カトリック作品一覧

  • カトリックの信仰
    5.0
    人間が神の知恵と愛に与るとはいかなることか──。近代日本のカトリシズムを代表する司祭・岩下壮一が、豊かな学殖と明晰さでキリスト教の真理を闡明した記念碑的名著。公教要理(カテキズム)の概説書としていまだ類例がないだけでなく、深遠で難解な神学は本書により日常の信仰の糧へと一変した。時に表出するプロテスタンティズムや近代哲学への峻烈な批判は、人間精神を主観性の牢獄から解放し、再び霊的実在へ開かんとする著者生涯の意図から発しており、それは神の恩寵の賜物=カトリックの信仰においてこそ実現すると説く。
  • 影法師
    5.0
    聖職者でありながら、神の教えに背いて結婚し、教会を去っていくカトリック神父の内面の孤独と寂寥を抉る『影法師』、秀吉の朝鮮出兵で日本に伴われ、変転する運命に翻弄される朝鮮娘のキリスト教との出会いを描く『ユリアとよぶ女』、強固なキリスト教信者であった母の烈しい生き方を、幼い“私”の眼でとらえた『六日間の旅行』など、人間と信仰に対する深い洞察にみちた作品集。

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  • イエスは四度笑った
    NEW
    5.0
    キリスト教において正典とされる四つの福音書のどこにも、イエスの笑いは出てこない。だがナイル川流域の土中から1970年代に発見された『ユダの福音書』では、イエスは四度笑っている。一人のグノーシス主義者によって書かれたこの笑いはいったい何を意味するのか。じつは四度ならず、イエスは大いに笑ったのだ――『寅さんとイエス』で、イエスが寅さんのようなユーモアに満ちた存在だったことを描き出したカトリック神父が、聖書のミステリーに挑む。 【目次】はじめに/第一章 イスカリオテのユダと『ユダの福音書』/第二章 イエスを四度笑わせた『ユダの福音書』/第三章 正典福音書におけるイエスの〈怒り・苦しみ・悲しみ・喜び〉/第四章 正典福音書におけるイエスの〈ユーモア〉/第五章 正典福音書におけるイエスの〈笑い〉/追記1 聖夜を前に聖書ひもといて/追記2 ガザの「壁」/おわりに
  • ラヴェンナ:ヨーロッパを生んだ帝都の歴史
    5.0
    「ヨーロッパの祖母」となった都市の盛衰 ローマ帝国の中心がコンスタンティノープルに移った4世紀末、西方に新しい都が台頭する。イタリアの都市ラヴェンナにおいて、アリウス派のゴート人とカトリックのローマ人は競って、比類なき建造物とモザイクを次々と創りだした。以来300年にわたりこの町は、学者・法律家・職人・宗教人を魅了し、まぎれもない文化的・政治的首都となる。この特筆すべき歴史をみごとに蘇らせて、本書はイスラーム台頭以前の地中海世界の東西の歴史を書き変え、ビザンツ帝国の影響下にラヴェンナが、中世キリスト教世界の発展にとっていかに決定的な役割を果たしたのかを明らかにする。 全37章の多くは、皇后ガッラ・プラキディアやゴート王テオドリックら支配者から、古代ギリシアの医学をイタリアに蘇らせた医師の業績まで人物に注目しつつ、多様な民族・政治宗教勢力のるつぼであったこの都市がヨーロッパの基礎を形づくっていくさまを追う。そして、都市史をより広い視野から地中海の歴史のなかに位置づける。 美しい図版と最新の考古学の知見によって、ヨーロッパと西方の文化へのラヴェンナの深い影響について、大胆かつ新鮮な解釈を提供する1冊。
  • 田中耕太郎―闘う司法の確立者、世界法の探究者
    5.0
    1巻1,034円 (税込)
    戦前、論壇人、東大教授として大学自治を守ろうとした田中耕太郎。戦後は文相に就き教育基本法制定に尽力。復古主義・共産主義を排し新憲法を強く支持した。参院議員を経て最高裁長官就任後は10年の在任中、松川・砂川事件など重要判決を主導、「反動」と誹られながらも脆弱だった司法権を確立。退任後は国際司法裁判所判事に選出される。激動の時代、学界・政界・司法の場で奮闘し戦後日本を形作ったカトリックの自由主義者の生涯。
  • ギリシャ正教と聖山アトス
    5.0
    1054年、キリスト教は西方カトリック教会と東方(ギリシャ)正教会に分裂。その後カトリックは宗教改革を経てプロテスタントと袂を分かつが、正教はキリスト教の原点として、正統な信仰を守り続けている。ギリシャ北部にある正教の聖地アトスは、多くの修道院を擁し、現在も女人禁制の地。修道士たちは断食や節食により己の欲を律し、祈りにすべてを捧げてその地で生涯を終える。本書では日本人で初めて聖山アトスで司祭としてケリ(修道小屋)で祈りを捧げることを許可された著者が、聖地での暮らしを紹介しながら、欲望が肥大しきった現代にこそ輝きを放つ正教の教えを解説する。
  • 乙女戦争 外伝 1 赤い瞳のヴィクトルカ
    5.0
    中世歴史戦記の名作「乙女戦争」外伝、いよいよ始動!!この「外伝I」は本編の前日譚。フス戦争勃発直前のプラハを舞台に、薄幸の乙女の戦いを描きます。1419年、ボヘミア王国の首都プラハでは権威的なカトリック教会とその腐敗に憤るフス派の対立が高まっていた。歴戦の傭兵隊長ヤン・ジシュカは、戦争が近いことを嗅ぎ取り、まったく新たな戦術を編み出そうとしていた。そんな頃、プラハに暮らす庶民の娘ヴィクトルカは、フス派の父が死罪となり、続く母の死去によって天涯孤独となる。彼女に思いを寄せる青年アントンは手を差し伸べようとするが、不器用で、自分の思いを口にすることができない。進退窮まったヴィクトルカはついに娼婦となる。絶望する彼女の前に、市庁舎の窓から放り投げられたカトリック司祭が落ちてくる。負傷した司祭が助けを求めると、彼女は衝動的に彼を殺害するのだった…!(なお、続く「外伝II」は後日談となります。乞うご期待!)
  • ウィリアム・アダムス ――家康に愛された男・三浦按針
    5.0
    徳川家康の外交顧問、三浦按針とは何者か。関ヶ原合戦の半年前、英国人ウィリアム・アダムスが日本に辿り着いた背景には、大航海時代の激動する欧州事情があった。彼が見た戦国時代末期の日本では、カトリックのイエズス会がキリスト教の信仰を広げ、英蘭の東インド会社が貿易の機会をうかがうなど、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダ各国の思惑が交錯していた。家康の側近としてその渦中にあったアダムスは何をなしたのか。二代将軍・秀忠のもとで禁教と鎖国が進むなか、どんな晩年を送ったか。アダムスの生涯から世界史の中の日本史をとらえ直す。
  • 異邦人の立場から 現代日本のエッセイ
    5.0
    「人間の存在的な渇望は現実以上に真実である」――我々の現代と西欧の現代、その背後に脈々と流れる、我々が「本能的」に持つ汎神的血液と西欧の一神的血液。生涯のテーマ「日本人でありカトリックであること」を追求する、著者の最初のエッセイ「神々と神と」をはじめ、遠藤文学を確立した昭和40年代までを新編成。文学と信仰の原点と決意を語る熱きエッセイ。
  • 霧の彼方 須賀敦子
    5.0
    生涯にわたり信仰と文学の「コトバ」に共振し、『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『ユルスナールの靴』など、晩年に稀有な作品を遺した須賀敦子。高い評価を得たエッセイや訳書のほか、没後も詩集や書簡集も含めて刊行が続いた。これらの作品を生み出した69年の生涯は、さまざまな「コトバ」に支えられていた。キリスト教への入信、2度の欧州留学、カトリック左派の流れを汲むミラノのコルシア書店での活動、夫ペッピーノとの出会いと別れ、帰国後に没頭した貧困者支援のエマウス運動、そして文壇を刮目させた初のエッセイ集の上梓――。同じキリスト者である著者が、同じ情熱を以て須賀敦子の「たましい」に迫る、圧巻の評伝。[本文より]イタリアに渡り、コルシア書店で働く以前は本を読み、書店に関係するようになってからは翻訳に従事し、ときに本を売った。帰国後、彼女は研究者となり、再び本を読み、そして、あるときから自ら本を書くようになった。信仰を抜きにした須賀敦子を語っても、蝉の抜け殻を見るようなものだが、本との関係を無視した言説も同質の幻影をもたらすだろう。信仰と書物、ここに流れる雄渾な歴史が須賀敦子の土壌だった。
  • ローマ法王
    5.0
    ヴァティカンは面積こそ最小だが、12億人以上のカトリック教徒を擁し、政治・外交・平和に影響力を持つ。その頂点に立つローマ法王の歴史と現在を辿る。近代オリンピックも、冷戦終結の端緒・ポーランド民主化も、実現させたのは法王とカトリックのネットワークだった。法王の日々の仕事、各国訪問の理由、現代の価値観への対応を読み解く。西洋文化の根底にあるカトリック文化を知り、国際社会をより深く理解できる快著。第266代法王フランシスコについても紹介。
  • ジャンヌ・ダルク 超異端の聖女
    5.0
    痛快で、やがて悲しい――。ジャンヌ・ダルクの生涯を一言であらわすならば、このようになるでしょうか。時は15世紀、英仏100年戦争の末期。フランスを二分する未曾有の国難のなか、パリを追われた失意の国王シャルル7世のもとに彗星のごとくあらわれたのが、ジャンヌ・ダルクです。甲冑を身にまとい馬上の人となった彼女は破竹の勢いで敵方を打ち破り、またたくまにシャルル7世をランスでの戴冠に導きます。しかし華々しい栄光もつかの間、ジャンヌはイギリス軍に引き渡され、異端者として生きたまま火あぶりにされてしまうのです。「声」に導かれるまま生まれ育った村を旅立ったのが16歳、火刑台に立たされたときには19歳でした。本書は、100年戦争の政治的背景から、中世におけるお告げや聖女の系譜など、彼女が生きた当時の世界を浮かび上がらせることで、ジャンヌ・ダルクの全体像をあざやかに、しかも親しみやすい筆致で描きだします。名もない羊飼いの娘だったジャンヌを突き動かした「声」、ついにはシャルル七世をも動かし、フランスを熱狂させたものとは、いったい何だったのでしょうか。カトリックの聖人は数多くいますが、異端者として火刑にまでなりながら、500年後に聖女として認定されたのは彼女だけです。「普通の女の子」が国を救い、国家意識を創ることを可能にしたヨーロッパ中世とは、そして彼女を「守護聖女」として今なお現役で生かしているフランス人の心性とはいったいどのようなものなのでしょうか。異端にして聖女、華やかで苛烈なジャンヌ・ダルクの世界に、あなたも飛び込んでみませんか?(原本:講談社現代新書、一九九七年)【本書の内容】プロローグ序 章 ジャンヌ・ダルクとはだれか第1章 ジャンヌ・ダルクの先駆者たち――カリスマと聖女第2章 神の「声」を聞いた少女第3章 中世の政治と宗教――少女戦士はいかにして誕生したか第4章 戦場の乙女第5章 ジャンヌの最期/エピローグ/あとがき/学術文庫版あとがき/おもな参考文献
  • 信仰と医学 聖地ルルドをめぐる省察
    5.0
    カトリック信者の聖地フランス・ルルド。毎年500万人が訪れ、その洞窟から湧き出る水を飲むと病気が治癒すると言われた彼の地を、作家であり現役精神科医でもある著者が実際に取材。科学では説明がつかない不思議な現象をどう受け入れるべきなのか。聖母マリアの出現以来、160年の歴史を振り返り、過去の治癒事例から徹底検証する。ルルド体験を通じて信仰と医学の関係性を多角的に論じる、世界に類を見ない貴重な一冊。
  • 大川隆法 ブラジル 巡錫の軌跡
    5.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 キリスト教国の人びとが求めていた、普遍の「愛」と「発展」の思想とは。 2010年、大川隆法ブラジル5回連続講演を収録。 カトリック教徒が9割を超えるキリスト教国で、人びとがハッピー・サイエンスを歓迎した感動と熱気を、この一冊に! 〇その日、南米最大の「クレジカードホール」が揺れた! 〇南米の犯罪や貧困を解決する方法とは その歴史的瞬間を豊富な写真と説法ダイジェストでふり返る、ビジュアル・ブック第2弾。
  • ワスプ (WASP): アメリカン・エリートはどうつくられるか
    5.0
    十九世紀後半以降、アメリカへ流入するさまざまな民族や宗教から自らを差別化していった〈最古のアメリカ人〉たちは、自らの誇りをどう保ってきたのか。文化多元主義が主流となりゆくなか、ワスプはユダヤ系やカトリック、有色人種らに権益を分かつ一方で、ワスプ右派からの圧力にも対処しなければならなかった。本書は、四面楚歌の状況のなかでのワスプの生活と心理を探り、彼らの行動の哲学は何なのかを分析する試みである。
  • いつかは訪れたい 美しき世界の教会
    4.8
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 世界の150を超える教会建築を、美しい写真と簡潔な紹介で巡る写真集。 多くの人の心を慰め、高揚をもたらし、時代の美を極めた建築。豪華絢爛な教会も、小ぢんまりと可憐な教会も、美しさが人を惹きつけることは変わらない。 本書では、カトリック、プロテスタント、正教を問わず、歴史ある有名な教会から、近年建てられた斬新な教会、地域の人々に愛される素朴な教会まで、美しき祈りの場を世界各地から広く紹介する。
  • ほんとは好きだ
    完結
    4.6
    全1巻748円 (税込)
    人里離れた全寮制のカトリック系男子校。家が裕福で大学生の彼女がいるリア充・北条は、クラスつまはじき者・柾が気になってしょうがない。この気持ちが恋だと気づいた北条だが、柾に伝える覚悟もなく悶々としたまま。一方、柾は図書館で、昔この学校の生徒が同級生にあてて書いたと思われるラブレターを見つけて……!?
