【感想・ネタバレ】春にして君を離れのレビュー

あらすじ

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

スマホも本も持たずに旅に出たら、ジョーンのように雷に打たれたような気づきがあるかもしれない。が、これもまたジョーンのように結局は日常に戻った瞬間にすべてを忘れて元の思考に戻ってしまうんだろうなぁ。年を重ねても自分を客観視できる人間でありたいと思った。

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2026年07月18日

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ネタバレ

1930年代48歳のイギリス人女性、
娘の病気見舞いの帰りの沙漠で足止めになり、滞在した宿で自分自身とこれまでの人生を見つめ直す
自身の過去を回想し、人生に疑問をもち始める

良い夫、良い子どもたち、よい生活に満足していると思い込んでた主婦が、旅先で知り合った学生時代の友人との会話が切っ掛けとなり、足止めされた沙漠で自身の過去を回想していく

自身の内面や家族との本当の関係、愛の形に直面していく心理サスペンス

主人公ジョーンは自分の内面を都合よく解釈して正しい行いをしていると信じ込んでる
自分本位に、相手にとって何がよいことであるかを勝手に決め続けてた

これまで誰についても真相を知らずに過ごしてきたのは、こうあってほしいと思うようなことを信じて、真実に直面する苦しみを避ける方が、ずっと楽だったから

沙漠での回想が切っ掛けとなり
"私という人間の真相"
を悟るにいたる


とても辛辣だった。

夫や子どもたちは、ジョーンという人の性格、性質を見定めていて、
本人ジョーンだけが自分は家族のためにやっていると思い込んでる。

そして段々、"自分がしたこと"に気づいていく様に胸が苦しくもあった。なぜなら私自身にも自分本位な部分があり身に覚えがあるから。

ジョーンのラストの選択は⋯私が思ってた方向とは違うことになってしまった。夫ロドニーに赦しを得て⋯終わりかと思ってた。

ロドニーに会うまでに、帰りの汽車で公爵夫人と喋ったり、娘のエイヴラルに会ったりして、時間がかかりすぎて⋯しかも普段の生活が久しぶりに心地良くて、あの時に感じた強烈な体験も時間がたつと威力を失くしてしまい、家族との仲を修復する最後のチャンスを逃してしまった。

プア・リトル・ジョーン

「君はひとりぼっちだ。これからもおそらく。しかし、ああ、どうか、きみがそれに気づかずにすむように」

夫の示唆するようにジョーンは歳を重ねると孤独になるかもしれない。

だけど私は思う、この夫は優しくはないでしょう。
自分の人生の選択をジョーンの助言通りにしたから疲れたといわんばかり、ジョーンとは違う雰囲気のレスリーという女性に気持ちを移したり、
ジョーンのことを「朗らかで、有能で、せわしげなジョーン。自分に満足し、割り当てられた役割を巧みに果している。せいぜい28歳くらいにしか見えない、あいかわらずの若さだった。」と、彼女のいいところは受入れて甘えるけど、良くない所にはプア・リトル・ジョーンといって突き離してる。そして、ひとりぼっちに気づかずにすむようにって、気遣うふりしてるようにみえる。誠実に向き合ってはいないと感じた。


この本はメアリ・ウェストマコット名義で発表されたという。アガサ・クリスティの名で本をだした場合、ミステリと勘違いして買った読者が失望するのではと配慮したものだったとのこと。

そして1944年に出版されてる、今から80年ほど前!?
今でも読める新鮮さ!
訳も素晴らしいと思う!
アガサ・クリスティってすごい!
ミステリーじゃないのに夢中になって読んだ。
他の本ももっと読みたくなった。

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2026年07月05日

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ネタバレ

この本を読んで、学びがありました。

✅人や物事の本質を捉えること
✅自分にとって都合の良い想像(解釈)をしないこと
✅大切な人に本心を伝えること

ジョーンは、あまりにも主観的な思い込みに囚われ、大切な家族の人生に歪みを与えました。
「相手が何を思い、どう考えているか」は二の次で、常に自分の都合を優先して物事を考える。
その結果、大切な人達から距離を置かれてしまいます。

