海外文学作品一覧
-
3.8ムーミンに魅せられた大人たちへ贈る―― 人を、自然を、芸術を愛し、あるがままを生きたトーベが生涯最後に編んだ傑作選、待望の邦訳! 児童文学作家、画家、イラストレーター、漫画家などさまざまな分野で活躍してきたトーベ・ヤンソンは、大人向けの小説を書く「小説家」としての顔ももっています。1968年に発表した自伝的小説『彫刻家の娘』以降、ヤンソンはいくつもの優れた作品を発表してきました。 本書は、1971年から1991年の間に発表された作品の中からヤンソン自身が選定したベストセレクションに未邦訳書き下ろし7篇を加えた傑作選となっており、生前最後に刊行された遺作でもあります。自伝的作品集としての側面ももっており、学識豊かだった叔父たち、彫刻家だった父、母娘の関係、幼い日の冒険、美術学校の仲間たちなど、身近なひとびとが作品に登場します。ヤンソンの芸術観やクリエイティビティに関する洞察が窺えるような要素を含んだ作品も収録されており、日本のヤンソンファン待望の一冊を、ユーモアのある語りを生かした親しみやすい新訳で楽しむことができます。 2021年秋公開された映画『TOVE/トーベ』では多くの観客が彼女の半生に共感し、『ムーミン』の作者としてだけではない魅力を世界中に知らしめました。トーベ・ヤンソンは、読者と信頼関係をつくる天才、100人読者がいたら100通りの読書体験を与えてくれる作家と言われています。トーベ・ヤンソンをムーミンの作者としてしか知らないなんてもったいない! ぜひ読んでみてください。
-
3.8わたしは物語を作るのが好き.11歳の少女メアリーは,島のだれとでも手話で話し,いきいきと暮らしています.一方馬車の事故で死んだ兄さんのことが頭を離れません.ある日傲慢な科学者に誘拐され,ことばと自由を奪われて…….手話やろう文化への扉を開く,マーサズ・ヴィンヤード島を舞台にした歴史フィクション.
-
-あるときは残忍な殺人者、または聖なる殉教者、あるときは愚かな陰謀家として、16世紀ヨーロッパの政治権力とからむ宗教的分裂の時代を背景に生きたスコットランドの女王メリー・スチュアート。生後6日にして女王に。58年にはフランス皇太子と結婚、翌年フランス王妃となり、61年には夫の早世により帰国。以後新旧両教派の争いと家臣間の内紛を極めた政治情勢の中に生き、さまざまな争いの渦中に、エリザベス女王廃位の陰謀荷担の疑いで監禁され、19年間各地に幽閉後、処刑された。ツヴァイクは豊富な資料をもとに、悲劇の女性を、対照的なリアリスト、エリザベスとの心理的対立の中に捉えて描く。「ジョゼフ・フーシェ」「マリー・アントワネット」とならびツヴァイクの三大伝記小説とされる。
-
-
-
-『白鯨』の仏語訳者ジオノによる評伝的小説 『メルヴィルに挨拶するために Pour saluer Melville』と 『逃亡者 Le Déserteur』の舞台は外国である。 『白鯨』の作者が生まれた米国という外国、『逃亡者』ではフランス人の主人公が スイスという外国へ亡命し、そこで画家としての生涯を過ごす物語である。 『メルヴィルに挨拶するために』は『白鯨』の仏語訳をリュシアン・ジャックとともに 完成したジオノが、その序文として書いた作品である。自著の出版交渉のために訪れたロンドンの出版社はメルヴィルの条件すべてを了承した。旅の道中、二週間、メルヴィルは行き当たりばったりに歩き回るのだか、途中、偶然にもアデリーナ・ホワイトという女性と出会い、両者は互いに相手に対し、不可思議とも形容できる精神的な友情を覚える。その精神感応に満ちた神秘的な時を過ごすも、またすぐに別れることとなったメルヴィルは『白鯨』を、彼女のために全身全霊を込めて書くのだった。しかしアデリーナがその作品を読むことはついになかったのである。 作品中の作家メルヴィルのなかに、人見知りの激しい人間でありながら、機が熟すると文学に没入するというジオノ自身の性格が投入されているのである。この作品はジオノの最高傑作の一つでもある。 『逃亡者』では、主人公の画家が、それまで所属していた社会から、経緯は一切不明ではあるものの逃亡することとなり、祖国フランスからも脱出しスイスに潜入することとなる。逃亡者としての主人公を、ある地方長官が保護することとなり、生活の場と食糧が提供される。主人公は絵の才能を持ち合わせていた。彼は長官の奥さんを描くことによって感謝の気持を表現するのだった。 小説家にしても画家にしても、芸術家は世俗の富や名声とはほぼ無関係であると考えていたジオノにして作り出されたであろう作品である。事実を単になぞることが体質的にできなかったジオノは、実在の芸術家の伝記を書こうとしても、自分自身の姿をほぼ必然に作家や芸術家に投入してしまうことになるのである。
-
3.7※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 喫茶店や映画館、それに書店で見知らぬ人と隣り合わせに立つこと…。瑞々しい感性で世界各国から愛される作家のエラ・フランシス・サンダースが、2020年より前の暮らしの中にあって、いま私たちが恋い慕う何気ない日常の風景を集めて描いた小さなコレクション。この本の行間には、日々の中に散りばめられた大切なものへの追慕と共に、私たち人間が、きっとまたお互い寄り添いあえるはず、という希望と自信とがつまっています。
-
4.0
-
