小尾芙佐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書備忘録985号。
★★★★★。
敬意を表して★5つ。
作者の偉大さはヒマ師匠さまがレビューに記されているので割愛です。すなわち偉大ということです。
ただ、決して読みやすい小説ではない。なぜか?作者の作品群における共通的異世界の固有名詞がとっつきにく過ぎる!
じゃあなぜ読まねばならなかったか?
「新章 神様のカルテ」で一止が所属する研究室の後輩双葉さんが読んでいた作品だったので読まない選択は無かったということです!
さてこの作品。1960年代後半に出版されたSF小説です(古っ!)。そしてこれはSFなのか?内容が非常に文学的なんですよ。
軸は人間ドラマなんです。生物が生きられない究極の世界で育まれる信頼と友情。そして禁断の愛情。そう!やはり文学です!
じゃあ何がSFか?
世界観です。繰り返しますが作者はこの世界観で何作も小説を書いている。
はるかな過去、超高度な文明を持つ惑星ハインの人々(人類という種の祖)が数多くの居住可能な惑星に人間型生命の種をまいたことに始まる世界観。
そこから、幾多の文明の衰亡、戦争、分裂を経て、エクーメンという星間連合体が組織されている。
本作の舞台となる極寒の惑星ゲセンは星間連合体に属さない最後の星系。そして古の昔、ハイン人による遺伝子実験の結果、住人は両性具有!
そして、この星の人々には生理サイクルがあり、ケメルと呼ばれる短期の発情期が唯一雌雄に分かれるタイミング。一方は出っ張り、一方は窪み・・・。
人々は何度かのケメルで複数の子を産むが、父であったり母であったりするというもの。
物語はエクーメンから、ゲセンを星間連合体に加盟させるために使節として派遣されたゲンリー・アイとゲセン国家の首相たるハルス・エストラーベンとの物語。
ゲセンには大きく2大国家があり、アイはどちらの国家においても政略・策略に利用され収監され、使命を果たすどころか命の危機に晒され続ける。そんなアイを唯一信じ、エクーメンへの加盟がゲセンが発展するために必須だと信じ続けたエストラーベン。
囚われの身であったアイをエストラーベンは脱獄させ、極寒の氷原・凍土を僅かな食料のみで100日に渡る脱出行を決行!旅の中で微妙に変化していく二人の関係が、本作の最大の読みどころ。物語の後半1/3からの圧倒的なクライマックスで★5つです。
そうそう。何かしら意味があると思われるタイトルの「闇の左手」。決して怪しいものではございませぬ。
光は暗闇の左手・・・。暗闇は光の右手・・・。
作者の根底には二元論があるようです。光と闇、太陽と影、男と女、生と死、恐怖と勇気、背徳と忠誠、左手と右手・・・。対立するんだけどバランスの取れたふたつのもののイマージュ。
これは主人公2人の友情と信頼。2人は左手でもあり右手でもある。光であって闇でもあると解釈した。ふむふむ。
さて。あともう一作双葉さんが読んでいたSF、スタニスワフ・レムの「完全な真空」を読まねばなるまい。これはハードルが高そうだ。だからそのうち。
ソラリスの作者ですよ。あのオールタイムベストSFのソラリスですよ、みなさま。 -
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荒れ地でのダム作り、3人で映画を観た後でイジメっ子と対峙する場面が大好きでした。
この愛おしい時間がずっと続けばいいのに…
でも、我らがキング先生は容赦なく登場人物を痛めつけるんですよね。
大人も子どもも関係なく、最も効果的な方法で心身ともにズタズタに痛めつける。
キング先生、流石です。
1巻で『チョケてばっかでこの子嫌いやわぁ』と思っていたリッチィが友だち想いのエエやつになるのも2巻からです。
私のイチ推しはベン、2番目は何故か分からないけど博多弁アイルランド人のお巡りさんのミスター・ネルです。
皆さんには推しキャラいます?
