あらすじ
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。ママは“簡単な質問”をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件をいともたやすく解決してしまう。用いるのは世間一般の常識、人間心理を見抜く目、豊富な人生経験のみ。安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈ブロンクスのママ〉シリーズ、傑作短篇8篇を収録。
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Posted by ブクログ
「家政婦は見た」を思い出させるお話でした。
市原悦子さんは実際起きた出来事を見たり、体験したりして事件を解決しているけど…
このママのすごいところは!息子から聞いた話しと何個かの質問だけですんなり解決してしまう!
おそるべきママの人生経験。
さくさくお話も進むのでさっぱり読みやすい1冊です。
Posted by ブクログ
抜群の面白さ!!!!!
短編集なのに一気読みしてしまった!!!!
会話のテンポも良いし、ママの尽きぬお喋りは読んでて飽きないし、安楽椅子探偵ものってこんなに面白いのかと初めて教えてもらえた気持ち。大満足!!!!
Posted by ブクログ
安楽椅子探偵もの。
『ミミズクとオリーブ』の妻や、ミズ=マープルなど家庭や小さな世界で生きている女性が、「人の営みや心の動きは変わらない」とばかりにお料理や編み物をしながら、謎を解くスタイルは同じだが、基本上品な科のご婦人たちと比べると、この『ママ』は一味違う。
ブロンクスに住むユダヤ系の未亡人は、がみがみうるさいし、大学出の嫁の鼻をへしおるチャンスを常に見逃さない、ママっていうよりおふくろ、いや『オカン』だ。大阪の下町に住んでいる豹柄着ている系の。
息子がママの様子うかがいに週末一緒にとるディナーの席で、警察官である彼が冤罪を産みかけているのを少ない質問で阻止するのである。
洗練されていないし、意地悪なところもあるんだけれど、涙もろく感動やさんのママがあざやかに事件を料理していくさまはスカッとする。
内緒にしていたはずのテストの点数がなぜかばれていたり、友達と喧嘩した日の夜の夕食が自分の好物だったりとママは何でも知っている。
最後の『ママは憶えている』は若き日のママのママが愛する娘の危機にママの上をいく頭脳を駆使して奮闘する様が描かれているが、デイヴィッドがいつか生まれるかもしれない子供に同じようにできるかははなはだ心もとないと思いつつも、似たような繰り返しはあるんだろうなと思わせる。
専門的な知識はほとんどいらない、肩の力を抜いて楽しめるシリーズ。
あと、翻訳家のプロフィール、名作中の名作ばかりを訳していてすごい。
Posted by ブクログ
面白かった!いわゆる安楽椅子探偵もので、刑事の息子が語る事件を、いくつかの質問だけで軽やかに解決するママの話。ちなみにママは、最後まで名前が出てこない。
ママはずっとブロンクスで生まれ育ったユダヤ系アメリカ人。ママはいつもおしゃべりが過ぎて、話は脱線しがち、また息子の妻であるシャーリーのインテリ気質を当てこすったり(大学で心理学をおさめたらしい)、息子の仕事を(医者や弁護士になって欲しかったらしい)からかい気味にけなす。
最初はちょっと苦手かな〜と思ったが、だんだんと情の厚い、ママの人となりが分かってきて、彼女の事が好きになった。ママの人生観と重なって、被害者やその周囲の人たちに対し寄り添うところは、温かな気持ちになる。読み応えがありました。特にミンクの毛皮の話が好き。
Posted by ブクログ
面白かった!
