【感想・ネタバレ】春にして君を離れのレビュー

あらすじ

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この小説が80年以上前に、イギリス人の物語として描かれた物語であることに驚きを隠せない。ジョーンの葛藤は現代の日本で生きる人々の葛藤そのものではないか、読み進めるうちにそう強く感じた。承認欲求を満たす為のSNS社会、効率と生産性を追求する余白のない社会、価値観の相違を受け入れられない排他的思考、私たちが行き着く先はいったいどこなのだろうか。そして後半に触れられる戦争の足音。私たちは砂漠の真ん中で立ち止まり自分自身と向き合い、他者に思いを巡らせる時間が必要なのだと、クリスティが語りかけているような気がした。

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

本書を、あの時代に、女が書いたのか…と。そして、広義でも「どんでん返し」とは違うのかもしれないが、私は本書に「どんでん返し」の銘を打ちたいと思う。
やはり彼女も経験した「結婚は墓場」とはまさに言い得て妙であるのかもしれない(私は結婚したことはないが)。
とりわけ未婚化が進む現代の男女関係を見るに、本書は、現代人は読むべきでないのかもしれない。こうして私も、ロドニーと同じ道を歩んでしまうのだろうか…

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2026年09月08日

Posted by ブクログ

さすが女王、アガサ・クリスティー!
誰も死ななくてもこの緊張感

人間心理の根元をひとつの家庭、一人の心の中の葛藤だけで物語を構成させるとは
虚栄心を砂漠の蜃気楼へのたとえ
そしてラストの気持ちの迷い

さすがに歴史に名を残す作家です。

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2026年09月06日

Posted by ブクログ

人間の奥底にあるものを抉り出して曝け出したようなストーリーで、80年以上前出版されたものであっても、現代を生きる人間共通の悩みや広い意味での人間関係に起因する憤りがありありと描かれていて個人的には痛快というか、色々考えさせられます。特に夫婦関係とかですね...

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2026年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サスペンス小説とはこんなにも面白いものなのか、と感銘を受けた。

元々アガサクリスティー作品が好きでポアロシリーズ等のミステリー小説は読んできたが、本作は群を抜いて面白い作品だった。

物語の最後、一度は認めた過去の愚行に対しての懺悔ができず、結局ジョーンは何も変われなかったことに、人間らしさを感じた。ジョーンに対して哀しみを覚える一方、夫ロドニーの残酷な優しさの余韻が残り、複雑な感情を楽しむことができた。非常に満足できる物語だった。

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2026年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後のロドニーの一言で震えた。この言葉はロドニーなりの優しさ(気持ちが無いのに側にいることが優しさとは思わないが)からくるものなのか、それとも真実を話して離れる勇気がないからなのか。ジョーンの言動はもちろんだけどロドニーや他の人たちを見ていても、相手のためと自分なりに思って言うことに常に疑問を持たなきゃいけないなとこの読書を通じて強く思った。読む年齢によっても感じるものは変わるんだろうな。教科書にした方がいいと思うくらい、強く残った本だった。折に触れて再読したい。

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2026年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終えて、とても怖く感じた。主人公のジョーンとは時代も境遇も違うが、いつの間にか自分のことを振り返ってしまう。
「あの時うまくやれたと思っていたのは、実は自分だけなのでは?」
「あの人のことを想ってやったことは、ただの自己満足だったのでは?」
自分の中の悪意や弱さを突きつけられた気分になった。

ジョーンの最後の選択は残念だったけど、ジョーンの性質を理解しながら野放しにするロドニーにも悪さを感じた。離れればいいのに、なぜ…。

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2026年08月29日

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湊かなえさんが「あの本読みました?」でオススメしていて読んだアガサ・クリスティ初作品。新しい扉を開けてもらった気がする。舞台は第二次世界大戦前のイギリスだが、21世紀にも通ずる思想だ。心の葛藤の描写にグイグイ引き込まれた。自分が知る自分と他人が思う自分。誰しも自分の見たいように自分を見る。自己評価との乖離。栗本薫さんの解説に共感する。「それは最終的にはその当人の責任でしかない」「この小説は永遠に苦い切ないバイブルである」