5.0少年ミシェルはJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン・コールフィールド、 あるいは忘れがたいレジャン・デュシャルムの『曖昧なる鼻』のミルミル加わって、 私たちの小説の記憶の中に長く留まるだろうことを断言する ―J.M.G ル・クレジオ 舞台は1970年代終わり頃のコンゴの大都市ポワント=ノワ ール。主人公はアルチュール・ ランボーの『地獄の季節』を愛読し、ブラッサンスを愛聴する少年ミシェル、12歳。ガールフレンドは愛くるしい同級生のカロリヌ。父親はフランス人所有のホテルで働き、白人客が残した本を家に持ち帰ってくる。母親はもう一人子供をほしがっていて、「お腹を開く鍵」はミシェルがもっていると呪術師が告げる。飛行機が頭上を横切り、ミシェルと年上の友人ルネスは着陸する国を夢見ている。自国はマルクス• レーニン主義一党独裁体制。ラジオからはテヘランアメリカ大使館人質事件、イラン皇帝シャーの死などのニュースが流れる。少年ミシェルの周りにおこる数々の波瀾、ユーモラスな出来事、不思議な経験を作家アラン・ マバンクは淡々と暖かい眼差しで描いていく。幼年・青春の思い出を下敷きにした感動の自伝小説。フランス語圏ブラック・アフリカを代表する作家の代表作待望の翻訳。
-
-★南部知識人にスポットを当てた、反攻のアメリカ文学史 敗者の末裔であるアメリカ南部農本主義の知識人たちが、いかにして二十世紀の知の覇権を握るに至ったか。それが戦後日本の知的体制をいかに呪縛したのか。 『赤毛のアン』を読んで英文学を志した「戦後の娘」である著者が、モダニズム・冷戦・リベラリズムをキーワードにその深層/真相に鋭く迫る、スリリングな論考。 <目次> 序章 農本主義者の立場 Ⅰ 創られた伝統としての「現在の中の過去」 Ⅱ 『アメリカ文学の再解釈』──アメリカにおけるアメリカ文学研究の制度化 Ⅲ ニュー・ヒューマニズム論争 Ⅳ 南部における衝突地図 Ⅴ ナッシュヴィルの農本主義者の立場 第一章 詩的南部連合──新批評と「南部文学」の誕生 Ⅰ 制度としての南部文学 Ⅱ フュージティヴ詩人と農本主義者の連続性 Ⅲ 南部文学のモダニズム宣言──象牙の塔の政治学 Ⅳ 「南部」の新批評、新批評の南部 第二章 新批評の父たち──南部農本主義者の共同体 Ⅰ 女性化する南部──合衆国最大の問題、それは南部 Ⅱ 正しい伝統の創造 第三章 アメリカの白いヨーロッパ──農本主義者のファシスト疑惑と、リベラル・ナラティヴ Ⅰ アメリカの白いヨーロッパ Ⅱ 農本主義者のリベラル・ナラティヴ 第四章 戦後少女の本棚──第二次世界大戦後の文化占領と翻訳文学 第五章 言説としての南部──男らしさの領有 Ⅰ 南部の男──共和国としての男の身体 Ⅱ 「国民」の創生──白い男たちの帝国 終章 あとがき 初出一覧 参照文献
-
-★グラミー賞15冠、CDセールス6500万枚、楽曲再生65億回ーー世界的歌姫が自らの半生を赤裸々に語り尽くした著者史上最高傑作! ★米国Amazon2,600件以上で「星4.8」の超人気ベストセラー、初の邦訳! ★「自分の本当の価値を見つけ出す」ためのパワフルなメッセージに勇気づけられる人が続出! 世界で最も称賛されるミュージシャンの一人であるアリシア・キーズは、 その魂のこもった歌詞、驚異的な音域、そして心揺さぶられるピアノによって世界を魅了してきた。 しかし、華やかな人生を歩む一方で、人知れず個人的な苦しみを抱えていた―― 厄介で複雑な父親との関係、人を喜ばせたいという性格が高じて自らを追い詰めてしまった葛藤、恋愛におけるプライバシーのなさ、そして「完璧な女性であるべきだ」という期待からの重圧。 有名になるにつれ、アリシアの「表向きの個性」が奥深くにある「本当の個性」を覆い隠してしまい、彼女は何年ものあいだ、自分の本当の価値に気づくことすらできなかった。 こうして長いあいだ自らを抑え込む日々を送った末に、 彼女はついに、ある「問い」への答えを求めはじめるーー 「わたしは、本当は誰なの?」 本書を通じて、アリシアは真実を求めようとする自分自身の姿を初めてさらけ出してみせた。 自分自身について、自分の過去について、 そして、自分の気持ちを犠牲にすることをやめ、自らを大切にしようとする確固たる思いについて。 彼女が内側から変化していく姿を通して、 ぜひ、読む人一人ひとりが「本当の自分らしさ」を見つけ出すヒントにしてほしい。
-
3.8少女の成長を描くイタリアのベストセラー。 13歳の時にそれまで育った裕福な家庭から、実の親と兄妹が暮らす田舎の貧しい家庭に突然戻されてしまった「わたし」。大人の都合に翻弄され、あまりに違う環境に戸惑い、寄る辺の無さに悩みながらも、実の妹という理解者と共に成長し、やがて大人を乗り越えていこうとする少女の姿を描く感動作。イタリアで二大文学賞のひとつカンピエッロ賞を受賞、28か国に翻訳され、映画化も進行しているベストセラー。 (2021年3月発行作品)
-
4.0一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた 【「一日一章ずつ読んでる」「大好き」「読みおわるのが惜しい!」とSNSで感動の声!】 〈しゃもじ〉〈コーヒー〉〈アボカド〉…。身の回りにあるモノをみつめれば、自分をもっと好きになる。韓国で爆発的人気のイラスト〈モノ〉エッセイ! 【一日一章ずつ読んで下さい。何気ない毎日がきっとあなたも愛おしくなる。】 ・傷ついた人間関係は、古い〈玉ねぎ〉の皮を剥くように癒やす ・〈しゃもじ〉を水に濡らすたびに思い出す、亡き祖父の教え ・食べ終わった〈アボカド〉の種を育てるということ ・二度目の〈コーヒー〉は、その日の体調に合わせて ・友人へのおみやげは〈すいか〉の種の気配り ・誕生日プレゼントだった〈オリーブオイル〉と〈生理用品〉 ――貧しくても一人でも、日々の生活と向き合って、私はここ(ソウル)で生きていく。 自分を好きになるというのは決して簡単なことじゃないけれど 昨日の自分よりも今日の自分を もっと好きになりたいという強い気持ちがあるはず。 日々の変化をモノを通じて感じることができたら。 そんなふうに、明日に向かって生きていきたいのです。(「はじめに」より) 一人で暮らしはじめて、私はやっと私になれた。――しゃもじ、コーヒー、アボカド。身の回りのモノに耳を傾ければ、今日の自分がもっと好きになる。読めば優しい気持ちになれる、ソウル発の大人気イラストエッセイ。
