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ねじれた家に住む心のねじれた老人が毒殺された。根性の曲がった家族と巨額の財産を遺して。内部の者の犯行と思われ、若い後妻、金に窮していた長男などが疑心暗鬼の目を向け合う。そんななか、恐るべき第二の事件が……マザー・グースを巧みに組み入れ、独特の不気味さを醸し出す童謡殺人。
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「アガサ・クリスティー ねじれた家」
2019年4月19日公開 出演:グレン・クローズ、マックス・アイアンズ、ステファニー・マティーニ
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Posted by ブクログ
きっと犯人はソフィアだろうという偏見を抱きながら読んでいたので、真相が判明して大分呆然としてしまった。登場人物はどいつもこいつも癇に障るタイプではあったけれど、だからといって『ねじれた家』に住んでいたせいでねじれた人間になり、こんな惨事が起きたのだ、と考えるのはさすがに可哀想に思えて困った。そうやっ...続きを読むてひどい動揺を与えてくるところまで含めて、なかなか恐い話だったと思う。
ねじれた家 みょっとしたボタンの掛け違いでねじれていく家族の様子がうまく表現されていた。犯人の動機には背筋がぞくっと…
積読アガサ3/4冊目 富豪に群がる複雑な親族 遺産目当てか?それとも… 一見容疑者不在のように思えるが、話が進むごとに全員が犯人かもと思えてくる 特別なトリックがない会話劇のような展開なのに、ちゃんとミステリーになっている 残るはあと「ナイルに…」だけなのでまた仕入れないと
【ノンシリーズ】 またもやすごい作品と出会ってしまった…。 この作品を忘れることはないと思う。 重い余韻が残り、読み終わった後にもずっと考えてしまう。 クリスティー自身のベスト10に入っているのも納得。 ねじれた家に住むねじれた一族。 全員がねじれていて、それぞれが絡まって強い1本になっている。 ...続きを読むどんな一族なのかを書くとこの本の面白さが半減するので書かないけど、今までの作品に出てきた一族とは違うタイプの一族だった。 最後の方は犯人が誰か早く知りたくて、目が勝手にどんどん先に進んでしまった。 読み終わってから気になる所を2度読みすると、堂々と伏線が張られていることに驚く。 ここまで書いてるのに犯人に気付けない。 これだからクリスティーはやめられない。 ノンシリーズはこれで6作品目だけど、全てほぼ★5を付けてる。 やっぱり名探偵が出てこないノンシリーズの方が人間ドラマが濃くて好きだ。
クリスティ作品は再読が多いのだが、今作は初めて読む作品だったのだ。クリスティにもその種類のミステリーがあったのかと驚愕、新しい発見だ。余り今作をクリスティのベストにランクしているものを見た事が無いが、少なからず現時点では僕のクリスティ10選に入れたい程、強く衝撃を受けた作品だ。 「ねじれた家」と...続きを読むいう土台がありながら、そのイメージに合った世界観、環境観下でありながら、実は家族愛に満ちたレオニダス一族の物語で、クリスティ作品では金持ちは嫌な印象を与える事が多いが今作のアリスタイドは読み進めるととても好印象な人物である。しかし、その「家族愛」こそねじれの原因であり、家族一人一人が個性と歪みを持っており作品自体を「ねじれた」イメージにする一環を担っている。 物語のスタートは戦時下のイギリス。若い二人の男女、チャールズとソフィアは気が合い、結婚を考えるが、チャールズは二年感東洋での任務がある。彼はソフィアに二年後ロンドンでまだ自分達の気持ちが変わらなければプロポーズしたいと伝え、彼女も了承。その時初めて彼女が大金持ちの孫娘である事を知る。 二年後、任務を終えイギリスに戻り、ソフィアと再会するが、その際に彼女の祖父アリスタイドが亡くなった事を知る。ソフィアは結婚自体反対ではないが、祖父の死に疑念があり、それが解決しなければ家族が原因で暗いモノを引きずるかも知れないため、真相の解明を望む。チャールズの父親は警視総監であり、警察の捜査とともにソフィア達の暮らす通称「ねじれた家」を訪問する。 