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2026年08月27日

Posted by ブクログ

【ネタバレあり】『春にして君を離れ』レビュー
読んだきっかけ
文芸評論家の三宅香帆さんがおすすめの一冊として挙げていたのがきっかけです。「平凡な主婦の話で、誰も死なない」という紹介に興味を惹かれました。アガサ・クリスティー作品は『そして誰もいなくなった』『オリエント急行の殺人』を読んだことがあり、もう一冊探していたタイミングだったため、別名義(メアリ・ウエストマコット)で書かれた本作を手に取りました。

あらすじと物語の背景
3人の子供に恵まれ、一見すると非常に幸せな家庭を築いてきた主人公のジョーン(名前はマザーグースの「ジャンプのジョーン」に由来)。彼女は娘の住む中東を訪ねた帰り道、砂漠のレストハウスで足止めされ、一人きりで自分の人生を振り返ることになります。
家族との思い出を辿るうち、「良き妻、良き母」という自己像は徐々に崩壊していきます。3人の子供たちは彼女を信用しておらず辛辣で、使用人たちも必要最低限の仕事をするだけで冷ややかです。夫のロドニーも、娘の元へ向かう駅でどこかあっさりと去っていきました。周囲の描写から、誰にとっても「ジョーンと一緒にいることが苦痛である」という事実が浮かび上がってきます。
なぜ家族にとってジョーンは「苦痛」なのか
ジョーンは常に「あなたのため」と言いながら自分の価値観や正解を押し付け、無意識に自分にとって都合の良い人物像を演じさせていました。その結果、家族は「自分で自分の人生を決める」という人間として最も大切な本質を奪われていたのです。
夫・ロドニー: 本当は農家になりたかったものの、弁護士事務所の仕事を続けている。
子供たち: 本当に望む人生や愛する人との結婚を選ぶことができず、矛盾と生きづらさを抱えている。
周りの心が離れ、ジョーンが孤独であることが読み手にも、そしてジョーン自身にも次第に分かっていきます。

改心と結末の残酷さ
砂漠での内省の末、ジョーンは「自分は悪い妻であり母だった。夫に許しを請わなければならない」と気づき、改心を決意して帰宅します。
しかし家に着いた瞬間、「謝罪するか、何事もなかったように振る舞うか」で葛藤した彼女が口にしたのは、「ただいま、ロドニー」といういつも通りの一言でした。彼女は元の自分へと戻ってしまったのです。
夫のロドニーは、かつてレズリーという女性を愛していました。レズリーは外見こそ魅力的ではないものの、困難な人生を自身の信念で生き抜く勇敢な女性でした。ロドニーが惹かれたのは、彼女のその「生き方」だったのだと感じられます。しかし、結婚の誓い(健やかなるときも病めるときも添い遂げるという契約)を守り抜く倫理観を持つロドニーは、どれほど心が離れていてもジョーンと添い遂げる道を選びます。
物語のラストで離婚届が出されることはありません。ロドニーが心の中で呟く「かわいそうなリトル・ジョーン」という言葉には、彼女の心が永遠に満たされることがなく、真の意味で一人ぼっちであることを見抜いた残酷な冷ややかさが込められています。

感想と自分への問いかけ
外見上は恵まれた成功した人生に見えながら、その内実は非常に孤独で悲惨であるという描写に、深い衝撃を受けました。
一方で、変えられない現実の中で「結婚の誓い」を守り、最善の手を打ち続けて静かに耐えるロドニーの生き方にも考えさせられます。
自分自身の振る舞いを振り返り、「自分も知らず知らずのうちに、誰かにとってのジョーンになってはいないだろうか」と深く内省させられる、非常に味わい深い名作でした。

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2026年08月20日

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読み終わって、恐ってなった!
アガサ・クリスティー作品ではあるが、
殺人事件とか何も起きて無いんだけどಠ_ಠ

家族の歪さをこれでもかと見せつけられた。
家族を、夫を心から愛していると信じるジョーン・スカダモアの有りようが哀しいし、虚しい。
本人は良き夫、良き子供たちに恵まれて理想的な家庭を手に入れたと自負しているのに、「知らぬは当人ばかりなり」といった具合に事実は全くの逆。それを段々に鋭く描き出しているから凄まじい!
流石のクリスティーだな、と感嘆しました。