しかし1番の悲劇は、ジョーンが長い年月その事実に全く気付けなかったこと。そして旅先でようやく真実に気付き、ロドニーに打ち明けようとしたにもかかわらず、結局は何も言えず、元の「何も知らない幸福な妻」に戻ってしまったことだと私は考えます。
優しいロドニーの人柄であれば、きっと受け入れて、そこからより良い関係を築き直せたと思います。ここで打ち明けなかったジョーンは、いつかまた、より深い孤独と苦しみを味わうことになるのではないかと考えます。

一方で、ロドニーにも不誠実な部分があると感じました。
ジョーンに対して本音を貫き通すことをせず、従順で「良い人」を演じ続けることで、結果的にジョーンを子供たちに嫌われる原因を作っているからです。

人は誰しも完璧ではないと思います。
せめて大切な人とは本心でぶつかり合い、お互い支え合っていきたいと感じさせられました。
この本は時が経ったら、また読み返したいと思います。

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2026年07月02日

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流石過ぎる……。はっきりとした黒と白じゃなくて辛いけれども続いていく感じ、本人もうっすら自覚しているその空気感がリアルで引き込まれた。ミステリーではないけどとんでもない

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2026年06月27日

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どこに着地するんだろうと思いながら読み進めました。結末がわからないハラハラドキドキ感を味わわせ、ページを捲る手が止められなくなるよう仕向ける構成は、まさにミステリーの女王の為せる技という感じでした。
そこに着地するのか...!という結末も含めて満足度が高いです。
現実と折り合いがつかず、心の持って行き場がないときに読んだので、ストレス発散にもなりました。
他山の石とするところもありますし、「自分を省みればより良い人間になれる!」みたいなシンプルなメッセージじゃないところが心地よく、読んでよかったなと思いました。
他の方の感想で、子育て終わった後に読んだら一段と面白かったというお言葉があったので、私もまたいずれ再読してみたいです。

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2026年06月25日

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苦しかった。
私とは違う、とは思いつつ、母親として日々3人の子どもを育てている身としては身につまされる思い。
子どもを育てていかないと、生活していかないと、将来を考えないと、という思いが痛いほどわかる。
ジョーンに対して、旦那があまりにも不誠実だ。ジョーンだって独りよがりなところがあるけれど、それに対し子どもたちとコソコソ共通の敵みたいにして陰口を叩くところ、浮気不倫はもってのほか。
「病めるときも健やかなるときも」と結婚式で誓ったのに。
とある夫婦愛の物語を読んだばかりで大号泣したばかりで、寒暖差に風邪引きそうです。
自分を見つめ直すことって本当に難しいし、そのうえ自分を変えることって本当に難しい。
さすがにジョーンは反省するのかと思ったけども。

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2026年06月20日

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原題は「absent in the spring」。
邦訳の「春にして君を離れ」の文字通り、主人公は砂漠の中で一人物思いにふけて過去の自分を見つめ直すわけだが、「一度枯れ落ちて生まれ変わる(季節である春)チャンスを失う」主人公が赤裸々と描かれて残酷に感じる。
主人公は、単なる幻想に過ぎない幸せ(春)の中で、ただ独りよがりで孤独であったのだ。
同じくシェークスピアから引用された「汝がとこしえの夏はうつろわず」にあるように、人の美しさは永遠に続くと唄うシェークスピアへの、人の本性はこれほど内省しても変わらないというアガサ・クリスティの皮肉を感じる。

夫のロドニーがクソだという人も多いが、僕は同情こそすれそのように思うことはなかった。
あとがきにもあるように、その人の育った環境や年齢、性別などで感じ方は多種多様であると思うのでぜひ読んでみてほしい。

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2026年06月17日

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子育てに行き詰まった時、おすすめの本を探していて見つけた一冊。

