小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アシモフのロボット3原則の話!あちこちに書かれた短編を、晩年のロボ心理学者スーザン・キャルヴィンが過去のエピソードを振り返る形でまとめ上げていて、それがめっちゃエモいです!!!ロボット技術を育て上げた者の持つ、愛情と信頼が溢れた導入からグイグイ引き込まれました。
現在のLLM進展の立役者のひとり、Metaのヤン・ルカンが、AGIを創るんだ!今のTransformベースのアプローチじゃだめなんだ!と主張している気持ちがちょっとだけわかったような気がします。
短編ひとつひとつも面白くて、とくに、現場のエンジニアのコンビの話が超お気に入り!初めての本番環境での稼働、ちゃんと仕様どおりなのに、思いもよらない挙動をするロボットに振り回されて毎回死にかけてて、窮地を脱するたびに「現場の一流の人材」扱いされて、もっとヤバい現場に送り込まれるって...人間社会だなぁ...て感じ(笑)。アシモフの小説の登場人物や、ロボットを取り巻く人間社会って、すごい人間味溢れてるんですよね。(アシモフの長編の『鋼鉄都市』の主人公も全然スマートじゃなくて好きでした。)このままシリーズ通読してしまいそうです。(でもエンジニアコンビがもう出てこなそうなので迷い中)
ちなみにAI3原則…正確にはアライメントHHH(役立つこと、正直であること、無害であること)の話を読んだのがきっかけで読みました。言われてみれば、HHHにも優先順位があっていいよな...と気づきました(あるのかな?)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻になっているうちの、2冊目、後半の下巻です。
ロチェスター様に求婚されて舞い上がるジェインに、ミセス・フェアファックスがたしなめるのですが…
ふたりは20歳差だったのですね。(もちろんロチェスター様が年上)
あしながおじさんとジュディの年の差(14歳差) よりも大きい!!
ジェインは18歳だから…38歳か。あれなんか思ったより若い…?
ちなみに、のちに出てくる従兄のセント=ジョンは10歳上でした(第37章より)
そこに、ロチェスター様の重婚疑惑!?
謎の女グレイスに世話される、もうひとりの謎の女……その正体は、なんと!?
リード家のぼっちゃん、叔父さん、牧師のセント=ジョン、ロチェスター様のところの使用人と、重要キャラだけでも4人のジョンさんが出てきますが、人の好いジョンさんは、使用人のジョンさんだけですね……。
ジョンぼっちゃんは暴力的で、セント=ジョンは慈悲深さがあるわりに結構残忍で、叔父さんは、人づてにしか語られませんが、もう、お金のことしか興味ないようなイメージ…。
って、3人ともジェインの親戚やないか!!!
でも、ジョンぼっちゃんはジャイ○ンにも見えてくるし、
セント=ジョンは友人とか兄貴としてならすごくいい人だし、
やっぱりどこか憎めないんですよね~
でもジェインったら、ロチェスター様大好きドキドキだから、きっとジョンぼっちゃんのことも、セント=ジョンのことも眼中にないんでしょうけど。
【下巻目次】
21~22章・・・ミセス・リード母娘との再会 (18歳)
23章・・・愛の告白
24章・・・婚約までの日々
25章・・・ジェインの悪夢
26章・・・悲劇の結婚式
27章・・・ロチェスター様の秘密
28章・・・ジェインの果てしない旅
29~30章・・・セント=ジョン兄妹との出会い
31~33章・・・モートンでの小学校校長時代
34~35章・・・セント=ジョン兄妹との生活 (19歳)
36章・・・ジェイン、2度目の旅立ち
37章・・・ロチェスター様との再会
38章(終)・・・ロチェスター様との結婚生活 (19~29歳) -
Posted by ブクログ
ブロンテ三姉妹の長姉で、『嵐が丘』のエミリーの姉。
『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)も担当された小尾芙佐さんの翻訳が大好きで、お気に入りの1冊です。
ジェインもロチェスターも、自分を美女とか美男とか思っていないところが特徴的ですね。
彼女の視点で物語が進むせいか、そんな彼女の頑張りや内面の可愛らしさばかり見えてしまい、もう、北川景子さん似の美女にしか思えなくなりました!!
