文春新書作品一覧

  • 初めて語られた科学と生命と言語の秘密
    4.0
    まだ見ぬ「神」を探して――岡潔×小林秀雄の名著『人間の建設』の現代版がここに誕生! 話者のひとりはカオス理論の確立者であり、複雑系科学の第一人者の数学者、物理学者の津田一郎。もうひとりは、「編集工学」を掲げ、情報を生む世界観を追究してきた博覧強記の松岡正剛。1980年代初頭、新しい生命科学と数学が生まれつつある胎動に胸躍らせていた松岡氏は、津田氏と出会い、科学に物語性を接続するその才に触れ、心打たれたという。 それから数十年。ChatGPTをはじめとするAI技術や情報技術の進展、ゲノム解析を含む分子生物学や脳科学研究の進化により、「生命と情報」をめぐるボキャブラリーは増え、その起源と原理の解明への道筋は遥かに整いつつあるように見える。 これまでいったい科学は何を解き明かしてきたのか。はたして生命原理を解き明かす「神の方程式」はあるのか? ヒトの意識と自己の行方は――。 湯川秀樹、南部陽一郎らとも科学の最先端をめぐって議論を交わし、人文知と科学の知を架橋してきた松岡氏が、その「言葉」で、科学の諸ジャンルに通じた津田氏に丁々発止の質問を投げかける。切っ先鋭くもユーモア交え、「科学と生命と言語の秘密」に迫りゆく(ときに謎が深まりゆく)スリリングな対話が開幕。 第1章 カオスと複雑系の時代で 第2章 「情報」の起源 第3章 編集という方法 第4章 生命の物語を科学する 第5章 脳と情報 第6章 言語の秘密/科学の謎 第7章 「見えないもの」の数学 第8章 「逸れていくもの」への関心 第9章 意識は数式で書けるのか 第10章 集合知と共生の条件 第11章 神とデーモンと変分原理
  • 装飾古墳の謎
    3.7
    石室内部が赤、緑、黄、黒などの文様で、あざやかに彩られる装飾古墳。 4世紀半ばから7世紀にかけて現れた「古代のアート」は多くの謎を秘めている。 カラー図版を多数使って、その謎に世界的視座から迫る。 ・九州と関東周辺に集中し、近畿に少ないのはなぜなのか? ・装飾古墳が九州に多いのは、中国に近いからなのか? ・筑紫磐井の乱の敗北が装飾古墳を生んだという通説は本当か? ・なぜ埋葬施設に人に見せるための装飾をするのか? ・海外にも装飾された埋葬施設は存在するのか?
  • カラー新版 人名の世界地図
    -
    世界は「面白い」名前の宝庫だ――文春新書のロングセラー「世界地図」シリーズ累計80万部突破! ・トランプは「トランペット奏者」、バイデンは「ボタン職人」 ・ピカソの本名は寿限無並みに長い! ・ヒトラーとモーツァルトの名に隠されている「動物」とは ・マリリン・モンローは「ミッキー・マウス」を芸名の参考にした? ・「ビン・ラーディン氏」「スー・チー氏」は間違い ・キラキラ・ネームを付けない欧米人、改名が身近な韓国人 キラキラ・ネームが続々誕生している日本に対し、欧米の命名は保守的だ。現代においても、民族、宗教、地域社会などに根差して名前が付けられている。名前と発音から、どういう出自の人なのかを推理できるのだ。つまり、それほど人名には民族の出自や文化が色濃く反映されている。 2001年の発売以来、17刷の超ロングセラーに、アジア・アフリカ・イスラム世界の人名を大幅に加筆。カラー新版として生まれ変わった。 人名の謎はこの一冊で完全網羅。世界の命名事情を理解すれば、映画も小説ももっと深く楽しめる。 世界各国の人名の由来・歴史がわかる「大索引」つき 序章 外国人名との出会い 第一章 名前にこめられた意味 第二章 聖書がつくった人名の世界地図 第三章 ギリシャ・ローマの伝説 第四章 花と宝石に彩られた女性名の反乱 第五章 ケルト民族は生きている 第六章 バイキングたちが運んだ名前 第七章 名前でも迫害されたユダヤ民族 第八章 姓氏でわかった中国三〇〇〇年史 第九章 先祖の名とともに生きる朝鮮半島の人びと 第十章 アジア・アフリカの人名地図 第十一章 アッラーの御名におけるアラブの人びと 第十二章 黒人奴隷に押し付けられた名前 大索引 人名は「意味」の宝庫
  • 水木しげるロード 全妖怪図鑑
    3.7
    鳥取県の境港市は、『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる漫画家・水木しげるの故郷である。 そして、境港市といえば、なんといっても、妖怪たちのブロンズ像がメイン通りの両側に居並ぶ街として有名である。 なにしろ、空路で入れば米子空港は「鬼太郎空港」だし、JR境線の電車に乗れば、それは「鬼太郎列車」だったりする。境港市に入れば、「鬼太郎交番」もあれば、「鬼太郎ポスト」もある。とにかく、妖怪オンパレードだ。 そして、街の最大のアイコンが、妖怪のブロンズ像である。その数は年々増えつづけて、現在177体! 隠岐島や県庁やJR駅構内の像も含めれば、200体近い。 2018年、市は無秩序に並んでいたブロンズ像の大規模な移築を行った。現在では、「水木マンガの世界」「森にすむ妖怪たち」「神仏・吉凶を司る妖怪たち」「身近なところにひそむ妖怪たち」「家にすむ妖怪たち」の分類にしたがって並べられている。 本書は現在の妖怪ブロンズ像を網羅する最新の図鑑だ。『ゲゲゲの鬼太郎』はもちろん、妖怪に興味をもつすべて人たちへの格好のガイドブックである。 また、本書は、年に一回、境港市と調布市で開催される「妖怪検定」のオフィシャルテキストにもなっている。 めくるめく妖怪たちのワールドへようこそ!
  • カラー新版 地名の世界地図
    4.0
    実は、ナイルもインダスもドナウも、実は「川」という意味だった。地名の謎がこの1冊でわかる! 世界各国の国名・首都名の由来がわかる「大索引」つき 地名にはその土地の歴史が込められている。地形、戦争、民族の移動、大航海などで生み出されてきた地名の数々には、人類の歴史が刻まれている。 超ロングセラーとなった2000年刊の旧版を全面的に増補・改訂、ボリューム増。全カラー図版にした。 [目次] 序章 外国語地名との出会い 第1章 「自然」が生み出した地名 第2章 地名は古代地中海から 第3章 地名を変えたゲルマン民族の大移動 第4章 スラブ人たちの故郷 第5章 大航海時代が「世界」を発見した 第6章 モンゴルが駆けぬけたユーラシアの大地 第7章 ユダヤの離散とイスラームの進撃 第8章 アメリカ――新しい国の古い地名 第9章 アフリカ「黒い大地」の伝説 大索引 国名・首都名でわかった地名の五千年史
  • 老けない最強食
    4.5
    あなたは実年齢より若く見られますか? 近年、様々な研究でわかった食べ物と見た目の加齢の関係。 主食、肉、魚、野菜&果物、乳製品――何をどう食べたら老けないのか?各食品のスペシャリスト40人に徹底取材、最新の研究結果を盛り込み科学的データから紹介する「若さを取り戻すための食事術」。ランキング・レシピ付き。 【本書は、2018年10月刊行の文春ムック『週刊文春 老けない最強食』に新情報など盛り込み、再構成したものです。】 はじめに 序 章 なぜ人は老けるのか 第一章 老けない最強の主食  第二章 老けない最強肉 第三章 老けない最強魚 第四章 老けない最強野菜・果物 【コラム】毎日食べてほしい最強の一品とは? 納豆の老けない力 第五章 老けない最強の乳製品 第六章 老けない最強のおやつ 第七章 老けない最強レトルト&冷凍食品 【コラム】手軽な「温め」の落とし穴 「レンジでチン」で老ける物質が発生する? 【コラム】老けない漢方食とは “血が不足”すると薄毛になる? 第八章 老けない最強ドリンク 第九章 老けない最強油 第一〇章 老けない最強の食べる時間帯
  • 教養の人類史 ヒトは何を考えてきたか?
    4.3
    人生を豊かにするための「教養入門」決定版 近頃、書店には「教養」についての本が溢れている。だが、そもそも教養とは何か。なぜ教養が必要なのか。教養はいかにして身につけるものなのか――。 著者の水谷氏によると、1人の人間が生きていく上で必要な知識は2種類存在する。ひとつは実社会で生きていくために必要な知識。もうひとつは、1回きりの人生をより心豊かに、充実したものにしていくための知識だ。水谷氏は後者こそが教養だと説く。 本書は読者をそうした“知の探求”に誘うための足掛かりを提供する。ヒトという種が現在のチンパンジーやボノボなどと共通の祖先から枝分かれした約700万年前から現在に至るまでの歩みを辿りながら、私たち人類が一体この地球に何を残してきたのか、何を考え、何を信じ、何をしてきたのかを振り返る。 壮大な旅を手助けしてくれるのは、古今東西の“知の巨人”たちだ。国内からは内藤湖南、津田左右吉にはじまり、梅棹忠雄、中村元、丸山真男、松田壽男、見田宗介、柄谷行人、山極寿一、斎藤幸平。海外からはJ・S・ミル、マルクス・エンゲルスにはじまり、カミュ、エリアーデ、チョムスキー、ジュリアン・ジェインズ、W・J・オング、ユヴァル・ノア・ハラリ……。彼らの著作のエッセンスに触れつつ、人類が生み出してきた“知の全体像”を俯瞰する。 短期大学で16年にわたり教養の講義を続けてきた筆者が、大学生や新社会人に向けて書き下ろした教養の入門書。
  • 日本百名虫 ドラマティックな虫たち
    4.0
    『日本百名山』ならぬ名著『百名虫』登場! 文筆家・登山家の深田久弥が1964年に刊行した『日本百名山』になぞらえて、「品格・歴史・個性」を兼ね備えた日本の美麗昆虫・奇虫・珍虫100種を「百名虫」として紹介する一冊。 本巻『日本百名虫 フォトジェニックな虫たち』では、不完全変態の昆虫と水棲甲虫・肉食性の甲虫、別巻『日本百名虫 ドラマティックな虫たち』では、草食・菌食性の甲虫とチョウ・ガの仲間などを中心に、それぞれ50種ずつ紹介している。読者の興味のある種や仲間が載っているページから読んで頂いて構わない。 すでに虫好きな人もそうでない人も、一度手にとって2~3ページを読んでみてほしい。軽妙に語られる虫の豊かな世界にきっと引き込まれるから。
  • 日本百名虫 フォトジェニックな虫たち
    4.0
    『日本百名山』ならぬ名著『百名虫』登場! 文筆家・登山家の深田久弥が1964年に刊行した『日本百名山』になぞらえて、「品格・歴史・個性」を兼ね備えた日本の美麗昆虫・奇虫・珍虫100種を「百名虫」として紹介する一冊。 本巻『日本百名虫 フォトジェニックな虫たち』では、不完全変態の昆虫と水棲甲虫・肉食性の甲虫、別巻『日本百名虫 ドラマティックな虫たち』では、草食・菌食性の甲虫とチョウ・ガの仲間などを中心に、それぞれ50種ずつ紹介している。読者の興味のある種や仲間が載っているページから読んで頂いて構わない。 すでに虫好きな人もそうでない人も、一度手にとって2~3ページを読んでみてほしい。軽妙に語られる虫の豊かな世界にきっと引き込まれるから。
  • 名優が語る 演技と人生
    5.0
    仲代達矢×岩下志麻、松本白鸚×鳳蘭、柄本明×白石加代子、小日向文世×渡辺えり、野村萬斎×麻実れい、小林薫×吉行和子、西島秀俊×梶芽衣子、桐竹勘十郎×寺島しのぶ。 宝塚きっての男役と梨園の大立者が若かりし頃に共演していたミュージカルではこんな破天荒な出来事が! テレビドラマでもお馴染みの名優と女優のルーツとなった、伝説的劇団時代のエピソードや名演出家の思い出の数々。はたまた銀幕のスターと伝統芸能を背負う人間国宝のとっておきのエピソードなどなど。超豪華な組み合わせで好評を博した『オール讀物』連載「名優 男×女」8対談を新書化。
  • 経理から見た日本陸軍
    4.4
    大組織・日本陸軍を裏側から支えた男たちの物語。 予算決定や兵器の調達、兵士たちの食生活、唯一の憩いであった酒への並々ならぬ執念や、お財布事情など、知られざるエピソードを紹介。
  • 47都道府県の底力がわかる事典
    4.0
    「地方消滅」の危機が叫ばれて久しいが、政府が打ち出す「地方創生」の施策は成功しているとは言えない。 一方で、もともと持っている力を活かして成果を上げている地域もある。そこに暮らす人々の知恵と工夫と努力と挑戦が 地域を再生させているのだ。日本の地方には底力がある! 47都道府県「地域再生の物語」を網羅! 秋田県 秋田市――商店街スゴロクで街を知る、人を知る 山形県 寒河江市・山辺町――世界が欲しがる山形ニット 埼玉県 熊谷市など――猛暑が生んだ奇跡の米 福井県 大野市――水道を引かないまちの誇り 岐阜県 長良川鉄道――捨てられた路線を黒字列車が走る 大阪府 堺市など――ニュータウンにレモンを植えよう 兵庫県 豊岡市――在宅看取り率ナンバーワンの秘密 福岡県 北九州市――死の海から「環境」のまちへ 宮崎県 西米良村――年間二万人が来る限界集落 ほか
