井出明の作品一覧
「井出明」の「きみは「3.11」をしっていますか? ~東日本大震災から10年後の物語~」「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「井出明」の「きみは「3.11」をしっていますか? ~東日本大震災から10年後の物語~」「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
ダークツーリズムとは近代史の影の部分、とくに戦争と災害の現場となった土地を訪問する観光を指す。ダークツーリズムの核心は「悲しみの記憶を継承することで二度と悲劇を起こさせない」。戦国時代の戦場跡などは時代が古すぎるのでダークツーリズムには該当しない。
観光とは国の光を見ること。隠されがちな影に目を向けるのは悪趣味、不謹慎と思われがち。しかし破壊や死の歴史に思いを馳せることで記憶を継承する、語り継ぐ、生きる意味を再確認するなどポジティブな意味合いもある。強固な学びの意思なく、「物見遊山で行ってみたら、かなりためになった」程度でも十分ダークツーリズムたりうる。
本書では小樽、オホーツク、西表島、長野、栃木、群馬、インドネシア、韓国、ベトナム、震災後の東北地方が扱われる。
以下、要点。
・遺構を撤去してしまうと記憶の継承は困難になる。また、他の観光施設との結合の上で動線を確保しなければ持続可能性はない。
・網走監獄は「ダークツーリズムの理想型」。
・ダークツーリズムの旅だからといってずっと悲しみの地だけを辿るのは心理的負担が大きい。代表的な観光資源と組み合わせて楽しみながら旅するのがいい。
・地域の悲しみの歴史は、明るく楽しい観光のイメージと合わないため観光開発の過程で枠外に置かれがち。
・災害で多くの人が亡くなった土地が行政や地元有力企業とコトを構えてしまうと、公はその記憶を消そうとする。遺構として保存されなくなり、観光案内等で紹介されることもなくなる。「地域における弱い立場の人たちの記憶はかき消され、強者による記憶が刻まれていく」。本来は弱い立場の人たちの記憶にこそ寄り添わねばならないのに。
・ヨーロッパやそれが波及したアジアのダークツーリズムが、復興ツアーのみならず地域のダークサイドの記憶も含む多義的な概念で語られるのに対し、日本の被災地における復興過程は「明るく元気」であることが期待されるので、ダークツーリズムが復興ツーリズムと相容れない場面が多い。観光系学会にはダークツーリズムの存在自体を許そうとしない論者が多い。
今年東北へ震災遺構を見に二度旅行に行った。見学して凄まじい破壊の跡に慄くとともに、かつてあった災害を決して忘れまいと思った。
これまでにも沖縄へ旅行すればガマやひめゆりの塔へ行き、広島へ旅行すれば原爆ドームや平和祈念資料館へ行った。自覚していなかったが俺もダークツーリストだった。深い考えや信条があって行ってるわけじゃない。一般的な観光地より近代史の負の痕跡に惹かれるから行っている。
Posted by ブクログ
「世界遺産」と聞きますと、日本人にとっては
世界に認められた観光資源、と考えてしまうの
が一般的と思います。
そして原爆ドームなどは、悲しい歴史ではあり
ますが、人類が後世に伝えるべき「負」の遺産
とも考えられます。
しかし「負の遺産」という言葉や概念は日本人
だけが持っていて、当のユネスコもそんな区分
けはしていないのです。
そもそも自然遺産ならともかく、人間の営みが
関係している産業や文化遺産には、見方を変え
ればいくらでも「負」の部分は存在するはずで
す。
それは2018年7月に世界遺産登録された「長崎
と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の内容
を詳しく見れば理解できると思います。
当初地元では多くの教会を候補として挙げてい
ましたが、実はそれらの多くはキリスト教禁教
期ではなく、信仰が認められた明治6年以降の
ものした。そのためイコモス側から「禁教と関
係ないよね。もっと江戸幕府が弾圧していた内
容を伝えて」と、登録の延期がされたとか。
で、結局潜伏キリシタンが人里離れた場所に棚
田を作っていたというエピソードも盛り込んだ
らしいのです。
そもそも棚田は平家落人や切り捨てられた人が
残した景観としては世界中に存在するはずです。
つまり「後付け」であった部分が多いのです。
最近は「ダークツーリズム」という言葉がよく
聞かれます。
心地よい「世界遺産としての良いところ」では
なく「闇」の部分にもしっかり耳を傾けよう、
とする動きです。
コロナ禍で多数の観光客を呼び込む「量」では
なく、「質」を考える時期にあることを考えさ
せられる一冊です。