-
-「水滸伝」「三国志演義」「金瓶梅」の四大奇書のひとつ。唐の僧玄奘、すなわち三蔵法師の紀行という史実をもとに創作された妖怪変化、奇想天外、千変万化の物語。軽妙洒脱な名訳で、孫悟空をはじめ脇役の活躍を活写。
-
-「水滸伝」を直訳すれば「水辺物語」。梁山泊という湖水を背景にくりひろげられた数々の事件を描いたことから名付けられたが、宋江ほか36人が次から次に同じ志で集まっていく過程が時代を超えて人々を惹きつける。
-
4.0
-
3.8全米ベストセラー、人気若手作家による9・11文学の金字塔、ついに邦訳。9歳の少年オスカーは、ある鍵にぴったり合う錠前を見つけるために、ママには内緒でニューヨークじゅうを探しまわっている。その謎の鍵は、あの日に死んだパパのものだった……。全米が笑い、感動して、心の奥深くから癒された、時代の悲劇と再生の物語。ヴィジュアル・ライティングの手法で編まれる新しい読書体験も話題に。
-
4.2わかりやすく、見やすく蘇った『森の生活』。 ヘンリー・D・ソローは、1800年代中期、ウォールデンの森の家で自然と共に2年2か月過ごし、内なる自然と外界の自然、そして人間社会を見つめて膨大な日記を記しました。その日記をもとに一冊に編み上げたのが本書です。邦訳は、古典の引用などから難解な書籍と言われていましたが、2004年に小学館から発売になった動物学者の今泉吉晴氏の訳本は、今泉氏自身が山小屋に30年暮らして、自然の側からの視点でソローの翻訳を続け、若々しく、読みやすく、示唆に富む内容になっています。今回の文庫では、さらに豊富な注釈を加筆。深く読み込みたい読者に対しても魅力ある内容となっています。新たに収録された写真と地図は、ソローの足跡(そくせき)をたどったH.グリーソンによるもの。ソローの文章と一緒に見ることで、ソローが感じていた自然を少しでも感じてほしいという訳者の意図によります。社会の産業化が進み始めた時代に、どのようにソローが自然の中を歩き、何を感じていたか。現代に生きる私たちも少しでも感じることができるのではないでしょうか。
-
-
-
-恐れるな、恐ろしくあれ 竜、サメ、ゾンビ、悪魔、吸血鬼、巨大生物…… 人々はなぜこんなにも「モンスター」に惹かれるのか―― H・P・ラヴクラフト歴史協会推薦! すべての迷える創作者たちに捧ぐ「人ならざるもの」を描くための導きの書 映画、ドラマ、小説、ラノベ、マンガ、ゲーム、TRPGなど、あらゆるジャンル作品に登場する「モンスター」なる異形のものども。本書は、モンスターという「リアルでないもの」を、「もっともらしく」表現するためのガイドブックである。 第一部では「モンスターとは何か」という根源的な問いから、それを恐ろしいと人が感じる要素や理由、悪役(ヴィラン)との違いについて明らかにする。第二部および第三部では、作品におけるモンスターの役割、モンスターを創造する際の実践的な手段、五感に訴えかけるような生き生きとした描写の方法、登場人物だけでなく読者にとっても恐ろしく、意味を持った登場の仕方など、創作活動における実践的な取り入れ方についてレクチャーしている。 また、各章末のコラムでは、既存の作品に登場してきた数々のモンスターをカテゴリごとに紹介。ゾンビや吸血鬼といった原初的なモンスター像から、超有名モンスター、サメや自然などの現実に存在するものをモンスターとして活かす方法、あるいは未確認生物や幽霊船、呪いのアイテムといった細部まで、実例を交えながら解説する。 ファンタジー、SF、ホラーといったジャンルの創作活動への最良のガイドブックであるとともに、H・P・ラヴクラフト歴史協会メンバーの著者の語る卓越したモンスター論としても読める、知的好奇心を駆り立てる一冊である。 ★H・P・ラヴクラフト歴史協会による序文 ★「クトゥルフ(クトゥルー)神話」の生みの親、H・P・ラヴクラフトの短編『名状しがたきもの』を解説つきで収録 ★あなた好みのモンスターを創造するための練習問題付
-
-鳴り響くアメリカ国歌、銃声。逃げ惑う住民が辿りついたのは元大統領邸宅(モンティチェロ)だった……。近未来アメリカを舞台に、トマス・ジェファーソンと奴隷の間に生まれた女性を先祖に持つ女子学生が、暴徒化した白人至上主義者から逃れ、因縁の場所で運命と対峙する表題作をはじめ、全6編を収録したデビュー作品集。 バージニア州シャーロッツビル周辺を主な舞台に、人種差別や経済格差の問題等、さまざまなテーマを内包する中編(表題作)1本と短編5本を収録。 本書は、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補、ニューヨーク・タイムズ紙2021年ベストフィクション10冊に挙げられた。2022年リリアン・スミス図書賞受賞。 (原題 My Monticello)
-
5.0青年エドモン・ダンテスは「ファラオン号」の次期船長の有力候補として、希望に胸ふくらましてマルセーユに帰港する。そこにはフィアンセが首を長くして彼の帰りを待っていた。だが、足取りも軽く父親とフィアンセのところへと急ぐダンテスの背後には、「ファラオン号」の会計士ダングラールの食い入るような憎悪のまなざしがあった。…ダンテスが知らずして託された手紙が陰謀の引き金をひく。ダンテスは無実の罪を着せられ、死の牢獄「シャトー・ディフ」に幽閉される。囚人三十四号としての十四年の獄中生活! だがダンテスはついにチャンスをとらえて脱獄する。まず知りたいのはフィアンセのこと、父のことだ。せめて獄中で知り合ったファリア神父から聞いたスパダの秘宝を手に入れることができれば…雄大な構想で展開する波瀾万丈の物語。 全5巻。
