作品一覧

  • 蓬莱島余談 台湾・客船紀行集
    3.4
    1巻990円 (税込)
    台湾はいつでも小鳥が啼いている。お正月に朝顔が咲き出す。まあ一ぺん来て御覧なさい――一九三九年十一月、精糖会社専務の友人に招かれ、鉄路で縦断した台湾紀行をはじめ、日本郵船の嘱託として主宰した船上座談会など、太平洋戦争開戦前夜の客船周遊記を集成。文庫オリジナル。 〈解説〉川本三郎 (目次より) Ⅰ 不心得/大和丸/東支那海/屏東の蕃屋/小列車/基隆の結滞/時化/砂糖黍/玄冬観桜の宴/バナナの菓子/蟻と砂糖/戻り道/船の御馳走/航路案内/迎暑/神風機余録/蕃さんと私/ * 当世漫語(昭和十四年十二月)/蓬莱島余談(昭和十五年七月) Ⅱ 波光漫筆 鎌倉丸周遊ノ一/入船の記 鎌倉丸周遊ノ二/三ノ宮の乞食 鎌倉丸周遊ノ三 /風穴 鎌倉丸周遊ノ四/山火事/流民/岸壁の浪枕/出船の記/門司の八幡丸/タンタルス/波のうねうね Ⅲ 新造/婦人接待係/沖の稲妻/虎を描いて/狗に類する/しっぽり濡るる 〈解説〉川本三郎
  • 追懐の筆 百鬼園追悼文集
    4.4
    1巻1,100円 (税込)
    師の臨終に立ち会い号泣し、奇禍に倒れた友の事故の様子を丹念に取材し記し、幽霊でも良いから夢に出てこいと弟子へ呼びかける。夏目漱石、芥川龍之介、鈴木三重吉ら一門の文学者から、親友宮城道雄、教え子、飼い猫クルツまで。哀惜をこめてその死を嘆き、思い出を綴る追悼文集。〈解説〉森まゆみ (目次より) Ⅰ 漱石先生臨終記/湖南の扇/亀鳴くや/花袋追慕/花袋忌の雨/寺田寅彦博士/御冥福を祈る/鈴木三重吉氏の事/四谷左門町/酒徒太宰治に手向く/黒い緋鯉/草平さんの幽霊/青葉しげれる/薤露蒿里の歌/舞台の幽霊/追悼句集 Ⅱ 朝雨/「臨時停車」より/東海道刈谷駅/「つはぶきの花」/宮城会演奏プログラム口上一束/ピールカマンチヤン/「新残夢三昧」より Ⅲ 鷄蘇仏/破軍星/空中分解/アヂンコート/片山敏彦君 解説 森まゆみ
  • 百鬼園戦後日記(全三巻合本)
    -
    1巻3,300円 (税込)
    『東京焼盡』の翌日、昭和二十年八月二十二日から二十四年十二月三十一日までを収録。掘立て小屋の暮しを飄然と綴る。〈巻末エッセイ〉谷中安規、高原四郎、平山三郎、中村武志。〈解説〉佐伯泰英。

ユーザーレビュー

  • 蓬莱島余談 台湾・客船紀行集

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    内田百閒が日本郵船の顧問だった時に横浜、神戸、下関等を船で行き来した際の随筆を編集したもの。前半は台湾の製糖会社重役の知人を訪ねて9日間訪台した紀行文。当時の日本人の台湾に対する見方が素直に読み取れる。後半では郵船が誇る豪華客船の一等船室やレストランの様子もよくわかる。旅客機が一般化する前、客船黄金期の旅に同行しちるかのような不思議な感覚を得た。「郵船秩父丸」という随筆が特に洒脱で笑った。船旅は良いなと思った。

    0
    2023年09月30日
  • 追懐の筆 百鬼園追悼文集

    Posted by ブクログ

    冥途や東京日記などの不思議な小説で好きになり、鉄道と借金の愉快なエッセイで笑って、そして漱石先生臨終記でぼろぼろに泣いて、この人は天才だと思った。
    そんな百閒先生の追悼文集、偏屈な著者写真からは想像できないくらい情に溢れた文章ばかりで、胸がいっぱいになった。
    宮城さんの演奏や写真を見ることですら「だめになってしまふ」だったのに、どんな日々と感情を経て、あそこまで詳細な事故の様子を書いたんだろう。

    0
    2023年02月28日
  • 追懐の筆 百鬼園追悼文集

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんのラジオで紹介。百閒先生の誠実さと愛情深さが伺える。夏目漱石、芥川龍之介、田山花袋、寺田寅彦、飼猫のクルツまで。中でも親友宮城道雄の追悼は胸を打つ。訃報を受けたあとは欠伸の数を勘定した。死神の迎えを受けて目をさましたと始まる「東海道刈谷駅」は圧巻。芥川の自殺について「余り暑いので死んでしまったと考え、またそれでいいのだと思った」と語っているのが哀しい。

    (検校(けんぎょう)は、中世・近世日本の盲官(盲人の役職)の最高位の名称)

    0
    2021年07月29日
  • 追懐の筆 百鬼園追悼文集

    Posted by ブクログ

    「なぜ死んだ。馬鹿」
    自らの落ち度で命を落とした訳ではない故人に手向ける言葉ではない。しかしその言葉を吐かずにはいられないほど動揺し、悲しんだ百閒先生の故人への深い愛を感じる言葉でもある。
    その他にも百閒先生らしい追悼文が並ぶが、中でも親しい間柄であった宮城道雄氏を悼む文章は、百閒先生の痛みが伝わって来て切ない。

    0
    2025年01月14日
  • 蓬莱島余談 台湾・客船紀行集

    Posted by ブクログ

    『阿呆列車』の百閒先生が、日本郵船の嘱託職員としての乗船三昧の日々を綴ったエッセイ集。

    乗車体験を綴らせたら当代随一だったが、その力は乗船体験においても劣ることなく発揮されている。
    文人として畏まったところが一切なく、あくまで一人の人間として、そして失礼ながら決して立派ではなくどちらかというとスノッブ的な生き方をしている人間が感じることを一切装飾なく等身大に語る。
    今でも作者の等身大の目線で綴られるエッセイやら漫画はごまんとある。
    それでも、
    ・大した下調べも裏取りもせずに、自分にあてはめて適当に推測する虚脱感
    ・虚脱の中でもリアリティを感じさせる場面を切り取るジャーナリズム
    ・時折はっとさ

    0
    2024年03月02日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!