作品一覧
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4.01巻1,430円 (税込)河童・濡れ女子のごとき魔物、疫病をつかさどるハヤリ神、人に憑く姿の見えない妖怪ノツゴ、門松・松飾りを焼く正月行事や初田植・穂掛け祝いのような農耕年中行事など―日本の民衆生活に沈殿している信仰の数々。その正体は何なのか、どのような構造で意識の底に堆積しているのか。本書は、柳田國男門下の宗教民俗学者が、日本人の宗教生活に分け入った明快な書である。高度成長期以前の暮らしのなかに多彩な怪異と信仰が蠢いている姿を活写し、日本人の精神的伝統へと踏み込んで、長く読み継がれてきた一冊。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
民俗学の本を読むとよく引用されているのでいつか読んでみようかと思っていた桜井徳太郎さん。
三津田信三さんの作品の参考文献に本書が乗っていたので注文。文庫化されたのは2020年で割と最近なのね。あとがき見ると昭和44年とあった。
民俗学を学ぶ中で、民間信仰に関することがやはり私の心惹かれる領域だった。
民間信仰は宗教とは違う。その宗教の正しい教義ではなく、人々が実際に何を信仰していたのか、どう信じられていたのか(隠れキリシタンが信仰したマリア観音を拝む信仰とキリスト教は違うように、という例えもわかりやすかった)。
「宗教画どちらかというと超時間・超空間的であるのに対して、民間信仰のなかに地方色 -
Posted by ブクログ
主に四国が中心であるが、もともとは神であったものが妖怪に堕ちた例や、同じ言葉であっても地域によって180度意味が変わってしまったものなど具体的に示し、その土地で何があったのかを見ながら今の形になった理由を考察している。例えば、四国には祟り神が多いという特徴があるが、これは長曾我部による征服や口減らし、間引きといった風習による犠牲者が多かったことによるものであり、良くないことが起きたとき、その原因をこれらに求めたことによるものであるという。また、仏教の伝播の過程においても、土着の信仰と深く結びつき、本来の仏教行事ではないものまで仏教行事として行われているものや、逆に、土着の行事が仏教化し、本来