ちくま新書作品一覧

  • 現代フランス哲学
    5.0
    1968年五月にパリで起こった「革命」を起点に、若者や労働者を巻き込み、時代や経験に深く根ざす思想運動として発展した現代フランス哲学。資本主義の矛盾や構造的な抑圧がさまざまに露呈する1980年代以降、それは大きな変化を遂げた。構造主義からポスト構造主義を経て、政治や宗教、労働、ジェンダー/フェミニズム、科学と技術、エコロジーをめぐる諸思想にいたるまで。フーコー、ドゥルーズ、デリダに続き、変容する社会を鋭くとらえる強靭な思想の広がりを一望する。
  • 問いを問う ――哲学入門講義
    4.0
    哲学とは、昔の人の考えや言葉を知って、理解することではない。哲学上の根本問題に自ら立ち向かうことでしか、哲学はできない。「私たちの心を超えた世界を知ることはできるか?」「他者の心を知ることはできるか?」「心と脳の関係はどのようなものか?」「死んだら無になるのか?」――本書では、この四つの問題を素材に、哲学の核心へと一気にいざなう。問いの意味そのものを問いなおすこと。相対立する議論のやり取りを、自分ひとりで視点を転換させて行うこと。深く、粘り強く、哲学的に考えるやり方を追体験できる教科書。
  • 資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか
    4.0
    なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか。それは、資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである。資本主義そのものが問題である以上、「グリーン資本主義」や、表面的な格差是正などは目くらましにすぎず、根本的な解決策にはなりえない。破局から逃れる道はただ一つ、資本主義自体を拒絶することなのだ――。世界的政治学者が「共喰い資本主義」の実態を暴く話題作。(解説・白井聡)
  • 脱炭素産業革命
    -
    2020年代に入り、カーボンニュートラルに向け世界的に社会経済・産業構造は大きく変わった。脱炭素の実現目標が掲げられ、もう後戻りできない。いまなぜ脱炭素なのか。本書では、新たな段階の産業革命として現状をとらえ、新たな生産様式・生活様式が、エネルギー安全保障や資本主義・市場経済及びグローバル経済のグリーン化にまで至っている状況を分析。さらに資源国のパワー低下と脱炭素先進国の台頭による地政学的変動、さらに国際政治経済秩序の変容までを分析する。
  • 戦争と平和の国際政治
    3.0
    世界は「100年に一度の大変局」(習近平国家主席)の時代に突入した。長年外交の第一線に携わり、その後東京大学で教鞭をとった著者が、実務と理論の両面から国際政治の本質を明らかにし、その上で日本周辺の危機を読み解き、ウクライナ戦争の意味と国際秩序の変動を論じる。米中対立で不透明感を増す日本の平和と繁栄をどう維持して行くか、国家生存の課題を問い直す。
  • 世界マネーの内幕 ──国際政治経済学の冒険
    4.0
    リーマンショック後、莫大な資金がタックス・ヘイブンに流入した結果、「1% vs 99%」といわれる貧富の格差が世界中で進み、それは国境を越えて二極化している。グローバリズムの浸潤とともに、経済の軸はモノ作りから金融・情報が激しく行き交う「市場」に移っているにもかかわらず、日本は立ちすくんでいるように見える。しかし、一方で、それが深い闇に包まれていることもまた事実である。金融は世界をどう動かしているのか。マネー興亡の歴史を通観し、現代の深層に迫る。
  • 教養としての仏教思想史
    3.7
    紀元前6世紀頃にゴータマがインドで始め、現在も日本文化に深く根を張る仏教。神を絶対者として崇める西洋的な宗教とは一線を画すこの信仰は、時代と地域を超えていかにして現在の形になったのか。上座部、大乗、密教、禅宗など、数多く存在する部派・宗派を歴史の中に位置づけ、それらの発展に秘められた膨大な知の全貌を俯瞰。さらに中国、朝鮮半島をはじめ地域ごとの展開にも目を配り、わかりやすく解説する。これだけは知っておきたい仏教の知識が満載の決定版入門書。