安楽椅子探偵もの。
刑事の息子と、その嫁から殺人事件の話を聞くだけで真相を暴いてしまうママ。
嫁のシャーリーとやりあう感じとか、息子のデイビッドに皮肉をいう感じとか、その言い方ややりとりが海外ものって感じがで、面白く読んだ。
ママ、かっこよすぎる。
Posted by ブクログ
連作短編8つ。
人生経験豊富なママが、息子の刑事から殺人事件の話を聞いて3つ4つ質問をしただけで事件を解決してしまう。
時々口をはさむ嫁とママの棘のある会話も楽しい。
奇抜なトリックではないのも良い。穏やかな気持ちで全編を読める。
ちょっと口が悪いママの人生が一編一編に書き込まれ、だんだんいとおしくなる。
Posted by ブクログ
ママが強い安楽椅子探偵物で、古典的名作であるのに古さは感じさせない、十分に今も面白い作品だ。短編なので読みやすいし、ほんとうにママが強い。
おつむの強さ、視点と気づき、閃き、そして経験とさらに強いママのママ(?)の存在により、このママは強いママにママでママ
意外にも警部とは良い感じだし、息子の嫁との関係も喧嘩するほど仲が良い感じだし、息子同様にちょっと冷やってするやりとりもあってその点も面白かった。
Posted by ブクログ
このママ、最強でしょ。
刑事である息子のデイビッドが扱う事件について、いくつか簡単な質問をするだけで解決してしまう。
こんなに面白い安楽椅子探偵ものは初めてかも。
世間一般の常識、人間心理、人生経験。
この3つであっという間に真相にたどり着くのだから敵わない。
Posted by ブクログ
安楽椅子探偵の連作短編小説集。1950年代~60年代に書かれたもので、舞台はアメリカ、人物はアメリカ系ユダヤ人の家庭でユダヤ教の話が出てくる。
ママが探偵役。人情(動機)と論理の組み合わせで、見せかけのストーリーを裏返していく。解決はあざやかでパズルの完成度が高い。でも逆向きにたどっていくと犯人がかなりお粗末なことが多くてなんだかなあと感じる。
安楽椅子探偵ものなので人物描写は期待してなかったが、なかなかユーモアがあり恵まれない人々への温かい視線があって良い。
Posted by ブクログ
特に表題作が秀逸。
全体を通じて、極めて精巧に作られたパズルなんだけど、軽妙かつ作り込まれた会話が小説としても質が高く、名作の名に恥じない一冊。
Posted by ブクログ
安楽椅子ものの最高峰ということで復刊を機に読んでみました。
読んでなるほど。どのお話でも、ママが幾つか質問をするだけで事件が解体、再構築されていき、あっと驚く真相が用意されています。
その過程で披露されるロジックは素晴らしいの一言。とくに冒頭の表題作は口紅の違和感から怒涛の推理が展開され、全く予想外のところに着地する短編のお手本のような傑作です。
また、嫁姑問題に息子離れ出来ない母というミステリ以外の要素も大変面白く、退屈することはありませんでした。
Posted by ブクログ
なるほどこれが安楽椅子探偵物といわれるものか。謎解きにはあんまり興味がなかったので、主人公は随分マザコンなんだなぁとかアメリカにも嫁姑問題はあるんだなぁとかいうことが気になった笑
Posted by ブクログ
面白いんだけど、謎に挑戦しようとすると難しいかもしれない。結構昔の本で、当時の常識や風俗を知っていないと解けない謎がいくつかある。(当時のニューヨークの様子やユダヤ教の習慣など)1950年台のアメリカ文化に詳しい人なら解けるかも。
純粋な読み物として楽しむことをおすすめします!
