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蜘蛛の巣の罠
サーガに届く謎の小包。 醒めぬ悪夢が始まる。 ユレック・ヴァルテルという凶悪な殺人鬼との闘いは、ヨーナ・リンナとサーガ・バウエルの捜査によって終止符が打たれた──はずだった。心に深い傷を負って療養するサーガのもとに、連続殺人をほのめかす絵葉書が届くまでは。「ヨーナを救えるのはきみしかいない」。署名は「ユレック・ヴァルテル」のアナグラム。その葉書をサーガが受け取ってから三年が過ぎたある日、国家警察長官マルゴット・シルヴェルマンが突如失踪、後日遺体で発見される。現場には葉書の記述どおり残された純白の薬莢。それは新たな殺人鬼が練りあげた計画の始まりを告げる声だった…… -
クラクフ・ゲットーの薬局
ゲットーで何が起き誰がどう生きたかを記録 1941年3月から43年12月まで設置されたクラクフ・ゲットー。その地で薬局を営むポーランド人の著者は、退去命令に従わず居座り、ユダヤ人への支援者、ナチの暴虐の記録者として2年半を過ごす。本書はその克明な回想録である。 ※本書は、大月書店刊『クラクフ・ゲットーの薬局』の電子書籍版です。 【目次】 初版まえがき 第二版まえがき 第一章 ゲットーの設置と編成―新しい生活―新しい知人たち 第二章 比較的平穏だった日々―最初の移送行動―ドイツの秘密諜報機関員―九四二年六月二日から四日にかけての移送行動 第三章 陸軍中尉ブスコ―一九四二年六月八日の移送行動―ゲットーの縮小―困難な生活環境―一九四二年十月二十八日の移送行動―迫害された人々の様子 第四章 プワシュフ収容所―ゲットー域の再縮小―プワシュフでの刑執行―移送者の確かな消息―ゲットーAとB―クラクフ以外から入ったゲットー住民―薬局閉店の試み―規則の厳罰化―児童施設の設置 第五章 プワシュフ収容所への移送―一九四三年三月十三日および十四日のゲットー撤収行動―心理的謎―病人および子どもたちの殺害―悪夢の光景 第六章 死者の町―ゲットーの「清掃」―ゲットーの死刑執行人―ユダヤ人警官の運命―一九四三年十二月 第三版あとがき チェスワフ・ブジョザ 訳者あとがき 登場人物一覧 【著者】 タデウシュ・パンキェヴィチ(Tadeusz Pankiewicz) タデウシュ・パンキェヴィチ 1908年サンボル(現・ウクライナ領)生まれ。ポーランドの薬剤師一家の出身。クラクフのヤギェウォ大学薬学部を卒業し薬学修士の学位を取得後、1933年父から “鷲”薬局を引き継ぎ店主となる。1947年本書の第1版刊行(1995年第3版)。1993年死去。 田村和子 たむら・かずこ ポーランド児童文学翻訳家。1944年生まれ。著書に『ワルシャワの日本人形』(岩波ジュニア新書)、訳書に『強制収容所のバイオリニスト』(新日本出版社)など。 -
クラーク・アンド・ディヴィジョン
日系米国人作家による話題の歴史ミステリー! 1944年、シカゴ。父母とともにカリフォルニア州の強制収容所を出てシカゴに着いた日系二世のアキ・イトウは、一足先に収容所を出てシカゴで新生活を始めていた姉ローズが前日にクラーク・アンド・ディヴィジョン駅で列車に轢かれて死んだと知らされる。警察の自殺説に疑問を感じたアキは、真相を求めて自ら調査を始めるが…。 2021年NYTベストミステリー選出、2022年メアリー・ヒギンズ・クラーク賞受賞、同年マキャヴィティ賞最優秀歴史ミステリー小説賞受賞。 戦時中の日系人たちの境遇にスポットを当て知られざる歴史を掘り起こした、日系米国人の著者渾身の歴史ミステリー、待望の新シリーズ第1弾。 (底本 2024年6月発売作品) -
クリスマス・イヴ