  • 産業革命史 ──イノベーションに見る国際秩序の変遷
    4.5
    イノベーションこそが世界秩序を形成してきた。技術革新が起きる現象を広く産業革命と捉え、第一次産業革命(1760~1830年代、軽工業)、第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭、重工業)、第三次産業革命(20世紀後半、IT・情報)、第四次産業革命(2010年代以降、IoT・AI)の四段階に分け、世界経済の変遷をたどり直す。経済体系の変遷や社会経済発展・分業との関係など多様な論点を交え、持続的な世界経済の運動として産業革命を大局的に描き出す。
  • 香港危機の700日 全記録
    4.5
    2019年、ピーク時には100万人超とも言われる市民が抗議デモに参加した香港の民主化運動。言論や表現だけでなく、デモや集会などの政治的な自由も保障してきた香港の「一国二制度」。中国共産党はこの制度を50年間継続すると約束したにもかかわらず、20年6月、治安法制「国家安全法」を導入。一万人を超える市民が警察に逮捕され、民主派議員は失職し、香港は「沈黙の街」と化した。朝日新聞・前香港支局長が、その始まりから、厳しい弾圧により絶望が広がるまでを鮮烈なタッチで描く。民主派から親中派まで、無名の市民から大物政治家までを徹底取材した、比類なきドキュメント!
  • 中世哲学入門 ――存在の海をめぐる思想史
    3.0
    未踏の大地だった中世哲学は、20世紀に入ると忘却の淵から蘇った。歴史的な関心よりも、現代における問題に直結する哲学として光が当てられ、中世論理学が言語哲学への枠組みを提供するなど、非合理でも素朴でもなく、煩瑣で無内容でもない中世哲学の姿が示されるようになってきた。中世哲学への入り口を示し、基本用語への解説を加えつつ存在の問題からアヴィセンナの存在論、存在の一義性、個体化論、普遍論争へと、存在の海をめぐる思想史を丁寧に案内する決定版入門書。
  • ヨーロッパ冷戦史
    4.5
    ヨーロッパはいかに二つの陣営に分断され、ベルリンの壁はどう築かれたか。ベルリンの壁崩壊から、なぜ分断が一挙に統合へと向かったのか。ドイツ問題を軸に、東西間の対立と緊張緩和の過程を描き、冷戦の国際政治力学を浮き彫りにする。さらには、軍事的・経済的な対立と緊張緩和が交錯するドラマが活写される。ブレグジットで欧州統合が大きな曲がり角を迎え、世界が再び地域主義の様相を呈しているいまこそ参照すべき、最新研究に基づく現代ヨーロッパ国際政治史入門。
  • 医学全史 ――西洋から東洋・日本まで
    4.5
    現代医学はどのようにしてできあがったのか? 古代より、伝統医学は経験から治療法を、推論から理論を創り出すと同時に、西洋では解剖学という人体の科学的探究を続けてきた。それが19世紀に、病理解剖学や実験生理学の発展に伴い実践的な治療と結びつき、劇的な変貌を遂げることになる。医史学研究の第一人者が古今東西の書物を繙き、萌芽期から現代までの歴史を丁寧に辿りつつ、その飛躍的発展の背景に迫る決定版通史。
  • 日本経済学新論 ──渋沢栄一から下村治まで
    -
    水戸学のプラグマティズムを、近現代日本を支えた経済思想へと発展させた人物こそ、渋沢栄一であった。『論語と算盤』で水戸学の朱子学批判を賤商思想批判へと読み換え、尊王攘夷思想から継承した経済ナショナリズムで日本の近代資本主義を確立した渋沢。その精神を受け継ぎ経済政策の実践に活かした高橋是清、岸信介、下村治ら実務家たちの思想に「日本経済学」と呼ぶべき思考様式を見出し、そのプラグマティズムと経済ナショナリズムに危機に立ち向かう実践的姿勢を学ぶ。
  • 大学改革の迷走
    3.9
    「大学は危機に瀕している」。何十年も前からそう叫ばれつづけてきたが、いまでも、様々な立場から大学を変えるための施策がなされたり、意見が交わされたりしている。では、大学の何が本当に問題なのか? 80年以降の改革案から遡り、それらの理不尽、不可解な政策がなぜまかりとおったのか、そして大学側はなぜそれを受け入れたのかを詳細に分析する。改革が進まないのは、文部科学省、大学関係者だけのせいではない。大学改革を阻む真の「悪者」の姿に迫る。