  • 東條英機 「独裁者」を演じた男
    3.5
    定説を覆す本格評伝! 敗戦の責任を一身に背負わされた東條英機。しかし、その実像は、意外に知られていない。 日本の航空事情を知り尽くし、メディアを使った国民動員を実践した宰相は、なぜ敗れ去ったのか。「総力戦指導者」としての東條を再検証する。 軍人になり、そして政治家に。東條英機はいかに「独裁者」を演じたのか――。
  • インフルエンザ21世紀
    4.3
    今こそ読むべきパンデミック対策の啓蒙書、電子書籍として待望の復刊! 薬学博士にしてベストセラー『パラサイト・イヴ』の作家が、ウイルス学者、医療関係者、数理統計学者、ジャーナリストなど30名を超えるスペシャリストに話を聞いた。 防疫の最前線を紹介しつつ、ウイルスの正体、変異のメカニズムから、危機管理のあり方、我々の意識の持ち方まで広範囲に取材して、ウイルスと人類の謎に迫る。ウイルスと人間社会の明日を見据えた著者渾身の一冊。 「ここに、パンデミックに立ち向かう人たちがいる。今日から、あなたもそのひとりである」 瀬名秀明 【目次より】 第1章 二一世紀のパンデミック 第2章 糖鎖ウイルス学の挑戦 第3章 ディジーズ・コントロール 第4章 時間と空間と呪縛を超える 第5章 想像力と勇気
  • 木戸幸一 内大臣の太平洋戦争
    4.4
    東条内閣を生み、「聖断」を演出した昭和史のキーパーソン、初の本格的評伝! なぜ日本政治は軍部に引きずられたのか? 昭和史最大の謎を解く鍵を握る人物が木戸幸一だ。 昭和日本の運命を決する重大な岐路には、必ず彼の姿があった。 開戦時から終戦時まで内大臣をつとめ、東条内閣の生みの親。 木戸孝允の子孫、昭和天皇最側近のひとりにして、 昭和史の基本文献として知られる『木戸日記』を書いた木戸だが、 彼がいかなる政治認識を持ち、重要な局面で何を行ったか、 正面から論じた著作は少ない。 満州事変、二・二六事件から終戦まで、昭和の岐路に立ち続けた木戸を通して、 昭和前期、日本が直面した難局が浮かび上がる。 ロングセラー『昭和陸軍全史』をはじめ、永田鉄山、石原莞爾、浜口雄幸などの評伝で 定評がある著者が描く昭和史のキーパーソン初の本格的評伝。 【内容】 満州事変 内大臣秘書官としていち早く陸軍情報を入手 陸軍最高の戦略家・永田鉄山との交流 二・二六事件 反乱軍鎮圧を上申 日中戦争 トラウトマン工作に反対 「軍部と右翼に厳しすぎる」昭和天皇に抱いた不満 三国同盟と日米諒解案は両立できると考えていた 独ソ開戦という大誤算 日米戦回避のためにあえて東条英機を首相に 「聖断」の演出者として ほか
  • スターは楽し 映画で会いたい80人
    3.7
    映画スター80人の魅力と代表作を一挙紹介。イーストウッドから森繁、マリリン・モンローまで、古今東西の映画スター80人の知られざるエピソードやプロフィールが楽しめる一冊。 週刊文春や文藝春秋の映画欄でお馴染み、当代きっての目利きである芝山幹郎が、古今東西の映画スター80人を名人、怪人、巨人、妖人、野人、麗人、才人、奇人と8つのジャンルに分類。その演技や魅力を論じつつ、生い立ちやエピソード、そして代表作を3本ずつご紹介。役者で選ぶ名画240本、映画はやっぱり人で見る! 【名優は人生もドラマティック!】 ・ケイリー・グラントは14歳で退学処分 ・大足がコンプレックスだったオードリー・ヘップバーン ・東宝の面接で当落すれすれだった三船敏郎 ・究極の「絶頂」を求めたピーター・セラーズ ・マレーネ・ディートリッヒは、自らスカートをめくってジョン・ウェインを誘惑した ・14歳年上の女性に調教されたクラーク・ゲイブル ・5歳で映画に出演した高峰秀子 ・プロボクサーをめざしていたジャン=ポール・ベルモンド ・ジャック・ニコルソンは「夜の戦闘服」を暴露された
  • 内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男
    4.0
    内閣調査室は本当に謀略機関だったのか……謎のヴェールを剥がす第一級の歴史史料! 松本清張は、昭和36年に「文藝春秋」に連載した『深層海流』で、「内調の役目がその辺を逸脱して謀略性を帯びていたとなれば、見逃すわけにはいかない」と書いた。あれから60年たっても、内調については関連する公文書も公開されなければ、組織の正史も作られておらず、依然としてその実態は謎のままだ。 本書は、昭和27年に吉田茂首相が、旧内務官僚の村井順に命じて内閣調査室が発足したときの、4人のメンバーの1人、志垣民郎氏の手記である。この手記のポイントは、内調は日本を親米反共国家にするための謀略機関だったのか、という問いに明解に答えているところにある。 志垣氏の主な仕事とは、優秀な学者・研究者に委託費を渡して、レポートを書かせ、それを政策に反映させることだった。これは、結果的に彼らを現実主義者にし、空想的な左翼陣営に行くのを食い止めた。そして本書には、接触した学者・研究者全員の名前と渡した委託費、研究させた内容、さらには会合を開いた日時、場所、食べたもの、会合の後に出かけたバーやクラブの名前……すべてが明記されている。まさに驚きの手記だ。 100人を超えるリストの面々は豪華の一言に尽きる。時代を牽引した学者はすべて志垣氏の手の内にあった。とくに重要なのが藤原弘達。「時事放談」で知られる政治学者は、東大法学部で丸山真男ゼミに所属した俊才であった。「彼が左翼に行ったら、厄介なことになる」。そこで志垣氏は、彼を保守陣営に引っ張り込むために、あらゆる手立てを尽くす。戦後思想史を塗り替える爆弾的史料である。
  • 天才の思考 高畑勲と宮崎駿
    4.3
    毎日が真剣勝負のジブリ戦記! 公開延期、スタッフの取り合い、我慢比べ、膨れ上がる予算、クーデター計画、引退宣言……。 『ナウシカ』 高畑プロデューサー曰く「間に合わないものは仕方がない」 『ラピュタ』 「もう監督はやらない」からの再出発 『トトロ』 はじめは原作脚本・宮崎、監督・高畑だった 『火垂るの墓』 未完成のままの公開 『紅の豚』『ぽんぽこ』 「俺が豚をやったんだから、高畑さんは狸だ」 『もののけ姫』 「エボシ御前は殺すべきじゃないですか」 『山田君』 「おもしろすぎるエピソードは外しましょう」 『千と千尋』 壁一面のイメージボードを捨てた日 ジブリの名作はこうして作られた! 『風の谷のナウシカ』から『となりの山田くん』、『風立ちぬ』まで。二人の天才を最も間近で支え続けたプロデューサーがついに語ったジブリ19作品の内幕。誰よりも互いを認め合った二人の生々しい激闘、強烈過ぎる個性、創作の秘密が惜しみなく明かされる。 最初で最後 高畑、宮崎、鈴木の特別鼎談収録
  • イチロー・インタヴューズ
    4.3
    シアトル・マリナーズでのデビュー試合。初めての首位打者のタイトルの獲得、リーグMVP、メジャー記録のシーズン262安打、WBCでの連覇、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸への強い想いまで――。日本球界からメジャーへの挑戦が決まった2000年秋から2010年シーズン直前までの100時間を超えるインタビューを収録。イチローのすべてがこの一冊に!
  • 北斎漫画入門
    4.5
    葛飾北斎が55歳から刊行し、江戸のベストセラーとなった『北斎漫画』。著者の浦上氏の本業は東洋古陶器を扱う古物商。しかし、18歳で初めて『北斎漫画』を購入して以来、その魅力にとりつかれ、現在までに約1500冊を蒐集、質量ともに世界一のコレクターとなった。そんな浦上氏が、『北斎漫画』の見所を徹底的に解説。北斎の何がジャポニスム画家を魅了したのか、幕末に活躍したシーボルトも北斎コレクターだった? 初摺と後摺はどれほど違うのか、など思わず引き込まれてしまうディープな世界に誘う一冊!
  • 台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史
    -
    台湾はいかにして台湾になったのか? 台湾海峡をめぐる緊張がにわかに高まっているが、台湾と中国の関係は、「敵か味方か」といった単純な構図で理解できるものではない。台湾から見た中国との「距離感」は歴史の中で時代によって大きく揺れてきた。 他方で、コロナ禍におけるデジタル担当のオードリー・タンの活躍や蔡英文大統領下での同性婚の合法化など、国際的にも存在感を発揮する台湾。こうした台湾の独自性、「台湾人」としてのアイデンティティはいかにして育まれたのか? そして複雑に錯綜した国内外の対立関係をいかに乗り越えようとしているのか? 第二次世界大戦後の国民党政権による一党支配体制、そのもとで繰り広げられた反体制運動と政府当局による弾圧――民主化以前の台湾をめぐる政治的争点を紐解きながら、冷戦期の国際情勢の変化を読み込みながら、「反中/親中」あるいは「反日/親日」という二項対立では理解できない台湾社会の複雑さに迫る。そして、台湾の成り立ちに欠かせない日本、アメリカ、中国との関係をも、「人」を起点にふんだんに描き出す。 数々の歴史的なねじれ目をほどきながら理解の深まる、スリリングな台湾現代史。 ――――――――― 以下、目次 第1章 多様性を尊重する台湾 第2章 一党支配化の政治的抑圧 第3章 人権問題の争点化 第4章 大陸中国との交流拡大と民主化 第5章 アイデンティティをめぐる摩擦
  • なぜ日本は原発を止められないのか?
    4.7
    「安全神話」に加担した政・官・業・学 そしてマスコミの大罪! 原発を続けるということは、 事故が起きる可能性を抱え続けることを意味する。 福島第一原発では、その影響の大きさを私たちは思い知った。 事故をひとたび起こせば取り返しのない事態を招くにもかかわらず、 原発はなぜこうも優先されるのか。 その理由を解き明かすには、歴史を俯瞰し、考えてみなければならない。 原子力ムラの実態とエネルギー政策の構造的問題を衝く! 官・政・業・学・メディアはいかにして「原発安全神話」を作ってきたのか? 原発取材をライフワークとしてきた記者の集大成の一冊。
  • 中国「軍事強国」への夢
    4.5
    習近平に最も近いブレーンが明かす、具体的かつリアルな台湾統一のシナリオ。 本書の著者は中国国防大学教授(上級大佐)で、中国軍人の中でもタカ派として知られている劉明福氏。2010年、中国が世界一の国家になるための構想を綴った著書『中国の夢』が国内でベストセラーとなり、その文言は2012年に発足した習近平政権の政治スローガンにも採用された。 ここから分かるように、劉氏は習政権の政策決定に大きな影響を与えるブレーンだ。政権の看板政策である「反腐敗キャンペーン」についても、早期から軍幹部の汚職事件に関する報告書を作成するなど、理論的支柱の役割を果たした。 本書は『中国の夢』の続編として、2020年に中国で出版された。人民解放軍を世界一流の軍隊にするための戦略を綴ったものだが、台湾統一のシナリオなど中国の安全保障戦略の機微に触れる部分は、掲載の許可が下りずに大幅削除となっていた。 今回、監訳者の峯村健司氏、訳者の加藤嘉一氏は削除された部分を含む完全版原稿を入手。劉氏から編集権、出版権を預かったうえで日本語版の刊行が実現した。
  • 武藤章 昭和陸軍最後の戦略家
    4.3
    昭和陸軍キーパーソンの本格評伝 昭和の戦争に大きな影響を与えた武藤章。陸軍をリードしつつ対米戦反対という「つかみにくい」人物とされる。その思考を解き明かす。
  • 平治の乱の謎を解く 頼朝が暴いた「完全犯罪」
    3.8
    源頼朝が「真犯人」を暴いていた! 貴族の世から武士の世へ、大きなターニングポイントとなった平治の乱。 後白河上皇の最側近で天才的な政治家だった信西が死に、源氏が敗れ、少年頼朝が流罪になったことは知られているが、「だれがこの乱を起こしたか」という最大の謎には、実はまだ定説がない。 気鋭の歴史学者である著者は、この乱の実体を暴く言葉を、将軍となった源頼朝が残していたことを発見する――。 「真犯人」、そして関係者たちがおこなった壮大な隠蔽とは? 歴史はミステリより面白い!
