河野一隆の作品一覧
「河野一隆」の「王墓の謎」「装飾古墳の謎」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
Posted by ブクログ
著者はまえがきにもあるように、装飾古墳について、よりユニヴァーサルなもの、つまり人類の芸術史の一部として捉えようとしている。
埋葬というのは考古学において一つの重要な柱のひとつなのだそう。つまり「死生観」というものは、常に文化の根幹にある概念…というよりもあらゆる文化はそこを起点にして広がるからなのだろう。
著者が考える死者と生者との関係は3パターンあって、それはまず死者は生者と同様に地面の下で暮らす「住まう」存在であるという垂直の関係にあるというもの。その場合は墓にもそれなりの備品が必要になる。
次いで、死者は漂白する魂となって一定の刻に生者の下を訪れる存在であり、墓は還る/迎える場所として装飾が施された場所であるべき。つまり「飾られた死者」となる。これは生者と水平な関係性をもち、日本にもあった海上他界観もその一部なのだそう。
そして最後、死は穢れであり、生者とは接触してはならないものとする「隠すべき」死者。
紹介される様々な古代の文明における「墳墓」の形式を見ると、人類はそれぞれの生活の場で、それぞれの「死」に対していろいろな意味合いを持たせてきたことがわかる。そのヴァリエーションの豊かなこと!
そしてそれらの独自色が、様々な情報の共有(特に宗教)によって次第に似たものになってしまった現在のつまらないこと!
さらに本書ではいわゆる「洞窟絵画」との違い、文化による人物描写の特徴、世界地図を広げたときの「アート」の伝播の様子までもが解説されていて、話は墓に留まらない。
「アート」手法の伝播は当に「人類」の歴史を辿るかのように、アフリカ大陸に始まり、ユーラシアに広がり、ベーリング海峡を渡って南米の端にまで到達する。
九州旅行のためにちょっと齧っておこうと思っただけだったのに、ヤバい、南米にも行きたくなってしまった。