1965年、アメリカはソヴィエトと中国に占領された! 国民は、きびしい監視のもとに置かれ、自由を奪われる。だが、一縷の希望が残されていた。状況を逆転する大いなる秘密が…… 夭折した異才コーンブルースが、占領下のアメリカ人の生きかたと戦いをリアルに描いたヒューゴー賞候補作が復活。 戦争がはじまって、すでに3年。広告業界の画家として活躍していたジャスティンは、国の施策により、仕事を捨てて酪農に従事していた。統制下で不自由な生活を送っていた1965年4月17日、衝撃的なニュースがもたらされる。米軍は無条件降伏、アメリカ合衆国はソヴィエトと中国に統治されることになったのだ! 占領され、国民の間にも分断が深まる不穏な空気のなか、身をひそめて生きるジャスティンは、大いなる秘密を知る。これで、一気に逆転が可能かもしれない。だが、そのためには、極秘裏に計画をすすめる必要があった。目標は、クリスマス・イヴ…… 敗戦国となったアメリカをリアルに描き、絶望的な状況を生き、戦う人びとの姿を謳いあげるコーンブルースの佳品をいまこそ! -
クレオパトラの一夜
古代エジプトの女王・クレオパトラについては、今日、深い学識をそなえた理知的な女王、専制的で放蕩で残忍な男たらしの女王という、二つの相反する人物像が伝わっている。著者のゴーチエは、『モーパン嬢』の中で、「ああ! クレオパトラよ、今にしてわたしは分かる、一夜をともに過ごした愛人をどうして君が朝になると殺させたのかが。(中略)いかなる男性も生きて君の閨房(ねや)の秘密を言いふらすことを君はいやがったのだ」と書いている通り、放蕩で残忍な男たらしの女王に刺激された。本書は、命がけでクレオパトラ女王から一夜の情けを受けた若者の物語を描いたゴーチエの短編を収録。 -
クレムリンの魔術師
「プーチンの演出家」が語るリアルポリティーク小説 「クレムリンの魔術師」として知られたヴァディム・バラノフは、ロシアの皇帝の黒幕になる前はTVのリアリティ番組のプロデューサーだったという。 〈私〉はある夜、SNSで知り合った人物からモスクワ郊外の邸宅に招かれ、その祖父の代からの「ロシアの権力の歴史」を知る。ヴァディム・バラノフには舞台芸術アカデミーで演劇を学んだ青春時代、ヒッピーの両親をもつクセニアという名の美しい恋人がいたという。 ロシアのプロパガンダ戦略やウクライナとの戦争において、彼はどんな役割を担ってきたのか? 「プーチンの演出家」の告白を元に伏魔殿クレムリンの舞台裏が明かされてゆく──。 主人公バラノフのモデルは、ロシア副首相、大統領府副長官、補佐官を歴任した、ウラジスラフ・スルコフ。エリツィン、クリントン、メルケル……実在の政治家たちも実名で登場し、ソチ冬季オリンピック開会式で赤軍合唱団にダフト・パンクを歌わせた史実なども挿話され、プーチンの権力掌握術や、ロシアの国民感情が語られてゆく。愛と権力をめぐる迫真のリアルポリティーク小説。 小泉悠さん推薦! アカデミー・フランセーズ賞受賞作品。 -
グッバイ、コロンバス
デビュー作で全米図書賞受賞! アメリカを代表する作家、フィリップ・ロスの伝説の青春小説が待望の新訳で瑞々しく甦る。 真夏のプールで運命的な出会いを果たしたニールとブレンダ。二人はたちまち引かれ合い、結婚を意識し始める。若い男女の恋には危うさがつきまとい、季節の移ろいとともに、輝かしい日々は過ぎ去っていく。はかなくほろ苦い青春期の恋を瑞々しい文体で描いた永遠の名作。 「今から60年以上も前、1958年にフィリップ・ロスが発表し、1965年に佐伯彰一さんの名訳で日本に紹介された「さようなら コロンバス」をぼくが読んだのは、1969年、はたちになったばかりの時だった。その時に激しく心を揺さぶられ、この小説は一生忘れることのできない、ぼくにとって最もお気に入りのアメリカ文学の一つとなった。 その作品を新たに翻訳するという素晴らしい機会を与えられ、作業を進めながら、改めて強く思ったのは、本作がまったく過去のものにはなっていないということだった。主人公二人の不安や苦悩、葛藤、そして失敗は、具体的な状況やかたちこそ違え、今の若者たちにリアルに伝わるはずだ。「グッバイ、コロンバス」は1950年代後半のアメリカ社会のノスタルジックな青春小説、恋愛小説にとどまることなく、完璧に描かれた若者たちのみずみずしさとおろかさ、純粋と放縦、優しさとわがままゆえ、2020年代の今をも照らす永遠の輝きを放っている。」――訳者より -
