小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は今読んだからこそ面白さを理解できたのだと思う。
この数ヶ月間で女性作家を中心とした現代小説を読んでいるわけだが、その中でも群を抜いているいっても過言ではない。
ウィットに富んだ皮肉の数々、主語を欠き視点移動も自在な為、"誰の・何処の・何の"話題なのか訳がわからなくなる構成、馴染みの無いミス・ミセス・ミスタの応酬に複雑な家系図。
世界史の勉強の難しさに似ている。
面白い。
上巻でダーシーの印象が最悪なのは、本人の口から出た災いともいえるが、ネザーフィールドの住人の文化水準が低く、「あんな下品な連中とは付き合ってられない」という、ダーシー側の視点からすると、払拭どころか考えを改めざるを得ない。
特に顕著なのはミセス・ベネット。
リディアの際は、ウィッカムの表面的な印象に囚われて結婚に歓喜する。
ジェインの際は、ビングリー自体は申し分ないわけだが、何の連絡も無く屋敷を去ったことへの怒りを忘れて歓喜する。
エリザベスの際は、あれ程までに嫌っていたダーシーが婿になると知った途端、金勘定で歓喜する。
その他、コリンズなどは言うまでもなく、どうもネザーフィールドの近隣の住民達はひと癖もふた癖もある人ばかり。
この上層中産階級への解像度の高さ、心情表現の豊富さは20歳前半の表現力とは思えない。
しかし、「嫁ける」という表現には恐れ入った。言い得て妙だが、現代で使おうもんなら大炎上するに違いない。 -
Posted by ブクログ
『はだかの太陽』
アイザック・アシモフ 小尾芙佐/訳
Naked Sun
Isaac Asimov
ハヤカワ文庫
イライジャ・ベイリは別の惑星ソラリアで起こった殺人事件を解決するために地球から派遣された。事件の関係者と直に会って話を聞きたいと思うものの、この星の人間は常に映像を通して他者と交流し、直接会うのは動物的なおぞましい行為とされ嫌がられる。物的証拠はロボットに処分されてしまい、文明の進んだソラリア人の地球に対する侮蔑などで、なかなか操作がスムーズに進まない。また外出すると太陽の光が地球人のベイリには有害で具合が悪くなってしまう。
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これは1957年に書かれたものだけど、アシモフの予言もまんざら間違ってないと思う。人型ロボットこそそれほど見かけないけど、生活の至るところにAIが関与し、人と人との接触がだんだんと希薄になってきている。
高度経済成長期やバブルの時代にこの本を読んだら、へええで終わってしまったかもしれない。今の時代に読むと無性に身に染みるものがある。 -
Posted by ブクログ
ポアロは決してなんでもお見通しのホームズの様な探偵ではなく、思考の手順や道筋を整理しながら、ジグソーパズルの様に組み合わせていく、とても人間味のある探偵だ。従って、当然、推理の道筋が違っていて軌道修正する事もあるし、事件の連鎖を未然に防げない事もある。しかし最後には真実に行きつき、そしてハッピーエンドで物語は結末する。今回もとある二人の人物が、ポアロの策略によって結ばれる事になる。彼はキューピッド役を務める事がしばしばあり、幾つかの事件の後、ポアロの御節介により幾つかのカップルが誕生している(笑)。これはある意味でポアロシリーズのお約束でもあり、味の濃いミステリー本編を爽やかにするための要素でもある。
今作はスタートが変わっており、とある若い女性がポアロの探偵事務所を非常識な時間に訪ねて来る。彼女は、「人を殺したかもしれない」と言い放ち、しかしポアロを見たとたん、年寄り過ぎるという理由でいなくなってしまう。ポアロはショックを受けるが、娘については気に掛かり、「死体」の痕跡を探し始める。
そんな中、オリヴァ夫人の強引な(笑、いつもそうだ。)招待を受け、昨日のショックについて話していると、どうやら娘のきっかけを作ったのはオリヴァの可能性があり、名も知らぬ相談者のきっかけをポアロはつかむ。まだ殺人が起きたかどうかもわからない霞がかった状態から、ポアロは経験により何かの悪意を感じ、それを調査させていく。