  • 11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで
    3.5
    吉田松陰は国防のために、幕府を倒した? すべてをお金で説明する福沢諭吉が今も読まれる理由とは? 趙進化論者、北一輝は天皇のカリスマに賭けた? 小林秀雄はひとつのことしか言っていない? 日本が抱えた難問に答えを出した「考える日本人」。これだけ押さえれば近代日本がわかる。
  • スパコン富岳の挑戦 GAFAなき日本の戦い方
    4.5
    新型コロナウイルスの飛沫飛散シミュレーションでも広く知られ、スパコン性能ランキングで世界一を4期連続で獲得した「富岳」。 感染症のみならず創薬や気象・気候変動への対応、災害や流通など、複雑化する諸問題解決のカギを握る次世代スパコンは、いかにして生まれたのか? 中国やアメリカに一歩先んじて開発を成功に導いた「富岳」のリーダー松岡聡さんが、アメリカの宇宙開発計画に学んだ開発秘話、GAFAなき日本の世界での闘い方、社会インフラとして「使ってナンボ」のスパコンと未来予想図を語り尽くした比類なき一冊。 ガラパゴス日本の闘い方のヒントがここにある――。
  • 仏教の大東亜戦争
    3.5
    日本仏教界最大のタブーに迫る! 「一殺多生」による正当化、軍用機の献納、仏像や梵鐘の供出、植民地での布教。昭和の戦争を推進した仏教界の語られざる真実。 目次 はじめに 廃仏毀釈からのサバイバル──明治維新 ・国家にすり寄った仏教界 ・島地黙雷と大教院 進撃する仏教──日清・日露戦争  ・日清戦争と大陸布教 ・日露戦争──仏教の帝国主義化 ・植民地支配と仏教 大東亜戦争と皇道仏教  ・戦争に熱狂する仏教界 ・戦闘機の献納競争 ・軍人たちの仏教信仰 ・寺院に残る戦争の記憶 ・アメとムチの仏教統制 仏像も鐘も武器と化した  ・金属供出と空襲 ・反戦の僧侶 ・農地改革と寺の“敗戦” ・僧侶たちの戦争体験 結びにかえて
  • 検証 安倍政権 保守とリアリズムの政治
    3.8
    今も影響を残す史上最長政権の功罪 アベノミクス、選挙での圧勝、戦後70年談話、さまざまなスキャンダル、憲法改正をめぐる騒動、TPP……。7年8カ月という例をみない長期政権の評価は、いまも定まっていない。この間、日本の政治をとりまく見方は「反安倍」か、さもなくば「親安倍」かに二分された。この政権は、結局、何をやろうとし、何を残したのか? 『新型コロナ対応民間臨時調査会』『福島原発事故10年検証委員会』など、話題のレポートを次々発表しているシンクタンクが、政権当事者に対する徹底インタビューを軸として、その政権の内幕に迫る。
  • がん治療革命 ウイルスでがんを治す
    -
    「すべての患者にとって希望だ」鳥越俊太郎氏 日本初 ウイルス療法薬「G47Δ」ついに承認! 二〇二一年六月、世界で初めて脳腫瘍を対象とした「がん治療用ウイルス療法薬」が日本で承認された。 人類の「敵」と見なされがちなウイルスを「味方」にするという画期的な発想から生まれた「テセルパツレブ」は、副作用が少なく、あらゆる固形がんに適用できる。 従来のがん治療を根本的に変えうる、全く新しい治療法を確立した臨床医の長き闘いの全貌。 がん細胞が全滅する 日本発の革命的「ウイルス療法薬」の全貌とは? ・世界初 脳腫瘍を対象としたウイルス療法薬 ・転移がんにも作用する ・標準治療にくらべ、副作用が軽い ・がんを餌にして、薬が体内で増えていく ・脳内に投与できるほど安全性が高い ・東京大学で開発されたアカデミアの国産医療品 ・再発や転移を防ぐ「がんワクチン効果」 ロングセラー『最新型ウイルスでがんを滅ぼす』増補改訂版!
  • 悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界
    4.3
    世界遺産の登録対象は、かならずしも栄光の歴史を語る場所ばかりとは限りません。 そこには、戦争、災害、人身売買、虐殺、拷問、疾病をはじめとして、人類の悲劇の記憶も同時に数多く残されています。 世界遺産という仕組みは、もともと「人類が持つ普遍的な価値を後世に伝える」という精神に基づいて作られましたが、日本では地域活性化や観光振興の起爆剤のように誤解されています。 そこで、本書では「人類の悲しみの記憶を巡る旅」と定義される「ダークツーリズム」の方法論を用いて、世界遺産のなかでも、 とくに悲劇の場(負の世界遺産)として扱われている登録地を旅した文明論的な紀行集として展開していきます。 本書を通じて、世界遺産が持つ意味の核心や、ダークツーリズムという新しい旅のスタイルが持つ可能性に触れることができる1冊となります。
  • 感動の温泉宿100
    4.0
    1年のうち200日は旅をする温泉ビューティ研究家・旅行作家の著者が、泊まって感動した宿だけを厳選。温泉のスペシャリストの目を通して書かれた各宿の魅力を読めば、どこもかしこも行きたくなる。一家に一冊は必携、これはまさに温泉案内の金字塔です。写真+詳細データ付。 (目次) 第1章 絶景に出会える宿10軒 第2章 美肌の湯に浸る宿10軒 第3章 最高のスパに身を委ねる宿8軒 第4章 美食を堪能する宿10軒 第5章 日本文化を楽しむ宿10軒 第6章 ぷくぷく自噴泉のある宿10軒 第7章 魅惑のぬる湯がある宿7軒 第8章 雪景が素晴しい宿7軒 第9章 湯めぐりが楽しい宿6軒 第10章 現代湯治の宿6軒 第11章 こだわり建築の宿6軒 第12章 ここだけにしかない個性派の宿10軒
  • 第二次世界大戦 アメリカの敗北 米国を操ったソビエトスパイ
    5.0
    二人のスパイを軸に描くアメリカ現代史の闇 第二次世界大戦の勝者アメリカ。しかしソ連によるスパイ戦争には完敗していた! ケインズを手玉に取った経済学者、国際連合設立を仕切った実力官僚――。ソビエトのスパイがアメリカの政権の中枢を蝕んでいた! 大戦後の体制を形作った重要な局面で、彼らはどのような役割を果たしたのか? そしてチャーチル、トルーマンが認めざるを得なかった「敗北」とはなんだったのか? 戦後史がいま覆る!
  • 戦争を始めるのは誰か 歴史修正主義の真実
    4.3
    教科書が教えない「二つの世界大戦の真実」! 「歴史修正主義」とは戦前の日独を全面肯定する歴史観のことではありません。米英の外交に過ちはなかったのか、あったとすれば何が問題だったのか。それを真摯に探る歴史観のことです。 「公式の歴史」ではベルサイユ体制と国際連盟体制を破壊した枢軸国(日独伊)の他国への侵略が第二次大戦の原因と説明されますが、実は英米参戦の「必要」や「理由」は後からでっち上げられました。 ヒトラーによるユダヤ人抹殺は絶対に許されませんが、ナチスのユダヤ人差別が戦争の原因ではありません。 ベルサイユ体制の不条理、チェンバレンの愚策(ポーランドの独立保障)、ポーランドの頑なな対独外交こそ、大戦の真の原因でした。 「ヒトラーはどん底のドイツ経済を立て直した」 「オーストリア国民はドイツへの併合を熱烈に歓迎した」 「借金に追われていたチャーチルにとって、ナチス台頭は絶好のチャンスとなった」 などと、本当のことを言ってしまうと、連合国が作り上げた戦後体制の正当性が崩れてしまうのです。 二つの世界大戦は必要のない戦争だった。とくに第二次大戦はチャーチルとルーズベルトがいなければ起らなかった――。 本書は二つの世界大戦の真実に迫ります。 ●目次● 第一章 第一次世界大戦の真実 第二章 第一次世界大戦後の歴史解釈に勝利した歴史修正主義 第三章 ドイツ再建とアメリカ国際法務事務所の台頭 第四章 ルーズベルト政権の誕生と対ソ宥和外交の始まり 第五章 イギリスの思惑とヒトラー 第六章 ヒトラーの攻勢と、ルーズベルト、チェンバレン、そしてチャーチル 第七章 ヒトラーのギャンブル
  • スタア・バーのカクテルブック
    3.5
    東京・銀座にある「スタア・バー」のオーナー、岸久氏は日本バーテンダー協会の協会長であり、2014年秋、黄綬褒章を受章した日本を代表するバーテンダーである。若くして数々のカクテル・コンテストを制し、1996年には最も権威ある「IBA 世界カクテルコンクール」のロングドリンク部門で、日本人初の世界チャンピオンに輝いた。 そんな岸氏の経歴からもわかるように、「スタア・バー」といえば「カクテル」。バーテンダーとして初の「現代の名工」に選ばれた彼のカクテルは世界中からお客が集まってくる。本書ではスタア・バーの得意とするカクテルや、これまで数々の大会で優勝したときのカクテルを、オリジナルのカクテルなどを、カラー写真で45点、オリジナルレシピ付きで紹介。 また、岸氏おすすめの全国のバーもご紹介。
  • 中国不動産バブル
    NEW
    -
    中国の不動産バブル崩壊が幕を開けた。 それは貨幣的な現象に留まらず、金融、行政、政治システムへと飛び火し、やがては共産党統治体制をひっくり返す要因にもなり得る――。 バブル形成から崩壊まで、複雑怪奇な構造をどこよりも分かりやすく読み解く。 【不動産から見える中国社会の歪み】 ●主要大都市の不動産価格が大きく下落 ●開発途上の不動産プロジェクトが次々とゴーストタウンに ●中国政府が不動産開発を熱心に進めた理由 ●共産党幹部とデベロッパーが熱中したマネーゲーム ●別荘にプライベートジェット……賄賂を使って贅沢三昧 ●地方政府が財政危機に陥れば、年金難民が発生する ●海外へと脱出する日本人が急増 ●賃貸市場を敬遠し、マイホームを重視 ●「見栄を張る」ことをやめられない ●統制か自由化か、岐路に立つ習近平政権
  • ヤメ銀 銀行を飛び出すバンカー
    -
    経営に必要なことはすべて銀行で学んだ! 長らくエリート会社員の象徴でありながら、 同時に「規制金利→金融自由化→バブル→バブル崩壊→金融再編→ フィンテック登場」と、めまぐるしく荒波に晒されてきた日本のバンカーたち。 時代の変化に適応し、変異して、銀行を飛び出した「ヤメ銀」たちに聞いた 「銀行でこそ学び得た経営の教訓」。 「週刊文春」での同名連載時の取材をもとに再構成。
  • 定年後に読む不滅の名著200選
    -
    1巻1,100円 (税込)
    定年後の知的活動はこの1冊で足りる! 定年後にゆっくりと何を読むか――それは多くの人が抱える課題だろう。 誰もが何かを読まねばという焦燥にも似た思いを抱く。しかし、何を読んでいいのかわからない。 そうしたあらゆる人々に応えるのが本書である。 目次を見てもらえれば、一目瞭然。これはしたり!思わず膝を打つような書物ばかりではないか。 各界の代表者、作家、学者、評論家、芸術家……など、とにかく書に親しんできた人々に「この1冊」をあげてもらうのだ。ためにならないわけがない。 しかも、「不滅の名著百冊」や「老後を支えてくれる古典」をはじめ、「枕頭の歴史書」や「時代小説50本」まである。これだけあれば、30年かけても読了しないだろう。ということは、この1冊さえあれば、定年後の知的活動は事足りるのである。 めでたし、めでたし。
  • 『RRR』で知るインド近現代史
    -
    極上のエンタメ映画で学ぶ激動のインド近現代史 劇中歌「ナートゥ・ナートゥ」の“超高速ダンス”が話題となり世界的に大ヒット、2023年のゴールデングローブ賞、アカデミー賞歌曲賞を受賞したインド映画『RRR』。 1920年代のイギリス領インド帝国を舞台に、英国軍にさらわれた妹を取り戻すために立ち上がったビームと、大義のために英国政府の警察官となったラーマという2人の男の立場を越えた友情を、ド派手なアクションとVFX、歌とダンスで描いている。しかしこの『RRR』、極上のエンタメ作品と見えて、じつは随所に歴史的、政治的な映像と意匠が散りばめられている。 ストーリーの下敷きとなった古代インドの二大叙事詩『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』とは何か? 主人公2人は実在の解放闘争の部族指導者をモデルとするが、実際どんな人だった? 総督夫妻らイギリスを徹底的に悪役として描くことに表われた現在のヒンドゥー・ナショナリズムの高揚とは? 劇中で印象的に使われる(現在の国旗とは違う)旗の由来、エンドロールの背景に次々現れるチャンドラ・ボースら8人の解放闘争の英雄たち、そして何故そこに“国父”ガンディーがいないのか? などなど。 『RRR』に秘められた意味と背景を解説しつつ、アカデミー賞9部門受賞の『ガンジー』や『ムトゥ 躍るマハラジャ』などこれまでの数々のインド映画にも触れ、映画でインド近現代史が学べる一冊。