砂漠の只中で一人、自身の内面を省みることしかやる事が無くなっていく描写が寒々とこわかった…
汽車がやっと着いて、徐々に現実の生活に戻りながら利己的な自身をも取り戻していく様子も哀しい。人はそう簡単に変われやしないと分かってはいても。


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2026年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ようやく、本作を読めたー!
殺傷能力は高め。ここに至るまで気づかなかったジョーンもだが、それをわかっていて彼女に向き合わず心の中で憐んでいるロドニーも同罪だよね…こうして相手に向き合わない夫婦いっぱいいるんだろうな〜やだやだ

「人間なんて、まあ、そんなものよね。しがみついてた方がいいのに、投げだしちまったり、ほっとけばいいのに、引き受けたり。人生が本当と思えないくらい、美しく感じられて、うっとりしているかと思うとーたちまち地獄の苦しみと惨めさを経験する。物事がうまくいってるときは、そのままの状態がいつまでも続くような気がするけれど、そんなことは長続きしたためしがないんだし。どん底に沈みこんで、もういっぺん浮かびあがって息をつくことなんて、できそうにないと思っていると、そうでもないー人生ってそんなものじゃないの?」(p.26)

娘のエイヴラルが既婚者と恋に落ち、駆け落ちしようとした時の言葉たち好きだった。
「安っぽいメロドラマのようないいかたをなさる必要はありませんわ。…あたくしたちーお互いに好きになった、それだけのことですわ」(p.176)

「君にはエイヴラルがわかっていないんだよ。あの子は分別よりも心情で行動する人間だ。誰かを好きになれば、心の奥深い所で恋をする。だからその傷は永久に残るだろうね」(p.176-7)

「しかしあの男の身にもなってみたまえ、長年、病気の妻をかかえて味気ない生活を送ってきたところに、エイヴラルの若い惜しみない愛、そのありったけの情熱と美が差し出されたのだよ。真摯で、新鮮なあの子の心意気がね」
「二十も年上の男ですのよ!」
「わかっているよ。もう十も若ければ、誘惑もそれほど強くなかったろうがね」(p.178)

「わたし、ひとりじゃないわ。ひとりぼっちなんかじゃないわ。わたしには、あなたって人がいるんですもの」
「そう、ぼくがいる」とロドニーはいった。
けれども彼は自分の言葉の虚しさに気づていたのだった。
君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように。(p.326)

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2026年09月12日

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ミステリーかと思ったら違ってた。けれど、読んでいて何とも言えないきんたょうがずっと漂っていて、読むのが辛くもなったが、最後まで読んで良かった。

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2026年09月10日

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最も苦手な部類の主人公だ。夫に望まぬ仕事を強いたことをまるで「賢く助言し上手く取り仕切りました」と自己満足している妻。自分の選択が最も賢明で心配りのあるものだと疑わず、友人を内心「かわいそうに」と評し、自分と向き合わず、人生と向き合わず、見なかったことにして変わらない女。

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2026年09月08日

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この話を『毒親』の話とまとめるには少し言葉が足りない気がする。
人生に対する臆病さと勇気、そして何より『誠実さ』の物語だと思った。

舞台は1944年頃のイギリスなのに、すぐ近所で、何なら私たちの家庭で起こっているようなごく近しい問題。

散りばめられた不穏さに、あっという間に読み切ってしまった。
読後に浮かんだのは主人公ジョーン・スカダモアの、快活な皴一つない美しい顔ではなかった。
レスリーの奇妙に歪んだ口元、疲れたような微笑が、私の頭の中で魅力的に光っていた。

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2026年09月08日

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最近人気のとある作家が「これを読まずしてしねない」みたいなことを言ってて手に取った。中々どうして、80年前の小説なのにしっかり心に刺さってくる。ジョーンはせっかく内省のチャンスを得て答えまで辿り着きながら、最後の最後で手放してしまうところが非常に人間味がありめちゃくちゃ共感してしまった。そう、自分の弱さに向き合い立ち向かう勇気を振り絞るのは、いうは易しなのである。分かりすぎる。
そしてオチは当然ながらでビックリはしなかったが、夫もとうに妻を見限っていて、虚しさを感じた。
個人的にこのようなネガティブな読後感、あと主人公が痛々しい系は面白さは感じてもハマりきれないところがある。それは自分も痛々しい系であることを分かっており、逃げ続けている人間であり、小説には逆のパターンを求めているからだ、ということも何となく分かっている。

