小尾芙佐のレビュー一覧

  • IT(4)

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    喪失なくして克服なし。ままならない日常に光った煌めきも、恐怖に呑まれそうになった痛みもいつかは忘れていく。絶対はないということ。ホラー・ジュブナイル・スーパーナチュラル大長編の根幹には、人の切ない性(さが)がある。Bravo!

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    2025年09月12日
  • IT(3)

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    ペニー・ワイズはそれぞれの悪意や憎悪、トラウマの形をとって襲いかかる。黒人や同性愛者へのフォビアが、キング流筆致で描かれる、映画よりも露悪的に。映画2本目でドランがITに惨殺されるゲイ青年役を演ったのが、今更やっと政治的な意味を帯びてくるような、1985年編の幕開けとしてかなり重要な配役だと気付いた。最終決戦へ。

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    2025年08月31日
  • IT(3)

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    第3巻
    ITとの対決を通して、7人の子どもそれぞれが自己と向き合い、自身の持つ問題と対峙し成長していく。
    ホラーだけど
    青春群像劇でもあり、冒険小説でもある。
    友情、信頼、チームワークによって、勇気を得て恐怖心に打ち勝とうとする少年達の姿に感動を覚える。
    人の心を丁寧に描き出し、成長や再生を感じさせる筆力が、私がキングの好きな所なんだと思う。
    アメリカの田舎の市井の人々の考え方や暮らしを赤裸々に表現している点も興味深い。
    暴力やいじめ、貧困、差別は想像以上に酷い。ここからどのように生きていくのかも焦点になっている。

    ITの正体がチラチラと見えてきた。
    さあ、いよいよラスト第4巻へ。結末はいか

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    2025年08月30日
  • IT(2)

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    第二巻。
    幼馴染の6人がマイクの電話でデリーの町に27年ぶりに呼び戻される。
    ビル、リッチィ、エディ、ベヴァリー、ベン、スタン。
    27年ぶりに子どもの惨殺事件が起こり、
    再びあいつ(IT)が現れたと言うのだ。

    なぜ、戻らなければならないのか。
    深い理由と絆がありそう。

    ベヴァリーが実家を訪れてITと遭遇する場面が
    めちゃめちゃ怖かった。
    文章がうますぎて、映画を見ているよう。
    これからどうなるのか。
    第三巻に続いていく。

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    2025年08月22日
  • IT(2)

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    映画の場面がありありと思い出される。ベヴァリーとリッチーの怪奇との再遭遇シーン、活字なのにめっちゃ怖かった。順調に3へレッツゴ

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    2025年08月21日
  • ママは何でも知っている

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    面白かった!いわゆる安楽椅子探偵もので、刑事の息子が語る事件を、いくつかの質問だけで軽やかに解決するママの話。ちなみにママは、最後まで名前が出てこない。
    ママはずっとブロンクスで生まれ育ったユダヤ系アメリカ人。ママはいつもおしゃべりが過ぎて、話は脱線しがち、また息子の妻であるシャーリーのインテリ気質を当てこすったり(大学で心理学をおさめたらしい)、息子の仕事を(医者や弁護士になって欲しかったらしい)からかい気味にけなす。
    最初はちょっと苦手かな〜と思ったが、だんだんと情の厚い、ママの人となりが分かってきて、彼女の事が好きになった。ママの人生観と重なって、被害者やその周囲の人たちに対し寄り添うと

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    2025年06月29日
  • われはロボット〔決定版〕

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    ロボット三原則を提唱した著者が書いたSF小説。昨今台頭しているAIに、どう向き合うべきかを考える際に参考となる。科学技術と倫理観をいかに調合して、人間社会に適用していくべきかをこの作品から学べる。

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    2025年06月28日
  • ジェイン・エア(下)

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    読み終わって、まるで韓ドラじゃないか…と。女子が夢中になる要素がこれでもかとたっぷりと。きっと大勢の漫画家や脚本家に影響を与えたんだろうな。

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    2025年06月24日
  • 五番目のサリー 下

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    人間が住む世界や宇宙は広い。
    そして、個々の人間の内面も同じくらい広い。
    と思えた。

    本当の私。ありのままの私。自分探し。
    とかの類の言葉や行動は、自分を矮小化してしまうなーとも感じた。
    そんなもので見つけられる、わかるほど私は明確でも小さくもない。

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    2025年06月19日
  • 闇の左手

    ネタバレ 購入済み

    氷の惑星と両性種族。

    銀河連合的な組織に所属する地球人が、使者となって極寒の辺境惑星(冬=ゲセン)へ訪れ、艱難辛苦を経て(冬)の連合入りを成立させる話。
    中世ヨーロッパ的な国カルハイドと共産圏的なオルゴレインの二大勢力があり、知り合ったカルハイド人の親友(両性具有種族で政治家)とカルハイドを追われ、オルゴレインでも独り収容所送りとなる。しかし、親友エストラーベンの救出作戦で脱出。
    南極に似た土地を二ヶ月逃避行して、再びカルハイドの王を訪れ、翻心させるまでのストーリー。
    氷原の旅の終わりにエストラーベンは逃走中射殺されるが(ある意味自殺)、連合使者としての任務は成功し、エピローグで友の父と息子に日記を届ける流れは、た

    #切ない

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    2025年06月14日
  • 五番目のサリー 上

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    アルジャーノンから流れてこの本にたどり着いたが面白い。
    多重人格、解離は病だとされている。しかし、一つの自分の枠に勝手に収まっているだけで、本当は実はいろいろできるんじゃないかな、やりたいんじゃと思った。

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    2025年06月10日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    発達障害と言われる人達がどのように感じながら生活しているか、というのが、なんとなくこんな感じかな、と思っていたような視点で描かれていて、興味深い。自分が普通にできることが簡単にできない一方、彼らが普通にできることが自分にはできず、能力の向いている方向が違うのがよく分かる。相互理解が進み、みんなに優しい社会になるといい。これを劇化するのはどうやったんだろう?内面描写はモノローグやナレーションか?