  • 福田恆存の言葉 処世術から宗教まで
    3.0
    戦後日本を代表する知識人“最後の講演”初の書籍化! ゴマはうまくすれ 近代化に呑まれるな エゴイズムを肯定しろ 世界一流だった陸軍、海軍がどうして戦争に負けたのか 人生はエゴとエゴとの賃借関係 理想家は現実世界に適応できない 日本では民主主義が運営できない 状況を読む深さで勝負は決まる 国家意識がない日本人 家族にも想像力、演出力が必要 アメリカの目的は敵の排除だけ 「愛」と「理解」は全く別問題 神様との付き合い方 戦後を代表する知識人である福田恆存は、近代化の弊害を問い続けた。 その思想のエッセンスが詰まった「伝説の名講演」を初の活字化! 保守派の知識人が問う「君たちはどう生きるか」――。
  • 中国「戦狼外交」と闘う
    4.0
    日本外交よ、中国の恫喝に屈するな! 櫻井よしこ氏絶賛! 「国益の前に立ちはだかる勢力と果敢に闘った、あっぱれな外交官の血風録」 かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」との名言を残した。 中国共産党は「力」の信奉者であり、「民主」「平和」といった理念は通じない。 とりわけ習近平政権では、外交にかかわる党幹部が公式の席で日本を含む西側陣営を罵倒、攻撃することが常態化している。 それに対して、日本政府は何ら手を打てずにいた。 いわゆる「チャイナスクール」と呼ばれる親中派外交官らは、逆に中国におもねるような行動をしていたほどだ。 だが、2023年までオーストラリア大使を務めた山上信吾氏は、中国からの恫喝に敢然と立ち向かった。 日米豪を結束させ、中国に対抗する安全保障枠組み(クアッド・日米豪印戦略対話)のために奔走する。 中国は山上大使にありとあらゆる攻撃を仕掛ける。 発言の揚げ足取りや人格攻撃、いわゆる「歴史カード」を持ち出した牽制、さらには親中派ジャーナリストを使ってのネガティブキャンペーン……。 だが、山上大使は売られたケンカには「倍返し」で応じる。 反撃の方針は、「冷静かつ客観的な視点からの反論で、オーストラリアの一般国民を味方につける」「相手(中国)と同じレベルの土俵には乗らない」。 剛毅な姿勢は次第に評価され、豪州政府内に共感が広がっていく。 最後に、「国際社会で通用する人間であるための心がけ」をわかりやすく提示してくれる。 政府だけでなく、民間レベルでも中国による圧力や恫喝にたじろいでしまう日本人が多い中、中国に負けないためのお手本ともいえる作品である。
  • リーダーシップは歴史に学べ
    4.0
    歴史学の泰斗による名エッセイ 『中東国際関係史研究』などで知られるイスラムの専門家にして、江戸通史『将軍の世紀』を書き上げた博覧強記の歴史家が、古代ローマの賢人や唐の皇帝、ルネッサンスの文人、イスラム教の指導者、そして徳川家康などの言葉や、ちょっと意外なエピソードを引きながら、ウクライナ戦争をはじめ、同時代の出来事を論じたエッセイ集。 該博な知識に裏打ちされたエッセイから浮かび上がる、混沌とした時代を導く真のリーダーシップとは! 本書で紹介される数々の名言 「歴史をたどり、諸君と諸君の国家にとって見習うべきものがあれば、それを選ぶがよい」――古代ローマの歴史家リウィウス 「主となりて貪れば、必ずその国を喪ぼし、臣となりて貪(むさぼ)れば、必ずその身を亡ぼす――唐の第二代皇帝 太宗 「天下の政は重箱を擂粉木(すりこぎ)にて洗ひ候がよろしき」(国政も些末なことに干渉せず大目にみるくらいがよい)――徳川家康 「王者たる者が特定の学問に深入りするのは良くない」――ウマイヤ朝初代カリフ ムアーウィヤ 「大に治まれば大に乱れ、少なく治まれば少なく乱る」(大きく政治を指揮すれば混乱も大きく、小さく政治をすれば混乱は小さく抑えられる)――安中藩主 板倉勝尚
  • 藤井聡太ライバル列伝 読む棋士名鑑
    4.0
    前人未到の八冠制覇へひた走る藤井聡太――。 この若き巨星に挑むのはいかなる棋士たちなのか? キャリアや戦績、肉声と個人史から紐解かれる棋風や得意戦法、 人柄からAIへの距離感まで。『Number』好評連載に、 大幅書き下ろしを加え、アップデートした最新棋士名鑑。 【目次】 第一章 八冠全制覇へ 藤井聡太 第二章 対藤井タイトル戦経験者  渡辺 明/豊島将之/永瀬拓矢/菅井竜也/ 広瀬章人/木村一基/佐々木大地 第三章 タイトル獲得&番勝負経験者 佐藤天彦/糸谷哲郎/中村太地/斎藤慎太郎/稲葉 陽/ 高見泰地/山崎隆之/千田翔太/本田 奎 第四章 若手 増田康宏/服部慎一郎/梶浦宏孝/近藤誠也/斎藤明日斗/八代 弥/ 三枚堂達也/渡辺和史/池永天志/西田拓也/石井健太郎/黒田尭之/ 徳田拳士/古賀悠聖/山本博志/青嶋未来/伊藤 匠 第五章 女流 里見香奈/加藤桃子/伊藤沙恵/西山朋佳 第六章 実力者 横山泰明/都成竜馬/阿久津主税/船江恒平/ 村山慈明/佐々木慎/千葉幸生/飯島栄治/村田顕弘 第七章 ベテラン 佐藤康光/森内俊之/久保利明/深浦康市/行方尚史/ 中村 修/井上慶太/中田 功/中川大輔/青野照市/羽生善治
  • 増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代
    4.0
    2024年大河ドラマ「光る君へ」(主演・吉高由里子)の世界がこの1冊に! 紫式部の時代がわかる! 『源氏物語』のパトロンでもあった藤原道長。世界記憶遺産に認定された日記『御堂関白記』から、王朝の様子、権力の動きが明らかに。 ※この電子書籍は、2013年6月に文藝春秋より刊行された新書版に「紫式部と『源氏物語』」の章を加えた新書増補版を底本としています。
  • 発酵食品と戦争
    3.8
    一見、関わりなど無いように思える「発酵」と「戦争」。 しかし太平洋戦争末期からの食糧欠乏期、国民全体が発酵食品にいかに救われたか、 また食糧のみならず爆薬・燃料・薬品をもつくる驚異のパワーを、 古今東西の豊富な事例で紹介。その幅広さには、「発酵」の豊かさと 無駄のない強靭さ、無限の可能性が感じられる。 【目次】 第一章 戦争と発酵食品 納豆/味噌/醤油/食酢/漬物/食パン/鰹節/チーズ/甘酒/チョコレート/紅茶/缶詰/軍隊調理法 第二章 戦時下の酒 日本酒/焼酎/泡盛/ビール/ワイン/ウイスキー/酒保/密造酒 第三章 戦争と知られざる発酵 小便から発酵で爆薬をつくる/発酵で爆薬ニトログリセリンを生産/芋を発酵させて爆撃機の燃料をつくる/傷病兵のための抗生物質の発酵生産/海藻を発酵させて軍需用品の沃素をつくる/戦争と堆肥/戦争と柿渋 第四章ウクライナとロシアの発酵嗜好品  ウクライナとロシアの伝統発酵料理/ウクライナのワイン/ロシアのワイン/ジョージアのワイン
  • 家政婦の歴史
    4.0
    「家庭のなかの知られざる労働者」の知られざる歴史が浮かび上がる! 家政婦と女中はどう違う? 家政婦は歴史上、いつから家政婦と呼ばれるようになったのか? 2022年9月、ある家政婦の過労死裁判をめぐって、日本の労働法制の根本に潜む大きな矛盾に気づいた労働政策研究者の著者は、その要因の一端を、市原悦子演じるドラマ『家政婦は見た!』に見出し、家政婦をめぐる歴史をひも解くことを決意した。 戦後80年近くにわたって、労働法学者や労働関係者からまともに議論されることなく放置されてきた彼女たちのねじれた歴史を、戦前に遡って描き出す驚くべき歴史の旅程。
  • 80代現役医師夫婦の賢食術
    5.0
    人生100年時代、健康寿命は自分で延ばす! 世界中で食と健康の関係を研究してきた85歳の京大名誉教授がたどりつき、自ら毎日実践している「世界最高の健康長寿食」とは。 はじめに 第1章 世界の長寿・短命地域を研究して分かった驚くべきこと 第2章 40年の間に崩壊した「長寿地域」  第3章 長寿は「遺伝」か「環境」か 第4章 健康長寿を脅かす「塩」の恐怖  第5章 「魚」が長寿にいい理由  第6章 世界最強の食材「大豆」のパワー  第7章 長寿と関係の深い「ヨーグルト」の秘密 第8章 「マグネシウム」が減ると短命化する  第9章 心と身体の長寿習慣  第10章 二人で166歳。家森夫婦のリアル健康実践生活〈対談〉  第11章 〈健康長寿食実践編〉家森夫婦の食生活に学ぶ、今すぐできる健康長寿食の20のヒント  おわりに
  • 柄谷行人『力と交換様式』を読む
    3.0
    絶望的な未来にも〈希望〉は必ずある 1970年代後半から文芸批評家として活躍し、90年代後半からはマルクスやカント、ホッブスの読解から「交換」に着目した理論で社会や歴史を読み解いてきた柄谷行人さん。 その集大成ともいうべき『力と交換様式』では、社会システムをA=贈与と返礼の互酬、B=支配と保護による略取と再分配、C=貨幣と商品による商品交換、D=高次元でのAの回復という4つの交換様式によって捉え、とりわけ資本主義=ネーション=国家を揚棄する、人間の意思を超えた「D」の到来をめぐって思考を深めた。 「Aの回復としてのDは必ず到来する」。 民主主義と資本主義が行き詰まりを見せる混迷の危機の時代、 絶望的な未来に希望はどう宿るのか。その輪郭はどのように素描可能か。 『トランスクリティーク』『世界史の構造』、そして『力と交換様式』を貫く「交換様式」の思考の源泉に迫る。 目次 I: 著者と読み解く『力と交換様式』 ・世界は交換でわかる」   柄谷行人×池上彰 ・『力と交換様式』をめぐって 柄谷行人×國分功一郎×斎藤幸平 ・モース・ホッブズ・マルクス」 II: 「思考の深み」へ (『力と交換様式』を書くまで) ・可能性としてのアソシエーション、交換様式論の射程 ・交換様式と「マルクスその可能性の中心」 ・文学という妖怪 ・仕事の反復性をめぐって 思想家の節目 III: 柄谷行人『力と交換様式』を読む ・『力と交換様式』を読む 大澤真幸、鹿島茂、佐藤優、東畑開人、渡邊英理
  • ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る
    4.2
    1巻1,100円 (税込)
    ハーバード大学医学部准教授による現代社会への処方箋 炎上や論破ゲームに乗らず、分断と差別を乗り越えるためには。ハーバード大学准教授で小児精神科医・脳科学者でもある著者が、心と脳のメカニズムに立ち戻り、激動の時代のアメリカ社会の変化を捉え、三人の子供を育てる母親の立場から考える希望の書。 プロローグ 妊婦のワクチン啓発で気づいたThemとUs 第Ⅰ部  炎上はなぜ起きるのか  第1章 脳科学で考える炎上のメカニズム   第2章 炎上への処方箋 第Ⅱ部 差別と分断を乗り越えるために    第3章 子どもに学ぶ同意とアドボカシー   第4章 マイクロアグレッション ムズムズした気持ちに名前がつくことで  第5章 アメリカ社会の差別から学ぶ アジア人男性とハリウッド  第6章 ベトナム帰還兵との対話 ThemとUsは簡単には分けられない  第7章 沈黙を破る 「沈黙は共犯」の後で  第Ⅲ部 女性小児精神科医が考えた日本社会への処方箋  第8章 子どものメンタルヘルスに向けられる偏見に打ち勝つ脳科学   第9章 女性を苦しめる労働環境は男性をも苦しめる  第10章 「母」への眼差し、女性の身体の自己決定権 エピローグ ラジカル・アクセプタンス ソーシャルジャスティスを育てるために
  • 逆境経営
    -
    ニッポンの企業トップが語る、逆境を生き抜くエッセンス! デフレを追い風にのし上がったカリスマ創業者や地場産業から世界に雄飛した“百年企業”など、経営トップが逆境を生き抜くエッセンスを語る! サイゼリヤ、ダイソー、サトウ食品、西松屋、崎陽軒、コマツ、ミズノ、グンゼ……地方都市を拠点に起業し、全国的なブランドを確立した企業14社。創業者の商売を越えた大志、中興の祖のリーダーシップ、伝統に思いを馳せ変革を恐れぬ現社長など、有為転変の時代の荒波に即して困難を乗り越えてきたそれぞれの社長の言葉には、逆境を生き抜く経営のエッセンスが溢れている。 月刊『文藝春秋』連載の、「ニッポンの社長」(全13回)および「ニッポンの一〇〇年企業」から14企業を精選し、新書化!
