台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史

台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史

1,200円 (税込)

6pt

3.8

台湾はいかにして台湾になったのか?

台湾海峡をめぐる緊張がにわかに高まっているが、台湾と中国の関係は、「敵か味方か」といった単純な構図で理解できるものではない。台湾から見た中国との「距離感」は歴史の中で時代によって大きく揺れてきた。
他方で、コロナ禍におけるデジタル担当のオードリー・タンの活躍や蔡英文大統領下での同性婚の合法化など、国際的にも存在感を発揮する台湾。こうした台湾の独自性、「台湾人」としてのアイデンティティはいかにして育まれたのか? そして複雑に錯綜した国内外の対立関係をいかに乗り越えようとしているのか?

第二次世界大戦後の国民党政権による一党支配体制、そのもとで繰り広げられた反体制運動と政府当局による弾圧――民主化以前の台湾をめぐる政治的争点を紐解きながら、冷戦期の国際情勢の変化を読み込みながら、「反中/親中」あるいは「反日/親日」という二項対立では理解できない台湾社会の複雑さに迫る。そして、台湾の成り立ちに欠かせない日本、アメリカ、中国との関係をも、「人」を起点にふんだんに描き出す。

数々の歴史的なねじれ目をほどきながら理解の深まる、スリリングな台湾現代史。

―――――――――
以下、目次

第1章 多様性を尊重する台湾
第2章 一党支配化の政治的抑圧
第3章 人権問題の争点化
第4章 大陸中国との交流拡大と民主化
第5章 アイデンティティをめぐる摩擦

...続きを読む

詳しい情報を見る

閲覧環境

台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史 のユーザーレビュー

3.8
Rated 3.8 stars out of 5
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    台湾。中国との距離が絶対的に重要な場所。統一でも分断(独立)でもなく。政府への信頼と監視。不安定の中の安定。現在は日本と同じく小選挙区比例代表制。2大政党的な枠組み。国籍をめぐる複雑さが、歴史の分断の中で生まれる。


    好著。

    0
    2025年01月18日

    Posted by ブクログ

    中国との「距離感」によって時代ごとに大きく揺れ動いてきた「台湾のアイデンティティ」の来歴を解きほぐす。
    バランスの取れた筆致で、台湾の人々のアイデンティティの模索をめぐる複雑な歴史的背景について理解が深まった。特に、国民党一党支配下の政治的抑圧、人権侵害については、これまであまり知らなかったことであ

    0
    2024年08月17日

    Posted by ブクログ

    台湾の政治史簡潔に記されてる。
    その歴史的な背景から生じる台湾の国民の複雑な思いが理解できる。中国の抑圧的施策が、却って台湾の拒否反応を起こしている事が皮肉だ。

    0
    2024年06月14日

    Posted by ブクログ

    難しい。歴史的にも地政学的にも。今も移民の一番は中国…、貿易額も。228事件で逮捕者相次いだ頑固者揃いという、ここ高雄は、もう中国、目と鼻の先。年金問題や同姓婚など難しい問題を次々に解決できる台湾。肝心の国名曖昧なママというところが象徴しているのかなぁ。

    0
    2025年02月22日

    Posted by ブクログ

    色んな国、政治に翻弄されて来た台湾。
    つか、自分たちも翻弄して来た方だと言う一面もあるが。
    いわゆる原住の人達の表情が全く見えて来んしな。
    先の大戦から、内戦がまだ落ち着き切っていない「国」。
    大日本帝国と直接戦った国民党が、そのまま残っとるんやから。
    世界で1、2を争う巨大ジャイアン国を目の前にし

    0
    2024年06月04日

台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史 の詳細情報

閲覧環境

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

    文春新書 の最新刊

    家永真幸 のこれもおすすめ

    同じジャンルの本を探す