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2026年09月06日

Posted by ブクログ

終盤までは主婦版のスクルージのようだった。ところが、最後のロドニーの言葉でホラーに変わった。

自分の正しさを疑うことは必要ですね。

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2026年09月05日

Posted by ブクログ

なんと言うか…アガサの時代から、男女、夫婦、家族って変わらないんだなぁ、って思った。スカダモア家の皆様はジョーンが鬱陶しくて仕方ないらしいけど、私はジョーンの気持ちがすごく分かる。

だって、私、間違ってないじゃない。
そりゃぁ、全てに大満足ではないけれど、子どもたちは皆、それぞれに独立し人さまにご迷惑をかけずに暮らしている。
夫は仕事で成功している。
ねぇロドニー、いつだって私が家族のことをちゃんと判断できる女で良かったと思わない?

ていうか、実際そうじゃん…
弁護士やりたくない、農場やりたい。良家の子女より不良と付き合いたい。したいことをしたい。そうしたいからそうする。なのにいつもお母様が邪魔をする!…って。
何なんだこの家族。
やってみなきゃ分からないこともあるけど、リスクを突きつける人がいなかったら、あんたたち家族全員、今頃路頭に迷ってたかもしれないよ?今、あなたたちがジョーンの悪口を言えるのは、ジョーンが不自由しないように切り盛りした結果、普通以上の暮らしができてるから。なのにジョーンの犠牲には誰も気づかないのね。
実際、次女のボーイフレンドはろくでなしだったし、旦那が買おうと思ってた農場は、結局抵当に入ってるじゃん(あんた、この農場はたまたま不運が重なっただけですぐ持ち直すって言ってたよね?)。ジョーンがロドニーに唯々諾々と従い、潰れかけの農場でその日暮らしになったとしても良かったの?

ま、仮に農場経営にシフトしたとしても、ジョーンならうまく切り盛りして、結局繁盛させたと思うけどね!
今ならこんなのがSNSにでも上がれば「家族に搾取されてますよ!」「全力で逃げて!」「自分の人生を生きて!」って言われそう〜。

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2026年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下手なホラー読むよりよっぽど怖い
心入れ替えて変わるぞ!って決心してもロドニーと会ったら結局ジョーン変わってないやん

一人ぼっちなことにどうか気づきませんようにって救い無さすぎる…というか最後のチャンスすらかなぐり捨てたもんな…

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2026年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作品も気に入った。
推理小説ではないが立派なミステリー。
ロドニーと子供たちのうまくいかない中で育まれる絆と、万事卒がなく人生が進むが家族との仲は深まらないジョーン。対照的な夫婦だ。
砂漠で反省したかに見えた彼女も、家に帰れば元通り。ロドニーの諦観とそれでも妻を見捨てないやりきれなさ。
いやー素晴らしい内容でした。

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2026年08月28日

Posted by ブクログ

時代背景とか全然違うのに、なんかリアルで生々しく感じて、怖くもあり面白くもあった。
クリスティ作品のキャラクターは、いつも本当に 生きている人のような感じがする。

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2026年08月19日

Posted by ブクログ

読み始めてすぐに「これって完全に義母じゃん!」ってなって、こんな風な考えのもとの言動だったのか、、と再確認した。ロドニーの役割をしていたのが義弟で早逝した。 人との境界線が無くて人をコントロールする事を正しいとする内省しない人間って、近くにいる人が崩れるか離れるかしかなくなる。
私にとってこの物語はリアルで救いがない。

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2026年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

優秀な弁護士の旦那とそれぞれ結婚し巣立った3人の子供を育て上げた主人公のジョーン。

理想的な人生を歩んできたと盲信してきたジョーンが徐々に不都合な真実へ直面していく物語はシンプルだが面白い。

この作品の終盤帰りの車内で出会う人物にもうすぐ戦争が始まると告げられるシーンがある。僕の知識が乏しかっただけでもしかしらそれまでの場面でそういった伏線が散りばめられていたのかもしれないが、なにも知らずに呑気に読んでいた僕はそのセリフにどきりとした。なによりジョーンの自己認識という最もミクロな物語と戦争というマクロな物語を自然と接続させる表現力とセンスがとてつもないと感じた。