で、いかつい顔のロチェスター様は、きっと伊東四朗さんみたいな人なんだろうと!
途中、ジェインの親友ヘレンが肺病で死んじゃうんですが…
亡くなる直前に、ジェインが病床のヘレンのもとに会いに行くんですね。
そのときに、女の子同士でキスしたり、抱き合ったり…なんか危険な香り!
【上巻目次】
1~4章・・・リード家居候時代 (10歳)
5~9章・・・ローウッド養育院時代 (10歳)
10章・・・ローウッドでの教師時代 (18歳)
11~20章・・・家庭教師時代 (18歳)
(ロチェスター様がブランシュ嬢との結婚を示唆する場面まで) -
Posted by ブクログ
ロボット工学三原則という言葉とその条項は知っていたけど、大元のこの小説の中身は全然知らなかったし、ウィル・スミスの映画も粗筋すら知らない。
なんとなく完全に制御できて人に危害を加えない安心安全なロボットを作る基本中の基本のプログラミンングで、人がロボットを意のままに操れるみたいな印象だったけど、見事に覆された。作中でも多くの登場人物が盲目的にそう信じて疑わなかったけど、実際にはロボットがロボット工学三原則を守るがゆえのジレンマや不都合が沢山生じる。
どんどん高度化するロボットの知能にロボット心理学者(ジレンマを解決する人)の能力も追いつかなくって、最終的には三原則を守りながらロボットが(尊厳を傷つけないようにこっそりと)人を統治する世界がやってくる。
人工知能が一般人の手元にも普及した2025年の今、この本は未来を予知するものから、今現在の問題に警鐘を鳴らす作品に変貌したと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ下巻です。
下巻では主に主人公である次女と彼の心の動きに焦点が当てられます。
偏見や誤解から傷つけあってしまう2人でしたが、素直になれない気持ちを省みたり、自分の未熟さに気がついたり、思いやる心を育てたりしながら、愛をゆるぎないものに変えていく過程が丁寧に描かれており、私自身もドキドキワクワクしながら読み進めました。
200年前と今とでは全く違う価値観なのかと思いきや、人の尊厳や愛に関して、また、真摯に向き合う心なんかは普遍的なものなのだなとちょっと感動。
それにしても末っ子の無鉄砲で図々しくて騒がしく、軽薄な様は目に余ってイライラするわ。
一方で、次女が様々な困難を乗り越えたあと、幸せな気持ちで叔母に報告の手紙を書くのですがその内容がかわいいしお上品で大好き。
「すぐに(私に)お手紙をお書きになって、この前のお手紙よりももっともっとあの方を褒めてくださらなくてはなりません。」
「私は世界一の幸せ者です。たぶんこんなことを言った人はこれまでに大勢いるでしょうけれど、私ほど胸を張って言える人はいないでしょう。彼も、私に寄せる愛情のうちから、お裾分け出来る限りの愛情を叔母さまにお送りいたします。」
とか、もう、幸せが溢れてる。。よかったね。エリザベス! -
Posted by ブクログ
ロボット工学の三原則
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。 ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
『ロボット工学ハンドブック』、第五十六版、西暦二〇五八年
はい、というわけでSFファン必読の名作、アイザック・アシモフの『われはロボット』でありんす
そして出ましたロボット工学の三原則!もう暗記しましょう
ここ試験に出ます
アシモフが考え出したこの三原則なんですが、正しいSFオタクは現実世界にも侵食されています
ASIMOとかこの三原則に照らし合わせたりします
ちゃんと三原則守ってるのかなASIMOは?とか真顔で言います
一周回って殺戮ロボットとか出てくるフィクションに三原則が守られてないじゃないか!っていちゃもんつけます
ん?ASIMOとアシモフって似てるな