グラント船長の子供たち
SFの始祖として知られ、冒険小説の第一人者として知られるジュール・ヴェルヌの「驚異の旅」シリーズ第5作。スコットランドの貴族グレナヴァンはふとしたきっかけから冒険家グラント船長の船が遭難して船長が消息を断ったことを知り、残された姉妹メァリとロバートを連れて捜索にのりだす。だが、さしあたりの手がかりは南米のパタゴニアしかない。老練な航海士オースティン、料理長オルビネット、グレナヴァンの従兄弟で沈着なマクナブズ少佐、まちがって乗船し冒険旅行に出ることになったが、該博な知識で協力する天衣無縫の地理学者ジャック・パガネル…果たしてグラント船長はどこかに生きているのか? -
グリム全集
グリム兄弟の代表作から知られざる名作までを一冊に収録し、読みやすく編集した電子版グリム全集。海外文学を代表する世界的文豪たちの長編小説、短編、評論、随筆などを多数収録し、手に取りやすい価格で合本した電子書籍ならではの文学シリーズです。 ●目次 赤ずきん(矢崎源九郎訳) 赤ずきんちゃん(楠山正雄訳) アッシェンプッテル いさましい ちびの仕立屋さん うまい商売 オオカミと七ひきの子ヤギ(矢崎源九郎訳) おおかみと七ひきのこどもやぎ(楠山正雄訳) おくさま狐の御婚礼 カエルの王さま(矢崎源九郎訳) かえるの王さま(楠山正雄訳) かわいそうな粉ひきの若いものと小猫 狐と猫 小人のくつ屋さん こわいことを知りたくて旅にでかけた男の話 三人の糸くり女 三枚のヘビの葉 七羽のカラス 死神の名づけ親 第一話 死神の名づけ親 第二話 十二人兄弟 白雪姫 白ヘビ 忠義者のヨハネス としよりのお祖父さんと孫 なぞ ならずもの にいさんと妹 ネコとネズミのいっしょのくらし 杜松(ねず)の樹 灰かぶり ハツカネズミと小鳥と腸づめの話 ブレーメンの音楽師(矢崎源九郎訳) ブレーメンの町楽隊(楠山正雄訳) ヘンゼルとグレーテル(矢崎源九郎訳) ヘンゼルとグレーテル(楠山正雄訳) 星の銀貨 ホレおばあさん マリアの子ども 森のなかの三人の小人 ラプンツェル(矢崎源九郎訳) ラプンツェル(中島孤島訳) 漁師とそのおかみさんの話 ルンペルシュチルツヒェン 六羽の白鳥 わらと炭と豆 -
グリム ドイツ伝説集
民族と歴史の襞に分け入る試行 完全新訳による585篇と関連地図を収録 200年の時を超えて甦る—グリム兄弟の壮大なる企て! 民族と歴史の襞に分け入る試行 完全新訳による585篇と関連地図を収録 グリム兄弟によって企図されたこの試みには、大きく分けて土地と結びついた伝説を集めた【上巻】と歴史と結びついた伝説を集めた【下巻】の中に585篇に及ぶ膨大な伝説が集められている。個別には、小人、巨人、山の精、家の精、水妖、魔女、妖精、王子、夢魔、竜、人狼、滅んだ城等にまつわる多種多彩な伝説が全篇にちりばめられている 【目次】 上巻では伝説1〜363までを収録する 【著者】 グリム兄弟 19世紀にドイツで活躍したヤーコプとヴィルヘルム兄弟。言語学者・文献学者・民話収集家・文学者。日本では、『グリム童話集』の編集者として知られる。 鍛治哲郎 鍛治哲郎(かじ。てつろう) 1950年大阪府生れ。 神戸大学教養部、東京大学教養学部・総合文化研究科、 鎌倉女子大学教育学部に勤務。東京大学名誉教授。 専門はドイツ近代文学。著訳書に『ツェラーン 言葉の身ぶりと記憶』、『グリム ドイツ伝説集(上)(下)』など。 桜沢正勝 桜沢正勝(さくらざわ・まさかつ) 1941年大阪府生れ。2017年7月没。 神戸大学教養部勤務後退職。専門はドイツ文学。 訳書にE・シュタイガー『ゲーテ』(共訳)、『グリム ドイツ伝説集(上)(下)』 -