読後の感想……怖い。
いや、怖すぎる。
ぎゃーーーっ!でした。

何が怖いかと言うと、誰の心にもあるかもしれない部分を見せられたことです。

「自分は正しい」
「子どものために、夫のために、家族のために最善を尽くしている」

そう信じてやってきたことが、もし間違っていたとしたら……。
ひとり自分自身と向き合う時間の中で、これまで気付かなかったことにも気づいていきます。

けれど、日常に戻った途端、また以前の自分へ戻ってしまう。
人は、そう簡単には変われないのかもしれません。

子どものためと思っていることは、本当に子どものためなのか。
家族を思う気持ちの中に、自分の「こうあるべき」を押しつけてはいないか。
そんなことを考えさせられる一冊でした。

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読後のざわつき度:⭐⭐⭐⭐⭐
でも読んでよかった度:⭐⭐⭐⭐⭐
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2026年07月23日

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ジョーンの内省で自分に気付いていく過程と思い違いに気付いていない部分は共感できて面白かった。家に帰って日常生活に戻ると結局は、っていうところもわかる!

子どものことは何でもわかっている、って自ら口にする母親って、毒親だわって思うけど、殺人事件のないアガサクリスティの作品で人間の闇を感じた。

ロドニーとレスリーの部分は、何か起こるんじゃないかと、推理小説を読んでいるようにドキドキした。

思わぬトラブルで幾日も帰宅できず、時間を持て余していたら、自分もジョーンのように家族や過去を振り返り反省すると思う。でもそういう機会がないことを祈る。

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2026年08月02日

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長ったらしい自己満足に満ちた回想なのに、最後までちゃんと読ませる文章力というか構成力があって、さすがアガサクリスティだなぁと。いや、もしかしたらアガサクリスティだからという信頼のもとに読み切れたのかもだけど。

正直この本を読んで、何を思えばいいのか分からなかった。自分は自分しか認知できない、ともすれば自分すらも曖昧なまま、他人の思考や考えなど理解できようもない、ということなのかしら。
妻や母として、家族のためにどうのこうのというのは実際のところ、正しい形なんてないのだと思う。人を愛するということも、献身も、何もかも自己満足じゃない?というか自己満足を通じてでないと他人に干渉なんてできないんじゃないだろうか。
などと、自分と他人には深い溝があるということしか得られませんでした。

他の人の感想を読んで、自分の中で確固たる考えが確立した。人間、みんな自己満足に満ちていている!それを知覚するか、しないか。

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2026年07月27日

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ヒトコワでおすすめするならこの本かも
自分が善良だと思っている人間の、悪意がない行動が一番タチが悪い

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2026年07月19日

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ネタバレ

ロドニーがエイヴラルに結婚の誓約のことを説いたところで、「自分はこれが出来ていなかったから離婚したんだろうなぁ」としみじみ思った。

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2026年07月17日

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アガサクリスティはミステリーしか読んだことがなかったため新鮮だった今作。

前半はジョーンのプライドの高さ、子供達からどう思われているか気がつかない鈍感さにばかり目がいったけれど、後半の、急激に自分の過去の過ちを振り返り始めるのは見ていてもとても心苦しい。

それとともに後半印象が変わるのは、ロドニーだ。
前半は、旦那さんあるあるだなあ、子供にとって良い父親なんだろうなあ、とか呑気に考えていたけれど、後半を見ているとそうも言えなくなる。
完全なモラハラとも違うような気がするけれど、なんだかモラハラ臭を感じる。
決定的なことを言うわけではないけれど、だからこそ胸に秘めてずっと相手に核心的なことを言わない、相手が可哀想だから。
ロドニーの言動は、ずっとジョーンのことをどこか下に見ている気持ちが表れていたと思う。
良い父親像からは一転、本当に結婚してはいけないのはこういう人なんだと思う(知らんけど)