そうか!そういうことか!(見当違い)
そして、この三原則を逆手に取ったような短編が続くんだけど、全部おもろい
このちょっと切ない感じのロボットたちがちょっと切ない(だろうね)
あ!見当違いと拳法使いって似てるね -
Posted by ブクログ
ツンデレなヒロイン、優しくてきれいなヒロインの姉、ピエロのような妹たち、バカな母親、達観した父親・・・等々個性あふれる愛すべきキャラクターがたくさんいて、大した出来事は起こらないのだけれども、自然と続きが気になり読み進めてしまう不思議な本です。
シェイクスピアに出てくる登場人物のように、若干デフォルメはされつつも、「いるよねこんな人」というのを絶妙なバランスで描いているので、くすくすと笑えるところがたくさんあります。元祖ラブコメとどこかで書いてあったのを覚えているのですが、そう書きたくなる気持ちも理解できます。
人物の描写だけでなく、イギリスの田園風景、カントリーハウスについても精彩で、外国にいる私にとっては読んでいるだけですっかり憧れてしまい、今でも本書がきっかけでイギリスのことが盲目的に好きです(奴隷貿易、三枚舌外交、、、歴史的に行ってきた様々な批判されるべき出来事は知っているのですがそれでも)
ドラマ、映画も好きです。ドラマは原作のユーモアあるコミカルな雰囲気とダーシーのカッコよさが魅力的である一方、ピークディストリクトの自然の風景、チャッツワースといったイギリスの代表的な風景とそれに合わせた上品な音楽は、私が片思いするようなイギリスのイメージにピッタリ合っていて個人的にはこちらがおススメです。現代的ではあるものの、キーラナイトレイが非常にチャーミングなのも眼福です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレほかの惑星を侵略するのでなく同盟を結ぼうとする話だが、その骨の折れること。たったひとりの使節が相手国の説得にあたることの危険性よりも、降り立つ地の文化と選択を尊重することを重視した姿勢が、新鮮でよかった。
前半は政治的な話が続き掴みどころのない物語だったが、不思議ともう一度読みたくなる。遺伝子実験により両性具有となった人類についても興味深い点がたくさんあった。
登場人物の誰の話にも、常に問いがあった。そのどれにも明確な答えはなく、あれこれと浮かんでは消え、最後に残ったのは友への深い友情だった。
生まれた星、育った国、言語、文化、習慣、体のつくりも何もかもまったく違う者同士が、互いを理解し合うことの難しさを思った。なにか共通項があるからこそ分かるものがあるのだろう。
どこかで誤解し合っていたアイとエストラーベンが、旅を通して時間を共有し語らうことで理解を深め、真の友情が育っていくのが一番の見どころだった。
エストラーベン視点の語りが冷静でニュートラルでとても好ましかった。どことなく古い言い回しをするのも、感情の起伏がなく落ち着いている様子が伝わってきてよかった。生きていてほしかったなと思わずにはいられない。いずれ語り継がれる存在となるのだろう。 -
Posted by ブクログ
693
275P
オスカーワイルド
オスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド。アイルランド出身の詩人、作家、劇作家。耽美的・退廃的・懐疑的だった19世紀末文学の旗手のように語られる。多彩な文筆活動を行ったが、男色を咎められて収監され、出獄後、失意から回復しないままに没した。
幸福な王子/柘榴の家 (光文社古典新訳文庫)
by ワイルド、小尾 芙佐
だれだって耳に快いことをいって相手をよろこばせたり、お世辞をいったりすることはできるがね、真の友というものは、ずけずけと不愉快なことをいって、相手に苦痛をあたえようが気にしないものだ。いやいや、ほんとうに真の友ならば、すすんでそうするだろうよ、だって自分はよいことをしているとわかっているんだ
