あらすじ
ねじれた家に住む心のねじれた老人が毒殺された。根性の曲がった家族と巨額の財産を遺して。内部の者の犯行と思われ、若い後妻、金に窮していた長男などが疑心暗鬼の目を向け合う。そんななか、恐るべき第二の事件が……マザー・グースを巧みに組み入れ、独特の不気味さを醸し出す童謡殺人。
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Posted by ブクログ
きっと犯人はソフィアだろうという偏見を抱きながら読んでいたので、真相が判明して大分呆然としてしまった。登場人物はどいつもこいつも癇に障るタイプではあったけれど、だからといって『ねじれた家』に住んでいたせいでねじれた人間になり、こんな惨事が起きたのだ、と考えるのはさすがに可哀想に思えて困った。そうやってひどい動揺を与えてくるところまで含めて、なかなか恐い話だったと思う。
Posted by ブクログ
積読アガサ3/4冊目
富豪に群がる複雑な親族
遺産目当てか?それとも…
一見容疑者不在のように思えるが、話が進むごとに全員が犯人かもと思えてくる
特別なトリックがない会話劇のような展開なのに、ちゃんとミステリーになっている
残るはあと「ナイルに…」だけなのでまた仕入れないと
Posted by ブクログ
【ノンシリーズ】
またもやすごい作品と出会ってしまった…。
この作品を忘れることはないと思う。
重い余韻が残り、読み終わった後にもずっと考えてしまう。
クリスティー自身のベスト10に入っているのも納得。
ねじれた家に住むねじれた一族。
全員がねじれていて、それぞれが絡まって強い1本になっている。
どんな一族なのかを書くとこの本の面白さが半減するので書かないけど、今までの作品に出てきた一族とは違うタイプの一族だった。
最後の方は犯人が誰か早く知りたくて、目が勝手にどんどん先に進んでしまった。
読み終わってから気になる所を2度読みすると、堂々と伏線が張られていることに驚く。
ここまで書いてるのに犯人に気付けない。
これだからクリスティーはやめられない。
ノンシリーズはこれで6作品目だけど、全てほぼ★5を付けてる。
やっぱり名探偵が出てこないノンシリーズの方が人間ドラマが濃くて好きだ。
Posted by ブクログ
クリスティ作品は再読が多いのだが、今作は初めて読む作品だったのだ。クリスティにもその種類のミステリーがあったのかと驚愕、新しい発見だ。余り今作をクリスティのベストにランクしているものを見た事が無いが、少なからず現時点では僕のクリスティ10選に入れたい程、強く衝撃を受けた作品だ。
「ねじれた家」という土台がありながら、そのイメージに合った世界観、環境観下でありながら、実は家族愛に満ちたレオニダス一族の物語で、クリスティ作品では金持ちは嫌な印象を与える事が多いが今作のアリスタイドは読み進めるととても好印象な人物である。しかし、その「家族愛」こそねじれの原因であり、家族一人一人が個性と歪みを持っており作品自体を「ねじれた」イメージにする一環を担っている。
物語のスタートは戦時下のイギリス。若い二人の男女、チャールズとソフィアは気が合い、結婚を考えるが、チャールズは二年感東洋での任務がある。彼はソフィアに二年後ロンドンでまだ自分達の気持ちが変わらなければプロポーズしたいと伝え、彼女も了承。その時初めて彼女が大金持ちの孫娘である事を知る。
二年後、任務を終えイギリスに戻り、ソフィアと再会するが、その際に彼女の祖父アリスタイドが亡くなった事を知る。ソフィアは結婚自体反対ではないが、祖父の死に疑念があり、それが解決しなければ家族が原因で暗いモノを引きずるかも知れないため、真相の解明を望む。チャールズの父親は警視総監であり、警察の捜査とともにソフィア達の暮らす通称「ねじれた家」を訪問する。
あからさまな探偵役が乏しい為、一体真相はどうなのかが終盤まで明かされない。ソフィアの妹が探偵役の片鱗を見せるが、中々チャールズに伝わらない。ソフィアの家族達は何かを感じている様でありながらそれも読者には明らかにされないもどかしさもあり、不穏な空気感漂う世界観が続いていく。