-
4.0この思想家が特記されるのは「私は何を知っているか」という命題から出発し、予断、断定、差別、高慢を排し、そのため『随想録』は事柄を並置、対比することに徹し、エッセーという新しい叙述方法が生み出された。
-
5.0目に見えるものをリアルに描き、その奥にある「目には見えないもの」を想像させる薄気味のわるい物語11編。超自然現象、異常な幻覚、狂気錯乱など、作者自身の実体験をへて生み出された「怖い話」の集成。
-
-
-
4.3「わたしは作者にたいして、わたしにとってかなりの心理学的重要性を有するつぎの逆説的真理を明らかにしてくれたことをとくに感謝している。それは、人間の幸福は自由のなかにではなく、義務の受諾のなかにあるということだ。この書物の登場人物のひとりひとりは、おのれがなすべきこと、その危険な任務に、情熱的かつ全面的に身を捧げ、それを遂行したあとにはじめて、幸福の安らぎを見出す……」(アンドレ・ジッド 序文より)冷厳な態度で郵便飛行事業の完成をめざす支配人リヴィエールと、パタゴニアのサイクロンと格闘する飛行士ファビアン、それぞれの一夜を追いながら、緊迫した雰囲気のなかで夜間の郵便飛行開拓時代の叙事詩的神話を描いた本書は『星の王子さま』とならんで、サン=テグジュペリの名を世界中に知らしめた代表作である。南米ブエノス・アイレスの地に、主人公と同様、郵便飛行の支配人として赴任していた時期に執筆され、1931年度のフェミナ賞に輝いた。特別付録 ディディエ・ドーラ「『夜間飛行』に着想を与えた人物から見た」
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 森や動物を守る妖精パーンは湖の妖精で美しいシュリンクスと深い恋に落ちる。 愛と試練の物語。
-
-ネパール出身の女性作家マンジュシュリ・タパの17編の短編を収載(原著「tilled earth」インド・ペンギン社刊より)。アメリカ人女性とネパール人男性の恋、土地を売った金を分け合う兄弟、結婚によって最良の友を失った男女、日の目をみない詩人とアメリカに渡りたい人気歌手……風習や言葉、生い立ちの違いと向き合いながら、居場所を探し求める人々を描いた物語。心の奥底に苛立ちや不満を抱えつつも真摯に生きる姿や、自分の国(おかれた場所、選んだ場所)に人生をささげる人々の姿は、何かを大切に想う気持ちが生きる力になるということを、私たちに気付かせてくれます。そして、この地上には、自分を必要とする場所があるのだと、信じたくなる一冊です。
-
4.02020年にノーベル文学賞を受賞した詩人、ルイーズ・グリュック。 日本で翻訳版のなかった女性詩人の代表作を対訳(英語の詩も掲載)でお読みいただけます。 原書『The Wild Iris』は1993年にピュリッツァー賞詩部門受賞。花をモチーフにした美しい作品集です。 翻訳は、詩人、エッセイスト、ウィートン大学英文学部准教授の野中美峰氏。 原作の世界観を極限まで再現した流麗な翻訳詩をお愉しみください。
-
4.0「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」 1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」) 1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」) 二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。 アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。 本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1940)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。 他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。 また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。 その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。 その本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。
-
4.4「脳に電気ショックを与えて、『完璧な人間』へとつくり変える」 現在の米脳科学界における一大トレンドであり、DARPA(米国防高等研究計画局)も莫大な予算のもと参戦する「脳深部刺激療法」。 「サイコパス」「依存症」「うつ病」「てんかん」「パーキンソン病」、そして「小児性愛」「性犯罪者」さえも矯正可能であるという夢のような治療法だ。 軍事転用すれば、冷酷な兵士を人工的に生み出せる。 しかし、闇に葬り去ったはずの禁断の治療法がふたたび甦ってしまった、と戦慄する人も多い。 というのも1950~60年代、マッドサイエンティスト疑惑のある天才脳神経外科医が、 倫理観の希薄な南部(ニューオリンズ)の大学で、思う存分に人体実験を敢行していたからだ。 患者の頭蓋骨に穴を空け、電極を差し込むことによって。しかも彼は、人類の進歩に貢献する英雄として、もてはやされていたのだという。 恐るべきことに彼は、同性愛者を異性愛者へつくり変えることに成功。 暴力行為が一瞬で消えた患者、上限のない幸福感に満たされる患者、メンタル疾患が消えた患者なども。過激化する人体実験。 その一方で、手術失敗で発生した廃人たちを隠し切れなくなりーー。 人間の本質=「脳」という臓器に変更を加えることは許されるのか?
