメジャーバージョンアップだ。巻末には、原著刊行後に顕在化した問題を俯瞰する新論考を付し、本書の現代性と可能性をあらためて照射する。
  • 人間関係を半分降りる ――気楽なつながりの作り方
    4.3
    1巻1,496円 (税込)
    人間は醜い。だから少し離れてつながろう! 友人、家族、恋人。大ベストセラー『完全自殺マニュアル』の著者が、悲痛な体験から生きづらさの最終的な解決法=優しい人間関係の作り方を伝授する。鶴見済が生きづらさの問題について20年ぶりに書き下ろした解決法。
  • 虜人日記
    4.4
    太平洋戦争で、日本はなぜ敗れたのか。本書で説く「克己心の欠如、反省力なき事、一人よがりで同情心がない事、思想的に徹底したものがなかった事」など「敗因21カ条」は、今もなお、われわれの内部と社会に巣くう。そして、同じ過ちをくりかえしている。これらを克服しないかぎり、日本はまた必ず敗れる。フィリピンのジャングルでの逃亡生活と抑留体験を、常に一貫した視線で、その時、その場所で、見たままのことを記し、戦友の骨壷に隠して持ち帰った一科学者の比類のない貴重な記録。ここに、戦争の真実と人間の本性の深淵を見極める。第29回毎日出版文化賞受賞の不朽の名著。 ★電子書籍版『虜人日記』では、紙の書籍でモノクロだった挿絵を全てカラーで再現。未公開の写真や挿絵も追加。
  • スターメイカー
    4.3
    肉体を離脱した主人公は、時間と空間を超え、宇宙の彼方へと探索の旅に出る。訪れた世界で出会った独自の進化を遂げた奇妙な人類と諸文明の興亡、宇宙の生命の生成と流転を、壮大なスケールと驚くべきイマジネーションで描いた幻想の宇宙誌。アーサー・C・クラークやスタニスワフ・レム、J・L・ボルヘスをはじめ多くの作家に絶賛され、多方面に影響を与えてきた伝説の作品を全面改訳で贈る。
  • 宋名臣言行録
    3.3
    北宋時代とは、士大夫層の形成とともに中国的官僚制が確立した時代である。また、王安石の新法をめぐり、新旧両世代の対立と混乱に彩られた変革期でもあった。朱子学の大成者・朱熹が編纂したという『宋名臣言行録』(『五朝名臣言行録』と『三朝名臣言行録』の総称)は、北宋百五十年における名臣たちの言動を集録したもので、唐代の『貞観政要』と並び立つ書である。本編訳書では、明快な日本語訳と書き下し文に加え、八朝の天子の特色や登場人物の経歴、言行各条の背景を説明することで、北宋時代史としても通覧できる構成を取っている。組織での身の処し方について、名臣たちはいかなる知恵をわれわれに伝えるのか。不朽の古典がここに甦る。
  • ロバート・オッペンハイマー ――愚者としての科学者
    4.0
    理論物理学者のロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し、広島、長崎に災厄をもたらした原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、その開発に反対の意思を表明していた。本書は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝をつぶさに再検討し、その多くに異を唱える。豊富な史料をもとに、彼の足跡を丹念に辿り、政治に翻弄され、欺かれた科学者の実像に迫る。
  • 蒋介石を救った帝国軍人 ――台湾軍事顧問団・白団の真相
    4.0
    日中戦争後、蒋介石は帝国軍人による軍事顧問団・白団を組織させた。直前まで宿敵だった者同士が手を結ぶことができたのは、なぜか。米国のフーバー研究所で公開された、蒋介石の50年を超える日記、白団の生存者たちの肉声、さらに台湾軍上層部の証言を集めた。敗戦国軍人の思い、蒋介石の真意とは。

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