【感想・ネタバレ】ジェイン・エア(下)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

19世紀英国。女性としては際立つ矜持や自立心の故に困難の絶えないジェインは、身分を超えた愛情を育むが……。

多くの困難を越え、ようやくソーンフィールド邸という、穏やかな環境に身を置くことができたジェイン。ロチェスターの求婚までに至るまわりくどさと、グレイス・プールをめぐる秘密に翻弄される流れは、めんどくさい男だなと思いつつも、文章や演出の上手さと彼の人柄がよくわかる筋の運び方という点で納得しながら読んだ。

結婚が決まったときのミセス・フェアファックスのいっけん冷たい態度も、最初はジェインと同じく戸惑ったが後から考えると納得。

逃げ出したあとの放浪してどの家からも受け入れられないときのジェインの、誇り高さと自己肯定感の低さが同居しているような感情には、どこか共感するものがあって胸が痛かった。

セント=ジョンの厳しすぎる使命感には辟易。若さゆえの融通のきかなさがよく表現されている人物だと思う。しかし、ジェインが真実の愛に気づくために必要な経験をもたらしてくれた。

突然親族の財産が転がり込むお約束的なものや、精神が感応して聞こえないはずの呼び合う声が聞こえてしまうというエピソードは、現代の我々にはベタではあるが自分は好きだ。

魂では深く結びついている二人なのに、あのタイミングでうまく結ばれなかったのは、お互いに試練を越えて磨かれなければならない部分があったからだと、構成の巧みさに舌を巻いた。ロチェスターは高価な宝飾や服など価値がないと悟り、粗雑で高圧的だったところもすっかり角が取れている。ジェインもまた、多くの苦難とセント=ジョンとの件を越えたからこそ、彼のすべてを受け入れることができたのだと思う。

「どうなっちゃうのこれ!?」とヤキモキする展開がずっと止まらない本作。最後には、失って得るもの――二人の魂の成長を読者も実感できるような、見事な着地に拍手喝采。自立した女性の話というだけでなく、素晴らしいラブストーリーだからこそ長く愛されるのだろう。小説本編以上に興味深いブロンテ姉妹の経歴にも注目したい。

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2022年11月14日

Posted by ブクログ

今まで見てきた映画やドラマの一部の展開で
少なからずジェイン・エアの真似と思えるものが多々あった
影響を受けたというかアイディアそのものが。
エドワードが占い師として登場するなど
突飛でオリジナリティがあるからこそ予想できない場面や展開があって
作者の豊かな想像力と創造力の両方を感じられた
あとエドワードかわいい。
セント=ジョンとの対比で余計かわいい。
彼は彼で禁欲的で信仰心篤いってレベルを超えてて、抑圧的で支配的で魅力的。ジェインがドMだったらついてっちゃってたんじゃないかな。
まあとにかくエドワードがかわいい。

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2022年08月02日

Posted by ブクログ

はらはらしながらページを捲った本であった。
学生時代に読んでおけば良かったと思う良本。
『嵐が丘』よりもこちらの本の方がすき。
『赤毛のアン』と比較研究されてもいるようで、アンファンとしても興味深い。
大円団の結末で本当にほっとした。
セントジョンと結婚してしまったら、暗い気持ちのまま本を閉じていたであろう。
セントジョンは本文中でジェインが述べていたとおり、ジェインを道具だと思っている。
よくもまあジェインの気持ちを聞かず、あなたは私と結婚すべきなのですと言ったことを言えるものである。最近恋愛結婚した自分としては、読み流せなかった。それとも当時のイギリスでは男性の言ったことは絶対だったのだろうか?(本文を読んでいるとそうとは思えないが)
やはり男性女性ともに、双方の気持ちが一致して結婚するべきだと、現代に生きる私は思うのである。

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2016年01月05日

Posted by ブクログ

よかった‼︎
2011年『ジェーン・エア』が俳優、ストーリー共にとても良かったので、その流れで原作を読む。

映画はうまく要所をまとめていたと思う。いくらか省かれていることや、より登場人物の思いや考えを知るには原作を読む方が良い。

ジェインのような幼少期の境遇で、誰かを愛して愛されることはどれほど幸せなことか。

ジェインは美人ではない。でも、信念があり、自分はどうすべきかという決定を人に左右されずに決められる。
でも、ちゃんと女性らしさもある。人に何かをしてもらうだけのバカ女じゃない。
こういう人間像に惹かれるからこの作品も好きなんだと思う。
(私はボヴァリー夫人みたいなのは苦手)

訳者も訳していてこみ上げてくるものがあったと書かれていたが、私も何度かぐわーっと感動で涙が出た。

2011年の映画では原作の途中までの話でぶつっと終わる。この終わり方はまだこれからも人生は続くという意味だろう。確かに人生はそこが着地点ではないのだ。
原作ではその後も多少書かれている。

次は作者の妹エミリーの『嵐が丘』読んでみよう。

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2015年11月14日

Posted by ブクログ

途中までは一応予想通りの展開。結末はもう一捻りくるかと思ったけれど、これはこれで十分に楽しめました。さすがは古典的名作。

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2015年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

