小尾芙佐のレビュー一覧
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ネタバレ
知能は人との間に障壁をもたらす。知を求めれば求めるほど、人へ対して疎かになっていく。自分が高みへ行くほど、人間の無知や穢れが見えてしまう。正解を知っていると、正してしまいたくなる。それは時に人間社会と衝突する。人を見透かしたような気になり、人と心が通じ合う感覚を失ってしまう。また、相手も自分との距離を感じて離れて行ってしまう。
→天才よりもある程度の知能の方が幸せなのかもしれない。現代社会も同じだと思う。政治制度・政策は不完全なもので欠陥がある。賢い人は間違いに気づき、正そうとする。しかし、姑息な政治家に搾取されている制度が確立されているので、それらを翻すのは困難である。賢い人は人間の -
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ネタバレ間違いなく名作。テーマ、着眼点、構成、それに伴うリアリティ。人の本質を考えるためにサイエンスの力を使ったフィクション小説(SF)と感じた。
あらすじは、ある知的障害者が知力を上げる手術を受け、一般的な人よりも知的能力が向上し、その後また衰退していくというもの。事実だけを記載するとシンプルだが、この過程を本人が書く日記というフォーマットで表現している点が非常に斬新。主人公の主な思考の流れとしては以下。
・IQが低く、人を疑うことができない状態。頭が良くなる可能性に非常に期待している。
・IQが上昇し始める。自分が信じていた友情が、見下しや嘲りを含んだ感情だと知る。
・IQがほぼ最高に到達する -
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ずっと気になっていてやっと読んだ名作。名作であることが納得できる内容でした。
最後の一文を読んだ後に込み上げてきてぶわぁっと泣いてしまった。
知能を失っていくことの恐ろしさ、思いやりと知性との関係と、障害がある人の生きづらさ
「どおか、読み方や書き方を忘れないよおにしておいてください…」
私も人生の終盤か、その前にありうるかもしれない、
知能がどんどんなくなっていく事態に直面したら、きっとこう切実に願うんだろう
「かわいそうっておもわれるのはいやだ」
それも当事者はそう思うんだろなとはっとさせられた
胸が締め付けられる、でも後味は悪くない。
読んでよかった作品でした。
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今年最後の締めくくりとして選んだのは、『アルジャーノンに花束を』
長いこと積読していたけど、ようやく読めた。
賢くなりたい、と願う知的障害者の青年チャーリイ・ゴードンは手術によって高い知能を得る。しかし、そこには過酷な現実が待ち受けていた。
知能が高まるにつれ、今まで気づかずに済んでいた人の悪意を感じるようになったり、妬みによって自分から離れる人が増えて孤独を感じるようになったりする。また、急速に知能が高まる一方で、発達途上の精神面とのギャップに苦しんだりもする。その姿が何ともつらく、もどかしかった…。チャーリイは、家族の一員として、社会人として、そして何より一人の人間としてただただ認めて -
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でもぼくは知ったんです、あんたがたが見逃しているものを。人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打ちもないってことをです。
まず素朴な疑問。誤字は原典ではどう表現されていたんだろう。語彙や技法が段々向上していくのが、リアリティがあって感心した。そしてだんだん失われていくのが分かっていくと、しかも驚くほど急速に、悲しくなる。ここだけでも深い読書体験。
知能がある前と生まれた後、そして失った後のチャーリーは確かに同一人物なんだけど、同じ人間だと判断するのは確かに難しい。それはパン屋のみんなを見ていたらわかる。それなのに、大学の人たちを見ていたらひどい感じがするのが不思議。人間って相対的 -
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ネタバレこの本の本質は何か考えると私は文明の発達は手放しで誇るべき事なのか知能数値が変わることで多角的な視点から見る幸せとはなにかのようなものだと思う。
文明の発達は凄まじく文化や流行りも目まぐるしく変わっていくその時に健常者にあるものをない人も得られるようになっていく
盲目の人が目が見えるようになるような事だ
本当にそれは人類の進歩だと簡単に誇れるのか
目が見えるようになることは感覚が1つ増えると言うことそれは慣れるまで沢山の時間を要するのではないか、目に見えなかった頃の悪意を知ってしまうのではないか
今回は知能が人工的に与えられる
知的障害を持つが心優しく全て自分が劣っていると考えるチャーリー
チ -
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読み終わった時は言葉を失った。
チャーリーが天才になっていく道筋を日記に用いられる語彙や構成で見て取れることにワクワクしていた。心優しい青年が有り余るほどの頭脳を手に入れたらどうなるのだろうかというワクワク。しかし、実際には優しさを失い、彼は天才の称号と共に孤独を選んだのだった。そして、天才へと変貌する速度と同じような速さで知能を失っていくチャーリー。彼は望んでいた知的さを手放さざるを得なかった。それが手術の効果であったから。術前よりも知能が下がると予測されていたところ、彼にはしっかりと心の優しさだけは残されたのだ。彼が歩んだ孤独の421日は、着実に彼を成長させ、チャーリーという人物の物語に -
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ネタバレタイトルに惹かれて読んでみた。
原題の"THE SPEED OF DARK"を『くらやみの速さをどれくらい』と訳したセンスが素晴らしい。
ルウ目線の文章と健常者目線の文章がはっきりと違いが分かるように訳されていてすごい。文が破綻している訳でもないのに、これは"普通"の人が書いたものではないなと分かる。
書いていることの中身が違うというのはもちろんあるが、前後の文のつながりが薄かったり、短文が多かったりと"普通"の人と文章構成が全然違って、とても読みづらかった。
読みづらかったがこういう風に考えている人も社会にはいるんだろうなあとい -
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ネタバレなぜ一人きりでこの惑星へ送られてきたのか、と言う問いに対してゲンリーの言った台詞、「一人ではあなた方の世界を変えることはできない。しかしぼくはあなた方の世界によって変えられることができる。」が印象に残った。
あくまで同盟は各々に主体的に決めてもらうと言うスタンスだったはずのゲンリーが、エストラーベンの愛国心を超えた人類への忠誠心に突き動かされ、彼に報いるため、星船を呼ぶ。さらにその過程で同郷のはずの仲間よりも、ゲセン人に愛着を持つようになる。
文化も価値観も身体構造すら異なる相手と、理解しきれぬまま友情が芽生え、その地に愛着がわき、変わってしまう様子が面白かった。
帰属意識や性、性のない社会で -
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両性具有の人類が出てくるSF小説、としか覚えていなかったこの作品を、30年以上ぶりに手に取った。大学のゼミで取り上げられた作品で、怠惰な学生だった私は日本語訳の文庫本を読んだのだった…。
宇宙に点在する星々を訪ねてくるエクーメンの使節の想い、その行動を可能にするエクーメンという組織の大きさと盤石さに、物語を読み進めるうちに圧倒される。
空を飛べるなどと考えたこともない国の住人が、異星人の使節に自らの命を賭して行動を共にするにはどれほどの頭脳と勇気が必要だろう?
作者は著名であるものの、2018年に亡くなっていたことを知らなかった。
長く読まれる作品にはそれだけの理由がある。