小尾芙佐のレビュー一覧

  • 逆まわりの世界〔改訳版〕

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    死者の生き返り。そして退化、成長を遡っていく。
    何故こんなことが起こったのか?原因は明らかにされていない。この小説のメインファクターが大きく活かされているのはピーク教祖だけ。それ以外は逆回りをほとんど意識させない。

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    2021年12月26日
  • 幸福な王子/柘榴の家

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    オスカー・ワイルドの短編集、道徳的な訓話で終わらずに一捻りあるのがワイルドならではといったところか。完全な純真であったり、わがままであったりした人物が最後に報われたり、罰せられたりするわけでもなく、無意味に近い形で終わることもある。星の子のように最後は報われる話はあるものの、それでもやはり無意味に終わりそうなところもあり、必ずしも道徳的な話にはなっていない。
    とはいえ、ドリアングレイの肖像なんかに比べるとやや魅力は落ちるかなとは思う。

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    2021年10月30日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    少し読むのが難しかったけど、内容は面白かった。
    イメージとしては、大人用の絵本のような感じで、
    自分にない独特の視点をもっている主人公の考えが新しくて良かった。
    作者の他の作品も読んでみたくなった!

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    2021年10月02日
  • 闇の左手

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    造語の雪崩に頭がかき乱されること間違いなしのファンタジー小説。一気に読むか、毎回新語が出るたびにメモを取らないとわけわからなくこと請け合い。
    男女の区別がない星に大使として主人公が乗り込む話。今だと割とありがちな設定かもしれない(主にBLとかで)。
    ちょくちょくヒッピー文化っぽい描写があるのは書かれた年代のせいだろうか。現実の社会的な背景を意識しながら読むと面白いと思う。エンタメ的にはあんまり・・・。

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    2021年09月02日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    難しい。
    それが読み終えた後第一の感想だった。

    発達障害を持つクリストファーの日常を切り取った物語が、彼の目線で綴られている。

    クリストファーは、淡々と生きている。周りから見れば「生きづらい」ように見えるのかもしれない。けれど、クリストファーは、嫌なこと、できないこと、を素直に表現しながら生きているだけだ。視点を変えれば、そうできるのがクリストファーだということ。やり方の是非はともかくとして。

    クリストファーは目の前に起こる出来事を事実として捉える。捉え続けていた結果として、とんでもない事実に出くわしてしまう。それは結果として、自分が嫌なこと苦手なことと、やりたいことを天秤にかけなくては

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    2021年08月14日
  • サイラス・マーナー

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    ネタバレ

    時代における女性云々の解説には興味がないが、キリスト教云々には感じることがある。
    サイラスが無実の罪を着せられて故郷を去り、後年そこを訪問して事実を知ろうとしたとき、そこはすでになくなっていた。神の下した罰で燃え尽きたソドムの町ように。ダンスタンにも同様である。
    パリサイ人のごとき信仰の礼拝堂は跡形もなく、苦しみの後に下された愛と思いやりという最上の恵みはキリストへの信仰を象徴するかのようだ。
    しかしながら、読書とは登場人物の悲しみや苦しみにこそ深い共感と追究心がわくもので、幸せになった彼らにはよかったね、という軽い感情程度しかわかぬものなのだな。
    喜びにこそ感動が大きくあってほしいのに、情け

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    2021年07月10日
  • 第三の女

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    ネタバレ

    私が犯したらしい殺人について。

    若い娘が訪ねてきて、自分が犯したらしい殺人についてポアロに語る。それ以上の情報を得られなかったポアロだが、捜査を進めていく。彼が行き着いた真相は。

    ノーマは正常なのか? 本当に殺人を犯したのか? 探偵作家のオリヴァ夫人とポアロの2人の語りで進められていく物語。容疑をかけるにふさわしい人物は何人も出てくる。老いたポアロの目を通して語られる「最近の若い者は」論も面白い。クリスティーお得意の入れ替わりも健在。入れ替わった人物やノーマが犯人ではないことはなんとなく勘で当てられるが、細かい推理はできず。

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    2021年06月06日
  • われはロボット〔決定版〕

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    初期のロボットは、しばしば〈三原則〉の矛盾により緊急事態を引き起こした/衛星軌道発電所のロボットは地球霊が本尊でニンゲンは電子ビームを司る祭司であるとの宗教を始めたが/U.S.ロボット社はポジトロンロボットを独占していたが、やがてヒューマノイド・ロボットは時代遅れとなった/ニンゲン(民主主義)の経済的利益優先の政治の危険に気づき、ついには人類の運命を握った
    (別の作品系列である未来史銀河帝国シリーズでは)他の恒星系に去った人類はロボットを置き去りにした/ダニールは精神感応能力をもち銀河帝国の立役者であったが、陽電子頭脳の寿命の限界、10万年に近づいて…

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    2021年04月01日
  • はだかの太陽〔新訳版〕

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    人と人とが一生のうちほぼ触れあうことなく、映像で対面することが基本となっているソラリアという星でおきた殺人事件に挑む。

    このコロナ禍のなかで読むと、だいぶ地球もソラリアに一気に近くなってきたなというところがまず興味深かった。
    やはりロボットやいろんな技術が発展すれば、人間の出番はこうやって減っていくんだろうな…。

    ミステリとしてはそんなに意外性もなく、期待していたダニールの出番もあまりなかったのでちょっと残念。
    ソラリアという星はこういう人間が住んでいて、こういう習慣ですよ、という部分が大半を占めていた気がする。
    私はそもそもSFがあまり得意なほうではないので少し退屈に感じた。

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    2021年03月27日
  • 逆まわりの世界〔改訳版〕