  • なんでもわかるキリスト教大事典
    4.6
    カトリックとプロテスタントはどう違う?異端って何? 日本人が抱くキリスト教に関する素朴な疑問をやさしく解説。イラストや図解も豊富で、キリスト教圏の歴史や文化がよくわかる。索引やリストも充実した日本一詳しいキリスト教入門。
  • ギリシア正教 東方の智
    4.5
    「東」のキリスト教――その深い智慧への誘い。カトリックともプロテスタントとも異なる「もう一つのキリスト教」。東西教会分裂の原因となった「フィリオクェ」問題、アトス山などの修道生活で発展した独自の瞑想技法、華麗にして深遠なるイコンの世界など、「東」のキリスト教思想の奥義に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 母ふたりで“かぞく”はじめました。
    4.5
    東京オリンピック、楽しみですね。 このスポーツの祭典の精神「オリンピック憲章」に、「性的指向による差別は許されない」という条項があるのご存知でしょうか? そして日本では、同性婚を認めないままオリンピック開幕の日を迎えようとしています。 2019年2月14日、バレンタインデーの日に東京、大阪、名古屋、札幌の4カ所で、同年の9月5日には福岡でも、日本初の同性婚についての集団訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)が、国を相手に起こされました。本書の著者、小野春さんはその訴訟の原告のひとりです。 小野春さんは、40過ぎの“ごく普通のおばさん”です。 ただひとつ違うのは、バイセクシャルであるということ。 自分のセクシュアリティに気づくのが遅く、それをはっきりと認識した時は、すでに猛烈な“孤育て”の真っただ中。それが、親子ともども風邪をひき、高熱を発して寝込んでいた寒さ厳しい冬のある日、救世主が現れるのです(ウォッカのビンをぶら下げて)。彼女の名前は麻ちゃん。それから、運命の糸に操られるようにふたりは惹かれ合い、やがてお互いを同性パートナーとして人生を歩む決意をします。 麻ちゃんと同性カップルとして生きていくのは、常に「ビクビクと」「しかたなく」「迷いに迷いながら」「やむにやまれず」の連続でした。それぞれの連れ子3人を育て始めてぶつかった、娘からの猛烈な反発と自己嫌悪。敬虔なカトリック信者である母親へのカミングアウト。しかし、どんなに壁にぶつかろうとも、それをひとつひとつ乗り越えるたびに、新たな人と繋がり、思わぬ体験をした小野春さんは、いつの間にか国を相手に訴訟(ケンカ)をすることになってしまうのです。 バイセクシャルの春さんとパートナー麻ちゃんが、母2人子ども3人の“かぞく”を作り上げるまで。そして自分と同じような子育てをするLGBTの仲間を支援する団体「にじいろかぞく」を立ち上げ、「結婚の自由をすべての人に」裁判に至るまで。 その約20年間にわたる、めったにない“かぞく”の顛末を書きつくします。
  • 寛容論
    4.5
    カトリックとプロテスタントの対立がつづくなか、実子殺しの容疑で父親が逮捕・処刑された「カラス事件」。狂信と差別意識の絡んだこの冤罪事件にたいし、ヴォルテールは被告の名誉回復のために奔走する。理性への信頼から寛容であることの意義、美徳を説いた最も現代的な歴史的名著。ヘイトスピーチ、ヘイトクライム、テロなどの暴力行為が世界各地で頻発し、罪なき人たちが諸悪の犠牲となっている21世紀の今こそ読まれるべき古典
  • スペインを追われたユダヤ人 ――マラーノの足跡を訪ねて
    4.5
    15世紀末、カトリック・スペインはイスラム勢力を一掃するとともに、ユダヤ人の追放を決定した。全ヨーロッパへ四散するユダヤ人たち。しかし、その多くは改宗の道を選ぶ。彼らは「マラーノ」(豚)と蔑まれながら、異端審問の恐怖と迫害に耐えていった。そもそも固有の領土を持たないユダヤ人が、自己をも否認するという《二重の否定性》――「マラーノ性」は精神の奥深く刻印される。彼らの足跡を辿り、マラーノ精神の体現者スピノザ、マン、カネッティを語る壮大な精神史の試み。
  • 興亡の世界史 インカとスペイン 帝国の交錯
    4.4
    16世紀初頭、アンデス全域を支配するに至ったインカ帝国は、カトリック王国スペインの領袖ピサロにより征服され、その繁栄はわずか1世紀余りで幕を閉じた。帝国の衝突がもたらした植民地社会に生きるスペイン人、インカの末裔、さまざまな混血集団、イベリア半島を追放されたユダヤ人たち。共生と混交、服従と抵抗の果てにスペインとの訣別へと向かうアンデスの300年を描き出す。
  • 死刑執行人サンソン――国王ルイ十六世の首を刎ねた男
    4.4
    【荒木飛呂彦帯カラーイラスト付】敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していたシャルル-アンリ・サンソン。彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であった。そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。【目次】序章 呪われた一族/第一章 国王陛下ルイ十六世に拝謁/第二章 ギロチン誕生の物語/第三章 神々は渇く/第四章 前国王ルイ・カペーの処刑/終章 その日は来たらず/あとがき
  • カラー版 キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流
    4.3
    ローマ帝国時代、信仰表明や葬礼を目的として成立したキリスト教美術。四世紀末に帝国は東西分裂し、やがて二つの大きな潮流が生まれる。一方は、一〇〇〇年にわたって不変の様式美を誇ったビザンティン美術。他方は、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと変革を続けたローマ・カトリックの美術である。本書は、壮大なキリスト教美術の歴史を一望。一〇〇点以上のカラー図版と共に、その特徴と魅力を解説する。
  • 星言葉
    4.3
    ひとりひとりを大切にし、その人に必要な言葉を語りかける晴佐久神父。彼は、神さまのことを「神」という言葉使わずに伝えたいをモットーに、教会で、書籍をとおして、インターネットの世界で活躍しているカトリックの司祭です。言葉を大切にしている晴佐久神父は、愛する、謝る、待つ、病む、死ぬ……など、生活の中で使う50の動詞を選んで、その言葉をしっかりと受け取り、言葉を楽しみ、その奥を探っていきます。晴佐久神父が発する言葉を読むとき、あなたの心は、慰められ、力を受け、愛で満たされるでしょう。晴佐久神父は、この星に生まれた仲間と、言葉をとおしてもっと出会いたいと望んでいます。
  • イエスの生涯
    4.3
    英雄的でもなく、美しくもなく、人々の誤解と嘲りのなかで死んでいったイエス。裏切られ、見棄てられ、犬の死よりもさらにみじめに斃れたイエス。彼はなぜ十字架の上で殺されなければならなかったのか?――幼くしてカトリックの洗礼を受け、神なき国の信徒として長年苦しんできた著者が、過去に書かれたあらゆる「イエス伝」をふまえて甦らせた、イエスの〈生〉の真実。
  • 太陽はひとりぼっち
    値引きあり
    4.3
    1巻900円 (税込)
    文学界注目の高校生作家、待望の新刊!  デビュー作として異例の大ヒット『さよなら、田中さん』の田中母娘が帰ってきました。単なる「続編」とはせず、ひとつの新しい文芸作品として意欲的に取り組んだ一作。前作で強い印象を残した登場人物達がさらに謎とドラマ、嵐を呼ぶ!!  『太陽はひとりぼっち』花実は中学生となった。ある日、家の前に見知らぬビジネスマンがやって来る。彼は一体何者?さらに別の日にはやせた老婆が家の前に座り込んでいて……。次々登場する謎めいた人物が引き起こす大騒動。一つ一つの事件に込められた人々の思い、苦しみ、葛藤。生きることへの希望を説く「るりか節」が力強く心に響きます。 『神様ヘルプ』デビュー作『さよなら、田中さん』最終章で鮮烈な印象を残した三上信也。中学受験に全落ちし、毒親である母親から山梨県にある全寮制のカトリックスクールに送られた、彼の現在は? 『オー マイ ブラザー』花実に大きな影響を与え、数々の名言を誕生させた木戸先生の物語。オカルトに傾倒し、不思議な話ばかりしている木戸先生の人生における唯一の固執、謎が見事に解明されるラスト。全編を通してテーマとなっている太陽の光が物語に陰影を与える。 以上 全3編。(2019年10月発表作品)
  • 宣教師ザビエルと被差別民
    4.3
    宗教改革、大航海時代という世界史の転換期、日本はその影響をどう受けたのか? バスク生まれのザビエルは、カトリック改革派として、アジア底辺層への布教に乗り出す。その活動は日本にも及ぶ。ザビエルら宣教師たちは、ハンセン病患者を救済し、被差別民へも布教の手を差し伸べる……。やがて徳川幕府による禁制は身分差別強化のもととなる。しかし、その後も二百数十年にわたりキリシタン信仰は地下水脈のように受け継がれていった。差別問題をアジア思想史レベルでとらえ続けた沖浦和光が取組んだ最後の著作。
  • 祈りの回廊(小学館文庫)
    4.3
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 地球上には、多様な“祈りのかたち”がある。過酷な風土に生きる「チベット仏教」、イスラームの二大聖地「メッカ・メディナ」、古代ユダヤ教直系のキリスト教が息づく「エチオピア」、カトリックの総本山「ヴァチカン」。祈りの熱狂と厳しさ、そして優しさを鋭く捉える力強い写真と、現場の臨場感を伝える書き下ろしエッセイを収録。人と宗教の「今」を考える写文集。「風土と宗教と人間」を軸に、壮大なスケール作品を発表し続ける野町和義の代表作を一冊に。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
  • キリスト教は役に立つか(新潮選書)
    4.2
    信仰とは無縁だった灘高・東大卒の企業人は、いかにしてカトリック司祭に転身したか。「孤独感」を解消できたのはなぜか。旧約聖書から新約聖書、遠藤周作からドストエフスキー、寅さんからエヴァンゲリオンまで、幅広くエピソードを引きながら、ノン・クリスチャンの日本人にも役立つ「救いの構造」をわかりやすく解説する。
  • 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ (1)
    完結
    4.1
    全12巻660円 (税込)
    1420年、ボヘミア王国。戦争により家族を虐殺された12歳の少女シャールカは、フス派義勇軍の英雄ヤン・ジシュカに導かれ、仲間たちと共に反カトリックの戦いに身を投じていく。 15世紀、中央ヨーロッパで起こり「宗教改革」の端緒となった「フス戦争」をモチーフに、少女の視点で、史実に基づいた凄惨な戦争を描く歴史巨編!!