あからさまな探偵役が乏しい為、一体真相はどうなのかが終盤まで明かされない。ソフィアの妹が探偵役の片鱗を見せるが、中々チャールズに伝わらない。ソフィアの家族達は何かを感じている様でありながらそれも読者には明らかにされないもどかしさもあり、不穏な空気感漂う世界観が続いていく。 今作の真相について、有名作家の作品には必ずある種類の真相であり、ある意味でフーダニットの王道になるが、当時はまだ少なかった手法だろう(ネタバレになるので作品名は挙げないが、クイーンのシリーズが挙げられる)。ミステリー好きなら読みながら犯人を推測するが、一番衝撃的なのはという事で二名程怪しんでいたがそれでも充分に驚いた。 また、結末についても慈愛に満ちたものであり、登場人物のイメージがガラリとかわる。結末も先程挙げたクイーンの作品と同じプロットなのだが、こちらの方が印象が強い。完成度が非常に高く、作中でクリスティ特有の伏線や匂わせがあるにも関わらず気持ち良く騙される。 チャールズ、ソフィアもそうだが、エディス、ジョセフィンと活躍する人物が多い。特にジョセフィンは12歳で有りながら一部探偵役を担いチャールズは振り回される様がワトソンの様だ。 非常に面白く、是非おすすめしたい作品。実は読み易く余りクリスティを読んだ事がなくても勧めたい。
「アガサ・クリスティー読み直しキャンペーン」の第4弾です お久しぶりになってしまいました この後も「ディック・フランシス感謝祭」とか「江戸川乱歩ワールドツアー」とか「ヤマザキ春のパンまつり」とかいろいろ控えてるんですが 読みたい本が次から次へと出てくるんでどうしても再読は後回しになりがちです でも...続きを読むやっぱり読み直して良かったなぁと思わせるクリスティーの名作中の名作『ねじれた家』です この作品はクリスティーの晩年の名作なんですが、クリスティーらしいどことなくユーモアのある軽快な会話の妙で物語が進みつつ、全く新しいミステリーの形になっていて、まだ新しいアイディアが出てくるのか!という驚き 誰もがわかる安心安定なクリスティー節と初めての世界観の提示という完全に矛盾することをサラッとやってのけてるところはもう驚天動地です さすがミステリーの女王! 次あたりはさすがにクリスティー王道のオリエント急行あたりを読みたいけどいつになるやらw
ノンシリーズ物。すごく面白かった!!犯人に驚いたけど、読み返すと至る所に伏線が張られていた事に気がつく!!
失敗
ネタバレのコメント読んでしまったから、犯人分かりながらだったので失敗しました。
アガサ・クリスティー仲間(と私が勝手に思っている)の同僚が、私が勧めた『春にして君を離れ』を読んでくれたので、彼女おすすめのこちらを読んでみました。 アガサ・クリスティーのノンシリーズもの。 原題は『CROOKED HOUSE』。 1949年の作品。 一族の当主が殺され、それまでなんとか均衡を保...続きを読むっていた家族が綻びだすというクリスティーお得意の展開。 主人公チャールズはポアロでもマープルでもなく、ヒロインと結婚したいだけの外交官なので、殺人事件は一向に解決せず、物語の大半はこの「ねじれた家」の「ねじれた家族」の話が続きます。 しかしながら、それがおもしろいんだな。 さすがのクリスティーというか、描写も会話も洒脱でクラシックな上品さがあり、読んでいるだけで楽しい。 舞台となる〝ねじれた家〟「スリー・ゲイブルズ(三つの切妻)」は、玄関ホールは一緒だけど、内部が三つの独立した建物になっているという構造らしく、「ねじれた家族」のメタファーでもあるわけです。 これはビジュアルで見てみたいと思ったら映画になってるんですね。グレン・クローズ、テレンス・スタンプ出演。 家族全員がどこか不気味で残酷で、みんな怪しく見える。 私はユースティス、あるいは気を衒ってソフィアかチャールズが犯人かと予想しましたが、これもいつものことでクリスティーの場合は、誰が犯人かということより、なぜこの人が犯人なのかがおもしろい。 (他の人の感想を見ていたら「読み終わって犯人がわかったあとでも俺は◯◯が真犯人だと思ってる!」という意見があって共感しました。なんかね、あの人が一番腹黒そうなんだよねー。) 画家だったり殺人犯だったり固有名詞がちょこちょこ出てくるんですが、ここは脚注がほしかったところ。 ・エディス・トムソン(イーディス・トンプソン) 1922年、8歳年下の愛人フレデリック・バイウォーターズが夫を殺害。手紙で殺人を教唆したとして処刑された。 ・コンスタンス・ケント 1860年、16歳のときに4歳の異母弟を殺害。 1865年、聖職者に罪を告白し逮捕。 聖職者の守秘義務が議論を呼ぶ。 41歳で釈放、看護師、寮母となる。 1944年、100歳で死去。 コンスタンス・ケントは有名な殺人犯のようで、私たちが「酒鬼薔薇」の名前をあげるように当時は普通に使われていたんでしょうか。 この事件は他にも小説になってるらしいので読んでみたいです。 それから「とりかえっ子」という言葉。 「妖精がきれいな子をさらってそのかわりにおいて行く小さくて醜い子の意」と訳注がありました。英語でなんていうのか調べてみたら「changeling」。 (原文を検索していたらAIモードが思いっきり犯人の名前を掲載していました笑) 主人公のチャールズが探偵としてはポンコツすぎるんですが、そのぶん、推理小説としてよりも、奇妙な家族の物語としてクリスティーのストーリテリングが堪能できる作品でありました。もうこのまま解決しないで迷宮入りしてもいいんじゃないかとすら思った。 (225ページ) 「うちの家族みたいに愛情がもつれあったような形で暮らしているのはもっとよくないと、あたし、思うの。 と言うのはね、家族みんながちいさな〝ねじれた家〟の中に、一緒にごたごた住んでいるということなのよ。〝ねじれた〟と言ったのは悪い意味じゃなくって、ひとりひとりではまっすぐに立っていられないという意味なの。それぞれが、ちょっと曲がったり絡みあったりしてるということよ」 (352ページ) 「探偵小説じゃね、つぎからつぎへと人が殺されていくのよ」 「でも最後には犯人がわかってしまうわ。だって、おしまいまで生き残った人がそうなんですもの」 以下、引用&メモ ・エディス・トムソン(イーディス・トンプソン) 1922年、8歳年下の愛人フレデリック・バイウォーターズが夫を殺害。手紙で殺人を教唆したとして処刑された。 ・コンスタンス・ケント 1860年、16歳のときに4歳の異母弟を殺害。 1865年、聖職者に罪を告白。 聖職者の守秘義務が議論を呼ぶ。 41歳で釈放、看護師、寮母となる。 1944年、100歳で死去。 ・シャーロット・コーデイ(シャルロット・コルデー フランス革命においてマラーを暗殺。 43 信じられぬ光景だった! 私はスリー・ゲイブルズ(三つの切妻)と呼ばれているわけがわからなかった。イレヴン・ゲイブルズ(十一の切妻)といったほうが、ふさわしいのに! 奇妙なことに、家は見なれない具合にねじれていた──そのわけはわかるような気がした。いってみればコテッジふうなのだ。それも、まったく釣り合いを無視して、ふくれあがったようなコテッジだ。大きな拡大鏡でのぞいて見た田舎の農家という感じであった。はすかいになった梁、木骨石積み造り、切妻──夜のうちに、キノコのように伸びてしまった〝ちいさなねじれた家〟だ! 47 「いかにもあの人らしくやってきたわ。そう、ハレム・タイプなのね。ただ坐ったきりで、おいしいものを食べたり、きれいなドレスや宝石を集めたり、三文小説や映画を見たりするのが好きなのよ。」 54 「しゃくにさわるわね、このつる草のやつは。いちばんたちが悪い草ですよ。草を枯らすし、絡みつくし──とても根こそぎにできませんよ、なにしろ土の下で根をはっているんだから」 55 「どうして、女優になってまで子供をつくるのか、わたしにはわかりませんよ。」 56 「フィリップ・レオニデスは、なにをなさっているんです?」 「本を書いてるんですよ。どういうわけだか知りませんがね。だれも、読みたいなんて人はいませんよ。みんな、知られざる歴史上のディテール、そんなものばかりなんですよ。」 64 顔は、当節のご婦人がお化粧をぜんぜんしない時に見せる、ショッキングなほどの素顔だった。 65 「喜劇というものは、サスペンスを高めるものなのよ。」 66 「エディス・トムスンの芝居だったら、こういうふうに演るものだとお思いになりません?」 68 「わからないでしょうね! 娘があるって、どんなにいいものか」と言ったが、それは私に言っているようでもあるし、また私のうしろの本棚に喋っているようにもとれた。 