あらすじ
ひとと上手くつきあえないクリストファーは、近所の犬が殺されているところに出くわす。彼は探偵となり犯人を探そうと決意する。勇気を出して聞きこみをつづけ、得意の物理と数学、たぐいまれな記憶力で事件の核心に迫っていくが……冒険を通じて成長する少年の姿が共感を呼び、全世界で舞台化された感動の物語
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Posted by ブクログ
クリストファーはおそらく、発達障碍があるのでしょう。彼がこの世界と向き合うのは、とても難しい事なのだと思いますが、彼なりの方法で向き合おうとしている様子が読み取れました。
クリストファーの一見変わった行動には意味や理由があることを、読者の方々に理解していただければと思います。そうすれば、クリストファーのような人々にとって、生きやすい環境が広がるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
こういう内容とは思ってなかったのですがとても面白かった。
クリストファーは支援学校に通う少年です。
彼の目から見る世界は本当に大変な世界です。それはクリストファーが何らかの発達障害を持っているからです。
その彼がたくさんの困難を乗り越えてママに会いに行く。
それからきっとその彼の行動で両親は元の鞘に戻るのではないか?と期待してしまいます。
最後の彼の言葉は希望に輝いていました。
Posted by ブクログ
リーダブルの最たるもの。
読者を選ぶかもしれないが理系センス的なものが好きな方には勧めたい。
原著が英語なのにめっちゃリーダブルなので思わず翻訳もかってしまったが、訳も良いのだと思う。
Posted by ブクログ
主人公の思考回路がとても良くわかるし、私は共感できる
主人公は美しく脆い世界の中で、世界に殺されそうになりながら
懸命に愛して生きて美しい世界を探している
Posted by ブクログ
これはすごい。方法(形式)と内容は不可分なのだと教えてくれる。こういう文体、こういう構成でないと、表現できない内容がある、ということの好例。たぶん、翻訳がべらぼーにうまい。
Posted by ブクログ
発達障害の子はどんな気持ちでその行動をしているのか、周りの大人たちはどう接しているのか、気持ちのすれ違いの中に愛があり温かい気持ちになった。お父さんもお母さんも完璧じゃない。彼も不完全。「許す」って言葉じゃなくて身体が受け入れられるようになることなのかなって感じた。人に薦めたい本。
Posted by ブクログ
この小説は、少年の成長物語であり、普遍的な親の子どもへの愛を描いた小説だと思います。
さてこの作品は、作中では明言されていませんが”何らかの発達障害”を持った少年が書いた小説、という体裁の作品です。
とにかく発達障害をもった主人公の一人称の描き方がとても丁寧です。作中では文章だけでなく時には図も織り交ぜて、彼の思考や脳内での情報処理が描かれます。これが面白い。
近所の犬の刺殺事件を調べ始めるクリストファー。その過程で苦手な、人との対話に挑戦し証言を集め、そして理屈だけでは割り切れない、大人たちの世界に足を踏み入れざるを得なくなります。
個人的には中盤の思わぬ展開と、物語の大きな方向転換で、自分の心が作品にグッと捕まれた気がします。もし誰かに「起承転結の転」って具体的にどういうこと?と聞かれたら、この作品の話をします(笑)
今まで父親の庇護の元で育てられたクリストファーの、冒険と成長の物語でもあるのですが、個人的には彼の親の姿が印象的です。
息子に障害があるが上に突き放してしまったり、あるいは過剰に守ろうとしてしまったり。クリストファーも悪くないし、親だって悪いとは言い切れない。
どれだけ子どもを愛していても、完璧な親をずっと演じきれるわけではありません。時には疲れることもあるし、魔が差すことだってあると思います。そんな親の姿が、クリストファーの視点を通して描かれます。
でも”完璧な親じゃない=子どもへの愛がない”というわけでは決して無いんですよね。話を読み進めるにつれて、この物語のテーマは実は、クリストファーの成長以上に、親の子どもに対する愛情ではないかとも思うようになりました。
きっとクリストファーの親は、今後なんだかんだありながらも、それでも息子を愛するのだと思います。そして、それは子どもに障害があろうとなかろうと同じはず。だからこの小説は、一見特殊な形式で変わった家族を描いているように見えるのですが、実は普遍的な家族小説でもあると思うのです。
『アルジャーノンに花束を』『くらやみの速さはどれくらい』の系譜にある作品だと思うのですが、また違った魅力のあるいい小説でした。小尾芙佐さんの訳も、相変わらずよかったなあ。
Posted by ブクログ
ナショナルシアターライブで劇を観て、原作が気になったので読んだ。サヴァンシンドローム?の男の子が主人公で一人称の小説。世界の見方が違ってる感じを地の文で表現していてすごく面白い。読みながら、頑張れ頑張れ!と応援したくなる。舞台版はそれを見事に表現しているのでおススメです。
Posted by ブクログ
発達障害と言われる人達がどのように感じながら生活しているか、というのが、なんとなくこんな感じかな、と思っていたような視点で描かれていて、興味深い。自分が普通にできることが簡単にできない一方、彼らが普通にできることが自分にはできず、能力の向いている方向が違うのがよく分かる。相互理解が進み、みんなに優しい社会になるといい。これを劇化するのはどうやったんだろう?内面描写はモノローグやナレーションか?
