春にして君を離れ

春にして君を離れ

小説・文芸
990円 (税込)

4pt

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

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春にして君を離れ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    娘夫婦宅に泊まりがけで行った帰り。
    鉄道が止まり砂漠で足止めをくらう。
    何もすることがないので、思考だけが活発になるせいかこれまでのことを思い返してしまう。

    主人を1人残して旅立つ時、なぜか主人がイキイキと若返ったような気がする。
    言い寄ってくる若い女が過去にいたとか、、

    思考が深まり、過去の後悔をし始める。
    農園をやりたがっていた主人の希望を聞かなかったこと。子どもの若い時の恋愛を頭ごなしに否定したこと。

    自分の言動を顧みて、変わることができるのか

    0
    2026年09月18日

    Posted by ブクログ

    この小説が80年以上前に、イギリス人の物語として描かれた物語であることに驚きを隠せない。ジョーンの葛藤は現代の日本で生きる人々の葛藤そのものではないか、読み進めるうちにそう強く感じた。承認欲求を満たす為のSNS社会、効率と生産性を追求する余白のない社会、価値観の相違を受け入れられない排他的思考、私たちが行き着く先はいったいどこなのだろうか。そして後半に触れられる戦争の足音。私たちは砂漠の真ん中で立ち止まり自分自身と向き合い、他者に思いを巡らせる時間が必要なのだと、クリスティが語りかけているような気がした。

    0
    2026年09月13日

    Posted by ブクログ

    本書を、あの時代に、女が書いたのか…と。そして、広義でも「どんでん返し」とは違うのかもしれないが、私は本書に「どんでん返し」の銘を打ちたいと思う。
    やはり彼女も経験した「結婚は墓場」とはまさに言い得て妙であるのかもしれない(私は結婚したことはないが)。
    とりわけ未婚化が進む現代の男女関係を見るに、本書は、現代人は読むべきでないのかもしれない。こうして私も、ロドニーと同じ道を歩んでしまうのだろうか…

    0
    2026年09月08日

    Posted by ブクログ

    さすが女王、アガサ・クリスティー!
    誰も死ななくてもこの緊張感

    人間心理の根元をひとつの家庭、一人の心の中の葛藤だけで物語を構成させるとは
    虚栄心を砂漠の蜃気楼へのたとえ
    そしてラストの気持ちの迷い

    さすがに歴史に名を残す作家です。

    0
    2026年09月06日

    Posted by ブクログ

    人間の奥底にあるものを抉り出して曝け出したようなストーリーで、80年以上前出版されたものであっても、現代を生きる人間共通の悩みや広い意味での人間関係に起因する憤りがありありと描かれていて個人的には痛快というか、色々考えさせられます。特に夫婦関係とかですね...

    0
    2026年09月02日

    Posted by ブクログ

    湊かなえさんが「あの本読みました?」でオススメしていて読んだアガサ・クリスティ初作品。新しい扉を開けてもらった気がする。舞台は第二次世界大戦前のイギリスだが、21世紀にも通ずる思想だ。心の葛藤の描写にグイグイ引き込まれた。自分が知る自分と他人が思う自分。誰しも自分の見たいように自分を見る。自己評価との乖離。栗本薫さんの解説に共感する。「それは最終的にはその当人の責任でしかない」「この小説は永遠に苦い切ないバイブルである」

    0
    2026年08月27日

    Posted by ブクログ

    【ネタバレあり】『春にして君を離れ』レビュー
    読んだきっかけ
    文芸評論家の三宅香帆さんがおすすめの一冊として挙げていたのがきっかけです。「平凡な主婦の話で、誰も死なない」という紹介に興味を惹かれました。アガサ・クリスティー作品は『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』を読んだことがあり、もう一冊探していたタイミングだったため、別名義(メアリ・ウエストマコット)で書かれた本作を手に取りました。

