ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
6pt
オーストラリアの田舎町に流れてきたアフリカ難民サリマは、夫に逃げられ、精肉作業場で働きつつ二人の息子を育てている。母語の読み書きすらままならない彼女は、職業訓練学校で英語を学びはじめる。そこには、自分の夢をなかばあきらめ夫について渡豪した日本人女性「ハリネズミ」との出会いが待っていた。第29回太宰治賞受賞作。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
ダイバーシティは孤独な戦いだ。その辛い現実を描くだけでなく、希望を描ききっている秀逸な作品だと思う。特に92頁から94頁の溢れる言葉に強く胸を打たれた。違うことを諦めない力強い宣言がそこにあった。
アフリカからの難民としてオーストラリアにやってきたサリマは、1人でこどもを養い語学研修所で英語を習う。そこには赤ちゃんを抱いて参加している日本人「ハリネズミ」がいた。 本作はサリマの目線とハリネズミの恩師への手紙によって交互に書かれる。 サリマの話を追いながら何度も目頭があつくなった。祖国を失い異...続きを読む国で居場所を求める、その苦難や悲しみだけでなく勇気や幸福にも。 ハリネズミが書くジョーンズ先生への手紙は英語だろうか?だとしたら、これだけライティングができても異国では「言葉もわからず取り残される」気持ちでいるのだ。 異国で居場所を見つけられず、子どもを生み育てることの孤独が伝わる。 ハリネズミから終始伝わってくるのは強い焦り。したいことができない子育中の多くの女性が感じる焦りだ。 ハリネズミの手紙から、母語の意味についても考えさせられた。 ふたりは同じ語学研修所に通いながら境遇がまるで違う。相容れないと思っていたふたりが大切な友になっていく過程には、女性が知る哀しみの共感もあるのだろう。 「シャーロットのおくりもの」を読み聞かせてもらっていた文盲のトラッキーの「女ってすげえ」の一言は深い。
心が震えた。 かたや難民、かたや夫の転勤という自分の意志とは関係ない理由によって、オーストラリアの片田舎にやってきた二人の女性。このアフリカ人と日本人が心を通わせつつ、自分が何者であるかを自覚して前へ進んでいく。母語ではない言語という意味での「言葉」の力、自分が母親であることを自覚させる「子ども」の...続きを読む力、そして人と共に学び、労働することで生まれる「交流」の力。こうした力を全身で受けながら、前へ前へと進んでいく。 わずか160ページのこの単行本には、とんでもない魂が込められていた。
母親の、女性の強さを教えてくれる作品。日々を普通に生きていく、そんな日常を過ごす事の素晴らしさを改めて教えてもらった。人の心の優しさ、善意の無垢な美しさに触れること、自分の生活でもそう言った一日一日の中の小さな喜びをしっかり噛みしめて生きていきたいと思った。
ワタシには文句無しの星5つです♪皆さんの評価が平均点あまり高くないので少し気になっていたけどいきなりガツンと来た!何なんだ?凄い迫り方で参りました!テーマは言語の可能性と限界ですけど、限界なんて実は無いのだよ と言われてしまった! 舞台はオーストラリアでアフリカ難民で教育も受けられなかった女性と高...続きを読むい知的レベルだけど表情も会話も平板な日本人女性が英語教室で出会い無二の友になって行く。二人共に思わぬ辛苦が待ち受けていたが、徐々に徐々に克服していく。 韓国語学習10年以上になるけどもう少し真剣に勉強してきたら、もっと自在にかの国の皆さんと色んな意見や心情を交換できたんだろうなぁ‼️でもまだ遅くない ですよね♪
読み始めは、話が飛び、訳わからなかったが、読み続け、面白くなってきました。人は見かけで判断してはいけません。友だち、子ども、援助、継続、生きていくうえで、大切なことですね。実直、信念、生き抜く力。
他の方の感想を読んで初めてオーストラリアに逃げてきた、と知った。読んでる天気予報がスカンジナビアンというので、北欧へ移民したのかと思っていた… アフリカへの勝手な偏見から、始まりの文章で血のついた作業着、という表現で最悪な仕事かと、これまた勘違い…日本人の移住者のさおりの手紙で段々と明かされていく...続きを読む。 何人かの女性の生き様を、第二言語に悩むことを、また教育を受けたことのない人とで会った日本人女性の反応を、国力の違いをありのまま表現しているのはとてもよかった。 短いながらに深い。 薄く、文字も大きい本なのだが、内容は深く読ませる。とてもよかった。小学生の推薦図書にしたい一冊だ。
移民の国オーストラリアでも白人優位社会なんだろうか?アフリカ難民も日本人も差別を受けながら暮らしている。サリマは学ぶ機会がなく母語さえも不十分な状態で第二言語を学んでいる。その困難さがよくわかった。表現する言語を持たなくても感じることはたくさんある。少ない言葉、稚拙な表現でも伝わるものがある。日本に...続きを読む暮らす技能実習生や難民の人と接するとき、この本を思い出したい。
サリマが難民になって異国に来て言葉の壁を克服する過程が感動的でした。ハリネズミこと日本人が子供を亡くすシーンは悲しかったです。サリマの仕事を覚えて行き英語学校での頑張りは読んでいて応援したくなりました。 異色の感動作もあなたもぜひ読んでみてください。
生まれたばかりの女の子の母親であり、大学で働く夫を持ち、、自らも高等教育を受けてオーストラリアに暮らす日本人女性。アフリカで戦争に巻き込まれ命からがら逃げ出し、難民としてオーストラリアに移住。夫は蒸発し二人の子を男の子を育てる黒人女性。同じ英会話教室に通う全く異質な二人の女性が主人公の話です。 それ...続きを読むぞれの生き様を描きながら、合間に書簡体を挟み込み、重層的に話が進みます。本音の話、最初は話の筋が見えずかなり苦戦したのですが、途中からはグイグイ引き込まれます。これが岩城さんのデビュー作のはずですが、そんなことを全く感じさせない見事な構成力です。わずか170頁。余白も大きな本ですが、充実度が高く、重たい長編小説を読んだような気がします。 岩城さんは長くオーストラリアで生活されている作家さんで、先日読んだ『サウンド・ポスト』でもこの作品でも、母語(日本語)と第二言語(英語)の葛藤が大きなテーマなのですが、どうも岩城さんの文体は、翻訳書を、あるいは英語で考え日本語で書た文章の様な感じがします。それも味なのでしょうが、私はちょっと苦手です。 全体を覆うどこか重苦しい雰囲気は岩城さんの持ち味なのでしょうね。それでも二人の女性がしっかりと前を向いて進んでいくエンディングは心地良く。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
さようなら、オレンジ
新刊情報をお知らせします。
岩城けい
フォロー機能について
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
M
大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる
ジャパン・トリップ
Masato
Matt
「岩城けい」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲さようなら、オレンジ ページトップヘ