-
3.3ストックホルムで起きた、サッカー審判員撲殺事件。地域警官のミカエラは捜査に参加、尋問のスペシャリストで心理学者のハンス・レッケと出会う。彼は鎮痛剤の依存症だった。独特の心理分析で捜査陣をかく乱するレッケだったが、ある日ミカエラが地下鉄に飛びこもうとした彼を救ったことをきっかけに、二人は被害者の裏の顔と、事件の奥に潜む外交機密に突き当たる。元ピアニストの経歴を持つレッケは、アフガニスタン移民である被害者の中に音楽の痕跡を見つけるが、そこには凄惨な過去が待ち構えていた。上流階級のレッケと移民のミカエラ。奇妙なコンビは時と国境を越え、真実に迫る――。
-
3.7『アーモンド』を生んだ「チャンビ青少年文学賞」受賞作品! ――私を苦しめたのは、善意。 マンション火災事故の「奇跡の生存者」ユ・ウォン。 ユ・ウォンの姉は、幼い妹を布団で巻いて11階から投げ落とした後、帰らぬ人となった。 地上で彼女を受け止めたおじさんは、足に重い障害を負った。ユ・ウォンは奇跡の象徴として、おじさんは英雄として、一躍、時の人となった。 あれから12年。いまだに世間は「あの事件の子」という眼差しで彼女を見る。姉は神格化され、「英雄」のおじさんは家をたびたび訪ねてきてはお金を無心していく。 そんななか、ユ・ウォンは同じ高校に通うスヒョンと知り合う。自分とは正反対のスヒョンに影響され、初めて他人に心を開いていくが……。 誰にも言えない、生き残ったことの罪悪感、自己嫌悪、葛藤、矛盾―― 数々の痛みを乗り越え、自らの力で人生を取り戻そうとする少女の成長を、瑞々しく描いた感動作!
-
-若者デーヴィッド・バルファは遺産相続の権利をもちながら、欲深な伯父の陰謀によって「誘拐され」、アメリカ植民地へ奴隷として売られそうになる。だが船は難破、たまたま知り合ったジャコバイト党員のアランとスコットランドの荒野をさまよう。そこは内乱の影を宿す危険極まりない場所だった。スコットランド出身の作家が描く「宝島」とならぶ冒険物の代表作。
-
4.3この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか 天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン。 1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア)。日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する── 同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ(李心潔)、阿部寛出演】原作(2019年映画化、2021年7月24日~日本公開/DVD発売元:マクザム+太秦)。 マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。 【あらすじ】 封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す── 1980年代のマレーシア。 連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。 そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。 日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。 【目次】 夕霧花園 著者による注釈 訳注 訳者解説 訳者あとがき
-
-
-
4.0【『アルケミスト』の著者、パウロ・コエーリョが贈る「人生を実り豊かにする」教え】 この国で最高の弓の達人である哲也は、現在、小さな村の普通の大工として生きていたが、 ある日、遠い国から来た別の弓の達人から挑戦を受けた。 哲也はこの挑戦を受けることによって、その弓の達人だけでなく、村の少年にも弓の真髄を 教えるのであった――。 「矢は一本一本、異なる飛び方で飛翔する。 あなたは何千本という矢を射ることができるが、 その一本一本が異なる軌跡を描いて飛んでゆく。 それが弓の道なのだ。」 プロローグ 仲間たち 弓 矢 的 姿勢 矢の持ち方 弓の握り方 弓の引き方 的を見る 矢を放つ瞬間 繰り返し 的に向かって飛翔する矢を見る 弓も矢も的も持たない射手 エピローグ
-
-われを忘れる理想の愛はすぐそばにあった。 マンハッタンで書店を営むジェーンは、物心ついた頃から、姉サマンサにコンプレックスを抱き続けている。 幼い頃から本の虫だった自分とは異なり、姉は常に行動的であるうえ、すれ違う人たちを振り向かせるほどの美人なのだ。 ある日、ジェーンは書店にやってきたハンサムな男性ダニエルにひと目惚れし、 しかも本全般に詳しいことがわかり、ジェーンはさらに彼に惹かれていく。 一方、その様子を眺めていたジェーンとサマンサの親友ケイレブは激しく動揺する。 はたして、ジェーンの恋の行方は?