  • 阪神タイガース 1985-2003
    4.0
    バース・掛布・岡田・真弓で空前のブームを巻き起こし、日本一に輝いた1985年。だがその後の道は多難だった。「ダメ虎」の強烈な印象を残した1980年代末の暗黒期、終盤までヤクルトとの死闘を演じた1992年の一瞬の輝きを経て、再び長い90年代後半暗黒時代へ。そして野村監督時代という夜明け前を経て、突然やってきた2003年の星野阪神の栄光。とかく印象論で語られがちな人気チームの歴史を、記録と報道された事実をベースにして再構成する。ファン必携の「正史」。
  • 大坂城全史 ──歴史と構造の謎を解く
    -
    かつて浄土真宗の聖地として栄え、織田信長の後を承けた豊臣秀吉、徳川家康・秀忠まで、時の権力者が本拠地として修築を重ねた大坂城。豊臣家の居城として栄華を極めるが、大阪夏の陣で落城。江戸幕府に再築されるものの、幕末には大部分が焼失した。明治以降、大阪市民の支持を得て天守閣が復興、現在まで市民に愛され続けている。長きにわたり権力者たちの興亡の舞台となった名城を、最新の研究成果に基づき読み解く、通説を刷新する決定版通史。
  • 西郷隆盛 ──手紙で読むその実像
    -
    西郷ほど多くを語られ、また歪められてきた人物はいない。その生涯をめぐって、事実と異なる歴史がこれまで数多く語られてきた。その最大の原因は、歴史家が一次史料と二次史料をないまぜにし、それらを適宜選択的に使うことにある。本書では、西郷自身が書いた手紙を中心に、大久保・木戸・三条・岩倉・勝らが書いた手紙や日記などを加え、もっぱら一次史料をもとに、西郷の生涯を改めてとらえ直す。生身の人間・西郷の真実に迫るとともに、既往の西郷論の真偽を問う挑戦の書。
  • 建築から見た日本古代史
    3.7
    建築とは、権力者たちが駆使した政治的言語である──。日本誕生の舞台となる古代において建築は、権力者が自らの権威を明らかにし、体現する文明の壮大さ、美意識の優越を高らかに宣言する最大最強のメディアであった。飛鳥寺、法隆寺、四天王寺から本薬師寺、伊勢神宮式年遷宮にいたるまで、建築様式や構造、配置パターンのなかに、母系と父系、天皇と律令、ナショナリズムと文明開化、それぞれの葛藤と融合を見いだし、まったく新しい日本古代史を組み上げ、提示する。
  • 日本語全史
    4.0
    日本語の全史を一冊でたどる初めての新書。日本語の変遷を古代(前期・後期)/中世(前期・後期)/近世/近代という時代ごとに、総説・文字・音韻・語彙・文法の五つに分けて整理していく。日本語は世界の言語の中でも比較的、古代からの変遷が少ない。であればこそ、現代語との関わりのなかで、日本語史を記述していくことが可能となるのだ。日本語の変遷の全体像がわかるだけでなく、現代の一部の慣用表現や方言などに残る過去の日本語の痕跡をたどっていく謎解きとしても楽しめる一冊。
  • 平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存
    -
    清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏には、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ近くでも人が殺されるような状態だった。そして、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
  • 商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間
    3.5
    商店街は過去の遺物ではなく、新たな動きが見え始めている。若い世代がカフェやコワーキングスペースなどコミュニティの拠点として商店街に関心を向け、クルマで買い物に行くのが難しい高齢世代が商店街に足を向ける流れも出てきた。コミュニティ空間としての「ウォーカブル・シティ(歩いて楽しめる街)」を求める動きも各地で起こりつつある。商店街のもつ新たな意味や価値に注目し、国際比較の視点や、まちづくり・交通など公共政策の観点も盛り込み、幅広い叡智を結集。未来の商店街のありようと、再生に向けた具体策を提起する。