  • 第三の大国 インドの思考 激突する「一帯一路」と「インド太平洋」
    3.4
    キープレーヤーはインドだ “ポストGゼロ”“ポスト米中対立”の「新グレートゲーム」のキープレーヤーとなるのはインド――。 2023年中に14億人を突破し人口世界第1位に躍り出るとされ、軍事費では現在世界第3位、きたる2047年に建国100年を迎えるインド。「米中に次ぐ第三の超大国」は、伝統的非同盟を堅持しつつ米中に対して自ら独立した“局”となる戦略的自立で存在感を増している。 ウクライナ侵攻をめぐる国連安保理でのロシア非難決議案採決を棄権し衝撃を与えたインド。そして各国による経済制裁のさなかにもロシアから石油を爆買いし、普通なら風当たりが強くなりそうなものだが、実際に起きたのは独自の立場を貫くインドへの主要国トップによる“モディ詣で”だった。 貿易協定、サプライチェーン、エネルギー、半導体、インフラ整備、感染症対策……。あらゆる分野で激しさを増す米中を軸とする覇権争いにおいて、中国主導のAIIB(アジア・インフラ投資銀行)にも非加盟で中国と距離を置きつつ、安全保障上はクアッド(日米豪印戦略対話)の枠組みにある日米とも是々非々の独自路線を採る。 インドと中国、インドとロシア、そしてインドと日米――。今まさに東半球を舞台に激突する「一帯一路」vs.「自由で開かれたインド太平洋」の2大経済圏構想。この“新たなグレート・ゲーム”の帰趨が21世紀後半のパラダイムを規定する。
  • 分子をはかる がん検診から宇宙探査まで
    3.0
    医療、環境――こんな身近に最先端技術 血液一滴から病気を診断――田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞した質量分析法が医療現場を一変させた、分子をはかる力=質量分析法。小惑星探査機はやぶさが持ち帰った試料も、質量分析計で解析された。ドーピング検査、ドル紙幣からのコカイン検出、水質・大気・土壌などの環境測定から、遺跡などの年代測定まで、私たちの生活を支える最先端科学への招待。  目次 まえがき 序章 計る、測る、量る 第1章 分子をはかれば医療が変わる 第2章 年代測定から生命の起源まで 第3章 分子をはかる原理 第4章 7人のノーベル賞受賞者を生んだ「はかる革命」 第5章 今後の展望 あとがき 参考文献
  • お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県
    4.0
    お寺がわかればその土地がわかる。 お寺は「日本を知る」最強のパワースポットだ! 東北のオススメ古刹は芭蕉に聞け? 善光寺にはなぜ宗派がない? 日本で唯一国宝のお寺、「本物の釈迦の骨」を安置する塔、恐山と並ぶ「冥界結婚」の霊場など、 著者が実際に取材したお寺を47都道府県各1か所ずつ紹介。 歴史、県民性、観光の見どころを徹底探訪し、各都道府県の地域性を解き明かす一冊。
  • 沢村栄治 裏切られたエース
    4.3
    ――私は野球を憎んでいます。 その年最高の投手に与えられる特別賞「沢村賞」に名を遺す沢村栄治。 職業野球選手一期生として活躍し、太平洋戦争中に兵士として27歳で命を散らした男は、死の直前そう書き残しました。 六大学野球が全盛の時代に、職業野球(プロ野球)は、スタート直後世間の蔑視に晒されていました。 中学の野球部で指導を受けた監督の縁があった慶応大学への進学を夢見た沢村栄治は、家庭の経済状況から果たせず、中学を中退して出来てまもないプロ野球の世界に。 その後は親族が無軌道に膨らませていく借金に拘束されて、学業に戻ることも叶わず、その結果、戦争の状況が悪化すると、沢村には徴兵猶予の特典もなく、戦死するまで繰り返し兵役へ駆り出されました。 日米戦ではベーブルースと対峙し、アメリカにも二度渡ってその名を轟かせた沢村栄治の軌跡と、波乱にみちた職業野球の誕生の物語を自身も東大で六大学野球をプレイした作家が描きます。
  • 女性を美しく見せる「錯覚」の魔法
    3.0
    すべての女性の骨格はかならず3つに分類される。それはストレートなダイアナ妃型、セミ・ストレートのヘップバーン型、カーブのモンロー型の3つである。自分の骨格を知ることが、すべての第一歩。その骨格によって、イメージの魔法をかけることが可能となる。ファッション&イメージとは、いかに自分の体型をカバーしごまかすか、それに尽きるのである。本書はその“目をあざむく魔法”の指南書だ。 骨格の測り方に加えて、7種類の顔の輪郭にも触れる。顔のカタチによって、ヘアスタイルもメガネフレームも変わるのである。つづいて、骨格に合うアイテムーー服、柄、アクセサリー、バッグ、ソデ、襟ぐり、ヘアスタイル等々について詳述していく。イメージの魔術が縦横無尽にかけられてゆく。 著者は、「肉体の欠点などない」と言い切る。自分で欠点と思い込んでいるものは、かならず美点に転化できるのである。 それが17年間にわたって1万人をコンサルティングしてきた著者の確信である。 さらに「5つの服の好み」から、「自分の服の好み」を知ることで、もう一段上の段階に進み、「パーソナル・ブランド」を確立することを著者は提案する。骨格と自分の好みを合わせれば、もう服選びに迷うことはありません。 欠点よ、さようなら。これは、女性のための新しいファッション・バイブルの誕生である。
  • 軍事と政治 日本の選択 歴史と世界の視座から
    4.5
    日本がアメリカに「見捨てられる」? 憲法改正の前になすべきこととは? 新しい「国民安全保障」を緊急提言。キーワードは「軍による安全」「軍からの安全」「政治からの安全」! 中国の軍事的膨張、北朝鮮の脅威、トランプ大統領が言及した日米同盟への不満……。激動の国際秩序のなか、日本の選択とは? 船橋洋一、五百旗頭薫、戸部良一、細谷雄一ら第一線の研究者が徹底討議、政府と軍、国民の三者が築く「国民安全保障国家」のあり方を提言する。 【本書の内容】 ・日本の安全保障のアキレス腱は「政治」にあり ・軍事組織、政府、国民の三者関係を考える ・政党政治と軍部との関係 ・歴史の分岐点 近衛内閣はどこで挫折したのか? ・戦後体制のなかの自衛隊 ・ネガティブ・コントロールからポジティブ・コントロールへ ・東日本大震災、湾岸戦争から学ぶ ・サイバー攻撃、宇宙戦争──新しい危機 ・民主主義の“模範”イギリスが抱える問題 ・海外での軍事貢献、国民はどう捉えるか ・インドネシア 民主化と国軍の関係 ・「ナショナル・セキュリティ」が脅かされるとき
  • 欲望の名画
    4.3
    フェルメールが「真珠の首飾りの女」で描いたのは虚栄か、快楽か、物欲か、それとも……。月刊「文藝春秋」の人気連載がついに新書化! 絵画に隠されたメッセージを紹介し、画家の意図や時代背景までを鮮やかに読み解いてきた中野京子さんによる最新刊。今回のテーマは「欲望」。激しい愛情、金銭への異常な執着、果てない収集癖、飽くなき野心……。人はあらゆる欲望を絵画に込めてきた。細部に描かれた小さな情報も見逃さず、名画に込められた意図を丁寧に読み解く。 26の絵画を5つのキーワードで徹底解説 第1章 愛欲 ドラクロワ「怒れるメディア」 ミレイ「オフィーリア」 ビアズリー「踊り手の褒美」 ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」 他 第2章 知的欲求 ラ・トゥール「ポンパドゥール夫人」 ラファエロ「サン・シストの聖母子」 ブリューゲル「子供の遊び」 他 第3章 生存本能 ゲラン「モルフェウスとイリス」 レーピン「ヴォルガの船曳き」 他 第4章 物欲 クリムト「ベートーヴェン・フリース」 フェルメール「真珠の首飾りの女」 ボス「守銭奴の死」 第5章 権力欲 ホルバイン(子)「ヘンリー八世像」 メンツェル「フリードリヒ大王のフルートコンサート」他
  • 一生食べたいカツ代流レシピ
    -
    80歳になっても美味しく食べられる「ハンバーグ」とは? 年代を問わず愛され続ける小林カツ代の家庭料理レシピ125 伝説の「肉じゃが」も、年齢と共に進化させたい――。 80歳になっても美味しく食べられるレシピとは何かを考え続けていた家庭料理のカリスマ・小林カツ代。 32年間を共に過ごし、その遺志を受け継いだ一番弟子が、どの年代にも愛される「簡単・美味しい・経済的」なカツ代流レシピを紹介します。 シニア世代にも一人暮らしを始めたばかりの人にも、おすすめ! 第1章 ずっと食べたいカツ代レシピ ベスト10 優しい肉じゃが/煮込みハンバーグ/楽々シチュー/マカロニグラタン/チキンのトマトきのこ煮/ブリのはちみつ照り焼き/焼きサバ南蛮/ひとり寄せ鍋 他 第2章 とにかく野菜を食べましょう 豚肉たっぷり豚汁/けんちん汁/トマトのはちみつサラダ 他 第3章 春夏秋冬 1週間献立表 無駄なく・美味しく・安く 春キャベツとツナのスパゲティ/夏野菜のスープ/きのこ汁と卵かけご飯/ふろふき大根・柚子葱味噌 他 第4章 親の介護と明日に備えて さつま芋のポタージュ/ブロッコリーのポタージュ/そら豆がゆ 他
  • 平成の通信簿 106のデータでみる30年
    4.0
    平成元年。消費税が施行され、衛星放送が始まり、日経平均株価は史上最高値をつけた。それから30年、日本はどれくらい変わったのか? 家計、医療費、海外旅行、体格など様々なアングルからこの30年間の推移を調査。平成日本のありのままを浮き彫りにする。 【データが映す、ありのままの日本】 ・一人あたりGDPは世界第2位から25位へ ・外国人流入数はOECD第4位 ・こづかいは約7割ダウン ・「ものづくり」から「投資」で儲ける国へ ・日本人は移動しなくなった? ・時価総額ランキング 日本企業はどこに消えた? ・農業は衰退から効率化へ ・ボール投げ、反復横とび、50m走、記録が伸びたのは? ・平均寿命は5年伸びた ・女性の細さは世界第2位 ・世界的にも珍しい「低所得層の貧困化」 ・時間の使い方も変わった 他
  • 平成の東京 12の貌
    3.3
    平成31年は、天皇陛下が退位して皇太子が新天皇に即位し、5月からは新しい元号になります。また、翌年には2回目の東京五輪が開催されます。一回目の東京五輪は昭和39年に開催され、それを契機に昭和後半の日本は高度経済成長の波に乗り、経済大国の道を突き進みました。しかし、平成に入ると、バブルが崩壊し、政治や社会の様々な歪みが顕著となってきました。この間、日本の首都・東京はどのように変貌を遂げたのか。 本書は、月刊『文藝春秋』で連載した「50年後の『ずばり東京』」から、主に東京に住む人々の暮らしや意識の変遷を描いた12本の記事を選んで収録しました。毎回違うノンフィクション作家が自身で取材するテーマや街を選び、リレー形式で執筆したもので、昭和と平成という二つの時代を筆者が行き来するルポルタージュです。 〈本書の内容〉 ゴジラとタワーマンション 高山文彦 保育園反対を叫ぶ人たち 森健 虐待と向き合う児相の葛藤 稲泉連 東大を女子が敬遠する理由 松本博文 「ラジオ深夜便」のある生活 樽谷哲也 エリートが集う「リトル・インド」佐々木実 はとバスは進化し続ける 小林百合子 八丈島の漁師と青梅の猟師 服部文祥 いまどき女子は神社を目指す 野村進 新3K職場を支えるフィリピン人 西所正道 将棋の聖地に通う男たちの青春 北野新太 貨物専用「JR隅田川駅」のいま 長田昭二
  • 昭和の東京 12の貌
    4.0
    平成31年は、天皇陛下が退位して皇太子が新天皇に即位し、5月からは新しい元号になります。また、翌年には2回目の東京五輪が開催されます。一回目の東京五輪は昭和39年に開催され、それを契機に昭和後半の日本は高度経済成長の波に乗り、経済大国の道を突き進みました。しかし、平成に入ると、バブルが崩壊し、政治や社会の様々な歪みが顕著となってきました。この間、日本の首都・東京はどのように変貌を遂げたのか。 本書は、月刊『文藝春秋』で連載した「50年後の『ずばり東京』」から、主に東京の街の変遷を描いた12本の記事を選んで収録しました。毎回違うノンフィクション作家が自身で取材するテーマや街を選び、リレー形式で執筆したもので、昭和と平成という二つの時代を筆者が行き来するルポルタージュです。 〈本書の内容〉 東京五輪 “負の遺産”――首都高とモノレール 古市憲寿 佃――タワマンと神事に則る祭り 中原一歩 銀座――消えた銀座警察 清武英利 谷根千――下町と観光地の狭間で 森まゆみ ひばりが丘――最先端団地の「夢の跡」奥野修司 秋葉原――電気街の六つの地層 神田憲行 山谷――「日雇い労働者の町」は変貌した 水谷竹秀 夢の島――悪臭の山から緑の森へ 福田ますみ 永田町――「権力の三角地帯」は空洞化した 常井健一 吉原――元祖風俗ライターが棲んだ街 小野一光 福生――「70年代の青春」の残り香 三山喬 足立区――高度成長を下支えして 八木澤高明