-
3.0<近くて遠い国>。韓国がそう言われるのは<日本に似て非なる>国だからであろう。であればこそ親しみやすい反面、食い違いが生じれば忽ち嫌韓感情を生んでしまう。その韓国とは、2002年のサッカーワールドカップ共催を契機に、俄かに「韓流ブーム」が沸き起こり、歴史ドラマが数多く紹介され好評を博した。それらの多くは秀作・力作ぞろいで、今でも人気は高いが、作品を通じて朝鮮時代や韓国文化が理解できるかと言われれば、「水戸黄門のドラマを見て江戸時代や日本のことを知ろうとする」のと変わりない。その国のことを理解するには、このようなドラマではなく、古典を通して逍遥するのも有効かもしれない。というのも、韓国文化の母体は朝鮮時代にあるからだ。その朝鮮時代に朱子学(儒教)を通じて国家建設を目指した「士大夫」と呼ばれる科挙合格官僚がいる。特に朝鮮前期に活躍した成俔の随筆「慵斎叢話」は当時の世相を知る最上の資料でもある。この「慵斎叢話」は宮中世界、歴史・文学、自然現象から巷の奇譚・笑話に至るまで多様な話があるが、本書では極めて人間臭い話題を中心に、男女のスキャンダル、破戒僧、呪詛・占い、宮廷秘話など、韓国の厳しい儒教社会に対する先入観を打ち破る奇異譚を紹介する。
-
-「世界中のフェアリーの特徴を調べたい人は、トマス・カイトリーが書いたこの本を読むことからはじめるのがいちばん」と評される名著。フェアリーという概念の起源、説話の発生地、伝播の道筋など、ファンタジックな世界の入門書。
-
-
-
-プラハで怪しげな犬の売買をして暮らしていたシュベイクは、オーストリア軍に召集されて前線に送られる。以前に兵役に服したときは「愚鈍」とレッテルをはられて除隊になったのだが、シュベイクははたして「愚鈍」なのか、それとも「知恵者」なのか。だが、シュベイクは上官の命令を忠実に実行することで、軍に多大な損害をあたえる。軍律の盲点をつく天才だったのだ。この長編は、第一次世界大戦時に被支配状態にあったチェコ人の一下級兵士がおこなった珍無類の抵抗と冒険をコミカルにえがき、諷刺・ユーモア文学の世界的傑作として名高い。シュベイクが常連だったことになっているプラハのレストラン兼酒場「ウ・カリハ(さかずき屋)」は、今も観光名所として知られる。
-
4.1お笑い街道ばく進中。英文学史上もっとも滑稽な数十ページといわれたキテレツ表彰式の章をを含む、天才ウッドハウスのナンバーワン長編。
-
-二十歳前後ですでに詩人、翻訳家、劇作家として認められ、短篇小説でも成功したツヴァイクは、バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーという三大小説家を対象としたユニークな評伝を発表した。それが本書収録の三編であるが、これに追加して第四編として、最晩年に書かれた「モンテーニュ」を含めてタイトルを「四人の巨匠」とした。モンテーニュの生きた時代と、彼の境遇、性格、考え方に多くの共通点を見出したツヴァイクは、彼を「自由なる人間」の友であると考え、この評伝を書き上げてまもなく自ら生命を絶った。
-
3.0
-
3.4
-
4.51989年9月に筑摩書房より刊行され、92年10月に同社より文庫化された同名作品の新装版。 本著は金沢の「北國新聞」に1988年1月から12月までの一年間、毎日曜に計51回連載されたものがベースとなっている。 壮大な中国の歴史の中で、日本人に一番なじみの深い「三国志」に登場する絢爛豪華な英雄武将たちの生の軌跡を、 西晋の陳寿の正史「三国志」をもとに明の羅貫中の小説「三国演義」を織り交ぜながら描き出されたのが本書。 乱世をたくましく生き、戦い抜いた漢(おとこ)たちの波瀾万丈、痛快無比な生き様を、歯切れのよい名調子で語り尽くす!!! 『キーワードで読む「三国志」』『水滸縦横談』『史記・三国志英雄列伝』に続く、当社刊行の“井波中国古典文学シリーズ”の第4弾! 本文内容にあわせて図版を新たに加え、全話に掲載! ビジュアル的にもより深く広く「三国志」の世界を堪能できること必至!
-
-「夜の樹」は、1949年に出版されたカポーティの唯一の短編集で、「夢を売る女」「誕生日の子供たち」「最後の扉を閉めよう」「銀の酒壜」「ミリアム」「無頭の鷹」「私の言い分」「夜の樹」の8編からなる。多くは人間の深奥にひそむ欲望や夢をシュールに描いた作品であるが、「誕生日の子供たち」のような幼年期への郷愁から生れた自伝的色彩濃厚な心優しい作品も含まれている。
-
4.31940年にドイツ占領下のポーランドに生まれたマイケルは、 ゲットーや収容所暮らしを余儀なくされたのち、 わずか4歳でアウシュヴィッツに送られた。 なぜ、子どもが次々に殺されていった収容所で、 彼は6か月も生き延びられたのか? 悪や絶望がうずまく世界の中で、ひたむきに前を向いて 生きたマイケル一族の姿が胸を打つとともに、 家族の絆や、希望を失わずに生きることの大切さを あらためて教えてくれる良質なノンフィクション。
-
-言語・文化・宗教のモザイク世界、ウクライナ・ロシアの諸都市の人々の暮らしと現実、1920年代の記録。 カフカと同じ時代を生きたオーストリアの文豪ヨーゼフ・ロートが、作家・記者の目で観た東欧諸都市の景観と人々の暮らしを独特のスタイルで書き綴った魅力あふれる紀行文で、未発表のまま残されていたウクライナとロシアの旅の報告から、珠玉の17篇を収録。 【目次】 一 東からの便り+D26:G26新流行 ウクライナ少数民族 リヴィウ 障害者の葬列 二 ロシアの風景 トコジラミと過ごした夜 レニングラード 三 ソビエトの現実 国境のネゴレロイエ モスクワの亡霊 ヴォルガ川をアストラハンまで アストラハンの不思議 カフカスの民族模様 ロシアの大通り アメリカを目指すロシア 女性と新しい性道徳と売春 教会、無神論、宗教政治 村に広がる町 世論と新聞と検閲 ロシアの神 あとがき 編集者あとがき 謝辞 【著者】 ヨーゼフ・ロート 1894年、東ガリシアのブロディに生まれる。