作品一覧

  • 王墓の謎
    3.5
    1巻979円 (税込)
    「王墓はなぜ築かれたのか?」 本書のテーマは、この素朴な疑問である。 エジプトのファラオが築いたピラミッド、中国の皇帝たちが造った山稜など、 人類史には王の埋葬のためのモニュメントが数多くある。 それらは、王が自らの権力を誇示するために築造したと考えられている。 したがって、王墓の大きさは権力の大きさに比例する、 王墓は王の権力の象徴にほかならない、という理解が常識とされており、 教科書にもそう書かれている。 しかし、本書ではこの定説に真っ向から反論し、 新たな視野から王墓を理解することを目的とする。 本書では、王墓にまつわる次のような謎に挑む。 ・「王墓=権力の象徴」説は、いかにして定説になったのか ・王墓は、権力者が命じた強制労働の産物なのか ・墓造りのエネルギーを、なぜ農地の拡大や都市整備に投下しなかったのか ・葬られたのは「強い王」か「弱い王」か ・高価な品々が、なぜ一緒に埋められたのか ・なぜ人類は、世界各地で王墓を築いたのか? ・「大洪水伝説」が残る地域と、王墓の誕生した地域が重なるのはなぜか ・王墓は、危機に瀕した社会が生き残るための最終手段か ・王が神格化され強大な権力を持つと、王墓が衰退するのはなぜか この本は、「王墓=権力の象徴」というステレオタイプな理解で停止してしまっている 私たちの思考を根本から問い直すものである。 王墓は、王自らの権力欲のためのものではなく、 人々が自ら進んで社会の存続を王に託した時に、はじめて誕生する。 王墓は、王を神へ捧げるための舞台であり、 権力や富の集中を防ぐために、人類が発明した優れた機構なのだ! 古代史ミステリーの「定説」を覆す、必読の書!
  • 装飾古墳の謎
    3.7
    1巻1,500円 (税込)
    石室内部が赤、緑、黄、黒などの文様で、あざやかに彩られる装飾古墳。 4世紀半ばから7世紀にかけて現れた「古代のアート」は多くの謎を秘めている。 カラー図版を多数使って、その謎に世界的視座から迫る。 ・九州と関東周辺に集中し、近畿に少ないのはなぜなのか? ・装飾古墳が九州に多いのは、中国に近いからなのか? ・筑紫磐井の乱の敗北が装飾古墳を生んだという通説は本当か? ・なぜ埋葬施設に人に見せるための装飾をするのか? ・海外にも装飾された埋葬施設は存在するのか?

ユーザーレビュー

  • 装飾古墳の謎

    Posted by ブクログ

    装飾古墳とはどんなものか....壁画古墳との違いなどを最初は教えてくれる。
    しかし、この本の内容はそのようなところには全くとどまっておらず世界の墳墓、古墳、王墓からショーヴェ壁画、
    ラスコー、アルタミラなどにも解説が及ぶ。そのような観点から日本にある装飾古墳を捉えての解説。
    かなり専門的な表現もありスマホ片手に知らない名称や用語を調べながら読んだ。
    すこぶるおもしろい。しかし、ある程度の理解を得るにはもう二回ほど読む必要があるかも....

    0
    2023年03月04日
  • 王墓の謎

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「王墓の大きさ=権力の大きさ」という通説を疑ってかかり、比較考古学という視点から王墓の成り立ちや変遷、衰退などの考察を行った一冊。
    全部が全部丸っと飲み込めはしなかったが、少なくとも通説よりは説得力のある面が多かったように思う。
    特に循環的時間の観念から直線的時間の観念に置き換わったという精神面にも言及があったのが個人的には目新しかった。
    時には定説を疑ってかかるという視点も大事だなと感じた。

    0
    2025年05月19日
  • 王墓の謎

    Posted by ブクログ

    王墓の印象が変わりました。

    王のために庶民がイヤイヤ作ってたんだろうな~と思ってました。
    今とは違う社会システムの中で皆に必要とされて作られていたとは驚き。

    自分は民主主義&資本主義のシステムしか実感できません。
    太古の社会システムを想像し、不思議な気持ちになりました。

    0
    2025年04月27日
  • 王墓の謎

    Posted by ブクログ

    権力を後世に残すためではなく、神聖性を軸に同時代に生きる人々が共有するための墓、という見方はなかなか面白く、そして妙に納得出来る主張。ただ、筆者の指す「神」がなんなのか、超越的な力を持ちうる概念全般と受け取っていたが、終盤では「全知全能の神」なる存在に置換されていたことに違和感を持った。無謬の神、おおよそ唯一の存在、というのは考古学的前提としてやや危ういと思う。まあそれはともかく、王墓の来し方を無批判に受け入れていた事に気づかされたという意味でもよい本だった。

    0
    2025年02月08日
  • 王墓の謎

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    王墓とは何か、王墓はなぜ衰退したのか、王墓が与える現代への影響などを考察します。神格化された王が、時代の変遷や他との競争の中で王墓を華麗にした。その中で複合的施設王墓が生まれた。次第に王は専制君主となり、王墓の造営に当たらせる余裕が無くなり、生贄もなくなった。市民の王墓への意識も弱まった。しかし王墓は現代に歴史の流れを教えてくれる。教養が増えました。

    0
    2025年07月29日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!