おまえは下層階級の出だな。わたしのように身分の高いものは、役に立つというようなことはありえないのさ。すでに十分すぎるくらいの業績というものがあってね。どんな形であれ労働というものには、なんの共感も抱かないね、とりわけ、おまえが 薦めるらしい労働にはね。重労働とは、することがないものたちの単なる逃げ場にすぎないというのがわたしの持論
しかしながら花たちは、蜥蜴たちの態度を、そして鳥たちの態度もたいそう忌み嫌っていた。「まったくなあ」と花たちはいった。「あんなふうにばたばた走りまわったり飛びまわったりするのは、品位をおとすだけだよ。育ちのいいものは、わたしらのように、同じところにじっとすわっているものさ。わたしたちが小道をぴょんぴょん跳ねまわったり、 蜻蛉 を追いかけて芝生を勢いよく走っているところを、見たものはあるまい。わたしたちは気分を変えたいと思えば、庭師を呼ぶ、庭師が別の花壇に連れていってくれるのさ。これこそ品位ある振る舞いで、そうあるべきなんだよ。だが鳥や蜥蜴には静寂を愛する心がない、そもそも鳥たちには、一生定まった住所というものがないのさ。やつらはロマみたいな放浪者なんだから、ロマと同じに扱われてとうぜんだね」そういうと花たちはつんと鼻先を宙に突きだし、いかにも 傲慢 そうな 面 つきになったが、しばらくして、侏儒が芝生からよたよたと起き上がり、 段庭 を横切って、宮殿のほうにいくのを見ると大よろこびだった。
ようやく真実を悟ったとき、かれは烈しい絶望の叫びをあげ床にうちふしてすすり泣いた。できそこないの、背中がまがった、見るもおぞましい奇怪ないきものはおれだった。おれ自身が怪物だったんだ、子どもたちが嘲笑っていたのはおれだったんだ。愛してくれているとおもっていたあのかわいいインファンタ――あのひとも、おれの醜さを嘲笑っていただけ、そしてねじまがったおれの脚をからかっていただけなんだ。どうして森のなかにほうっておいてはくれなかったんだ、こんな忌まわしい姿を映しだすものなんかないところに。父さんはどうしておれを殺してはくれなかった、おれを売って恥をかかせるくらいなら? 熱い涙が頰をつたい、かれは薔薇の花をおもいきりひきちぎってやった。手足をぶざまに投げ出した怪物も同じようにして薄い花びらを宙にまきちらした。そいつは床に 這いつくばり、かれがそいつを見ると、そいつは苦痛で顔をひきつらせてかれを見た。そいつを見なくてすむように、かれは両手で目をふさいで後じさりした。傷ついたもののようにかれは影のなかへ這いこむと、そこに横たわったまま、うめき声をあげた。
星の子はかれらにこう答えた。「ぼくは王さまの息子じゃない、貧しい女乞食の子どもですよ。それになんでぼくのことを美しいなんていうんです、こんな醜い顔をしているのに?」 黄金の花を象嵌した鎧を着て、翼をもつ獅子をいただく兜をかぶった兵士が楯を高くかかげて叫んだ。「美しくないと、わが君はなぜ仰せられるのですか?」
現在ではハンセン病と表記しますが、作品成立当時の時代背景、及び聖書との関連で物語を設定していること等に鑑み、当時の呼称を用いました。これらの差別的表現は、当時の社会的状況と未成熟な人権意識に基づくものですが、それが今日ある人権侵害や差別問題を考える手がかりとなり、ひいては作品の歴史的・文学的価値を尊重することにつながると判断したものです。差別の助長を意図するものではないということを、ご理解ください。
幸福な王子/柘榴の家 (光文社古典新訳文庫)
by ワイルド、小尾 芙佐
だれだって耳に快いことをいって相手をよろこばせたり、お世辞をいったりすることはできるがね、真の友というものは、ずけずけと不愉快なことをいって、相手に苦痛をあたえようが気にしないものだ。いやいや、ほんとうに真の友ならば、すすんでそうするだろうよ、だって自分はよいことをしているとわかっているんだ