  • 城の中の城
    4.0
    英文学教授の山田信氏は、去年突然渡仏中にパリで洗礼を受けカトリック信者になった、と妻の桂子(30歳)さんに事後告白をした……。夫君の裏切りに、自尊心を傷つけられた桂子さんは、二人の可愛い子供を思いながらも、棄教か離婚かを夫君にせまり、二人だけの宗教戦争がはじまった! 禁じられた愛や夫婦交換を、キリスト教を背景に描き、現代の知識人家庭を風刺する長編小説。
  • 聖灰の暗号(上)
    4.0
    1~2巻671~715円 (税込)
    歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けたカタリ派についての古文書を探りあてたのだ。運命的に出会った精神科医クリスチーヌ・サンドルとともに、須貝は、後世に密かに伝えられた“人間の大罪”を追い始める。構想三十年、時代に翻弄された市井の男女を描き続ける作家が全身全霊をこめた、歴史ミステリ。
  • 権力と栄光
    4.0
    破戒しても司祭の聖職性は在るのか?──カトリック教会が追放された革命時のメキシコを舞台に、様々な波乱を巻き起こしながら明日なき逃亡をかさねる呑んだくれ司祭の運命を描く、著者の代表作!
  • 丘の家のミッキー 1
    完結
    4.0
    集英社文庫コバルトシリーズで人気を博した同作を挿絵担当した『めるへんめーかー』が奇跡のコミカライズ! 東京都心にあるカトリック系の超お嬢様学校『私立 華雅学園』の中等部の生徒だった『浅葉未来(みく)』はパパが内緒で海辺の家に引っ越しを決めてしまったため、森戸南女学館に転校することに。 ここは下品な生徒たち(?)が多くて華雅(かが)育ちの未来にはカルチャーショックの連続! そんなある日、ボートを愛する朱海(あけみ)くんと知り合って…。
  • ろくでなしのロシア─プーチンとロシア正教
    4.0
    1巻1,705円 (税込)
    欧米諸国はロシアの将来のモデルにはなりえない! 復権著しいロシア正教会と大統領プーチンの癒着と野合。その末に生まれた超権力の構造とはいかなるものなのか? 現地を縦横に歩いて観察し、混迷する社会のゆくえを展望した異色のロシア論。 ●「宗教は、悩めるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」と若きマルクスが『ヘーゲル法哲学批判序説』で記したように、70年間の共産主義を捨て貧富の差が激化するロシアにおいて宗教の復興ぶりは著しいものがあります。  一時はオウムなどの新興宗教が勢力を伸ばしましたが、いまは旧来のロシア正教会の力が復活しています。プーチンがロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋したり、ソ連邦時代に没収された財産を返還したりしたことによって、正教会は一種の財閥の観を呈しています。  カトリックと違い、かつてのロシア正教においてはピョートル大帝以降、総主教が廃止され皇帝(ツァーリ)が教会の首長でありました(皇帝教皇主義)。それは英国国教会の首長がイギリス国王であること以上の強い権力であり、人民(ナロード)にとってツァーリは神でした。  さて、なぜプーチンが正教会に対して融和的なのか……。すでに多くの教会ではプーチンを「聖人」とみなすイコンが掲げられはじめていると著者はいいます。その一方で強烈な反発も生じているとも。  プーチンとロシア正教の癒着、野合。それはソ連邦時代の個人崇拝の流れを汲みながらも、よりロシアの「古層」に根ざした権力アプローチであり、西側や日本のインテリによる「民主化」必然論を容易には寄せつけないものでもありましょう。
  • 一神教全史 上 ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の起源と興亡
    4.0
    一神教が世界史を創った! 宗教とは何か? それは、共同体を作り上げるために必要とされる「フィクション」である。 そして世界史は、一神教的な信仰を基盤として築かれた共同体が、 段階的に構造を変化させることによって形成されてきた。 宗教の基礎を的確に捉えた上で、一神教の思想史を縦横に語る圧巻の講義録。 まず上巻では、ユダヤ民族が困難な境遇のなかから唯一神の信仰を案出した過程、 世界宗教としてのキリスト教の成立、ローマ帝国やゲルマン系諸族との関係性、 イスラム教の出現と拡大、カトリック的教皇主権体制の確立について論じられる。 「「一神教は共同体を作り上げるためのフィクション」という一貫した観点によって描かれた観念の興亡史。 古代宗教に端を発するこの基本設定は、曲折を経て現代にも引き継がれている。 「信教の自由」と「政教分離」の関係もこの認識を踏まえなければ理解できないだろう。」 ――宮崎哲弥(評論家)
  • ノートルダム:フランスの魂
    4.0
    再建の日を待つ唯一無二の大聖堂 2019年4月15日の宵、著者はパリのアパルトマンから築850年の大聖堂が焰に包まれるのを目撃する。火災を伝える写真や映像はメディアを通してたちまち拡散し、世界中の人々の心を激しく揺さぶった。 ここにひとつの疑問が浮上する。ノートルダムはなぜ、フランスという国家を象徴する存在となりえたのか。その答えを求めて、著者は大聖堂の歴史に刻まれた決定的瞬間に目を向ける。礎石の置かれた1163年に遡り、当初の建設を取り仕切った司教と大聖堂を設計した無名の建築家たちの物語から第一章が始まる。続く章では、アンリ四世のカトリックへの改宗、フランス革命、ナポレオンの戴冠式など、国家と王家にとってノートルダムの重要性が増していく歴史的経緯が語られる。 ヴィクトル・ユゴーの小説が保存修復への機運を高め、ヴィオレ=ル=デュクの画期的な修復工事とオースマンによる改造計画を経て、1944年のパリ解放の日、ノートルダムはふたたび歴史の重要な舞台となる。フランスの栄光と苦悩を見つめてきたノートルダムの物語は、そこに集い、献身的に携わり、未曽有の危機から救おうとする市民たちの物語でもある。
  • バチカン大使日記(小学館新書)
    値引きあり
    4.0
    ビジネス界出身大使が見たカトリックの聖地。 「日本経済の司令塔」経団連に身を置くこと半世紀。土光敏夫ら歴代会長に仕え、生え抜きトップとして事務総長まで務めあげた筆者は突如、世界13億の信徒を束ねるカトリックの総本山に民間大使として赴くことになった。 経団連とバチカン、対極に立った筆者ならではの日常の “気づき”は、資本主義の限界から現代日本の課題まで多岐に及ぶ。地道な人脈作りに始まり、あれよという間に教皇訪日を実現、そしてコロナ禍のなか帰国するまでの1500日。 <土光さんは「過去を振り返るな」「足跡を見るな」と繰り返しおっしゃっていた。それは私にとって座右の銘ともいえる。しかし、本書では、はじめて禁を破って在任1500日間弱のバチカン大使時代を振り返ろうと思う>(まえがき) (底本 2021年11月発行作品)
  • 天皇のロザリオ 上
    4.0
    1~2巻1,980円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「陛下が危ない!」市長は叫んだ。1949年6月8日、昭和天皇が大分県別府市、高崎山の麓にあるカトリック系小百合愛児園に行幸した時、カトリック教会と米占領軍マッカーサー総司令官、そしてカトリックの吉田茂外相らが天皇をカトリックに回心させ、一挙に日 本をキリスト教化せんとする国際大謀略が組織された。そしてそれは、ローマ法王庁による聖ザヴィエル日本上陸400年記念の大がかりな祝祭と連動していた。しかし、決定的な一瞬、天皇に同行した脇鉄一別府市長の機転でこの策謀は挫折した――と、別府出身の著者鬼塚英昭氏は推論する。本書は、この事件とその背景を、「天皇教」や「キリスト教」と対決する「原日本人の古神道」に徹する立場からどこまでも深く鋭く追跡していく。日本図書館協会選定図書
  • 歴史探究のヨーロッパ 修道制を駆逐する啓蒙主義
    4.0
    宗教改革以降、カトリックは修道院での学術活動を活発化させた。人文主義者たちは古典を博捜し、教会史や聖人伝などの文書を批判的に検証する学問が進歩を遂げた。偽書を識別する文献学や文書学、ローマ法の解釈学など、現代の歴史学の基礎がここに形成されたのである。その中核となったのが、サン・モール修道会のマビヨンらであった。啓蒙思想の席巻、宗教と世俗の相剋の間で、歴史と真理を探究した人々の足跡を追う。
  • キリスト教と死 最後の審判から無名戦士の墓まで
    4.0
    人は死んだらどこへ行くのか――。古来、人々は死後の世界をさまざまにイメージしてきた。本書では天国と地獄、「最後の審判」、幽霊など、キリスト教の世界観を紹介し、とりわけイギリス社会に大きな影響を与えることになったカトリックとプロテスタントの違いを指摘。キリスト教の死生観が生み出してきた墓やモニュメント、シェイクスピアらの文学や映画、芸術作品など、「死の文化」の豊かな世界をめぐる。
  • 《受胎告知》絵画でみるマリア信仰
    4.0
    【複数色を使用したコンテンツです。モノクロ端末では一部読みづらい場合がございます】聖母マリアが身籠ったことを知らされる一瞬の出来事を描いた《受胎告知》は、近現代に至るまで1500年以上ものあいだ、多くの画家たちが手掛けてきた、人々を魅了するテーマだ。時代によって、また画家によっても全く異なり、イエスも描かれていないのに、なぜ人気だったのか――。本書では、カラー48点の作品を、歴史だけでなく図像学的なモチーフやその変遷、さらに、名高い画家たちの名作の秘密や背景も解説。西洋絵画屈指の名場面の魅力を明らかにする。 《構成》【序章】キリスト教と西洋美術の関係 ●文化に溶け込んだマリア信仰 ●実は聖書に具体的な記述はない 【第一章】《受胎告知》とは? ●わずか数分の出来事を一枚の絵に収める ●告白された日は、いろんな都合で「三月二十五日」に…… 【第二章】なぜマリア信仰が盛んだったのか ●ペストが流行したゴシック時代から優しいマリアに ●教会内で飾られる位置は決まっている…… 【第三章】ルネサンスの写実的な表現と細密描写 ●富豪たちが積極的に寄進した理由とは ●ルネサンス時代になって人間らしく描かれた…… 【第四章】マニエリスム――特異な表現様式と宗教戦争 ●カトリックの戦略的な宗教普及 ●さらに神秘性を強調した表現…… 【第五章】バロック――そして近現代における《受胎告知》 ●宗教絵画に日常表現を取り入れる ●描かれなくなった現代でも有名なテーマ……