Posted by ブクログ
この少ないページ数に
登場人物のコミカルな掛け合い、
謎解きの起承転結を盛り込んでいるのは賞賛に値するが、私が単に一方的に喋る強めな母親像が苦手なので単純に合わなかった。
あとアメリカンジョーク的な言い回し?みたいなものも。
ストーリーの構成は素晴らしいのだと思います。
あとこねくり回した複雑なミステリ、というより誰もが身に覚えのある人間の俗なプライドが元になっているっていうのもおそらく親しみやすさの一つ。
解説にもあったように、短編を重ねるごとにママの背景を明らかにして、登場人物に深みを与える手法はなるほどな!と思いました。
Posted by ブクログ
面白かった!やはり俺は安楽椅子探偵的な話が好きなんだなあ。難攻不落のトリックや謎解きというよりは、人間が持っている見栄やプライドや欲望、人間の弱さなどの背景なんかをママが今までの経験値から見抜いて、この人ならどんなことを考えるか?どんな行動が生まれるか?という流れから事件時の行動や動機を紐解いていくというイメージ。シャーリーとママの仲が良いんだか悪いんだか分からない関係性も面白い。嫁姑ってこれくらいの距離感がいいのかもしれないな
Posted by ブクログ
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。
安楽椅子探偵の傑作らしいと聞いて初読み。外国の作家について、ミステリーの歴史については全く詳しくないので初対面の作家だった。なるほど確かに安楽椅子探偵の最たるものって感じ。刑事の息子の話を聞いて二、三質問するだけで答えを導く“ママ”。とにかく昔話だったり近所の噂話だったり余計な話も多いけど、余分な話はしないママ。皮肉屋で、料理が上手くて、口うるさいママ。短編でおなかいっぱいになる会話量に慣れるまではちょっと読みづらさもあったけど、慣れるとその会話劇の巧みさが楽しい。息子は話すのが上手すぎるし妻はちょっかいレベルがいつまでも上達しなくてちょうどいいし、ママの質問は読者に最適のヒントになる。うーんなるほど、上手い。好きなのは『ママが泣いた』と『ママと呪いのミンクのコート』かな。
馴染めなかった
ママの口がけっこう悪くて、ちょっと馴染めなかった。ママに限らず、会話に出てくる人物の描写に配慮が足りないというか、言葉に引っ掛かりを感じてしまった。トリックは面白いんだろうけど、なかなか気持ち良い読書はできなかった。
Posted by ブクログ
毎週金曜日にママの自宅へ妻と訪れ夕食を共にする刑事デイビッド。
その夕食で自分の関わる事件についてママに話すと、ママが見事に解決してしまう。
安楽椅子探偵ものの八篇の短編集。
短編なので、事件の内容も簡単で軽く読める。
ママがデイビッドにいくつか質問をし、その答えから真相にたどり着くといった形であるため、読者もママと同じ条件で事件に向き合える。
残酷な描写もないため、そういうものが苦手なかたにも愉しめる。
それにしても刑事デイビッド、事件について部外者にペラペラ喋り過ぎ。
捜査上の秘密だとかの問題になったら大変だ。
デイビッドの妻シャーリイとママの掛け合いも適度にギスギスしていて面白い。
皮肉屋なシャーリイとの会話はどことなくイギリスっぽさがあるけれど、作家ヤッフェはアメリカ人だ。
作品にママの手料理についての記載が度々ある。
ネッセリローデパイ、ヌードルスープなど、どんな料理なのだろうと興味をそそる。ママの手料理はいかにも美味しそうで食欲を刺激される。
軽い読み口で、推理小説として愉しんでも、特にそういったことをせずに愉しんでもどちらでも好きなように読める一冊だ。
Posted by ブクログ
安楽椅子探偵ものの短編集なので、一編ずつちょこちょこ読みました。表紙が素敵です。
古いアメリカが感じられます。食事をしながら謎解きをするので、料理がいろいろでてきます!アップルパイ食べたくなりました。
一番最後の話が一番面白かった。
ママの想像力に感心します!
Posted by ブクログ
安楽椅子探偵シリーズの最高峰!ママの鮮やかな推理の過程で、読み手も一緒にアレコレと推理しながら読み進められるというクオリティの高い構成になっているのが面白い。都筑道夫氏が安楽椅子探偵のもっとも理想的な本として、このジェイムズ・ヤフィーのママシリーズを絶賛しているというのも頷けました!創元推理文庫でもいくつかママシリーズが出ていたようなので、是非復刊して欲しいです!