Posted by ブクログ
息子に薦められて読んだ。はっきりとは書かれていないものの、おそらく自閉症であるクリストファー。特別支援学校に通う彼は数学と物理が得意で、パニックになりそうになると素数を数えたりする。そんな彼が自分の体験を書いているという設定の本。
彼は勇気を出して自分のコンフォートゾーンから出てゆき、でも怖くなると自分のやり方でちゃんと自分を守る。お父さんお母さんは彼に振り回されて大変だが、それでも彼らなりのやり方でクリストファーをサポートする。クリストファーの未来は明るい…と思える良い終わり方で良かった。
Posted by ブクログ
15歳3ヶ月のクリストファーはある真夜中、向かいの家の庭で犬のウエリントンが農作業用フォークに刺されて死んでいるのを発見。一人で数学の問題を解くのが好きで他人と関わるのは苦手なクリストファーだったが、犬を殺した犯人を突き止めようと聞き込みを開始する。父は調査を打ち切るよう言ってきたが、ルールの穴をついて近所の老婦人と話したクリストファーは病気で死んだ母にまつわる重大な隠し事を知ってしまう。
常に数学的で論理的な視点で世界を見ている少年が〈親〉という理不尽に直面する、一風変わったジュヴナイル・ミステリー。ふだん我々が"あるある"で済ませていることは論理的に考えると何も"あるある"ではないと教えてくれるクリストファーの語りは、終始真面目なのだがユーモラス。それでいて、冒頭から犬の死を悲しんでいたら警察を呼ばれて留置所に入れられるというハードな展開の小説でもある。
「親が嘘をついていたと知ること」は、10代の頃にはとても大きなショックだ。クリストファーのように「嘘をつけない」子なら尚更。父がひた隠しにしてきた秘密を知ってしまう中盤のヒリヒリ感、それまでの世界がひっくり返るような絶望感は普遍的なものだと思う。中盤以降はクリストファーに感情移入して本当にしんどくなってしまって、とにかく彼にひどいことが起きませんようにと祈っていた。あらすじには「冒険を通じて成長する少年の心」とあるが、作中では「きみは今日一日でじゅうぶんな冒険をやったと思うよ」という台詞がクリストファーの実感とあまりに乖離した侮辱的なことばとして発せられている。
でも、クリストファーの両親が特別悪い人間というわけじゃない。クリストファーの一人称で書かれていながら、彼のような子を持つ親たちの生きづらさにもしっかりとスポットをあてているのがこの小説のうまさだ。二人とも一度クリストファーの信頼を裏切れば回復に長い時間がかかることを知っていてなお、もう一度彼と向き合いたいと願い、自分の行いを悔いている。だが、彼らが自分自身の問題と格闘しているときに口をついて出る「おまえのため」「おまえのせい」ということばが、クリストファーを取り巻く社会の姿を図らずも反映してしまってもいる。だからこれはクリストファーの成長譚ではなくて、両親が成長を促される物語だったのだと思う。母の決断と父の謝罪で終わることからして作者の意図もきっとそこにあったはずだ。
クリストファーのような人を都合の良いときは「天才」と呼び、都合の悪いときは「落ちこぼれ」と呼ぶ社会にまだ私たちは生きている。"ふつう"や"平均的"ということばに疑問を抱いたことのない人にとっては、この小説も自閉症の天才を扱った"特殊な"話に過ぎないのかもしれない。けれど、クリストファーにとっての数学と物理学は生きていくために離すまいと必死で掴んでいる命綱のようなものだ。コンピュータがこうした人たちに社会的な居場所を与えた意義の大きさを初めてちゃんと認識できた気がしている。
クリストファーの視点を通じて〈今まで変わろうとしてこなかった世界〉の不親切さを読者に追体験させるという構成はこの小説に込められたメッセージと完全に不可分であり、その伝え方はソフトでスマートだがはっきりと目的意識を持って書かれている。作中ある人物が「おまえは生まれてこのかた、たった一度でも、他人のことをちょっぴりでも考えたことがあるのか」とクリストファーをなじる場面があるが、マジョリティだという自認に甘えて〈他者〉のことを考えてこなかったのは社会のほうなのだ。我々なのだ。
Posted by ブクログ
子供向けの推理小説だろう、と、気軽な気持ちで選んだ本。