ジョーンも最後の勇気を振り絞るところまではきたのに、結局今までと同じ生き方を選んだ。
ジョーンもロドニーも、お互い核心的なところまでは切り出さずに、上辺ともとれる関係のまま一緒に暮らしていく。
そういう関係性も本人たちが幸せなら良いと思うけれど、きっとこの先またモヤモヤを抱えるときが絶対にくる。
そのときジョーンとロドニーはどうするんだろう。
また知らないふりをするんだろうか。

人生の選択って本当に大事なのだと思う、きちんと選択をできる人間でいたい。
その選択が正解かどうかはその時点ではわからないかもしれないけれど、その後の人生、振り返った時にいい選択だったな、と思えるように責任を持って生きていきたい。

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2026年07月11日

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可哀想というか想像力のない不幸な人だなと思った。夫が度々「プア(かわいそう)」て言ってるのもこわてかんじ。けどこんなに長い間そのことに気付かないならある意味幸せなのかも?
周りは言っても通じないなて諦めたんだなと思ったら背筋が伸びるというか自分も気をつけないとていう。

旅の途中で急に回想に入るので、話がするする抜け落ちてしまう感覚があったから何回か読み返したりしたけど後半はおもしろかった。

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2026年07月08日

Posted by ブクログ

アガサクリスティーのミステリーではない作品。

平凡なイギリス人主婦がバグダッドに住む娘を見舞った帰りに列車が止まり、数日かかって帰るまでの話。道中で昔の友人に会ったり、昔のあの出来事はどういうことだったのかしら?など思い出したりしながら、途上の宿泊場所で次の列車を待ちます。

やることがなくて、孤独な時についつい昔のことを思い出して、恥ずかしくなったり後悔することは皆心当たりがあるではないでしょうか。(特に風邪で寝込んでいる時とか…)

真実を知ってしまうことと知らされないこと、どっちが幸せなのか。

主人公の性格が自分勝手で好きじゃなく、前半は退屈に思いましたが、最後の最後で、はあっ…となりました。夫!!

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2026年07月03日

Posted by ブクログ

砂漠を彷徨う傲慢で独善的なジョーン・スカダモア夫人を眺め続ける体験。

自己正当化が続く。クルクル回る万華鏡……クルクルクルクル…

これスカダモア夫人が決して無能ではないところが怖い。単純に家族を尊重できない独りよがりな母親というわけでもない。(結果としてそうなのだが)

正当化を繰り返すが、彼女は彼女の正義に基づいて判断をしている。

良き妻、良き母像を忠実に守っている。そして自分自身をも忠実に守っている。

彼女は目の前の生活における「正解」を選び続けてきたのだろう。けれど、その正解を選ぶ自分自身を疑うことはできなかった。1944年の小説でありながら、「目の前の最適解に集中すること」と「自分を俯瞰して疑うこと」のバランスは、現代にも続く重要なテーマに思えた。

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2026年06月30日

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誰の中にでもある程度存在しそうな、主人公の独りよがりな性格があぶり出されていて痛烈な小説。そして、旅の途中で主人公はそれに気づくのに、家に帰るとまた見て見ぬ振りをして自分の頭の中の幸せな世界に居続けようとする。この辛辣さはなかなか心苦しいが、人間の心情や人間関係が非常に良く描写されていて見事だった。

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2026年06月29日

Posted by ブクログ

序盤でわかるけど主人公の心情が少し嫌だよね。
でも周りの環境とかもあるし一概に主人公が悪といわけではない。気付けないということも怖い。
主人公目線でも家族目線でも自分ならどういう選択をするか考えさせられる。

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2026年06月27日

Posted by ブクログ

奇跡的にも、自分と向き合うことができて、気づきを得られたとする。
それを生活に生かせるかどうかは、別問題だ。
すべてがひっくり返るような神秘体験をしたとしても、パターン化された日常の重力は強力すぎる。
人間とは、螺旋を上昇するように、ちょっとずつしか、変われないのかも。
ジョーンもロドニーも、子供達も、全員が心のうちをさらけ出して、原始の第一感情のみを表していたら、どうなっていただろう。
それができない、真面目で不器用な善良な人間たち。

