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Posted by ブクログ
約50年前、ミステリーの名作中の名作「そして誰もいなくなった」を読んだ。ものすごく感動した。ただ、内容で覚えているのは、孤島で10人が次々とマザーグースの童謡の通りに殺され、最後には誰もいなくなることぐらいだ。その本はいま手元になく、おそらく実家の本棚のどこかに眠っている。
アガサ・クリスティーの没後50年の2026年1月に、改訳新版がハヤカワ文庫から出された。そうと知っていたわけではないが、昨年から「オリエント急行の殺人」や「ABC殺人事件」「クリスマス・プディングの冒険」「火曜クラブ」と未読だった作品を気まぐれに読んできて、次はやはり「そして誰もいなくなった」を再読しなくてはと、何の必然性もなく考えたからだ。
読んでみて、愕然とした。全く初めての作品を読んでいる感覚だ。青木久惠さんの新訳が洗練されたわかりやすい文章で、リーダビリティーが素晴らしく高い。再読も一気読みだった。
考えてみれば、半世紀も前に読んだ本の中身を詳しく覚えている方が奇跡だろう。50年前に習った物理・化学・数学・漢文・古文なども、ほとんどきれいさっぱりと忘れているのだから。
「そして誰もいなくなった」が英国で出版されたのが1939年、日本では1955年。たぶん1970年代初めに読んだ私が、いま再読して言えるのは、「そして誰もいなくなった」は時代や社会がかわっても傑作であり続けるという、しごく当たり前のことだけだ。未来の読者も私と同じような感動をきっと味わってくれることだろう
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