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Posted by ブクログ
以下、引用
●そのころは、軽井沢から草津まで、草軽鉄道という高原列車があって、(中略)たしか昭和三十年代で廃線となり、それにかわってバスが運行するようになったが、乗物のコースの変化によって、風景もまた変化するのだ、ということを、痛感したものだ。いや、変化するものは風景だけではあるまい。人間も、その意識も村落もその論理も、きっと変化するだろう。交通機関と、そのコースの変化は、情報、通信、流通といったものに、大きな影響をあてずにはおかないし、その影響によって、人間の生活形態から女性のスタイルまで、変化せざるをえないのだから。
●野鳥がしきりに啼いている。カッコウ、つつどり、ジューイチ、ほととぎす、どのさえずりも北軽井沢の森のなかでおなじみのものばかり。「なんだ、まるで北軽井沢の開拓部落のあたりを散歩しているみたいじゃないか」とぼくが言うと、「でも、土の色がちがうわ」と白狐。なるほど、たしかにそのとおりだ、火山灰地の北軽井沢の土の色とくらべたら、はるかに黒く、その光沢にねばりのようなようなものがある。
Posted by ブクログ
20台半ばごろ、つまり30年以上前に読んでいる。
その三十余年前は、一人旅の山陰本線の車内で、タムラさんのように堺港から隠岐に渡ろうか、出雲に行こうか考えていたりもした。
僕の記憶では、タムラさんが鎌倉の自宅か散歩中にふと思い立って、西脇順三郎の詩集だけを手にして、旅に出る場面があったはずなのだが。
タムラさんは何処に行っても、酒が欠かせないし、その文章は軽々して柔らかい。この文章を丸谷才一が名文とした「文章読本」も読んだことある。確かにクダケテいるのに何とも品がある。
最近、タムラさんのエッセイを本屋で見ることが少なくなった。復刻して欲しいとおもう。
Posted by ブクログ
「荒地派」と呼ばれる現代詩の一大潮流を築き上げた詩人、田村隆一が日本各地を酒(特にウイスキー)を片手に巡り歩く旅行記。
私が最も好きな作曲家の一人が武満徹であるのだが、彼の「My way of Life」という作品では、田村隆一の「私の生活作法」というエッセイがテクストとして利用されている。
その中で特に次の一節が記憶に残っている。
”「時が過ぎるのではない 人が過ぎるのだ」
とぼくは書いたことがあったっけ
その過ぎてゆく人を何人も見た
ぼくも
やがては過ぎて行くだろう”
このテクストからも明らかな通り、田村隆一の文章は平易な言葉で綴られている。本書では旅行記、という性質もあるのかもしれないが、気の置けない仲間たちと日本各地を歩く楽しさに満ち溢れている。今となっては一部の特別車両でしか楽しめない食堂車における痛飲の描写が多いのも、昭和の良き時代を想起させる。
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