小尾芙佐のレビュー一覧

  • 第三の女

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    ネタバレ

    いろいろな登場人物がちょっとずつ出てきて疑わしさを漂わせているが、焦点が「ノーマは狂ってるのか?」に行きがちで、入れ替わりなどに思考が回らなかった。お陰で最後は「おおっ、そうだったのか!」と霧が晴れたような読後感。
    スティリングフリートがなかなかいいキャラなので、また出ないかなーと思っていたら最後の最後で裏切られ。ポアロは最初から二人がお似合いだと思ってことが一番の驚き。

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    2022年03月06日
  • われはロボット〔決定版〕

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    かの有名なロボット三原則はこの小説から始まったと聞き、大変驚いた。てっきりかなりの古典からの引用だと思っていたが、比較的新しい本であったからだ。

    とはいえ、ロボットの概念が生まれた直後からこのような三原則を思いつき、またそれを題材に名作と呼ばれる作品を作り上げられる作者の力量には感服。

    ロボットの黎明期からその発展を支えたロボット心理学者の目線で語られる、三原則が与える人間とロボット、またロボット同士におけるジレンマの中での苦しみが、現実世界ではないのに妙にリアルに描かれており、必読の一冊。

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    2022年02月26日
  • 高慢と偏見(下)

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    ダーシーが本当に素敵な人だなと思う。彼の高慢さで家族や周りの人に理解されないのではと途中までもどかしかった。エリザベスが自分の気持ちに素直になれて、本当に良かった。彼女は家族が色々大変であったけど、思慮深く、彼女がとる行動は流石だと思った。最後はスッキリ。面白い作品だった!

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    2022年01月26日
  • 闇の左手

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    これは、アイとエストラーベンという、
    全く異なる時空、異なる太陽系、異なる社会、身体システム、常識、自然環境に生きた異なる人間同士が、
    同じ苦境を乗り越える中でわかりあう旅の物語。

    異なる人間がわかりあうためには、絶望と希望の狭間で同じ苦境を乗り越えること。
    これを積み重ねること。

    それくらい、そもそも異なる人間が理解し合うという過程は、ほんとうは深淵なものなのかもしれない。
    今ようやく、表紙の意味がわかるし、表紙の2人に思いを馳せてしまう。

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    2021年12月25日
  • われはロボット〔決定版〕

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    個性的なロボットたちの短編集。

    キャルヴィン女史が各話を語るという形式で
    進みました。

    「うそつき」はロボットが好きでロボットのよう
    なと例えられるキャルヴィン女史の、若いときは
    まだ人間味あったんだなって分かる話で好きです。

    恒例キャラのパウエルとドノヴァン両技師が
    宗教つくっちゃったロボットに振り回される
    「われ思う、ゆえに...」も好きな話です。
    この2人がでてる話は冒険的なものが多かった。

    ほとんどの話に〈ロボット工学の三原則〉が深く絡んでいて、それを軸にどれもミステリチックでした。
    「証拠」と「迷子のロボット」は特にそんな感じなので、1番お気に入りです。

    この短編集の最後の

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    2021年12月09日
  • 世界の誕生日

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    「求めぬ愛」「山のしきたり」で描かれる惑星Oでの結婚は、二つの半族(朝と宵)の男女二組で成立するため、構成員は四人。
    異性とも同性ともペアになれるが、同じ半族同士がペアになることはない。
    四人はそれぞれ独立した部屋を持つことができ、部屋の主の許可なしにそこへは入れない。
    とても自由なようにも、ひどく不自由にも思える。
    「孤独」のレンが実践したように、私が私であるために自由が必要なのは明白なのだけれど。

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    2021年12月04日
  • 高慢と偏見(下)

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    続きが気になって(きっと恋は成就するのだろう、と結末は想像できるにもかかわらず)一息に読み切ってしまいました。
    このあたりの「魔力」は上巻でも感じた通り、まさに韓国ドラマを見ているようでした。