グレイス・ペイリー短篇集
村上春樹翻訳・至高の女性作家の第一作品集。アメリカ文学の伝説はここから始まった! 村上春樹と、アメリカ文学の生きた伝説、グレイス・ペイリーのコラボレーション。 「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏は語る。キッチン・テーブルでこつことと書き継がれた、とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな短篇集。巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。世紀を超えて輝く傑作10篇収録。 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
警告
『ザ・ポエット』『スケアクロウ』で凶悪な連続殺人犯に対峙した新聞記者のジャック・マカヴォイ。それぞれの事件を著書にした彼はLAタイムズを辞め、消費者問題を扱うニュース・サイトの記者になっていた。 ある日、一度だけ面識のある女性が殺され、マカヴォイに殺人容疑がかけられる。自分が犯人ではないことを知っている彼は、被害者がデジタル・ストーキングされていたとの情報から、独自に事件を調べ始める。 マカヴォイはかつての恋人であり、現在は探偵・調査事務所を運営している元FBI捜査官のレイチェル・ウォリングに協力を依頼するが――。 「コナリーの不屈のジャーナリスト探偵ジャック・マカヴォイを主人公とするあらたな刺激的な作品、本書は、何年も気づかれずに狩りをつづけてきた残忍な連続殺人犯を暴きだす。世界的な犯罪小説作家のひとりが最高の形で描いた作品であり、スピード感があり、息をのむほどサスペンスに満ちあふれている」 ――ウォーターストーンズ書店 -
汚れなき子
米アマゾン2760レビューの超ヒット作! 真夜中、ひと組の母娘が救急車で病院に搬送された。母親は自動車事故に遭い、重傷を負っていた。母親といっしょにいた少女は幸い無傷だった。母親が救命処置を受けている間、少女は看護師に身元を聞かれるが、少女は母親の名前がレナであること以外は何も明かさない。看護師が電話番号をたずねると少女は言った。 「うちには電話ないの」 「じゃあ、住所だけでも? 住んでる通りの名前、わからない? 誰かを向かわせて、パパを連れてくることができるかも」 そう看護師が言うと、少女はゆっくりと首を振って囁いた。 「私たち、見つかっちゃいけないんだよ」 その後、少女が語ったのは、事故の夜、少女の母親がうっかり父親を殺そうとしたこと。小さな弟がひとり今も〈小屋〉に取り残されていること。そして〈小屋〉での奇妙な暮らしぶりだった――。 物語はこの少女の視点の他に、事故に遭った母親の視点と、もうひとり、行方不明の娘を探す父親の視点の三つで描かれていくのだが、やがて少女と母親の語りから、二人がともにどこか異様なことに読む者は気づき始める。 この作品に捜査機関は登場するが、彼らはあくまでも脇役である。やがて結末近くになってようやく事件の全貌が見えるのだが‥‥。 デビュー作にして見事なページターナー! 2020年、ドイツ推理作家協会賞(正称:フリードリヒ・グラウザー賞)最終候補作! ドイツ・アマゾンのレビュー1690超、★平均4.5! 米国アマゾンのレビュー2760超(2020年10月発売、半年累計)、★平均4.5! 今後ドイツのスリラー界を担う最右翼新人作家の作品を、満を持して紹介する。 (底本 2021年6月発行作品) -
結婚するとは思いませんでした。