ところが、えそっち?となっていき、引き込まれた。
この家族が抱える家庭の問題に、共感するところがあって、自分がこの本を手に取った偶然に驚いた。そして、何度か身につまされて泣いた。
自閉症の子の目線や心の動きのまま(という設定で)書かれているので、読みにくいと感じることもあったけれど、それはそれで味わい深く、分厚い本でしたがあっという間に最後まで読みました。
息子を持つ親御さんにおすすめ。主人公の言動にハラハラしつつ応援しながら、親としての自分のことを振り返りながら、読んで、その状況を(物語なので当然ながら)立体的にかつ俯瞰して眺めることができ、物語の中の家族にも、自分の身にも希望を持てる感じの、暖かい読後感でした。
Posted by ブクログ
発達障害の少年が,夜中にお向かいの愛犬が殺されているのを発見することから生じる様々な騒動を描く.
主人公は,気に入らないこと,想定外のことが発生するとパニックを起こすが,我々と同じ意味での感情は持ち合わせない.その一方,我々とは視点が異なるものの見方をしており,普通の人がスルーするところに固執し,それが物事の進行の障害になることもあり,また,何かのブレイクポイントになることもある.
本書はこの少年が執筆した本という体裁となっており,したがって,上記の様な理由から,いわゆる「感情移入」は難しいのだが,この不思議なストーリーテラーのおかげで物語は紆余曲折しながら進行し,主人公は冒険を成し遂げ,また家族の「ある種の問題」は解決はしないものの,進展が生じる.
不思議な小説だ.単なるアイディア勝負に留まらず,読者を引き込む力がある.
Posted by ブクログ
発達障害の15歳の男の子が主人公。
タイトルや序盤の展開からミステリなのかな?と思ったけど、クリストファーの成長?というか冒険?のような話だった。
発達障害の子の周りからみれば突飛な行動も、こうやってクリストファーの内面を読んでみるとなるほどそういうことなんだなぁと彼らのことが少しだとしてもわかったような気がした。
いろんな人がいるだろうからこういう考えの人ばかりではもちろんないんだろうけど彼らなりのちゃんとしたルールがあるんだろうなあ。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、夜中に犬が殺害された事件を解明していく物語。
犬殺害が一冊の物語として成立するのか、というところだが成立する。なぜねら、この作品は犬殺害事件の犯人が誰なのかというところが重要なのではなく、誰がこの物語を書いたのかが重要だからだ。
この作品はクリストファーという少年が書いている、という設定。このクリストファーはいわゆる発達障害の少年。
そのため、他人の心情を理解したり想像したりすることが困難である。自分の中にある規則を守って生活していたいクリストファーは、周囲の人々と円滑な関係が保てない。
こういうクリストファーがある夜に殺された犬の死体を発見するところから物語ははじまる。
この作品には章題として番号がついているのだが、その番号は“2”からはじまる。
2、3、5、7、11、そう、この章題は『素数』でついている。
こういったところからもクリストファーが一般的な物の捉え方をしないことがわかる。
「アルジャーノンに花束を」のように文章自体にもクリストファーの特徴が表れている。
クリストファーの行動にはクリストファーにとっては正当な理由や動機がある。しかしその理由や動機を知らない人には。なぜ突然クリストファーが叫んだり暴れたり、暴力を振るってくるのかはわからない。クリストファーが、周囲の人々がなぜ自分の嫌がることを突然してくるのかがわからないのと同じだ。
この作品の著者マーク・ハッドンは、こういった障害のあるひとと関わった経験があるため、文章からこの障害を伝え、互いに理解出来ないために起きる苦悩を緩和させる一助となる。ダニエル・キースによって多重人格などで苦しむ患者と理解出来ずに戸惑う周囲との橋渡しがなされていたことと同じように。
モンティ・ホール問題(p108)なども出てくる。
これは知っているかたもいると思うが、確率についての問題で世界中の知識人でさえ間違えた問題をマリリン・フォス・サバントという女性ひとりが正しく答えたというもの。わたしもはじめて知ったときは驚いた記憶がある。
