小尾芙佐のレビュー一覧
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1958年デリーの街を舞台にした回想と1985年再びデリーの街に集められるかっての子供たちを描く第一巻。
全四巻ということで覚悟して読み始めたものの、やはり話が進まない(苦笑)第一巻ということでまだエピソードを積み重ねている、という印象が強いです。
印象的な場面はいじめられっ子のベンがビル、エディと友達になる場面です。三人が一緒にいる場面というのはそんなに長く描かれるわけでもないのですが、どうしてこんなに優しく清々しいような気分になるのが不思議です。子どもたちがふとしたきっかけで一気に仲良くなる、というのは万国共通で読んでいて清々しいものなのかもしれないなあ、と思いました。
ホラー的な場面では日本とアメリカのホラー観の違いを感じるところも。一巻の終盤で少年が大きな怪鳥に襲われる場面があるのですが、これは日本のホラーではなかなかない描写のような気がしました。
どちらかというと日本のホラー幽霊や呪いなど静のホラー、対してアメリカのホラーはゾンビや、モンスターなど動のホラーという印象が強いので、下手に日本人がこの場面を書けばなんじゃこりゃ、と冷めてしまいそうなのですが、スティーヴン・キングのようなアメリカの大物作家が書くとやはり迫力があります。
今のところあまり出てきていませんが殺人ピエロや、ところどころ出てくる怪物の描写もモダンホラーの帝王と呼ばれるだけあって、不気味で印象的です。
1993年版このミステリーがすごい!海外部門4位 -
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ネタバレSF界では有名な方らしいというのと、本屋で見た装丁がかっこよ(略)厨二心をくすぐられたので購入。よく耳にする「~は~の夢を見るか?」というタイトルの元ネタでる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という作品を書いたフィリップ・K・ディックの長篇処女作。らしい。本当はどこかの作品でオマージュだか参考だかにされているから手に取ったんだと思うけど、その作品かは忘れてしまった。
ボトルという装置によってランダムに権威者が無作為に変動していく近未来の世界で、従属契約や刺客とディープの争い。《炎の月》。
絶対的君臨者として存在するヴェリック。それにつき従うエレノアとムーア。テッドは翻弄されるがままにその最高権力を取り戻すための戦いに巻き込まれていく。無級者として惨めな生活を強いられるカートライトも、そのボトルが巻き起こす嵐の真ん中に放り込まれていった。
突然始まるボトルという装置が支配する世界に戸惑うこともありつつ、SF世界として楽しめた。カクテルや飲み物にすら近未来の要素を持たせ、登場人物たちが交わす言葉も当たり前のようにSF要素が飛び交う。
いまいち登場人物たちの心情が理解できない部分も多かったが、おおよそ因果の破綻なく物語が進められるので、プロットの正確さを感じた。これまで私が手にした翻訳本の中ではかなり読みやすい。
エンターテインメントとしてストーリーの破綻は感じられず気持ちのいいテンポで進んで行く。絡み合う隷属関係はあまり意識しなかった。それが最も効果を表すのは後半になってからだ。また、《炎の月》という理想的世界と過程される惑星への希求も同様に。
全体を通してランダムに当てがわられる殺し合いゲームに主眼を添えられているので、ゲームならではのハラハラ感や攻略感も楽しめる一方でどこかグレーに彩られた世界で生きる登場人物たちの言葉がいやに光る。
物語の途中ではテッド・ベントリーが自分は精神病質なのか苦悩するシーンがある。違法は我々なのか世界なのか。異質なのは自らなのか周囲なのか。それはぺリグ・ボディにムーアの悪意によって突然放り込まれたテッドの戸惑いのように、ヴェリックに依存するしか存在できなかったエレノアのように自らのアイデンティティについて問いを少しづつ投げかける。
Mゲームによって歪められた世界から九惑星を越えて新たな世界を手に入れるその欲求、テッドがヒルを飛び出し違法を犯し社会と自分との折り合いを苦悩させるまでに至らしめた彼の欲求、それはどちらも物語最終の台詞のように前進する志向が含まれたからこそ成し遂げられ、虐げられるものではない。そして、ひとつのゲームが終わったのである。