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    時間逆流現象で人々が若返っていく世界。スーパーファミコンのEMITを思い出した。赤川次郎シナリオ原案のあのゲームをプレイしたときに「そもそも設定に無理があるなぁ」と感じた感覚が、本書を読んでそのままよみがえってきた。体は逆転していっても、ビデオテープを逆再生するような感じでもなく、生活のすべてが逆まわしになっているわけではない様子。この小説が面白くなってくるのは、世界に大きな影響力をもつ教祖が蘇り、彼をめぐって3つの勢力が、スパイ小説よろしく騙し合いのアクション映画的展開を繰り広げるあたりから。男と女の話になったり、神学的要素が見え隠れしたり。秩序とエントロピーについてのテーマ性については、物

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    2021年03月22日
  • IT(1)

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    映画が好きだったので原作も読むことに。
    映画と大筋同じかんじだけど、キャラの設定が微妙に違っていた。
    四巻あるので、原作より細かく書き込まれていて各キャラのことが深く知れるけど、そのぶんそこのとこには興味がなくて単純なホラーを求めている人にはかなりきついかもしれない。
    一巻は各主要キャラ一人一人に焦点を当てていく話で、壮大なプロローグといった感じ。
    それと、昔の作品だから仕方ないのかもしれないけど同性愛差別とかホ●とかいう言い方が読んでてちょっと引っ掛かる。

    今後どうなるか楽しみだけど、先は長いのでゆっくり読もうかな。

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    2021年01月08日
  • われはロボット〔決定版〕

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    ロボット三原則と、それにまつわるあれこれ。法律の解釈のような、三原則の解釈を巡って対立、発生する問題について。面白かった。特に「うそつき」「証拠」の二篇が好きだったなあ

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    2020年12月23日
  • 第三の女

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    久々の再読だが冒頭のシーン以外は覚えていなかった。
    「人を殺したかもしれない」とポアロに相談しに来た娘は何も言わずに帰ってしまった。彼女の素性や周辺の事情を調べるポアロだか、殺人の気配は見当たらない‥
    なんとも曖昧な謎から始まる話だが、オリヴァ夫人の活躍もあって楽しく読めた。
    しかしメインのネタはかなりアクロバティックな気がする。

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    2020年07月21日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    ネタバレ

    英国の作家による小説だが、原書でベストセラーになったらしい。あるちょっと変わった少年が、近所で起こった事件に疑問を持ち、真相を解明しようとする。
    以下、ネタバレ注意。
    この少年は自閉症で養護学校に通うが、数学だけは飛びぬけてできる。ただ、コミュニケーションはできない。そんな彼が近所の事件の真相解明をしようと調べているうちに、彼にとって衝撃の事実が次々と明るみになる。そして、彼は大人の事情に巻き込まれていたこともわかってくる。
    アスペルガー症候群の人たちの家族が、アスペルガーの人はどう考えているのか知るために読んだという。少年の視点で書かれているので、繊細な部分がとてもよくわかる。彼なりの正義感

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    2020年07月13日
  • 内海の漁師

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    SF。短編集。
    最後の3編は同じ世界観の連作短編風。
    『闇の左手』でも感じたが、独自の世界観が特徴的。
    共通する"チャーテン理論"は難しくてよく分からないが、人間ドラマがよく描かれていて、ストーリーが面白い。
    表題作が一番好き。

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    2023年04月21日
  • 幸福な王子/柘榴の家

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    大人向け童話、なのかな。
    ちょっと切ない片思いみたいな。
    ツバメの話も、鳥と薔薇の話も、、
    むかーし、読んだことはあるけど大人になって読み返すと切なさ倍増。酷いなと。でも本当の愛、ととらえてもいいのかも。

    全部読み切れなく、返却2019/8月

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    2019年08月21日
  • 高慢と偏見(下)

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    1度読んでいたはずなのに細かい部分をかなり忘れていた。
    ダーシーがピングリーとジェインを引き離そうとしたのが母や妹達の品のなさにあったとか、リディアとウィッカムの駆け落ちを収束したのが他ならぬダーシーだったとか、レディー・キャサリンが訪ねて来たことなど、いずれも物語の重要なポイントだった。
    古い話なので、まどろっこしい所はあったものの人物描写が生き生きと描かれ楽しめた。

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    2019年08月03日
  • 第三の女

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    「人を殺したかもしれない」との相談で訪れた依頼人がポアロを見て、「年を取りすぎているから」という理由で依頼をキャンセルされるという印象的な場面から始まる本作。軽い失意と気懸りから、依頼者の身許を調べ、自ら事件に関わろうとするポアロ。おなじみのオリヴァ夫人も登場し、ちょっとした冒険を企て、災難に遭ったり、オリヴァ夫人の証言で事件が大きく展開していく。物語がかなり進んでも死体がなかなか出てこず、ポアロが「死体探し」に頭を悩ますところも異色。
    真相は相当意外なものであり、真相を知ると伏線があちこちに散りばめられていることが解り、その伏線が真相に活かされているところは流石。しかし、この真相は相当無理が

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    2019年06月28日
  • 第三の女

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    まずは起こったはずの殺人を探すという展開が目新しい。伏線はいろいろ張ってくれているので、謎解きの予想はある程度つくけど、やはり見せ方がうまいので、かなり楽しめた。

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    2019年01月05日
  • 夜中に犬に起こった奇妙な事件

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    発達障害の少年・クリストファーが近所の犬を殺した犯人を探していく推理小説。と思って本書を手に取ると肩透かしを食うかもしれない。

    黄色が嫌いで犬が大好きで数学が大の得意なクリストファーの純粋さと成長は読んでいて心が洗われる感じがするけれど、本書は決してミステリー小説ではないので要注意。自分はまんまと引っ掛かってしまった。

    「アルジャーノンに花束を」が好きな人にはオススメ。

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    2019年01月04日