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2026年06月24日

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表紙がカッコよくて、クリスティの本の中でも1番と言っていいほど好き。最近、光文社から新訳が出たけど、表紙に惹かれてこちらを選択して読んだ。実は再読。前読んだ時は子育て真っ最中だったけど、子育てを終えて読んだ今回の方が、かなり面白く読んだ。ブランチとの会話が、かなり示唆に富んでいて、何度か読み返した。私はブランチよりジョーンに近いので、自分を振り返り背筋が凍った。ただ、矛盾するようだけど、ロドニー的な要素もあるので、栗本さんが書かれているように、それはそれで罪だよなとも思う

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2026年06月22日

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ミステリーかと思いきやアガサクリスティーなのに誰も死なないあくまでサスペンスだった。この作品の面白さを語るのは難しいけれど、砂漠のような明るい場所でじっと自分と向き合う時間を作るのって思えば大事なことであり怖いことなのかもしれない。
主人公の人間らしい短所が見ていて切なく恐ろしい。

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で発表した『春にして君を離れ(Absent in the Spring)』は、彼女の作家人生のなかでも特に内省的で、個人的色彩の濃い作品である。1944年の刊行当時、クリスティーは第二次世界大戦下という不安定な時代の只中にあり、50歳を超えて人生の折り返し地点を迎えていた。当時クリスティーはすでに「ミステリの女王」としての地位を確立していたが、その一方で、プライベートでは二度目の結婚生活を送りながら、自身の女性としての在り方や人間関係について内省的な時間を過ごしていた。
 物語は、旅の途中で孤立を強いられた中年女性ジョーンが、ふとした空白の時間のなかで自分のこれまでの人生を見つめ直すというシンプルな構造をもつ。しかし、回想するにつれて、ジョーンがこれまで信じてきた「良き妻」「良き母」としての自己像は、実のところ自己満足や独善に過ぎなかったという残酷な真実が明らかになっていく。
 クリスティーは本作について、自伝のなかでこう記している。「これは誠実に、真心を込めて書かれました。私が書こうと意図したとおりに書けた作品であり、それこそが作家にとって最も誇らしい喜びなのです(和訳)」(An Autobiography, Agatha Christie)。さらに同書で、「彼女(ジョーン)は絶えず自分自身に出会うことになる。ただし、それが自分だとはわからず、次第に居心地の悪さだけが募っていくのです(和訳)」とも語っている。
 興味深いのは、ジョーンが自己の欺瞞に気づきながらも、根本的な変化は起きず、再び日常へと戻っていくという結末である。ここでは、変わることの困難さ、人間の保守的な心理が淡々と描写されている。この静かな終幕が、読後に深い余韻を残す。
 『春にして君を離れ』には、謎も事件もない。それでも、心の奥底に潜む暗がりを見つめるという意味ではクリスティーの他のどの作品よりも深く刺さる読書体験を提供してくれる。映像化されていないこの作品は、クリスティーの知られざるもう一つの顔を見ることのできる貴重な一冊であり、ミステリの名声とは異なるかたちで彼女の文学的真価を物語っている。

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2026年06月26日

A

購入済み

結末は、これで良かったのかもしれないね。
過去は変えられないし。
登場人物全員がまるで実在の人物かのように思えてくる。
それだけでも読む価値があると思いました。
若い人に読んでほしい本ですね。ピントこないかもしれないけどね。
それにしても、クリスティは人物描写が巧みだね。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

終盤のジョーンの選択、ロドニーに対して懺悔するか否かのところがドキドキした。自分本位の「優しさ」とかを振り翳してないか自戒したい。

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2026年07月25日

Posted by ブクログ

子供が独立したとき、それまでの親子関係や夫婦関係を顧みて、自分の考え方が正しかったのかを確かめたくなるが、真実はわからない、誰も助けてくれない、自分が思ったことがすべて。あらためて、後悔のない人生を、送りたいと思った。

