陸軍作戦部長 田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか?

陸軍作戦部長 田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか?

1,200円 (税込)

6pt

4.0

対米戦争を決した男は何を考えていたのか?

田中は陸軍の中でも最も強硬に日米開戦を主張した人物です。参謀本部作戦部長という重要なポジションにあって、作戦立案の中心を担った田中は、国策決定上、大きな発言力を持ちました。
なぜ圧倒的な国力差のある米国と戦わなければならないか。実はかなり開戦のギリギリまで、日本は、なんとか米国とは戦わない方法はないか、と検討を重ねています。しかし、田中は早くから米国との戦争を決意していました。
現代の眼からは田中が唱えた「日米開戦すべし(そしてソ連も)」との主張は理解しがたいでしょう。しかも田中は同時にソ連とも戦うべきだ、と主張します。無理に決まっています(実際、陸軍も無理だと判断しました)。しかし田中は陸軍の頭脳ともいうべき参謀本部の、しかも作戦担当のトップだったのです。彼の対米開戦論は、参謀本部に結集した情報に基づき、彼なりのロジックで組み立てられたものでした。その論理とは何だったのか。
参謀は、いかに勝利への答えが出ない状況でも、何か無理やりにでも、「これなら勝てる(可能性がないわけではないかも)」みたいなプランを出し続けなくてはなりません。田中はその仕事にきわめて精力的に取り組みました(その結果、日本を敗戦に導きます)。
戦争の途中で、田中は軍務局長をぶん殴り、東条英機首相に「馬鹿者共」を罵声を投げつけて、ビルマに飛ばされてしまいますが、田中がいなくなると陸軍にはもう、「これなら勝てる(以下略)」を絞り出せる人はいなくなってしまいます。そのあと2年半くらい、日本はずるずると犠牲を出し続けて、負けます。そういう本です。是非ご一読を。

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陸軍作戦部長 田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか? のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    WW2中の日本陸軍参謀本部作戦部長に就き、対米開戦に少なからぬ影響を与えた田中新一の評伝。本書にも書かれているが、知名度が高い人ではなく、私もこの本を手に取るまで名前も知らなかったが、WW2に於けるキーパーソンである。
    評伝と言っても、生い立ちや人柄にはほとんど触れられておらず、あくまでWW2(日中

    0
    2025年07月22日

    Posted by ブクログ

    今年2025年は太平洋戦争終結から80年を迎える。何故国力で圧倒的に劣り、敵うはずもないアメリカとの戦争に突入したのか、当時の軍部や政治が何を基準に判断したのか、現在に於いても様々な研究が行われている。GDPでは10倍以上の差があり、重化学工業の製造力や資源の量も全く日本は及ばない。とは言え日清日露

    0
    2025年01月31日

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