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優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
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Posted by ブクログ
読み終わって、恐ってなった! アガサ・クリスティー作品ではあるが、 殺人事件とか何も起きて無いんだけどಠ_ಠ 家族の歪さをこれでもかと見せつけられた。 家族を、夫を心から愛していると信じるジョーン・スカダモアの有りようが哀しいし、虚しい。 本人は良き夫、良き子供たちに恵まれて理想的な家庭を手に入れ...続きを読むたと自負しているのに、「知らぬは当人ばかりなり」といった具合に事実は全くの逆。それを段々に鋭く描き出しているから凄まじい! 流石のクリスティーだな、と感嘆しました。 砂漠の只中で一人、自身の内面を省みることしかやる事が無くなっていく描写が寒々とこわかった… 汽車がやっと着いて、徐々に現実の生活に戻りながら利己的な自身をも取り戻していく様子も哀しい。人はそう簡単に変われやしないと分かってはいても。
子育てに行き詰まった時、おすすめの本を探していて見つけた一冊。 読後の感想……怖い。 いや、怖すぎる。 ぎゃーーーっ!でした。 何が怖いかと言うと、誰の心にもあるかもしれない部分を見せられたことです。 「自分は正しい」 「子どものために、夫のために、家族のために最善を尽くしている」 そう信じ...続きを読むてやってきたことが、もし間違っていたとしたら……。 ひとり自分自身と向き合う時間の中で、これまで気付かなかったことにも気づいていきます。 けれど、日常に戻った途端、また以前の自分へ戻ってしまう。 人は、そう簡単には変われないのかもしれません。 子どものためと思っていることは、本当に子どものためなのか。 家族を思う気持ちの中に、自分の「こうあるべき」を押しつけてはいないか。 そんなことを考えさせられる一冊でした。 ******************** 読後のざわつき度:⭐⭐⭐⭐⭐ でも読んでよかった度:⭐⭐⭐⭐⭐ ********************
「自分は正しい」という善意が、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまう。そして、自分では正しいと思っているからこそ、そのことになかなか気づけない。本作が描いているのは、そんな「無意識の罪」の怖さなのだと感じた。 ジョーンは、偶然砂漠で家族から離れて一人になることで、これまでの人生を振り返り、自分が...続きを読む良い妻・良い母としてしてきたことが、実は家族の気持ちを無視していたのではないかと気づいていく。しかし家族のもとへ戻ると、結局また「自分は正しかった」という元の考え方へ戻ってしまう。 人は何かに気づいたからといって、物語のようにきれいに変われるとは限らない。この現実的で救いきらない結末に、本作の静かな怖さを感じた。同時に、ときには日常から離れ、自分や周囲との関係を客観的に見つめ直す時間の大切さも感じる。 また、ジョーンだけが悪いとも思えない。自信と行動力がある一方で自分の正しさを押しつけてしまうジョーンと、穏やかな一方で本音を伝えず不満を抱え込むロドニー。二人とも長所がそのまま短所にもなっていて、人間関係とはこうした互いの性格の微妙なバランスの上に成り立っているのだと気づかされた。 登場人物の何気ない言葉や行動にもさまざまな意味が込められていて、一度読んだだけですべてを理解しきれたとは思えないほど深みのある作品だった。時間をおいて、自分自身の経験や考え方が変わったときに、もう一度読み返してみたい。
人が死ぬ云々ではなく、自己認識と周りからの認識のずれがどのくらいあるのかを描いた物語。 自分の良い方向に解釈してしまう、人の自己中さがよく描かれていて、現実世界でもこういうことあるよなと思いながら面白く読んだ。 解説も、読んだ後の総括として読むにはとても良かった。
今でこそ自他境界とかいう概念が広く知られているけど、きっとそうではなかった時代に自他境界ガバガバな母親の違和感をこんなにも描写できるアガサクリスティーがすごすぎる、
夫婦、親子でも、お互いのことを分かっているようで、まるで分かっていない。でもそれを受け入れることで生活が成り立っている。誰もが薄々気づいていることを嫌というほど思い知らされた気がした。
人生は不断の進歩の過程。死んだ自己を踏み石にして、より高いものへと進んでいくのです。 娘の家の帰路、雨の影響でバグダッドで足止めにされ、主人公が自己を省みる話。 家に帰ったら幻かのように全てを忘れ、いつも通り過ごしていく。 自分自身、自己本位で生きてはいけないなとすごく考えるが、なかなか難しいな...続きを読むといつも感じる。 一波乱起きそうで結局は日常に戻っていくのはもやもやするものでもあり、リアルでもあるなと思ったが、その辺も含めて面白く読めた。
ジョーンの内省で自分に気付いていく過程と思い違いに気付いていない部分は共感できて面白かった。家に帰って日常生活に戻ると結局は、っていうところもわかる! 子どものことは何でもわかっている、って自ら口にする母親って、毒親だわって思うけど、殺人事件のないアガサクリスティの作品で人間の闇を感じた。 ロド...続きを読むニーとレスリーの部分は、何か起こるんじゃないかと、推理小説を読んでいるようにドキドキした。 思わぬトラブルで幾日も帰宅できず、時間を持て余していたら、自分もジョーンのように家族や過去を振り返り反省すると思う。でもそういう機会がないことを祈る。
長ったらしい自己満足に満ちた回想なのに、最後までちゃんと読ませる文章力というか構成力があって、さすがアガサクリスティだなぁと。いや、もしかしたらアガサクリスティだからという信頼のもとに読み切れたのかもだけど。 正直この本を読んで、何を思えばいいのか分からなかった。自分は自分しか認知できない、ともす...続きを読むれば自分すらも曖昧なまま、他人の思考や考えなど理解できようもない、ということなのかしら。 妻や母として、家族のためにどうのこうのというのは実際のところ、正しい形なんてないのだと思う。人を愛するということも、献身も、何もかも自己満足じゃない?というか自己満足を通じてでないと他人に干渉なんてできないんじゃないだろうか。 などと、自分と他人には深い溝があるということしか得られませんでした。 他の人の感想を読んで、自分の中で確固たる考えが確立した。人間、みんな自己満足に満ちていている!それを知覚するか、しないか。
ヒトコワでおすすめするならこの本かも 自分が善良だと思っている人間の、悪意がない行動が一番タチが悪い
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春にして君を離れ
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アガサ・クリスティー
中村妙子
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