小説・文芸 - 中央公論新社 - 中公文庫作品一覧

  • 遥かなる山旅
    3.0
    山に登り、自然の中に身を置くことで、自らとの対話を続けた思索家の、山エッセイ・ベストセレクション。「何故人は山へ登るのだろう」という問いかけに始まり、山行きの持ち物から記憶に残る思い出の山々、詩篇まで、四十六篇を収録。『山歩きの愉しみ』改題。〈編・解説〉高丘卓 【目次】 I小前奏曲   孤独な洗礼 II 身支度   輪かんじき   道具   バドミントン・スタイル   時計と高度計   手帖   画帖   絵具   地図   乗車券   歩き方初歩   夏の山で気をつけること   山の灯   下山術   登山者と山の本 III 山想   春蘭   光と水の戯れ   波   霙の降る林   高原の夕映え   暁の星   山と老人 IV 山の博物誌   山の博物手帖   山に棲む虫   冬の手帖   春の手帖   夏の手帖   秋の手帖   岩上の想い   雪崩の音   山上の初光   静かな流れのほとり V 心の山   上高地の今昔   小海線の車窓   上信越の山と峠   鳥海山   和山の宿   雨飾山   穴あき沢   関東の山々   北海道の山   北穂高岳   小黒部谷遡行剣岳   意地の悪い山案内 VI 詩篇   山頂   氷の岩峰
  • 麦酒伝来 森鴎外とドイツビール
    -
    これからのビールはドイツビールだと人びとに信じさせる強力なオピニオンが流布されたのではないだろうか。そして、このオピニオン・リーダーがドイツ帰りの皇族、貴族、高官、学者、それに留学生たちであったと仮説を立ててみました。とくにその中核となったのが、鴎外をはじめとする留学生たちだったと考えたのです。(本文より) 横浜の外国人居留地に輸入された英国産エールに始まり、留学エリートたちによってドイツびいきへ、そして国産の開始――日本人はどのようにビールを受け入れ、発展させてきたか。鴎外『独逸日記』に見る当時のオクトーバーフェスト、乃木希典の一気飲みのルーツなど、エピソードを交え、長く生産・開発に専従してきた著者が語る日本ビール事始め。
  • 古代史疑 増補新版
    -
    邪馬台国をめぐる論争点を詳述し、独創的推理によって大胆な仮説を提示した清張古代史の記念碑的著作。牧健二、上田正昭、佐原眞、井上光貞との貴重なシンポジウムを初収録。
  • イオニアの風
    -
    1巻1,012円 (税込)
    オリュンポスの神々の賭けにより、“魔物退治”に挑むことになった英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカア。人類の命運を背負う二人が辿る波瀾の道行き、非力な人間の思いもかけない力、若き男女に芽生える恋の予感……。構想二十年余、ギリシア神話をベースに織り上げた、絢爛たる愛と冒険のタペストリー。
  • 恋愛書簡術 古今東西の文豪に学ぶテクニック講座
    5.0
    1巻1,012円 (税込)
    愚直な想いか? したたかな罠か? それとも粋な駆け引きか? 人妻の虜となったバルザック、美しき野獣に溺れたコクトー、そして谷崎、百けんらが、略奪愛、ダブル不倫、官能の倒錯愛など恋の渦中で巧みに駆使したレトリックを分析、世界を震撼させた大恋愛と名作誕生の背景を探る。芸術の女神、男装の麗人、運命の女など続々登場。
  • ササッサ谷の怪 コナン・ドイル奇譚集
    NEW
    -
    シャーロック・ホームズはここから始まった? 幻のデビュー作「ササッサ谷の怪」から、最後の小説となった「最後の手段」まで。探偵小説のみに留まらない希代のストーリーテラー、ドイルの魅力を再発見する名短篇全十四編を収録。〈解説〉北原尚彦
  • 蓼喰ふ虫
    NEW
    -
    互いに愛人がいながら離婚にふみきれない中年夫婦の、一見おだやかな日常を古典への愛をとりまぜて描いた傑作。小出楢重の挿絵八十余点を完全収載。 〈解説〉千葉俊二〈註解〉明里千章 愛することは出来ない までも慰(なぐさ)み物には しなかつたつもりだ
  • ムツゴロウ麻雀物語
    -
    ムツゴロウさん一周忌。動物との交流もギャンブルも命がけ。「勝負師」としての横顔に迫るエッセイ。〈巻末エッセイ〉末井昭
  • 幸せな家族 そしてその頃はやった唄
    3.3
    「これからつぶやくひとふしは とても悲しい物語……」 保険会社のコマーシャル・キャンペーン《幸せな家族》のモデルに選ばれた中道家。しかし撮影はなかなか進まず、やがて不気味な唄の歌詞にあわせたかのように、次々と家族が死んでゆく―― 刊行以来、全国各地の少年少女に衝撃を与えてきた伝説のジュヴナイル・ミステリ長篇、奇跡の復刊。 〈解説〉松井和翠
  • 本阿弥行状記
    3.0
    江戸初期、書、陶芸、茶の湯など多方面で活躍した数寄者・本阿弥光悦とは――。光甫の「行状記」を筆記した孫娘が語る、光悦と家業の刀の鑑定、そして一族の風流で清貧な生活と美の世界。著者の代表作『清貧の思想』の先駆けとなった長篇小説。 〈解説〉川村 湊 【目次】 巻一 鷹ヶ峰返上のこと 巻二 妙秀がこと 巻三 光悦がこと 巻四 刀の目利きのこと 巻五 紹益殿の訪れのこと 〈解説〉川村 湊
  • 掌の読書会 桜庭一樹と読む 倉橋由美子
    4.0
    一九六〇年代に登場し、熱い支持と批判を浴びつつ孤高の文学世界を創造した倉橋由美子。その多彩な短篇群から、桜庭一樹が厳選し紹介する。「パルタイ」他初期作品、「移転」他文庫初収録の後期幻想作品、人気を博した「残酷童話」シリーズ、エッセイまでを網羅した新たなベストセレクション。〈対談〉桜庭一樹・王谷 晶〈解説〉小平麻衣子
  • 一九四五年夏 最後の日ソ戦
    -
    一九四五年八月十五日、ポツダム宣言を受諾し武装解除を進める日日本軍にソ連軍が襲い掛かった。千島・樺太への進攻が新たに開始されたのだ! 本書は日ソ双方の戦争史料を徹底収集し、最後の日ソ戦に至る経緯と孤軍奮闘した守備隊の知られざる戦いを活写。戦闘の全貌を明らかにし、北方領土問題の根幹に迫る。〈解説〉庄司潤一郎・花田智之
  • 新編 不参加ぐらし
    -
    竹藪の庵にひきこもり、都会に姿を現さず、一歩退いて人の世を眺める。来る者拒まず去る者追わず、集うは多士済々、談論風発、鯨飲酩酊、二日酔い……。“竹林の隠者”とよばれた作家が飄々と綴る身の処し方。「怠け者の記」「丘の上にひきこもり……」「何もせんぞ」などユーモラスで含蓄のある随筆を収める、文庫オリジナル作品集。〈編・解説〉荻原魚雷
  • 七つの街道
    4.0
    篠山街道、久慈街道、甲斐わかひこ路、近江路など古き時代の面影を残す旧街道。「旅に出たいために旅行記を書くことにした」著者は、昭和三十一年、街道めぐりに着手した。史実や文献を辿りつつ歩き、その今昔を風趣豊かに描き出した紀行文集。    〈巻末エッセイ〉三浦哲郎「久慈街道同行記」  【目次】 篠山街道[京都・兵庫]/久慈街道[青森・岩手] 甲斐わかひこ路[山梨]/備前街道[岡山] 天城山麓を巡る道[静岡]/近江路[滋賀] 「奥の細道」の杖の跡[宮城・岩手・山形] 単行本あとがき/新潮文庫版あとがき
  • 廉太郎ノオト
    4.0
    廉太郎の頭のなかには、いつも鳴り響いている音があった―― 最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、孤高の天才少女との出会い、旋律を奏でることをためらう右手の秘密。 若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、数々の試練を乗り越え、作曲家としての才能を開花させていく。そして、新しい時代の音楽を夢みてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。「西洋音楽不毛の地」に種を植えるべく短い命を燃やした一人の天才の軌跡を描き出す。 時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ! 第66回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)