    姉の恋愛を邪魔し、憧れていた人の前途をつぶしたと思っていた憎い相手でしたが、そのことが勘違いだと気づいたエリザベス。ダーシーが自身に寄せてくれた好意をむげに断ったことを恥じていましたが、思わぬところで再会したこと、またその時のダーシーの態度が今まで以上に好意を寄せるものであったことを受けて、いつしか想いを寄せるようになります。
    しかし、ダーシーの因縁の相手と末の妹が駆け落ちをしたり、強大な権力を持つダ

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    2021年11月08日
  • 高慢と偏見(上)

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    「恋愛小説」の古典作品ですが、全く読みにくいところがなくスラスラと読むことが出来ます。
    訳がよいのか、そもそもの物語の作り方がうまいのだと思いますが、まるで昨今人気が出ている韓国ドラマを見ているように楽しむことが出来ました。

    すれ違いから恋愛が成就しなかったり、大嫌いだった相手から告白されたり、またその嫌っていた理由が勘違いであったことにきづかされたり。
    人生や家族を揺るがすような大きなトラブルではなくても、恋愛の情は個人の人生にとっては大きな転換点にもなりえます。
    この後、ジェインとエリザベスの姉妹の恋愛がどのような形になってゆくのか、下巻も楽しみです。

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    2021年11月08日
  • 高慢と偏見(上)

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    最初は貴族らしい回りくどい言い方やミセスジェインの行動に好感が持てなくて読むのに苦労したが、読み進めるうちに面白いと思うようになり、下に続く最後のところにかけてがいちばん好きだった
    大学の教授オススメの作品だが、恋愛小説だったので自分の好みであり、イギリスの生活の格式張っている感じが時代を感じられて読むのが楽しかった

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    2021年09月03日
  • 世界の誕生日

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    SFが苦手でル・グウィンさんの本はファンタジーしか読んだことがなかったが、彼女はSF界での評価も抜群なのは知っていた。
    アニメ作品でいくつかSFに触れる機会があり、チャレンジしてみようという気になりようやく手にとった。

    子供向けファンタジーに比べて生々しく、衝動や緊迫に息を飲む機会も多くあったが、ジャンルは違えど彼女の文化人類学的な視座や思想から紡がれる小説はやはり秀逸。神話や古代壁画を見ながら、ヒトや文化の起こりを見つめ直す感覚。4人の婚姻制度や神々の掟、宇宙旅行など、前提のない世界である時はヒトらしく、ある時は理解しがたい場面にも感情移入させる筆致には唸らされる。短編集で、もう少し続きを

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    2022年03月05日
  • われはロボット〔決定版〕

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    名作中の名作ですが、非常に親しみやすい内容でした。
    こんな話だとは思いませんでした。もっと文学性に寄った堅い話だとばかり。

    翻訳者の手腕なのか大昔の小説とは思えないくらい古臭さがないです。

    良かった点
    ・ロボット工学の三原則について知れること
    ・SFでありながら実質ミステリーなところ
    ・短編の連作で毎回、違う切口を見せてくれる

    悪かった点
    ・誰が喋ってるのが分からなくなるところ
    ・世界の全貌がイマイチ見えなかったところ

    正直、大筋では理解できたものの、本作の魅力を十分受け取れた気がしません。

    「ロビイ」、「われ思う、ゆえに」が特にお気に入りですが、それぞれロボや三原則に対するアプロー

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    2021年08月15日
  • アルジャーノンに花束を〔新版〕

    購入済み

    人の脆さと尊さが光るラスト

    この物語、発表が50年ほど前なので今と知的障害者への社会の接し方が違うことを留意しなければなりません。

    それはさて置き、読後はまさに一人の人生の誕生から終わりまでを見たような、そんな感覚に陥ります。人とは、知性とは、幸せとは、愛とは、家族とは、教育とは何か?その一つ一つを読み手に考えさせる一方、本書へ抱く感想や評価は人それぞれであり、感動したというレビューでも人によってポイントが違うのかなと思います。

    私は本レビューのタイトルに書いた言葉が思い浮かびました。人はどこまで登っても無敵ではない。この本には色んな人間的弱さが登場します。そしてそれに抗わんとする主人公のひたむきさや苦悩も描

    #深い #切ない

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    2021年07月13日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    ネタバレ