今作の真相について、有名作家の作品には必ずある種類の真相であり、ある意味でフーダニットの王道になるが、当時はまだ少なかった手法だろう(ネタバレになるので作品名は挙げないが、クイーンのシリーズが挙げられる)。ミステリー好きなら読みながら犯人を推測するが、一番衝撃的なのはという事で二名程怪しんでいたがそれでも充分に驚いた。
また、結末についても慈愛に満ちたものであり、登場人物のイメージがガラリとかわる。結末も先程挙げたクイーンの作品と同じプロットなのだが、こちらの方が印象が強い。完成度が非常に高く、作中でクリスティ特有の伏線や匂わせがあるにも関わらず気持ち良く騙される。
チャールズ、ソフィアもそうだが、エディス、ジョセフィンと活躍する人物が多い。特にジョセフィンは12歳で有りながら一部探偵役を担いチャールズは振り回される様がワトソンの様だ。
非常に面白く、是非おすすめしたい作品。実は読み易く余りクリスティを読んだ事がなくても勧めたい。
Posted by ブクログ
「アガサ・クリスティー読み直しキャンペーン」の第4弾です
お久しぶりになってしまいました
この後も「ディック・フランシス感謝祭」とか「江戸川乱歩ワールドツアー」とか「ヤマザキ春のパンまつり」とかいろいろ控えてるんですが
読みたい本が次から次へと出てくるんでどうしても再読は後回しになりがちです
でもやっぱり読み直して良かったなぁと思わせるクリスティーの名作中の名作『ねじれた家』です
この作品はクリスティーの晩年の名作なんですが、クリスティーらしいどことなくユーモアのある軽快な会話の妙で物語が進みつつ、全く新しいミステリーの形になっていて、まだ新しいアイディアが出てくるのか!という驚き
誰もがわかる安心安定なクリスティー節と初めての世界観の提示という完全に矛盾することをサラッとやってのけてるところはもう驚天動地です
さすがミステリーの女王!
次あたりはさすがにクリスティー王道のオリエント急行あたりを読みたいけどいつになるやらw
Posted by ブクログ
ねじれた家に住む邪悪。
婚約者ソフィアの祖父が殺された。副総監を父に持つチャールズは、彼女との結婚のために事件解決に挑む。亡くなった老人の若い後妻が犯人か、それとも息子たちか。家族内での疑いの目。何かを知っているそぶりを見せる子ども。明らかになった犯人は——。
クリスティーらしくキャラクターが立っていて、そのセリフを楽しむだけでもぐいぐいと読ませる。正義感というよりは、ソフィアとの結婚のためというべきかもしれないチャールズの関わり方が、警察でないだけ家族から様々な証言を引き出す。明らかに怪しい若い後妻にチャールズが同情し、ソフィアに憤慨されるのも様式美。
真相は、ある意味では読者の死角をついたもの。ひねくれたミステリ愛好家なら犯人がわかって読めるのかもしれない。犯行は誰に可能だったのか、誰にでも可能だった。また、一般的な犯罪者の性格を分析したチャールズの父のセリフもきっちりと犯人を指し示している。やられた、というのが快感で、しかしじっとりと怖さも感じる。
解説にもあるように、初クリスティーにはお勧めしないが、クリスティーを読み進めてきた人にはぜひお勧めする。
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティー仲間(と私が勝手に思っている)の同僚が、私が勧めた『春にして君を離れ』を読んでくれたので、彼女おすすめのこちらを読んでみました。
アガサ・クリスティーのノンシリーズもの。
原題は『CROOKED HOUSE』。
1949年の作品。
一族の当主が殺され、それまでなんとか均衡を保っていた家族が綻びだすというクリスティーお得意の展開。
主人公チャールズはポアロでもマープルでもなく、ヒロインと結婚したいだけの外交官なので、殺人事件は一向に解決せず、物語の大半はこの「ねじれた家」の「ねじれた家族」の話が続きます。
しかしながら、それがおもしろいんだな。
