小尾芙佐のレビュー一覧
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ディック27歳のSF長編第一作。権力者がくじびき機械のランダム性によって決められるという設定を皮切りに、テレパシー、最終戦争、植民惑星、管理階級社会、人造人間、など、この時期からすでに世界観ががっつり作り込まれていて、読者を引きずり込むディックらしさが感じられる。ただ、得体のしれない不安感を誘うところや、現実崩壊感覚などはまだ強くはなく、刺客ペリグの設定と手に汗握るアクション的な攻防が最大の見所だと思う。近年大ヒットしたあの3D映画を思い出した人も多いだろう。この小説が1955年発表のものであることに驚く。未知の世界へ宇宙船でたどり着いた果てに聞こえる最後の言葉は、若かりしディックの前向きな心
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人類がかつて植民地化した星ゲセンは遺伝子実験の末に男女の性別のない不思議な社会に進化していた。外交を結ぶために赴いた地球人ゲンリー・アイによるこの人類と社会の風俗、思考などの考察が1つの話。政治的陰謀により元首相エストラーベンと一緒に極寒の氷原を逃亡する話がもうひとつ。男女の区別はないが生殖という面ではタイミングでどちらかが男にどちらかが女に自然に変わる。手を触れるといわゆる恋に堕ちる。男女という概念がないから我々には理解できない世界観を持つ。話はゲンリーの一人称だけでなく複数の人間が事実を語る。視点の違いがストーリーを変え、違う話に見えていく。陰謀は話を複雑にする。これは友情か信頼か、恋愛な
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子供向けの推理小説だろう、と、気軽な気持ちで選んだ本。
ところが、えそっち?となっていき、引き込まれた。
この家族が抱える家庭の問題に、共感するところがあって、自分がこの本を手に取った偶然に驚いた。そして、何度か身につまされて泣いた。
自閉症の子の目線や心の動きのまま(という設定で)書かれているので、読みにくいと感じることもあったけれど、それはそれで味わい深く、分厚い本でしたがあっという間に最後まで読みました。
息子を持つ親御さんにおすすめ。主人公の言動にハラハラしつつ応援しながら、親としての自分のことを振り返りながら、読んで、その状況を(物語なので当然ながら)立体的にかつ俯瞰して眺めることが -
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本を愛する、書店を愛する人たちの物語。
愛する人を失った時、癒してくれるのは何?
それは人によってそれぞれですが、その一つは人との繋がり。
愛する妻を事故で失って、投げやりになっていたフィクリーが前向きに生きていくようになったのには、そんな人との出逢い、繋がりができたから。
そしてフィクリーにとっては、本も大きな役割を果たしていた。
「ぼくたちはひとりぼっちではないことを知るために読むんだ。ぼくたちはひとりぼっちだから読むんだ。ぼくたちは読む、そしてぼくたちはひとりぼっちではない。」
そう語るフィクリーだから。
この本を読んで、ますます本を大切にしていきたいと思った。
小さな島にある -
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ネタバレロボ心理学者のスーザン・キャルヴィン、ロボット技師のドノヴァンとパウエルが主人公の連作短編集。
すべて、ロボット工学三原則にまつわる話になっている。以下簡略した三原則。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない
第二条 ロボットは人間の命令に服従しなければならない
第三条 ロボットは第一条あるいは第二条に反する恐れのない限り、自己を守らねばならない。
本書では子守ロボットを探したり、嘘をつくロボットを看破したり、掘削ロボットの故障を直したり、ロボット疑惑のある市長を調査したりする。なにか強大な敵がいてそれを倒すといったような話ではない。どれもロボット工学三原則が生み出してしまう些細な -
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ネタバレ恋のシーソーゲームとはこのことか。日本でいうと江戸時代に書かれたドラマだが、今読んでもおもしろい。恋愛に関する誤解と偏見を通じてなかなかゴールしないふたりにハラハラする。
上巻の最後でダーシーから手紙を受け取ったエリザベスは、今までダーシーを偏見を通じて見ていたことに気づく。しかし、いまさらどうにもならないのだった。
エリザベスはガーディナー夫妻とともにダーシーの家を訪れる。ダーシーは不在だったが、召使いがいて、ダーシーがいかに素晴らしい人かを語る。そこに突然ダーシーが戻ってくる。丁寧な対応をして、ガーディナー夫妻は感激する。ダーシーはエリザベスに対しても丁寧な対応をするが、手紙のことは触 -
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AIのトピックが声高に語られるようになり、それと同時にこの本の冒頭にある、ロボット工学三原則もAI時代にふさわしい原則として頻繁に取り上げられることが多くなってきた。この原則は小説家アイザック・アシモフが考えたものであるが、彼のロボット傑作集が本作品である。三原則も作品の中で取り上げられている。下記にあらすじを記す。その前に、作中でも登場する三原則を記しておく。
作品のテーマとしては、人間とロボットの共存やロボットの脆弱性。また、近未来ロボットが現在よりも開発が進んだ時に起こるであろうことである。言うまでもなくフィクションであるが、楽しめる作品ばかりだ。
ロボット工学の三原則
第一条ロボット -
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ジョージ・エリオットが男みたいな名前だけど女の作家であることは知っていた。「サイラス・マーナー」も人の名前だとは思っていたが、何故か女の人の名前だと勝手に思い込んでいた。男の人で、しかも変り者の老人の話とは思いもよらなかった。
しかし、こんな素敵な作家を今まで知らなかったなんて‼️最後がハッピーエンドなのはいかにもヴィクトリア朝だけど、思いもよらぬストーリー展開、人間の心の動き、人物の描き方、いずれも素晴らしい❗️
それにしても、ジェーン・オースティン、ブロンテ姉妹、ヴァージニア・ウルフ、それにこのジョージ・エリオット、イギリスは秀逸な女性作家の宝庫だ。