  • 民主主義を疑ってみる ――自分で考えるための政治思想講義
    -
    近年、民主主義の危機が叫ばれ、その重要性を訴える議論が巻き起こっている。だが、民主主義を擁護するだけで本当に今日の「危機」は回避できるだろうか。むしろ、民主主義それ自体がポピュリズムなどの現象を招いているのではないか。本書では、政治思想が「民主政」批判から始まったことに注目しつつ、民主主義だけでなく、それを補完・抑制する原理としての自由主義や共和主義、社会主義などを取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を整理していく。主主義を機能不全から救い出すために何が必要か、その核心に迫る白熱の講義。
  • 「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う
    5.0
    イエ、家族、ホーム、ファミリーなど、多くの名が生まれた理由は、その言葉を用いないと表現できない現象や思いがあったためだ。「家庭」には、リベラル、保守、それぞれの理想が託されてきたが、一方でその理想と現実には様々な乖離があった。明治から昭和、平成、現代まで、それらをめぐる錯綜した議論をときぼぐしていくことで、近現代日本の新たな一面に光をあてる。
  • 古代日本の宮都を歩く
    -
    よく知られるように平城京・平安京以外にも、古代には数多くの宮都があった。王権の所在地であり国家統治の中枢だった王宮は、やがて「百官の府」と称され、京域に貴族官人や庶民が集住し都市文化が萌芽。それは遷都と造都を繰り返す中でもたらされた。半世紀以上にわたり、古代の宮都を訪ね歩いてきた著者が、過去の景観と現在を比較し、文献史料を再検討することによって、宮都の知られざる事実を掘り起こす。通説にとらわれずに史実を明らかにしてきた碩学による宮都案内。
  • 聖母の美術全史 ――信仰を育んだイメージ
    -
    2020年4月、一枚の聖母像の前でフランシスコ教皇は、新型コロナと戦う連帯を全世界に呼びかけるミサを行った。今も昔も、悩み苦しむ人びとが求めるのは、「母なるもの」のイメージなのだろう。イコンをその源に持つ聖母は「受胎告知」「ピエタ」「無原罪の御宿り」など様々な主題を生み、祈りの対象としてのみならず、西洋美術史を強く牽引した。聖母像の起源から、ルネサンス、バロック、日本の南蛮美術やお掛け絵、現代美術に至るまで、その大潮流を追いかける比類なき美術史。
  • 大正史講義【文化篇】
    4.0
    大正時代の日本は、さまざまな外来の文物を貪欲に受け入れ、豊かな社会の到来もあって新たな思想や価値観、生活スタイルや芸術文化を生み出した。労働運動がさかんになり、デモクラシーへの要求が強まるとともにナショナリズムも勃興する。教養主義が成立し、女性の地位が変わり始めるなか、大衆社会化によって多様な消費文化が生まれていった。百花繚乱ともいえるこの時代の文化を、二五人の研究者による最新成果を結集して、イデオロギーにとらわれることなく、正確に描き出す。
  • 大正史講義
    3.8
    わずか15年間の大正時代にはロシア革命、第一次世界大戦、関東大震災など内外に大きな出来事が生じ、日本の社会も大きな変化を余儀なくされた。そしてその変化とともに大衆が登場して政治を動かし、「劇場型政治」が展開していく。この激動の昭和の原点ともいえる複雑な時代をどう見るべきか。その歴史を見るための視座を提供すべく、23名の第一線の研究者が最新の研究成果を結集。26の論点によって、大正時代を正面から描きなおす、まったく新しい大正史入門決定版。
  • 9条の戦後史
    4.0
    世界に先がけた理想として敗戦国日本にもたらされた憲法9条。だがその9条とのあいだに、私たち日本人は生きた関係を築けずにきた。原初からの問いを育てることができなかったからだ。もし9条が役に立ちうるとすれば、それを生かすのにいま、何が必要なのか――。日米安保条約締結から、改憲派・護憲派の二項対立が形成される高度成長期をへて、冷戦終結後、対米従属を深め混迷にいたる現在まで。戦後史の深層を丹念に掘り起こし、ゼロからの問いを提起する。『9条入門』の後半として書き下ろされた、著者さいごの提言。