さすがのクリスティーというか、描写も会話も洒脱でクラシックな上品さがあり、読んでいるだけで楽しい。
舞台となる〝ねじれた家〟「スリー・ゲイブルズ(三つの切妻)」は、玄関ホールは一緒だけど、内部が三つの独立した建物になっているという構造らしく、「ねじれた家族」のメタファーでもあるわけです。
これはビジュアルで見てみたいと思ったら映画になってるんですね。グレン・クローズ、テレンス・スタンプ出演。
家族全員がどこか不気味で残酷で、みんな怪しく見える。
私はユースティス、あるいは気を衒ってソフィアかチャールズが犯人かと予想しましたが、これもいつものことでクリスティーの場合は、誰が犯人かということより、なぜこの人が犯人なのかがおもしろい。
(他の人の感想を見ていたら「読み終わって犯人がわかったあとでも俺は◯◯が真犯人だと思ってる!」という意見があって共感しました。なんかね、あの人が一番腹黒そうなんだよねー。)
画家だったり殺人犯だったり固有名詞がちょこちょこ出てくるんですが、ここは脚注がほしかったところ。
・エディス・トムソン(イーディス・トンプソン)
1922年、8歳年下の愛人フレデリック・バイウォーターズが夫を殺害。手紙で殺人を教唆したとして処刑された。
・コンスタンス・ケント
1860年、16歳のときに4歳の異母弟を殺害。
1865年、聖職者に罪を告白し逮捕。
聖職者の守秘義務が議論を呼ぶ。
41歳で釈放、看護師、寮母となる。
1944年、100歳で死去。
コンスタンス・ケントは有名な殺人犯のようで、私たちが「酒鬼薔薇」の名前をあげるように当時は普通に使われていたんでしょうか。
この事件は他にも小説になってるらしいので読んでみたいです。
それから「とりかえっ子」という言葉。
「妖精がきれいな子をさらってそのかわりにおいて行く小さくて醜い子の意」と訳注がありました。英語でなんていうのか調べてみたら「changeling」。
(原文を検索していたらAIモードが思いっきり犯人の名前を掲載していました笑)
主人公のチャールズが探偵としてはポンコツすぎるんですが、そのぶん、推理小説としてよりも、奇妙な家族の物語としてクリスティーのストーリテリングが堪能できる作品でありました。もうこのまま解決しないで迷宮入りしてもいいんじゃないかとすら思った。
(225ページ)
「うちの家族みたいに愛情がもつれあったような形で暮らしているのはもっとよくないと、あたし、思うの。
と言うのはね、家族みんながちいさな〝ねじれた家〟の中に、一緒にごたごた住んでいるということなのよ。〝ねじれた〟と言ったのは悪い意味じゃなくって、ひとりひとりではまっすぐに立っていられないという意味なの。それぞれが、ちょっと曲がったり絡みあったりしてるということよ」
(352ページ)
「探偵小説じゃね、つぎからつぎへと人が殺されていくのよ」
「でも最後には犯人がわかってしまうわ。だって、おしまいまで生き残った人がそうなんですもの」
以下、引用&メモ
・エディス・トムソン(イーディス・トンプソン)
1922年、8歳年下の愛人フレデリック・バイウォーターズが夫を殺害。手紙で殺人を教唆したとして処刑された。
・コンスタンス・ケント
1860年、16歳のときに4歳の異母弟を殺害。
1865年、聖職者に罪を告白。
聖職者の守秘義務が議論を呼ぶ。
41歳で釈放、看護師、寮母となる。
1944年、100歳で死去。
・シャーロット・コーデイ(シャルロット・コルデー
フランス革命においてマラーを暗殺。
43
信じられぬ光景だった! 私はスリー・ゲイブルズ(三つの切妻)と呼ばれているわけがわからなかった。イレヴン・ゲイブルズ(十一の切妻)といったほうが、ふさわしいのに!
奇妙なことに、家は見なれない具合にねじれていた──そのわけはわかるような気がした。いってみればコテッジふうなのだ。それも、まったく釣り合いを無視して、ふくれあがったようなコテッジだ。大きな拡大鏡でのぞいて見た田舎の農家という感じであった。はすかいになった梁、木骨石積み造り、切妻──夜のうちに、キノコのように伸びてしまった〝ちいさなねじれた家〟だ!
