小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
02年再版版。
本作はPKDの長編では初期作品であるにもかかわらず、
そのドープさ加減は手加減を知らない。
至って面白みもないタイトルから安易に内容を予想するのは間違いで、
やはり一筋縄ではいかないストーリー。現実世界を歪んでいき、
最後のほうではやはり混沌に突入していきます。
PKDの著作の中でも、ベストに挙げる人が少なくない名作。
-ハヤカワオンライン「書籍詳細」より-
火星植民地の大立者アーニイ・コットは、宇宙飛行の影響で生じた分裂病の少年をおのれの野心のために利用しようとした。その少年の時間に対する特殊能力を使って、過去を変えようというのだ。だがコットが試みたタイム・トリッ -
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「あなたはほんとうに癒されたいのか」
自閉症をもつ主人公は、自分の特性を活かした仕事に就き、趣味を持ち、日常生活に苦労しながらも自分なりに楽しく生活している。
そんな時「自閉症を治す」治療法が開発されて…
印象深かったのが、
礼拝にて司祭が話す、ヨハネ書、癒しを求めてベテスタ池のほとりに横たわる男の話。
ベテスタ池には天使がやってきて水をかき回す。その間に池に入ることで癒されるという伝説がある。
そこに現れたイエスが、男に「あなたはほんとうに癒されたいのか」と尋ねる。
一見愚問にも見えるこの問いは、
「元気になりたいと望んでいるのか」
「水に身を浸すという特別な体験を望んでいるのか」
よく -
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「殺人を犯したかもしれない」そう言い残してポアロの元を去った若い娘と、その周りの人々を巡る死体なき殺人事件。
殺人事件が起こってから犯人を探してゆく、という従来のスタンスとは違って死体そのものを見つけるという趣向が面白かった。人物描写も細かくてしっかりと練りこまれてる感がたっぷり。どういう人物か頭の中で思い描けるのがテレビを見ているようでいい!
ただポアロの逡巡が堂々巡りのような気がして中盤少しだらりと(私が)してしまったので星4つ。動機を探るというやり方も私が好んで読んできたミステリーの中にはあまりないので新鮮、というか慣れるのに時間がかかりそうだなぁ。 -
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父親のステップが転職し、フレッチャー一家はノースカロライナのストゥベンに越してきた。
ステップはハッカー・スナックというパズルゲームをヒットさせたことのある才能あるプログラマ。
これまでは、自宅での仕事と、歴史の博士号を取る研究という自由な立場でやって来た。
今度の会社ではマニュアルを書くだけが仕事と言い渡され、驚き苛立つが、当面は仕方がない。直属の上司はいやみな男だったが、実はプログラムに関しては無能らしい。
妻のディアンヌは心の温かい母親で主婦だが、3人の子供を抱えて、さらに妊娠中、めまぐるしく過ごしている。
二男のロビーは無邪気だがやんちゃな盛り。
まだ赤ちゃんのベッツィははいはいをする -
Posted by ブクログ
『心の奥底のどこかで、彼は昔読んだことのある一文を想起して、それが現在の情況に当てはまるような気がした。』
心理学、精神医学といった分野に関する種々のテーマを、SFというアプローチで描いている短編集。アルジャーノン然り、口当たりがなめらかな作品が並んでいるが、濃厚な深みの効いたものもある。個人的には、「限りなき慈悲」と「心の鏡」が好き。どちらも、今後人類が向きあっていかなければならない永遠のテーマだと思う。そういった恒久的な側面を、有限の尺を以て物語を組み立てるという性質を持つSFに落とし込んでいるあたり、非常に巧みだと思った。まさに合わせ鏡かと。