これ以外にも数学の証明問題など、クリストファーが特定の事柄に強いこだわりがあることなどが描かれている。
障害の中でも目に見えてわかり想像もしやすい身体障害に比べ、見てわからないところへ理解しがたく想像しにくい精神面や脳内の障害は偏見も生まれやすい。そういった障害は本人は勿論、家族の辛さは測り知れない。
難解な病名や症状、病態生理のようなことの書かれた専門書からでなく、読みやすくわかりやすい小説という形で知っていくというのは大きな意味がある。
それほど重要ではないがタイトルにもなっている犬殺害事件もきちんと解明されているため、ミステリーとしても問題ない。
クリストファー少年の冒険と活躍を愉しめると共に、最近話題になっている障害への理解にも繋がる一冊。
Posted by ブクログ
クリストファー少年はある夜、道を挟んで斜め向かいの家で飼われている友だち=ウェリントンという名の犬が、横たわっているのを見つける。家を抜け出して、傍まで行ってよく見てみるとウェリントンは大きなフォークのような道具で刺されて死んでいた。
クリストファーは素数が好きだが、黄色と茶色が嫌いで、赤色は好き。決められた時間に決められた行動をするのを好み、人ごみや、人に触られるのは大嫌い。言葉を使わないで喋る、つまり人の表情も理解するのが苦手。でも、数学は大好き。
そんなクリストファーはシボーン先生から「自分が読みたいと思うようなものを書きなさい」と言われたので、自分の好きなシャーロック・ホームズの小説のように、ウェリントンを刺して死なせた人を探すミステリ小説を書くことにした。
それがこの本だ。
人とのコミュニケーションを取るのが困難な発達障害を持ったクリストファー少年が、犬の死をきっかけに、その犯人を探すために周りの人に話を聞いていく、そして少しずつ彼らが嘘をついていたという事実を知っていき、パニックに陥り、そのパニックから逃れるために、大きな冒険(クリストファーにとっては)に出ていく話。それを発達障害を持ったクリストファーが書いた本という形で読んでいくことになる。
最初はクリストファーの奇妙な考え方や行動にちょっとビックリしたり、笑いそうになる。しかし、クリストファーが「冒険」に出発しだす頃からは、なんとか彼がその冒険をやり遂げて欲しいと応援するようになる。
勿論、読者がそんなにヒヤヒヤしながら、頑張れと思いながら、読んでいるということは、他人の感情を読み取ることが難しい彼には伝わらない。きっと、頑張ってと彼の手を握ろうものなら、クリストファーは大声で「さわられたくない」と言って逃げ出すに決まっているのだ。
でも、応援したくなる。そういう本だ。
Posted by ブクログ
こちらでフォローしている方の感想にひかれて読むことに。とても面白かった。わたしが知らないだけで、話題になっていたのだろうか。タイトルから軽いミステリかと思っていたが、こういうお話だったとは。
アスペルガー症候群の少年が書いたものという形をとっている。「普通の人」による妙な意味づけや解釈抜きに、彼の精神世界が開示される点がとてもいいと思った。傍目には奇妙だったり困惑させられたりする行動の一つ一つが、彼にとっては必然性のあることなのだ。読み進むにつれ、それが胸に落ちてくる。さらに、彼を深く混乱させる大量の情報に常にさらされて平気でいるわたしたち自身、ある意味では異常なのではないかという気がだんだんしてきた。
いや、そう言う自分だって、最初から「平気」だったわけではないはずだ。試行錯誤して大なり小なり失敗しつつ、この世界と何とか折り合ってきたわけで、彼の混乱や苦しみはまったくの他人事とは思えない。障碍者を無垢なものとして描くという類型に陥ることなく、そうした共感を呼び覚ますところがとても優れていると思う。
だから、「アルジャーノンをしのぐ感動作」とか「少年の成長を描く」とかいう惹句は、ちょっと違うんじゃないかなあ。
Posted by ブクログ
表紙とタイトルだけで衝動買い。
ミステリと数学の要素を取り入れた、少年の冒険小説。
主人公の少年の心理描写が絶妙。共感せずにはいられない。
ごく普通の都市での冒険が非常にスリリング。
これは買って良かった!