47
「いかにもあの人らしくやってきたわ。そう、ハレム・タイプなのね。ただ坐ったきりで、おいしいものを食べたり、きれいなドレスや宝石を集めたり、三文小説や映画を見たりするのが好きなのよ。」
54
「しゃくにさわるわね、このつる草のやつは。いちばんたちが悪い草ですよ。草を枯らすし、絡みつくし──とても根こそぎにできませんよ、なにしろ土の下で根をはっているんだから」
55
「どうして、女優になってまで子供をつくるのか、わたしにはわかりませんよ。」
56
「フィリップ・レオニデスは、なにをなさっているんです?」
「本を書いてるんですよ。どういうわけだか知りませんがね。だれも、読みたいなんて人はいませんよ。みんな、知られざる歴史上のディテール、そんなものばかりなんですよ。」
64
顔は、当節のご婦人がお化粧をぜんぜんしない時に見せる、ショッキングなほどの素顔だった。
65
「喜劇というものは、サスペンスを高めるものなのよ。」
66
「エディス・トムスンの芝居だったら、こういうふうに演るものだとお思いになりません?」
68
「わからないでしょうね! 娘があるって、どんなにいいものか」と言ったが、それは私に言っているようでもあるし、また私のうしろの本棚に喋っているようにもとれた。
69
「心配しないで。お母さまならプロデューサーの言うとおり演るわ。あたしがプロデューサーよ」
73
「お父上に、これといっていつもと変わったところはなかったんですか」
ちょっと皮肉な調子で、フィリップはそれに答えた。
「父はべつに、その日殺されることになっているんだなんてことは、一言も言いませんでしたよ」
82
私はまず、優雅につんと上向いた彼女の鼻の魅力に気づいた。それはアシーン・セイラーをかすかに思わせる──これが桃色のネグリジェを着ていた騒々しい女だとはとても信じられない。
アシーン・セイラー Athene Seyler
イギリスの女優
90
この部屋は、まったく彼女そのものだった。壁は白く──真白に、室内装飾でよく言われるような、象牙色や淡いクリーム色を指すあの白色ではなくて、ほんとに白一色で塗られている。マントルピースの上に掲げてある、バトルシップ・ブルーとダーク・グレイの三角形をあしらった幾何学的な幻想風の絵をのぞいたら、壁にはなんの絵もかかっていない。それに家具も、ほとんどないといってもよかった──三、四脚の椅子、ガラス製のテーブル、それから小さな書棚というほんの当座の必要品だけで、なんの飾りもなく、あるものは光と空間ばかりだった。
91
五十ぐらいの年を思わせる彼女の髪は灰色で、イートン校の学生風に短くカットしてあったが、それが、彼女の品のいい頭によく似合っていて、短いカットと言うと私がいつも思い浮かべるあの奇妙な感じはすこしもなかった。
97
彼はさらに、ロンドンで彼女がやっている仕事の性質についてニ、三の質問をした。それは核分裂の際の放射線を利用してやらなければならない仕事だと彼女は答えた。
「ほんとに、原子爆弾のお仕事をやっておられるんですか」
「わたくしの仕事は、そんな破壊的な性質はすこしもないんですの。研究室は、医療面における実験をすすめているのです」
101
「部屋って、ずいぶん不思議なものですな。そこに住んでいる人間について、じつに多くのことを教えてくれるものだ」
104
「オウガスタス・ジョンの作ですがね、なかなか個性をもっていますな、どうです?」
サージェントの多くの画がそうだが、この画もなにか残酷なにおいがたちこめている。
115
「メイドの話では、二人は相思相愛の仲だというのですがね」
「どうしてわかるんだ?」
「夫人があの青年のためにコーヒーを注いでやるとき、彼女を見つめる彼の眼つきだというんですがね」
127
「おじいさまはただブレンダがほしかっただけ。乞食娘と結婚するコフィチュア王の役が、ちょっとやってみたかったのよ。」
129
「どうして男の人って、穴居人のような野蛮人だけが異性にとって魅力的なんだなんて考えるのかしら。」
137
ジョゼベル
「〝犬は女の両の掌を残し、すべてを食らいぬ〟どうして犬は掌を食べなかったんでしょう?」
139
「針さしには書き置きをさして行かなかったでしょうよ。そんなの、ずいぶん大時代の本にしかないわね。奥さんが旦那さまに別れるときにそうするんですって。でもいまじや、だれも針さしなんか持ってないんだから通用しないわね」
147
「まるで『ヴォイジイ家の遺産相続』みたいだったわ」
162
「プリチャードだって人づきあいはいい男だったっていうからな」
167
「『あたしの居間にいらっしゃいません』と蜘蛛は蠅に言いました、ですか?」
183
「たとえば、コンスタンス・ケントが、殺した弟を非常に可愛いがっていたことはだれしもみとめるところだ。ところが、彼女はその弟が自分より大事にされ、可愛いがられることをひどくねたんだわけだ。この例にもみられるように、憎んでいるものより愛するものを殺すことはよくある例だ。愛情の執着があるからこそ、その人間の存在が我慢ならなくなるということがよくあり得るものだからな。」
『最初の刑事 ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』
194
「でも駄目、話さない。あんたときたらワトスンと同じだもの」
「駄目、シャーロック・ホームズは好きじゃないわ。古くさいわよ。馬車でかけまわっているんですもの」