ずっと一人で生きると思ってた \BTSのRMも読んだ!/ 韓国で大人気! 結婚+猫のコミック・文章エッセイ 「『男はこうすべきで、女はこうすべき』という恋愛セオリーがある。それに従わないと妻がいなくなる気がして不安だった。でもそれを捨てて初めて、僕らの本当の恋愛は始まった。」 韓国で大人気の漫画家「ジェス」のイラストエッセイ。恋とは無縁で寂しがりやだった「僕」が「隊長」と出会い結婚し、3匹の元野良猫とくらす日常を描く。 「ここに書いてくれた嫌いなこと10個は、これからも絶対にしないから、僕とつきあいませんか?」 恋と無縁だった漫画家「ジェス」が「隊長」と出会い結婚し、3匹の元野良猫とくらすことに。韓国で大人気のイラストエッセイ。 装画・漫画 ジェス 装丁 名和田耕平デザイン事務所 目次 1章 僕らの出会い 2章 結婚したとたん4人家族 3章 隊長! 僕の隊長 4章 これからは5人家族 5章 ジェスの話 6章 一緒に歩く -
訣別
ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。 -
ケルト幻想民話集
ケルト民話のなかでだれが一番美人か。「ケルトのヴィーナス」はディアドラかグラーニアか。ディアドラであるに違いない。なにしろ彼女は生まれる前からその美貌が国に災いをもたらすと予言されたのだから。では、一番の英雄はだれ? -
ケルト妖精民話集
いたずらものの妖精が人間の世界と行き来して、魔法を使ったり変身したり、人の運命をあやつるという物語は、ヨーロッパの先住民ケルト人の文化がいまだ色濃くのこるアイルランドとスコットランドに伝えられる。妖精にかかわる16編。 -
郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集
薔薇、お茶、リボン、焼き菓子……。 完璧な幸福の中にひそむ死、誘拐、心変わりや別離。 ――外から来た少女は、世界の裂け目を覗き込む。 ニュージーランドに生まれたマンスフィールドは、ヨーロッパに暮らす人々の優雅な幸福を活写する。同時に日常の翳に見え隠れする、死、階級差、裏切り、別離なども、彼女の眼は射抜いていく。 小さなお菓子のような短篇には、毒や皮肉も混ざっていて、人間社会の普遍を描く。 ヴァージニア・ウルフのよきライバルで、短篇の革新者。 マンスフィールドの比類なきコレクション。 -------------------------------------- 【目次】 ■風が吹く……The Wind Blows ■ガーデンパーティー……The Garden Party ■少女……The Young Girl ■幸福……Bliss ■見知らぬ人……The Stranger ■パール・ボタンはどんなふうにさらわれたか……How Pearl Button Was Kidnapped ■ミス・ブリル……Miss Brill ■ある上流婦人のメイド……The Lady’s Maid ■父親と娘たち……Father and the Girls ■郊外のフェアリーテール……A Suburban Fairy Tale ■一杯のお茶……A Cup of Tea ■人形の家……The Doll’s House ■風味のピクルス……A Dill Pickle ■船の旅……The Voyage ■入江にて……At the Bay ■解説 キャサリン・マンスフィールドという事象――西崎憲 -
行止失なく、而して本意に非ず
彼女は、自分の命がそう長くは続かぬのではないかと、薄々感じていた。 窓辺に置かれ、長年ともに過ごしてきた油灯さえ、近ごろは理由もなく消えることが多い。油を注ぎ足しても、炎は心細く揺れ、いつ途絶えてもおかしくない。 そんな折、彼女は幾度も同じ夢を見る。 紫藤の花が咲き満ちる藤棚の下。幼い自分が、短い脚をぶらぶらと揺らしながら座っている。 白くふくよかで、饅頭のような乳母が、穏やかな声で食事を口に運んでくれる。 ——もし、本当にあの頃へ戻ることができたなら。 あの時見過ごしたもの、守れなかったもの。 その人生は、果たしてどれほど違う道を辿ったのだろうか。 -
紅楼夢
