梅原郁の作品一覧
「梅原郁」の「宋代司法制度研究」「宋名臣言行録」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「梅原郁」の「宋代司法制度研究」「宋名臣言行録」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
国家に殉じた忠臣の鑑として喧伝され後世の権力者に利用された文天祥の生涯を小説のような筆致で記述され興味深く読める。科挙に及第して状元となり、その優秀さ・真なる儒教的道徳心ゆえに中央官界では不遇となる中でモンゴル帝国の侵攻にあい、北への連行からの脱出劇をへて抵抗軍活動を行うも中央からはなおも冷遇され囚われの身となり、幾度ものフビライの重用勧誘に応じず命を落としたその時々の状況がスペクタクルに描写されているが、これらは単なる空想ではなく文天祥本人が編纂した詩文集や同時代に近い史料を多く博捜した著者だからこそと言える。これは忠君愛国者と理解・利用された虚像よりも真に迫るものだと思う。
Posted by ブクログ
南宋末期の三英傑の筆頭格で、忠義の権化とされる文天祥の生涯を記した本。科挙という皇帝・国家への忠誠が叩き込まれるシステムを筆頭の成績で抜けてきたのなら、それは国を捨てるという選択肢は取れないよなあという感想。ただ、彼が節義を守ったことは素晴らしいが、かといって彼に状元という声望以外の何が有って、国家のために何をしたのかと言われると中々難しい。平和な時期であれば能吏であったのだろうが…。大局を見るという点では、汚名を着せられても百姓を想った馮道とは大分差が有るように思われた。元史研究者の杉山正明が虚名があっただけ、という酷評をするのも無理はない。とはいえ、伝統的中国の価値観でいえば、理想的な生涯
Posted by ブクログ
陳舜臣の「中国の歴史」にも崖(やまかんむりはない)山悲歌と正気の歌の二章を割いて文天祥を書いているが、著者との違いが面白い。
著者は文天祥を忠君愛国なドン・キホーテと見るのに対して、陳は悲劇の英雄と見る。この違いは研究者か作家か、という違いからなのか。日本人と華人、或いは片や昭和九年生まれの国民学校卒業(国民学校教育の反動として)、片や大正十三年生まれの神戸華僑という境遇の違いからか。
自分は著者の見解に同する。不遇なインテリが科挙主席という一点を拠り所として国家と己が滅びゆく中で気骨を見せた、という印象である。
喜久屋書店阿倍野店にて購入。