Posted by ブクログ
海外ドラマ「グリー」にハマって以来、行く予定もまーったくないのにブロードウェイで今なにやってるか見てたり、トニー賞とか気にしてたりして、昨年そのトニー賞をとったってことでこの作品も気になっていて。(たしか、わがアイドル、ダレン・クリスも見にいっててブロードウェイ版で主演だったアレックス・シャープと仲よさげにしてたんじゃなかったっけ。どうでもいいが!)
で、予想以上にすごくおもしろかった!
発達障害のある少年が、隣家の犬が殺される事件に巻き込まれたり、ひとりでロンドンまで電車に乗っていったり、っていう、ミステリで、冒険モノで、成長物語で。わたしは途中で意外な展開に、下手なミステリなんかよりずっと驚いた。文章にユーモアがあって、少年の普段の生活ぶりなんかも楽しいし、はさまれる科学や数学の高度な話もわからないながらなんだか素敵だなーと思ったり。
あと、少年が通ってる特別学級の先生がいい先生だってことがよくわかって、こんな先生に指導されていてよかった、とか。
ラストで、もっと奇跡みたいな感動的なことが起きるのかな、と予想したけど、それほどでもなくて、なんだかひょうひょうとした感じで終わったのもすごくよかった。
これ、舞台化されるといったいどんな感じなんだろうー。見てみたかった。ブロードウェイで主演だったアレックス・シャープは写真でみただけだけど、クリストファーっぽかったな、と。
Posted by ブクログ
# 夜中に犬に起こった奇妙な出来事
犬を殺した犯人を少年が探すミステリーと思って読んだが、犬の事件は単なるきっかけで、実は発達障害の少年ががんばる冒険譚だった。
少年が駅や人混みで困ってしまう場面はなかなか現実味がある。少年の父と母は褒められたものではないが、実際に発達障害の子どもを持ってみればいっぱいいっぱいになるだろうということも納得できる。とはいえ、犬を園芸用フォークで刺し殺すという行為は、どう考えても受け入れられないが。
一番の理解者である、支援学校の先生の存在が大きいと思う。
ジュヴナイル的な趣のある読みやすい本です。
Posted by ブクログ
少し読むのが難しかったけど、内容は面白かった。
イメージとしては、大人用の絵本のような感じで、
自分にない独特の視点をもっている主人公の考えが新しくて良かった。
作者の他の作品も読んでみたくなった!
Posted by ブクログ
難しい。
それが読み終えた後第一の感想だった。
発達障害を持つクリストファーの日常を切り取った物語が、彼の目線で綴られている。
クリストファーは、淡々と生きている。周りから見れば「生きづらい」ように見えるのかもしれない。けれど、クリストファーは、嫌なこと、できないこと、を素直に表現しながら生きているだけだ。視点を変えれば、そうできるのがクリストファーだということ。やり方の是非はともかくとして。
クリストファーは目の前に起こる出来事を事実として捉える。捉え続けていた結果として、とんでもない事実に出くわしてしまう。それは結果として、自分が嫌なこと苦手なことと、やりたいことを天秤にかけなくてはならなくなる。どちらを取るか、どちらの方がより嫌なのか、を考えていくことになる。
これを読んで、生きていくことについて、ものすごく考えさせられた。
大きな社会を目の前にして、自分はどう生きるのか。そのヒントをくれたようにも思う。
私にはクリストファーを完全に理解できたとは思えないから、共感は出来なかった。けれど、その生き方には何かを得られたように感じる。
「意味など考えずに」
ふと、そんなことが頭に浮かんだ。
Posted by ブクログ
英国の作家による小説だが、原書でベストセラーになったらしい。あるちょっと変わった少年が、近所で起こった事件に疑問を持ち、真相を解明しようとする。
以下、ネタバレ注意。
この少年は自閉症で養護学校に通うが、数学だけは飛びぬけてできる。ただ、コミュニケーションはできない。そんな彼が近所の事件の真相解明をしようと調べているうちに、彼にとって衝撃の事実が次々と明るみになる。そして、彼は大人の事情に巻き込まれていたこともわかってくる。
アスペルガー症候群の人たちの家族が、アスペルガーの人はどう考えているのか知るために読んだという。少年の視点で書かれているので、繊細な部分がとてもよくわかる。彼なりの正義感とチャレンジで、困難を乗り越えていく姿を応援したくなる。
以前読んだ、自閉症の人が書いた本「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」を思い出した。