小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルだけはずっと知ってていつか読み終わりたいと思ってた作品。なかなか頭に入らず、かくなる上はとBBCのドラマを先に観ました。風景も衣装も、本当に素晴らしいドラマだった。
ドラマのキャストを思い浮かべながら読んだからすごくしっくりきた(逆だったら文句たらたらだったのかも? 原作にしかないシーンもあるし)。
好きなシーンは〝ダーシーと偶然外で出会わないようにするため、わざわざリジーが自分のお気に入りの場所を伝えたのに、なぜかダーシーはその場所へやってくる〟ところと、ダーシーが振られて「もうけっこうです、あなたの気持ちはよくわかりました」のところ。
恋愛してるなあと思った。 -
Posted by ブクログ
劇的な上巻のラストから、変化していくエリザベスの気持ち。そこへ末妹が起こす騒動で一家が大きく揺らいでいくが……。
この翻訳では上下巻に分かれているため余計に意識できたのだが、上巻のラスト、つまり全体のど真ん中にダーシーの手紙があり、そこからリディアの騒動、レディ・キャサリンの件と、起伏のある展開で、構成の上手さに感嘆した。たたみかけるようにエンディングに向かっていくスピード感も素晴らしい。
先に1940年版の映画だけ見たことがあるのだが、各人物の印象もあまり変わらず、ストーリーもほぼ記憶通りで、良くできていた映画だったんじゃないかと後から思う。ただ、レディ・キャサリンの顛末はちょっと違っていたような……?(うろ覚え)いずれにせよ映画観て原作も読んだんだからこれで十分かと思いきや、まだまだ他の翻訳や映像作品にも触れたいと思わせるのは、さすがの名作である。
人間関係をつかむ上で、登場人物の階級が重要な要素である本作。複雑ではないが、身分差における距離感は現代日本の我々にはやや実感しづらいかも。 -
Posted by ブクログ
1813年刊行。古きイギリスの片田舎を舞台とする地主階級の恋愛小説。200年愛され映像作品や翻訳も多数。
オースティンが20歳そこそこで草稿を書いた(実際の出版は37歳時)という本作、なんというか、上質な少女マンガの雰囲気を感じさせる。ダーシーの「高慢」とエリザベスの「偏見」が最初は衝突するが後に……なんて典型的すぎるように思えるのだが、これは現代のラブコメに到る原型のひとつなのかと。しかし文章や構成が見事な上、要所要所で劇的なシーンが入るのも巧みで、読み始めたら止まらない勢いがあるのはすごい。源流などと言っていられない完成度であることが、今もって愛される理由なのだろう。
片田舎が舞台で、18世紀末~19世紀初頭の小説にありがちな社会や政治に関する描写がほとんどなく、ひたすら狭い世間の人間関係の話に尽きているため読みやすい。本作の主要人物は働かないで生きていける上層中産階級の人たちで、それだけ恋愛の駆け引きに集中できることも大きい。
翻訳が多数あるがどれがいいかはわからない。光文社古典新訳文庫の小尾芙佐はSFの翻訳でよく名前を見かける。繰り返し読むに耐える小説なので、比較読みも楽しいかも。 -
Posted by ブクログ
前作の鋼鉄都市は一昔前の訳だったため古くさい言い回しが気になる部分があったけど、新訳だとスムーズにお話に入れた。
イケメンロボットのダニールの出番がちょっと少なくて残念。でも登場場面ではいい仕事している。ベイリとダニールの関係性も変化しており続きも楽しみ。
特に保護者的な扱いに反発したベイリに行動を制限されてしまう場面が切ない。ばかげたことと思いつつ、何かダニールに対して人間的なものを期待してしまうベイリもよい。
半世紀以上前の小説なのにそのまんまのリモート会議が登場することに驚く。隔離生活が定着した無菌状態の惑星ソラリアで、病原菌扱いされ思いっきり差別される地球人ベイリ。これこそコロナ禍に読んでほしい作品だと思った。
たくさんの要素を含むこの作品で、1番印象に残ったテーマをひとつ挙げるとすれば「価値観の違い」
惑星の住人とは基本的に言葉が通じているのだが、植民して長いためか、同じ単語を用いたとしてもその意味に齟齬が生じる、という点は面白かった。
惑星ソラリアではリモートで人と会うことが常であるために、「じかに会う」事がすごく下品で非常識なことだったり、異なる世界どうしの文化が交わる際に起こる価値観の摩擦が前作にも増して繰り返し描かれている。
こういう事は現代でも常に起こっていると思う。
そしてもしコロナの緊急事態宣言みたいな状態がずっと続いたら、私たちの世界も少しずつソラリアに近づいていくかも、、というのはコロナ前には持ちえなかった感想かも。