  • 天才 勝新太郎
    4.2
    武勇伝に隠された天才ゆえの孤独 破天荒な伝説で語り継がれる天才の素顔は誰よりも繊細でナイーブだった。 貴重な資料で、芸術の神に挑んで散った生涯を炙り出す。 「座頭市」と豪快な勝新伝説で知られる勝新太郎。 本書は映画製作者としての勝とその凄まじい現場を スタッフの証言を元に再現し、繊細すぎる実像を浮き彫りにする。 純粋さが加速させる狂気のノンフィクション。 【目次】 序 第一章 神が天井から降りてくる――映像作家・勝新太郎 第二章 負けてたまるか 映画スター・勝新太郎の誕生 第三章 勝プロダクションの設立 第四章 オレは座頭市だ――『新・座頭市』 第五章 神が降りてこない…… あとがき
  • スポーツ映画トップ100
    3.5
    スポーツ映画は、さまざまな競技を通じて人間の姿を描き出す。 シリアスドラマからおバカなコメディまで、古今東西スポーツ映画100本をランキング。 アクション、感動、友情、裏切り、ロマンス……スポーツには人生の全てが詰まっている! 取り上げられるスポーツは、野球、アイスホッケー、ゴルフ、サッカー、競馬、フィギュアスケート、F1、アメフト、格闘技、レスリング、キックボクシング、陸上、スケボー、ボブスレー、モトクロス、ボクシング、プロレス、自転車、ローラーゲーム、サーフィン、バスケット、フェンシング、アルペンスキー、スキージャンプ、馬術、空手、卓球、ラグビー、相撲、ボウリング……ドッジボールなんてのまであります! 「フィールド・オブ・ドリームス」が41位、25位には「シコふんじゃった」、14位に「がんばれベアーズ」、そして4位にあの「ロッキー」が! では1位は? 本を買ってのお楽しみです。
  • 姫君たちの明治維新
    4.0
    明治150年に贈る、幕末維新をきっかけに思いもしなかった苦労に見舞われた大名・華族の姫君たちの物語。 深窓の令嬢どころか、堅固なお城の大奥で育った、正真正銘のお姫様たちも、維新の大波には翻弄されます。しかし、決してそれにめげることなく、それぞれの運命を逞しく生き抜いてもいきました。 徳川家では、最後の将軍、慶喜の義理の祖母でありながら、淡い恋心を交わした一橋直子、また、そのとばっちりを受けた形の、正妻の徳川美賀。 加賀百万石の前田家では、東大の赤門を作るきっかけとなった、将軍家から嫁入りした溶姫のさみしい晩年。 九州の大藩、鍋島家では、新政府の外交官になった夫とともに、ヨーロッパに赴き、社交界の華とうたわれた鍋島胤子。 篤姫や和宮など、メジャーどころはもちろん、歴史教科書には出てこない、お姫様たちの生涯は興味津々。 とくに落城の憂き目にあった姫君たちの運命には、思わず涙します。 なかでも、もっとも数奇な運命をたどったのが、四賢侯の一人、松平春嶽の側室の子である池田絲。維新後の混乱で彼女は松平家の庇護を受けられず、なんと芸者に。そこで、お雇い外国人であったフランス人の軍人と知り合い結婚。二人の間に出来た子が、明治の歌舞伎界の大スターである十五世市村羽左衛門! まるで小説のような物語がそこにあります。 20人を超える姫君たちの物語にご期待ください。
  • 世界史を変えた詐欺師たち
    4.7
    チャップリンの名セリフ「一人殺せば犯罪者だが、百万人殺せば英雄だ」になぞらえるならば、「一人騙せば詐欺師だが、百万人を騙せば経済政策だ」。 経済政策の祖にして亡国的バブル事件を引き起こしたジョン・ローをはじめ、ケインズ、シャハト、グリーンスパンといった経済政策の大立者から、ロスチャイルド、ソロスなどの投資家、さらにはベンジャミン・フランクリン、ニュートンまで、世界史を彩るビッグな“詐欺師”たちの列伝。 ○ジョン・ロー 賭博師が牛耳ったフランス財政 ○ニュートン 異端の天才が没頭した二つの錬金術 ○フランクリン ドル紙幣に刻まれた「建国の父」の裏の顔 ○ロスチャイルド 大財閥の基礎は戦争での大博打で築かれた ○ポンジ 今も隆盛を極める「ポンジ詐欺」の元祖 ○シャハト 超インフレ退治とナチス経済の立役者 ○ケインズ スーパーエリートの「インサイダー取引」蓄財術 ○ソロス 世界の金融当局を「味方」にしたヘッジ・ファンド ○ケネス・レイ  史上最大の倒産エンロンの負債隠し&癒着 ○グリーンスパン バブルと踊った「通貨の番人」 ○サトシ・サカモト “仮想人物”が創った仮想通貨の正体
  • 元号 年号から読み解く日本史
    3.3
    2019年5月1日、今上陛下の「生前退位」が決定し、年内にも新元号(歴史的には「年号」が正しい)が発表される見通しです。 しかし、そもそも元号とは、どのように決まるものなのでしょうか? 元号・皇室研究の第一人者である所功先生が、新書の読者に、その歴史から現在、そして今回の決定の予想されるプロセスまで、わかりやすく解説した決定版が本書です。 元号の歴史は、驚きに満ち溢れています。とくに、ひとつの元号が何度も候補になっては消え、候補になっては消えて、最終的にやっと採用されるなど、ひとつひとつの元号のドラマがあることもわかります。 たとえば、「平成」は幕末にも候補に挙がっていました。また、「明治」は十回目、「大正」は五回目でやっと採用されています。 さらに、天皇と元号の関係、藤原道長、足利義満、織田信長、徳川家康ら、時の権力者と元号のかかわりなどは、歴史のダイナミズムをよく表しています。 さらに、かつては震災、大火、戦乱なども理由として改元が行われたため、元号そのものが「歴史の節目」となっているのです。 昭和から平成への「元号決定」のドラマや、「安延」から「和暦」まで、歴代の「未採用年号」一覧も付けた、まさに決定版ならではの内容をお楽しみください。 【目次】 第一章 漢字文化圏の暦と年号 第二章 律令国家の成立と年号 第三章 平安期史の展開と年号 第四章 中世年号に見る正統争い 第五章 近世年号の見る公武合体 第六章 近代に確立した「一世一元」 第七章 戦後史上の「元号問題」 第八章 「平成」改元と新元号 付録1 日本年号の出典と考案者一覧 付録2 日本年号・干支・西暦の対比表
  • 変節と愛国 外交官・牛場信彦の生涯
    4.0
    日本人は、牛場信彦という外交官を覚えているだろうか。 戦前は「枢軸派三羽ガラス」の一人として、日独伊三国同盟を強力に推進。日本を戦争に追いやった一人とされた。 戦後は一転して「親米派」となる、経済外交で実績をあげ、外務官僚のトップである事務次官、さらには外交官のトップである駐米大使にもなった。 それだけではない。国際経済に強いところを買われて、福田赳夫内閣の対外経済相にも就任している。 彼のことを「変節漢」と呼ぶ人もいる。 本当にそうなのだろうか。 戦後日本に君臨した吉田茂は、「枢軸派」を激しく憎み、古巣の外務省から徹底的に排除した。「Yパージ」である。 しかし吉田は、いったん辞職した牛場が外務省に復帰するのを妨げなかったばかりか、バックアップした節さえあるのだ。 吉田は牛場の中に何をみていたのだろうか。 昭和という激動の時代を、「気概」をもって駆け抜けた男の生涯から、「国を愛すること」の本当の意味が見えてくる。
  • ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊
    3.9
    「知の巨人」立花隆と「知の怪物」佐藤優が作り上げた空前絶後のブックリスト! まず「ブックリスト1」では、21世紀を生きるための教養書を、書斎の本棚からお互いが100冊選んだ。 「私は年齢は四十歳から五十歳ぐらいで、「教育」の現場に携わる人を思い浮かべて百冊リストを作りました。「教育」というのは学校教育だけでなく企業や役所での教育を含みます」(佐藤) 「二十一世紀はインターネット時代でもある。しかし、ネットで最先端の情報に辿り着き、わかるためには、評価が定まった基礎的な本をまず読んでおかなければならない。そうでないと、そもそも検索エンジンにどういうキーワードを入れていいかわからないはず」(立花) ついで「ブックリスト2」では書店にある文庫・新書からお互いに100冊ずつ選んだ。 「意識したのは、二十代、三十代のがっついたビジネス・パーソン。武器として本を使う人を念頭において、徹底的に実用性を重視しました」(佐藤) 「万巻の書を読みつくせる人はいません。結局は、人生の残り時間を確認しながら、最大の成果を得られるように計画を作るしかない。そのとき、知識の系統樹が頭に入っていることが大切です」(立花) 博覧強記の二人が400冊もの膨大な愛読書を持ち寄り、古典の読み方から、仕事術、インテリジェンスの技法から、戦争論、歴史、宗教、科学を縦横無尽に語り、知性の磨きかたを徹底指南する。
  • 予言者 梅棹忠夫
    3.7
    戦後の論壇に颯爽と登場し、大胆な変化を次々と予言した梅棹忠夫。 その謦咳に接した著者が、彼の発言を多面的に読みなおし、その予言がいかにして実現していったのか振り返る。 <目次> 【プロローグ 実現した予言と失われた時代】 【第一章 「文明の生態史観」の衝撃】 異例ずくめの「出生作」/日本文化を機能論的に見直す/進歩的知識人からの批判・・・など 【第二章 モンゴルの生態学者】 京都町衆の生まれ/山登りで危うく放校に/京都学派と梅棹をつなぐ線・・・など 【第三章 奇説を語る少壮学者】 『モゴール族探検記』/激しい論争を呼んだ「妻無用論」・・・など 【第四章 豊かな日本という未来】 「ぼくはマルクスの徒です」/数十年後の日本文明を予測する・・・など 【第五章 情報社会論の先駆者】 情報の時代を生物学的に論じる/お布施の原理による経済学・・・など 【第六章 イスラーム圏の動乱を予告する】 「生態史観」は中東から/イスラーム原理主義の「伝染」/近代化とイスラーム・・・など 【第七章 万博と民博のオーガナイザー】 「万国博を考える会」の結成/グローバル時代論の先駆者・・・など 【第八章 文化行政の主導者へ】 文化を「開発」する/田園都市国家構想とその評価・・・など 【第九章 ポスト「戦後」への視線】 梅棹忠夫と司馬遼太郎/核武装の可能性による抑止/日本文明は終わりか・・・など 【第十章 行為と妄想】 見えないなりの知的生産/「あそび」と「学問」/文明史曲線の先にあるもの・・・など 【エピローグ 梅棹忠夫を「裏切る」ために】 思想家としての梅棹/あかるい虚無家/精神のキバ・・・など
  • 脳内汚染からの脱出
    3.9
    どうすれば、わが子をゲーム、ネット中毒から救えるのか。 ゲームやインターネットの中毒性を指摘した『脳内汚染』で一大センセーションを巻き起こした著者が、いじめやADHDとの関連性を示す研究成果を追加で盛り込み、問題の本質をより理解しやすく提示。 また、依存を予防しながら、ゲームやネットなどの情報機器と上手に付き合う方法や、依存に陥った子どもの克服事例、家族がとるべき対処法など、実践的な対策法にも重きを置いている。 情報化社会に生きる現代人の必読書。
  • 世界最強の地政学
    NEW
    -
    リーダーたちの頭の中の地図を読む! 戦略を考える人たちが頭の中に持っている世界地図。それを読み解くのが地政学だ。六つのキーワードで戦略的発想を分かりやすく解説。
  • 池田大作と創価学会 カリスマ亡き後の巨大宗教のゆくえ
    -
    平和の使者か、俗物か? 誰よりも人の心をつかんだ男の魅力に迫る 日本最大の新宗教、創価学会の池田大作名誉会長が2023年11月15日に95歳で死去した。 創価学会内で「永遠の師匠」とされる池田は、さまざまな毀誉褒貶に彩られた人物だった。 「貧乏の横綱」と自嘲するほど赤貧の出身ではあったが、1960年に32歳の若さで第3代創価学会会長に就任。以降、親しみやすい人柄と巧みな弁舌を武器に組織拡大に邁進し、会員世帯数827万(公称)もの信者を獲得するに至る。さらには公明党を創設し、念願の政界進出を果たした。 一方で、強引な折伏によって各地でトラブルが発生した。また、政教一致と受け取られかねない創価学会の主張は世論の大きな反発を招いた。ついには政教一致路線を公式に撤回せざるを得なくなる。以降、創価学会は「世界平和」を掲げ、池田は「平和の使者」としての顔を前面に打ち出すようになった。 組織内の権力闘争も波紋を呼んだ。創価学会はもともと日蓮正宗の信徒団体から生まれたにもかかわらず、日蓮正宗とは泥沼の争いを繰り広げ、最終的に創価学会は破門されてしまう。 それでも創価学会は、池田のカリスマ性によって求心力を保ち、創価学会は次第に「池田ファンクラブ」の様相を呈して行く。 しかし2010年以降、高齢の池田は表舞台から姿を消し、創価学会は「集団指導体制」に移行。池田の直接指導なしでも運営できる態勢になった。 池田を軽んじ醒めた目で創価学会を見る宗教2世3世の増加、選挙活動における集票力の低下、さらには会員の高齢化……池田大作とはいったい何だったのか? そして、ポスト池田の創価学会はどうなるのか――?