203
「いったい、共産主義者がなんの理由でおじいさまを殺したんでしょう?」
「人の話では、ああいうやからは突拍子もないことをするそうですからね。でも、もしそうでないとすれば旧教徒よ。旧教徒ときたら、バビロンの緋色の淫婦みたいに俗化してますからね」
204
「クレメンシイは、夫が財産をみんななくしても、ちっとも気にかけない人よ。むしろ喜ぶかもしれないわ。あの人は物を持たないことに妙にあこがれている人ですもの。」
205
その部屋の中でいちばん美しい眺めは、マグダとユースティスの親子だった。二人はソファに並んで腰かけていたが、ゲインスボロの肖像画のように見えた。
その隣りの母親のほうは、片手をソファにかけて坐っていたが、ゲインスボロの描いたスリー・ゲイブルズの伯爵夫人のように、ゆったりとしたタフタのガウンをきて、錦織りのスリッパをはいたきゃしゃな足を片一方だけ前に投げだしていた。
206
「ねえ、ロンドン警視庁ってどんなところです?」マグダはからだを乗り出すようにして訊いた。「いつも知りたいと思っているんですけど……テーブルとデスクと椅子があって? カーテンはどんなの? お花なんてないでしょ? 口述録音機はあるんでしょうね?」
207
「お母さまはロンドン警視庁のシーンがおもしろくないからといって、ババソール・ジョーンズさんに頼んでカットしてもらったんじゃないの。滑稽なだけだっておっしゃってたじゃない」
216
「いい仕事というものは、熱意と情熱をもち、素直な直感力にもとづいてなされてはじめてできるものなのです。お金をかけた設備とか訓練とか実験などは、あなたのお考えになるほど役には立たないものなんです。」
220
「あの人ときたら、不便な生活が好きで、コップは一つしか使わないというような人なんですよ。モダンな生き方というのかもしれませんがね。なにしろ、過去だの生活の美しさだのという観念がないらしいですね」
225
「うちの家族はあんまり仲がよすぎていけないのよ。あんまりお互いに愛しあいすぎるの。家族によっては、お互いが敵ででもあるかのように憎みあっていることがあるわ。それもあまりいいとは言えないけど、うちの家族みたいに愛情がもつれあったような形で暮らしているのはもっとよくないと、あたし、思うの。
と言うのはね、家族みんながちいさな〝ねじれた家〟の中に、一緒にごたごた住んでいるということなのよ。〝ねじれた〟と言ったのは悪い意味じゃなくって、ひとりひとりではまっすぐに立っていられないという意味なの。それぞれが、ちょっと曲がったり絡みあったりしてるということよ」
227
「まあ、あなたの年ごろでは、恋愛といえば、若いきれいな男女が月の光のもとで語るものと思うのも無理ないことだけど」
241
「ぼく、ヘンリー八世が、アン・ブリンにすばらしい詩を贈ったこと知らなかった」
276
「わたし、いつもあの子のことをとりかえっ子(妖精がきれいな子をさらってそのかわりにおいて行く小さくて醜い子の意)って呼んでは、あの子を怒らせたものだわ。」
changeling
292
夫とは反対に、ゲイツキルの言葉が終わるか終わらないうちに、マグダはおそろしい勢いで喋りだした。その豊かな朗々とした声は、ちょうど満ちてくる潮がせせらぎをかきけすように、弁護士のかぼそい口調をうちくだいた。
350
モーニング・ルーム
352
「探偵小説じゃね、つぎからつぎへと人が殺されていくのよ」
「でも最後には犯人がわかってしまうわ。だって、おしまいまで生き残った人がそうなんですもの」
373
シャーロット・コーデイの話をあたしにしてくれたもの。シャーロットは、あの人のお風呂でだれかを殺したんだって。これは、あんまり利口なやり方じゃないわ。
Posted by ブクログ
大富豪の老人が毒殺され、家族に嫌疑がかかる。
老人の孫と結婚したいチャールズは犯人探しに乗り出すが───
老人の家族と話しながら彼らの人となりや動機を考えていくのが本の8割くらい。結構地味なんですが不思議とすいすい読めました。
この人が犯人かな、みんな怪しいような、分からん!となったところに真犯人がわかるんですけどこれは分からなかったです。
子供が犯人だっていう発想がなかった。
ねじれた家のねじれた子供ってことなのでしょうがあんまり恐ろしさは感じなかったなぁ。
ジョセフィンはねじれた家のねじれた子供だった、というオチが自分には唐突であんまり可哀想とは思えませんでした。
Posted by ブクログ
1949年発表、ノンシリーズの一作。作者自薦のベスト10にも挙げられる屈指の名作。なんだろう、ものすごく尖ったところがあるわけではないが、2度と忘れることができないような、重く鈍い衝撃と余韻がある。謎解きの苦味と、語り手の底抜けの馬鹿らしさと愚かさ、ねじれたまま元に戻らない無情さ、それらの一体感。それら苦味こそ、本書の旨みかもしれない。
Posted by ブクログ
再読。犯人と、ものすごく意外性があってすごいミステリーだなぁと感心したことは覚えていたけど、内容はすっかり忘れてました…。
途中までは、犯人がわかってるし、あんまりかなぁーって思ってたんですが、途中から夢中になってしまった…。やっぱり、すごいミステリー小説でした。
アガサクリスティはだいたい語り手に惑わされてしまうんですが、この小説もそんな感じ。それ以上は、語らない方がいい!