物語は、上流階級の賈(か)氏一族の坊っちゃん賈宝玉(かほうぎょく)を主人公とし、繊細でプライドの高い美少女の林黛玉(りんたいぎょく)、良妻賢母型の薛宝釵(せつほうさ)の三人の関係を主軸として展開する。同時に、清朝の上流階級の生活が克明に描きだされる。賈家の豪華奢侈の日々、間断なくもよおされる宴会の場面、主人公の男女たちの室内における起居、かれらにかしずく無数の女中・下男らの立ちいふるまい、それらが、ありのままに写される。そして大家族の共同生活にはつきものの種々のいざこざ、はては閨中の秘事まで、すべてがありありと鏡のように写し出される。その一方で、主人公たちは儒教道徳や官僚の腐敗、不正に対する痛烈な批判も口にし、当時の社会に対する諷刺・批判的色彩も帯びている。 -
声をあげます
地球の滅亡、感染症、種の絶滅、大量消費…… 《 解決の鍵はいつだって未来にある! 》 身に覚えのないことで突然、収容所に監禁された英語教師のスンギュン。16名もの教え子が殺人者になっているという。 そして、その原因が自分の“ 声” にあるというのだが……(「声をあげます」) 『フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』の人気作家が放つ初めてのSF短編集。 文明社会の行きづまりを軽やかに描き出し、今を生きる女性たちにエールを贈る、シリアスでポップな8つの物語。 二十三世紀の人たちを怒らせるのではないかと思うと私は恐ろしい。 この正常ではない、腹立たしい豊かさは最悪の結果に終わってしまうだろうと思う。 未来の人々に軽蔑されずにすむ方向へ軌道修正できたらいいのに。(「あとがき」より) -
凍った愛がとけるとき
初登場〈ビリオネアとデート〉シリーズ 恋を捨てた女性看護師と 記憶喪失の魅力的な患者 スイートでクリーンなシンデレラ・ロマンス! 読者評から— なんとすばらしいストーリー。読みはじめたら止まらなかった。わたしも看護師なので、すぐヒロインに一体化してしまった。なにしろ、登場するのは、記憶喪失のハンサムな男性に、尊大で横柄な婚約者! 絶対に読んだほうがいい。 アメリア・アドラーは、事故による記憶喪失から、説得力に満ちた比類のないストーリーを創りだす。予想外の展開がつづきながら、同時に、地に足のついたドラマなのだから、ほんとうに楽しい。信じられないかもしれないが……こんな作品があるなんて! 【概要】 悲しい過去を背負い、恋愛を捨てて仕事に打ちこむ女性看護師、カリ。 その救急病棟へ運ばれてきた魅力的な男性クレイグは、自分に関する記憶をいっさい失っていた! 病院を出て極寒の街をさまようクレイグに、カリは救いの手を差し伸べる。 イギリス英語で軽口ばかり叩くクレイグと、きまじめなカリとの奇妙な同居生活。 2人の距離が縮まってきたとき判明するクレイグの驚きの正体。 彼らの世界は引き離され、さらにカリは生涯をかけた仕事を失う危機に…… 新鋭が贈るスイートでクリーンなロマンス。 -
戸外の日記
「私は今では、人が自己をあらわに見出すのは【私的日記/ジュルナル・アンティーム】による内省においてよりも、むしろ自らを外界に映し出してみるときだと確信している」 1985年から1992年にかけて、著者は自らが暮らしたパリ近郊のニュータウンで見聞したスーパーのレジ係、地下鉄ですれ違ったひとなど、見過ごしてしまうような情景を日記のごとく書きとめてきた。スケッチ風の短い断章からなる本書は、独自の視点と感性で、「戸外」の日常的な場所で見かける他人の内面を炙り出し、自己への認識を深めていく。 フランス人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した作家の鋭い観察眼が光る随筆集。 -
国民衛兵の一夜