  • イレナの子供たち 2500人のユダヤ人の子供たちを救った勇気ある女性の物語
    4.0
    女性版オスカー・シンドラーと呼ばれる、ポーランド人女性イレナ・センドレル。第二次世界大戦中、ナチス占領下のワルシャワのゲットーから、彼女は2500人ものユダヤ人の子供たちを救い出した。あるときは木箱に入れて、あるときはトラックの積荷に隠して、あるときは下水道をつたって……。連れ出した子供たちは、仲間たちがかくまい、カトリックに改宗させて偽名を与え、ナチスの目を欺いたのだ。子供の命だけは守りたいという親たちの悲痛な願いをかなえるために、彼女たちは自らの命を賭けた。そして、いつか親子が出会えるように、子供たちが自分が誰なのかを知ることができるように、それぞれの本名と出自を記録し、そのリストを必死で守った。ゲシュタポに知られたら、命がないのは火を見るより明らかだったというのに。親衛隊員の気まぐれやお遊びで、ユダヤ人も、ポーランド人も通りすがりに殺されていく世界だった。事実、イレナもゲシュタポに連行され死刑宣告を受けるのだ。生き延びた子供たちは、彼女への感謝を決して忘れることはなかった。この勇敢な女性の活動のすべてを、そして彼女自身の人間らしい生き方のすべてを、見事に描ききった感動的なノンフィクション。
  • パリからのおいしい話
    4.0
    料理にまつわるエピソード、フランス人の食の知恵 グルメガイドではわからない「暮しの芸術」としての家庭料理―― パリ生活の豊かな体験を通してつづる、美食の国の伝統の味 〈目次より〉 正月の夢・トリュッフ/生ガキで海の神秘を味わう/魚を食べないフランス人/フランス料理の王様ポ・ト・フ/パンがうまくなくなった/美食のカトリックと粗食のプロテスタント/スープが大好き/食卓のおしゃべりとタブー/うまいブイヤベースとは/かたつむりとヴァカンス/フランスのキノコ狩り/バターの魔法/もっとパセリを!/マドレーヌ菓子/豚の足とフランス文化/うまいぶどう酒はいい女に似ている/食べごろのカマンベール/庶民がささえる美食の伝統/露店市こそ心のよりどころ ほか
  • 教養としてのバッハ 生涯・時代・音楽を学ぶ14講
    4.0
    「バッハの音楽は、学びの段階に応じて発見の喜びを与えてくれる、報いの多い対象である」(礒山雅) バッハ時代のドイツは? 当時話されていたドイツ語は? ルターがバッハに残した遺産とは? バッハはどんな楽器・奏法・音響・音律を想定して作曲したのか? 19世紀にバッハ復興が起こったわけは? ルター派のバッハがなぜカトリックのミサ曲を書いたのか?── バッハ研究の第一人者・礒山雅をはじめ9人の著者による14の講義が、 バッハという類なき知の水脈へ誘う。
  • モッキンポット師の後始末
    4.0
    1~2巻550~660円 (税込)
    食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の"不良"学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
  • 逆説の世界史2 一神教のタブーと民族差別
    値引きあり
    3.9
    2~3巻1,139~1,178円 (税込)
    「逆説史観」の新たなライフワーク、第2弾。 『逆説の世界史』シリーズは、超人気ベストセラー『逆説の日本史』の著者による新たなライフワーク。待望の第2弾は、多神教信者の多い日本人には分かりづらい「一神教の世界」がテーマです。 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの「神」の誕生と「聖典」の成立にかかわる謎を解明しながら、現代まで続く民族・宗教の対立の深層に迫ります。 混迷する世界のニュースをより深く理解するために、「逆説史観」によって分かりやすく解説した必読の入門書です。 「ユダヤ民族差別を生んだ根源は『マタイによる福音書』」「ローマ・カトリック教会がタブー視するキリスト教の大矛盾」「ダンテの『神曲』がイスラム教社会で「禁書」となる理由」「シーア派とスンニー派の抗争とムハンマドの血脈」「聖地エルサレムは誰のものか」「十字軍遠征がもたらした憎悪の連鎖」「最大最強だったオスマン帝国が衰退した要因」「中東和平をこじらせる最大の障害」等々、日本人が知っておくべき一神教世界の基礎知識を解説。 『逆説の世界史』は小学館のウェブサイト「BOOK PEOPLE」で連載。 【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
  • 無花果日誌
    3.9
    桐子はカトリックの女子校に通う高校二年生。家の近所のお下劣な環境を脱すべく、県内一のお嬢様学校に入ったのだけれど、お上品ぶった同級生や先生、修道女との毎日は、すっきりしないことばかり。大好きな母さんの死、郁クンとの恋、衝撃の事件。からまわりする自意識を抱えながら裸の自分に向き合い、明日へ走り出す桐子は――。みずみずしい十七歳の一瞬一瞬が輝く話題作。
  • 留学
    3.9
    カトリック神学生の工藤、日本最初のヨーロッパ留学生である十七世紀の荒木トマス、仏文学者の田中の三人を主人公とした『ルーアンの夏』『留学生』『爾も、また』の三章から成る。時代は違っても、三人の留学生の悩みは共通であり、それぞれにヨーロッパ文明の壁に挑んで懸命に生きるが、宗教や文化その他の精神風土の絶対的な相違によって空しく挫折してゆく姿を描く力作。

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  • 三浦綾子 電子全集 旧約聖書入門 ―光と愛を求めて
    値引きあり
    3.9
    「絶対におもしろい」旧約聖書をわかりやすく解説した手引書。 聖書は最高の文学だといわれているが、多くの人は、とはいっても難しいものだと思いがち。しかも、「旧約」は、古い教典のことだとか、カトリック教(旧教)のためのものだとか、誤解をもっていることが多い。一見幼稚とも見える神話の中に、驚くべき永遠の真理と、人生への指針が含まれている「旧約聖書」は、絶対におもしろい、と著者はいう。「旧約聖書」をわかりやすく解説した手引書になっている。姉妹書に「新約聖書入門」がある。 「三浦綾子電子全集」付録として、発刊時の「著者のことば」を収録!

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  • カルニヴィア1 禁忌
    3.9
    ヴェネツィアの教会の石段で、女性の死体が発見された。死体はカトリックの女性には許されない司祭の祭服を着て、腕には奇妙な模様のタトゥーがあった。憲兵隊の大尉カテリ-ナは捜査を開始する。その頃、米軍基地に赴任した少尉のホリーは、旧ユーゴ内戦時の記録の公開を求める女性と面会した。ホリーは記録を調べるが、やがてその女性の死を知る。カテリーナとホリーは協力し、ソーシャル・ネットワーク「カルニヴィア」の創設者ダニエーレとともに、二人の女性の死に潜む陰謀に迫る。
  • 熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教
    3.8
    宗教票がアメリカ大統領選挙を左右する! 歴代の大統領が選出されたとき、宗教票がどのような影響を及ぼしたのか。就任後、そのキリスト教信仰が政治や外交にどう反映したか。ヨーロッパよりも信仰心のあついアメリカ。その大統領選挙を宗教の視点から考える。 2016年大統領選挙の候補者をみると、トランプはプロテスタントの長老派だが福音派にも接近。ヒラリーはプロテスタントのメソジスト派。両者の信仰が選挙へどんな影響を与えているのかを検証する。 ・おもな目次 ●第一章 アメリカの宗教地図 ・・・プロテスタントの主流派と福音派/反知性主義と福音派の相性/バイブル・ベルトからサンベルトへ  など ●第二章 カトリックの苦悩 ・・・英首相にカトリック出身者はいない/アメリカのカトリック差別の起源/禁酒法とカトリックの関係 など ●第三章 米国カトリックの内紛 ・・・マイノリティから体制内へ/カトリックの主張がプロテスタントに乗っ取られる/コロンブス騎士団とは など ●第四章 ピューリタンから福音派へ ・・・福音派への誤解/南部福音派と共和党の共闘 など ●第五章 一九八〇年、レーガン選挙委員会 ・・・レーガン+ブッシュ・シニア選挙委員会/テレビ伝道師の活躍/外交政策での汚点 など ●第六章 キリスト教シオニスト ・・・アメリカに渡ったキリスト教シオニズム/プロテスタント保守派との親和性 など ●第七章 ブッシュ大統領とキリスト教右派、その後 ・・・南部バプティスト連盟の底力/オバマ大統領のキリスト教信仰/トランプは宗教右派を取り込めるか など ●第八章 福音派メガチャーチ体験 ・・・礼拝堂はロック・コンサート・ホール/原理主義こそ敵 など
  • 推理大戦
    3.8
    日本のある富豪が発見したという「聖遺物」。 世界的にも貴重なその「聖遺物」を手に入れるため、世界中のカトリックそして正教会は、威信と誇りをかけ「名探偵」を探し始めた。 いったい、なぜ? それは、「聖遺物争奪」のために行われる、前代未聞の「推理ゲーム」に勝利するため。 アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル――。選ばれた強者たちは、全員が全員、論理という武器だけでなく「特殊能力」を所有する超人的な名探偵ばかりだった。つまり、全員が最強。しかし勝者は、たったひとりだけ。 つまり、真の名探偵も、たったひとり――。 世界最強の名探偵は、誰だ?
  • バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘
    3.8
    フランス革命以降、「政教分離」を推進する近代国家の登場で、ローマ教皇は領土や権威を失っていく。20世紀に入り、教皇はイタリア政治に介入し続け、ムッソリーニの思惑もあり、バチカン市国が成立する。その後バチカンは、「反宗教」の共産主義を常に敵視。ナチスに秋波を送り、戦後は米国に接近、「人権外交」を繰り広げ、それは「東欧革命」に繋がった。本書は、カトリック総本山バチカンの生き残りを賭けた200年を描く。
  • 「宗教」で読み解く世界史 教養として知っておきたい
    3.8
    1巻1,870円 (税込)
    本書は「宗教学」の本ではありません! 各宗教勢力が互いにどのように攻防し、侵食し、拡散し、あるいは均衡を保ったか、その戦略・戦史から世界の成り立ちをつかむ、まったく新しい「宗教地政学」の本です。 人に救いを与える宗教には、一方で「他者を自己に従属させる精神侵食のツール」という本質があります。 宗教覇権の攻防を読み進むうちに、今日の国際情勢を本質からつかむ視座が得られます。 なぜインドは多くの宗教の発祥地になったのか。アフリカや中南米諸国にカトリックが多いのはなぜか。 本書は世界を4つの宗教エリアで捉え、各宗教勢力の攻防のドラマを追いながら、現在の世界の国々の関係性や文化的背景、国民性を浮き彫りにしていきます。 好評『「民族」で読み解く世界史』『「王室」で読み解く世界史』の姉妹編です。
  • 火の柱(上)
    3.8
    世界2000万部の突破の第ベストセラー『大聖堂』の正統なる続編! 注目のキングスブリッジ・シリーズ最新作 【あらすじ】 16世紀中葉のイングランド。大聖堂を擁する河畔の商業都市キングズブリッジで貿易を営むウィラード家は、カトリックでありながらもプロテスタントに対しても寛容な家柄だった。一方、商売敵でもあるフィッツジェラルド家は頑ななカトリックで、両家の仲は決していいとは言えなかった。 ネッド・ウィラードとマージェリー・フィッツジェラルドは恋仲だったが、彼女の両親の反対にあって引き裂かれる。失意のネッドはサー・セシルを頼ってエリザベス・チューダーの下で仕事をするようになるが……。
  • 知っているようで実は知らない世界の宗教
    3.8
    テレビ朝日の人気番組「池上彰のニュースそうだったのか!!」(全国ネット毎週土曜よる放送中)の書籍化、第5弾! いまさら「知らない」とは、恥ずかしくて言えない「宗教のきほん」を、池上さんがやさしく解説。 あなたは次の質問に答えられますか? ・イスラム教徒はなぜ断食するの? ・カトリックとプロテスタントの違いは? ・神社とお寺はどう違うのか? 「知識がゼロで……」という方はもちろん、曖昧な知識で自信のない方もきちんと知っている方でも、「そうだったのか!!」と新たな発見が生まれる1冊。 この1冊で、世界三大宗教を完全理解できます! ■著者より ――グローバル社会を生きるための宗教入門! 日本では、子どもが生まれると神社にお宮参りに行き、結婚式は教会で、葬式はお坊さんに来てもらって……という人が多いのではないでしょうか。お守りを持っている人も多いですね。正月には初詣にも行くことでしょう。 これを傍(はた)から見れば、立派な宗教活動です。 私たちは、日頃あまり意識しないまま宗教活動をしているのです。とはいえ、多くの人が宗教についての知識がないのが現実でもあります。 現代を生きる私たち、グローバルに世界とつながる私たちは、もはや宗教と無縁ではいられません。2020年の東京オリンピックには多数の外国人が日本を訪れますし、選手村には「お祈りの部屋」も設置されるはずです。無用なトラブルを避けるためにも、まずは宗教の基礎基本を知っておきましょう。
  • 老いと勝負と信仰と
    3.8
    ※新原稿『逞しく意気軒高、いつも微笑んでいたい』を収録! 1954年に中学生プロ棋士としてデビューして以来、2017年に引退するまで第一線を走り続け、その通算対局数、通算敗戦数は歴代一位という記録を持つ加藤一二三九段。 対局時の出前は昼夜うな重、対局中に音が気になり人工の滝を止めさせたなど、ユニークな逸話が多数。 猫好きでもあり、自宅マンションそばで野良猫に餌付けしたことに端を発する近隣との訴訟問題でも注目された。 敬虔なカトリック教徒としても知られる著者が、自らの信仰と勝負哲学、そして確実に迫る老いにたいしてどう向き合っているのかという内面を記した本書には、リタイア後も、現役、そして生き生きと暮らすためのヒントが満載です。
  • 創元世界史ライブラリー 修道院の歴史 聖アントニオスからイエズス会まで
    3.7
    古代エジプトの隠遁生活に起源をもち、現代まで脈々と受け継がれてきた修道制。修道士たちは俗世から離れて共同生活のなかに神を希求する一方、写本による学問の継承、糧を得るための生産活動、女子修道院や騎士修道会の創設、海外宣教など、西欧社会に大きな影響を与えてきた。本書ではローマ・カトリック世界を中心に、その原初から近代のイエズス会の活動までを通観する。キリスト教文化をより深く理解するうえで必読の一冊。
  • 神の発見
    3.7
    なぜ私は聖書に深い感動をおぼえながら、いまだにブッディストなのか。問いをもつ小説家が、カトリックの司教に質問をぶつける。キリストの生涯を問うことは、釈迦の生き方を確かめること。宗教の核心に迫る!
  • 対決! 日本史 戦国から鎖国篇
    3.7
    1~4巻830~929円 (税込)
    戦国時代は世界の大航海時代を抜きにしては語れないと主張する安部龍太郎氏。 かたやプロテスタント神学者でもある佐藤優氏は、イエズス会(カトリック)が世界を席巻した戦国時代をどう分析するのか――。 知性の双璧が日本史を世界史からとらえ直す対談は、未だかつてない知的刺激を与えてくれる! ●イエズス会はポルトガルの商社マンだった!? ●キリスト教の布教と鉄砲・火薬の売買はセットだった!? ●信長はなぜ自分を神として祀らせたのか!? ●秀吉の朝鮮出兵は明のキリスト教化が目的だった!? ●キリシタンは踏み絵を踏んでも問題なかった!? ●鎖国をしなければ日本はスペインの植民地と化していた!? 世界史と日本史を同時に語れる二人が、これまで見落とされてきた歴史の真実に迫る。 「史観」を磨き、「教養」を身につける面白さ、その醍醐味にあふれた珠玉の対談から、真の日本の将来像を見つけ出せ! まえがき 安部龍太郎 第1章 乱世を生き延びるための「史観」 第2章 歴史から読み解く日韓関係 第3章 大航海時代と重商主義 第4章 天下統一への野望 第5章 織田信長「時代に呼ばれていた男」 第6章 豊臣秀吉の光と影 第7章 「パクス・トクガワーナ」の完成 第8章 現代に生きる徳川家康 あとがき 佐藤優
  • 喪失記
    3.6
    五年間、一度も友人と食事をしたことがない。他人と話をするのは、月二度程度という静寂だけの日々。――理津子は男に飢えていた。カトリック神父のもとで育った彼女は、恐ろしいほど規律正しい厳格な生活が、骨の髄まで染みついている。他人に、自分に嘘がつけない。誤ちには厳しい戒めもいとわない。そんな理津子の前に、本能の赴くままに生きる男・大西が現れて……。子供から大人へ――。精神と肉体の変化、個人と社会との関わりを残酷なまでに孤独な女性を通して描ききる。
  • 四十一番の少年
    3.6
    病気療養の母と離れ、仙台のカトリック系養護施設に入れられた少年は先に入所していた主のような青年に目をつけられ、いじめに遭う。幼い心を傷つける言葉の暴力、前ぶれなく頬に飛んでくる冷たい手や腕。彼の気まぐれな仕打ちにおびえながらも、いっぽうで野球を楽しみ、学校生活をのんびりと送っていた。しかし、青年の退寮がせまった夏休み、恐ろしい事件が始まる……。表題作ほか「汚点」「あくる朝の蝉」、ともに著者の自伝的要素を盛りこんだ、ほろ苦い感銘の青春記。
  • 秘密の花園(新潮文庫)
    3.6
    私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。記念碑的青春小説。(解説・穂村弘)
  • 法王庁の抜け穴
    3.6
    奇蹟によってカトリックに回心したフリーメーソン会員のアンティムと、幽閉されたローマ法王を救い出すという詐欺を企てる《百足(むかで)組》の首領プロトス。そして、予期せぬ莫大な遺産を手にしながらも「無償の行為」に走る19歳の青年ラフカディオ。登場人物それぞれに起こる偶然の出来事が複雑に絡み合う。時代を画したジッドの傑作「犯罪小説」。
  • スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪
    3.5
    被害者の心の叫びを世に知らしめるため―― ただ真実のために――教会の闇を暴くんだ ボストン・グローブ紙の記者たちが、巨大権力=〈カトリック教会〉の“大罪”を暴いた衝撃の実話! 世界中を揺るがせた世紀のスクープ! 2003年ピューリッツァー賞〈公益部門〉受賞! 本年度アカデミー賞 作品賞・脚本賞 W受賞! ! 本年度アカデミー賞主要6部門ノミネート! 〈作品賞/監督賞/助演男優賞/助演女優賞/脚本賞/編集賞〉 映画『スポットライト 世紀のスクープ』 2016年4月15日(金) TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開 本書は、『ボストン・グローブ』紙の〈スポットライト〉チームが調べあげた情報――何十年も隠されてきた痛ましい事実と、司祭や弁護士、被害者たちの、さらに痛々しい物語で埋め尽くされている。それらがより合わさって、より大きな腐敗と隠蔽の物語が紡がれていく。ことの発端は、ニューイングランド地方きっての権力組織であるボストン大司教区の中核で起きたスキャンダルだった。この調査報道が引き金となり、アメリカ全土、そして世界中の多くの都市で同様の調査がはじまり、聖職者による性的虐待とその継続を許した組織ぐるみの隠蔽という、より大きな問題が明らかにされた。未だに懸案の問題だ。 本書にまとめられたルポルタージュは、まさしく世界を震撼させた。その深い意義につけ加えるべきことは、何もない。 ――『スポットライト 世紀のスクープ』トム・マッカーシー[監督]&ジョッシュ・シンガー[脚本] ◎2002年1月、アメリカ東部の新聞「ボストン・グローブ」の一面に全米を震撼させる記事が掲載された。地元ボストンの数十人もの神父による児童への性的虐待を、カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽してきた衝撃のスキャンダル。 ◎1,000人以上が被害を受けたとされるその許されざる罪は、なぜ長年にわたって黙殺されてきたのか……。 ◎2003年ピューリッツァー賞〈公益部門〉に輝いた、ボストン・グローブ紙《スポットライト》チームによる衝撃のノンフィクション! 〈目次〉 本書に寄せて 『スポットライト 世紀のスクープ』トム・マッカーシー[監督・脚本]と脚本ジョシュ・シンガー[脚本]による声明文 序 文 第一章 ゲーガン神父の笑顔の裏側 第二章 隠蔽の循環構造 第三章 国中にはびこる虐待者たち 第四章 罪悪感に苛まれる被害者たち 第五章 全世界に波及するボストン・スキャンダル 第六章 失墜――教会に背を向ける人々 第七章 法律を超越した枢機卿 第八章 セックスと嘘と教会 第九章 変革の苦しみ 二〇一五年版へのあとがき
  • 新装版 高山右近
    3.5
    本能寺の変と明智討伐。禁教令を布く秀吉への高槻城開城。前田家に身を寄せた後、家康からの国外追放。戦国の世に<清廉にして智の人>として刻まれるキリシタン大名・高山右近。すべてを捨て、信仰を貫いたその生涯を渾身の筆致で描く。カトリック教会「福者」に列福した殉教者の揺るがざる魂とは。*「福者」 死後、徳と聖性を認められた信者に、カトリック教会より与えられる称号。
  • ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢
    3.5
    空虚なポピュリストか? それともアメリカの歴史に残る大統領 レーガンの再来か? 現実味を帯びてきた「トランプ米大統領」の誕生。 異端視される彼の孤立主義・反知性主義も、実は米国の“国是”であることを明らかにする。 【おもな目次】 <序章 トランプとレーガン> 道化師から本命候補へ/リアリティショー/生来の演技力 など <第1章 トランプ家創業者はドイツ貧農> ルーツ隠し/ゴールドラッシュ/故郷に錦を飾る など <第2章 トランプをつくった男> 上昇志向を飢え付ける/鬼気迫るケチの哲学/人種差別の系譜 など <第3章 トランプはやはり問題児だった> 教師を殴る/軍隊式学校へ/徴兵逃れ疑惑 など <第4章 トランプの結婚> 婚前契約/ゲレンデの決闘/夫婦間レイプ疑惑?/根底に女性不信 など <第5章 トランプのビジネス> 命懸けの家賃取立て/親の七光り/「無視よりも悪評がよい」 など <第6章 政治家トランプの肖像> 「死刑復活」煽る/「黒人になりたい」/選挙戦で金儲け? など <第7章 トランプと「怒りの時代精神」> 白人の反乱/アメリカの自虐史観/「逆差別」に不満 など <第8章 トランプの宗教戦争> 行き過ぎたPCに反感/イスラモフォビアを梃子に/日系人強制収容は正しい? など <第9章 福音派とトランプ> 動き始めた福音派/トランプの信仰/カトリックの謎 など <第10章 「封じ込めドクトリン」> 「ネオ棍棒外交」の一面?/「トランプ政権」を願う中国 など <あとがきに代えて 二一世紀の「アメリカ問題」> 壁を崩す人、築く人/ヒトラーとトランプ/トランピズムの来襲 など