読む方には、何の予備知識無しに読んで欲しい。
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティー作品としては珍しく、探偵役が居ないといえる作品。代わりに、人間模様が非常に繊細に描かれており、それを読んでいて非常に楽しめる。
本巻のポイントは、遺産関係などのいつもの動機をいつも通り使わないことでミスリードを導いているところだろうか。
正直、最後の展開は予想通りで個人的には意外性は少なかったのだが、展開の持ってゆきかたには素晴らしいものがあると感じた。
Posted by ブクログ
誰だ?誰だ?もう候補は上がりきったぞと思ってたらまさかのジョセフィン!
全く候補に上げてなかった。
そうだ、毒殺なら子供にもできる…。
Posted by ブクログ
映画化をきっかけに読んでみた。
アガサ・クリスティーを読むのは、これで2作目。
大富豪の老人が毒殺された。
家族の誰にも動機があるようで。。。。
いったい誰が殺したのか。
何が目的で殺したのか。
充分な証拠が得られるまま、捜査は深みに嵌まっていく。
第二、第三、第四と、警察をあざ笑うかのように続いていく事件。
私には事件の後半まで、犯人の目星がつかなかった。
動機にも、結末にも、背筋が寒くなった。
70年前の作品なんですよね~
いまなお面白く感じるとは、あらためて凄い作家だったのだな~と思いました。
他の作品も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
映画化されるとあって読んでみた。ねじれた家に住むねじれた家族という文言にとびついた。「マザーグース」は想像の宝庫か。
遺産と遺言、相続、遺産の規模がちがうわね。ねじれた家の最大の犠牲者は犯人だったのかも。でも一家を支配していた老主人の死により一家は精神的に開放され自由な生活へと向かう。
2019.5.15購入
Posted by ブクログ
注意!思いっきりネタバレしています。
全然、推理した上での話じゃないんですけど、前半一通り人物が登場した段階で、犯人になり得そうなのは2人。もしくは、その2人の片割れのペアを加えて3人か?って感じ。
というのも、夫婦2組と変則的なペアは見事なくらい、作者が「犯人じゃないからね~」的に書いているし。
さらに言えば、解説を先に読んじゃうわるいクセがあるもので。
そこで、“「犯人はおしゃべりだ」が重要なヒントになる”なんて書いてあるものだから、てことは犯人になり得そうな3人に内、ペアの1人は外れるか?なんて(笑)
な~んて、思いつつ読んでいたのに関わらず、ラストで「あ、そうきた?へー」と思ってしまったのは、やっぱり“巧い”ってことなんでしょうね。
ただ、これはちょっと“巧すぎ”の感もなきにしもあらず、かなー。
ミステリー小説としては面白くても、「物語」としてはちょっとイチャモンつけたいかなぁ~(笑)
というのも、何かこう、バランスが悪いような気がしてしょうがないんですよね。
例えばこの話を横溝正史が書いたなら、最初に生前のレオニデスの外の人に対しての因業っぷりをたっぷり描いて。その後、ロジャーとフィリップとその奥さん2人から見た、レオニデスがいかに圧倒的な存在感だったか?ということを描いたように思うんです。
つまり、「ねじれた家」というわりに、その「ねじれ」が見えてこなかったのが物足りなかったんじゃないかと。
ただ、それは、この『ねじれた家』というのがクリスティーがいつ頃描いた作品なのかはわかりませんけど、その辺はもうさんざん書いたからこれではいいや、みたいなところがあるのかも。
その辺はスッキリさせちゃって。いわゆる「冗長な部分」は省いて、ミステリーの部分だけ楽しませてあげようという、作者なりのサービスなのかもしれませんね。
ただ私、ミステリー小説のその冗長な部分が好きなもので…w