    リーダブルの最たるもの。
    読者を選ぶかもしれないが理系センス的なものが好きな方には勧めたい。
    原著が英語なのにめっちゃリーダブルなので思わず翻訳もかってしまったが、訳も良いのだと思う。

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    2021年04月25日
  • はだかの太陽〔新訳版〕

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    50年以上前にリモート殺人小説が書かれてたなんてってなった トリックは現代には適用できないけど
    ベイリが執拗に直接会いたがるのもあと数十年経ったら意味不明になりそうだし読者もソラリア人のほうに賛同しそうな気もする
    ソラリアも感染症とかで大変なことになってこうなったのかな〜とかコロナの社会変容と重ねながら読めてよかった

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    2021年04月20日
  • 書店主フィクリーのものがたり

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    小見出しの一つになっている、レイモンド・カーヴァーの、愛について語るとき我々の語ることを読んだことがあったんだけど、A・Jが言ってる通り、20歳の時に感じることができることと40歳の時に感じることができることは全然違うんだろうし、小説とはしかるべきタイミングで出会うべきだということを示唆してはずだけど、今の自分にとってしかるべきタイミングだったかどうかは正直分からなかった。

    現段階ではきっと本来の意味で理解していることはあまり多くないんだけど、年を取ってからもう一度読み直したいなぁとは思った。

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    2020年12月06日
  • はだかの太陽〔新訳版〕

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    ネタバレ

    舞台は、人との接触を極度に避け、対面は全てバーチャル映像で行う社会。
    極めて人工的に管理されたシェルターの中で暮らし、自然環境からは完全に隔絶されている別の社会(こちらは「鋼鉄都市」に詳しい)から来た人と、実際に同じ部屋の両隅で距離を取り恐る恐る対面することになった登場人物が、
    「あなたの肺にあった空気が、わたしの肺に入る」
    ことに気づき、気持ちが悪くなり耐えられず逃げ出してしまいます。
    3密とかいう言葉も登場し、Webでのコミュニケーション全盛の今の時代から、あと少しかも・・・
    どちらの社会もロボットが大活躍。ロボットに仕事を奪われることの人々の嫌悪感、ロボット任せで失われてゆく能力の描写な

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    2020年11月22日
  • 火星のタイム・スリップ

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    現実との境目が曖昧になっていく感じが好きだった。

    三人称の中に一人称があっても混同せずに読める。

    人妻っていいよね。セールスマンにおれもなりてぇよ。

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    2020年11月17日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    主人公の思考回路がとても良くわかるし、私は共感できる
    主人公は美しく脆い世界の中で、世界に殺されそうになりながら
    懸命に愛して生きて美しい世界を探している

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    2020年11月14日
  • 高慢と偏見(下)

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    「高慢と偏見」には、いくつもの印象的な場面、有名な箇所がある。
    ちょっと思いついただけでも、

    1 冒頭の文章
    2 最初の舞踏会……エリザベスとダーシーの最悪の出会い
    3 風邪を寝込んだ姉ジェインの看護のため、エリザベスがビングリー家まで徒歩で訪問
    4 コリンズ牧師の求愛行動とその顛末
    5 ダーシーの叔母キャサリン夫人宅訪問
    6 ダーシーの突然の求愛とエリザベスの強烈な拒絶
    7 ダーシーからの手紙
    8 ペンバリーのダーシー邸見学と再会
    10 ウィッカムとリディアの駆け落ち事件
    11 キャサリン夫人とエリザベスの対決
    12 ダーシーのベネット氏訪問(めでたしめでたし)

    他の長編にもそれぞれ印象

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    2020年08月07日
  • 高慢と偏見(上)

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    光文社の「高慢と偏見」は2011年。ちくま文庫の中野訳(2003年)より新しく、中公文庫の大島訳(2017年)よりは古い。

    訳者の小尾芙沙は女性で、古くからのSFファンならおなじみの方。

    アシモフ、ディック、ゼラズニイ等訳書は多数あるが、中でもアーシュラ・K・ル=グィンはこの方の翻訳でずいぶんお世になったので、安心して読むことができる。

    丁寧で標準的な翻訳という感じです。

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    2020年08月07日