孤独の中で内省を深めたジョーンは家に帰ったら夫であるロドニーに謝り新たな人生を歩み始めると決意する。しかし、ジョーンは普段の日常に戻ると変わる必要なんてないのでは、或いはあの時辿り着いた真実はただの空虚な妄想だったのではないかと心変わりしてしまう。

ラストの章ではロドニー視点で物語が語られる。その中で彼はジョーンの幸せの為、真実を伏せて彼女に接する。
ロドニーは優しく聡明であり正しい大義と責任感を持っている。しかし、それ故にジョーンは生まれ変わることができない。真実に向き合うことができない。僕はここにある種の政治家像を重ねる。彼らもきっと国民に今までと変わらない豊かな生活を享受させる為に奮闘しているのだろう。物価が上がっても減税し、ホルムズ海峡が封鎖されてもガソリンの値段は財政出動により大きな変動はしない。世界情勢は刻々と変動しているが国民は今までと同じ生活が続くと信じ切っている。まさにヒトラーが戦争を起こすわけがないと信じ切っているジョーンのように。

奇しくも僕がこの作品を読み終えたのは8月16日だ。終戦記念日の1日後である。僕たちは改めて考えなければならない本当の勇気について。

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2026年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーでもホラーでもないのに怖さを感じた小説だった。ただの主婦が自分の人生を振り返るだけなのに…

でも思い返せば自分もジョーンのようなことがあったような…当時は気付かないけど、あとから振り返ってみればあぁいうことだったのかな?!と穴があったら恥ずかしい気持ちになったことが。笑
自己肯定感が高すぎるのも考えものだなと思った。

そして結末はあまりにも救いようがないというか…残念な気持ちになったけど色々と考えさせられる本だった。

この題材でここまでのめり込ませてくれるアガサクリスティはすごい!

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2026年08月16日

Posted by ブクログ

「自分は正しい」という善意が、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまう。そして、自分では正しいと思っているからこそ、そのことになかなか気づけない。本作が描いているのは、そんな「無意識の罪」の怖さなのだと感じた。

ジョーンは、偶然砂漠で家族から離れて一人になることで、これまでの人生を振り返り、自分が良い妻・良い母としてしてきたことが、実は家族の気持ちを無視していたのではないかと気づいていく。しかし家族のもとへ戻ると、結局また「自分は正しかった」という元の考え方へ戻ってしまう。

人は何かに気づいたからといって、物語のようにきれいに変われるとは限らない。この現実的で救いきらない結末に、本作の静かな怖さを感じた。同時に、ときには日常から離れ、自分や周囲との関係を客観的に見つめ直す時間の大切さも感じる。

また、ジョーンだけが悪いとも思えない。自信と行動力がある一方で自分の正しさを押しつけてしまうジョーンと、穏やかな一方で本音を伝えず不満を抱え込むロドニー。二人とも長所がそのまま短所にもなっていて、人間関係とはこうした互いの性格の微妙なバランスの上に成り立っているのだと気づかされた。

登場人物の何気ない言葉や行動にもさまざまな意味が込められていて、一度読んだだけですべてを理解しきれたとは思えないほど深みのある作品だった。時間をおいて、自分自身の経験や考え方が変わったときに、もう一度読み返してみたい。

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2026年08月11日

Posted by ブクログ

人が死ぬ云々ではなく、自己認識と周りからの認識のずれがどのくらいあるのかを描いた物語。
自分の良い方向に解釈してしまう、人の自己中さがよく描かれていて、現実世界でもこういうことあるよなと思いながら面白く読んだ。
解説も、読んだ後の総括として読むにはとても良かった。

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2026年08月10日

A

購入済み

結末は、これで良かったのかもしれないね。
過去は変えられないし。
登場人物全員がまるで実在の人物かのように思えてくる。
それだけでも読む価値があると思いました。
若い人に読んでほしい本ですね。ピントこないかもしれないけどね。
それにしても、クリスティは人物描写が巧みだね。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

これは…自分の母親の話を読んでいるようで途中からものすごく辛かった…母がこれを読んでどう思うのかは気になるけどさすがに私からは勧められないし、読んでほしくない気もする。それこそ最後のロドニーと同じ気持ちかも。

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2026年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