作中、ポアロシリーズ同じみのキャラクターが総出、ジョージ、レモンは両方登場し(珍しい?)情報屋のゴビィなども登場する。主題「第三の女」は、アパートのシェアをするサードガールと文字通り三人目の女性の意味合いもあり面白い。
レスタリック家を巡る騒動になるが、トリックは再読の為、なんとなく記憶にはあったが、改めて楽しめた。設定が現代と似ている環境下でもありイメージを持ちやすく、読みやすい様に感じた。いつの時代も年寄りは若者を受け付けないらしい。また、今や伝説的なビートルズ等も型破りで受け入れられなかった時代のイギリスを読み取る事ができ、面白い。
物語冒頭から何を捜査しているのか。がテーマになる訳だが、読者もポアロと同様にこの小説のパターンを見出すまで時間がかかる。オリヴァのとある発言をきっかけに物語が動き始め、いよいよ大詰めか、というところで衝撃的な事実が判明する。過去にない手法だが、ミステリーとしては丁寧で、きちんと作中にヒントが残されている(最後は流石に驚きだが)父親のレスタリックの半生と娘の悲哀がとてもアクセントになっている。
推理小説としてとても丁寧な構成の作品だが、事件の取っ掛かりがあるまではポアロとオリヴァの冒険譚であり、長く感じてしまうかもしれない。シリーズを読み慣れている人は、ポアロとオリヴァのやり取りを楽しみながら進める事ができるだろう。 -
Posted by ブクログ
アシモフの「ロボット三原則」
それは矛盾と二律背反がもたらす面白さ……。
舞台は高度にロボット文化の発達した惑星ソラリア。そこでは極端に少人数の住民が裕福に暮らしている。
そこで起こった殺人事件を地球人である主人公が捜査することに……
地球とソラリア、相反する二つの世界はその相違がゆえに同一であることが、徐々に印象的となる。
物語自体もさることながら、アシモフ自身による「序文/ロボット小説の舞台裏」が面白い。
ミステリーに強い興味を持っていたこと、当時のSFには半裸の美女を登場させないと売れないと言われていたにも関わらず、アシモフは女性を描くのが苦手と言われていたことなど、執筆時の様子が面白く分かりやすい。
前作『鋼鉄都市』を未読のため、読み始めに地球の状態がイマイチ把握できていなかったことが残念。 -
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いつか読もうと思っていた本。
短編集だった。
読みやすい。
ファウンデーションに出てたダニール・オリバーが出てくるかと思っていたけど、まだそこまで行かないロボットたちの話。
ロボットシリーズたくさんあるみたいだ、これ全部死ぬまでに読めるかな…
アシモフさんの主要なキャラクターは、三人ぽい。
スーザン・キャルヴィン
イライジャ・ベイリ
ダニール・オリヴァー
イライジャ・ベイリとダニール・ベイリって同じだっけ?
robotics、ロボット工学という言葉を作ったのがアシモフさんなのは凄い。普通にいま現実に使われている言葉。
ロボット三原則を物語の主な道具にしてるとは思はなかった。3つのルールからあんなに話を膨らませられるのは感嘆する。作家凄い。 -
Posted by ブクログ
イギリス文学に初挑戦してみた。たったひとつのシーンごとの描写の回りくどさに最初は面食らったが、慣れると小気味良い言葉のリズムに心地良さすら感じるようになった。イギリス人特有の皮肉に満ちたセリフの応酬はみはや一周回って清々しく見えた。登場人物全員に多かれ少なかれどこか「鼻につく」要素があり、そこに作者の登場人物達へののアイロニーと愛を感じた。特にエリザベスは愛さずにいられない人物であり、彼女の快活さ、聡明さ、自負心の強さには憧憬の念を抱かずにはいられなかった。イギリスの片田舎で、2人の中流階級の貴族、鼻持ちならない自尊心の高さを持つダーシーと自負心故の軽率な偏見を持つエリザベスが、互いにぶつかり合い、愛し合うことで互いの欠点を直視し、歩み寄ろうとするストーリー。そこに絡む一癖も二癖もあるようなイギリス貴族達。それら全てを俯瞰し、平易な文体でありながら見事に描写しつくす作者の技量に感嘆するばかりだ。