『実利論』 古代インド「最強の戦略書」

『実利論』 古代インド「最強の戦略書」

1,100円 (税込)

5pt

4.0

インドのしたたかさは古代からあった!

紀元前2~4世紀の古代インド、マウリヤ王朝の宰相カウティリヤが著わしたとされる『実利論(アルタシャーストラ)』。マックス・ウェーバーが『職業としての政治』のなかで「カウティリヤの『実利論』に比べれば、マキャヴェリの『君主論』などたわいのないものである」と評した、冷徹なリアリズムにもとづく国家統治の要諦を論じた幻の書だ。

その白眉は「マンダラ外交」と呼ばれる外交論。自国に直接境界を接する隣国は基本的に「敵対者」、隣国の隣国は友邦になり得る国、そのまた隣国は敵対者となり得る……という具合に円環状に広がって行く外交戦略論だ。

単に「敵の敵は味方」と言うに止まらず、自国と敵対的な隣国の双方に接する「中間国」、また自国にも隣国にも接しない「中立国」を活用することの重要性とさまざまなケースでの対応策を提示。採るべき政策として、和平、戦争、静止、進軍、依投(他に寄る辺を求めること)、二重政策(和平と戦争を臨機応変に採用すること)という「六計」を、状況に応じて繰り出していくとする。これは現代インドにおいても当てはまる。

その他、日本がまだ弥生時代の頃に、驚くほど緻密な官僚制を敷き、インテリジェンスなかでもスパイの効用をさまざまに論じている『実利論』を、筆者が兵法の古典『孫子』との比較や、ガンディー、ネルー、チャンドラ・ボース、あるいは現モディ政権のジャイシャンカル外相らの政治・外交を紐解きながら、現代インドの行動原理と併せ解説する。

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『実利論』 古代インド「最強の戦略書」 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この手の古典は、原典よりも先に解説書を読むのが吉。
    実利論は徹底した合理主義であり、感情に流されやすい日本人とは違っている。
    ちなみに、「君主論」は「マキアヴェッリ語録(新潮文庫)」で読むのがおススメです。

    0
    2025年08月30日

    Posted by ブクログ

    インド知識が古代にも近代にもそこまで及ばないという限りでは、かつてのインドに「孫氏」的な指南書があったという程度の理解に落ち着くが、神話・宗教的な世界観のなかで培われた知恵が近代アジアの歩みにも影響を及ぼしうるというスケールの話としては興味深い。

    0
    2025年05月28日

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