おまえは下層階級の出だな。わたしのように身分の高いものは、役に立つというようなことはありえないのさ。すでに十分すぎるくらいの業績というものがあってね。どんな形であれ労働というものには、なんの共感も抱かないね、とりわけ、おまえが 薦めるらしい労働にはね。重労働とは、することがないものたちの単なる逃げ場にすぎないというのがわたしの持論
しかしながら花たちは、蜥蜴たちの態度を、そして鳥たちの態度もたいそう忌み嫌っていた。「まったくなあ」と花たちはいった。「あんなふうにばたばた走りまわったり飛びまわったりするのは、品位をおとすだけだよ。育ちのいいものは、わたしらのように、同じところにじっとすわっているものさ。わたしたちが小道をぴょんぴょん跳ねまわったり、 蜻蛉 を追いかけて芝生を勢いよく走っているところを、見たものはあるまい。わたしたちは気分を変えたいと思えば、庭師を呼ぶ、庭師が別の花壇に連れていってくれるのさ。これこそ品位ある振る舞いで、そうあるべきなんだよ。だが鳥や蜥蜴には静寂を愛する心がない、そもそも鳥たちには、一生定まった住所というものがないのさ。やつらはロマみたいな放浪者なんだから、ロマと同じに扱われてとうぜんだね」そういうと花たちはつんと鼻先を宙に突きだし、いかにも 傲慢 そうな 面 つきになったが、しばらくして、侏儒が芝生からよたよたと起き上がり、 段庭 を横切って、宮殿のほうにいくのを見ると大よろこびだった。
ようやく真実を悟ったとき、かれは烈しい絶望の叫びをあげ床にうちふしてすすり泣いた。できそこないの、背中がまがった、見るもおぞましい奇怪ないきものはおれだった。おれ自身が怪物だったんだ、子どもたちが嘲笑っていたのはおれだったんだ。愛してくれているとおもっていたあのかわいいインファンタ――あのひとも、おれの醜さを嘲笑っていただけ、そしてねじまがったおれの脚をからかっていただけなんだ。どうして森のなかにほうっておいてはくれなかったんだ、こんな忌まわしい姿を映しだすものなんかないところに。父さんはどうしておれを殺してはくれなかった、おれを売って恥をかかせるくらいなら? 熱い涙が頰をつたい、かれは薔薇の花をおもいきりひきちぎってやった。手足をぶざまに投げ出した怪物も同じようにして薄い花びらを宙にまきちらした。そいつは床に 這いつくばり、かれがそいつを見ると、そいつは苦痛で顔をひきつらせてかれを見た。そいつを見なくてすむように、かれは両手で目をふさいで後じさりした。傷ついたもののようにかれは影のなかへ這いこむと、そこに横たわったまま、うめき声をあげた。
星の子はかれらにこう答えた。「ぼくは王さまの息子じゃない、貧しい女乞食の子どもですよ。それになんでぼくのことを美しいなんていうんです、こんな醜い顔をしているのに?」 黄金の花を象嵌した鎧を着て、翼をもつ獅子をいただく兜をかぶった兵士が楯を高くかかげて叫んだ。「美しくないと、わが君はなぜ仰せられるのですか?」
現在ではハンセン病と表記しますが、作品成立当時の時代背景、及び聖書との関連で物語を設定していること等に鑑み、当時の呼称を用いました。これらの差別的表現は、当時の社会的状況と未成熟な人権意識に基づくものですが、それが今日ある人権侵害や差別問題を考える手がかりとなり、ひいては作品の歴史的・文学的価値を尊重することにつながると判断したものです。差別の助長を意図するものではないということを、ご理解ください。 -
Posted by ブクログ
「独身の青年で莫大な財産があるといえば、これはもうぜひとも妻が必要だというのが、おしなべて世間の認める真実である」
世の中には書き出しが有名な小説がそれはもう星の数ほどありますが、本作『高慢と偏見』もその一つであります
まぁ空で言えるくらい嗜んでいるのが理想ではありますが、この一文を聞いた時に顔も上げずにほそっと「あーオースティンね」なんてことが言えたら、それはもうかっこよ!
はい、でこの書き出しがなんで素晴らしいのか?っていうとね
そういう物語なんです
もうこの書き出し読んだら、もうその後読まなくてもいいくらい(なわけあるか!)