  • トランク 林芙美子大陸小説集
    4.0
    シベリア鉄道での亡命旅行「トランク」、満洲で芸者をしていた女性の一人語り「幕切れ」。旅を愛した林芙美子は、自身の訪れた国々を積極的に小説に描いた。庶民目線を貫いたその筆は、戦前の日本人が海の向こうの〈大陸〉に抱いた希望と憧れ、そして敗戦で負った傷跡を克明に写し取っている。絶筆となった「漣波」ほか欧州、ロシア、満洲を描いた小説七篇と、川端康成が単行本『漣波』に寄せた「あとがき」を収録。〈解説〉今川英子
  • ラバウル戦線異状なし 現地司令長官の回想
    4.0
    ガダルカナル撤退後、最前線基地の防備と航空戦の継続という使命を負った草鹿は、補給が途絶えても破損機を修理して航空戦を展開、食料と生活必需品、さらには火薬や魚雷までを自力で生産する。また敬愛する山本長官の戦死、陸軍との友好関係が描かれる。巧みな人材登用によって終戦までを自給自足で戦い抜いたサバイバル戦記。 以下目次 1 まえがき(戦況のあらまし) 2 明朗豁達一意邁進 3 陸海軍の協同戦線 4 火山研究所と科学者の良心 5 嗚呼山本元帥 6 南東方面艦隊の歌 7 武功抜群 8 漂流記 9 気象観測 10 民政部の人々 11 洞窟生活(陣地構築) 12 施設作業の苦労 13 いかもの食い 14 現地自活 15 兵器類の製造 16 教育訓練の問題 17 医務衛生のはなし 18 珍客待てども来らず 19 輸送潜水艦の労苦 20 鼠輸送、蟻輸送 21 ラバウル海軍航空隊 22 終戦の憾み
  • 動乱の蔭に 川島芳子自伝
    -
    清朝の王女として生まれ、日本で教育を受け、祖国再興を画して上海にわたる。ジャンヌ・ダルクに憧れた少女時代や初恋の思い出を交えながら男装に至った経緯を語る。活動中にテロに遭遇、様々な危機を乗り越えながら使命に目覚めていく。巻末に熱河作戦従軍直後「婦人公論」に発表した手記を収録。伝説の「男装の麗人」による半生記を初文庫化。
  • 此一戦 日本海海戦記
    -
    皇国の興廃、此の一戦にあり。バルチック艦隊を撃滅した大海戦に水雷艇艇長として従軍した水野は、後に東郷ターンといわれた敵前大回頭、艦内水兵の会話、秋山真之が敵艦に乗り込み降伏を迫る場面など戦闘の実像を臨場感をもって描く。両艦隊比較表、戦闘航跡図、艦艇図版を掲載。櫻井忠温『肉弾』に並ぶ日露戦ルポルージュの白眉。 海軍中将加藤友三郎閣下序文 海軍中将伊知地彦次郎閣下序文 海軍大佐小笠原長生閣下序文 自 序 水野広徳筆蹟 一 万里の遠征(その一) 二 万里の遠征(その二) 三 万里の遠征(その三) 四 待つあるをたのめ 五 竜爪虎牙 六 戦雲いよいよ急 七 竜虎相対す 八 竜争虎闘 九 勝敗既に決す 十 スラブ魂 十一 日本魂(その一) 十二 日本魂(その二) 十三 風浪の敵 十四 快隼疲鷲を突く 十五 いくさ話し 十六 死栄生辱 十七 韓盧蹇兎を搏つ 十八 戦果戦績 十九 勝因いかん 二十 戦後の覚悟  附  録   日本海々戦日本公報(東郷聯合艦隊司令長官報告)   日本海々戦露国公報   露帝とロ提督との電報往復並にネボカトフ少将の電奏   日本海海戦感状 著者のことば    解説   文字通り「此一戦」伊藤正徳 水野広徳年譜
  • 広島風土記
    -
    慣れ親しんだ鞆ノ津の釣場、尾道で訪ねた志賀直哉の仮寓、ひとり耳にした平和の鐘の音、「黒い雨」執筆の頃、母親のこと――。広島生まれの著者が綴った、郷里とその周辺にまつわる随筆十七篇、小説「因ノ島」「かきつばた」、半生記などを収める。豊かな海山や在所の人々へのあたたかな眼差しがにじむ文庫オリジナル作品集。〈解説〉小山田浩子 目次  Ⅰ 広島風土記/志賀直哉と尾道/尾道の釣・鞆ノ津の釣/因島半歳記/鞆ノ津/鞆は生き慣れた釣り場/消えたオチョロ船/大三島/大三島の樟の木/備前牛窓/ふるさとの音/備後の一部のこと/故郷の思い出/備南の史蹟  * 因ノ島(小説)  Ⅱ 疎開日記/疎開余話/在所言葉  * かきつばた(小説) 『黒い雨』執筆前後(談)  Ⅲ おふくろ/半生記(抄録)
  • 海軍こぼれ話
    4.0
    自ら海軍に進んだ著者が、提督三部作や『軍艦長門の生涯』には書けなかった海軍を、実体験や取材メモをもとに綴ったエッセイ五〇篇。海軍軍人のスマートさだけではない蛮勇・武勇伝・失敗談や、軍隊の悲惨さ愚かさから潜水艦のトイレ事情まで、人間味たっぷりに描く〝わがネイビー賛歌〟。単行本未収録の講演録「日本海軍の伝統と気風」を増補。 「ネイビーはスマートネスを以てモットーとする」陸軍とちがい敵性国語廃止などと野暮なことは言わなかったけれど……(「青春の旅立ち」) 制服の海軍士官は雨の日でも傘をさすことを許されていない。外出中にわか雨にあったらどうするか? 中尉はこう教わった。「ゆっくり濡れてこい」(「なぜ負けた」) 「お前は何故海軍を志願したか」「はいッ、陸軍がきらいだからであります」試験官の中佐がニヤッとした。(「人のいやがる軍隊に」) 【目次より】こぼれ話の始まる話/青春の旅立ち/なぜ負けた/カールビンソン/仰ぐ誉れの軍艦旗/サセコイ/へんな英語/ヘル談哀話/まあうれしい/艦長自ら操艦しつつあり/人殺し/軍人勅諭/よく学びよく遊び/町人服/大蔵省は海軍省/泥水すすり草をかみ/気ヲツケラレマス/人のいやがる軍隊に/六ツかしござる/ドナウ河の水深/靴磨き海軍/見て地獄/次元が低い/逆ごよみ/ミッドウェー/われらが知性/乱数表/腐れ士官の捨てどころ/坊さんパイロット/海軍馬鹿/ネルソンと東郷/親英派と親独派/罐焚き/侯爵の植木屋/文壇海軍見立て/航空母艦の幽霊/公用特急券/少将の墓/海軍士官とフランス語/狸の親ごころ/ロイヤル・サルート/オモチャの造船所/海軍糞尿譚/満艦飾/遺骨還送/女たちの大東亜戦争/ラッタルはかけあし/考課表/日付変更線/こぼれ話の終る話/講演録「日本海軍の伝統と気風」
  • 掌の読書会 柚木麻子と読む 林芙美子
    4.6
    私はこの「ふてぶてしさ」に何度も元気づけられてきた――筋金入りの「おフミさん」ファンを自認する作家・柚木麻子が、数多く残された短編から12編をセレクト。フレッシュなガイドともに、林芙美子が描く女たちの魅力を紹介する。〈解説〉今川英子
  • 俳句とあそぶ法
    5.0
    俳句は遊びだ! 人生の杖となる遊びだ!――俳人・夏井いつき推薦!! 「ちょっと俳句をかじっただけの素人」と自称する著者が、愛好家の多くが陥る類型的発想という「わな」に気づき、それを誘発する「俳句そのものに内在する何か」に迫る。名作とされる先人の句に果敢に異を唱え、専門俳人たちの常識も容赦なく断罪。一方、作り手となった初心者に対しては、「俳句は遊びである。遊びだからこそ厳格なルールに従うべきである」と掲げ、世にはびこるセオリーを覆し、皮肉やユーモアを交えて江國流俳句の楽しみ方を実践的に説いてゆく。  曰く――、 『俳句は自然を詠むもの、俳句は写生だ』  藤・牡丹・菖蒲・芍薬のどれが先に咲きますか? これ分からない植物音痴の人は多い。俳句は自然を詠むもの。写生こそ俳句とは言うが、自然が詠み難ければ人事句から始めると入り易い。例えば雛祭、白酒、受験、卒業……。 『5・7・5がルール』  字余り、字足らずの破調は原則として避けるべし。破調はホントにやむを得ない時に限る。破調にも限界がある。「分け入れば水音(山頭火)」「咳をしても一人(放哉)」こんなのは俳句じゃない。 『ふりがなは、極力さける』  ルビは必要最小限度にとどめるべきである。ルビなしでは正しく読んでもらえない字句で、漢字を用いない限り意味が汲み取れなかったり、誤解を招いたりする場合だけ、よんどころなくルビを付ける。娘(こ)、亡父(ちち)、女(ひと)などは、絶対に使わないこと。 『自分なりの句風の確立』  名句を、世間の評価にとらわれずに、好きな句、嫌いな句に分ける作業をする。そのうちに、自分の句風の確立に役立つ。  昭和の俳句ブームを牽引した画期的な俳句指南の書、待望の復刊!