アイザック・アシモフやロバート・ハインライン作品を小尾芙佐さんの翻訳で読んでいましたが、キング作品名物のとーっても下品なアメリカ人のセリフも見事に表現していらっしゃいます。
キング作品の翻訳は深町眞理子さんや白石朗さんが有名ですが、この『IT』に関しては小尾芙佐さんが大正義だと思います。 -
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ネタバレ幼少時の治療で自閉症の完治が実現した未来で、主人公のルウはその治療が間に合わなかった世代。独自のこだわりがあったり、意思疎通の汲み取りや咄嗟の対応ができなかったりしつつ、大手企業で特性を活かして仕事をし、一人暮らしをし、自活している。
会社の外でも、フェンシングクラブに参加し、女性に好意を抱いたり・・言葉が適切かわかりかねるが、普通の人間とはそうは変わらない生活を送っているように思える描写もある。
一方で、差別的な目線を向けられたり(ルウ本人はその点には気が付かなかったりする)、普通の人間とは違う視点を持ってしまう認識がある描写も。
あることから、大人であっても自閉症が完治する新治療の治験があることを知る。ルウは今のままでも困っていない、万が一今の自分の記憶がなくなったら?好みが違ってしまったら?など、当初は前向きでは無い。
新治療や脳の仕組みのことを調べるうちに、学ぶことや自分が変わることに楽しさを見出す。そして、もっと学びたい、好きな女性に好意を伝えられるようになりたいという思いで治験への参加を決める。結果は成功で、一時的に幼児程度の知能に戻ったものの、博士号を取り、宇宙飛行士になるまでにもなる。
だけど、その女性のことを好きだった記憶はあるが、今の(普通になった)ルウはもう好意を持っていなかった。でもそこに対して、今のルウは悲しいともなんとも思わない。それはそうだ、自分が好意を抱いていたわけじゃ無いんだから。
苦手なことができるようになり、学びたいことを学んで、社会的な地位も上がった今のルウは、一方で昔のルウの感じ方や気持ちは忘れてしまう…というか、感じ方が変わってしまったのかな。
とても良い本だった。 -
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「西の良い魔女」との呼び名もあるSFの女王アーシュラ・K・ル・グィンの『闇の左手』です
ル・グィンはSF界で双璧をなす文学賞ヒューゴー賞を5度、ネビュラ賞を6度受賞というまさに女王なんです
そしてあのファンタジーの傑作『ゲド戦記』もル・グィンの作でもあるんです
とにかくすごい人!
本書『闇の左手』もヒューゴー賞とネビュラ賞をW受賞している傑作です
もうね
SFやわ〜って感じですな
ル・グィンの思考実験の場にお邪魔させてもらったみたいな感じなんよね
色々あるんだが、まず究極の男女平等社会を異星の中で描いてるんよね
それは「両性具有」
性差がないので全員平等w
そしてこの世界は戦争がないのよ
男と女があるから戦争があるってことなの?ル・グィンさん!
でもなんかちょっと納得
でその星に他の星から友好関係を結ぶために使節(ほぼ我々地球人で男性)が降り立ってしばらくたったところから始まるんだが、この文化の違いが誤解を産んで…みたいな
あー、あるね
現実世界でもあるわ
といった風に極端な世界を構築することで、現実世界にある様々問題を見えやすくして、どうすりゃいいんだろう?を考える
これぞSFなのよ
両性具有の星の物語を読んで「性差」って何?そこを乗り越えるには何が必要?を考える
まずは相互理解だよね〜
なかなか難しいけど
奥さんの考えてることぜんぜん分からんちんだもんw(笑ってる場合か!)
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Posted by ブクログ
ネタバレすごく良かった…
はるか未来の話、打ち捨てられた植民星にいる人々は両性具有なのだけど、それがかつての生物実験の果てだったりして、とてもSF。
世界の説明や人々の風習や思考、交渉するアイの姿は、ガリバー旅行記みたいだなと思いながら読んだ。
後半のアイとエストラーベンの氷河の厳しい旅路を通してのお互いの理解を深めるところとか、異種族間の(向こうは両性具有だし)愛なのか、友情なのかをお互いが考えるところが、とても良かった。
世界観がきちっと説明されているにも関わらず、表現する言葉がなかったり、正しく理解することが無理そうなことを、感じる読書ができた。 -
Posted by ブクログ
そんなうまいこと行くかーい!
いいんです!
うまいこと行っていいんです!
奇跡のような物語でいいんです!