  • 現代思想講義 ──人間の終焉と近未来社会のゆくえ
    -
    「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。
  • 皇族と天皇
    -
    日本の歴史の中でも特異な存在であった明治以降の皇族。彼らはどのように古来の伝統から離れて生み出され、いかなる事件を様々に引き起こしてきたか。またそれにより、歴代天皇はいかに悩まされてきたのか。ときには政治や戦争にも関わり、陰に日向に日本を動かしてきた皇族たちの動きをつぶさに追い、日本近代史の忘れられた一面に光を当てる。皇族問題の長年にわたる探究をもとに、明治維新から、昭和天皇の退位問題まで、近現代の皇族と天皇の歩みを解明した通史決定版。
  • 柳田国男 ──知と社会構想の全貌
    4.0
    民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。
  • 現代思想史入門
    -
    二〇世紀のイデオロギー対立は終焉したが、新たな思想・哲学が出現していないように見える。近代のしがらみを捨てて、いま一度、現代思想の諸地層をもっとつぶさに見ていこう。そこに新たな思考が芽生えるきっかけが見つかりそうだ。生命、精神、歴史、情報、暴力の五つの層において現代思想をとらえ、それぞれ一九世紀後半あたりを出発点として、五度にわたってさらいなおす。現代思想の意義を探りつつ、その全体像を俯瞰する、初学者にもわかりやすい新しいタイプの入門書。
  • ウクライナ動乱 ――ソ連解体から露ウ戦争まで
    4.4
    冷戦終了後、ユーラシア世界はいったん安定したというイメージは誤りだ。ソ連末期以来の社会変動が続いてきた結果としていまのウクライナ情勢がある。世界的に有名なウクライナ研究者が、命がけの現地調査と100人を超える政治家・活動家へのインタビューに基づき、ウクライナ、クリミア、ドンバスの現代史を深層分析。ユーロマイダン革命、ロシアのクリミア併合、ドンバスの分離政権と戦争、ロシアの対ウクライナ開戦準備など、その知られざる実態を内側から徹底解明する。
  • 写真が語る銃後の暮らし
    -
    戦時下の庶民生活を、当時の貴重な写真約350点で振り返る一冊。モボモガのブーム、満州事変、二・二六事件、日中戦争、日独伊三国同盟、日米開戦、徴用・動員、本土空襲、沖縄戦、原爆投下、玉音放送、引揚・復員、占領などの節目となった出来事、世相をコンパクトに解説。歓喜から絶望へと突き進んだ15年にわたる人々の暮らしを疑似体験するビジュアル新書。
  • 戦後入門
    4.4
    日本ばかりが、いまだ「戦後」を終わらせられないのはなぜか。この国をなお呪縛する「対米従属」や「ねじれ」の問題は、どこに起源があり、どうすれば解消できるのか――。世界大戦の意味を喝破し、原子爆弾と無条件降伏の関係を明らかにすることで、敗戦国日本がかかえた矛盾の本質が浮き彫りになる。憲法九条の平和原則をさらに強化することにより、戦後問題を一挙に突破する行程を示す決定的論考。どこまでも広く深く考え抜き、平明に語った本書は、これまでの思想の枠組みを破壊する、ことばの爆弾だ!
  • パリ 華の都の物語
    NEW
    -
    ケルト人の集落に端を発するパリは、今も街のあちこちに過去の時間を宿している。伝統を重んじつつ新陳代謝を繰り返す芸術の殿堂ルーヴル美術館、ナポレオンやオスマンの都市計画、豪華絢爛なオペラ座の秘密、ピカソの「洗濯船」とシャガールの「蜂の巣」、パサージュとカフェ、歴史に名を刻む死者たちが眠る墓地……。この唯一無二の街を美術史家と歩き、体感しよう。貴重なビジュアル資料を含むカラー図版約300点とともに読み解くパリの歴史と芸術のすべて。美術館案内付き!

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