翻訳物が苦手で以前オススメされて買ってあったが、ようやく読む気持ちになった。
いろんな書評で大絶賛されていて。
アガサ・クリスティのミステリとは思えない内容だったけれど、結局ロドニーは腹を割って話さず、子供と一緒になって妻に対して身勝手な押し付けがましい空回りしている風な人だよねと陰で悪口言い合ってるかのような、不誠実さを感じた。
妻に押し切られたからといって、結局やりたい農場の仕事ではなく弁護士を選んでいい年まで働いて成功を収めたけれど、陰で妻に対する不満もっているのも、自分が選んだことじゃないかと、たいそうなストーリーのようで、よくある夫婦の現状維持な不満話で、そんなにピンとは来なかった。

結局、これが男性が主人公だったら、よく稼いで何不自由なく妻子を養って、子供も複数いて生殖能力も発揮して、俺ってよくやったと思って生きてきて定年で熟年離婚されるパターンと同じじゃん。そこで、俺は何が悪かったんだと振り返り、その後はどう思うかは本人次第。
よくありふれた内容に、大絶賛!傑作!と言っているのは本当だろうか。
こういう本人と周りとの温度差的な事ってよくあるよね?
アガサ・クリスティがその当日この作品を書いたのはすばらしいと思うけど、皆が無理矢理絶賛しているようでちょっと、そこまでではと思ってしまった。

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2026年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ


ミステリーかと思ってたけどアガサ・クリスティーはこういうのも書くんだと驚き。

ずっと場所が動かない、たまに人と会話するけどほとんどが主人公の回想だからそれが苦痛な人には合わないかも…

最後は2つの意味に取れる…
①もう誰も君を愛してないけど真実を知ると面倒くさいから気付かないでくれ
②愛してるからこのまま気付かないで幸せなまま生きてくれ

どっちだろ。でも愛してなかったら離婚するよなあ…
結局気付いたのに変わろうとしない妻
妻にちゃんと向き合わないで全てを諦めた夫
子供だけが可哀想…

あと何故かひらがな多くて読みづらいとこ多かった。

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2026年08月14日

Posted by ブクログ

クリスティーが別名義で出していた小説。
感情の機微が巧みに描かれている分、読んでいてかなりヒリつくというか、疲れた。

私はかなりロドニーに同情して読んでいたのだが、解説で「ロドニーは嫌なやつだ」を見て、その視点はなかったなと思う。
ロドニーや子供たちにも、責任はあるのかもしれない。
でもなー、この手の人間って他人から何言われても変わらないもの。まともな方が神経擦り減らすの割にあわなくない??
そう思うと、生ぬるい地獄に身を置いてしまうロドニーの気持ちはわかる気がする。

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2026年08月13日

Posted by ブクログ

優しい夫と立派な子供に恵まれ、完璧な人生を築いたと疑わない主婦ジョーン。旅先で途絶えた足止め(孤立)のさなか、旧友ブランチとの一対一の会話から、彼女の記憶の再検分が始まる。
一見、静かな女同士の世間話。しかし刃のように突きつけられる皮肉と揺さぶりはまるで上質な舞台劇のよう。読み進めるほどに見えてくるのは、彼女を取り巻く世界の狭さと、無自覚な支配欲だ。
家事や育児をメイドやナニーに任せ、手に職を持たない裕福な彼女が全情熱を傾けたのは「家族の管理」。心の中では子供たちすら冷徹に裁きながら、表向きは「良妻賢母」を演じ続ける二面性にゾクッとさせられる。

帰りの列車で出会うロシアの公爵夫人サーシャは、ジョーンの独善性やイギリス的上流中産階級特有の「無意識の押しつけ」を冷静に見抜く。「善意という名の鎧で人を殺す」という冷徹な分析。あれこそが物語の核心であり、読者の胸を打ち抜く瞬間だ。
しかし、知性と率直さを持つサーシャの言葉すら「鼻につく」と切り捨て、日常へ戻っていくジョーン。彼女は結局、何一つ変わらない。

「だったらここまで読んできたのは徒労なのか?」
答えはノーだ。
彼女が改心しないからこそ、この本は恐怖の鏡となる。「傷つかない心地よい嘘」を選び直す彼女の姿に、読者は「自分も無自覚に誰かを追い詰めていないか」と迫られるのだ。変わらなかったジョーンの代わりに、すべての学びは本を閉じた私たちの側に託される。

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2026年08月13日

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