忌避していたのがすごくもったいなかったです。
それぐらいに、読んでよかったな、
と思える作品でした。

この時代に、こんなに芯の強い女性は
そうそうはいなかったと思います。
たとい、どんな誘惑があったとしても、
一途に想った人を貫き通しました。

普通だったら、愛する人に
とんでもない事実が出てきた
下手をすれば死にたくなることでしょう。
でも彼女は、決して逃げませんでした。

偽りの愛は自らを磨耗させます。
だけれども、本当の愛は
人生を充足させます。

たとえ、その人が傷を持ち
かつて過ちを犯したとしても…

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2014年08月04日

Posted by ブクログ

最初は筋書きを楽しむだけのつもりでした。魅力的な物語だけど敢えて一歩引いて読もう。そう考えていたのですが、無理でした。読み進めるほど、ジェイン・エアという女性はそうする事を許してくれない存在となっていくのです。上巻で示された「人間は行動すべきものだ。その目標が見つからなければ自ら作り出せばよい」この力強さは憧れますし、信条と心情の間で揺れ動く姿には私自身の葛藤を重ね合わせてしまい、そうなった瞬間、すっかりジェインに魅了されてしまいました。多感な年頃に読んでいたら、きっと彼女の生き方を追っていたでしょうね。

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2013年03月09日

Posted by ブクログ

非常におもしろかったです。人生を一回生きたような気がします。
下巻も、上巻に劣らず様々なことが起こります…!

この著者の何がすごいって、やっぱり表現力の豊かさですね。
「生命のない物体は変わらなかったが、生きているものは昔の面影もないほどに変わっていた。」キラリと光った素敵な表現です。
英語でも読んでいます。

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2009年11月08日

Posted by ブクログ

面白かった!
最後まで読んでみて、「ああ、訳が秀逸だったのだなあ」と気付いた。
かの有名な一節、「読者よ、わたしは彼と結婚したのだ!」が、かくも丁寧に控えめに語られていようとは。
ジェインの口調は終始敬語が貫かれているし、それは彼女が持つ荒々しい人格を隠し礼節を弁えているという美徳を際立たせている。
正直に言おう。下巻を読んでいる時点ではもう、ジェイン・エアを嫌う気持ちはなかった。というか、好きだった。
原文で読んでも同じ感想を持ったかはわからない。このひとの訳したジェイン・エアが好きだ、ということだ。

展開も波乱に見舞われ、狂った妻の登場、ロチェスター邸からの逃亡、そして新しい人々との出会いと暮らしと、ページをめくる手が止まらない。
一番驚いたのは、やはりセント=ジョンだよね。彼は「いいお兄様」ではあっても、「いい恋人」にも「いい夫」にもなれない。絶対なれない。
自分に関わってこなければ害もなく、見栄えのいい置物のような感じなのだけれど、災難だったなあ、ジェイン。
それにしても変な男にばかり好かれるものだよね。
ここまで色んな人に「不器量」と噂されるというのも不自然だよね?ダイアナは彼女のことを「きれいすぎる」と評したし、ジェインが自分の顔にコンプレックスがあるがゆえの思い込みと考えてもよさそう。

とにかく続きが気になるし、ハラハラするし、予想外の展開もがんがん待ってるし、多少ご都合主義的なところもあるけれど、面白いです。
名作だしとか古典だしとかでちょっとでも気になる人は是非この光文社のこの人の訳でどうぞ。
わが大学の教授による、解説になってない解説もついてるしね。笑

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ロチェスターと再会してからの展開が早すぎ&こじつけすぎかな・・・と思った。ロチェスターの視力が回復するし、ハッピーエンドすぎる。それでも読む手が止まらなかったのは、面白かったからなんだろうな。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

教師が生徒をイジメた結果、自殺した事件があった。ジェインも石版を落としただけなのに先生が、なんと仲間はずれにするよう指導するのだ。もし、自殺した子供が、これを読んでいて、「自分の状況は特別ではない」と知っていたなら、抵抗する言葉が見つかったのではないか。

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2010年04月03日

Posted by ブクログ

ロチェスター氏との恋の鞘当てはよく覚えていたけど、破談になった後のジェインの行動は、すっかり忘れていた。
読み返してみると、そこもなかなかドラマチックで面白い。特にもう一人の男性の存在が、幸せとは何か?という問題を提示している。

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2018年05月21日

Posted by ブクログ

ジェインに所々いらつくのは、時代による考え方の違いのせいなんだろうなあ。難しそうって敬遠してたけど、おもしろかった。

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2012年10月31日

Posted by ブクログ

なかなか波乱万丈な人生を歩む主人公だった。一応ハッピーエンドといえばそうだが、まさかこんな結末になるとは思わなかった。どんでん返しが多い

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2012年03月05日

Posted by ブクログ

2009.03
表現が詩的。登場人物の台詞がきらきらしていて長いので、ちょっとあきるかも(同じ長いのでも、赤毛のアンは全然気にならないというかむしろ好きだけど)
「嵐が丘」に方がぐいぐい読めるけど、こちらの方が後味が良くてほっとする。若干、都合よすぎ?な点もあるけど。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

うーん。。。
なんか納得いかないっす。
あまりにもご都合主義的に読めてしまう。

現実ならまだしも、小説でこういう偶然が起きてしまうとかなりひきますよ。

放浪した末に助けてくれた人が親戚だったって?
狂人の妻が放火した挙句、身を投げて死んでしまったって?奥さん死んだらいいんだ。放火したの本当に奥さんなのかいな。セント=ジョンはどうすんのよ。

どうせならインド行けよジェイン!
行って殉職する瞬間にロチェスターに会うとかのほうが面白いよ。

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2009年10月04日

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