  • 近代日本の地下水脈 Ⅰ 哲学なき軍事国家の悲劇
    4.0
    近代日本の失敗は「地下水脈」で読み解ける! なぜ日本は太平洋戦争を始め、敗戦に至ったのか。なぜ「玉砕」「特攻」といった無謀な作戦で多くの人命を失ってしまったのか?―― 著者が昭和史の研究に携わるようになったのは、こうした謎を解明したいとの強い動機からであった。今まで5000人近くの昭和史関係者にインタビューを重ねてきたのは、それはこの根源的な問いに対する答えを探す旅でもあった。そして、敗戦に至る道筋を調べれば調べるほど、昭和だけでなく、明治維新以降の歴史をもう一度つぶさに検証しなおす作業に迫られることになった。 その結果、著者は「地下水脈」という歴史観にたどり着く。 大日本帝国憲法ができるまでのほぼ20年間、「日本という国をこれからどのように作り変えていくか?」をめぐって、さまざまな勢力の“主導権争い”がおこなわれた。 実際の歴史では、日本は「欧米列強にならう帝国主義国家」の道を歩み、すべてが軍事に収斂していくことになる。その結末が、昭和の悲惨な敗戦であった。 では、残る国家像は、そのまま消えてしまったのか? そうではない。4つのそれぞれの思想やビジョンは、いったん日本社会の地下に潜りながら、いまも脈々と流れ続けている。そして歴史の重要なターニングポイントを迎えるたびに、噴出してくるのである。 「地下水脈」という歴史観でとらえれば、現在の日本の窮状――経済の迷走も、終身雇用サラリーマン社会が変わらないのも、政治がダメなのも、エリート教育がダメなのも、150年以上繰り返されてきたことがわかってくる。 本書は、「地下水脈」をあらためて見つめることで、日本の近現代史を再検証する。
  • 戦狼中国の対日工作
    3.0
    中国の魔手は、もうそこまで忍び寄っている! 習近平体制が確立して以降、中国は「戦狼外交」と呼ばれる超攻撃的な外交を繰り広げてきた。アメリカをはじめとする西側国家を舌鋒鋭く批判し、日本などの周辺諸国に対しては軍事力をちらつかせながら恫喝する……。こうした中国の外交姿勢は、当初、「口先だけ」と思われていた。 しかし、これはけっしてハッタリではなかった。いつの間にか、中国政府の魔手は私たちの周辺に張り巡らされていたのである。 ウィーン条約を無視して、大使館以外の在外拠点を勝手に日本に開設。その中には秘密警察の「派出所」として機能している拠点もある。そこでは、大陸を逃れてきた反体制派中国人の監視や脅迫、留学生からの情報収集、さらにはスパイ行為などがおこなわれているのである。 著者は日本国内に開設された中国秘密警察の拠点を特定。体当たり取材を試みた。さらに、日本に逃亡中の反体制活動家にインタビューすることにも成功。 また、SNSを駆使して日本で公然とフェイクニュースを拡散し、「認知戦」を繰り広げる大阪総領事・薛剣にもインタビュー。中国共産党が日本においてどのような宣伝工作を繰り広げているのかを、緻密な取材で解き明かす。 地を這う取材に徹してきた筆者。その取材で明らかになってきたのは、「中国はマジで危険な国家になった。それは長年中国ウォッチャーをしてきた自分の想像をはるかに超えている」(筆者の言葉)である。 観念論先行の中国批判本とは一線を画する作品である。
  • ウクライナ戦争はなぜ終わらないのか デジタル時代の総力戦
    4.5
    米中の覇権争いでは終わらない。世界は戦争の世紀に突入した―― 最前線! リアルタイムの戦争研究  グローバリゼーションが進んだ世紀におけるウクライナ戦争の開始は、 「終わらない戦争」の始まりを告げる出来事となった。 見えない情報の行き交うサイバー戦、イーロン・マスクのスターリンクに 代表される民間による宇宙利用もが戦争の命運を握る。 ウクライナ戦争以後、戦争はどう変わったのか? 米中の覇権争いでは終わらない新たな問題群を前に、 台湾有事を抑止することは可能なのか? ロシア・ウクライナ戦争をケーススタディに、 「大国間競争」に埋め込まれた「終わらない戦争」について考える。 目次 第1章 ロシア・ウクライナ戦争はなぜ始まったのか 高橋杉雄 第2章 ロシア・ウクライナ戦争――その抑止破綻から台湾海峡有事に何を学べるか 福田潤一 第3章 宇宙領域からみたロシア・ウクライナ戦争 福島康仁 第4章 新領域における戦い方の将来像――ロシア・ウクライナ戦争から見るハイブリッド戦争の新局面 大澤淳 第5章 ロシア・ウクライナ戦争の終わらせ方 高橋杉雄 終章 日本人が考えるべきこと 高橋杉雄
  • 70歳からの人生相談
    5.0
    迷ったら、マムシに聞け! 年を取ってもハッピーに生きていくためにはどうするべきか? 高齢者の「ご意見番的存在」毒蝮三太夫さんが贈るアドバイスの数々。 まえがき 第一章 高齢者だって悩んでいる 第二章 親に悩まされている子供たち 第三章 介護で苦しまないための心得 第四章 高齢の親との上手な付き合い方 第五章 やがて訪れる「死」とどう向き合うか 第六章 マムシ流 愛される年寄りになる12の極意 あとがき
  • 半導体有事
    4.5
    経済安全保障の最前線! アメリカが中国に突きつけた異次元の半導体規制。このままだと中国の半導体工場はやがて稼働できなくなる。追い詰められた中国が狙うのは、世界のトップ企業、台湾のTSMC――。世界中が半導体製造能力をめぐる競争に駆り立てられているなか、日本は再び失敗を繰り返すのか? 新会社ラピダスのいう、「2027年までに2ナノの最先端半導体をつくる」なんてできっこない!
  • 負動産地獄 その相続は重荷です
    4.0
    資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった不動産が、 誰も住む予定がなく、借り手も買い手も現れない「負動産」に。 団塊世代が後期高齢者に突入した今、「いらない相続」は他人事ではないのです。 戸建て住宅やマンション、別荘、都市農地、山林など、 不動産のプロが、「負の相続」にならないための解決策を提言! 【目次】 まえがき 「いらない相続」はあなたにも降りかかる 第1章 激増する「いらない相続」 「老老相続」~偏在する高齢者財産と受け取れない子供/相続登記義務化がもたらす悪夢/都市農地の相続で路頭に迷う深刻な事情 ほか 第2章 相続対策が不動産問題を生む 少子高齢化の日本で貸家が増える不思議/需要のなくなる相続後のアパートを待つ未来/相続後に襲いかかるローン返済地獄 ほか 第3章 いらない不動産 どうにもならない地方の実家/郊外ニュータウン一戸建て住宅相続/老朽化マンションという置き土産 ほか 第4章 おひとりさまの相続 おひとりさまの相続人は誰?/おひとりさま資産をめぐるトラブル/おひとりさま相続対策 ほか 第5章 「負の相続」にならないために 絶対にやるべき親子会議/知っておきたい空き家売却の基礎知識/いらない土地は国庫に帰属させられるようになる? ほか 第6章 相続をどうすればよいのか 世界最高水準のニッポンの相続税/財産移転の早期化が日本を活性化する/国土の絵図を描きなおそう ほか
  • アントニオ猪木 闘魂の遺伝子
    3.0
    【*本書は2012年12月刊『新日本プロレス12人の怪人』(文春新書)をもとに新章を加え、再編集した決定版です。】 アントニオ猪木がついに亡くなった――。この不世出のプロレスラーが50年前に旗揚げした新日本プロレスは、キラ星のごとくスーパースターを輩出してきた。藤波辰爾、長州力、前田日明、藤原喜明、タイガーマスク、アンドレ・ザ・ジャイアント、タイガー・ジェット・シン、橋本真也、棚橋弘至……。プロレス取材60年の著者が秘話で綴る「闘魂伝承」。『新日本プロレス 12人の怪人』の増補改訂版。 第1章 アントニオ猪木 プロレスの妖怪 第2章 藤波辰爾 巨大な壁に挑んだ一番弟子 第3章 山本小鉄 道場と酒を愛した鬼軍曹 第4章 長州力 「猪木超え」を果たした反骨心 第5章 前田日明 3人の鬼が生んだ格闘王 第6章 藤原喜明 ガンになっても戦う関節技の鬼 第7章 タイガーマスク 二度と現れない天才 第8章 キラー・カーン 米国マット界を席巻した大型ヒール 第9章 アンドレ・ザ・ジャイアント ド迫力の人間山脈 第10章 タイガー・ジェット・シン 悪を商売にしたインドの狂虎 第11章 橋本真也 太く短く生きた破壊王 第12章 棚橋弘至 ビジュアルな異能派レスラー
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ
    4.1
    資源のない日本は「人材」こそ「資源」とせよ! 古代ギリシア人やローマ人は「危機」という言葉に「甦生」の意味も合わせ持たせた――「知恵」を働かせる以外に日本の未来はない。 「長く歴史に親しんでつくづく考えるのは、民族は、興隆した後に必ず衰退を迎えるものであること。興隆と衰退の間に長い安定期を享受できた民族は、実にまれにしか存在しなかった」――古代ギリシア、古代ローマ、中世ルネサンスから日本を思う。 月刊「文藝春秋」の好評連載「日本人へ」第5弾。
  • 極秘資料は語る 皇室財産
    4.3
    天皇家の極秘資料を発掘! 「こんな資料は、これまで表に出たことはありません。いや、今後も絶対に出ないでしょう」。資料を目にした宮内庁関係者はこう呟いた。皇室費の中でも、天皇の私的な「財布」である内廷費の内訳は”聖域中の聖域”だ。今回、戦前戦後で大きく変貌を遂げた皇室財産の全容が初めて明らかに。特に驚かされるのは、昭和天皇の真実の暮らしぶりだった。 はじめに 等身大の昭和天皇を伝える二つの極秘文書 第一章 門外不出の資料が明かす戦前の皇室財産 第二章 天皇家の「家計簿」から見た戦後皇室の”聖域” あとがき 超一級史料を残した「ある宮内庁OB」の生涯
  • 日中百年戦争
    4.0
    「中国」という日本にとっての最大の問題 戦中は拡大派と不拡大派が、戦後は北京派と台湾派が、現在は対中強硬派と経済優先派が激突。日本は「中国」とどう向き合ってきたか。
  • AI新世 人工知能と人類の行方
    4.0
    AIは人間社会をどこまで変えるのか? 驚異的な速度でAIが発展し、社会に決定的な影響を及ぼす時代、「AI新世」。いまAIに何ができるかを網羅、人類の展望を示す。 はじめに 第1部 AIにできること 第1章 画像認識 第2章 画像生成 第3章 音声認識 第4章 音声生成 第5章 文章認識 第6章 文章生成 第7章 その他ありとあらゆる応用 第8章 未来のAIにできるかもしれないこと 第2部 AIは社会をどう変えるか 第1章 第一次産業はどうなるのか 第2章 第二次産業はどうなるのか 第3章 第三次産業はどうなるのか 第4章 AI技術との付き合い方 第3部 AIの歴史と未来 第1章 AIの歴史 第2章 深層学習の誕生 座談会 AIは人間にとって代わるのか おわりに
  • 世界珍食紀行
    3.7
    日本では誰も味わったことのない現地の味覚! 世界の各地で調査を重ねる研究員たちが食した美味・珍味、そして時に悶絶するほどのゲテモノ食などを綴った人気連載をまとめた一冊。
  • 小さな家の思想 方丈記を建築で読み解く
    -
    戦乱の世、方丈庵に込められた思想とは? 一辺約3メートル、組み立て式のモバイル住宅「方丈庵」は鴨長明の集大成だった。誰もが知る古典を建築として読み解く新たな試み。
  • フェミニズムってなんですか?