だってジェインはいつだって正しくあったんだから
誰にもバレなければいいじゃないか!という誘惑、いや懇願に対してもきっぱりと跳ね除け、過分な幸運は断固として分け与える
誰も見ていなくても神様が見ている?
ジェインなめんな!と言いたい
もちろん、それもある
神様の件も確かにある
だけどジェインが正しき道を進もうとするのは、誰も見ていなくても”自分が見ている”という理由だったように思います
だからいいんです!
高貴な心で正しい道を進もうとするジェインに奇跡が降り注いできていいんです!
むしろ当然の結果なのです
ジェインのようにど真ん中とはいかないけれど、正しい道の端っこの方は歩いていたいな〜
そんな風に思う今日の日なのでした -
Posted by ブクログ
なんでそーなるの?!
はい、ブロンテ三姉妹の長女シャーロットの『ジェイン・エア』です!じぇじぇじぇじぇ!(古い)
すごいよねー三姉妹全員100年残る小説書いてるって
まぁうちの三姉妹には負けるけど(負けるんかい!)
そして聖書です
バリバリ聖書です
でもやっぱりよく分からんので聖書方面は雰囲気で乗り切る
幼い頃に両親を亡くし、親戚に引き取られるが、そこで虐められ、孤児の学校に放り込まれそこでも苦労した少女が独り立ちした後、運命の人に出会う!という前半
冒涜に近いくらいざっくり言うとこんな感じ、大好きなやーつです
そして二人はお互いの気持ちに気付き、身分の差を乗り越えて結ばれ、幸せに暮らしましたとさ…とは一切ならなさそうな風雲急を告げる下巻に急げ!じぇじぇじぇじぇ!(それはもういいて) -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて読んでみた。
原題の"THE SPEED OF DARK"を『くらやみの速さをどれくらい』と訳したセンスが素晴らしい。
ルウ目線の文章と健常者目線の文章がはっきりと違いが分かるように訳されていてすごい。文が破綻している訳でもないのに、これは"普通"の人が書いたものではないなと分かる。
書いていることの中身が違うというのはもちろんあるが、前後の文のつながりが薄かったり、短文が多かったりと"普通"の人と文章構成が全然違って、とても読みづらかった。
読みづらかったがこういう風に考えている人も社会にはいるんだろうなあという想像が広がったので、よい読書体験だったなあと思う。
後半はすっかりトムに感情移入してしまって、悲しさを覚えながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなぜ一人きりでこの惑星へ送られてきたのか、と言う問いに対してゲンリーの言った台詞、「一人ではあなた方の世界を変えることはできない。しかしぼくはあなた方の世界によって変えられることができる。」が印象に残った。
あくまで同盟は各々に主体的に決めてもらうと言うスタンスだったはずのゲンリーが、エストラーベンの愛国心を超えた人類への忠誠心に突き動かされ、彼に報いるため、星船を呼ぶ。さらにその過程で同郷のはずの仲間よりも、ゲセン人に愛着を持つようになる。
文化も価値観も身体構造すら異なる相手と、理解しきれぬまま友情が芽生え、その地に愛着がわき、変わってしまう様子が面白かった。
帰属意識や性、性のない社会での愛とは?色々考えさせられる小説だった。
序盤は見慣れない固有名詞が多く、とっつきづらいが、慣れれば合間に挿入される神話や民話は面白いし、後半の過酷な旅パートも読む手が止まらなくなるほど物語に引き込まれた。長いこと積んでいたが、読み始めればあっという間に読んでしまった。
あとは細かいところではエストラーベンの朝が弱そうな描写が2回くらいあって面白かった。 -
Posted by ブクログ
両性具有の人類が出てくるSF小説、としか覚えていなかったこの作品を、30年以上ぶりに手に取った。大学のゼミで取り上げられた作品で、怠惰な学生だった私は日本語訳の文庫本を読んだのだった…。
宇宙に点在する星々を訪ねてくるエクーメンの使節の想い、その行動を可能にするエクーメンという組織の大きさと盤石さに、物語を読み進めるうちに圧倒される。
空を飛べるなどと考えたこともない国の住人が、異星人の使節に自らの命を賭して行動を共にするにはどれほどの頭脳と勇気が必要だろう?
作者は著名であるものの、2018年に亡くなっていたことを知らなかった。
長く読まれる作品にはそれだけの理由がある。