  • 朝のあかり 石垣りんエッセイ集
    4.4
    自分の住むところには自分で表札を出すにかぎる――。銀行の事務員として働き、生家の家計を支えながら続けた詩作。五十歳のとき手に入れた川辺の1DKとひとりの時間。「表札」「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」などの作品で知られる詩人の凜とした生き方が浮かび上がる、文庫オリジナルエッセイ集。〈解説〉梯久美子 【目次】 Ⅰ はたらく 宿借り/けちん坊/朝のあかり/雨と言葉/目下工事中/よい顔と幸福/日記/晴着/事務服/事務員として働きつづけて/おそば/領分のない人たち/食扶持のこと/着る人・つくる人/巣立った日の装い/試験管に入れて/夜の海/こしかた・ゆくすえ Ⅱ ひとりで暮らす 呑川のほとり/シジミ/春の日に/電車の音/器量/花嫁/通じない/女の手仕事/つき合いの芽/彼岸/コイン・ランドリー/ぜいたくの重み/水はもどらないから/愛車/庭/籠の鳥/貼紙/山姥/梅が咲きました/雪谷/私のテレビ利用法/かたち Ⅲ 詩を書く/立場のある詩/花よ、空を突け/持続と詩/生活の中の詩/仕事/お酒かかえて/福田正夫/銀行員の詩集/詩を書くことと、生きること Ⅳ 齢を重ねる 終着駅/四月の合計/二月のおみくじ/椅子/私はなぜ結婚しないか/せつなさ/インスタントラーメン/火を止めるまで/しつけ糸/鳥/おばあさん/ 空港で/八月/港区で/花の店/隣人/風景/思い出が着ている/悲しみと同量の喜び/ウリコの目 ムツの目/乙女たち/夜の太鼓
  • 黒真珠 恋愛推理レアコレクション
    4.0
    果てしなくくりかえされる愛憎。反転する虚実。そして待ち受ける驚愕の結末――。 騙りの巨匠の大技が冴え渡る、これまで単著未収録だった貴重な恋愛×ミステリ短篇14篇を初書籍化。 文庫オリジナルアンソロジー、没後十年刊行。 解説=浅木原忍 【目次】 Ⅰ/短篇 黒真珠(1990) 過剰防衛(1982) 裁かれる女(1996) 紫の車(2008) ひとつ蘭(1997) 紙の別れ(1998) 媚薬(1994) Ⅱ/掌篇 片思い(1993) 花のない葉(1994) 洗い張り(1988) 絹婚式(2000) 白い言葉(1996) 帰り道(1996) 初恋(1996)
  • 邱飯店交遊録 私が招いた友人たち
    3.5
    1巻990円 (税込)
    自他ともに認める食通でもてなし好きの著者の家には、文人墨客から経済人まで大勢の友人が訪れた。いつしか自宅は「邱飯店」と呼ばれるようになる。あばら家の七輪を駆使して佐藤春夫と檀一雄を歓待した時分から、食卓で最も笑いの絶えなかった人・本田宗一郎の思い出まで。約三十年間のゲストとその日のメニューの記録を振り返る、愉快で美味しい交遊録。それはある時期の日本文化や経済界の裏面史でもある。 『邱飯店のメニュー』改題。檀一雄が舌鼓をうった「野鶏巻」と安岡章太郎のお気に入り「芋頭扣肉」のレシピ、人名索引付。 〈解説〉畑中三応子 目次 最初のお客は佐藤春夫と檀一雄/〝一本刀土俵入り〟の世界/〝邱飯店〟開店/健啖こそ長寿の秘訣/金を想うがごとく友を想う/メシで釣って文壇へ/〝第三の新人〟と友達に/五味康祐、そして有馬頼義/『ミシュラン』『あまカラ』『東京いい店うまい店』/小島政二郎・白井喬二・子母沢寛/梅崎春生のメスの羊/〝邱飯店〟の名付親・池島信平/スポンサーの鑑・鶴屋八幡/大編集者の風貌と条件/〝日本料理は滅亡する〟/宰相御曹司、舌鼓を打つ/獅子文六の「バナナ」/市村清と今東光のコンビ/栗田春生の痛快な人生/大屋晋三とカ、カ、カのかあちゃん/メニューに出ない料理のメニュー/〝違いのわかる男〟たちの話/永遠の少女・森茉莉/西洋料理のコックを雇う/政情が描く台湾の料理地図/コックを雇って精神修養/年と共に変る料理の中身/大宴のメニューは自分でつくる/宰相夫人佐藤寛子ミニおばさん/〝食通知ったかぶり〟紳士録/紅焼大網鮑と砂鍋大排翅/『邱家の中国家庭料理』楽屋話/美食と大食は紙一重/カミナリ族の大親分本田宗一郎/高度成長の立役者盛田昭夫夫妻/招待状を書く楽しみは残しておいて
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選
    3.5
    アリバイが消えたとき、笑うのは誰だ? 没後20年。「木枯し紋次郎」だけじゃない、ミステリ作家の面目躍如。本格推理から、サスペンス、そして著者の真骨頂たる宿命小説まで、バラエティに富んだ作品8篇をセレクトする。 *収録作品 殺してやりたい 十五年は長すぎる お嫁にゆけない 第三の被害者 不安な証言 鏡のない部屋 アリバイ奪取 「笹沢左保君の活動ぶりはまことに驚異である。ここに集録されている作品などは笹沢君の実力を示すものであろう。「鏡のない部屋」は醜女の悲劇を扱った傑作だ(中略)。それにしても笹沢君の力量は、はかり知れないものがある。現在、推理作家中、最も多作をしているようだが、それでいて、駄作が見当らないから敬服のほかはない。」(『鏡のない部屋』〈宝石社、1963年〉に寄せた江戸川乱歩のコメント)
  • 黄金夜界
    4.0
    1巻990円 (税込)
    僕は傷ついている。その傷に、僕自身でさえさわりたくない――許婚者・美也に裏切られ、一夜にして全てを失った東大生・貫一。愛に絶望し、金の悪鬼となった彼のもとへ突然、資産家との結婚を選んだ美也が舞い戻る。虚無を抱えた二人の再会は、悲劇か、喜劇か。尾崎紅葉『金色夜叉』を平成に甦らせた、橋本治最後の長篇小説。〈解説〉橋爪大三郎
  • 会社員、夢を追う
    4.1
    出版社に入れず銀座の紙の代理店に入社した神井航樹は、無理解な上司に睨まれ、先輩や取引先の「鬼」部長に揉まれつつ、本は紙でできていることを胸に品薄な用紙の確保に奔走する。社会の荒波に飛び込み、一歩一歩夢へと近づいていく若者の仕事と恋を描く、すべての働く人々に贈る感動の人間ドラマ。『銀座の紙ひこうき』改題。
  • 漱石の白百合、三島の松 近代文学植物誌
    4.0
    漱石の『それから』に登場する白百合はテッポウユリかヤマユリか。植物オンチと言われた三島由紀夫の卓越した草木の描写を挙げてその汚名をそそぐ。鏡花、芥川、安部公房ら、広大な文学作品の森に息づく草花を植物学者が観察。新たな視点で近代文学を読み解く。 『漱石の白くない白百合』を改題 〈解説〉大岡玲 (目次より) Ⅰ 漱石の白くない白百合/描かれた山百合の謎/『金色夜叉』の山百合/白百合再考 Ⅱ 『虞美人草』の花々/朝顔と漱石/毒草を活けた水を飲む事/泉鏡花描く紅茸/「ごんごんごま」とは?/ごんごんごまの本名/クロユリ登場/芥川の心象に生えた植物 Ⅲ 三島由紀夫と松の木の逸話/再説三島と松の木の逸話/洋蘭今昔/志賀直哉と藤の巻き方/スイートピーは悲しみをのせて/『デンドロカカリヤ』異聞 Ⅳ 関東大震災でカビた街/小説とチフスの役割/小石川植物園を読む/三四郎池の植物散歩 あとがき/文庫版あとがき/〈解説〉大岡玲 作品名索引
  • 愉快なる地図 台湾・樺太・パリへ
    3.5
    どこへ行くにも、棺桶の仕度なンかいらないじゃないのと、無鉄砲な旅ばかりしていました――一九三〇年、総督府に招かれた台湾から、『放浪記』の印税をつぎ込んだシベリア鉄道でのパリ行き、一番好きな街北京など。肩の張らない三等列車の一人旅を最上とする著者の一九三〇年代前半の紀行を集成する。文庫オリジナル 〈解説〉川本三郎
  • 京都感情案内(上下合本) 新装版
    -
    アパレル企業社長の父親から一億円を渡され、京都へ人間修業に来た平松青年。会社を継ぐには京文化や女心を学ぶ必要がある、というのだ。祇園甲部の芸妓・小万や弁護士、骨董の目利き、影の実力者らが平松の周りに集まってくる。そんなある日、都をどりを見に来た女性が小万の点てたお茶を口にすると急死した。さらに彼の周囲に事件が相次ぐが!? 殺人、ストーカー、誘拐――事件の渦中にある平松に、京都府警の木下が東京から来た男を紹介した。自分も京都遊びを覚えたいと、西陣の旦那衆と日夜豪遊を繰り広げる十津川警部であった。彼は身分を隠し、ある男の行方を捜していた。やがて平松の周辺で起きる事件と十津川が追う事件とを結ぶ糸が!? 真相に迫る十津川を京文化の闇が翻弄する!!