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    2025年06月08日
  • 書店主フィクリーのものがたり

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    なんとも愛しいひとたちよ…
    あのA・J がこどもをひきとるなんてね…
    マヤの出自やそれにまつわるアレコレには少し驚いたし、モヤッとしたけど、それを上回る愛情と幸せに、こちらが救われた思いでした。
    欲を言えばもっとみんなのことを見ていたかったけど、それなりのハッピーエンドだったのでしょう。よいおはなしでした。

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    2025年05月04日
  • 高慢と偏見(上)

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    古典ながら、すごく面白いです!
    また、翻訳が上手いのでしょうね。
    鬱陶しい言い回しなどがものすごくリアルで、つい、笑ってしまいそうでした。
    下巻も楽しみです!

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    2025年04月23日
  • サイラス・マーナー

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     わたしはなあ、賢いお方とはちごうてねえ、神さまいうもんが、ほんとうはよう分からんのよ。
    サイラスはなあ、故郷のランタン・ヤードで神さまのことを信じておったのに親友の裏切りで「盗人」にされてしまうたんよ。本当の盗人ではなかったのに牧師さんの前で「御神籤(おみくじ)」で盗人に決められてしもうたんよ。
     そいでサイラスはなあ、なんもかんものうなってしもうて、とぼとぼと町を出て、ラヴィローいう村の片隅の砕石場の近くに小屋を建ててひっそりと機織り屋になったんよ。村人たちに「変人」とからかわれても何も言わんと、ただもう、真面目に機を織っとったと。サイラスの織った亜麻布はしっかりして美しもんじゃったから、

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    2025年04月13日
  • ジェイン・エア(上)

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    ロレンス・スターンSterne『トリストラム・シャンディの生涯と意見』1760 ※ジョイス、ウルフに影響
    〇トリストラム。産まれるときに鼻が潰れる。家のメイドに抱えられ、窓から小便をしたときに窓枠が落ちて怪我をする。フランス旅行。
    〇ウォルター。トリストラムの父。
    〇エリザベス。トリストラムの母。
    〇トビイ。トリストラムの叔父。

    エリザベス。田舎に住む5人姉妹の次女。才知。活発。そろそろ結婚の年齢。ある日、男ダーシーがエリザベスに求愛するが、エリザベスは身分の高く、お世辞の一つも言わないダーシーを「高慢」な男だと決めつけ、ダーシーを拒絶する。そして愛想のいい男ウィカムと付き合いはじめるが、ウ

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    2025年04月21日
  • 闇の左手

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    2018年に亡くなってしまったSF、ファンタジーの女王アーシュラ・K・ル=グウィンが1969年に発表したハイニッシュ・ユニバースに連なる作品の一つ。
    ジェンダーを持たない種族が住む惑星《冬》のカルハイド王国と、その隣国オルゴレインに宇宙連合エクーメンの使者であり人間である主人公が外交官として訪れるというもの。
    それもあってフェミニズムSFの代名詞的作品とも言われている。
    1969年の作品でありながら、今読んでも古びてない強度がある。それは世界観構築が細かいところにも行き渡っていることと、ハイニッシュ・ユニバースによって世界が時代を超えて広がっていることも多きい。
    そして性の規範に囚われない種族

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    2025年03月19日
  • 高慢と偏見(上)

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    ネタバレ

    辻村深月さんの傲慢と善良を2019年に読んでからずーっと読んでみたいと思っていて、でも、200年以上前のイギリス文学・・・私に読みこなせる?と躊躇すること早6年。(長っ)
    そんな時インスタのフォロワーさんのレビューを読み、背中を押されてようやく手に取りました!

    心配は杞憂に終わり、とても楽しく読み進めることが出来ました~
    結婚適齢期の娘達が住む町に、身分も高くお金持ちの独身男性が越してきて・・・という恋愛物語です。。

    主人公の母親は身分と金で人を判断する、そしてそれを大っぴらに口にする下品な人。
    父は事なかれ主義。
    娘たちは、美人で上品で優しく慎ましやかな長女、才知あふれる次女(この子が主

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    2025年02月23日
  • 赦しへの四つの道

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    ネタバレ

    これまでのシリーズで謎が多めだったハイン人の暮らしぶりや生い立ちが紐解かれた

    『星を継ぐもの』のチューリアンに近いハイパーテクノロジー文明を想像してたけど、意外と土着の暮らしや風習めいたものも残ってる(た)のね、、とか エクーメンの在り方にも通じるところあり、面白い

    ハイニッシュユニバースシリーズの新作が現代でも出版されたことに感謝

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    2025年01月29日
  • IT(4)

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    正直四巻まで面白さがわかんなかった。ただただスティーブンキングの文章力に魅せられてページをめくっていただけだったが、四巻で全てを持っていかれた
    大人になる恐怖、忘れてしまった子供時代、すべてがリンクしてまた忘れていく一連のサイクルがとても美しかった
    ベヴァリーのセックスの話はちょっと助長だと思ったけど、スーザンの回復やデリーの崩壊の部分はすごくよかった
    でも個人的にはあんまり怖くなかったかな、ホラーの帝王の文章を味わう小説だと思った

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    2024年11月08日