小尾芙佐のレビュー一覧
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ネタバレ読み終わった・・・。すべてが終ってしまった・・・。
全4巻という大長編に正直尻込みしていたのだが、手に取った瞬間から物語の世界に引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。
かといって、いわゆる「さくさく読める」と言うのとはちょっと違う。やはり、キングの手によるグロテスクでおぞましいモンスターや惨劇の圧倒的な描写は、それでも一言一句読み飛ばすわけに行かない。どんなに目をそむけたくても、見届けなければいけないのだ。
少年時代のひと夏の冒険譚という意味では、解説でも指摘されているとおり「スタンド・バイ・ミー」だがそれだけではないのはご承知のとおり。デリーの町を恐怖で支配する――住民たちはそれとは気が付かずに――ITの驚くべき正体はとんでもないスケール感だし、子供たちが見るモンスターは吸血鬼や狼男、フランケンシュタインといった西洋お化け屋敷の常連揃い。そこに日本製のラドンのイメージまで呼び出されるからさながら古今東西の怪物見本市。
とにかく、キングワールドご堪能あれ!な一大叙事詩。キングファンなら、なるほど「読んでおくべき一本」と言えるでしょう。
あ、映画は「子供時代編」だけなのかしら?続編が作られるということは・・・? -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、夜中に犬が殺害された事件を解明していく物語。
犬殺害が一冊の物語として成立するのか、というところだが成立する。なぜねら、この作品は犬殺害事件の犯人が誰なのかというところが重要なのではなく、誰がこの物語を書いたのかが重要だからだ。
この作品はクリストファーという少年が書いている、という設定。このクリストファーはいわゆる発達障害の少年。
そのため、他人の心情を理解したり想像したりすることが困難である。自分の中にある規則を守って生活していたいクリストファーは、周囲の人々と円滑な関係が保てない。
こういうクリストファーがある夜に殺された犬の死体を発見するところから物語ははじまる。
この作品には章題として番号がついているのだが、その番号は“2”からはじまる。
2、3、5、7、11、そう、この章題は『素数』でついている。
こういったところからもクリストファーが一般的な物の捉え方をしないことがわかる。
「アルジャーノンに花束を」のように文章自体にもクリストファーの特徴が表れている。
クリストファーの行動にはクリストファーにとっては正当な理由や動機がある。しかしその理由や動機を知らない人には。なぜ突然クリストファーが叫んだり暴れたり、暴力を振るってくるのかはわからない。クリストファーが、周囲の人々がなぜ自分の嫌がることを突然してくるのかがわからないのと同じだ。
この作品の著者マーク・ハッドンは、こういった障害のあるひとと関わった経験があるため、文章からこの障害を伝え、互いに理解出来ないために起きる苦悩を緩和させる一助となる。ダニエル・キースによって多重人格などで苦しむ患者と理解出来ずに戸惑う周囲との橋渡しがなされていたことと同じように。
モンティ・ホール問題(p108)なども出てくる。
これは知っているかたもいると思うが、確率についての問題で世界中の知識人でさえ間違えた問題をマリリン・フォス・サバントという女性ひとりが正しく答えたというもの。わたしもはじめて知ったときは驚いた記憶がある。
これ以外にも数学の証明問題など、クリストファーが特定の事柄に強いこだわりがあることなどが描かれている。
障害の中でも目に見えてわかり想像もしやすい身体障害に比べ、見てわからないところへ理解しがたく想像しにくい精神面や脳内の障害は偏見も生まれやすい。そういった障害は本人は勿論、家族の辛さは測り知れない。
難解な病名や症状、病態生理のようなことの書かれた専門書からでなく、読みやすくわかりやすい小説という形で知っていくというのは大きな意味がある。
それほど重要ではないがタイトルにもなっている犬殺害事件もきちんと解明されているため、ミステリーとしても問題ない。
クリストファー少年の冒険と活躍を愉しめると共に、最近話題になっている障害への理解にも繋がる一冊。 -
Posted by ブクログ
クリストファー少年はある夜、道を挟んで斜め向かいの家で飼われている友だち=ウェリントンという名の犬が、横たわっているのを見つける。家を抜け出して、傍まで行ってよく見てみるとウェリントンは大きなフォークのような道具で刺されて死んでいた。
クリストファーは素数が好きだが、黄色と茶色が嫌いで、赤色は好き。決められた時間に決められた行動をするのを好み、人ごみや、人に触られるのは大嫌い。言葉を使わないで喋る、つまり人の表情も理解するのが苦手。でも、数学は大好き。
そんなクリストファーはシボーン先生から「自分が読みたいと思うようなものを書きなさい」と言われたので、自分の好きなシャーロック・ホームズの小説のように、ウェリントンを刺して死なせた人を探すミステリ小説を書くことにした。
それがこの本だ。
人とのコミュニケーションを取るのが困難な発達障害を持ったクリストファー少年が、犬の死をきっかけに、その犯人を探すために周りの人に話を聞いていく、そして少しずつ彼らが嘘をついていたという事実を知っていき、パニックに陥り、そのパニックから逃れるために、大きな冒険(クリストファーにとっては)に出ていく話。それを発達障害を持ったクリストファーが書いた本という形で読んでいくことになる。
最初はクリストファーの奇妙な考え方や行動にちょっとビックリしたり、笑いそうになる。しかし、クリストファーが「冒険」に出発しだす頃からは、なんとか彼がその冒険をやり遂げて欲しいと応援するようになる。
勿論、読者がそんなにヒヤヒヤしながら、頑張れと思いながら、読んでいるということは、他人の感情を読み取ることが難しい彼には伝わらない。きっと、頑張ってと彼の手を握ろうものなら、クリストファーは大声で「さわられたくない」と言って逃げ出すに決まっているのだ。
でも、応援したくなる。そういう本だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレブリジットジョーンズの新作が公開するそうなので、
今がチャンスと思い、重たい腰を上げて読みました!