69 「心配しないで。お母さまならプロデューサーの言うとおり演るわ。あたしがプロデューサーよ」 73 「お父上に、これといっていつもと変わったところはなかったんですか」 ちょっと皮肉な調子で、フィリップはそれに答えた。 「父はべつに、その日殺されることになっているんだなんてことは、一言も言いませんでしたよ」 82 私はまず、優雅につんと上向いた彼女の鼻の魅力に気づいた。それはアシーン・セイラーをかすかに思わせる──これが桃色のネグリジェを着ていた騒々しい女だとはとても信じられない。 アシーン・セイラー Athene Seyler イギリスの女優 90 この部屋は、まったく彼女そのものだった。壁は白く──真白に、室内装飾でよく言われるような、象牙色や淡いクリーム色を指すあの白色ではなくて、ほんとに白一色で塗られている。マントルピースの上に掲げてある、バトルシップ・ブルーとダーク・グレイの三角形をあしらった幾何学的な幻想風の絵をのぞいたら、壁にはなんの絵もかかっていない。それに家具も、ほとんどないといってもよかった──三、四脚の椅子、ガラス製のテーブル、それから小さな書棚というほんの当座の必要品だけで、なんの飾りもなく、あるものは光と空間ばかりだった。 91 五十ぐらいの年を思わせる彼女の髪は灰色で、イートン校の学生風に短くカットしてあったが、それが、彼女の品のいい頭によく似合っていて、短いカットと言うと私がいつも思い浮かべるあの奇妙な感じはすこしもなかった。 97 彼はさらに、ロンドンで彼女がやっている仕事の性質についてニ、三の質問をした。それは核分裂の際の放射線を利用してやらなければならない仕事だと彼女は答えた。 「ほんとに、原子爆弾のお仕事をやっておられるんですか」 「わたくしの仕事は、そんな破壊的な性質はすこしもないんですの。研究室は、医療面における実験をすすめているのです」 101 「部屋って、ずいぶん不思議なものですな。そこに住んでいる人間について、じつに多くのことを教えてくれるものだ」 104 「オウガスタス・ジョンの作ですがね、なかなか個性をもっていますな、どうです?」 サージェントの多くの画がそうだが、この画もなにか残酷なにおいがたちこめている。 115 「メイドの話では、二人は相思相愛の仲だというのですがね」 「どうしてわかるんだ?」 「夫人があの青年のためにコーヒーを注いでやるとき、彼女を見つめる彼の眼つきだというんですがね」 127 「おじいさまはただブレンダがほしかっただけ。乞食娘と結婚するコフィチュア王の役が、ちょっとやってみたかったのよ。」 129 「どうして男の人って、穴居人のような野蛮人だけが異性にとって魅力的なんだなんて考えるのかしら。」 137 ジョゼベル 「〝犬は女の両の掌を残し、すべてを食らいぬ〟どうして犬は掌を食べなかったんでしょう?」 139 「針さしには書き置きをさして行かなかったでしょうよ。そんなの、ずいぶん大時代の本にしかないわね。奥さんが旦那さまに別れるときにそうするんですって。でもいまじや、だれも針さしなんか持ってないんだから通用しないわね」 147 「まるで『ヴォイジイ家の遺産相続』みたいだったわ」 162 「プリチャードだって人づきあいはいい男だったっていうからな」 167 「『あたしの居間にいらっしゃいません』と蜘蛛は蠅に言いました、ですか?」 183 「たとえば、コンスタンス・ケントが、殺した弟を非常に可愛いがっていたことはだれしもみとめるところだ。ところが、彼女はその弟が自分より大事にされ、可愛いがられることをひどくねたんだわけだ。この例にもみられるように、憎んでいるものより愛するものを殺すことはよくある例だ。愛情の執着があるからこそ、その人間の存在が我慢ならなくなるということがよくあり得るものだからな。」 『最初の刑事 ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』 194 「でも駄目、話さない。あんたときたらワトスンと同じだもの」 「駄目、シャーロック・ホームズは好きじゃないわ。古くさいわよ。馬車でかけまわっているんですもの」 203 「いったい、共産主義者がなんの理由でおじいさまを殺したんでしょう?」 