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2026年07月22日

Posted by ブクログ

三宅香帆さんがYouTubeで読まずには人生を終えることができない小説の1つに挙げていた本。Instagramで「いいな」と思うことが減る、と言う感想も気になって読んでみた。三宅さんほどの感受性がないので、自分は相変わらずSNSをみて羨ましく思ってしまうのだろうなと思う。

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2026年07月15日

Posted by ブクログ

ジョーンもジョーンだけど、じわじわロドニーに腹が立ってきた。夫婦関係があまりに歪で、彼ら自身も、彼らに関わるひとたちも、ぼんやり皆不幸だな........

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2026年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良妻賢母を自認して疑わない主人公ジョーンがバグダッドでの思わぬ足止めをきっかけに自分と向き合う。
ジョーンの自認と他者からの評価のズレが痛々しくてずーっと読むのが苦しい。身近な人物や自分自身の中にもジョーンを感じる部分があり、真綿で首どころか体全体を絞められるよう。
エピローグで夫サイドが語られ、ラスト1行の破壊力が、いい。夫は穏やかで人格者のように全編語られる(し、実際そうだろう)けど、ジョーンのダメさを分かったうえで利用していた狡猾さもあるのかな、とも思った。
「プアリトルジョーン」が優しい言葉とはとうてい思えない

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2026年07月13日

Posted by ブクログ

三宅香帆さんのYouTubeでオススメされていたので読んでみました。アガサクリスティーだけど、マーダーミステリーではない、純文学っぽい作品。「本当は自分でも気づいているけど、見ようとしてない事実ってあるよね」ということ、そして「人間はそう簡単には自分の非を認められない」という感じの作品。専業主婦の主人公、ジョーン・スカダモアがとにかく腹立たしい…苦笑。今で言う、毒妻・毒親ということなんだろうな。この小説が書かれた時代にも、そういった言葉こそないにせよ、概念としてはやっぱりあったんだなあと思った…。夫のロドニーがとにかく良くできた人物であり、同時に可哀想だった…

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2026年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たった一人の人間の心の葛藤だけで一冊の物語が作れてしまう、アガサ・クリスティーの文章力の高さにはすごい!という気持ちになるが、それ以上に恐ろしさを覚える本だった。

人間の醜い本心を冒頭から見せられているようで、ジェーンの自分を高く見積もるところが好きになれない、全部が全部間違っているとは言わないが、自分の価値観を人に押し付けるところもちょっとな…などと考えながら読んでいたが、途中でそのことを自覚し、変わるのかと思ったら…人間はそうは変われないということすら、生々しい。

彼女と通ずる部分があるからこそ、読むのが辛くなる。心に刺さってしまう。

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2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジョーンには大きな欠点がある。自分の価値観を正しいものと信じ込み、夫や子供たちの気持ちを十分に理解しようとしなかったことだ。一方で、ジョーンは決して怠惰な人間でも悪意のある人間でもない。真面目に生き、家族のために努力し、良い妻・良い母であろうとし続けた人でもある。世間で言われるような毒親ほど悪い人間ではない。私はジョーンが専業主婦だったことが、彼女の視野を狭めた一因だったと思う。社会との幅広い関わりを持っていれば、自分の考え方や行動を省みる機会も増えたのではないだろうか。ジョーンの欠点を率直に指摘する人間が少なかったことも、彼女の不幸だったように思う。自分はこういう人間だから正しいという先入観は、なかなか捨てられるものではない。しかしジョーンは一度自分の人生を振り返り、自らの過ちを見つめた。その気づきは帰宅後完全に消えてしまったようにも見えるが、人は何度でも悔いることができる。ジョーンはまだ六十歳である。夫も子供も生きている。過去は変えられないが、何も変わらないまま終わったわけではない。閉じた結末ではないなら、まだ希望はある。

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2026年06月25日

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