そのくらいギュッとされていて、このあとに続くドタバタ物語を薄っすらと読者に予感させる素晴らしい書き出しなんですな
要するに「独身で莫大な財産を持った青年が妻を娶る物語」なんですが、冒頭で世間の常識!みたいな宣言をしちゃう訳です
当然、世間の常識とはかけ離れた物語が展開することになるわけです
素晴らしい
で『高慢と偏見』という言葉の意味だけ書いておいてやろう
読んだ気になるがよい
まぁ十八世紀のイギリスの階級社会な
まずこれがあるわけです
で、階級の高い青年これはもう「高慢」なわけです
中身はもうめちゃくちゃにいい人なんですが、そういう教育されてますから、ちょっと身分の低い人にはそういう態度を取っちゃうんですね
それが当たり前だと思ってますから
そしてちょっと身分の低いヒロインにはそういった奴らは鼻持ちならない嫌な奴らばっかりという「偏見」があるんです
このヒロインがかなり先進的な考えの持ち主なんですが、そんな人でさえ「偏見」にとらわれているってとこが深いんですがね
で、いろんなドタバタがあって二人がそれぞれの「高慢」と「偏見」に気付いて、改めることでめでたくフォーリンラブ!となるんですな
他にもいろいろ深いポイントはあるんだが、まぁこんな感じ
さぁ、思う存分読んだ気になりなさい -
Posted by ブクログ
はい、恋愛小説の名作中名作との呼び声高い『高慢と偏見』を遂に
しかも、ワタクシの大好きな小尾芙佐さん訳
ありがたい
さすが光文社わかってる〜
それにしても1813年刊行ですってよ
時代背景的にね、ちょっと今では考えられないような事物がたくさんあってうわーってなりかねないんですけどね(特にこの頃のイギリスはマジ酷いんで)
まぁ、そういうのはもうそういうもんだと刷り込んじゃいましょう
もう全スルーです
いちいち引っかかってたら先に進みませんから
これ、古典を読む時のコツです
はい、上巻!
もう、全編を通してずーっとイライラしっぱなしです
あらゆる局面でイライラさせてきます
イライラ担当キャラが主人公含めてめっちゃいるのよ
わかってます
これが下巻できれーに解かれていくんでしょ?
そして恋愛小説の王道中の王道、すれ違いまくる二人の誤解が解かれてズゴーン!と恋に落ちるんでしょ?
わかってるって
よっしゃー!フォーリンラブの下巻へGo! -
Posted by ブクログ
タイトルも著者名も美しいネビュラ賞受賞作。裏表紙に「21世紀版『アルジャーノンに花束を』」とありますが、なるほど同じ訳者なんですね。
自閉症の療法が飛躍的に進化した近未来。治療の適齢を過ぎた最後の世代であるルウは、製薬会社に勤めていて、クラシックを聴いたり、仲間とフェンシングをするなど、充実した日々を送っていました。そんなある日、会社に新任の上司が着任し、ルウたち自閉症者を集めたセクションに、解雇をちらつかせながら、自閉症治療の実験台になることを迫られます。ルウは、ノーマルな人たちが普通に感じ取れる微妙なニュアンスや、他人の表情や仕草から感情を読み取れないことを気に病んでいました。それでもフェンシングは楽しいし、好きな女性がいるなど、今の自分を変える必要があるのか、ルウの視点から語られます…。
自分は、自閉症の人の内面は、この小説で語られる内容でしかわからないですが、ルウの視点から語られる内容はとても考えさせられました。しかし、逆にノーマルの世界も、あまり褒められたものではないことに気付かされて、少し複雑な気もしました。特に嫉妬の感情とか。ルウの車に対するイタズラなどは、ちょっとした犯人探しになっていますが、ルウの思考がとても興味深かくて好きですね。
あと、ラストについては、自分はこれで良かったと思いました。
他に印象深かったシーンの覚え書き。
P271-275の自分は何物なのかということについて、脳の働きを学ぶ決意をするところ。
P471-473の心の葛藤。
P538-542での実験に対する決意と友への心情の吐露。
追記:
クラシックでバッハやマーラー、パガニーニやショパンなどが出てきますが、登場人物でジャニスとヘンドリックス博士の名前が面白いです。ロックのジャニス・ジョプリンとジミ・ヘンドリックスから名付けたんでしょうね。著者も好きなのかもしれない。
正誤 (2刷)
P492の14行目:
それがだれの声がわからなかった。
↓
それがだれの声かわからなかった。