「SFの古典」というおとで読みいにくいかと不安だったが、エンタメ要素は多く充分に現代でも楽しめる作品である。これを切り口に、「ニューロマンサー」や「アンドロイドは~」なども読んで、SF的世界の造詣を深めるための一歩にしては充分の役割を担えるだけの実力のある作品だった。 -
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ネタバレ≪内容覚書≫
19世紀イギリスの作品。
ユーモアと知性のある女性、エリザベス。
大人しく優しい、ジェイン。
お隣に越してきた、ミスタ・ビングリー。
その友人のミスタ・ダーシー。
すれ違う4人の恋模様を
イギリス特有の皮肉を交えて描いた作品。
高慢で偏見を持っているのは、誰なのか。
≪感想≫
あらすじをまとめようと思ったら、まさに王道な少女漫画。
第一印象は最悪!だったけど、相手を知る内に…、
というパターン。
これはもう、洋の東西を問わず、古今を問わず、
恋愛における珠玉のテーマなんだろうな、と思ってしまった。
書かれた時代が時代なので、
女性に対する扱いが多少低いな、と思わせられるし、
最終的に結婚してハッピーエンドは安易すぎる結末だけれど、
このよくあるパターンに、
イギリス特有のユーモアと皮肉の利いた表現が、
ほどよい刺激を与えてくれ、退屈することなく最後まで読める。
イギリス文学は、読んでいて、
ニヤリとさせられてしまうことが、本当に多い。
特に、この作品の女性の描き方は、
さすが女性作家、と思わせられる。
ああ、いるよね、こういう女…、と、
何度ニヤニヤしてしまったことか。
国境だけでなく、時代を越えても通じるものがあるのが、
不思議と言えば不思議。
古い文学作品は、確かに、読みにくい物もあるけれど、
これは、そういう、まさに「偏見」を捨てて、
手にとってみるといい作品だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ≪内容覚書≫
19世紀イギリスの作品。
ユーモアと知性のある女性、エリザベス。
大人しく優しい、ジェイン。
お隣に越してきた、ミスタ・ビングリー。
その友人のミスタ・ダーシー。
すれ違う4人の恋模様を
イギリス特有の皮肉を交えて描いた作品。
高慢で偏見を持っているのは、誰なのか。
≪感想≫
さすがイギリス…!って感じの皮肉と、
少女漫画の王道のようなすれ違いの恋愛が、
見事にはまった作品だと思った。
スパイスと甘さが奏でる見事なハーモニー(笑)
新訳のおかげか、古い作品であるにも関わらず、スラスラ読めた。
昔ならではの奥ゆかしさのある訳も、それはそれで楽しいが、
現代に近づけた訳で楽しむの良いと思った。
新訳はちょっと避けていたけれど、今後も利用しようと思った。
翻訳されたものは、訳者さんによって、
微妙な違いを楽しめるので、
一度で何度もおいしい作品だと思う。
中野好夫訳、中野康司訳と名訳とされている様子なので、
そちらもぜひ読んでみたいと思う。
内容感想は下巻の方で。 -
Posted by ブクログ
PKDにしては、なんだか読みやすいぞ。最初の長編だから?
現実とは、アイデンティティとは、という主題は出てこないと言っていい。唯一、複数人で一人の人格を形成する、一つの体を複数人でシェアする部分がかする程度。けど、大して触れられず、あっさり流される
ストーリー上、重きを置かれているのはM(ミニマックス)ゲームでもなさそう。結局運でも偶然でもないことが明らかになるし。
それよりは、人による人の支配の不当性が言いたいのかな?最初と最後でうまく繋がるし
炎の月は理解不能
最後の裁判はいささか唐突で、執筆直前にヴェニスの商人を読んだと言われても説得力があるほど
そう言えば、ドラッグが出てこなかった。これは特筆に値する! -
Posted by ブクログ
02年再版版。
本作はPKDの長編では初期作品であるにもかかわらず、
そのドープさ加減は手加減を知らない。
至って面白みもないタイトルから安易に内容を予想するのは間違いで、
やはり一筋縄ではいかないストーリー。現実世界を歪んでいき、
最後のほうではやはり混沌に突入していきます。
PKDの著作の中でも、ベストに挙げる人が少なくない名作。
-ハヤカワオンライン「書籍詳細」より-
火星植民地の大立者アーニイ・コットは、宇宙飛行の影響で生じた分裂病の少年をおのれの野心のために利用しようとした。その少年の時間に対する特殊能力を使って、過去を変えようというのだ。だがコットが試みたタイム・トリップには怖るべき陥穽が隠されていた……P・K・ディックが描く悪夢と現実の混沌世界