  • ホームズ四世
    -
    歌舞伎町のNo1ホスト響(ひびき)(ホームズの曾孫)は常連客の失踪に興味を持つ。行方を追う響の前に探偵を名乗る檸檬(れもん)(ワトスンの曾孫)が現れ、タッグを組むことに。二人は世界を動かす闇政府「円卓評議会」の存在にたどり着くが、その首領ラブリーこそホームズ最大のライバルにして悪の天才ジェームズ・モリアーティ教授の孫であった!? 誰が味方で誰が敵? 三百億円のダイヤの行方は? ヤング・ホームズ冒険譚!
  • 蓬莱島余談 台湾・客船紀行集
    3.5
    台湾はいつでも小鳥が啼いている。お正月に朝顔が咲き出す。まあ一ぺん来て御覧なさい――一九三九年十一月、精糖会社専務の友人に招かれ、鉄路で縦断した台湾紀行をはじめ、日本郵船の嘱託として主宰した船上座談会など、太平洋戦争開戦前夜の客船周遊記を集成。文庫オリジナル。 〈解説〉川本三郎 (目次より) Ⅰ 不心得/大和丸/東支那海/屏東の蕃屋/小列車/基隆の結滞/時化/砂糖黍/玄冬観桜の宴/バナナの菓子/蟻と砂糖/戻り道/船の御馳走/航路案内/迎暑/神風機余録/蕃さんと私/ * 当世漫語(昭和十四年十二月)/蓬莱島余談(昭和十五年七月) Ⅱ 波光漫筆 鎌倉丸周遊ノ一/入船の記 鎌倉丸周遊ノ二/三ノ宮の乞食 鎌倉丸周遊ノ三 /風穴 鎌倉丸周遊ノ四/山火事/流民/岸壁の浪枕/出船の記/門司の八幡丸/タンタルス/波のうねうね Ⅲ 新造/婦人接待係/沖の稲妻/虎を描いて/狗に類する/しっぽり濡るる 〈解説〉川本三郎
  • 漂流物・武蔵丸
    4.0
    「あのな、ええことおせちゃる。」――鬼気迫る母親の一人語り「抜髪」、平林たい子賞、川端康成賞受賞の表題作二篇ほか、私小説の真髄を示す佳篇を精選。さらに講演「私の小説論」と随筆一篇を併録した直木賞作家の文庫オリジナル選集。 〈巻末エッセイ〉高橋順子 〈解説〉井口時男 ■目次 木枯し/抜髪/漂流物/変/武蔵丸/狂/「鹽壺の匙」補遺/直木賞受賞修羅日乗(随筆)/私の小説論(講演) 〈巻末エッセイ〉けったいな連れ合い(高橋順子) 〈解説〉井口時男
  • マネーの魔術師 ハッカー黒木の告白
    3.9
    日本経済復活のフィクサーか? 廃れゆく伝統文化の守護神か? 天才ハッカーvs.金融資本主義 イランの核施設破壊プロジェクト「オリンピックゲーム」にもCIAの情報職として参加した経験を持つ天才ハッカーの黒木が、和歌山の世界遺産・熊野古道の中辺路に現れた。伝統工芸を研究する大学院生・柴田澪と出会った黒木は、彼女をある試みに誘う。彼はそれを「実験だよ、金融資本主義に抗うための」と嘯くのだが――。黒木は、金融市場が拡大し続ける世界を相手に、何を目論んでいるのか? 現在を分析し未来を予見する、興奮の知的エンタメ巨篇。 【目次】 稲妻 気前のいい客 長い長い夜 夜明けの柴田 ツタエテ TSUTAE‐TE チャンス! 神々の黄昏 また逢う日まで あとがき
  • 新編 閑な老人
    4.0
    放蕩と極貧生活を送った元破滅型文学青年。歳を重ねてからは、草木を愛で散歩を趣味とし、寒くなれば冬眠する。人はいつ死ぬかわからない、だからこそ生きているだけで面白い――生死の境を彷徨い「生存五ケ年計画」を経て辿り着いたこの境地。「暢気眼鏡」の作家が“閑な老人”になるまでを綴った、文庫オリジナル作品集。〈編集・解説〉荻原魚雷 目次 Ⅰ 五年 祖父 退職の願い 約束 狸の説 片づけごと 苔 閑な老人 歩きたい 上高地行 Ⅱ 相変らず 厭世・楽天 古本回顧談 気の弱さ、強さ 文学と家庭の幸福 運ということ 老後の問題 核兵器――素人の心配 明治は遠く―― わが家の男女同権 戦友上林暁 生きる
  • ビショップ氏殺人事件 曽野綾子ミステリ傑作選
    3.5
    作家・曽野綾子の知られざる真価を示す、ミステリ作品集。殺人、犯罪、事件を題材とし、謎解き、犯人捜しの要素を含みつつも、人間心理、人生や運命の綾、明暗、日常に潜む恐怖を描く。いずれも1960年前後に集中的に書かれた作品群である。表題作は、『宝石』誌の編集に携わった江戸川乱歩がみずから依頼した経緯があり、しかも本格物。乱歩は本作を掲載できたことを「いささか自慢していいのではないかと思っている」と自讃している。 (収録作品) ビショップ氏殺人事件 華やかな手 消えない航跡 競売 人生の定年 佳人薄命
  • 作家と家元
    5.0
    売れっ子の矜持と迷いが交差する吉行淳之介との対話。兄貴と慕った色川武大との至福に満ちたスリリングな芸談。盟友・石原慎太郎との思い出語りに、ふとこぼれる弱音まで。三十代から晩年まで、人生を駆け抜けた天才落語家が言葉を尽くして語り合った六人の作家たちとの対談、エッセイを収録する。文庫オリジナル。 目次 吉行淳之介 対談 落語見る馬鹿聞かぬ馬鹿 対談 大きくなったらリッパな人になります 色川武大 対談 一芸に賭ける芸人たち 対談 まず自分が一人抜きん出ることだよ 立川談志さん  阿佐田哲也 『怪しい交遊録』解説  立川談志 『色川武大 阿佐田哲也全集14』解題  立川談志 色川武大  立川談志 結城昌治 結城昌治との想い出  立川談志 景山民夫 噺家は世上のアラで飯を喰い  景山民夫 景山民夫  立川談志 伊集院静 対談 小説家はアブナい 対談 カネが仇の世の中、か!? 石原慎太郎 対談 歳月を経て猶も定めず 対談「平和の毒」にやられたまんま……このままじゃ死んでも死にきれねえ 対談 自殺を考えたこともある……死を追うな、生き抜いて人生を全うしろ さらば立川談志、心の友よ いつかまた、どこかで会えるんだろう  石原慎太郎 立川談志 略年譜 巻末インタビュー 父・立川談志と作家たち 没後十年に寄せて  松岡慎太郎
  • 静謐 北杜夫自選短篇集
    4.0
    1巻990円 (税込)
    文学とユーモアエッセイ、二つのジャンルで人気を博した作家・北杜夫。その一九五六年から六八年の間に発表された作品群から作者自身のセレクトによる全一〇篇を収める。三島由紀夫賞賛の表題作や、「岩尾根にて」ほか初期の純文学作品、SF作品「不倫」、随筆「死」まで多才な作家のエッセンスが一望できる自選短篇集。〈巻末エッセイ〉今野 敏
  • 少年は死になさい…美しく
    3.3
    妊娠中の妻と2歳の娘を少年たちに凌辱の末惨殺された恭介は、犯人の少年たちを切り刻み、それを撮影したDVDを犯人宅に送りつけた。しかしそれは復讐ではなかった。妻子の殺され方が美しくないことへの憤りだった。恭介にとって人間の死体は至福の「芸術品」であるべきなのだ。23年前、キスした姿の少年と少女の生首写真が被害者宅に届けられる事件があった。ご丁寧にもその写真には「ファースト・キス」というタイトルまで付けられていた。事件は迷宮入りし、警視庁の名倉警部は今でもその屈辱を胸に抱いているが、その犯人こそ当時中学生の恭介であった……。
  • わが青春の台湾 わが青春の香港
    4.0
    1巻990円 (税込)
    台湾人の父と日本人の母のもと、日本統治下の台湾に生まれ、東大に学び、戦後は帰郷して台湾独立運動に参加するも、二・二八事件後香港へ亡命――。直木賞作家の波瀾に満ちた半生記(一九二四~五四年)であると同時に、激動の東アジア史の貴重な証言ともなっている。デビュー作「密入国者の手記」を特別収録。〈解説〉黒川 創 【目次より】 わが青春の台湾  二人の母に育てられて/文学少年から政治青年へ/全学連の「種蒔く人」/台湾独立に傾く/さよなら、私の台湾 わが青春の香港  編物に明け暮れた台湾のロレンス/青春の賭けに破れて商人となる/花嫁のいない結婚初夜/小説家を志して再び日本へ 〈特別収録〉密入国者の手記
  • ボロ家の春秋
    -
    軽妙な語り口で市井の人びとの日常をユーモラスに描いた梅崎春生。一九五五年に直木賞を受賞した表題作ほか、「黒い花」「零子」(全集未収録)など同賞の候補作全四篇と、自作について綴った随筆を併せて収める。文庫オリジナル作品集。 〈解説〉荻原魚雷 ■目次  Ⅰ 黒い花/零子/拐帯者/猫と蟻と犬/ボロ家の春秋 Ⅱ 私の小説作法/私の創作体験/わが小説/私の小説作法