冒頭から飛ばしていて、ほんとに古典ですか?
新作ですって言われても納得するくらい今でも当てはまるよね?と
ひきこまれてしまいました(笑)
ミスターダーシーが、マークとかぶるかぶる~
コリンファース渋くてかっこいいですよね
ツンデレもえきゅん
すこし残念だったのが
妹ちゃんやママが完全恥ずべき人間として書かれているところ。
ダメなんだけど憎めない、愛すべきダメキャラとして描かれていたら完璧なラブコメなのになーと。
映画見てみよー! -
Posted by ブクログ
こちらでフォローしている方の感想にひかれて読むことに。とても面白かった。わたしが知らないだけで、話題になっていたのだろうか。タイトルから軽いミステリかと思っていたが、こういうお話だったとは。
アスペルガー症候群の少年が書いたものという形をとっている。「普通の人」による妙な意味づけや解釈抜きに、彼の精神世界が開示される点がとてもいいと思った。傍目には奇妙だったり困惑させられたりする行動の一つ一つが、彼にとっては必然性のあることなのだ。読み進むにつれ、それが胸に落ちてくる。さらに、彼を深く混乱させる大量の情報に常にさらされて平気でいるわたしたち自身、ある意味では異常なのではないかという気がだんだんしてきた。
いや、そう言う自分だって、最初から「平気」だったわけではないはずだ。試行錯誤して大なり小なり失敗しつつ、この世界と何とか折り合ってきたわけで、彼の混乱や苦しみはまったくの他人事とは思えない。障碍者を無垢なものとして描くという類型に陥ることなく、そうした共感を呼び覚ますところがとても優れていると思う。
だから、「アルジャーノンをしのぐ感動作」とか「少年の成長を描く」とかいう惹句は、ちょっと違うんじゃないかなあ。 -
Posted by ブクログ
海外ドラマ「グリー」にハマって以来、行く予定もまーったくないのにブロードウェイで今なにやってるか見てたり、トニー賞とか気にしてたりして、昨年そのトニー賞をとったってことでこの作品も気になっていて。(たしか、わがアイドル、ダレン・クリスも見にいっててブロードウェイ版で主演だったアレックス・シャープと仲よさげにしてたんじゃなかったっけ。どうでもいいが!)
で、予想以上にすごくおもしろかった!
発達障害のある少年が、隣家の犬が殺される事件に巻き込まれたり、ひとりでロンドンまで電車に乗っていったり、っていう、ミステリで、冒険モノで、成長物語で。わたしは途中で意外な展開に、下手なミステリなんかよりずっと驚いた。文章にユーモアがあって、少年の普段の生活ぶりなんかも楽しいし、はさまれる科学や数学の高度な話もわからないながらなんだか素敵だなーと思ったり。
あと、少年が通ってる特別学級の先生がいい先生だってことがよくわかって、こんな先生に指導されていてよかった、とか。
ラストで、もっと奇跡みたいな感動的なことが起きるのかな、と予想したけど、それほどでもなくて、なんだかひょうひょうとした感じで終わったのもすごくよかった。
これ、舞台化されるといったいどんな感じなんだろうー。見てみたかった。ブロードウェイで主演だったアレックス・シャープは写真でみただけだけど、クリストファーっぽかったな、と。 -
Posted by ブクログ
ネタバレITの正体を考える上で、「大人には見えない」というところが非常に気になった。
子供から大人へなる過程でなくすもの?そういった何かが実体化し、子供を殺す?大人になられると困る?
単なる猟奇的な、幽霊の類であればそんなことは考えられないが、「実態を見た」などの表現も出てきている。
子供のころの故郷に戻ることによって、今大人になっている人もその時の憧憬を思い起こし、心情に変化を与える?=子供に戻っている?
と、ITの正体を考えながら次巻、最終巻に期待。
エディの骨折の章は良かった。何か克服の過程が書かれている感じで。こういう経験を子供から大人にかけてみんな経験する。「大人がいつも正しいわけではない」と気付く。