【日本語:歌え、笑え!19世紀のポップカルチャー】 「流行歌(ヴォードヴィル)で、お固い軍隊を笑い飛ばせ!」 1815年、パリ。街中のヒット曲に替え歌を乗せて、最新の時事ネタを爆笑に変える。 それが当時の最先端エンタメ「ヴォードヴィル」! 若きスクリーブは、市民のリアルな「国民衛兵の一夜」を、歌と機知で最高にポップなコメディに仕立て上げた。 現代のミュージカルにも通じる、疾走感あふれる「言葉と音楽の化学反応」を今、体感してください! 【English: Vaudeville! The 19th Century Pop Revolution】 "Mix the latest hits with a sharp wit, and watch the elite crumble!" In 1815 Paris, the ultimate entertainment was "Vaudeville"—where catchy pop tunes met biting satire. Young Scribe didn't care for the stiff military glory of the old guard. He took the streets' energy and turned "A Night of the National Guard" into a musical comedy masterpiece. Fast, funny, and full of songs, discover the 19th-century roots of the modern musical in this vibrant new edition! 【Français : Vaudeville ! La pop-culture qui décoiffe】 « Des refrains populaires, de l'esprit, et une bonne dose d'impertinence ! » Paris, 1815. Le Vaudeville est roi : on chante les derniers succès, on rit des puissants, on s'amuse de tout. Le jeune Scribe bouscule l'ordre établi avec sa comédie rythmée et ses couplets malicieux. Oubliez la rigueur militaire, place à la fête et à l'ironie ! Redécouvrez l'énergie pure de ce genre qui a inventé le divertissement moderne, entre théâtre, chanson et satire sociale. -
心の奥にひそむ影
名匠ノーラ・ロバーツ最新刊 心の奥にひそむ「力」が、彼女に取り返しのつかない悲劇をもたらす…… 12歳の少女シーアは、夏休みをすごすため、大好きな祖母のもとにやって来た。 アパラチア山地に住む祖母は、自然と伝統に育まれたヒーリングパワーあふれる品々の作り手だ。 そんな祖母の技を間近で見るシーアだが、じつは、偉大な力を受け継いでいたのだ。 それは、彼女の家系の女性だけが持つ、不思議な能力―― それが発動するときは、突然訪れた。 ある夜、シーアは、心のなかで、はっきりと見てしまう。 しかし、彼女が体験したのは、その後の人生を一変させてしまう、大きな悲劇だったのだ! -
心の浮力