  • 嵐山光三郎セレクション 安西水丸短篇集 左上の海
    4.3
    「夢の中でとてもきれいな海を見つけたの。私のいるずっと左上のほうに」。夢と現実の交錯、そして突然の別れを描く表題作ほか、二度と戻らない時間や大切なひとの喪失、刹那の愛の風景を綴る短篇集。繊細な空気をまとった十二篇を収録する。〈解説〉嵐山光三郎
  • 青豆とうふ
    4.0
    ひとつの時代を築いたふたりのイラストレーターが、互いの文章と絵をしりとりのようにつなぎながら紡いだエッセイ集。愛する映画や音楽について、旅や身辺のできごとなど、「お題」に導かれて思いがけず飛び出した多彩な話のかずかず。カラー画満載の贅沢な一冊。〈文庫版のおまけ〉村上春樹
  • 芭蕉
    -
    芭蕉の没年から一八〇年後の一八七四年に虚子が生まれた。本書は近代俳句の巨匠虚子が近世の巨人芭蕉の著作を論じる。まずは入門者向けに芭蕉の句を紹介、芭蕉の句を談林風の句(第一種類)、主観句(第二種類)、客観句(第三種類)に分け、時間軸に沿った芭蕉の作風の変化を分析し、さらに芭蕉と門人の俳句を評釈する。 各章の初出は明治三十六年から昭和十年にわたる。それぞれの章が書かれた時期が虚子にとってどのような時であったかを考えながら読むと興味深い。
  • 神を統べる者(一) 厩戸御子倭国追放篇
    5.0
    1~3巻990~1,056円 (税込)
    崇仏派の蘇我馬子と排仏派の物部守屋が対立する、六世紀の倭国。天才と噂される少年・厩戸御子は仏典を読み漁っていた。仏教導入の切り札として、馬子から期待されていたのだ。ある日、守屋の邸を訪れた御子は、彼が所蔵する膨大な数の経典を披露される。排仏派の守屋が一体なぜ!? 一方、時の帝は厩戸の異能を危険視し、ある決断を下した――。
  • 応家の人々
    4.0
    昭和十四年、日本統治下の台湾――-。名高い旧家・応家の美女の周辺で男たちが相次いで死亡する。最初の夫が海難事故死し、二人目の夫は何者かに殺害され、さらに毒殺事件が起こる。内地から派遣された警官が、台北から台南の町々をめぐって事件の謎を追う、妖しい懶さが漂う長篇ミステリ。
  • 小説集 吉原の面影
    4.0
    「明治三十年代の吉原には江戸浄瑠璃に見るが如き叙事詩的の一面がなお実在していた」。消えゆく遊里の情緒を追い求めた永井荷風の名随筆「里の今昔」。荷風がその「最後の面影」を残すと評した樋口一葉「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、泉鏡花「註文帳」の四篇を収録。〈解説〉川本三郎
  • 女の家
    3.0
    東京銀座の裏通りにある妾宅で、折竹雪枝がガス中毒死した。事故か自殺か、それとも他殺か――。老練な刑事・小柴と老獪な女中・乃婦、二人の語りが交差し、炙り出される意想外の真相とは。陰影のある文体で人間心理を巧みに描き、澁澤龍彦、種村季弘らに愛された著者による代表作。
  • 漱石先生
    3.6
    先生はごく温かい柔らかい心持ちを持った、いわばあの作物の中の坊ちゃんであられたのである――自他共に認める「別格の弟子」が、教師と生徒としての第五高等学校での出会いから、その素顔と作品、周辺に集う人々までを親愛と哀惜の情をこめて語る。文庫オリジナル 〈座談〉小宮豊隆・松根東洋城・寺田寅彦 〈巻末エッセイ〉中谷宇吉郎 (目次より) Ⅰ 先生の追憶 夏目先生/蛙の鳴声/夏目先生の自然観/「柿の種」より/夏目漱石先生の追憶/埋もれた漱石伝記資料/「自由画稿」より/『普及版漱石全集』内容見本推薦文/『決定版漱石全集』内容見本推薦文/日記より三句/思ひ出るまゝ Ⅱ 先生に集う人たち 根岸庵を訪う記/初めて正岡さんに会った時/仰臥漫録/子規自筆の根岸地図/子規の追憶/『子規全集』/明治三十二年頃/芥川竜之介君/高浜さんと私/『藪柑子集』自序/『藪柑子集』執筆当時の追憶/『漱石襍記』について/津田青楓君の画と南画の芸術的価値 Ⅲ 先生と俳諧 夏目先生の俳句と漢詩/天文と俳句/涼味数題/思出草/俳諧瑣談/こころもち/〈座談〉小宮豊隆・松根東洋城・寺田寅彦 漱石先生俤草/『漱石俳句研究』より 〈巻末エッセイ〉中谷宇吉郎 寒月の「首縊りの力学」その他/冬彦夜話
  • 海軍基本戦術
    4.0
    日本海海戦を勝利に導いた旧日本海軍の名参謀・秋山真之による幻の戦術論が一世紀の時を経て全容をあらわす。「海軍基本戦術」「海軍応用戦術」「海軍戦務」のうち本巻は「海軍基本戦術」を収録。第一編では、基本である艦隊の構成要素、編制、そして艦隊、戦隊の運動法について、第二編では日本海海戦の戦例を引き、丁字戦法、乙字戦法を講述。 目次 海軍基本戦術 第一篇 緒  言 第一章  戦闘力の要素 第一節 総 説 第二節 攻撃力 第三節 防禦力 第四節 運動力 第五節 通信力 第六節 結 論 第二章  戦闘単位の本能 第一節 総 説 第二節 戦艦の本能 第三節 巡洋艦の本能 第四節 通報艦、海防艦及砲艦の本能 第五節 駆逐艦、水雷艇及潜水艇の本能 第三章  艦隊の編制 第一節 総 説 第二節 戦隊の編制 第三節 水雷戦隊の編制 第四節 大艦隊の編制 第四章  艦隊の隊形 第一節 総 説 第二節 戦隊の隊形 第三節 水雷戦隊の隊形 第四節 大艦隊の隊形 第五章  艦隊の運動法 第一節 総 説 第二節 戦隊及水雷聨隊の運動法 第三節 大艦隊の運動法 第四節 結 論 海軍基本戦術 第二編 戦 法 第一章 兵 理 第一節 兵戦の三大元素 第二節 力の状態及用法 第三節 優勝劣敗の定理 第二章 戦法上の攻撃諸法 第一節 戦闘に於ける攻撃と防禦 第三節 斉撃及順撃 第四節 戦闘距離に基ける攻撃法の種別 第三節 正奇の方術的攻撃法 第三章 戦 法 第一節 決戦に於ける戦法 第二節 追撃戦法 第三節 退却戦法 第四節 戦闘戦法 第五節 大艦隊の戦法 第六節 水雷戦隊の戦法 解説  戸髙一成
  • 勝負師 将棋・囲碁作品集
    -
    木村義雄、升田幸三、大山康晴、呉清源……。盤上の戦いに賭けた男たちの対局に、安吾は何を見たのか。表題作ほか小説、観戦記、エッセイ、座談まで初集成する。文庫オリジナル。 〈巻末エッセイ〉沢木耕太郎「私だけの教科書」 〈解説〉西上心太 【目次】  Ⅰ 散る日本/勝負師/九段/名人戦を観て/坂口流の将棋観/観戦記/将棋の鬼  Ⅱ 囲碁修業/負け碁の算術/文人囲碁会/本因坊・呉清源十番碁観戦記/呉清源論/私の碁/碁にも名人戦をつくれ 座談会二編 囲碁・人生・神様/呉・藤沢十番碁を語る
  • 青山二郎の話・小林秀雄の話
    -
    青山二郎と小林秀雄。この稀代の目利きと不世出の批評家の身近で同時代を生きた著者。その無垢の眼で捉えた両者の姿を描いた全エッセイを初集成。青山二郎、大岡昇平による著者をめぐるエッセイを併録する。文庫オリジナル。 〈解説〉林秀雄・宇月原晴明 〔目次より〕 Ⅰ 青山二郎の話 青山二郎の話 青山二郎さんの思い出 説明をしなかった青山さん 青山さんの童心 ははははは 独創は真似からはじまる よく出来た田舎者 芭蕉を偲んで 和ちゃんの話 悪いものは見ない 青山二郎さんへの手紙 女性的才能について――あるハガキ通信―― Ⅱ 小林秀雄の話 あの頃の小林さん ゴッホとロートレック 真の恩人は小林さん 小林秀雄さんの愛情 私の一生に書いた作品の中で 私の本箱 凡て尊敬することだ 二つの文体 文学界の表紙 Ⅲ 宇野千代の話 青山二郎 夜眼、遠眼、傘の内 青山二郎 最も善く出来た田舎者――宇野千代さんについて 青山二郎 〈巻末エッセイ〉淡島の家 大岡昇平 中公文庫版『青山二郎の話』解説 林秀雄
  • 詩人の旅 増補新版
    3.3
