小尾芙佐のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結論から言って、むちゃくちゃ面白い内容でした。
当時のイギリスの階級制度など、基礎的な知識はあった方が楽しめますが、なるほど人間関係のいざこざは100年以上経っても変わらないものなのだな、と改めて思いました。
『傲慢と善良』から、内容が気になっていたので読んでみましたが、前半は、自分には合わなかったのか、正直なぜ名作と言われるのかわからないほど退屈でした。
まず登場人物が多いのと、人間関係がなかなか複雑で、行きつ戻りつ読みました。
しかし、後半部、いや、前半部の最後の手紙から物語は一気に面白い展開に。
内容を話すとネタバレになりますが、偏見というものはなかなか消えないもので、それ -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルだけはずっと知ってていつか読み終わりたいと思ってた作品。なかなか頭に入らず、かくなる上はとBBCのドラマを先に観ました。風景も衣装も、本当に素晴らしいドラマだった。
ドラマのキャストを思い浮かべながら読んだからすごくしっくりきた(逆だったら文句たらたらだったのかも? 原作にしかないシーンもあるし)。
好きなシーンは〝ダーシーと偶然外で出会わないようにするため、わざわざリジーが自分のお気に入りの場所を伝えたのに、なぜかダーシーはその場所へやってくる〟ところと、ダーシーが振られて「もうけっこうです、あなたの気持ちはよくわかりました」のところ。
恋愛してるなあと思った。 -
-
-
-
Posted by ブクログ
劇的な上巻のラストから、変化していくエリザベスの気持ち。そこへ末妹が起こす騒動で一家が大きく揺らいでいくが……。
この翻訳では上下巻に分かれているため余計に意識できたのだが、上巻のラスト、つまり全体のど真ん中にダーシーの手紙があり、そこからリディアの騒動、レディ・キャサリンの件と、起伏のある展開で、構成の上手さに感嘆した。たたみかけるようにエンディングに向かっていくスピード感も素晴らしい。
先に1940年版の映画だけ見たことがあるのだが、各人物の印象もあまり変わらず、ストーリーもほぼ記憶通りで、良くできていた映画だったんじゃないかと後から思う。ただ、レディ・キャサリンの顛末はちょっと違って -
Posted by ブクログ
1813年刊行。古きイギリスの片田舎を舞台とする地主階級の恋愛小説。200年愛され映像作品や翻訳も多数。
オースティンが20歳そこそこで草稿を書いた(実際の出版は37歳時)という本作、なんというか、上質な少女マンガの雰囲気を感じさせる。ダーシーの「高慢」とエリザベスの「偏見」が最初は衝突するが後に……なんて典型的すぎるように思えるのだが、これは現代のラブコメに到る原型のひとつなのかと。しかし文章や構成が見事な上、要所要所で劇的なシーンが入るのも巧みで、読み始めたら止まらない勢いがあるのはすごい。源流などと言っていられない完成度であることが、今もって愛される理由なのだろう。
片田舎が舞台で、 -
Posted by ブクログ
原題 I, ROBOT
人が創造し、
人と同じように考え行動する、
人型の機械。
…見分けられなければ、それはもう人、ですよね。
いや、人より優れてます。
データを蓄積し難解な問題の最適解を瞬時に出し、
環境を選ばず活動できる。
人に危害を加えることを除いて。
スーザン・キャルヴィンの回想の形をとった短篇集ですが、そのまま、時系列の開発史になってます。
安全、服従、防衛の三原則のジレンマがもたらす、合理的なはずの機械の不合理。…おもしろいなぁ。
人の葛藤と同じ。得てして人は感情で答えを出しますが、…それが人の人たる所以かもしれませんね。
現在ではA.I.上のフレーム問題があるので、三 -
-
Posted by ブクログ
前作の鋼鉄都市は一昔前の訳だったため古くさい言い回しが気になる部分があったけど、新訳だとスムーズにお話に入れた。
イケメンロボットのダニールの出番がちょっと少なくて残念。でも登場場面ではいい仕事している。ベイリとダニールの関係性も変化しており続きも楽しみ。
特に保護者的な扱いに反発したベイリに行動を制限されてしまう場面が切ない。ばかげたことと思いつつ、何かダニールに対して人間的なものを期待してしまうベイリもよい。
半世紀以上前の小説なのにそのまんまのリモート会議が登場することに驚く。隔離生活が定着した無菌状態の惑星ソラリアで、病原菌扱いされ思いっきり差別される地球人ベイリ。これこそコロナ禍に -
購入済み
多重人格とイマジナリーフレンド
今回この本を呼んで、多重人格とイマジナリーフレンドは強く関係していると思いました。主人公のサリーは子どもの頃、親に恵まれず暴力を振るわれた時や、数学の問題が解けなくてクラスメイトに笑われた時、その逃げ道として別の人格に代わるようになってしまいます。そしてその人格は、全員がかつてイマジナリーフレンドとして人形に落とし込まれていた人格だったのです。つまり、サリーの中で、子どもの頃のイマジナリーフレンドと遊んだ記憶が強く印象に残っていたということ、サリーにのとっての心の支えは、イマジナリーフレンドのみんだったということが言えます。しかし、イマジナリーフレンドの存在を信じる力が強すぎてしまったため、多
-
Posted by ブクログ
言わずと知れたSFの古典作品。短編連作形式。
かろうじて文字が読めるようになった幼少期に、祖父母の家の書斎で読んで以来の再読。よくわからないが面白かった、ロボットが好きだという記憶だけあり、このたび実際に再読したところ一作目の「ロビィ」以外全くなにも覚えていなかったため、改めてこんな作品だったかと新鮮な気持ちになった。
簡素で装飾が少ない骨のような文体だが、その骨組みがこの上なく面白い傑作である。
本書は1950年に刊行された作品であり、解説(瀬名秀明)によると既に発表済みの短編いくつかを単行本化にあたって編纂した経緯があるとのことで、執筆年はさらに古い。よって作中に見られる技術内容にはさす