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「1700年代の英文学なんて退屈でつまらなさそう」と敬遠するなかれ。
恋愛や婚活などの現代に通じる問題を、シニカルにポップに、そしてリアルに描いています。
ラフカディオ・ハーンや夏目漱石も絶賛しています。
本作は、高慢なダーシー(母は貴族、実家は大金持ち、しかもハンサム)、偏見を持ちがちなエリザベス(美人、知性がある、けれど実家が貧乏)、彼らを取り巻く周囲の人々が繰り広げる恋愛喜劇です。
見事にすれ違う二人にやきもきさせられますが、へ理屈をこねるような会話のやりとりが軽妙で楽しい作品です。
Posted by ブクログ
1775年〜1817年に生きた女性作家ジェーン・オースティンの小説。古い時代の小説だから文章が硬いのかと思っていたら、冒頭「金持ちの独身男性はみんな花嫁募集中にちがいない。これは世間一般に認められた真理である。」ハハッ、なんか女性週刊誌みたいなノリだね。
「近所に金持ちの独身男性が引っ越してきた」とすぐに張りきり、「五人娘の誰かを嫁に」と目論んで「あなた、ご挨拶に行かなきゃ」と夫をせかし、「ディナーに招待しなきゃ」「舞踏会に招待されるかも」とそれだけが生きがいのベネット夫人。
ベネット家の長女ジェインは美しく、実際に例の“金持ちのイケメン独身男性隣人”ビングリー氏を夢中にさせ、「二人の結婚は近い」と囁かれるが、身分違いの結婚はありえないと考えるビングリー氏の姉、妹や親友から有難迷惑な邪魔が入る。
舞踏会やディナーで臆面もなく娘の自慢話ばかりするベネット夫人。器量が悪い分、音楽でいい所を見せようと下手なのに歌の披露を止めない三女メアリー。素敵な軍人との出会いばかり考えている四女と五女。美しく心のきれいな姉の幸せを心から祈り、馬鹿な母と妹達の行動を恥ずかしがっている、人間観察力豊かな次女エリザベスがこの小説の主役。エリザベスの目を通した、周りの人間たちの馬鹿で下心ありありの行動が面白い。いつの時代も一緒だ。
女たちは財産のある男との結婚のことばかり考えていて、ここに出てくる男性は仕事らしい仕事は何もしていなくて(財産で暮らしていて)、「貧乏な男はお金持ちの女性と結婚しなければ」というのが一般常識で、何故か「貧乏だから頑張って働こう」という意識は全然なくて、退屈ばかりして、トランプばかりしていて、今に生きる私から見て魅力的な男性はいない。
が、五人姉妹の父、ベネット氏の言葉はいつもウィットに富んでいて面白い。例えば、全く空気の読めない馬鹿だけど、財産のあるコリンズがエリザベスにプロポーズしたのを母親が両手を挙げて喜んだが、エリザベスが断ったことを怒り、
「このプロポーズを断ったら私はあなたの顔を二度と見ません。」
と言ったことに対し
「エリザベス、困ったね。お前は両親のどちらかと縁を切らなくてはならないぞ。この縁談を断わったら、お母さんはお前の顔を二度と見ないと言ってるが、お父さんはお前があんな男と結婚したら二度とお前の顔を見たくない。」。
どうやら、ジェインとビングリー氏の結婚が駄目になったようだと分かったとき
「どうやらジェインは失恋したようだね。おめでとうと言ってあげよう。若い娘の好きなものは恋愛だが、二番めに好きなのは、時々ちょっとした失恋をすることだ。失恋はなかなかロマンチックだし、女の勲章みたいなものだ。」。
馬鹿だけど、その社会で生き延びようと強かに生きる女たちが嫌いにはなれない。愛はないけれど、オールドミスにはならず、まあまあの暮らしを得るためにコリンズと喜んで結婚したシャーロットのことも私は憎めない。ジェンダー平等という言葉も今の世にはあるが、いつの世にも男性には男性の悩みが女性には女性の悩みがあり、そんな中で、器量とか能力とか財産とか自分の強みは強みで、ちゃんと使って、弱みは弱みで上手いこと補って生きていこうと強かに考えて生きる人間の姿はある意味愛らしいな。この時代に女性にしか書けないものを書いたジェーン・オースティン氏も魅力的。