    小海線の車窓の眺め、若狭の水、奥津の温泉……。荒地の詩人は、ウイスキーを道連れに日本各地に旅立った。「ぼくの感情旅行」と雑誌『旅』の作品を中心にユーモラスな十二の紀行文とエッセイ「ぼくのひとり旅論」を収める。〈ニホン酔夢行〉。単行本未収録の北海道紀行を増補。〈解説〉長谷川郁夫 ■目次 隠 岐/若 狭―小浜/伊 那―飯田・川路温泉/北海道―釧路/ 奥 津/鹿児島/越 前―越前町・三国町/越 後―新潟/ 佐 久―小海線/東 京―浅草/京 都/ 沖 縄 ぼくのひとり旅論 あとがきにかえて 解 説 長谷川郁夫
  • さむらい道(上) 最上義光 表の合戦・奥の合戦
    完結
    3.0
    最上義光、山形に立つ。父・義守との家督相続争いや天童・白鳥氏、そして伊達氏らとの峻烈な内憂外患をいかに乗り越え、山形に君臨することができたのか!? 伊達政宗との抗争から上杉軍と激闘を繰り広げた一六〇〇年九月の〝北の天下分け目の戦い〟まで、義光の「負けまい、勝つまいの戦」を見よ! 山形在住の直木賞作家による渾身の長編歴史小説。 (本文より)  遠国の大名を滅ぼして天下統一をくわだてるのは覇道であって、義光の考えるさむらい道とはあい容れない。武辺にのみ頼る武士は、それによって身を滅ぼす。義光はそう思っていた。 (目次より) 一章 小僧丸/二章 人質/三章 本懐/四章 御所の方/五章 四面楚歌/六章 天童合戦/七章 宿敵/八章 その君の名を
  • 愛して生きて 宇野千代伝
    3.0
    数多の文豪たちと恋した作家の宇野千代。女性の憧れとして輝く、千代の奔放人生。大正、昭和、平成をまたにかけて活躍し、すぐれた作品を残したほか、尾﨑士郎、東郷青児、北原武夫ほか、梶井基次郎、青山二郎など数多の文豪・文化人たちと恋し、奔放に生きた女としても知られる。今も憧れの女性として輝く宇野千代の人生とは何かを探る。『婦人公論』連載中から話題を呼んだ人物ノンフィクションの待望の文庫化。
  • 富士日記を読む
    4.0
    『富士日記』はどのように読まれてきたか。小川洋子、平松洋子、苅部直、村松友視の書き下ろしエッセイと、書評で読み解くロングセラーの魅力。
  • 書かなければよかったのに日記
    5.0
    ボクは住所も職業もさすらいなのである――。一九六〇年代初め、各地を転々としながら書き継がれた『言わなければよかったのに日記』の姉妹編(『流浪の手記』改題)。旅先での市井の人びととの出会いや先輩作家のことなど、飄々とした独特の味わいとユーモアがにじむエッセイ集。単行本未収録作品を増補。
  • 地中海幻想の旅から
    4.0
    時には〈日常〉を脱して、魂の目くらむ昂揚を経験することも、人生を豊かにする大切な方法なのだ(本文より)。一九五七年の留学以降、第二の生活拠点となったパリ、創作への啓示を受けたアテネ、作品の舞台となったフィレンツェ、アルジェ……生涯を通じ旅を愛した作家の多幸感あふれるエッセイ集。 目次より I 地中海幻想の旅から 中部イタリアの旅 フィレンツェ散策 私の古典美術館 アッシリアの眼 ポンペイ幻想 廃墟の教えるもの 地中海幻想 力ルタゴの白い石 友をもつこと II フランスの旅から ヨーロッパの汽車旅 恋のかたみ モンマルトル住い 海辺の墓地から 早春のパリ 昔のパリいまのパリ 変ったパリ変らぬパリ フランスの知恵 パリの雀のことなど 回想のシャルトル 近い旅遠い旅 パリ――夢と現実 風塵の街から 回想のなかのゴシック III 北の旅 南の旅から ロシアの旅から一 ロシアの旅から二 森の中の思索から 北の海辺の旅 南イングランドから ハドリアヌスの城壁を訪ねて 大いなる聖樹の下 インド変容 旅立ちの前に 南の遙かな青い海 中国の旅から
  • 新版 犬が星見た ロシア旅行
    3.8
    生涯最後の旅と予感している夫・武田泰淳とその親友、竹内好とのロシア旅行。星に驚く犬のような心と天真爛漫な目を以て、旅中の出来事、風物、そして二人の文学者の旅の肖像を、克明に、伸びやかに綴った紀行。読売文学賞受賞作。巻末に竹内好「交友四十年」を収録する。
  • 食道楽
    4.5
    和洋中、四季折々、多種多様の料理をレシピと共に味わうグルメ小説の元祖。明治期空前のベストセラーを読みやすくコンパクトな現代語抄訳で初めて文庫化。 美味しくてやめられない、これぞグルメ小説の元祖―― 若き大食漢・大原と、料理に凄腕を発揮する妙齢のお登和のラブロマンスとともに、 和洋中、四季折々、膨大な数の各種料理の調理法を蘊蓄たっぷりに紹介。 前代未聞のその手法と、滑稽味あふれるストーリーで絶大な人気を博した本書は、実用性を貴び家庭料理の近代化を説く、先見的な食の啓蒙書でもあった。 食材、調理器具、栄養学、衛生にまで及ぶ圧倒的な情報量から、 嫁入り道具としても重宝されたという明治期空前のベストセラーを、 読みやすくコンパクトな現代語抄訳で初めて文庫化
  • 怠惰の美徳
    3.7
    大学にはほとんど出席せず、志望した新聞社は全滅。やむなく勤めた役所で毎日ぼんやり過ごして給料を得る。一日十二時間は眠りたい。できればずっと蒲団に居たい……。戦後派を代表する作家が、怠け者のまま如何に生きてきたかを綴った随筆と短篇小説を収録。真面目で変で面白い、ユーモア溢れる文庫オリジナル作品集。〈編・解説〉荻原魚雷
  • 新選組挽歌 鴨川物語
    -
    時は幕末。天誅と称する血腥い殺人が公然と行われ、京の風雲はいよいよ急を告げていた。鴨川の三条河原で髪結床を構える三兄弟の眼前でも、勤王志士と新選組との死闘が繰り広げられる。そして彼らに関わる遊女や目明かしたちの命も、激動する時代に翻弄され……。 「新選組三部作」の外伝ともいうべき、動乱の京の生と死を描く幕末絵巻。
  • 滝田樗陰 『中央公論』名編集者の生涯
    -
    明治末から大正にかけて『中央公論』主幹を務めた滝田樗陰。低迷する雑誌に文芸欄を設け文壇の登竜門にまで押し上げ、吉野作造を起用して大正デモクラシーの時代を招来した、名編集者とその時代を描く。巻末に吉野ほか谷崎潤一郎、芥川龍之介、菊池寛、山本実彦による追憶記を収録。
  • 阿呆の鳥飼
    4.0
    「小鳥に夢中になっている間の面白さは、小鳥を飼った事のない者には迚も解りません」(表題作)。鶯の鳴き方が悪いと気に病み、衝動買いした訓狐のために眠れない夜を過ごす。漱石山房に文鳥を連れて行く……『ノラや』の著者が小動物たちとの暮らしを綴る掌篇集。〈解説〉角田光代
  • 新幹線開発物語
    -
    20世紀最大の国家事業、新幹線建設。時速200キロ実現までの試行、安全運転のための自動列車制御装置の開発、列車妨害対策、ルート選定、用地買収交渉など、最先端の技術・設計思想に貫かれた、世界最高水準のモノ作りの軌跡。中公新書『東海道新幹線』を改訂・解題。〈解説〉老川慶喜

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  • 私の文学的回想記
    -
    大正、昭和初期の流行作家である芥川龍之介や菊池寛などが集まるレストランで十八日間だけ働いた宇野千代は、後に自らも筆を執り、女流作家の地位を確かなものにしていく……。尾崎士郎・東郷青児との愛情や、梶井基次郎・萩原朔太郎を始めとする作家たちとの友情に彩られた、彼女の鮮やかな半生を綴る貴重な文壇史随筆集。

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  • 白き帽子の放浪者
    5.0
    紛争続く大陸各地で噂される《白き帽子の放浪者》。どこからともなく現れ、問題を解決して去るという。折しも、ダグラント王国では、大公が蜂起、内戦が勃発し、国民たちは《放浪者》の救済を待望するように。そんなある日、辺境の村娘エファが出会ったみすぼらしい男は、逃走中の国王デュアン四世だと名乗るが……。C★NOVELS大賞特別賞受賞の英雄譚シリーズ堂々完結!