「人の話では、ああいうやからは突拍子もないことをするそうですからね。でも、もしそうでないとすれば旧教徒よ。旧教徒ときたら、バビロンの緋色の淫婦みたいに俗化してますからね」 204 「クレメンシイは、夫が財産をみんななくしても、ちっとも気にかけない人よ。むしろ喜ぶかもしれないわ。あの人は物を持たないことに妙にあこがれている人ですもの。」 205 その部屋の中でいちばん美しい眺めは、マグダとユースティスの親子だった。二人はソファに並んで腰かけていたが、ゲインスボロの肖像画のように見えた。 その隣りの母親のほうは、片手をソファにかけて坐っていたが、ゲインスボロの描いたスリー・ゲイブルズの伯爵夫人のように、ゆったりとしたタフタのガウンをきて、錦織りのスリッパをはいたきゃしゃな足を片一方だけ前に投げだしていた。 206 「ねえ、ロンドン警視庁ってどんなところです?」マグダはからだを乗り出すようにして訊いた。「いつも知りたいと思っているんですけど……テーブルとデスクと椅子があって? カーテンはどんなの? お花なんてないでしょ? 口述録音機はあるんでしょうね?」 207 「お母さまはロンドン警視庁のシーンがおもしろくないからといって、ババソール・ジョーンズさんに頼んでカットしてもらったんじゃないの。滑稽なだけだっておっしゃってたじゃない」 216 「いい仕事というものは、熱意と情熱をもち、素直な直感力にもとづいてなされてはじめてできるものなのです。お金をかけた設備とか訓練とか実験などは、あなたのお考えになるほど役には立たないものなんです。」 220 「あの人ときたら、不便な生活が好きで、コップは一つしか使わないというような人なんですよ。モダンな生き方というのかもしれませんがね。なにしろ、過去だの生活の美しさだのという観念がないらしいですね」 225 「うちの家族はあんまり仲がよすぎていけないのよ。あんまりお互いに愛しあいすぎるの。家族によっては、お互いが敵ででもあるかのように憎みあっていることがあるわ。それもあまりいいとは言えないけど、うちの家族みたいに愛情がもつれあったような形で暮らしているのはもっとよくないと、あたし、思うの。 と言うのはね、家族みんながちいさな〝ねじれた家〟の中に、一緒にごたごた住んでいるということなのよ。〝ねじれた〟と言ったのは悪い意味じゃなくって、ひとりひとりではまっすぐに立っていられないという意味なの。それぞれが、ちょっと曲がったり絡みあったりしてるということよ」 227 「まあ、あなたの年ごろでは、恋愛といえば、若いきれいな男女が月の光のもとで語るものと思うのも無理ないことだけど」 241 「ぼく、ヘンリー八世が、アン・ブリンにすばらしい詩を贈ったこと知らなかった」 276 「わたし、いつもあの子のことをとりかえっ子(妖精がきれいな子をさらってそのかわりにおいて行く小さくて醜い子の意)って呼んでは、あの子を怒らせたものだわ。」 changeling 292 夫とは反対に、ゲイツキルの言葉が終わるか終わらないうちに、マグダはおそろしい勢いで喋りだした。その豊かな朗々とした声は、ちょうど満ちてくる潮がせせらぎをかきけすように、弁護士のかぼそい口調をうちくだいた。 350 モーニング・ルーム 352 「探偵小説じゃね、つぎからつぎへと人が殺されていくのよ」 「でも最後には犯人がわかってしまうわ。だって、おしまいまで生き残った人がそうなんですもの」 373 シャーロット・コーデイの話をあたしにしてくれたもの。シャーロットは、あの人のお風呂でだれかを殺したんだって。これは、あんまり利口なやり方じゃないわ。
1949年発表、ノンシリーズの一作。作者自薦のベスト10にも挙げられる屈指の名作。なんだろう、ものすごく尖ったところがあるわけではないが、2度と忘れることができないような、重く鈍い衝撃と余韻がある。謎解きの苦味と、語り手の底抜けの馬鹿らしさと愚かさ、ねじれたまま元に戻らない無情さ、それらの一体感。そ...続きを読むれら苦味こそ、本書の旨みかもしれない。
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アガサ・クリスティー
田村隆一
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