  • 7大企業を動かす宗教哲学 名経営者、戦略の源
    3.5
    ドラッカー曰く「"マネジメント"が実行されている組織は、軍隊とカトリックの教会しかなかった」。宗教学から大企業を分析すると、知られざる経営哲学が浮かび上がる!! 企業を動かす組織戦略の根源がわかる本格論
  • 君の心に刻んだ名前
    3.5
    台湾LGBTQ映画史上興行収入 第1位 2020年台湾映画興行収入 第2位 台湾メガヒット映画の小説版、切なすぎるほど切ないラブストーリー! 「どうしてずっと笑ってるんだ。もしかして、俺と出会ったからか?」 家族からのプレッシャー、社会の偏見や差別のなか 二人の男子高校生は、胸が張り裂けるような恋に落ちる。 1987年、長きにわたる戒厳令が解除された台湾——。 全寮制のカトリック系男子高校に通うアハンと、転校生のバーディは、 校内のブラスバンド部で出会い、次第に惹かれ合うようになる。 特別な愛情に戸惑いながらも青春を謳歌する二人だったが、 学校が男女共学になったことで、その微妙な関係が狂い始め……。 大手書店チェーン「台湾誠品書店」で12週連続第1位(小説部門)! 台湾最大ネット書店「Books.com.tw」で年間TOP100ランクイン! アジアで初めて同性婚を法制化した台湾で6万部突破。 異例の大ヒットを記録した長篇小説、ついに日本上陸!! Sponsored by the Ministry of Culture, Republic of China (Taiwan)
  • アメリカを動かす宗教ナショナリズム
    3.5
    アメリカの社会、政治、外交を考える上で、宗教、すなわちキリスト教の役割ははずせない。伝統的なキリスト教が衰退する一方で、プロテスタントの非主流派「福音派」が政治化・多様化し、それがトランプ前大統領誕生へとつながり、世界に大きな影響を与えたのだ。福音派の歴史や信仰から現代社会に与える影響、アメリカでの宗教ロビーの役割をわかりやすく解説。新型コロナ感染症に対するカトリック、福音派の動きや、2020年大統領選挙に与えた影響も盛り込む。
  • 死にゆく人にあなたができること 聖心会シスターが贈るこころのメソッド
    値引きあり
    3.5
    家族、そして大切な人―。 やがて訪れる最期を幸せに見送るために大切なこと。 寿命が延び高齢者が増えていくのと同時に、 私たちにとって死はより身近なものになっていく。 戦中、戦後の混乱期を除けば、現代ほど死と向き合い、 見つめ直すべき時代はないといってもいい。 そうした社会状況の変化にともない、 医療の世界では医師と患者の関係も以前とは随分変わり、 医師にすべてを任せる治療から、患者の自己決定を重視する治療へと変化している。 インフォームド・コンセントの考えが普及したことにより、 ガンなどの病気を患者に告知する割合もかなり増えているようだ。 また、終末期の患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高めるため、 在宅を含めターミナルケア(終末期ケア)を行なうホスピスも格段に増えている。 しかし現実には、治療方針などについて家族の間で意見が分かれたり、 最悪の場合は仲違いが起きてしまうこともある。 また、どうしても死んでほしくないという家族の強い思いが、 死にゆく人を苦しめてしまう場合もある。 すると、死にゆく人自身は家族が争う姿を見たくない、 これ以上悲しませたくないと思い、本心を言えないまま一生を終えてしまうことになってしまう。 家族としては、よかれと思って望んだ延命治療が逆に死にゆく人に不必要な苦しみを味わわせてしまい、 やすらかで自然な死を妨げることになってしまう場合もある。 大切な家族を亡くしたうえに、 大きな後悔を背負ったまま生きていかざるを得なくなってしまった人に、 著者は何度も会ってきた。 では、どうすれば死にゆく人を安心させて、 穏やかで幸せな最期を迎えさせてあげることができるのか。 残された人が大切な人を失った悲しみや後悔を癒やして、 これからの人生で前を向いて生きていくには何が必要なのか。 誰にとっても死は怖いものであり、つらく、悲しいものだ。 大切な人にはできるだけ長く生きていてほしいと思うことは人として当然のことだ。 そして、いまだ死は縁起の悪いものとして忌み嫌い、苦しく、 つらいだけのものととらえている人が多いのが現実だろう。 しかしこうした考えはもう捨ててしまっていいのではないかと私は考えています。 なぜなら、死というものは、けっして苦しいこと、悲しいことだけではないからです。 死とは人生において最期の大仕事である。 生と死は切り離されたものではなく、 誰もが死によってこの世での人生を完成させることができる。 そして、死にゆく人には次につながる生があり、 死は残された人たちに人生でもっとも大切なことを教えてくれる。 どうして、そんなことがいえるのか……カトリックのシスターとして、 これまで多くの人の死に立ち会い、看取ってきた経験からも、 その理由を本書では説いていく。
  • 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を巡る 美しき教会と祈り
    3.5
    1巻1,595円 (税込)
    世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」とその周辺の教会の中から厳選した教会を、カトリック長崎大司教区から特別に許可を得た貴重な内部写真やミサの写真で紹介しています。また世界文化遺産の12構成資産を完全ガイドした、世界遺産を巡る旅にもピッタリのフォトガイドブックです。<掲載されている主な教会>大浦天主堂/出津教会/大野教会/田平教会/黒島教会/頭ヶ島教会/旧野首教会/江上教会など。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • ドS刑事 事実は小説よりも奇なり殺人事件
    3.4
    累計60万部突破の人気シリーズ最新作。 新キャラクターは、ドラマかぶれの熱血刑事! 警視庁捜査一課の黒井マヤは「死体が見たいから刑事になった」筋金入りの猟奇マニア。その驚異的な推理力で数々の事件を解決してきたが、死体を見たいがために、犯人の名前をなかなか開陳しないのが玉にキズ。 ある日、新しく配属された特務係の捜査の一環で、マヤは相棒の代官山巡査、ドMな東大卒の浜田、そして新メンバーの天神らとともに、「カトリック久慈見教会ぶどう酒祭り」を訪れる。だが幻のワイン「クジミ」を飲んだ神父ら、11名が死亡。代官山も意識不明の重体に。ワインには新型の農薬パラキラールが混入されていた。前代未聞の無差別殺人事件に、本気モードのマヤが挑む!
  • カトリック入門 ──日本文化からのアプローチ
    3.3
    なぜカトリックは日本では受け入れられてこなかったか。それは日本文化の中核にある宗教性・霊性ゆえである。鈴木大拙や西田幾多郎は、神は世界ないし自己に内在することを徹底的に肯定するのが日本的霊性だとする。だが、こうした立場からも実はカトリシズム理解は可能だし、日本的知性が超越的なものに新たな見方を加え、より豊かにする可能性もある。超自然、創造、信仰と理性の問題などを日本的文脈から説明。中世哲学・カトリシズムの碩学による、待望のキリスト教入門。
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 上 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源
    3.3
    「現代人は、歴史上存在した社会や、人類進化の途上で存在した社会の人々とは、神経学的にも心理学的にも全く異なっている――」(本文より) 市場経済や法律、科学、民主主義の起源を探ると、それら現代を特徴づける制度や概念が誕生するよりも先に、ヨーロッパの人々に現代的な心理が芽生えていたことがわかる。 従来考えられていたように、社会制度や物質的豊かさが人々の心理を変えてきたのではなく、まず人々の感じ方や考え方が変化し、それによって社会が変わり、歴史がつくられてきた。 そうして生まれたヨーロッパ人の現代的な心理は、その後、文化の伝播や国家間の競争を通じて世界中に広がり、世界のあり方を大きく変えていくことに―― ジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』のテーマに組み込まなかった「人々の心理」を、歴史を動かすファクターとして捉えなおすことで新しい世界像を描き出す、知的興奮の書! 16か国で刊行の世界的ベストセラー! :::::::::世界的著名人が絶賛!::::::::: 「社会思想書における最高傑作」 ――マシュー・サイド『多様性の科学』著者 「現代世界の起源を知るうえで必読」 ――ウォルター・シャイデル『暴力と不平等の人類史』著者 「世界全体で生活水準を向上させ、大規模かつグローバルな課題に対処する方法を見つけることは、今後ますます重要になってくる。人々の多様性が何に由来するのか、それがこうした問題に立ち向かう上でいかに重要であるかを、わたしたちは認識しなければならない。それらの問いの答えを知りたい方は、ぜひ本書を読んでもらいたい」 ――ダロン・アセモグル『国家はなぜ衰退するのか』『自由の運命』共著者 「学術書としても啓蒙書としても偉大な一冊」 ――マット・リドレー『人類とイノベーション』著者 「すべての人間は共通した心理を持つという定説をくつがえした」 ――リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス』著者 「目もくらむような偉業」 ――リチャード・ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人』著者 「現在繁栄している国の人々の心理的特徴は人類社会に普遍的なものではなく、(……)中世ヨーロッパのカトリック教会がもたらした制度的変化の結果だ。本書は現代社会の起源に関する議論を大きく変えていくだろう」 ――ポール・シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』著者 「ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』よりもはるかに深くて野心的な本」 ――ダニエル・C・デネット『心の進化を解明する』著者 「2020年で最も重要な本のひとつ」 ――キャス・サンスティーン『NUDGE 実践 行動経済学』共著者

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  • 尊厳 その歴史と意味
    3.3
    「尊厳」は人権言説の中心にある哲学的な難問だ.概念分析の導入として西洋古典の歴史に分け入り,カント哲学やカトリック思想などの規範的な考察の中に,実際に尊厳が問われた独仏や米国の判決などの事実を招き入れる.なぜ捕虜を辱めてはいけないのか.なぜ死者を敬うのか.尊厳と義務をめぐる現代の啓蒙書が示す道とは.

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  • カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話
    3.3
    「自分の仕事で好きなのは、人となりのすべてが求められるところである。文法、句読法、語法、外国語、文学の知識だけでなく、さまざまな経験、たとえば旅行、ガーデニング、船、歌、配管修理、カトリック信仰、中西部、モッツァレラ、電車のゲーム、ニュジャージーが生きてくる」(序章より) ★推薦文★ 鉛筆と紙の辞書を愛し、校正が「出過ぎた真似」といわれるのを恐れている“女王"。他人とは思えない。 ――牟田 都子(校正者) ◆ 正しい英語とは何だろう? カンマの思想とは? 鬼校正者はどこを見る? 今、英語の「揺らぎ」があなたを魅了する。 ――阿部 公彦(英米文学者) ★概要★ 誤字・脱字や言葉の誤用を正す「校正」。ベテラン校正者の眼を通じて見るそれは、規則と心情とのあいだで揺れ動く、意外なほど人間らしい仕事だった! アメリカの老舗雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ著者が、その半生と、校正の現場で遭遇したミスや「揺れ」を振り返る――。“between You and I"のようなネイティブでも間違える文法や語法、ディケンズ、メルヴィル、ディキンソンら著名作家たちが操る記号――カンマやダッシュ、コロン――の独特な使い方、クセが強い校正者たちのエピソード、トランスジェンダーのきょうだいを呼ぶときの代名詞etc…。「正しい英文法」だけでは白黒つけられない、迷いと葛藤の日々を描く唯一無二の校正エッセイ!

