小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「もっと賢くなれたら、人生はうまくいくのだろうか」そんな疑問を持ったことがある人に、静かに響く物語だ。
アルジャーノンに花束を は、知的障害を持つチャーリーが手術によって知能を高めていく物語である。物語は彼自身の記録形式で進み、知能の変化とともに世界の見え方が変わっていく。その変化を追体験することで、読者もまた「知ること」の意味を問い直される。
印象的なのは、知能の向上がそのまま幸福につながらない点だ。むしろ理解が深まるほど、人間関係の残酷さや孤独が鮮明になる。知ることは価値である一方で、同時に苦しみを引き受けることでもあるのだと気づかされる。
それでも、この作品は決して「知らない方が幸 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読後の感覚を、どう言い表したらいいのかわからない。感動とも少し違うけれど、静かなのに無視のできない強い余韻が残っている。
自分自身をチャーリィに重ねることはなく、常に俯瞰した感覚で読んでいて、パン屋の皆が賢くなったチャーリィを恐れるシーンで、自分も彼を恐れていることに気づいた。
彼が流暢に言葉を紡ぐごとに、あの、間違いだらけのやわらかい言葉が脳裏をよぎって、まるで別人だ……と、手術前のチャーリィを恋しく思う自分がいた。
チャーリィが難しい言葉を使い、超人的な能力で他者を圧倒する反面、子供のような直情を見せる度に、「ではこの人にとっての幸せは何なのだろう」と、自分に問い続けざるを得なかった。 -
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Posted by ブクログ
いつか読まねばと思っていたSF作品の名作。
アシモフ先生は『黒後家蜘蛛の会』を先に読んだので、一体どれだけの「もし〜だったら?」を生み出す天才だったのだろう……と改めて感服しました。
人間よりもロボットを愛したキャルヴィン女史の語りを通じて、数十年のロボットの歩みを語る構成も、あまり読んだことがない形式で興味深かったですね。
考えてみると、私が持っている「ロボット」のイメージは、機械的で非人間的なもの……ではなく。
不器用だけれども人間への愛に溢れている、そんな温かな存在という印象です。
そしてそのイメージは、「ロボット三原則」の「ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作品はハッピーエンドなのだろうか……と考え込んでしまった。この話を読みながら私は主人公のルウを好きになった。努力を怠らず、周囲の人々と仲良くして、パターンを見つけるのが得意なルウ。でもそのルウはもういない。自閉症が治るとともに失われてしまった。そのままのルウでよかったのに、と私は軽々しく言ってしまいそうになる。だけどそれは酷いことだ。だってルウ自身が言うのだ。みんなと違うのは嫌です。普通になりたいです、と。そのままのルウを愛しているというのは、「私のためにそのまま苦しんでいてくれ」というのと一緒では無いのか。そう思うと胸が詰まる。どうすれば良かったのだろう。自閉症のルウ、ピザの好きなルウ、