最後にグッと惹かれたのはダーシー氏。大金持ちで無愛想で高慢ちきでエリザベスはすごく嫌っていたけれど、その彼女にまさかの告白。「自分より随分身分が下の女性だから悩んだけれど、それでもどうしてもこの気持ちは抑えられない」と正直すぎて失礼の上塗りで、エリザベスを益々怒らせる告白だけど、それでも一生懸命また、正直過ぎる手紙を必死で渡す。冷たい印象の彼がこんなことするのが、読者には魅力的。それにダーシーって私に似てると思うのさ。金持ちじゃないし、性も違うけど。
Posted by ブクログ
上下巻一気に読んでしまった。ここまで面白いとは。本当に文学というのはその時代に生きた作者の思考だったり価値観だったりエゴだったりがよく分かっておもしろい。この作品の作者、ジェイン・オースティンはかなりの人間観察好きで、それだけではなく人間の心理の深いところまで巧妙に描いている。人間の愚かさとか馬鹿さ加減をここまでユーモアたっぷりに書けるなんて!だから楽しく読めたんだろうけど。私も彼女みたいに人に対する苛立ちとか怒りを笑い飛ばせるようになったらいい。あと絶対に触れないといけないのはエリザベスとダーシー氏の恋愛物語。こんなにも読者にじれったさを感じさせて、興奮させる展開があっただろうか!!というくらいとにかく面白かった。訳者の中野さんもこの作品は恋愛作品としても一級品、とあとがきで述べていた。本当にそうだと思う。ジェイン・オースティン…おこがましいようだけど私自身と少し似ている考え方を持っているようだし、女性ということもあるし、、、これからの人生の伴侶になりそう。他の作品もぜひ読んでみよう~♪
Posted by ブクログ
19世紀を代表する女性作家の一人。それどころか、イギリスを代表する作家の一人かも。現代のロマンスものの元祖でもあるジェイン・オースティン。
近年出たパロディを紹介する前に再アップ。
ジェイン・オースティンの中でももっとも有名で、愛された作品がこれです。
5人姉妹の次女で利発なエリザベスは、名家の主で印象的な男性ダーシーに出会うが、とっつきにくいダーシーの言動に反発、さらに噂を吹き込まれて、すっかり誤解してしまいます。
一方、最初は気づかなかったエリザベスの生き生きした魅力に目を離せなくなっていくダーシー。
誤解も含めたエリザベスの強烈な拒絶に遭い、生まれて初めて自分の傲慢さを改めようとし始めます。
18世紀末から19世紀初頭にかけてのイギリスの現実を踏まえて、紳士階級だが貧しくなりかけている一家の娘たちと友人それぞれの恋模様を面白おかしく描いています。
女性が家を継ぐことが出来なかった時代。しかも細かい身分制度が厳然とあり、地代収入があることがステイタスな身分の女性が体面を保てる職業もほぼ存在しなかった。
日本で言えば~江戸時代に下級武士が暮らしに困る、みたいなものかな。
オースティン自身は恋愛経験はあるが破れて独身のまま、作家という異例な成功を成し遂げていくわけです。
作者がよく知っている世界の中で起きる出来事を丁寧に描いてあり、引き込まれていきます。
当時の風習は知らないことばかりでも、細かく観察して辛辣に描き出される困った人や嫌なヤツは抱腹絶倒。あるあるな感じを覚えますよ。
人情の機微も心の動きも、いつの時代も変わらないものがあるようですね。
出会った途端に誤解からけんか腰の男女がしだいに恋に落ち、時間をかけてついに障害をも乗り越えるという恋愛物の王道を極めた作品。
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