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  • 孤島の夜明け - 蒼穹に響く銃声と終焉の月
    4.3
    グルア監獄の秘密に肉薄するクロラだが、謎に手を掛けた矢先、本土からの調査団に捕えられてしまう。執拗な尋問に耐えるクロラ。一方、平和式典の開かれる本土では、軍拡派によるクーデターが勃発。命を狙われた元帥以下軍首脳陣とディエゴは、議員らと共に議会会館に立て籠もる。グルア監獄と本土で呼応して起きた事件――双方を繋ぐ糸は? クロラは任務遂行できるのか? 監獄ミステリー完結

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  • ねむれ巴里
    -
    深い傷心を抱きつつ、夫人三千代と日本を脱出した詩人はヨーロッパをあてどなく流浪する。『どくろ杯』につづく自伝第二部。

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  • 日本文学史 近代・現代篇五
    4.0
    日本文学の一大特色、私小説と戦時下における戦争文学。つづく戦後は、太宰治、織田作之助、坂口安吾、石川淳ら、無頼派と呼ばれた作家たちの活躍を見る。 私小説/戦争文学/太宰治と無頼派
  • 駿女
    4.0
    奥州平泉のさらに山奥深い糠部の地に育った馬の巧みな少女由衣は、従弟の八郎丸や兄弟達とささやかながらも、幸せに暮らしていた。しかし従弟だと思っていた八郎丸が実は義経の落胤であったことから、頼朝の奥州平定に藤原勢として身を投じることとなる。苦戦を強いられ転戦する由衣たちが最後にとった驚くべき結末とは!?

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  • 波のかたみ 清盛の妻
    4.0
    政争と陰謀の渦中から栄華をきわめた平家一門。やがて東国に興った平氏打倒の嵐に翻弄され、西海の藻屑と消え去るその足跡を、頭領の妻を軸に綴る。公家・乳母(めのと)制度の側面から捉え直す新平家物語。

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  • 猫大名
    4.3
    新田義貞の末裔・岩松家はわずか百二十石の石高と霊験あらたかな「猫絵」でその名を知られていた。二十一代当主・満次郎俊純が明治維新後に男爵に叙せられるまでの波瀾万丈の日々を、幕末の世相・騒乱とともに描く。『猫男爵』を改題。

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  • 東京焼盡
    4.3
    空襲に明け暮れる太平洋戦争末期の日々を、文学の眼と現実の眼をないまぜつつ的確に綴った日録。記録にして記録にあらず、百鬼園先生の詩精神が随処に横溢する稀有の東京空襲体験記。
  • 田端文士村
    -
    巨星芥川の光芒のもとに集う犀星、朔太郎、堀辰雄ら多くの俊秀たち。作家・芸術家たちの濃密な交流を活写する澄江堂サロン物語。〈解説〉植田康夫

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  • 戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録 芸人たちが見た日中戦争
    4.0
    日中戦争中に戦地に派遣された慰問団「わらわし隊」。埋もれていた資料や元兵士の証言を元にその実態を浮き彫りにしつつ、慰問団が見た「南京」や「慰安婦」等、今も論争が続く一連の問題にも一石を投じた力作ルポルタージュ。

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  • 海泡
    3.7
    小笠原諸島・父島――人口二千人の”洋上の楽園”にストーカーが現れ、帰郷中の女子大生が不審な死を遂げた。会心の「スモールタウン・ミステリー」誕生!

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  • 遺臣伝
    -
    武士の世から、庶民の世へ。世の中の価値観が大きく変わり、多くの血が流された幕末維新。その激動の時代の中で、最後にして最強の剣客といわれた榊原鍵吉。時代の荒波にもまれながらも、剛直に剣一筋に生きた生涯とその成長とを小気味よく描く著者渾身の一冊。

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  • SRO neoⅠ 新世界
    3.6
    SRO二代目室長に就任した芝原麗子は、これといった成果を上げられず、重圧に苦しんでいた。人員不足を埋めるべく新たに配属された夏目悠太郎が目をつけたのは、未解決の連続殺人事件。かつての銀幕のスター・鳳翔ルリ子の恐るべき欲望が悲劇を巻き起こす。一方、3年前にテロを企てた大宇宙真理の光教団は、教主・美福門太陽が罪を免れたことで力を取り戻しつつある。さらに、最凶シリアルキラー近藤房子の薫陶を受けた石塚麻友が、非情な殺人鬼へと変貌し――。大人気シリーズの新章が幕を開ける!
  • 発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年
    5.0
    人の気持ちがわからない。人間に関心がない。コミュニケーションがとれない。勇太くんは、会話によって他人と信頼関係を築くことができない。それは母親に対しても 同じだ。でも母にとっては、明るく跳びはねている勇太くんこそが生きる希望だ。 幼児教育のプロとして活躍する母が世間一般の「理想の子育て」から自由になっていく軌跡を描いた渾身のルポルタージュ。子育てにおける「普通」という呪縛を問う。
  • 168時間の奇跡
    3.0
    沢口涼也はある出来事の贖罪のため、街金会社の支店長の職を捨て、5年前に保護犬施設「ワン子の園」の運営を始めた。今では4人のボランティア仲間と心と体に傷を負った犬たちを癒やし、里親が現れるのを待つ毎日だ。しかし涼也は犬の幸せを願うあまり里親希望者の見極めに慎重で、断ることもしばしばだった。そんなある日、恋人で動物愛護相談センターで働く華の元に、「犬を虐待し闇業者へ売りさばいているペットショップがある」という通報が。犬と人間の共生が抱える闇と希望を描く、心温まる長編小説
  • 青二才で候
    -
    大藩藤堂家に仕える澤村甚九郎は、病弱な兄に代わり江戸藩邸出仕を命じられた。伊賀十五家のひとつとはいえ、所詮は貧しい下級藩士。旧い組織の中で汲々と生きる人生にうんざりしていた若い彼は、江戸で立身出世を目論む。だが、夢見ていた甘い思惑は外れ、じゃじゃ馬で鳴らす姫様の守役にされてしまい、困惑する甚九郎だが!? 文庫書き下ろし
  • 死にがいを求めて生きているの
    4.2
    誰とも比べなくていい。 そう囁かれたはずの世界は こんなにも苦しい―― 毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年TVディレクター。交わるはずのない彼らの痛みが、植物状態の青年・智也と、彼を見守る友人・雄介に重なるとき、歪な真実が露わになる。自滅へひた走る若者たちが抱えた、見えない傷と祈りに触れる物語。 文庫版特典:特別付録/本作と螺旋プロジェクトに寄せて       解説/清田隆之 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作) 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
  • ここに住みたい
    3.0
    安ブドー酒を呑むと少くとも僕は真実に出会った気がするのだ――絵本作家・アートディレクターとして一時代を築いた著者が描く、旅の文とスケッチ。フランスで安宿グルメにハマり、メキシコでおもちゃに散財、ある日はスペインで巨匠ダリとふいに遭遇! 知らない町をぶらぶら歩く楽しさが染みわたる。新たなイラスト・コラムも満載し、初文庫化。
  • チキンライスと旅の空
    3.6
    ところで私は、東京にいるとき、あまりチキンライスを食べない。 旅の空の下で、チキンライスは、私と切っても切れないものになるのである。  (本文より) 初対面の人びととの接触こそ旅の醍醐味と唱え、自分が生まれた日の父のことばを思い、四季のない町は日本の町ではないと説いて薄れゆく季節感を憂える……。時代小説の大家にして食エッセイの達人が綴る、食、旅、暮らし。 〈巻末付録〉有馬頼義・おおば比呂司・池波正太郎座談会「わたくしの味自慢」
  • 落花
    5.0
    平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。そこで荒ぶる地の化身のようなもののふに助けられる。のちの謀反人・平将門だった――。豪放磊落でまっすぐな将門は、次第に叛乱の将に祭り上げられていく。戦場に響く喊声、弓矢のうなり……武士の世の胎動を描く傑作長篇。〈解説〉新井弘順
  • 静かなる太陽
    -
    明治三三(一九〇〇)年五月、清帝国では攘夷運動が激化していた。歴史上有名な義和団の乱である。駐在武官として北京に赴任した柴五郎陸軍中佐も否応なく、この内乱に巻き込まれていく。列強各国公使館地区を包囲する数万の敵。迎え撃つ連合軍は僅か五百足らず……。ここに五五日間にわたる、柴たちの地獄の籠城戦が始まった!