というのも、ジョセフィンというキャラクターが変に魅力的だったこともあって。
その辺りのどろどろを前半でくどくど描いてくれたら、キャラがもっと光ったろうし。また、ラストもドラマチックになったんじゃないのかなーと思ってしまった…
というわけ(笑)
ことの顛末(いわゆるネタ)は手紙でわかるわけですけど、でも実は連れて行った方が犯人で。
犯人は、連れられていった方を手紙による告白で犯人にしちゃったってことはないんだろうか?なんてことを思っちゃいました。
だって、“あの人(チャールズ)は少しおばかさん”なわけでしょ?(笑)
あ、でも、それだと動機がないのか…。
ただ、動機なんて、作者はいくらでも作れるだろうからなぁ~(笑)
動機といえば、手帳の文にはちょっとコワっ!でした。
普通の人との感覚との乖離も確かにそうなんですけど、それよりも現代の日本でなら結構ありそうな話で。
ていうか、現在だったらイヤミスのネタにありそうですよね(笑)
ずいぶん前に『春にして君を離れ』を読んだ時、クリスティーはイヤミスの元祖でもあったんだなーと思ったんですけど、そういう意味でこれも著者の真骨頂?www
Posted by ブクログ
「ミステリな建築 建築なミステリ」(篠田真由美(文)、長沖充(イラスト)/エクスナレッジ/2024)によれば、「Yの悲劇」に対するアガサ・クリスティの応答として書かれた小説らしい(これは、ミステリーの古典を読んでいる人なら常識?)。
確かに、この2冊は似ていた。館ミステリである点や、犯人像や、その顛末のほかにも、「Yの悲劇」における“不思議の国のアリス”と「ねじれた家」における“マザーグース”とか。はたまた、「Yの悲劇」における病気と「ねじれた家」における気質の遺伝とか(どちらも現代の価値観からしたら納得しがたい考えと思うけれど)。
はっきりと違うのは、主人公の役割。「Yの悲劇」のドルリー・レーンは探偵として“やり過ぎ”だったのに対し、「ねじれた家」のチャールズは探偵として機能していない(両極端…)。探偵役だと思って読んでいたら、あまりにもポンコツでげんなりする。
Posted by ブクログ
クリスティ自選ベスト10に入るほど自信作とのこと。派手な展開はないものの、レオニデス一家の特殊な背景や人間模様を楽しむいぶし銀みたいな作品だったかな。もし発表年代順に読んでいくと、徐々にこういう類の作品に傾倒していく様が読み取れたりするんかな?と妄想。
あと某作が与えた影響は計り知れないなあと。実は私も事前情報でネタバレの如きものを喰らっていたが、読んでいるうちに「この作品じゃなかったのかなあ?」と徐々に自信をなくし、仕舞いには完全にミスリードされるという(笑) ネタバレまでも貫通してミスリードするこの手腕はさすが女王。というか自分がアホなだけか?
Posted by ブクログ
少し長く感じてしまうのだが、ほんとに誰もが怪しく、我慢して読み進めた。
それでも、最後数ページの出来事と種明かしには、感服。そして、クリスティらしいやりきれない読後感がある。
Posted by ブクログ
すらすら読んだが、犯人が以外過ぎてびっくりした。
いろいろヒントがあったのに、見逃していたな。
ソフィアが遺産相続して、一族を養うようにというおじいさんの遺言だったが、この一族を面倒見るのはしんどいだろうな。ソフィア頑張れ!!
Posted by ブクログ
面白かった。
子供が犯人で、エラリー・クイーンのYの悲劇的な雰囲気を感じた。富豪っていうのも同じだしな。
なんか、モヤっとした感じが残るかな。
ソフィアのセリフとか他にもまだ全員に疑うポイントがあって...。まあそんなことないと思うが...
Posted by ブクログ
アガサは予想が全然当たらない印象があったけれど、初めて犯人どころか動機や証拠に対する行動など全部当たった!嬉しい……!!