    あらすじと物語の背景
    3人の子供に恵まれ、一見すると非常に幸せな家庭を築いてきた主人公のジョーン(名前はマザーグースの「ジャンプのジョーン」に由来)。彼女は娘の住む中東を訪ねた帰り道、砂漠のレストハウスで足止めされ、一人きりで自分の人生を振り返ることになります。
    家族との思い出を辿るうち、「良き妻、良き母」という自己像は徐々に崩壊していきます。3人の子供たちは彼女を信用しておらず辛辣で、使用人たちも必要最低限の仕事をするだけで冷ややかです。夫のロドニーも、娘の元へ向かう駅でどこかあっさりと去っていきました。周囲の描写から、誰にとっても「ジョーンと一緒にいることが苦痛である」という事実が浮かび上がってきます。
    なぜ家族にとってジョーンは「苦痛」なのか
    ジョーンは常に「あなたのため」と言いながら自分の価値観や正解を押し付け、無意識に自分にとって都合の良い人物像を演じさせていました。その結果、家族は「自分で自分の人生を決める」という人間として最も大切な本質を奪われていたのです。
    夫・ロドニー: 本当は農家になりたかったものの、弁護士事務所の仕事を続けている。
    子供たち: 本当に望む人生や愛する人との結婚を選ぶことができず、矛盾と生きづらさを抱えている。
    周りの心が離れ、ジョーンが孤独であることが読み手にも、そしてジョーン自身にも次第に分かっていきます。

    改心と結末の残酷さ
    砂漠での内省の末、ジョーンは「自分は悪い妻であり母だった。夫に許しを請わなければならない」と気づき、改心を決意して帰宅します。
    しかし家に着いた瞬間、「謝罪するか、何事もなかったように振る舞うか」で葛藤した彼女が口にしたのは、「ただいま、ロドニー」といういつも通りの一言でした。彼女は元の自分へと戻ってしまったのです。
    夫のロドニーは、かつてレズリーという女性を愛していました。レズリーは外見こそ魅力的ではないものの、困難な人生を自身の信念で生き抜く勇敢な女性でした。ロドニーが惹かれたのは、彼女のその「生き方」だったのだと感じられます。しかし、結婚の誓い(健やかなるときも病めるときも添い遂げるという契約)を守り抜く倫理観を持つロドニーは、どれほど心が離れていてもジョーンと添い遂げる道を選びます。
    物語のラストで離婚届が出されることはありません。ロドニーが心の中で呟く「かわいそうなリトル・ジョーン」という言葉には、彼女の心が永遠に満たされることがなく、真の意味で一人ぼっちであることを見抜いた残酷な冷ややかさが込められています。

    感想と自分への問いかけ
    外見上は恵まれた成功した人生に見えながら、その内実は非常に孤独で悲惨であるという描写に、深い衝撃を受けました。
    一方で、変えられない現実の中で「結婚の誓い」を守り、最善の手を打ち続けて静かに耐えるロドニーの生き方にも考えさせられます。
    自分自身の振る舞いを振り返り、「自分も知らず知らずのうちに、誰かにとってのジョーンになってはいないだろうか」と深く内省させられる、非常に味わい深い名作でした。

    0
    2026年08月20日

    Posted by ブクログ

    読み終わってしばらく経ってからも時折思い出して、あれはあれで良かったのだろうか…なんでああしたんだろう…まさか自分も…?などと考えてしまいます。

    0
    2026年09月28日

    Posted by ブクログ

    4.2
    読んでいてショック。誰しも身につまされることがあるのではないか。。子供のため家族のためとやっていることが空回りしていたり、一方的な思い込みや良かれと思ってしたことが相手には、とても迷惑がられ、反論ももらえず、そっとされておいたのだとしたら。

    自分がしてしまったことや、切り回してきたことを思い返して、実はこういうことではなかったかとか、気づかないようにやり過ごしたが、実はこうだったよねと気づいたり、物事の一面しか見えていなかったことに気づいてしまう。

    その時点で30年近く経ってるので、悔恨と反省が湧き出たとしても、あるいは新しい自分になった気ではいても、端から見ると何も変わっていない。
    人間は、そう簡単に新しくなれるわけでもない。

    0
    2026年09月22日

    Posted by ブクログ

    ミステリーかと思ったら違ってた。けれど、読んでいて何とも言えないきんたょうがずっと漂っていて、読むのが辛くもなったが、最後まで読んで良かった。

    0
    2026年09月10日

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