    4.4
    性差別のない21世紀を実現するために。 フェミニズムを様々なトピックで学ぶ必携の一冊!    * * * 女性たちが日以上生活の中で、「あれ?」と疑問に思うこと、 何気ない言葉や行為に抵抗を覚えること。 それはフェミニズムのきっかけになります。 「私が我慢すれば」と抑えこんでいた怒りや不満を、 いつかどこかにぶつけたくなるかもしれません。 でも、誰に、どうやってぶつけたらいいのか? それを考えるためのヒントをくれるのが、フェミニズムです。 エッセンシャルワーカーとケア オリンピックとセクシズム インターセクショナリティ Black Lives Matter 性と身体 中絶と性暴力 LGBTQ+ #MeToo フェミニズムの視点を身に着ければ、世界の見え方が変わる! フェミニズムの歴史を読み解き、 物事を一歩引いて眺める視点を与えてくれる一冊 ――芥川賞作家・李琴峰推薦  * * *
  • 東大女子という生き方
    3.7
    東大女子は「未来の働き方」の開拓者だった 東京大学に初めて女性が入学して75年。今なお女性比率は二割に満たない。「東大女子」を通して、日本社会の影と未来をあぶり出す。
  • ゲノムに聞け 最先端のウイルスとワクチンの科学
    4.0
    いまだ世界的な感染収束が見通せない新型コロナウイルス感染症。変異を繰り返して感染力を増すウイルスと戦うためには何が必要なのか。生物やウイルスの設計図である「ゲノム」の視点から、ウイルスとワクチンに関する最先端の知見をわかりやすく解説する。 目次 はじめに 第一章 すべてはゲノムが教えてくれる 第二章 新型コロナウィルスのすべて 第三章 検証・科学なき国の感染対策 何が間違ってどこがおかしかったのか 第四章 ウイルス 宿主に寄生し増殖する「無生物」 第五章 ウイルスvs人体 戦う細胞・免疫 第六章 ワクチン 感染症から人類を守る救世主 第七章 「万能型」新型コロナウイルスワクチンの可能性 おわりに
  • 韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか
    4.4
    近年、韓国発のエンターテインメントの世界的な活躍のニュースは毎日のように目に入ってきます。7人組ボーイズグループBTSの国連でのスピーチやパフォーマンス、Netflixドラマ『イカゲーム』や『愛の不時着』の世界的ヒット。髪型やファッションをK-POPアーティストに寄せることも今では珍しくありません。その韓国エンタメ産業の躍進は、実は韓国社会の変化と大きく結びついています。 ◎1980年代の民主化運動による「表現の自由」の拡大 ◎1997年アジア通貨危機、IMFショックによる韓国産業界の変化(輸出強化とIT化)。そして2010年以降顕著になった世界のデジタル社会化。こうした社会の変化が韓国のエンタメ産業にどのような影響を及ぼしたのか、本書前半ではBTSをプロデュースしたパン・シヒョク氏や、韓国エンタメ産業界の巨人・CJグループのイ・ミギョン氏など立役者たちのプロフィールを交えつつ具体的に描かれます。一方、本書の後半では韓国エンタメ界に残る負の面に目を向けます。韓流スターの性接待や、オーディション番組における不正操作。相次ぐ女性スターの自死。こうした問題もまた、韓国社会の変化のなかで、取り上げられ方が変化してきました。とりわけフェミニズムの広がりによる女性の権利意識の高まりは大きなポイントになっています。その他兵役や韓流スターたちと政治との関りなど、韓国のエンタメ界と韓国社会との密接なつながりへの理解が本書によって深まります。 また最終章では日本のエンタメコンテンツが韓国でどのように受容されているかがレポートされます。厳しい現状から、いま日本に求められているものは何かが見えてきます。
  • 危機の神学 「無関心というパンデミック」を超えて
    4.0
    埋まらない社会の分断、無関心という病、かつてない気候変動の危機。 コロナ禍で顕在化した危機にどう立ち向かえばいいのか。 時代の危機に、キリスト教はどう答えてきたのか? 教皇フランシスコ、トマス・アクィナス、アウグスティヌスから カール・バルト、西田幾多郎まで。 未来を照らす光を過去の叡智に探る神学対談。
  • グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす
    4.2
    時代の転換点は、すでに静かにやってきている――。 ESG投資、電気自動車、次世代原発、代替肉、植物性ミルク、洋上風力発電、太陽光発電……。 日本人の知らない気候変動経済のすべてがわかる、全ビジネスパーソン必読の決定版! 2020年10月7日、かつて全世界の企業でもトップを誇ってきた石油資本エクソン・モービルの時価総額が抜き去られた。 王座から追い落とした企業の名はネクステラ。フロリダの地方電力会社だ。 だが彼らは風力発電、太陽光発電のシェアで全米をひそかに席巻し、株価は10年で5倍に! もはや再生エネルギーはファッションではなく、21世紀のビジネスの主戦場となったのである。 新時代の再エネの巨人「グリーン・ジャイアント」たちは、すでにカーボンニュートラルの世界での覇権をめぐって激しく争っている。 ネクステラ、エネル(伊)、イベルドローラ(西)といった知られざるグリーン・ジャイアントたちの成長戦略とは。 炭素税導入で先を争う欧州各国。 世界最大のCO2排出国ながら、風力・太陽光にも巨大投資を行う中国。 デンマークの洋上に林立する巨大風力発電の風車。 CO2排出案件からの撤退「ダイベストメント」を叫ぶ投資家たち。 GAFAMもカーボンニュートラルを宣言。 「植物肉」で牛肉を減らし、「牛のゲップの温室効果」を止める。 ビル・ゲイツが建設する次世代原発「ナトリウム原発」とは。 グリーン・ジャイアントに支配される新世界で、エネルギーと、そして原発とどう向き合えばいいのか!? ここまでトータルに現在の世界のエネルギーを論じた本はかつてなかった。気鋭の記者が渾身で書き下ろす警世の書!
  • インパールの戦い ほんとうに「愚戦」だったのか
    3.7
    欧米で「東のスターリングラード」と称される死闘―― 「白骨街道」「無謀な作戦」「日本型組織の最大の失敗例」としていまだに語り継がれる太平洋戦争時に行われたインパール作戦。指揮官の無理な命令、補給の軽視など、ともすれば、日本軍の自滅としてのみとらえられがちである。本書ではこの視点を踏まえつつ、イギリス、インドの資料や現地取材を駆使し再検証する。 香港、シンガポール、ビルマと各戦線で連戦連敗のイギリス軍と、圧倒的な兵力と勇猛果敢さで、無敵を誇った日本軍。両者の明暗はどこで別れたのか――
  • 実録 脱税の手口
    3.8
    芸能人や会社経営者の脱税や所得隠しが大きなニュースになっても、その手口の詳細について報じるメディアは少ない。 税金事件の取材を長年続けているベテラン国税記者が、実際に使われた「脱税の手口」の数々を隅々まで解説する! 【本書で描かれる脱税事件】 国税庁批判の末に逮捕された青汁王子 納税意識ゼロだったチュートリアル徳井の所得隠し 3億円稼ぐも確定申告を知らなかった人気AV女優 マルサが手掛けた日本初のFX取引脱税事件 トランクルームに10億円隠した元ヤンキー経営者 国税当局を挑発し続けた“ネオン街の大家”丸源の敗北 脱税資金で顧客に損失補填した元巨人軍投手 脱税と詐欺を繰り返したペジーコンピューティング社長 ほか
  • 金正恩と金与正
    4.0
    佐藤優氏絶賛!「金与正の謎が初めて解き明かされる」 韓国を「クズ」と罵倒し、連絡事務所を爆破。 「知的で聡明」な妹は金正恩の後継者なのか? 兄妹を支える「赤い貴族」の実態とは?
  • 超空気支配社会
    4.7
    SNS、コロナ、オリンピック……「空気」の圧力が覆う現代日本を読み解く令和版「空気の研究」。 自由気ままにものを書いて発言する時代は終わったのか? 日本を動かす「空気」の本質を衝く。 気鋭の論者による初の評論集。
  • 三国志入門
    4.0
    中国歴史小説の第一人者が書き下ろし! 中国を代表する歴史物語『三国志』をこれから読みたい人を、雄大な世界に誘う入門書。 英雄たちの足跡を物語、戦い、故事成語などにわけて易しく紹介する。 ・三国時代と三国志の時代の違いとは ・外戚と宦官の争いが後漢王朝を衰弱させた ・ことばの力によって大国・魏を創った曹操 ・薄情な劉備がなぜ蜀の皇帝になれたのか ・若さに満ちた政権を率いた呉の孫権 ・「水魚の交わり」「泣いて馬謖を斬る」……物語を彩る名言 ・英雄たちの亡き後の三国志の世界
  • 小林秀雄の政治学
    4.0
    1巻1,001円 (税込)
    「文芸批評の巨人」像が一新される! 「政治嫌いの文学者」というイメージが強い小林秀雄。だが著作を丹念に読むと、政治、戦争への深い関心と洞察が。 新しい小林像。
  • あなたもきっと依存症 「快と不安」の病
    3.9
    「依存症」といえば、アルコール、タバコ(ニコチン)、麻薬などを、普通では得られない「快楽」を求めて、 身の危険を顧みずにのめり込んで消費している人のイメージが私たちにはあります。 しかし実は、依存症の落とし穴はとても身近なものです。ご飯を食べるのを止められない、オンラインゲームで部屋にとじこもる。 次から次へと恋愛関係に身をやつす。こういったことも十分に依存症でありえます。 最新の国際的な定義では、これまでのアルコールや薬物といった、物質的な依存症だけでなく、 ギャンブルやオンラインゲームといった「行動に関する依存症」も含まれるようになりました。 まるで脳が乗っ取られたように、止めたいと思っても、止められなくなる、そこにはもはや「快楽」はなく、 ただ「脳の渇望」があるだけの世界、そうした状況に依存症の人たちは苦しんでいます。 本書では、〇アルコール、〇ニコチン、〇薬物といった古典的な依存症から、〇ギャンブル、〇オンラインという新たに依存症に含まれたもの。 さらに〇糖質依存、〇性的依存といった、まだ研究途上で公的な定義には含まれてはいないものの、十分に依存症的な症状があるものまで紹介します。 最新の依存症の研究と治療について、筑波大学教授の原田隆之先生が、身近な事例を用いながら、わかりやすく紹介します。
  • 日本企業の復活力 コロナショックを超えて
    3.3
    危機で浮き彫りになった日本の底力 日本はポストコロナ時代において国際的にさらに強くなっていく可能性がある。 その理由と将来的な課題を産業の様々な面から論証する。 もくじ プロローグ コロナショックは日本企業の分水嶺 第1章 「不思議の国」日本の底力 第2章 テレワークがあぶり出した日本の組織 第3章 デジタル化に大わらわ 第4章 逆張りのグローバリゼーション加速 第5章 コロナショックが日本の産業を強くする 第6章 雇用と人事、改革待ったなし 第7章 成長への心理的エネルギーが最大の鍵 エピローグ 国際大学学長室から見える世界と日本
  • 人声天語
    3.3
    1~3巻1,001~1,018円 (税込)
    「天声」にはパブリックなイメージがあり、ある種の客観をよそおっている。それに対して「人声」はプライベートであり、あくまで個人的な声。だから「人声天語」とは、要するに、反射神経による思考(発言)のことである。  2003(平成15)年から、2008(平成20)年にかけて起きた様々な事象の、おかしさ、うさんくささ、不思議さを、紋切り型ではない「人声」でとらえた世相コラム集。 収録された主な出来事は―― ネット心中/自衛隊イラク派遣議論/「週刊文春」出版差し止め問題/イラク日本人人質事件/国民年金未払い問題/佐世保小六女子殺人事件/ギリシア五輪/プロ野球リーグ再編問題/靖国問題/ライブドア事件/秋田小学生殺害事件/昭和天皇「富田メモ」報道/ハンカチ王子ブーム/朝青龍問題/安倍総理辞任/時津風部屋暴行死事件/「大阪名物くいだおれ」閉店/秋葉原通り魔事件/地下鉄副都心線開通 など

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