1939年、亡命先のパリで死亡。1923年からドイツの代表紙「フランクフルト新聞」の特派員となり、ヨーロッパ各地を巡ってユニークな紀行文を書き送り、売れっ子ジャーナリストとなった。その傍ら創作にも手を染め、1930年の長編小説『ヨブ─ある平凡な男のロマン』は現代のヨブ記と称された。1932年にはかつての祖国ハプスブルク帝国の没落を哀惜の念を込めて描いた『ラデツキー行進曲』を発表し、小説家ロートの名をも不動のものにした。 ヤン・ビュルガー 1968年生まれ。文学研究科、小説家。文芸雑誌『リテラトゥーレン』編集者。2002年からは、マールバッハ所在のドイツ文学アーカイブにて従事。ハンス・へニー・ヤン、マックス・フリッシュおよびゴットフリート・ベンに関する著書の他に、『ネッカー川、ある文学旅行』がある。 長谷川圭 高知大学卒業後、ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。同大学での講師職を経たあと、翻訳家および日本語教師として独立。訳書に『樹木たちの知られざる生活』(早川書房)、『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberはなぜ世界のトップに立てたのか』(集英社)、『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』(角川書店)、『ポール・ゲティの大富豪になる方法』(パンローリング)、『メイク・ザット・チェンジ』(日曜社、共訳)などがある。
-
4.31910年の大雪の晩、アーシュラ・ベレスフォード・トッドは生まれた。が、臍の緒が巻きついて息がなかった。医師は大雪のため到着が遅れ、間に合わなかった。しかし、アーシュラは、同じ晩に再び生まれなおす。今度は医師が間に合い、無事生を受ける。同様に、アーシュラは以後も、スペイン風邪で、海で溺れて、フューラーと呼ばれる男の暗殺を企てて、ロンドン大空襲で……、何度も何度も生まれては死亡する、やりなおしの繰り返し。かすかなデジャヴュをどこかで感じながら、幾度もの人生を生きるひとりの女性の物語。ウィットと慈しみに満ち、圧倒的な独創性に驚かされる比類なき傑作。コスタ賞受賞作。
-
-
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ミルトンのParadise Lost論である。話の順序を追いながら、文学作品の基本的枠組みとも言うべき時間と空間という角度から、詩全体を分析している。 待望の電子復刻版。
-
-
-
-ナンナは十六になった娘の身の振り方を決めてやるのに迷い、友達のアントニアに相談する。「修道女にするのがいいか」「さっさと結婚させるのがいいか」「娼婦にするのがいいか」というのだ。それというのも、ナンナ自身、この三つの暮らしをすべて経験してきたからで…ルネサンス期ローマの町のけた外れの淫乱ぶりを暴露するポルノの元祖。
-
-このコンテンツは扶桑社刊【ハリー・ボッシュ・シリーズ(1)】「ナイトホークス(上)」「ナイトホークス(下)」の合本版になります。
-
-ロンドンの骨董品店での偶然の出会いをきっかけに、トルコへ渡り自分自身を発見する旅に出る。自分の生活も仕事もすべてを整理して旅に集中し、内なる自分、出会いの必然性を知り、ついに真実に触れられると思った矢先――。 キリスト教もイスラム教も宗教に関係なく、超越的なものとつながる境地に達するまでを描く自伝的小説。 パウロ・コエーリョ『アルケミスト』やロンダ・バーン『ザ・シークレット』など、数々の名作を訳してきた山川亜希子氏が「文学的に美しく特に好きな本」と絶賛! 文庫化に際して新たに「四十年後」の章(訳しおろし)を追加しました。 原題:The Last Barrier 著者:Reshad Feild
-
-性欲の衝動に苦しみ、性的に満足することのなかったひとりの婦人。ヴィヌヤダッタ王の宮廷に一糸まとわぬ姿で現れた彼女は、そこに仕えていた大仙コッコーカの手によってそれまで味わったことのない快楽と歓喜を得た。 抱擁の種類、キス(接吻)の方法、性交体位の説明から、人妻への接し方や、性器を増大させる方法まで。 コッコーカの説いたこの書『ラティラハスヤ―性愛秘義―』は、インドで12世紀ごろ成立し、『カーマスートラ』の姉妹編とも称される性愛の古典。 人生の目的は解説、正義、財物および性愛(カーマ)にあり! としたインド人による、性愛の技巧を徹底的に研究した成果が、1948年に発行された『ラティラハスヤ(性愛秘義)』を底本に現代仮名遣いで復活。
-
4.2
-
3.8
-
4.0
-
3.8瞠目の伏線回収。極上のサスペンス。 《一読して、「これは最先端の物語だ」と感じさせる。それが本作の、そしてまたハーラン・コーベン作品の素晴らしい強みだ》 《あらゆる問題が更新され続けるこの世界(中略)。そうした世界に注がれるハーラン・コーベンの眼差しは、ひとことで言うなら、限りなく「公正(フェア)」だ。あらゆる価値観が錯綜する現代において、最も挑戦的な態度の一つといっていい。》(作家・冲方丁氏の解説より) 薬物に溺れ失踪した娘を探す父。次々と標的を襲う殺し屋と同行する女。姿を消した資産家の息子を探す私立探偵。娘に薬物を与えた男。バラバラなピースがつながったとき、驚くべき忌まわしい事実が姿を現す。 フェアな目線と巧みな構成に唸り、怒濤の伏線回収に目を瞠る。そして衝撃過ぎる結末。米国屈指のヒットメーカーが放つ、極上のドメスティック・サスペンス。
-
3.0
-
-フランス北東部の街、シャルルヴィルに生まれたアルチュール・ランボー。早くから詩の才能を発揮し、詩人のヴェルレーヌとも交流を持ったが、20歳のとき、ランボーは突然、詩作を放棄する。なぜ、ランボーは詩を棄てたのか? 著者、奥本大三郎による詩の新訳とともに紡ぐ、ランボー伝!
