主人公チャーリー・ゴードンの経過報告という形式で、主人公の変化が文章の書き方から読み取れる、とても面白い手法を取った本でした。
この本で伝えたかったのは、知的障害者の内面と外面、健常者との違いなのかなと思いました。
障害者だった物語序盤は、母親に賢くなれと虐められ、妹ができると家族に捨てられる大変な
...続きを読む経験をしました。それのせいで賢くなれば全てがうまくいくと思っていました。物語中盤で天才と呼ばれるまでに賢くなりましたが、酔っ払った時に無意識に障害者だったときの言動をしてしまい、自分の中に障害者の自分と天才の自分がいることを自覚し、そこから主人公は幼少のチャーリーが窓から自分を覗き見ているよう錯覚し、障害者の頃に戻ることを酷く怖がるようになります。また、働いている障害者を無意識的に笑ってしまったり、ウォレン養護学校の障害者たちを見て、ギャップに苦しみます。
物語終盤で、知能が戻り、運動機能も低下してしまいます。しかし、その時に初めて自分を好いてくれる人が周りに大勢いることに気づきます。恋人のアリスや職場のドナーやギンピィなどは障害者だと分かった上でチャーリーを尊敬し、笑ってくれているのだと。
私はこの本を読んで、障害者に対して尊敬を持って接するべきだと改めて思いました。障害者も口にはできなくとも、心の中では考えていることを理解しなければならない。