李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。 喪失と疎外、自責と愛などをテーマに、家族や介護、格差など同時代の社会問題を通して現代人の生を描く。 「言葉の届かない場所にあるはずの、人の心の複雑な薄闇に、李承雨は言葉で見事に光をあてる。精緻きわまりない八編。」――江國香織 「僕が感じてきたように、母も常に感じてきた、そうでなくてもいつか感じることになる深い後悔と罪悪感については思いが及ばなかった。喪失感と悲しみは時とともに和らぐが、後悔と罪悪感は時が経つほど濃くなることに、喪失感と悲しみはある出来事に対する自覚的な反応だが、後悔と罪悪感は自分の感情への無自覚な反応で、はるかにコントロールが難しいということに気づけなかった。」 母は僕を、もうこの世にいない兄の名前で呼ぶようになった。 夢を追い不器用に生きた兄と、堅実に歩む僕。兄弟と老いた母の愛の形を描いた李箱文学賞受賞作「心の浮力」を含む最新短編集。 【目次】 消火栓のバルブを回すと水が溢れた 空き家 心の浮力 電話に出る(出ない)べきだった 帰宅 声たち 水の上の眠り サイレンが鳴る時─剝製になった天才のために 作家の言葉 訳者あとがき 日本の読者のみなさんへ 【著者】 李承雨 1959 年生まれ、韓国全羅南道長興出身。1981 年、「エリュシクトーンの肖像」が「韓国文学」新人賞に選ばれデビュー。長編小説に『生の裏面』『植物たちの私生活』(ともに藤原書店)、中編小説に『真昼の視線』(岩波書店)、短編集に『香港パク』(講談社)などがある。大山文学賞、東仁文学賞、李箱文学賞など受賞多数。 平原奈央子 1980 年生まれ、福岡市出身。九州大学文学部史学科(朝鮮史学研究室)卒業。ソウルの梨花女子大学で語学研修、西江大学へ留学。 -
心は孤独な狩人
舞台はジョージア州のうらぶれた工場町。人々は無気力な状態にある。主人公の唖(おし)で聾(つんぼ)のシンガーは、同じく唖のアントナープロスと共同生活をおくり、思慕を寄せるが報われない。そのシンガーに、多感な少女ミックはほのかな思いを寄せるが、当のシンガーは少女の思慕に気づかない。またそのミックに、ニューヨーク・カフェの主人ビフ・ブラノンは年甲斐もなく愛情を感じているが、ミックは彼を気味悪く思うばかり。作中人物はそれぞれが《報われざる愛》の連鎖関係のなかに生き、そこに解決はない……魂の孤立を透徹するまなざしで描ききった20世紀アメリカ文学の代表的古典。 -
心は二十歳さ――戦時の記録3
「ここでは憎しみに浸かりきりというわけではないが、やはりちょっぴり人間的悲惨を感じている。ともに語り合う人間がだれもいない。……なんという精神的孤独だろう。撃墜されたとしても絶対になに一つ後悔しないつもりだ。未来の蟻塚の世界はわたしを恐怖させる。……」『戦時の記録』三分冊の最終巻をなす本書は、1943年11月から1944年7月までを収める。北アフリカ、アルジェでの無為の日々から戦列に復帰したサン=テグジュペリは、1944年7月31日、コルシカのボルゴ基地からフランス南部上空の偵察飛行へと飛び立ったまま、未帰還となった。彼が愛してきた、目に見えない絆で結ばれた整いとしての文明の崩壊、その瓦礫と廃墟、蟻塚、人間の砂漠…未来の世界への深い危惧を抱きつつも、「ひとはかならず自分の力の限界までいく義務があるのだ」と、戦闘員としての自分の持ち場に、義務を果たしに戻っていったサン=テグジュペリの最晩年の日々を、多くの証言と資料によって辿る。 -
胡蝶は夢なのか 知っておきたい中国故事
時代の趨勢で漢文は言うに及ばず、古典が大学入試に占める比率も徐々に小さくなり、青少年が論語の素読を、という時代も遠いものになりつつある。しかし長い日本語の歴史を通じ、漢文や中国古典の教養が私たちの生活に深く浸透したのも事実で、近年では「論語」などを現代的に解説したもので多くのヒット書籍が生まれた。そこで今作では広島大学副学長で漢文学者の佐藤氏が中心となり、どこかで耳にしたり、読んだことがあったような、代表的な中国故事を選出。越智広島大学学長とともに、明日誰かに話したくなる内容で解説を展開する。コロナ禍で混沌とする時代だからこそ、磨き抜かれた「古典」に学べ!
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