-
-古代インドのサンスクリット語による大叙事詩。詩聖ヴァールミーキの作と伝えられる。ガンジス川の中流に位置するコーサラ国の首都アヨーディヤーを統治するダシャラタ王は3人の妃によって4人の王子を得た。長男のラーマは魔類を滅ぼすためにヴィシュヌ神が人間に化身したものであった。王は長男ラーマに王位を譲ろうとしたが、継母のカイケーイーは、自分の産んだバラタを王位につけ、ラーマを14年間追放するよう王に迫る。ラーマはそれを知ると、自ら森に入った。妻のシーターと弟のラクシュマナも彼に従った。王が亡くなると、バラタはラーマを連れ戻しに行くが、拒絶されたので、ラーマのサンダルを玉座に置いて、王国を守りつつラーマの帰国を待った。ラーマはダンダカの森において有害な羅刹(らせつ)を退治したので、羅刹の王ラーヴァナは彼を憎み、かつシーターの美貌に魅了され、彼女を略奪して、自分の王宮に幽閉した。ラーマはラクシュマナと共にシーターを救出しに出かける。この救出劇の詳細がラーマーヤナの主筋である。途中、ラーマは猿王スグリーヴァの窮地を救ったので、神猿ハヌーマンをはじめとする猿軍の支援を得て、ラーヴァナの王宮がランカー島にあることをつきとめる。ラーマは猿軍とともにランカーに渡り、激戦につぐ激戦のすえ、ついにラーヴァナとその配下の悪魔たちを殺し、シーターを救出する。1年間ラーヴァナの王宮に幽閉されていたシーターは、身の貞潔を証明するために火神を念じながら火の中に入り、火神はシーターを抱きあげてその身の潔白を証言し、ラーマに手わたす。ラーマは彼女を伴ってアヨーディヤー市に凱旋し、王位についた。「ラーマーヤナ」はヒンドゥー教の聖典とされて後代の文学と思想に多大な影響を与え、インド国外でも、ジャワ、マレー、ミャンマー、タイなどの文化に強い影響を及ぼし、中央アジアから中国や日本にも説話として伝えられた。表紙絵はタイ、バンコクの「ワット・プラケオ(エメラルド寺院)」にある大壁画の一部である。
-
-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 悲劇の最高傑作『リア王』は、シェイクスピアが37歳ぐらいのときに書いた作品である。翻訳にはアーデン版『リア王』を用いた。亡き妻がロンドンで英文学を学んでいたときのテキストで、ここに彼女の貴重な多くの書き込みがあったからである。ところで、この作品を読んで、リア王の強い思い込みと激情に駆られて即断するという「愚かな罪」に対して「罰」が厳しすぎるのではと思われる方も多いのではないだろうか。ただ、現代においても親子の情は同じだ。信頼感と不信感、虚偽と正義のせめぎ合い、虚飾を取り去った人間の裸の姿、「見えていたときには見えず、見えなくなって初めて見える」人の世のこと、「どん底にいる」などと言える間はどん底ではないというギリシャの哲人が語るような人生哲学など、学ぶべきものが作品中に散りばめられている。訳していて気づかされたことは、主筋と副筋が微妙に絡み合っていて、強烈な一つの本体を形成していることであった。劇の途中で主人公のリア王がいなくなってしまい、それを補完するかのようにグロスターが代役の主人公のように登場し、リア王が最後に狂気となって現れるのだが、そこに至る過程をシェイクスピアはグロスターで描き出している。リア王の悲劇的効果を高めた道化の役も、リア王が消えている間は道化だけで登場させるわけにはいかないので、エドガーがしっかりと代役を務めている。ここにシェイクスピアの偉大さをまざまざと感じ取ることができた。
-
-老いを迎えたリアは三人の娘の「孝行の約束」の言葉によって、領地と権力の移譲をおこなおうとする。上の二人の娘は言葉をつくして父親への愛情を語る。だが、一番下の最愛の娘コーディリアは「親子の定めにしたがって愛します。それ以下でも以上でもありません」と謙虚に述べたことが高慢と受け取られ、領地もわけてもらえず、さびしくフランスへ去る。リアは上の二人の娘に面倒をみてもらうが、しだいに冷たくあしらわれ、ついには荒野をさまようようになる。シェイクスピア四大悲劇中でも最も激越・悲壮な悲劇中の悲劇。
-
4.4老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固める。二人の姉は巧みな言葉で父を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な言葉にリアは激怒し、彼女を勘当、二人の姉にすべての権力・財産を譲ってしまう。ここから老王の悲劇は始まった。シェイクスピア四大悲劇の最高峰を第一人者による流麗の技で訳出。詳細を極めた脚注を付す。
-
4.0
-
4.7◆1895年ロンドン。将来有望な政治家ロバートと貞淑な妻ガートルードは、だれもがうらやむ理想の夫婦。そして、自由気ままな独身貴族アーサーは、ロバートの親友で、ガードルードとも昔馴染みの間柄だった。◆ある日、ロバートが催した夜会に、妖しい魅力のチェヴリー夫人が現れる。◆彼女は、ロバートが犯した不正の証拠をちらつかせ、ある投資事業に便宜を図るよう迫る。◆脅迫を拒めば、社会的地位も妻の愛も失ってしまうと苦悩するロバート。すべてを打ち明けられたアーサーは、親友を救うために、チェヴリー夫人と対決することを決意するが……。◆優雅な社交界の裏で繰り広げられる、華麗な嘘と激しい火花の散らし合い。果たして恋と陰謀の行方はいかに!? ◆ワイルドのテンポよい展開とウィットに富んだセリフが光る、人間ドラマの傑作。 ◆2022年2月、宝塚・星組で本作を原作とした「ザ・ジェントル・ライアー~英国式、紳士と淑女のゲーム」が、同2月、新国立劇場で本作「理想の夫」が上演される。これが本作の日本で初めての上演となる。
-
-醜く生まれついたリチャードは、自分を呪い、世の中を呪い、あらゆる権謀術数を弄して、野心と復讐心にもえてつぎつぎと悪事を重ねる。妻を殺し、友を殺し、部下を殺し、幼い皇太子兄弟を殺し、国王にまでのぼりつめる。だがリチャードはつねに孤独である。彼のそばに現われては呪いの言葉を投げかける故ヘンリー六世王妃マーガレット、彼に肉親を殺され嘆きと悲しみのなかに沈む人びとの呪詛。近代的悪人像を描くシェイクスピア史劇の傑作。