あらすじ
石室内部が赤、緑、黄、黒などの文様で、あざやかに彩られる装飾古墳。
4世紀半ばから7世紀にかけて現れた「古代のアート」は多くの謎を秘めている。
カラー図版を多数使って、その謎に世界的視座から迫る。
・九州と関東周辺に集中し、近畿に少ないのはなぜなのか?
・装飾古墳が九州に多いのは、中国に近いからなのか?
・筑紫磐井の乱の敗北が装飾古墳を生んだという通説は本当か?
・なぜ埋葬施設に人に見せるための装飾をするのか?
・海外にも装飾された埋葬施設は存在するのか?
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Posted by ブクログ
装飾古墳とはどんなものか....壁画古墳との違いなどを最初は教えてくれる。
しかし、この本の内容はそのようなところには全くとどまっておらず世界の墳墓、古墳、王墓からショーヴェ壁画、
ラスコー、アルタミラなどにも解説が及ぶ。そのような観点から日本にある装飾古墳を捉えての解説。
かなり専門的な表現もありスマホ片手に知らない名称や用語を調べながら読んだ。
すこぶるおもしろい。しかし、ある程度の理解を得るにはもう二回ほど読む必要があるかも....
Posted by ブクログ
著者はまえがきにもあるように、装飾古墳について、よりユニヴァーサルなもの、つまり人類の芸術史の一部として捉えようとしている。
埋葬というのは考古学において一つの重要な柱のひとつなのだそう。つまり「死生観」というものは、常に文化の根幹にある概念…というよりもあらゆる文化はそこを起点にして広がるからなのだろう。
著者が考える死者と生者との関係は3パターンあって、それはまず死者は生者と同様に地面の下で暮らす「住まう」存在であるという垂直の関係にあるというもの。その場合は墓にもそれなりの備品が必要になる。
次いで、死者は漂白する魂となって一定の刻に生者の下を訪れる存在であり、墓は還る/迎える場所として装飾が施された場所であるべき。つまり「飾られた死者」となる。これは生者と水平な関係性をもち、日本にもあった海上他界観もその一部なのだそう。
そして最後、死は穢れであり、生者とは接触してはならないものとする「隠すべき」死者。
紹介される様々な古代の文明における「墳墓」の形式を見ると、人類はそれぞれの生活の場で、それぞれの「死」に対していろいろな意味合いを持たせてきたことがわかる。そのヴァリエーションの豊かなこと!
そしてそれらの独自色が、様々な情報の共有(特に宗教)によって次第に似たものになってしまった現在のつまらないこと!
さらに本書ではいわゆる「洞窟絵画」との違い、文化による人物描写の特徴、世界地図を広げたときの「アート」の伝播の様子までもが解説されていて、話は墓に留まらない。
「アート」手法の伝播は当に「人類」の歴史を辿るかのように、アフリカ大陸に始まり、ユーラシアに広がり、ベーリング海峡を渡って南米の端にまで到達する。
九州旅行のためにちょっと齧っておこうと思っただけだったのに、ヤバい、南米にも行きたくなってしまった。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 装飾古墳とは何か
第2章 研究の略史とデジタル・アーカイブ化
第3章 筑紫君磐井の乱の敗戦が装飾古墳を生んだのか?
第4章 なぜ古墳時代の中心地・近畿に少ないのか?
第5章 装飾古墳が九州に多いのは中国に近いからなのか?
第6章 装飾古墳への旅、日本から世界へ
第7章 近年、注目される装飾墓の調査
第8章 装飾古墳は洞窟壁画と関係があるのか?
第9章 装飾古墳・装飾墓と王墓
<内容>
前半は装飾古墳の話や研究史で面白かったが、後半の著者の研究部分は海外の装飾墓の話で、ついてこれなかった。知識がないことと興味がないこと。研究者としては、装飾古墳が九州と関東などが大半であることの疑問に対する答えが必要なのだが、ローカルな墓制でいい気がする。