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  • 悪魔という救い
    3.3
    どうして、カトリックの世界では「悪魔払い」という摩訶不思議な儀式が生き続けているのだろうか。「悪魔払い」が絵空事ではなく、欧米ではいまだに生活に根付いた「救い」の儀式であることを訴え、その知恵が現代日本の若者に漂う閉塞感打破につながると説く。 「悪魔払い」の日本初の学術的入門書。
  • 祈り
    3.0
    東京大学在学中に、禅の世界からカトリックに改宗した奥村一郎師は、卒業後、フランスのカルメル会に入会し、司祭に叙階された。2年後に帰国してからは、他宗教との対話・交流にかかわり、キリスト教を日本人の感性から説いていった。祈りについて書かれた本書も、日本人独特の宗教心にそっている。初版は1974年だが、2008年に20刷を迎えたロングセラーだ。祈りとは単純なものであり、一方、生涯にわたって追求するに値する奥深いものである。呼吸のようなものであり、貴重な宝である。人間に欠くことのできない祈りについて、わかりやすく語っている本書は、新書版の200ページ足らずの本だが、祈りの導入の書としてまた解説書として名著である。

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  • エクスタシーの神学 ――キリスト教神秘主義の扉をひらく
    3.0
    キリスト教には合理主義と神秘主義の二つの極がある。二千年におよぶキリスト教の歴史は、さながら理性と感性のはざまを揺れ動く振り子のようであった。この構図は近代以降も変わらない。宗教改革以後、むしろ振り子の振幅はますます大きくなった。イエズス会による布教活動、神秘主義の興隆、悪魔憑き、魔女狩りなど、熱狂的な信仰が西欧近代の宗教的エネルギーを吸収した。本書では、キリスト教における神秘主義の思想を、「エクスタシー」という視点から読み解いていく。ギリシア時代に水源をもち、ヨーロッパ思想の伏流水であるカトリック神秘神学を俯瞰し、キリスト教の本質に肉薄する危険な書。
  • ハゲとビキニとサンバの国―ブラジル邪推紀行―
    3.0
    燦燦と降り注ぐ太陽、ビーチに寝転ぶ「イパネマの娘」、カーニバルでサンバを踊り、路上でサッカー。そんなエキゾチックなイメージが無限増殖する国、ブラジル。しかし、はるばる地球の裏側に足を運んでみると……。なぜか愛されるハゲ、小さなビキニの秘密、日本人のトホホな扱い、カトリックの下心など、当地の文化や風俗は意外なことばかり。生まれも育ちも京都の学者が、W杯や五輪開催で注目のブラジルから日本を考える。

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  • 女王陛下の侍女
    3.0
    西暦1558年、エリザベス女王が誕生し、時代の波は新たなうねりを生み出した。宮廷には女王に召し抱えられた廷臣たちが勢揃いして、すがすがしい空気に満ちている。侍女ペネロープもまた晴れがましい気持ちで謁見に臨んだ一人だった。たいした家柄ではない自分がこの場にいられるのも、姉が伯爵家に嫁ぐおかげだ。精いっぱい女王様にお仕えしよう。そう誓ったとき、見覚えのある男性の顔が目に入った。オリヴァー!甘ずっぱい記憶がたちまち彼女の胸を占めた。★16世紀半ば、イングランドでは急速にプロテスタント化が進み、英国国教会が設立されます。しかしいまだカトリックを信奉する者も多く、そのせめぎ合いの中でエリザベス女王の治世は始まりました。侍女ペネロープのけなげな献身ぶり、身を焦がす恋に、どうぞご期待ください!★
  • 図解でわかる14歳から知るキリスト教
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 世界史を理解するために、世界最大の宗教を知る 世界の3人に1人が信者。 国際社会の動向を把握するうえで 無視できない存在=キリスト教。 14歳から読める! わかる! カラ―図版満載!! 図解でわかる「世界の宗教と文化」シリーズ! 【目次より】 24億人の信者をもつ世界最大の宗教/3大宗派をおさえよう/愛の宗教がなぜ戦争を起こすのか/古代から現代まで騒乱が続く聖地エルサレム/バチカンが訴える自然環境との共生/イエス・キリストの波乱の生涯/12使徒とパウロの宣教が世界宗教の礎を築く/ローマ帝国の東西分裂後 カトリックと東方正教会に/ローマ教皇の権威のもとで中世ヨーロッパが発展/2世紀に及んだ十字軍の遠征/宗教改革がプロテスタントを生む/ザビエルに始まる日本でのキリスト教の歩み/教会建築と教会音楽の歴史 ほか ●Part1 世界を動かすキリスト教 ●Part2 知っておきたい聖書の世界 ●Part3 キリスト教2000年の歴史 ●Part4 キリスト教徒の暮らしと文化
  • 愛を見つめて 高め合い、乗り越える(インターナショナル新書)
    3.0
    男女の愛、家族愛、友愛――滞日60年を超えるカトリックの神父が、哲学者、神学者の観点から愛を論じる。依然として続くコロナ禍の中、人生に迷い将来の不安を感じている人々に向けて、互いを愛し、高め合うために必要な方法を伝授する。キリスト教、そして日本人の結婚・恋愛観を知り尽くした神父でなければ伝えることのできない金言が満載。自己を見つめ、自信をもって生きていく方法を一緒に考える。

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  • 精神科医の悪魔祓い: デーモンと闘いつづけた医学者の手記
    3.0
    奴らは、いる――。 「悪魔憑依」に挑む異色のアメリカ人医師が、25年に及ぶ体験を赤裸々に綴った衝撃のドキュメント。 著者のギャラガー博士は一流大学で研鑽を積んだアメリカの精神科医・精神医学者だが、1990年代から、「悪魔憑き」「憑依」と呼ばれる症例に多く接するようになり、医学的観点から“悪魔憑依”について診断・研究するようになった。さらにはキリスト教カトリック公認の「祓魔師(エクソシスト)」からもしばしば助力を乞われ、“悪魔憑依”の現場に幾度も立ち合い、その現実を目の当たりにしてきた。 本書はそんな特異な経歴と実績をもつ精神科医がこれまでの「症例」について詳細にレポートし、かつ深い分析を加えたもので、原著の刊行は2020年。関係者のあいだでは待望されていた1冊である。 科学的・医学的世界と悪魔祓いの世界という2つの対極的世界を長年にわたって歩んできたギャラガー博士によれば、悪魔憑依の症例は、本人がそう思い込んでいるだけ、つまり何らかの精神疾患や精神病に起因するものが圧倒的に多い。しかし、明らかにこれにはあてはまらないケースも確実に存在する。祓魔式の最中に30分間も空中浮揚した女性、憑依状態になると全く知らないはずの複数の言語をわめいて暴れ回る女性、憑依に陥ると体重200ポンドの男性を軽々と投げ飛ばす小柄な女性、消息を絶った真正の悪魔崇拝者……。 このような数多くの瞠目すべき例を紹介しながら、著者は、科学的知見を超越した「悪霊」「悪魔」の存在が疑いえないことを、明らかにしてゆく。 現代アメリカにおける悪魔憑依現象の実態について、豊富な実体験にもとづいて冷静に分析してみせた本書は、現代社会がサイキックな問題であふれかえっていることを雄弁に物語っている。 【目次】 ◆イントロダクション ◆第1部 懐疑者から観察者へ 第1章 最初の旅 興味を抱いた学生 第2章 司祭来る 外的苛虐の観察 第3章 ジュリア、サタンの女王 その憑依と、驚くべき能力 ◆第2部 研究者にして診断医 第4章 霊による障害 憑依のスペクトラム診断 第5章 苛虐の種類の診断 第6章 心の問題 虚偽の事例およびその他の医学的課題 第7章 キャサリン――母親、主婦、被憑依者 彼女が受けた一連の祓魔式と、儀礼の実際 第8章 真剣な研究者 第9章 悪霊信仰の歴史、超常現象および侵襲という観念の出現 第10章 アリス 悪魔祓いの成功事例と、原因と解決に関する追記 ◆第3部 相談役にして研究者――医師による擁護と警告 第11章 バーバラと見当違いの悪魔への恐怖 第12章 最後の論争 悪魔祓いの濫用、および批判者、研究者、メディアに対する、憑依およびいわゆる超常現象の科学的情勢に関する最後の覚え書き ◆エピローグ これらの現象の背後にある真実 何故悪魔は攻撃するのか

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  • さそりたち
    3.0
    米国資本「WCR ワールドレジスター・カンパニー・リミテッド」の日本法人の営業マン若林は、4人のチーム「さそり」を率い、売上で社内トップを独走していた。売り物は高額の事務用機器(ビジネス・マシン……今で言うところの経理会計システム)。飛び込み営業のスタイルで、モットーは、「殺人以外のことは何でもやる」。ときに犯罪(詐欺)まがいのテクニックと絶妙の連係プレーで、狙った獲物は逃がさない! ターゲットは、くせ者の大地主、老舗旅館の女主人、学習塾チェーンを展開するヤクザの親分、金欲・色欲にまみれた地方都市の市長、そしてカトリック新聞発行人の修道女……。チーム「さそり」の破天荒な奮闘を描く連作長篇。 〈解説〉池上冬樹
  • 作家の日記
    3.0
    作家としての精神を育んだフランス留学時代の内的記録――1950年6月、第1回カトリック留学生として渡仏し、1953年2月、病によって帰国するまでの2年7ヵ月の、刺すような孤独と苦悩に満ちた日々。異文化の中で、内奥の〈原初的なもの〉と対峙して、〈人間の罪〉の世界を凝視し続けた、遠藤周作の青春。作家としての原点を示唆し、その精神を育んだフランス留学時代の日記。
  • 女のキリスト教史 ──「もう一つのフェミニズム」の系譜
    3.0
    キリスト教は女性をどのように眼差してきたのか。ミートゥー運動に象徴される、現代の「男女同権」を目指すフェミニズムとは異なり、ヨーロッパにはカトリックを起源とする「もう一つのフェミニズム」の水脈があった。聖母マリア、マグダラのマリアに始まり、中世修道院の女性たち、異端として処刑されたジャンヌ・ダルク、国と宗教を超え崇敬される現代の聖女マザー・テレサまで、キリスト教における女性への差別と崇敬の歴史を明らかにする。
  • 美(うるわ)しきもの見し人は
    3.0
    探偵である「私」は、長崎のはるか沖合に浮かぶ波手島を訪れる。孤高のカトリック作家・蘭堂叡人が晩年を過ごした館には、いまも彼の養女ほか、ゆかりの女たちが住んでいた。そこに、蘭堂の隠し子で唯一の相続人と名乗る女が現れたのだ。私の仕事は女の素性を暴くこと。彼女の正体は? さらに、密室から「昇天」して消えたという蘭堂の最期――その驚愕の真相とは?
