【感想・ネタバレ】夜中に犬に起こった奇妙な事件のレビュー

あらすじ

ひとと上手くつきあえないクリストファーは、近所の犬が殺されているところに出くわす。彼は探偵となり犯人を探そうと決意する。勇気を出して聞きこみをつづけ、得意の物理と数学、たぐいまれな記憶力で事件の核心に迫っていくが……冒険を通じて成長する少年の姿が共感を呼び、全世界で舞台化された感動の物語

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

リーダブルの最たるもの。
読者を選ぶかもしれないが理系センス的なものが好きな方には勧めたい。
原著が英語なのにめっちゃリーダブルなので思わず翻訳もかってしまったが、訳も良いのだと思う。

0
2021年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

発達障害の子はどんな気持ちでその行動をしているのか、周りの大人たちはどう接しているのか、気持ちのすれ違いの中に愛があり温かい気持ちになった。お父さんもお母さんも完璧じゃない。彼も不完全。「許す」って言葉じゃなくて身体が受け入れられるようになることなのかなって感じた。人に薦めたい本。

0
2020年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

15歳3ヶ月のクリストファーはある真夜中、向かいの家の庭で犬のウエリントンが農作業用フォークに刺されて死んでいるのを発見。一人で数学の問題を解くのが好きで他人と関わるのは苦手なクリストファーだったが、犬を殺した犯人を突き止めようと聞き込みを開始する。父は調査を打ち切るよう言ってきたが、ルールの穴をついて近所の老婦人と話したクリストファーは病気で死んだ母にまつわる重大な隠し事を知ってしまう。


常に数学的で論理的な視点で世界を見ている少年が〈親〉という理不尽に直面する、一風変わったジュヴナイル・ミステリー。ふだん我々が"あるある"で済ませていることは論理的に考えると何も"あるある"ではないと教えてくれるクリストファーの語りは、終始真面目なのだがユーモラス。それでいて、冒頭から犬の死を悲しんでいたら警察を呼ばれて留置所に入れられるというハードな展開の小説でもある。
「親が嘘をついていたと知ること」は、10代の頃にはとても大きなショックだ。クリストファーのように「嘘をつけない」子なら尚更。父がひた隠しにしてきた秘密を知ってしまう中盤のヒリヒリ感、それまでの世界がひっくり返るような絶望感は普遍的なものだと思う。中盤以降はクリストファーに感情移入して本当にしんどくなってしまって、とにかく彼にひどいことが起きませんようにと祈っていた。あらすじには「冒険を通じて成長する少年の心」とあるが、作中では「きみは今日一日でじゅうぶんな冒険をやったと思うよ」という台詞がクリストファーの実感とあまりに乖離した侮辱的なことばとして発せられている。
でも、クリストファーの両親が特別悪い人間というわけじゃない。クリストファーの一人称で書かれていながら、彼のような子を持つ親たちの生きづらさにもしっかりとスポットをあてているのがこの小説のうまさだ。二人とも一度クリストファーの信頼を裏切れば回復に長い時間がかかることを知っていてなお、もう一度彼と向き合いたいと願い、自分の行いを悔いている。だが、彼らが自分自身の問題と格闘しているときに口をついて出る「おまえのため」「おまえのせい」ということばが、クリストファーを取り巻く社会の姿を図らずも反映してしまってもいる。だからこれはクリストファーの成長譚ではなくて、両親が成長を促される物語だったのだと思う。母の決断と父の謝罪で終わることからして作者の意図もきっとそこにあったはずだ。
クリストファーのような人を都合の良いときは「天才」と呼び、都合の悪いときは「落ちこぼれ」と呼ぶ社会にまだ私たちは生きている。"ふつう"や"平均的"ということばに疑問を抱いたことのない人にとっては、この小説も自閉症の天才を扱った"特殊な"話に過ぎないのかもしれない。けれど、クリストファーにとっての数学と物理学は生きていくために離すまいと必死で掴んでいる命綱のようなものだ。コンピュータがこうした人たちに社会的な居場所を与えた意義の大きさを初めてちゃんと認識できた気がしている。
クリストファーの視点を通じて〈今まで変わろうとしてこなかった世界〉の不親切さを読者に追体験させるという構成はこの小説に込められたメッセージと完全に不可分であり、その伝え方はソフトでスマートだがはっきりと目的意識を持って書かれている。作中ある人物が「おまえは生まれてこのかた、たった一度でも、他人のことをちょっぴりでも考えたことがあるのか」とクリストファーをなじる場面があるが、マジョリティだという自認に甘えて〈他者〉のことを考えてこなかったのは社会のほうなのだ。我々なのだ。

0
2021年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

発達障害の少年が,夜中にお向かいの愛犬が殺されているのを発見することから生じる様々な騒動を描く.
主人公は,気に入らないこと,想定外のことが発生するとパニックを起こすが,我々と同じ意味での感情は持ち合わせない.その一方,我々とは視点が異なるものの見方をしており,普通の人がスルーするところに固執し,それが物事の進行の障害になることもあり,また,何かのブレイクポイントになることもある.
本書はこの少年が執筆した本という体裁となっており,したがって,上記の様な理由から,いわゆる「感情移入」は難しいのだが,この不思議なストーリーテラーのおかげで物語は紆余曲折しながら進行し,主人公は冒険を成し遂げ,また家族の「ある種の問題」は解決はしないものの,進展が生じる.
不思議な小説だ.単なるアイディア勝負に留まらず,読者を引き込む力がある.

0
2019年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英国の作家による小説だが、原書でベストセラーになったらしい。あるちょっと変わった少年が、近所で起こった事件に疑問を持ち、真相を解明しようとする。
以下、ネタバレ注意。
この少年は自閉症で養護学校に通うが、数学だけは飛びぬけてできる。ただ、コミュニケーションはできない。そんな彼が近所の事件の真相解明をしようと調べているうちに、彼にとって衝撃の事実が次々と明るみになる。そして、彼は大人の事情に巻き込まれていたこともわかってくる。
アスペルガー症候群の人たちの家族が、アスペルガーの人はどう考えているのか知るために読んだという。少年の視点で書かれているので、繊細な部分がとてもよくわかる。彼なりの正義感とチャレンジで、困難を乗り越えていく姿を応援したくなる。
以前読んだ、自閉症の人が書いた本「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」を思い出した。

0
2020年07月13日

「小説」ランキング