そんな惑星で起こる殺人事件の解決過程を軸に、人工知能や、遺伝子の管理などのSF要素に加え、イケメンロボット×やんちゃなおじさんというブロマンス要素まで盛りだくさん。お腹いっぱいの作品でした。アシモフ先生ありがとう。 -
購入済み
多重人格とイマジナリーフレンド
今回この本を呼んで、多重人格とイマジナリーフレンドは強く関係していると思いました。主人公のサリーは子どもの頃、親に恵まれず暴力を振るわれた時や、数学の問題が解けなくてクラスメイトに笑われた時、その逃げ道として別の人格に代わるようになってしまいます。そしてその人格は、全員がかつてイマジナリーフレンドとして人形に落とし込まれていた人格だったのです。つまり、サリーの中で、子どもの頃のイマジナリーフレンドと遊んだ記憶が強く印象に残っていたということ、サリーにのとっての心の支えは、イマジナリーフレンドのみんだったということが言えます。しかし、イマジナリーフレンドの存在を信じる力が強すぎてしまったため、多重人格として大人になっても現れ、心の支えとして創り上げた別人格が、逆に自信を困惑させ、苦しめ、追い詰めてしまったのです。
私は、イマジナリーフレンドは都合の良い子供の頃の遊び相手で、可愛いイメージが強かったですが、多重人格へと繋がってしまうほど、強い能力なのだと、考えを改めさせられました。怖いのは、ファンタジーだけの世界なのではなく実際にこういった病気があることです。イマジナリーフレンドしか心の支えがいない状況を作り出してしまっては絶対にダメだと思いました。 -
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続きが気になって(きっと恋は成就するのだろう、と結末は想像できるにもかかわらず)一息に読み切ってしまいました。
このあたりの「魔力」は上巻でも感じた通り、まさに韓国ドラマを見ているようでした。
姉の恋愛を邪魔し、憧れていた人の前途をつぶしたと思っていた憎い相手でしたが、そのことが勘違いだと気づいたエリザベス。ダーシーが自身に寄せてくれた好意をむげに断ったことを恥じていましたが、思わぬところで再会したこと、またその時のダーシーの態度が今まで以上に好意を寄せるものであったことを受けて、いつしか想いを寄せるようになります。
しかし、ダーシーの因縁の相手と末の妹が駆け落ちをしたり、強大な権力を持つダーシーの叔母がエリザベスとの交際に反対したりと、次から次へと恋の障害が立ち上がるところにはやきもきさせられますし、互いの想いが成就するところ、これまでの障害が一気に解決する様子は読んでいて爽快です。結末もそれぞれのキャラクターの個性が十分に発揮されたもので、説得力がありましたし、なにより読後感が充実していました。
今でも人気が出る恋愛ドラマの原型が、すでに1813年に作り上げられていたのかと思うと、驚くばかりです。 -
Posted by ブクログ
「恋愛小説」の古典作品ですが、全く読みにくいところがなくスラスラと読むことが出来ます。
訳がよいのか、そもそもの物語の作り方がうまいのだと思いますが、まるで昨今人気が出ている韓国ドラマを見ているように楽しむことが出来ました。
すれ違いから恋愛が成就しなかったり、大嫌いだった相手から告白されたり、またその嫌っていた理由が勘違いであったことにきづかされたり。
人生や家族を揺るがすような大きなトラブルではなくても、恋愛の情は個人の人生にとっては大きな転換点にもなりえます。
この後、ジェインとエリザベスの姉妹の恋愛がどのような形になってゆくのか、下巻も楽しみです。 -
Posted by ブクログ
SFが苦手でル・グウィンさんの本はファンタジーしか読んだことがなかったが、彼女はSF界での評価も抜群なのは知っていた。
アニメ作品でいくつかSFに触れる機会があり、チャレンジしてみようという気になりようやく手にとった。
子供向けファンタジーに比べて生々しく、衝動や緊迫に息を飲む機会も多くあったが、ジャンルは違えど彼女の文化人類学的な視座や思想から紡がれる小説はやはり秀逸。神話や古代壁画を見ながら、ヒトや文化の起こりを見つめ直す感覚。4人の婚姻制度や神々の掟、宇宙旅行など、前提のない世界である時はヒトらしく、ある時は理解しがたい場面にも感情移入させる筆致には唸らされる。短編集で、もう少し続きを見届けたいと願うところで呆気なく途切れるものも多かった印象。読者の心に引っかかり、ついつい頭で続きを描いてしまう尾の引き方が、どの作品にも愛着を沸かせる。
エクーメンとか何の何年とかは正直よくわからなかったのだが、ハードSFは見切りをつける姿勢を身につけなければ笑。不思議な文字列に遥かさと、果てない宇宙の文化史に思いを馳せる素敵な時間だった。