  • 酔人・田辺茂一伝
    -
    若き日の立川談志が「人生の師匠」と慕った紀伊國屋書店創業者・田辺茂一。戦後の新宿文化をつくり上げた実業家、そして「夜の市長」と呼ばれた粋人とのユニークな師弟関係を、芸人・文士らとの華やかな交友関係とともに振り返る。家元流の観察眼が光る昭和人物列伝であり、毒舌のうちに故人への哀惜がにじむ漫談風エッセイ。 目 次 短いプロローグ 現代、何故田辺茂一か 第一章 人生の師 第二章 芸人好き 第三章 文人づき合い 第四章 御大の艶話 長めのエピローグ 最期の捨て台詞 〈対談〉どっちかてえとイロゴトより落語 田辺茂一×立川談志 田辺茂一・立川談志 略年譜 〈解説〉ダジャレ社長 高田文夫
  • 家康の子
    4.5
    偉大な父をいつか超えてみせる――。徳川家康の子の生まれ、11歳で人質として豊臣秀吉の養子となった於義丸は、天下人と父との狭間で、自らの使命を見いだしていく。新田次郎文学賞・中山義秀文学賞受賞作家による、福井藩祖・結城秀康の波瀾万丈の生涯を描く歴史巨編。
  • どくとるマンボウ医局記 新版
    4.3
    『どくとるマンボウ航海記』前夜。慶應病院神経科に勤める若きマンボウ氏は、愛すべき患者たちとふれあい、変人ぞろいの同僚と安酒をあおりつつ、人間の本質に思いをはせる――。ユーモラスな筆致のうちに、作家・北杜夫の鋭い観察眼と深い内省が窺えるエッセイ。新たに武田泰淳との対談「文学と狂気」を増補。〈解説〉なだいなだ 目次 第1章 大遅刻と教授からしておかしいこと 第2章 医局員のほとんどが変っていること 第3章 フレッシュマンの生活とイカモノ食いのこと 第4章 朝寝坊の万年おじさんのこと 第5章 宇宙精神医学研究室のこと 第6章 精神科医一刀斎のこと 第7章 医局長の子分役のこと 第8章 留学を思いたつこと 第9章 山梨県の病院へ売りとばされたこと 第10章 助人ついに来たる 第11章 愉しい日々と悲惨な夜 第12章 東京へ帰ったことと航海のこと あとがき 解説  なだ いなだ 対談  文学と狂気 武田泰淳・北杜夫
  • 愛猿記
    -
    文士、猿を飼う。 愛猿、愛犬、愛鳥をめぐるエッセイ集。動物随筆の名品! 誰にもなつかないと評判の猛猿が不思議と著者にはたちまちなついた。情にほだされ、二代目、三代目と飼いつづけた著者と猿(三ちゃん)との十数年の日々。彰義隊生き残りの武士の孫として生まれ、新選組はじめ幕府に殉じた男たちの物語を書き続けた骨太の作家の、意外な横顔を伝える感動のエッセイ。文体は洒脱な語り口調で読みやすく、そして笑いと涙を呼ばずにはいられない。
  • 受難華
    4.0
    1巻968円 (税込)
    井の頭公園で〈秘密の結婚〉をする照子、道ならぬ恋に胸を焦がす寿美子、結婚後に夫の秘め事を知る桂子。女学校の仲良し三人組の恋愛と結婚に、思いもよらぬ試練が次々とふりかかる――。 「低級でも善良」な夫を愛せるか? 自分を欺いた夫を許せるか? 怒濤の昼ドラ的展開で読者を魅了し絶大な人気を博した、『真珠夫人』をしのぐ大正エンターテインメントの傑作。 〈解説〉酒井順子
  • 翻弄 盛親と秀忠
    3.7
    四国統一を成し遂げた偉大な父・元親に愛され、四男ながらも家督を継いだ長宗我部盛親。一方、豊臣の五大老として実質、天下の実権を握る家康を父に持つ徳川秀忠。二人の命運は関ヶ原における勝敗で分かれるも、互いに戦功を上げられぬ屈辱を味わう。それから十余年、運命が再び二人を戦場に連れ戻す――。 戦国の知られざる真実を描く歴史巨篇。 【目次】 第一章 蚊帳の外 第二章 焦燥の急 第三章 後始末 第四章 命運の差 第五章 流動の先 第六章 栄枯盛衰
  • 桂馬の高跳び 坊っちゃん講釈師一代記
    4.3
    私は心底から講釈が好きなのです――。多彩な趣味と遊興に明け暮れた明治生まれの「若だんな」が、芸の道へと飛び込んだ。貞山・伯鶴・初代山陽ら名人の教えを胸に大戦を生き延び、戦後は講談界再興を目指して柔軟な改革と挑戦を重ねた。講談を愛し、講談に尽くした「革命児」二代目神田山陽の破天荒な一代記。〈解説〉六代目神田伯山/長井好弘
  • 魔王の黒幕 信長と光秀
    3.7
    天正10年6月、明智光秀は1万2000の軍勢を率いて丹波亀山城より出陣した。天下人・織田信長の命で、備中高松城を包囲する羽柴秀吉の後詰をするためだ。波瀾に満ちた我が人生と、亡き妻・煕子の献身に思いを馳せる光秀。思えば、信長に仕えてからの14年余――魔王の如き主の所業の陰には、常に自分がいた。「今は戦国乱世、闇に覆われた世だ。乱世の闇を掃うには、より巨大で濃い闇が求められる」。第六天魔王・信長の先達として駆け抜けた光秀の胸に、今、去来するものは……。 福井新聞好評連載、書籍化。 【目次】 第一章 疑惑 第二章 信長 第三章 魔王 第四章 決別 第五章 惟任 第六章 献身 第七章 決意 最終章 謀反
  • 星になれるか
    完結
    3.0
    全1巻968円 (税込)
    『傷痕の街』で作家デビューした越路玄一郎。野坂昭如との出会い、吉行淳之介、長部日出雄とのバンコク旅行、そして直木賞受賞。その後訪れた睡眠薬中毒と小泉喜美子との離婚。自身が再起へ向かう姿と、一九六四年~七八年の綺羅星のような作家たちの活躍を描く、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説完結編。 〈解説〉郷原 宏 ■目次 星になれるか/面白き罪/バンコク有情/ドリアンの謎/モンスターの尻尾/独り砂漠を/甘美なる腐敗/回帰への終章
  • 浪漫疾風録
    3.8
    二十三歳の越路玄一郎が入社したのは、個性派揃いの梁山泊のような出版社だった。部長の田村隆一に仕事を叩きこまれ、都筑道夫の後を受けて『EQMM』編集長を務め、そして作家に。一九五六年~六四年の疾風怒濤の編集者時代と戦後ミステリの草創期を活写する、ハードボイルド作家の自伝的長篇小説。 〈巻末エッセイ〉河合 靖/〈解説〉郷原 宏 ■目次 地獄へようこそ/悪戦苦闘/汗みどろの日々/粋で貧乏で/色やら恋やら/走り出す人々/ミステリ戦国時代/さらば編集者/あとがき
  • 東京五輪の残像  1964年、日の丸を背負って消えた天才たち
    -
    1964年・東京オリンピック。日の丸という十字架を背負ったための曲折と波乱に満ちた選手人生の軌跡を追った衝撃のルポルタージュ。 日本が戦後からの復興ぶりを世界に示した1964年の東京オリンピック。戦後日本の一大イベントの大舞台に臨んだ選手たちは、国を背負い、人々の期待を担った輝ける星だった。彼らはその後の半世紀、いかなる行路を歩んできたのか。出場選手の軌跡を追うと東京オリンピックに参加した日本選手357人の中に4人の行方不明者がいた。日の丸という十字架を背負った選手たちは、オリンピック後の人生とどう格闘し、何を得たのだろうか。その後の選手たちを追った迫真のルポルタージュ。新たな最新取材の書下ろしを加えた一冊。解説/為末大 (『五輪の十字架』を加筆・改題)

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