  • 世界で一番他人にやさしい国・日本
    3.0
    来日して40年、サンマリノ大使にして在京各国大使を束ねる「駐日外交団長」であるマンリオ・カデロ大使と加瀬英明氏による異色の日本文化論。大使は熱心なカトリック教徒であるが日本の神道を高く評価、サンマリノに欧州初の神社を建立した。神道は宗教ではなく自然と一体となった「生き方」であり、その精神が世界の中でもまったく類を見ない、日本人の他人に対する思いやり、やさしさの源泉であると分析。この日本人独自の世界観が世界の将来を救うと言う。
  • カトリック政治思想とファシズム
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 本書は、保守的で急進的な変革を求めたカトリック系政治思想家たちがローマ教皇の社会回勅をもとに形成した社会観・経済観・国家観を解明、なかでも強い影響力をもったシュパンの身分制国家論を包括的に分析する。さらに、カトリック的普遍性とドイツ・ナショナリズムの狭間で揺れつつ存立した彼らの思想的営みを、反ユダヤ主義との関係も踏まえて明らかにする。 【目次より】 まえがき 第一章 保守的で急進的な変革「保守」と「革命」の結合の論理 第二章 カトリック政治思想と資本主義国家の諸問題 第一節 二つの社会回勅『レールム・ノヴァールム』(一八九一年)と『クアドラゼジモ・アンノ』(一九三一年) 第二節 社会改革と社会政策 第三節 社会問題とはなにか 第四節 資本主義経済論 第五節 国家の課題 第三章 オトマル・シュパンの身分制国家論とファシズム はじめに 第一節 普遍主義の政治原理 政治的不平等と権威主義 第二節 身分制国家論 第三節 シュパン理論とオーストリア・ファシズム 第四節 シュパン身分制国家論とナチズム 第四章 カトリック政治思想とナショナリズム はじめに 第一節 民族と国民と国家 第二節 「オーストリア・イデオロギー」の論理構造 戦間期オーストリアにおけるドイツ国民意識とオーストリア国家意識 第三節 カトリック政治思想と反ユダヤ主義 宗教的反ユダヤ主義と人種論的反ユダヤ主義の間 第四節 「オーストリア国民」意識の成立 ナショナルな価値と普遍的価値 第五章 職能身分制秩序の実験 ドルフス・シュシュニク体制の政治思想 第一節 カトリックの身分制秩序論 第二節 ドルフス・シュシュニク体制 むすび あとがき 注 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 村松 惠二 1948年生まれ。東北大学法学部卒業。弘前大学人文学部教授。専門は、政治学、政治思想史、オーストリア研究。
  • 福音とアジア文化(長崎純心レクチャーズ) 韓国カトリック教会の歴史と課題
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 朝鮮半島において、キリスト教はどのように受容されたのか? なぜカトリックが受け入れられたのか? 済州島でのキリスト教の歴史も探る。 【目次より】 「長崎純心レクチャーズ」について  片岡千鶴子 第一日 韓国社会における福音受容の歴史と課題 朝鮮半島へのカトリック信仰の伝来 李乗薫 最初のカトリック信者 当時の社会的状況と思想的背景 朝鮮王朝による宗教政策 儒教的政治体制の行き詰まり カトリシズムヘの関心 朝鮮におけるカトリック教会の始まり 迫害の始まり 迫害の政治的・社会的背景 朝鮮王朝時代の身分制度とその崩壊 政治体制、社会秩序の崩壊とカトリック信仰 周文慕神父の殉教 朝鮮最初の司教区設立 朝鮮出身最初の司祭 大迫害時代 韓国カトリック教会の歴史 カトリック信者数の推移 カトリック信者の急増 その光と影 「冷淡者」の問題 小共同体運動 現代カトリック教会 第二バチカン公会議 四つの基本的憲章 これからの課題 四大憲章の精神の具体的実現 質疑応答 第二日 済州におけるカトリック教会 カトリック教会が直面する問題 済州島の歴史 建国の神話 古代国家・耽羅 高麗王国への従属(一一〇五~) モンゴル占領期(一二七三~一三七四) 朝鮮王朝への従属(一三九三~一九一〇) 朝鮮王朝以後 搾取と抵抗 アメリカ・イギリス・ソ連・中国による信託統治(一九四五~四八) アメリカ軍政下(一九四五~) 一九四七・三・一 軍政に対する抗議集会と抵抗運動の展開 四・三事件 一九四八年四月三日、南労党による武力闘争の発端 大韓民国軍による討伐作戦 四・三事件の最終段階 犠牲者三万人 ジェノサイド(大量集団虐殺)の問題 四・三事件と韓国政府の対応 全国民が謝罪する必要性 四・三の神学的省察 軍港建設問題 済州カトリック教会の対応 国家とは何か? 日本における国家意識の形成 アメリカの場合 国家対キリスト信者 「神の民」イスラエル 抵抗権の基礎 「神の民」イスラエルと預言者 政治による大規模河川工事(四大川事業)と教会の対応 済州海軍基地建設反対運動 政治的圧力 何故反対するのか キリスト信者と国家 現代の戦争、軍備拡張と教会の教え 質疑応答 補遺 済州島ガンジェオン村に始まるアジア平和 日本と韓国 文化の違いから見えてくるもの 解説 稲垣良典 あとがき 稲垣良典 姜 禹一 1945年生まれ。韓国済州教区司長。 著書に、『福音とアジア文化』などがある。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • ハンガリーのギリシア・カトリック教会 伝承と展望
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 中・東欧におけるギリシア・カトリック教会は、ビザンティン典礼と東方教会法に従いつつ、ローマ教皇の首位権を認めるカトリック教会の一組織である。本書はわが国で初めてその歴史・教会法・典礼・神学を紹介し、その本質が「十字架上の聖体論」にあることを指摘。この聖体共同体からの光を源に、古典文献学・古代学・聖書解釈・教父学の分野に展望を披くと共に、仏教・神道など東洋思想に対してもこの共同体を基点に意義づけを試みる。さらには仏教に旧約的意味づけを与えて、中欧研究や古典古代学・神学のみならず異文化理解や宗教間対話にも重大な示唆をもたらす画期的業績。 【目次より】 第 I 編 伝承 ハンガリーのギリシア・カトリック教会総説 第1部 教会史と教会法 第1章 伝承と国際性 ハンガリーのギリシア・カトリック教会 第2章 スロヴァキアの春 『東方教会法典』の規定と現代の「殉教者」たち 第3章 聖バジリオ修道会の形成と展開 ハンガリーの場合を中心に 第4章 東方カノン法の世界へ クラクフからの法比較論的断想 第5章 『東方教会法典』の神学 「十字架上の聖体」の内的構造 補論1 中欧概観 旅の記録 第2部 典礼と神学 第6章 ビザンティン典礼による聖体祭儀の神学 第7章 「テュピコン」をめぐる神学 修道院典礼から司教区の典礼へ 第8章 「聖週間」から「光の週」へ 補論2 欧米文化研究におけるハンガリー語の意義 語順を中心に 第 II 編 展望 古典古代学に向けて 第3部 文献学・古代学・教父学 第9章 ビザンティン世界における「知」の共同体的構造 第10章 マーチャーシュ王とコルヴィナ文庫 15世紀ハンガリーの栄華 第11章 ヘロドトスの「父性」 「東方予型論」に向けて 第12章 ヘロドトスの射程 普遍史・他者性・予型論 第13章 モプスエスティアのテオドロスにおける予型論の射程 典礼と聖書解釈の接点 第14章 アレクサンドリアのクレメンスにおける「訓導者」 第15章 アレクサンドリアのクレメンスにおける「覚智者」 第4部 東方予型論 第16章 「即身成仏」と「神化」  東方キリスト教神学から見た密教思想 第17章 「三密」と「三位一体」 密教とビザンツ神学における「言葉」の位置と意義 第18章 「般若」と「認識」 菩薩行と東方教会神学 第19章 慈雲『南海寄帰内法伝解纜鈔』の現代的意義 「動詞語根からの古典古代学」に向けて 第20章 慈雲と華厳思想 「古典古代学基礎論」のために 結章 戒体と聖体 旧約としての仏教 あとがき ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 秋山 学 1963年生まれ。筑波大学教授。東京大学文学部、同大学院人文科学研究科西洋古典学専攻修士課程、総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は、西洋古典学、地中海学、教父学。 著書に、『教父と古典解釈』『慈雲尊者と悉曇学―自筆本『法華陀羅尼略解』と「梵学津梁」の世界』『ハンガリーのギリシア・カトリック教会』など、 共訳書に、『ニュッサのグレゴリオス』『中世思想原典集成2 盛期ギリシア教父』『中世思想原典集成1 初期ギリシア教父』『ギリシア文学概説』『中世思想原典集成20 近世のスコラ学』などがある。
  • イラストで知るカトリック教会生活
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 月刊誌『家庭の友』(サンパウロ発行)で1992年から連載された「イラストで知るカトリック教会生活」をベースにして、全国のカトリック教会の香部屋に一冊ずつ常備されることを念頭に、ハンディタイプに再編集した「教会豆知識」の決定版。 発行から10年余りで7刷を数える定番ロングセラーである。 内容は日々の教会の中で使用される教会用語や典礼用語、また祭儀で使う聖具・祭具・祭服や奉仕職の所作・手順、教会の構成メンバーなどが、分かり易いイラストとともに説明してあり、楽しく眺めているうちにいつの間にか頭に入り、身に付いてしまうという「すぐれもの」ガイドブックである。 聖体奉仕者をはじめとする奉仕職の必携書であることは間違いないが、これだけ盛り沢山で50頁とは、各家庭にもおいておきたい一冊である。

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  • 山峡 宗教 神と人間を巡る物語
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    奴隷制否定、動物虐待拒否のキリスト教三位一体派(正教会)。動物虐待是認のキリスト一教神派(カトリック教会)。この二つの相剋。宗教とは何か。奴隷主のためだけにあるのが神なのか。そして、人間のエゴを、ただただ“神”としたもの、それが一神教なのか。宗教史を紐解き、人間と宗教の「絡み合い」を赤裸々に辿った問題作。
  • 主とともに
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    世界中、どこのカトリック教会に行っても聖堂の壁に「十字架の道行」が並んでいます。それは14~15枚のレリーフや絵で、ゲッセマネの園でのイエスの祈りからはじまって、十字架刑で亡くなり、葬られ、復活するという、イエスの人生の最後の3日間の出来事が、場面ごとに描かれています。人々は、その絵の前を移動しながら祈ります。本書は、日本人の感性からキリスト教を極めていった奥村一郎神父が祈った3種類の十字架の道行と受難の復活の黙想を納めたものです。祈りは、一般向き、思索的・神学的なもの、聖書をもとにしたもので、持ち歩きに便利なポケットサイズで、イエスの心を親しく感じて祈ることができます。
  • 宗教からの提言――人が生きるとはどういうことか
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    ・なぜ新興宗教問題がおきるのか ・なぜ日本人は浪費にきびしいのか ・なぜ日本人は宗教を理解できないのか ・なぜ離婚がカトリックでは許されないか ・現代の盲点とはなにか。 ・日本人の内面を支えているものは何か 人が生きるとはどういうことか。 評論家・キリスト教徒の山本七平が、宗教の視点から現代や日本人のあり方を問う。 荒野をさまよう現代人へのメッセージ。 ■本文からの抜粋 〔ヤコブは〕成人したとき神と争った。 彼は天の使いと争って勝ち、泣いてこれにあわれみを求めた。 「ホセア書」十二章四節、五節 『聖書』の中に「注解者の十字架」といわれる箇所があり、これもその一つだそうである。「注解者の十字架」とは、なんとも注解の方法がないだけでなく、日常的信仰的体験からみてありえないことのように見え、同時に、『聖書』に「こんなことが書いてあるはずはない」と思わざるをえない箇所をいう。  その点、この箇所は確かに一種の衝撃をうける。いったい全体、人が全能の神と争って勝つとはどういうことなのか。また勝った人(ヤコブ)が負けた神(天使)に泣いてあわれみを求めるのはなぜなのか。 (中略)  人が神と争う、すると――まことに困ったことだが――人が勝つのだと『聖書』に書いてある。恐ろしい、こんな恐ろしいことばがあるだろうか。  人はそれを信じたくない。だから読みかえたがる。しかし、すべての読みかえはおそらく無意味であり、このことばのとおりで、人が神と争えば、『聖書』に記されているとおりに、必ず、人が勝つのである。そして、このことばの正しさは、一人の人の生涯にも、人類の歴史にも、おそらくそのままに証明されているであろう。 ■著者略歴 山本七平(やまもと・しちへい) 評論家。ベストセラー『日本人とユダヤ人』を始め、「日本人論」に関して大きな影響を読書界に与えている。1921年生まれ。1942年青山学院高商部卒。砲兵少尉としてマニラで戦い補虜となる。戦後、山本書店を設立し、聖書、ユダヤ系の翻訳出版に携わる。1970年『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。日本文化と社会を批判的に分析していく独自の論考は「山本学」と称され、日本文化論の基本文献としていまなお広く読まれている。1991年没(69歳)。

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