ちょっと紹介文、「ねじれた家に住む性格のねじれた人達」って誇張しすぎてて、そこに惹かれて読み始めたから共感できる至極真っ当な人が多くて残念。あと、ねじれた家やお祖父さんの顔など、あんまり想像できなくて登場人物がマープルシリーズより生き生きしてない印象はある。残念……。
解説者の言う通り、他人の生活を覗き見るのは楽しくて堪らない……!でも、あの二人は私も犯人だと思っていなかったから捕まった時は「こんなにわかりやすいのに!?なぜ!?主人公自分でヒントまで言ってるのに!?」ってなって、その辺は中だるみしちゃってた気がする。
訳は確かに直訳的すぎるところはある。でも、逆にこういうの好き。「ばあやの状態は?」「死んだわ」だなんて、全然深刻じゃない雰囲気が笑けて面白いから好き。さすがに良い訳だとまでは思わないけれど……。
Posted by ブクログ
みんながみんな怪しすぎる。そして、家族なのにお互いを怪しんで陰口を言ってみたり、上っ面だけの褒め言葉を言ってみたり。途中少し飽きてしまったけど、なんとか後半2/3あたりまでたどり着いてからは一気読み。
この人特に怪しい!と思っていたら、全く違った。戻ってパラパラ再読してみたらところどころヒントがあるじゃないか!!最後の結末はあらあらビックリ。
しかし…訳がもう少し自然だと読みやすい。なんだか不自然な訳がちらほらでわかりづらいところもあった。。
Posted by ブクログ
前半1/3くらいまでは和訳にやや違和感があった。
英語を文頭から文末までそのまま訳した感じ。
やっぱり原文のままで読めた方が楽しいんだろあなぁなんて考えながら、とりあえず読み進めたら後半からすごく面白かった。
映画はまだ観てない。
一番オススメしたいポイントは、なんと言っても一緒に推理していける事。
伏線もしっかりはられている。よく、(本当によく)考えたら分かるように。推理小説が好きな人の、欲しがってる部分を埋めてくれる感じ。
読み進めていく中で感じる違和感は、やはり必ず重要な部分なのだと再認識。
1940年代に書かれたなんて信じられない。あまりにも色褪せない。
1940年に生きようと2020年に生きようと有能な人は有能なんだと改めて思った。
探偵ポジションとして君臨していた主人公はポンコツだった。言われた言葉で毎回綺麗に惑わされていた
以降、記録ネタバレ
犯人→ジョセフィン 探偵ごっこしていた少女
動機→あまりにも子供らしい理由
Posted by ブクログ
映画が公開されるということなので、興味本位で読んでみた。
冒頭に殺人事件が描かれているにも関わらず、それ以降はミステリらしくない展開が続く。飽きるかと思いきやそうではなく、一族のスキャンダルがストーリーのベースになり、これはこれで面白い。第二の殺人が起きる後半からはギアチェンジして鋭いロジックを見せつけられるのだが、前半の人間模様が作品の雰囲気と合ってたので、このまま人間ドラマで終わってもいいかなと思ってみたり。
とは言ってもさすがはクリスティー。きちんと伏線を回収して、意外な犯人と意外な着地で読み手を翻弄する手は緩めない。実はなかなか重い真相なのに読後感が悪くないのは、ほどよいボリュームでさくっと読めたせいかな?
ちなみに本作品は、作者が自伝の中で、「自作の探偵小説の中で、わたしがもっとも満足している二作のうちの一つ」として挙げている作品だそうな。
Posted by ブクログ
ねじれた家族に発生する、ねじれた殺人事件。
2件の殺人と1件の殺人未遂が発生するが、いずれも特別なトリックが使われているわけではないし、事件関係者の全員が犯行を行いうる状況であったため、アリバイを巡る論議は一切なく、作中では動機が主な議論の対象。犯人を特定する十分な手掛かりが与えられてはいないので、本格ミステリーとは言えない。伏線らしきものがいくつか見受けられるが、それも犯人を特定するようなものではない。
ポアロもマープルも登場しないのは、推理や捜査過程を中心に据えた物語ではないためだろうか。クリスティーが描きたかったのは、このねじれた家族関係そのものなのだろうか。
クリスティーの十八番、お金持ちの遺産相続をめぐる殺人事件で、シンプルな設定の人物配置、お互いの心理的関係の描写など、わかりやすく、読みやすい作品だが、あまり印象には残らない作品だ。
ちなみに、犯人は予想通り(予想以外の何物でもない)。